【安価・コンマ】エロモンスターダンジョンクエスト・3

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699 : ◆WEXKq961xY [saga]:2025/03/23(日) 21:21:36.96 ID:Ltv+5y0kO


 あばら家の裏から、雑木林を分け入り、山の中へ。薄く残された足跡と、ソンの匂いを犬の嗅覚で感じ取り、ひたすら後を追う。
 結局、どれだけ身体を重ねようと、どれだけ好意を示そうと、彼女には届かなかったというのか。長年連れ添った犬を失って、心残りが無くなったと言うのか。…俺のことは、心残りじゃなかったのか。



 山の頂上近くまで来た。犬の体で歩き続け、犬の嗅覚で嗅ぎ続けたせいで、意識が曖昧になってきた。しっかりしろ。俺は人間だ。人間のまま、ソンを…女房を、連れ戻すんだ。
 この辺りで、足跡が乱れている。どうやら、先に進むか迷ったようだ。一箇所をぐるぐる回ったような跡があって、やがて近くの藪の中に続いていくのを見つけた。



 藪の中で、見つけた。



「…」



 真っ黒な体毛の狼犬が、丸まって眠っている。人間に戻り、声をかけようとしたその時、藪の向こうから一匹の野良犬が這い出てきた。犬の視界には、その後ろ足の間にぶら下がるものがはっきりと見えた。

「…」パチ

 狼犬が、薄く目を開ける。そうして、のそのそと近寄ってくる雄犬を認めると、長い溜息を吐き…ゆっくりと、腰を上げ、その犬の方へ尻を向け

「ウオオオオッッ!!!」

 次の瞬間、俺はその野良犬に向かって突進し、強烈な頭突きを喰らわせた。

「!?」

 吹っ飛ばされたそいつは、すぐに起き上がると、俺の方を一瞥し…威嚇すらせず、牙を剥いて襲いかかってきた。
 舐めやがって。俺は噛みつきを躱すと、再び頭突きを見舞った。身体の上に乗り上げ、前足で踏みつけ、爪を立てた。
 その足に、そいつが噛みついてきた。振り払おうとしても、離れない…

「おい、よせ!」

 頭上から、女の声がする。俺は口を開け、そいつの鼻先に牙を突き立てた。
 怯んだような声。鼻水と、臭い血の味。

「もういい、もういいから…”

 敵は一旦距離を取ると、再び突進してきた。俺は迷わず牙を剥き、突っ込んできた下顎に、思い切り噛みついた。

”ああっ…そんなことをしたら…”

 変な音がする。だが構わない。俺のつがいを横取りしようとした、この不届き者を懲らしめる!

「ああ、痛い、痛い!」

「諦めろ! 俺の、つがいだ…!」

「悪かった、離してくれ…」

 懇願するそいつから口を離すと、そいつは下顎からぼたぼたと血を流しながら、ふらふらと去っていった。
700 : ◆WEXKq961xY [saga]:2025/03/23(日) 21:54:34.66 ID:Ltv+5y0kO
 どうだ。つがいを守ったぞ。振り向いた俺は、先程の雌犬がいないことに気付いた。代わりに、青白い肌をした人間が立って、こちらを見ている。

”…カツラギ?”

 人間が、音を立てる。何かを伝えようとしているのだろうが、あいにく俺には、何も…

”カツラギ…分かるか? …小僧!”

 人間は、黒くて薄っぺらい毛皮を脱ぎ捨てると、俺の目の前で腹を出して寝転がった。

”来い! 来てくれ…まだ、間に合うかも…”

「…?」

 何をしているんだ? 食われたいのか?
 怪訝な目で見ていると、そいつはゆっくりと起き上がり…真っ赤な目から、涙を流し始めた。

”ああ…そうか、『成って』しまったか…”

 何を言っているんだ? 理由もわからず見上げていると、人間はがっくりと膝を突き、俺の首に前足を巻き付け、声を上げて叫んだ。

”おお、おお…わたしを恨め…もう一人で生きていけると、お前を置き去りにしたのに…お前はここまで追ってきて…わたしより、先に行ってしまった…!”

 よく分からない。分からないが…何だか、懐かしい感じ…懐かしい、温もりを感じる…

”いや…もはや、悔やむことは無い。…わたしも、『成』ろう”

 次の瞬間、そこにいたのは、先程の黒い、美しい雌の狼犬。
 何だ、お前だったのか。人間の姿で泣いていたお前が、俺のつがいだったのか。

「寂しかったろう。愛しいひと」

「ああ。ひとりにしやがって」

「もう、離れることはない。…さあ、夫婦になろう」

 狼犬が、こちらに尻を向ける。俺は迷わずその腰によじ登り、彼女の中に挿し込んだ。

「ああっ♡ もはや、戻ることはない…共に、獣として生きよう」

「改まって、何を言うんだ? お前は、俺のつがいだ。俺の子を産むんだ」

「ああ、産もう♡ 何人でも産もう♡ お前とわたしの仔で、この山を埋め尽くそう…♡」

「それはいい考えだ! よし、そうと決まれば子種を出すぞ…孕めよ!」

「ああ、ああ…♡♡♡」





701 : ◆WEXKq961xY [saga]:2025/03/23(日) 22:18:51.54 ID:Ltv+5y0kO


カツラギ「…ん」パチ

 目を覚ますと、いつもの寝室。クララの庵を建て替えて作った、俺たちの家。
 隣に目を向けると、エリーゼが寝息を立てている。昨夜は彼女と寝たのだった。だから、あんな夢を見たのか…

