【安価・コンマ】スリーパーの♀ポケハーレム道【ポケモン】

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2022/09/13(火) 20:56:52.01 ID:uxvPXPnQ0
◆rIel.EK3Cs
代理
以下、コピペ


スリーパー「ハァッ、ハァッ、ハァッ……!」

私はスリーパー。
カントー地方のとある森に住んでいる、少し頭の良いだけのごく一般的なスリーパーだ。
そんな私は絶賛、絶体絶命と絶望のさなかだった。

ゴオオオオォオオオォオオォォォオオォォォッ!

スリーパー「クソッ……!」

ごく普通に、静かに1ポケモンとして暮らしていた私。
しかし、目が覚めると森は炎に包まれていた。

バキバキバキッ!

スリーパー「あぶっ……!」

ドドォンッ!

「びぎょっ」

スリーパー「ぐあああぁあぁあっ!?」

目の前を走っていた小さなポケモンが、倒れて来た木の下敷きになって潰れた。
それと同時に私の顔の左側が冷たく、いや、熱く焼けた。
燃える木の枝の一本が、直撃したらしい。

スリーパー「……ぐううぅっ……!」

痛みに悶えながらも、私は足を止める訳には行かなかった。
逃げなければ、死んでしまう。
私は顔の左側を抑えながら、どこにあるかも分からない炎の出口に向かって走り続けた。
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2022/09/13(火) 21:05:22.36 ID:ouEs2eYV0
統一教会スパイクタンパクISISは、正当に選挙されたスパイクタンパク会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸スパイクタンパクISISとの協和による成果と、わがスパイクタンパク全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権がスパイクタンパクISISに存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそもスパイクタンパク政は、スパイクタンパクISISの厳粛な信託によるものであつて、その権威はスパイクタンパクISISに由来し、その権力はスパイクタンパクISISの代表者がこれを行使し、その福利はスパイクタンパクISISがこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
統一教会スパイクタンパクISISは、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸スパイクタンパクISISの公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐるスパイクタンパク際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界のスパイクタンパクISISが、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれのスパイクタンパク家も、自スパイクタンパクのことのみに専念して他スパイクタンパクを無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自スパイクタンパクの主権を維持し、他スパイクタンパクと対等関係に立たうとする各スパイクタンパクの責務であると信ずる。
統一教会スパイクタンパクISISは、スパイクタンパク家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
3 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/13(火) 21:08:04.73 ID:mdfr9rkV0
こちら、代理立てしてもらったスレです。
ありがとうございます。
続けます。

スリーパーが燃える森の中で見つけたポケモン

ポケモンの名前(種族名・たねポケモン):ラルトス
性別:♀
性格(原作に無い物でも可):ひかえめ
出会い(倒れていたとか、死にかけの親から託されたとか):ボロボロの状態で倒れていた
生い立ち:森の奥で静かに暮らしていたが人間の密漁者に狙われ命からがら逃げてきた
特徴:色違いのため希少性が高い
4 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/13(火) 21:56:10.95 ID:mdfr9rkV0
スリーパー「……ゼェ、ゼェ、ゼェ……!」

たくさんの煙を吸ってしまって、喉が焼けるように痛い……!
とにかく、今は生き残る事だけを考え……

……たすけて……

スリーパー「……!」

その時、私は誰かの「声」を聴いた。
エスパータイプのポケモンが死の間際に放った、おそらく同じくエスパータイプのポケモンだけが受け取る事の出来るとてもか弱い「念」。

スリーパー「……クソ……!」

受け取った。
受け取ってしまった。
だから、私は助けざるを得なかった。
私は念の聞こえて来た方に向かって駆けていった。
5 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/14(水) 10:15:39.73 ID:AI0Si3pm0
私が駆け寄ると、そこには小さなボロボロのポケモンが倒れていた。

スリーパー「おい、大丈夫か……! ……げほっ、げほっ……!」

ラルトス「ひゅー……ひゅー……」

抱き上げてみると、それは虫の息のラルトスだった。
最初、全身の怪我は火災で負った物かと思っていたのだが、そういう傷ではなさそうだ。
電気タイプの技を受けた時の特有の傷が見える。
この辺りにこんな傷痕を付けられるポケモンはいないはずだが……
っと、そんな事を考えるのは後だ!
私は意識のないラルトスをおぶって、再び走り出した。

スリーパー「せっかく助けたんだ……死なないでくれよ……!」

ラルトス「ひゅー……ひゅー……」

走り続けていると、ようやく火災の終わりが見えて来た。
火が広がるよりも早く、なんとか脱出が間に合ったらしい。
良かった……生き残っ……!

???「そこだ! エレキネット!」

バヂィッ!

スリーパー「がぁっ!?」

私が炎の外に踏み出したその瞬間、柔らかい感覚と鋭い痛みを同時に足裏に感じた。
全身が痺れて、ガクンとその場に転んでしまった。
6 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/14(水) 10:26:32.58 ID:AI0Si3pm0
男「よくやったマッギョ」

マッギョ「マッギョ〜」

風景に溶け込む模様の恰好をした男が森の中から出て来て、私の足元にいたマッギョをボールに収める。

スリーパー「なん……だ……?」

私は人語は理解できるが、話す事は出来ない。
男は足を振り上げ、思い切り私の腹を蹴り上げた。

男「邪魔だ」

ドガッ!

スリーパー「がぁあっ……!」

私が呻いていると、嬉しそうに男は続ける。

男「ちょっと燃えすぎたな。まあ無事に色違いのラルトスがゲットできたからいいか」

男はそう言いながら、赤と白のボールをラルトスに近づける。
あのボールに触れたら、あの子は捕まる……!
先ほどは火災の中で分からなかったが、どうやらそのラルトスは普通とは違う……色違いのようだった。
燃えすぎたというこの男の言葉からすると、この男がラルトスを捕まえるために森に火を放ったのか。
ラルトスの傷痕も、あのマッギョの物なのか。
……それだけのために?
たったそれだけのために私の家は奪われたのか?
逃げ遅れたポケモンたちの命は、奪われたのか?
このラルトスは……こんな酷い事をされたのか?

……人間とは……人間とは、こんなにも、狂えるものなのか……?
私の拳は、怒りに震えた。

スリーパー「……ぅおおおおおぉおああああっ!」

私は残った力を右手に溜め、男に向かって解き放った。

ブォアッ!

男「ぐあっ!?」

キルリアを背に守りながら、私は男と向き合う。

スリーパー「お前だけは……お前だけは絶対に許さん! 殺してやる……殺してやる!」

男「いてぇな……! クイタラン!」

クイタラン「クイタラァアアァアァア!」

男がボールを投げると、火を噴く大きなポケモンが現れた。
対峙しただけで勝てないと分かる。
クソ……クソ、クソ、クソ!
殺される!
どうにかしのぐ方法は……

そう思っていた次の瞬間、バキバキと大きな音を立てながらひと際大きな燃え盛る木がこちらに向かって倒れて来た。
避ける力も、時間も、無い。

男「あっ、色違いラルトスが!」

スリーパー「ク……クソがあぁあぁあぁぁぁぁあぁあぁあぁぁっ!」

そうして、私とラルトスは大木に圧殺された。
7 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/14(水) 11:36:23.46 ID:AI0Si3pm0
……じさ……お……さん……おじさん……!

ラルトス「おじさん……!」

私「ハッ……!」

その声に私が目を覚ますと、先ほどの色違いのラルトスが覗き込んで来ていた。

ラルトス「よかった……起きた……」

私「ここ、は……?」

あの状況から命が助かったのか? と辺りを見回すと、そこは確かに森だったが焼けた跡など一切ない。

ラルトス「……わからないんです。目が覚めたら、私もおじさんの横で……」

その時、左目に何かが入って思わず目をつぶる。
顔の左側を触ってみると、そこには潰された水色の果実が塗られていた。

私「……もしかして、これは君が……?」

ラルトス「あ、は、はい。……おじさん、やけどしていたから……チーゴの実を探して……」

私「……ありがとう。助かるよ……」

顔についたチーゴの実をこそげて、食べる。
うん、ちょっとにがい。

ラルトス「……! あ、ごめんなさい……! 私が……実を持ってくるのが遅かったから……!」

ラルトスがポロポロと泣き出す。

私「どうしたんだい」

ラルトス「大きなやけどの跡が……残って……」

指で触ってみると、確かに目の周りにひきつれのような痕が残ってしまっている。
しかし、傷口が腐ったりせずにこの程度で済んだのはチーゴの実のおかげだろう。

私「いいんだよ。傷が深すぎたんだ。チーゴの実が無ければ、もっと酷い痕になっていたよ……」

ラルトス「私が……私なんかが、あの森にいたせいで……! みんな、みんな、燃えちゃって……! ごめんなさい……ごめんなさい……!」

いつの間にか、ラルトスの身体はガタガタと震えてブツブツとつぶやいていた。
私のやけどを見てあの森の惨状を思い出し、全部自分のせいだととてつもない罪悪感に押しつぶされそうになっているのだろう。
私はやさしくラルトスを抱きしめてあげた。

私「大丈夫。君のせいじゃない。あの男が、全部悪いんだ。君のせいじゃない……君のせいじゃない……」

ラルトス「うっ、うわあぁあぁあぁぁんっ……!」

とめどなく泣くラルトスを、私は抱きしめ続けた。
8 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/14(水) 12:33:05.88 ID:AI0Si3pm0
ラルトス「おじさんが……助けてくれたんですね」

スリーパー「うん? そうだけど……」

落ち着いたラルトスが、目を真っ赤にして鼻をすすりながらそう言う。

ラルトス「私、人間のポケモンに攻撃されて、逃げたくても、動けなくて……たすけてって叫んでいたんです……」

マッギョか……
もし私が受けた威力の攻撃をその小さな体に受けていたとしたらとても痛かっだろうし、当然動く事もままならなかったのだろう……

ラルトス「でも、置いて行かれてしまったんです……みんな生きるのに必死で、仕方ないですよね……」

スリーパー「うん……」

あの場では、誰もが生きるのに必死だった。
小さな命を助ける暇なんてなかった。
私は、他のポケモンよりも少し賢かった。
だから、見捨てられなかったんだ。

ラルトス「息が出来なくなって、目の前が真っ暗になって……でも、ずっとたすけてって思っていたら……誰かが、助けてくれた」

きゅっと、ラルトスが私の手を握る。

ラルトス「優しい、温かい心がぽわぽわって伝わってきて……本当に、安心しました。……そして気づいたら目の前におじさんがいて、ああ、助けてくれたのはこの人だったんだって……」

ポロポロと涙を流しながら、ラルトスが私の目を真っすぐに見つめて来た。

ラルトス「本当に……ありがとうございます……」

はにかんだその表情に、私は年甲斐もなくどきりとしてしまった。
催眠をかけて連れ去りたいという本能が一瞬顔を出したが、どこに連れ去るんだと考えると冷静になる事ができた。
9 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/14(水) 13:07:34.43 ID:AI0Si3pm0
スリーパー「よし」

ラルトス「それは……なんですか?」

スリーパー「ん、これ?」

私はそこらへんに落ちていた丸い石に穴を開け、枯草で編んだ紐でぶら下げた。

スリーパー「これは私のパワーを増幅させるための道具だよ。本当は鉄の方が伝わりやすくて良いんだけど……」

私、スリーパーは鉄の輪に紐を通したものを使うと念動力が強くなる。
今までは拾った50円玉に紐を通したものを使っていたのだが、火事の中で紛失してしまったのだ。

スリーパー「これでどうだろう。ちょっとかけてもいいかな」

ラルトス「いいですよ」

スリーパー「じゃあ絶対に手を上げないでね。私が上げてって言っても、上げないように抑えているんだよ」

ラルトス「は、はい……!」

私は小さく揺らしながら、弱めのさいみんじゅつをラルトスにかけた。
丸い石は紫色の光を纏い、ゆら、ゆら、とラルトスの瞳の前で揺れる。
ラルトスの目が少しとろんとして来た。

スリーパー「じゃあ、左手を上げて」

ラルトス「……あっ!?」

ラルトスの意思とは反して、自然とラルトスの左手が上がる。

ラルトス「凄い、これがさいみんじゅつ……」

スリーパー「うん。ちょっとかかり方は弱いけれど、使えるね」

私がさいみんじゅつを解くと、ラルトスの手はへにゃりと降ろされた。

スリーパー「これで、君を守る事が出来る……」

ラルトス「えっ」

私の言葉に、ラルトスが驚いた顔をする。

ラルトス「守るって……あの……私と、一緒にいるんですか……?」

スリーパー「……? どういうこと?」

ラルトス「だ、だって私……狙われているんですよ……あの……私と一緒にいると、おじさんにも、危険が……」

そこで、私は私とラルトスの認識の間に齟齬がある事に気づいた。
私は勝手にこれからもラルトスを守るつもりでいた。
しかし、ラルトスはそうではなかった。
色違い、つまり自分のような狙われている存在を連れて行くとは思いもしていなかったのだ。

スリーパー「私たちは、得体も知れない場所で目覚めた。火事も起きた様子がない。もしかしたら、テレポートか何かで、知らない場所に飛ばされたのかもしれない」

聞き覚えのない鳥ポケモンの鳴き声が聞こえて来て、ラルトスがビクッと身体を震わせる。

スリーパー「そんな場所で、君を放り出すわけがない。一度助けた命。ゆめゆめ死なせるような事なんてしないよ」

ラルトス「そう……ですか……? ……そう、なんですね……あの、おじさん……ありがとう、ございます。……本当に……ありがとうございます……」

ラルトスはそう言ってもじもじとしながら、私の手をにぎにぎして来た。
ああ、連れ去ってしまいたくなるなぁ……
10 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/14(水) 21:02:33.01 ID:AI0Si3pm0
それから、私たちは現状把握のために森を歩く事にした。