「こうなってたら良かったって、今でも思うかい?」

カツラギ「うおっ!? …何だ、あんたか」

 目の前に、半透明の人影が浮かんでいる。それは、かつて水晶林の奥で出会った、エリーゼのかつての師。

カツラギ「とっくに成仏したのかと思ってたぜ」

魔女「あたしもさ。だけど、一度『成っ』ちまうと、簡単には逝けないみたいだねぇ」

カツラギ「…」

 『成る』、という言葉に顔を顰めてから、俺は言った。

カツラギ「…俺は、今が一番幸せだ」

魔女「ソン・クゥのことを、愛していなかったのかい?」

カツラギ「愛してたさ。…獣から獣に変身する術を、あれくらい早く覚えていたら…あんなに早く、師匠が人間を捨てようとしていたら…俺は、迷わず後を追ってただろうよ」

 俺は、溜息を吐いた。

カツラギ「だけど、俺には才能が無くてな。実際に俺がその術を覚えたのは、そこから10年後だ。その間に、俺は師匠以外の世界を知った。師匠以外の女も抱いた。…だから、違えなかった」

魔女「そうかい。…じゃあもし、魂まで獣に成り果てた奴を、元に戻す術ができたら?」

カツラギ「馬鹿言え。師匠がナメクジになりやがったのは、もう何年も前だ。とっくに寿命か、どっかで干からびただろうよ」

魔女「そうさねえ…」

 魔女は意味深に相槌を打った。

カツラギ「分かったら、さっさとどっか行け。『俺の』弟子が起きるだろ」

魔女「あいあい、分かったよ、じゃあな…」スゥ…

 魔女の姿が消えていく。
702 : ◆WEXKq961xY [saga]:2025/03/23(日) 22:50:42.82 ID:Ltv+5y0kO
エリーゼ「ん…せんせい…?」モゾ

カツラギ「! 悪い、起こしたか」

エリーゼ「誰かと、話をされていたのですか…?」

 枕元の眼鏡を探しながら、エリーゼが尋ねる。その手を掴んで、俺は彼女の身体を抱き寄せた。

エリーゼ「ん…っ♡」ギュ

カツラギ「我が弟子よ…」

 背中に腕を回し、抱き着いてきたエリーゼに、問いかける。

カツラギ「獣から獣への変身すら身に着けた、我が弟子よ。…人間の身体を、捨てたいと思うことは無いか?」

エリーゼ「…」

 物心ついてからしばらくは、師匠が俺の世界の全てだった。だけど、獣身術の心髄を学ぶのにかけた時間で、それ以外の世界を知った。だから、あの時俺は、師匠よりも人間でいることを選んだ。だが、エリーゼはどうだ? 俺が苦労して身につけた術すら、あっさり会得した彼女は、何を失ってでも人間でい続けるに足る理由を、この世界に見つけることができただろうか?

エリーゼ「…わたしは、今が一番幸せです」ギュッ

カツラギ「…」

エリーゼ「みんながいて、教え子たちがいて、先生がいて…こうして、先生に抱いていただいて。…もし、先生が人間を捨てたいと仰るなら」

カツラギ「!」

 彼女の言葉に、どきりとした。俺は無意識に、師匠と同じことを考えていた…?

エリーゼ「全力で、引き止めます。どんな手を尽くしても…人間でいたいって思えるように。だから」

エリーゼ「…っ、お願い、わたしを…捨てないで…っ」ポロポロ

カツラギ「…エリーゼ」

 俺は、涙ぐむエリーゼの顔を近づけると、唇を合わせた。

エリーゼ「ん…♡」

カツラギ「…っは。俺はどこにも行かねえよ。そもそも、今何人の親父やってると思ってる」

エリーゼ「そうですよね。…今夜もう一人、増えますからね♡」ギュ

カツラギ「言ったな?」ガバッ

エリーゼ「きゃっ♡ …良いですよ。何回でも、朝まででも、人間の身体が一番だって、教えてあげます…♡」
703 : ◆WEXKq961xY [saga]:2025/03/23(日) 22:53:07.08 ID:Ltv+5y0kO
『もしも』おしまい
704 : ◆WEXKq961xY [saga]:2025/03/23(日) 22:56:52.34 ID:Ltv+5y0kO
どんな状況でも、どんな姿に成り果てても「今が一番幸せ」と言ってのけるのが、カツラギという男の本質かなと書きながら思った
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2025/03/23(日) 23:31:19.64 ID:N6vTA4oOo
おお…
掘り下げがすごい
ビター〜バッド寄りの結びを書かせたら本当上手いな>>1
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2025/03/24(月) 01:14:07.15 ID:B7C3PFmUO

いい主人公とサブキャラだったよなカツラギと嫁ズ
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [age]:2026/05/22(金) 22:29:09.93 ID:+8yH4bkBo
『ただいま→DBDするしDADもやる』
▽デッドバイデイライト
→Steam/ダンジョン脱出ハクスラMMO
ダーク&ダーカー×すもも(DTNFM)
(20:37〜)

https://twitch.tv/kato_junichi0817
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