スリーパー「まず私たちが探すべきなのは、ポケモンセンターだ」

ラルトス「せんたー……?」

スリーパー「ポケモンの病院だよ。人間のポケモンだけじゃなくて野生のポケモンも治してくれるから、まずはそこで傷を癒さないと……」

手をつなぎながら、私はラルトスの身体を観察する。
全身に多くの傷を負っており、ボロボロ。
私もやけどは治ったが、全身が痛い。
ポケモンセンターには、私も何度かお世話になっている。
裏口から入れば、色違いのラルトスが人に見つかることはないだろう。

ラルトス「それって……人間が、いるんですか……? また、痛い事をするんですか……?」

その言葉に、私は静かにラルトスの頭をなでる。

スリーパー「大丈夫だよ。ポケモンセンターの人間は優しい。あの男とは、全然違うんだよ」

ラルトス「そうですか……」

ラルトスは人間にトラウマを抱えてしまっているのだろう。
手が震えている。
私はラルトスの手をしっかりと握り返すと、森を歩いて行った。
11 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/09/15(木) 02:48:39.83 ID:912J5A+I0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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12 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/15(木) 09:44:49.11 ID:0dL5+NXAO
思ってた以上にしっかり書かれてるな
久々に期待
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/15(木) 09:46:07.27 ID:+kT3voLTo
スリーパーなのに良い人っぽい
14 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 12:13:46.66 ID:DlfBqOps0
スリーパー「ハァ、ハァ……なんとか、たどり着いたね……」

森の中に、ぽつんと一階建ての小さなポケモンセンターがあった。
見つけた道に沿って進んだところ、偶然見つける事が出来たのだ。
私が住んでいる森にポケモンセンターは1つしかないのに、あのポケモンセンターは見た目から位置から、全てが違う。
やはり、何かしらの原因で別の森に飛ばされてしまったと考えるべきだろう。

スリーパー「ハァ……ハァ……ハァ……」

ラルトス「おじさん……!」

スリーパー「大丈夫だよ……これぐらい……」

道中、何匹か敵対的なポケモンと出会って戦闘になったが、ラルトスもサポートしてくれた事で楽に勝つことが出来た。
しかし私の傷口が開き、血が沢山流れてしまった。
今は手と念動力で押さえつけているのだが、このままでは失血で意識を保てなくなってしまう。
早く、治療を……

ピンポーン

私はポケモンセンターの裏口のボタンを押した。

ジョーイ『はいもしもし?』

スリーパー「すみません……助けてください……」

私の鳴き声を聞くと、向こう側の声は私たちがポケモンだという事に気づいたようだ。

ジョーイ『この声は……ポケモンね? 分かった、今行くわ』

中が少しあわただしくなった後、見慣れたピンク髪の看護婦が出て来た。

ジョーイ「はーいお待たせ。さて、今日のお客さんは……」

看護婦は私を一目見ると、サァ、と顔を青くした。

スリーパー「……?」

ジョーイ「……と、とりあえず、中に入って。……治して、あげる」

私がそのまま中に入ろうとすると、くい、とラルトスが私の手を引いた。

スリーパー「どうしたの」

ラルトス「……ちょっと……いやな感情がする……あの人間から、感じる……」

そう言えば、ラルトスは他人の感情を読み取ることが出来るんだったな。
なにかあの看護婦から読み取ったのだろう。
私はラルトスの頭をなでる。

スリーパー「うん。……警戒しておこうか」

そうだ。
このポケモンセンターは私が知るポケモンセンターと違う。
それに、人間は何をするか分からない。
あの男のように……
警戒しておいて損はないだろう。
15 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 12:14:59.59 ID:DlfBqOps0
ジョーイ「う、動かないでねー。ちょっと染みるわよー」

プシュー、シューッ

スリーパー「……っ」

看護婦が私の左肩にスプレーを吹きかけると、じんわりと熱さが広がっていく。
なおラルトスは既に治療を終えられて、私の右手をきゅっと握っている。

ジョーイ「目を閉じていてね」

チーゴの実の香りのする薬も顔の左側に塗り込まれる。
良かった。
この世界でも、ポケモンセンターは優しい場所だった。
治療を終えた看護婦は、ちょっと待ってねと私たちに言って奥の部屋に入っていった。

ラルトス「おじさん……」

その時、クイクイとラルトスが私の腕を引いた。

スリーパー「なんだい?」

ラルトス「……怖がってる……」

スリーパー「大丈夫だよ」

もしかして怖いのかな、と思ってそう聞くと、ラルトスはフルフルと首を横に振った。

ラルトス「違うの」

スリーパー「……違う……?」

ラルトス「あの人……おじさんの事、怖がってる」

静まり返った部屋に、別の部屋で話すあの看護婦の声が聞こえて来た。

ジョーイ「はい……はい……ありがとうございます……では、刺激をしないように……はい……食い止めておきますので……」

なにか猛烈に嫌な予感がして、私は立ち上がった。
完全に、野性の勘というやつだった。

スリーパー「逃げるぞ……!」

ラルトス「は、はい……!」

ドアノブを捻ったのだが、カギでもかけられてたのか開かない。

スリーパー「ちょっと離れてて……はっ……!」

バキィン!

輪を振り作り出したサイコカッターでドアノブを破壊すると案の定小さくない鋭い音が響き、それに気づいた看護婦がバタバタと慌てる音がする。
私はラルトスの手を握り、そのまま外に飛び出た。

ジョーイ「あっ、待ちなさい!」

少し遅れてジョーイも出てくる。
手に長い銃のような物を持ち、明らかにこちらに照準を合わせている。

パァン!

スリーパー「ふん!」

「きゃぴっ!?」

銃口から真っすぐ飛んできた物を念動力で逸らすと、それは通りがかりのポケモンに当たってしまった。
ポケモンは何歩かフラフラと歩いた後、パタリと倒れこんでぐーぐーと寝息を立て始めた。
飛んできた物をよく見ると注射器のような形で、中の液体が自動的にポケモンに注入されていた。
麻酔銃だ……!

スリーパー「こっちだ!」

看護婦が次の弾を装填している内に、私とラルトスは身を隠せる森の中に走っていった。
16 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 12:15:47.09 ID:DlfBqOps0
ジョーイ「……逃げられた……!」

銃口を降ろし、ジョーイは汗を拭きとる。
麻酔弾を当ててしまったポケモンにカゴの実を与えてリリースしてから、ジョーイは再びセンターの受話器を手に取った。

ジョーイ「すみません、逃げられました。はい。感づかれたようで。触れずに麻酔弾の軌道を逸らしていました。タイプはエスパーのようです。……はい。変わらず色違いのラルトスを連れています。はい。ありがとうございます。では、詳しい情報は後ほどこちらに到着した際に……」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2022/09/15(木) 12:58:43.50 ID:3SJoBVXE0
これは悪ジョーイさんだわ
18 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 14:32:36.98 ID:DlfBqOps0
スリーパー「クソ、なんでだ……! ポケモンセンターは色違いも分け隔てなく受け入れるはずだろ……!? まさか、あの看護婦もラルトスを狙っていたのか……!?」

私は走りながらそう悪態をつく。

ラルトス「はぁ、はぁ……違う、おじさん……」

スリーパー「……私?」

ラルトスがなにか言いたそうだったので、一旦足を止める。

スリーパー「私が、どうかしたのか?」

ラルトス「……確かに、あの人、私を珍しそうにみていた……でも、それだけ……」

色違いは珍しく、よく人間に狙われる。
それは知っている。
ただ、ポケモンセンターには多くのポケモンが集まり、その中にはたまに色違いも混じっている。
私も治療を受けている時に1匹だけ見た事があるので、あれほど目を血走らせて捕まえようとするほどの物ではないはずだ。
では、あの看護婦は誰を狙っていたのか。
あの銃口は、どちらに向けられていたのか。

ラルトス「おじさんを……怖がってた……おじさんを、凄く警戒していた……とても、動揺してた……」

そんな、まさか。
もし私たちが何かの拍子に別の森に飛ばされて、ここがスリーパーのいない地方だったとしても、あんなに麻酔銃を持ち出すほどに私を捕まえようとするはずがない。
だってスリープもスリーパーも、十分に周知されているはずのポケモンなのだから。
では逆に、どうすればあんな態度になるのだろうか。

スリーパー「あの看護婦は私を……スリーパーを、知らなかった……?」

……バタバタバタバタバタバタバタバタ!

突然の爆音にラルトスの身体がビクッと震える。
上を見ると、木の葉の間から何台ものヘリコプターがポケモンセンターの方角に飛んで行くのが見えた。

スリーパー「ウソだろ……!?」

どうやら、人間は本気で私たちを探すつもりらしい。
19 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 14:36:57.93 ID:DlfBqOps0
ちなみにポケモン同士は話が通じていますが(種類が違くても通じる)人間とポケモンはアニポケのようにニュアンスで話しています。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/15(木) 15:58:13.04 ID:BjSexoC/O
今後登場するであろうポケモンの採用にも関わるので質問
>>1的にヒロイン枠の♀ポケはどこまでOKでどの辺りNGなのか知りたい

ポケモンは種族の幅広すぎるからこういう時のラインが人によって違うんよ
昔コイルの薄い本(R-18)とかもあったぐらいだし
21 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 16:01:05.19 ID:DlfBqOps0
ポケモンレンジャー男「匂いはどうだ、ポー」

ポチエナ「うーん、流石に知らない匂いを追跡するのは難しいぜ、ご主人」

ポケモンレンジャー男「そうか……」

そんな会話が聞こえる。
サングラスをかけたその男は私たちを探す人間の1人らしく、ポチエナがクンクンと地面に鼻を這わせている。
詳しい理由は分からないが、やはり、人間は私たちを探しているようだ。

スリーパー「(じゃあ、行くよ)」

ラルトス「(き、気を付けてくださいね……)」

スリーパー「(大丈夫)」

地上にいるラルトスとテレパシーで会話をしながら、私は木の上から人間とポケモンを見下ろす。
木の上なら感覚が敏感なポケモンにも見つかりづらく、『奇襲』も簡単だ。
私は木に足を引っかけると、曲芸のように1人と1匹の目の前にぶら下がった。

ガサッ!

ポケモンレンジャー男「なっ!?」

ポチエナ「なんだっ!?」

フォン

石の振り子を焦らずゆっくりと、一定のタイミングで振る。

フォン、フォン、フォン

ポケモンレンジャー男「……」

ポチエナ「……」

すると次第に1人と1匹の目が振り子にくぎ付けになる。
振り子の周期はそのまま、私は念を込めた言葉をつぶやいた。

スリーパー「眠れ」

ドサドサッ
22 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 16:13:40.71 ID:DlfBqOps0
>>20
ご質問ありがとうございます!
ポケモンは大体全部OKです。
一応基準は性器がありそうかどうか、イチャイチャしやすいかどうかで判断ください。
サイズとか容姿、タイプはあんまり関係なく、ポケモンのデザインは素晴らしいので、大体全部エロい目で見れます。
例えばイシツブテとかはなんか、入れたらボロボロになりそうなので無しという方向性で……
23 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/15(木) 16:15:11.24 ID:DlfBqOps0
ポケモンレンジャー男「ぐー、かー……」

ポチエナ「すぴー、すぴー……」

スリーパー「……よし」

ラルトス「おじさん、すごい……!」

スリーパー「スリーパーだからね」

私はゆっくりと地面に降りる。
夢の味見もしてみたいのだが、今はそんな事をしている時間はない。
まず、男のボールにポチエナを収納。
それから、男を人目の付かない茂みに引きずり込んだ。

ラルトス「この人を、どうするんですか……?」

スリーパー「ちょっと身ぐるみを剥がさせてもらうんだよ。この森には、もう何人もこの男のように私たちを探す人間がはびこっている。だから、変装して人間の町に逃げる事にした」

下着を残して男の服を脱がし、着る。
少しブカつくが、それが逆に隠れ蓑になりそうだ。

スリーパー「どうだ。人間に見えるか」

サングラスをかけながらラルトスにそう聞くと、ラルトスはパチパチと小さな拍手をくれた。

ラルトス「凄く見えます! ちょっと肌が黄色いですけど……」

スリーパー「まあ帽子を深く被れば大丈夫だろう。そして、最後に……」

私はボールの1つをカバンの中から取り出して、ボタンを押した。

スリーパー「ラルトス。このボールの中に入ってくれるかな」

ラルトス「中に、ですか……」

恐らく、私と色違いのラルトスが一緒にいるという事も人間側には漏れているだろう。
だからこのまま手をつないで連れて行くという訳にはいかない。

スリーパー「人間が作ったボールの中に入るのは抵抗感があるかもしれないから、もちろん無理にとは言わない。別のプランも考えているけれど、これが一番……」

ラルトス「……大丈夫です」

そっと、ラルトスがボールに手を添えた。

ラルトス「おじさんの言う事だから……間違いないです」

ラルトスは微笑みながら赤い光になり、ボールの中に吸い込まれていった。
……どうやら、ラルトスから私への信頼感は、人間に対する警戒心のそれよりも高いようだ。
少し、嬉しいな。

スリーパー「さて、整頓をするか」

私は男のカバンの中からポケモンの入ったボール、そして私が扱えない精密機器を取り出し、まだ寝ている男の隣に置く。

スリーパー「お、良い物があるな」

その時、カバンの底に光を反射する円盤状の物を発見した。
カバーをこじ開けて取り出すと、少し大きいが振り子の素材にピッタリの形だった。
同じくカバンに入っていた赤い色の糸を括り付けて、私はようやくしっくりくる振り子を手に入れる事が出来た。

スリーパー「じゃあ行こう」

ボールに向かってそう言うと、赤い半球越しにラルトスが微笑みを返してきた。
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/16(金) 07:09:54.55 ID:C8+xMMPoO
スリーパーさんの変装の手際が某暗殺ハゲ並みに良い
25 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/16(金) 10:38:46.24 ID:5aP5kZcz0
>>24 HITMAN!
26 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/16(金) 10:49:52.49 ID:5aP5kZcz0
私は額の汗を拭いた。

スリーパー「……ふぅ……」

ラルトス「(すごい、本当に逃げきれちゃいました……)」

私たちなんとか人間の包囲網をかいくぐり、町と町を結ぶ道路を歩いていた。
どうやら私の変装はポケモンであることを隠すのにとても有効のようだった。
何人かの人間ともすれ違ったのだが、特に不審がられる様子も無かった。
このまま歩いていけば、次の町にたどり着くだろう。

スリーパー「……まず、情報だな」

男が持っていた精密機械なら無限に情報を得ることが出来ただろうが、さすがにあれを扱える自信はない。
その時、道になにかチラシのような物が落ちている事に気づいた。
ふとそれを拾って見てみると、とても見覚えのあるポケモンの写真が印刷されていた。

スリーパー「……私たち……だな……!?」

そこには、あのポケモンセンターの診察台の上に座る私とラルトスがいた。
画角からして、天井のカメラに撮られていたのだろう。
何が書いてあるかは分からないが、人間は本気で私たちを探している。

スリーパー「……この服も早いうちに替える必要があるな」

ラルトス「(どうしてですか? さっき着替えたばかりなのに……)」

ボールの中のラルトスが、テレパシーで話しかけてくる。

スリーパー「(あの男にはなるべく長く寝るような催眠術をかけたが、それでも限界がある。他の人間が見つけるかもしれないし、そうでなくともいつか自然に目を覚ます。そうなった時、自分の服を探そうとするはずだ)」

ラルトス「(あ……だから、新しい服が必要なんですね……)」

金はあの男がもっていた物がある。
しかしこうしてカメラに撮られてしまっている以上、カメラに写る前に次の服を調達しなくては。

スリーパー「(……そろそろ日が沈んできたな。一度寝る場所を探して、野宿の準備をしよう)」

ラルトス「(はい……!)」

そうして、私たちは火事が起きてから初めての夜を迎えた。
27 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/16(金) 11:32:21.90 ID:5aP5kZcz0
カチャカチャカチャ
……プシューッ

ラルトス「うっ……変なにおいです……」

スリーパー「ポケモンを退けるための物だからね。……私にもキツイな」

私は人間の荷物からスプレー缶を出し、寝床にする木の周りに撒いた。
ポケモンを退ける匂いを発するものらしく、独特なにおいが鼻をつく。

スリーパー「我慢するしかないよ……さ、寝ようか」

私が先に木に登り、ラルトスに手を伸ばして引き上げる。
太い枝に寝転ぶと、ラルトスが私の首回りの毛を枕に、私の上にうつ伏せになる。

ラルトス「……おじさんの毛、もふもふ……」

スリーパー「……それならよかった」

ラルトスは私の毛を揉んだり、押したりして、しばらくの間触感を確かめた。

ラルトス「……あたたかい、です……すぴー……」

突然電池が切れてしまったかのように、ラルトスが落ちた。
高い寝息を立てながら、小さな胸を上下させる色違いのラルトス。

スリーパー「……私が、守らなくては……」

背中に手を乗せてみると、薄い皮ごしに背骨と肩甲骨が感じられる。
弱い、儚い、命だ……
守れるのは私しかいないんだ……
私しか……
28 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/16(金) 11:33:01.79 ID:5aP5kZcz0
ラルトス「……ん……んんぅ……」

木漏れ日の朝日が眩しくて、ラルトスは葉のベッドで目を覚ました。
背伸びをすると、カサカサと葉が鳴った。

ラルトス「あれ……おじさん……?」

よくよく辺りを見てみると、スリーパーがいない。
その事実に気づいて、とても怖くなる。

ラルトス「おじさん。……おじさん? ……おじさん……!」

もしかして、スリーパーは自分を置いてどこかに行ってしまったのではないのだろうか。
ラルトスは力も弱いし、色違いで目立つ。
だから、足手まといになる自分は置いて行かれてしまったのではないか、とラルトスは考えた。

ラルトス「おじさん……おじさぁん……!」

ラルトスはそれがただただ悲しくて、涙が溢れて止まらなかった。

ラルトス「あぁあ……ああああぁぁぁ〜……!」

スリーパー「ただいま……ってラルトス!? 大丈夫か、なにかあったのか!?」

口を開けて大泣きをしていると、朝の体操を終えて来たスリーパーが心配の言葉をかける。

ラルトス「おじさぁん……ああぁあぁあぁ〜……!」

スリーパー「おう……」

そして、スリーパーに抱き着いて、安心から更に泣きはらす。

スリーパー「……大丈夫だ。私はいなくならないから。大丈夫だから……」

ラルトス「あぁあぁぁぁ〜……!」
29 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/16(金) 16:53:03.15 ID:5aP5kZcz0
しゃく、しゃく

ラルトス「……おいしい、です……」

スリーパー「それはよかった」

スリーパーの採ってきた甘いモモンのみを食べながら、ラルトスは赤くなった目をこする。

ラルトス「おじさん、さっきは何をしていたんですか……?」

スリーパー「うん? 食べれるものを探しにと、朝の運動だよ。おじさんも、もう若くはないからね。朝動くとその日動きやすくなるんだ」

もうあまり上がらない腕を回しながら、スリーパーはそう答える。

ラルトス「そうなんですか……ごくん。……ごちそうさまでした。ありがとうございます」

スリーパーの採ってきた甘いモモンのみを飲み込んで、ラルトスがお礼を言う。

スリーパー「いいよいいよ」

食べ終わってほわほやと笑顔になっていたラルトスだったが、はっと何かに気づいてスリーパーの方を見る。

ラルトス「おじさんは、食べないんですか……?」

スリーパー「……おじさんはもう食べたから」

じっ、とラルトスがスリーパーの顔を覗き込む。
思わずスリーパーは目を逸らした。

ラルトス「嘘……分かるんですよ……?」

そう言えば、感情を読み取られるんだったな……

スリーパー「……ごめん……きのみはその1つしか見つからなくて……」

私が正直にそう言うと、ラルトスが不機嫌そうに頬を膨らませた。

ラルトス「……次同じことしたら、おこりますよ……」

スリーパー「でも、私よりも君が食べた方が……」

ラルトス「……半分こ、です」

私はその膨らんだ頬の圧に負けてしまい、苦笑いをしながら頷くしかなかった。
30 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 11:19:31.08 ID:X6tvAJh90
スリーパー「……じゃあ、入れるね」

ラルトス「はい……!」

カチッ、シュプゥン(ポケモンをボールにしまった音)

ボールのボタンを押すと、ラルトスが赤い光になってボールに収まった。
もうボールには慣れたらしく、ボールの中でも余裕そうだ。
ちなみにラルトスから聞いたのだが、ボールの中はとても快適のようだ。
振動はほとんど無いし、寝る場所もなにから全て揃っているらしい。
そう聞けて安心だった。
私は、人間の服に袖を通して、襟を正した。

スリーパー「さて、目指すは次の町。手に入れるべきは新しい服」

ラルトス「(行きましょう……!)」

私は襟を正して、次の町に向けて道路を歩き出した。
31 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 11:20:32.50 ID:X6tvAJh90
短パン小僧「そこのおじさん!」

スリーパー「……!」

虫網を持った少年が、突然話しかけて来た。

短パン小僧「いま目があったな! 目と目が合ったらポケモン勝負だ!」

スリーパー「……」

私は手を左右に振ってそれを断る。

短パン小僧「あちょ、そりゃねぇよぉ。なあおじさんもモンスターボール持ってるじゃないか。戦ってくれよぉ」

ブンブン

短パン小僧「ちぇー、つまんねぇ奴だなー……」

……もうこうして凌ぐのも、何人目だろうか。
私はただ道路を歩いているだけなのに、人間はどうしてこうポケモン同士を戦わせようとするんだろうか。
もうしばらく歩いていると、今度はバイクに乗ったガラの悪い男とスキンヘッドの2人組が道を塞いでいた。

ようちえんじ「うぇ〜ん! ドンちゃぁん! わたしの500円がぁ〜!」

ドンメル「メルゥ……」

バイクやろう「へへへへ! 弱い奴から金を巻き上げるのは楽しいのぉ、弟者」

スキンヘッド「そうじゃのぉ、兄者」

……どうやら、あの2人組はようちえんじとポケモンバトルをして500円を巻き上げた所らしい。
ようちえんじはドンメルを抱えて泣きながら私の横を通り過ぎていった。
弱い物虐めだなんて、趣味が悪い奴らだ……

バイクやろう「待つんじゃあ、あんさん」

スキンヘッド「お主、いかにもワシらと関わりたくなさそうじゃのぉ」

スリーパー「……」

目を合わせないように横をすり抜けようとしたら、引き止められてしまった。
急いでるんで、という手振りをしたのだが、どうやら2人は私を逃がす気はないようだ。

バイクやろう「そうはいかんけんのぉ」

スキンヘッド「ポケモンを持っていないのなら通したが、モンスターボールを持っておるからのぉ。ワシらは金を置いて行ってもらわないと、気が済まんからのぉ」

ため息をつきながら財布を開けようとすると、2人組が首を振る。

バイクやろう「ああ違う違う。ワシらは金が欲しいのではない」

スキンヘッド「戦って勝ち、その上で金を巻き上げたいのじゃからの」

ああ、本当に面倒な人間に当たってしまった。
走って逃げる事も考えたが、この道路ではすぐにバイクに追いつかれてしまうだろう。
どうしようか悩んでいたその時、ラルトスがボールの中から話しかけてきた。

ラルトス「(おじさん……私を、出してください)」

スリーパー「(ラルトス……?)」

どう見ても無理に作った笑顔を向けながら、ラルトスは言う。

ラルトス「(痛いのくらい我慢しますから……)」

そう。
確かに、それは理論的には最適解だ。
ラルトスを戦いの場に出して、負けて、おとなしくお金を払う。
そうすればここは通れるだろうし、これ以上のこの2人とのもめごとは避けられるだろう。
だが……

ラルトス「(おじさん、私は、大丈夫、ですから……)」
32 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 11:21:21.42 ID:X6tvAJh90
ラルトスを戦いに
出す or 出さない
↓1
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2022/09/20(火) 11:27:34.42 ID:74z4zefC0
出さない
34 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 16:13:33.98 ID:X6tvAJh90
……ダメだ

スリーパー「(ラルトス)」

ラルトス「(……はい)」

スリーパー「(安心してね。なにも心配はいらないから)」

私はポケットから振り子を取り出す。

ラルトス「(……? おじさん、何を……)」

私は辺りを見回し、他に人間がいないか確認した。

バイクやろう「ふん。そんなにポケモンが大事なら通らなきゃ良いんじゃ」

スキンヘッド「帰れ帰れ」

スリーパー「そうはいかないんだ。ここを通らないと、命が危ないからね」

バイクやろう「……え? 今なんて?」

スキンヘッド「ポケモンの、鳴き声……?」

私はその2人の目の前に振り子を差し出した。
35 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 16:14:08.18 ID:X6tvAJh90
フォン

バイクやろう「……」

スキンヘッド「……」

フォン、フォン、フォン、フォン

2人の目の焦点が合わなくなってきたので、念を込めた言葉をつぶやく。

スリーパー「そのままゆっくりと、茂みの中に歩いて行け」

私の言葉の通りに2人は歩いて行く。

スリーパー「どの服にするか……そのシャツと、ズボンを寄越してくれ」

男たちからなるべく地味な、印象に残らない服を受け取り、代わりに私が今着ている服を着せる。

スリーパー「君たちは日常に戻る。服は捨てられていたので、拾って着た。そして私には会っていない、知らない」

時間もあるので、少し複雑で深い催眠を刷り込むためにゆっくり、じっくり振り子を振る。
本当は森で出会ったあの男にもしっかり催眠をかけたかったのだが、いかんせんあの状況ではかけている間に見つかってしまう可能性が高かった。

スリーパー「……よし。行っていい」

催眠をかけ終えた私が2人の背中を押すと、フラフラと道の真ん中に歩いて行ってハッと意識を取り戻した。

バイクやろう「……? なんか……あったかのう……?」

スキンヘッド「さぁ……?」

ちゃんと催眠がかかった事を確認し、私は満足して頷いた。

ラルトス「(……あの、おじさん……)」

スリーパー「なんだい?」

ラルトス「(……なんで、私を出さなかったんですか……? 私が戦えば、すぐに終わったのに……)」

たしかに、ラルトスを戦わせればリスクを負う必要も無かっただろう。
催眠は完全ではない。
特に複雑な催眠は普通の催眠に比べて解けやすくなり、最悪の場合様々な情報が人間側に漏れ出る可能性がある。
だから、なるべく複雑な催眠はしたくなかった。
私はラルトスをボールから出した。

ラルトス「……もしかして、私が、足手まといだから……」

俯きながらそう言うラルトスを、そっと抱き寄せる。

ラルトス「……っ!」

スリーパー「……あのね、ラルトス。今の私は、君の事がなによりも大切なんだ」

つい昨日出会ったのに、いつの間にか私はラルトスを家族のように大切に思うようになっていた。
スリーパーとしての本能かもしれないけれど、それでもいい。
腕の中のラルトスはとても細くて、小さくて、儚く思えた。

スリーパー「そんな君を、君の為でも傷つけたくない」

ラルトス「……おじさん……」

ラルトスも私の背に手を回してきた。
背中をさすって、トントンして、安心させてあげる。

スリーパー「……もう誰にも傷つけさせない。安心してほしい」

ラルトス「……はい……」
36 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 16:38:22.41 ID:X6tvAJh90
それからもなるべく他のトレーナーを避けて蛇行しながら歩いた結果、町にたどり着く前に日は沈んでしまった。

スリーパー「今日はこの洞窟で寝ようか」

ラルトス「はい……!」

洞窟の入口に虫よけスプレーを撒いて、硬い地面に寝袋を敷く。
その中に入ってみたらやはり背中が痛い。

ラルトス「あの……失礼、します……」

スリーパー「うん」

ラルトスが控えめに寝袋の中に入ってきて、昨夜と同じように私の首回りの毛を枕にする。

ラルトス「……おじさん、温かいです……」

スリーパー「うん。ゆっくり、眠りなさい……」

ほんの少し念を込めてそう呟くと、ラルトスはまぶたを重くしてそのまま寝てしまった。

スリーパー「……ふぅ……」

子供が出来るとこんな感じなのだろうか。
何と言うか、心が凄く温かくなる。
もちろん下心ではなく、庇護欲や母性が刺激されるのだ。

ラルトス「すぴー……くかー……」

スリーパー「……」

その時、私はふと思いついた。
ラルトスの夢はどんな物だろうと。
もし悪い夢を見ていたのなら食べてしまおうと思いながら、私はラルトスの夢を覗いてみた。
37 : ◆rIel.EK3Cs [saga]:2022/09/20(火) 16:40:45.83 ID:X6tvAJh90
夢クイタラン『ぎゃおー!』

夢ラルトス『きゃあー!』

ラルトスの夢の中では、真っ赤な巨大なクイタランが炎を吐いて辺り一帯を燃やしていた。
これは……悪夢だな。
恐らく、あの時の記憶がトラウマとして夢に現れているのだろう。
ラルトスがこれ以上苦しまないように食べてしまおうと思った時、突然大きな銀色の円盤のような物が炎とクイタランを切り裂いた。

スリーパー「なんだ……?」

突然辺りの景色が花畑のような物になり、パカラッ、パカラッと蹄の音が夢の中に響きわたる。

夢ラルトス『ああ、来てくれたんですね!』

夢スリーパー『大丈夫かいお姫様』

いやいや

夢ラルトス『私の王子様!』

いやいやいやいやいやいや

そこには、ギャロップに乗ったやけにスラッとした私の姿があった。
やけにジャラジャラとした装飾を着けていて、右手には大きな振り子をぶら下げている。
いつの間にか、ラルトスもお姫様のようなドレスに身を包んでいる。

夢スリーパー『さあ、手を取って。私の後ろに』

夢ラルトス『はい……!』

夢スリーパー『あの朝日に向かって走りだそう!』

夢ラルトス『はい!』

パカラッ、パカラッ、パカラッ、パカラッ……

……え?
…………え?
………………んん?

……いや、ラルトスがお姫様なのはまだ分かる。
自身を何かに投影するのは夢でよくある事だ。
……私が王子様?
そんな歳じゃない……
問題は、ラルトスが私の事を王子様だと思っていることだ。
お姫様と王子様の関係性と言えば、つまりは結婚する相手という訳で……

いや、そんなんじゃないはずだ。
私がラルトスの恋愛対象のはずがない。
何か、別の解釈があるはず……

リンゴーン、リンゴーン、リンゴーン

夢スリーパー『ラルトス、君は私の一番大切な物だ。これからも守らせてほしい』

夢ラルトス『……! ……よろこんで……♡』

あっ。
結婚した。

……いや。
……うん。
……あの。

……これから、ラルトスとどう接すれば良いんだ……。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/20(火) 18:51:06.62 ID:QOeopUdDo
これがテラスタルスリーパーですか
39 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2022/09/21(水) 02:30:00.06 ID:HOBlcSCI0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/09/21(水) 09:41:52.88 ID:tEbmxBteO
ラルトス感情感じ取れるからスリーパーの対応の変化にも目敏く気づきそう
ぶっちゃけエロが無くてもハーレムが無くてもただただ二人には幸せを掴んでほしい
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/10/12(水) 22:49:11.05 ID:9yKNYO9FO
良さげなのに止まっちゃったの本当に惜しい
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/10/13(木) 13:55:08.65 ID:RPkUcqHYO
いい感じだったのに、残念だ
43 : ◆G2aNwiKou2 [saga]:2022/11/29(火) 15:50:13.83 ID:m9hc/jC10
※トリ忘れてしまいました。NEWトリです


夜の森の中を、5人ほどの小隊が進む。

ジョーイ「……足跡発見。図鑑に読み込ませてみます」

ジョーイは土の足跡に懐中電灯の光を当てながら、図鑑をかざす。
画面に沢山のポケモンの足跡が入れ代わり立ち代わりに表示された後、『データがありません』というテキストが大きく表示された。

エリートトレーナー男「……どうだ」

ジョーイ「……どの足跡にも不合致。例のポケモンはこちらに向かった模様」

エリートトレーナー男「やはりそうか。おい、気を引き締めて行くぞ」

隊員たち「「「はい!」」」

小隊は麻酔銃を構え直し、足跡の向いた方向に歩みを進めた。

ジョーイ「……何年振りかしら、こうしてこの服に身を包むのは」

自身のミリタリースーツを撫でながら、ジョーイはそう呟く。

エリートトレーナー男「……20年ぶりぐらいじゃないか? ……いって!」

そう言ったエリートトレーナーの脚を、ジョーイは思い切り踏みつけた。

ジョーイ「レディの独り言に横槍は厳禁よ」

エリートトレーナー男「クソッ……! おい……本気で踏みやがったな……!」

男は悪態を突きながら、ジョーイの後ろについて行った。
44 : ◆G2aNwiKou2 [saga]:2022/11/29(火) 15:50:59.25 ID:m9hc/jC10
ポッポー、ポッポー

ラルトス「ふぁあぁぁ……あ、おはようございます、おじさん……」

翌朝私が食料探しから戻ってくると、何も知らないラルトスが可愛い欠伸と共に起き上がってきた。

スリーパー「……う、うん。おはよう。……良い夢を見れたかな?」

ラルトス「夢……あっ……あの、はい。良い夢を見れました……」

ラルトスは頬を紅く染めて、もじもじとしながら消え去りそうな声でそう答えた。
……どうやら、覚えているみたいだ。
夢を覗いた事は、言わない方が良いだろうな……

スリーパー「じゃあ行こうか」

ラルトス「はい……///」

その日、ラルトスとは少しだけギクシャクした。


ようやく道路を抜けて、私たちは噴水が綺麗な小さな町についた。

スリーパー「どうやらここは、サンスイシティと言うらしい」

ゴミ箱に捨てられていた新聞を広げ、人間達の会話に聞き耳を立てていたスリーパーがそう呟く。
スリーパーの膝の上に座って、文字が読めないなりに新聞の絵を楽しんでいたラルトスは首を傾げた。

ラルトス「サンスイ……?」

スリーパー「『水』を『散らす』と書いてサンスイだそうだ。たしかに、嫌というほど噴水が並んでいる。……カビとか大丈夫なのだろうか」

ココガラA「ガラッ」

ココガラB「ココカァー」

地面から噴き出る水で、ココガラの群れが行水をしていた。
それを見て、ラルトスはどこかウズウズとしているように見えた。

スリーパー「……遊んでみるかい?」

ラルトス「えっ! ……えーっとぉ……は、はい……」

スリーパー「行ってきなさい。私は、ここで見ているから」

私がそう言うと、ラルトスは私の膝から降りて、私の手をきゅっと握った。

ラルトス「……おじさんも、いっしょに……」

もう水で遊ぶなんて歳じゃないんだけどなぁ……
私はパキパキ言う腰を持ち上げて、しばしラルトスと一緒に涼しい時間を過ごした。
吹き上がる水の中で踊るようにはしゃぐラルトスは、本当に……本当に可愛かった。
うーん、誘拐してしまいたい。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/11/29(火) 19:25:45.20 ID:craQey1AO
お帰り
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2022/11/29(火) 20:43:25.87 ID:Lgr1bZaa0
待ってたぜ!
>>1、よく戻ってきてくれた!
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/11/30(水) 08:47:18.28 ID:KezPIpStO
無事だったんかい!
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2022/11/30(水) 09:03:53.04 ID:LlP2+IFyO
そういやパルデアではこの二匹共演したんだよな……
49 : ◆G2aNwiKou2 [saga]:2022/11/30(水) 11:15:58.30 ID:2N4NF7Ir0
人間の金を使い、宿に泊まる。
この町のアピールポイントなのか、部屋の中にもチョロチョロと水路が通っていて少し鬱陶しい。
まあ、ラルトスが喜んでいたので文句は無いが。

スリーパー「……はぁ」

人間のベッドに寝転がり、私はため息をつく。

ラルトス「どうしました……?」

スリーパー「いや、これからどうしようかなって……結局まだここがどこかも分からないし、なぜか追われているし……。ここも良い町ではあるけれど、明日には動く必要がある」

先ほど読んだ新聞には、例のポケモンセンターで撮られたスリーパーとラルトスの写真が載っていた。
こんなところにまで、もう追手の手が迫って来ているようだ。

スリーパー「……これから一生逃げ続けるのは、おじさんの身体にはちょっと堪えるなあって……」

ラルトス「……もし逃げる必要が無くなったら、おじさんはどうしたいですか?」

スリーパー「そうだねぇ……前みたいに静かな森で、静かに暮らしたいね。もちろん、ラルトスと」

私がそう答えると、ラルトスは頬に手を当てていやんいやんと首を振る。
ラルトスのリアクション結構大きいから、おじさん心を読めるタイプのエスパータイプじゃないのにラルトスの感情が透けて見えるよ。

ラルトス「……私は、おじさんと一緒なら、どこでも」

スリーパー「げはっ!?」

その言葉に、思わず飲んでいたおいしい水を吹き出す。
すごいカウンターを喰らってしまった。
あれ、君ってそんなにさらけ出すような子だったの。

ラルトス「だって、今の私にはおじさんしかいないので。……いい、ですよね……?」

目の前の可愛い少女を誘引しようと伸びる左手を、右手で押さえつける。

スリーパー「……いいよ。どこへでも連れて行ってあげよう。まずは、追われる事のない場所まで」

ポケモンに襲われる危険のない、室内の寝床。
安心感が違うのか、ラルトスは私の上に乗るといつも以上にすぐに寝てしまった。

スリーパー「……」

また夢を覗くのは失礼だろうか。
いや、覗いても気づかれなければ心配はないはずだ。
ラルトスに感情を悟られないように平常心を保つ必要こそあるが……それよりも昨日の夢の事もあり、気になって気になって仕方がなかった。
もし今日もラルトスの夢の中に私が出ているのなら、今日の私はどんな見た目で出ているのだろうか。
私は少しワクワクしながら、ラルトスの夢を覗いた。
50 : ◆G2aNwiKou2 [saga]:2022/11/30(水) 11:16:43.24 ID:2N4NF7Ir0
イメージのはっきりとしていない柔らかく温かい空間。
そこにラルトスと私が寄り添うように立っていた。
ラルトスの腕の中には、おくるみに包まれた小さな私……スリーパーがラルトスを見上げていた。

夢ラルトス『パパに似て、かわいいねぇ……♡』

夢の子スリーパーA『すりぃぱぁ〜』

夢スリーパー『ママのおめめにそっくりだ』

夢の子スリーパーB『すりぱぁ〜』

いつの間にかに、ラルトスは4人の小さなスリーパーを抱えていた。
……いや、多分私の子はスリーパーじゃなくてスリープになるとおもう……ってそういう問題じゃなくて。

私はラルトスの夢を覗くのを止め、覗くんじゃなかった、と頭を抱えた。
さあ、どうしようか。
幼いからか、まだ明瞭な描写はされていない。
だが、ラルトスはどうやら私との子を望んでいるようで……

……もう犯してしまってもいいんじゃないか?……
……ラルトスも望んでいる、私もまた望んでいる……
……なにも問題はないじゃないか……?

そう黒い本能が甘く囁く。
……いや、まだ、手を出すわけにはいかない、とそれを押さえつける。
いや、『まだ』もダメだ。
年が離れすぎているし、ラルトスのつがいにはもっと若くて強い、ドラゴンタイプのようなオスがなるべきだ。
強いオスに、ラルトスを守って貰わなければいけないんだ。
そのために私は力不足だし、時が経てば年上の私の方が先に逝ってしまう。
私は、ラルトスのつがいにはふさわしくない。

ラルトス「すぅ……すぅ……」

スリーパー「……」

私はラルトスの頭をなでる。

スリーパー「……君だけでも、どうか幸せになってくれよ……」
51 : ◆G2aNwiKou2 [saga]:2022/12/03(土) 09:46:33.03 ID:xHMoJz7J0
スリーパー「……ん……?」

まだ空も暗い明け方。
私は目が覚めた。
歳を取り朝早く起きる事も増えてきたが、なにかがおかしい。
嫌な違和感を感じる。
胸の上に乗るラルトスを起こさないようにゆっくりと起き上がってから、五感と念力を研ぎ澄ませる。
ホーホーすら鳴いていない、静かすぎる明け方。
本能がマズいと警告を鳴らしている。

ラルトス「んぅ……? ……ふぁぁ……おじさん……? どうか、しましたか……」

スリーパー(……ラルトス。口を閉じて、舌を噛まないようにしなさい)

ラルトス(……! は、はい……)

私のテレパシーに、ラルトスが「はむっ」と口を閉じた。
そして、しばらく静かにしていたその時だった。

ゴースト「……」

ラルトス(ひっ……!?)

ゴーストが音もなく壁から顔を出してきて、私と目が合った。

ゴースト「あっ、やべっ」

そして、そのまま引っ込んでいった。
次の瞬間、私はラルトスを抱きしめて跳び起きた。

スリーパー(逃げるぞ!)

ラルトス(は、はいっ!?)
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