【R-18G】幼女災害【安価】

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503 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/02/29(木) 22:04:41.31 ID:w0hhYEFlo
葵「…!?」

 一個70kgのダンベルを、軽々と上下する紫苑。普段は長袖の制服に隠れているが、彼女の腕は中々に太い。呆然と見ていると、紫苑は更にダンベルを持ったままスクワットを始めた。

紫苑「ふっ、ふっ、ふっ」グッ グッ グッ

葵「す、凄いですね…」

紫苑「時間とっ、情熱を、かければ…誰でも、できます、よっ」グッ グッ グッ

 葵は、右手のダンベルを恐る恐る上下に動かした。このくらいなら骨がまた折れる心配はないのだろうが、どうしても怖いものは怖い。

紫苑「いきなり、重量をかけるより、まずは自重で、始めてはいかが、ですか?」グッ グッ グッ

葵「でも、自重じゃ負荷にならないって崩礼隊長が」

紫苑「筋量は増えませんが、骨の回復を促すには丁度いい刺激になります」

葵「へえ…ば、幕僚長も、骨折したことが?」

紫苑「ええ、何度も」

 にこやかに頷く紫苑。きっと、何年もの間、壮絶な戦いや修羅場を切り抜けてきたのだろう…

葵「じゃあ…治ったら、またティルフィング…えっと、コトブキ博士から貰った銃、撃てるようになる…?」

紫苑「ええ、なりますよ。…その、ティル…フィング? というのは、確か毒島ユカリの銃を参考に作られたとか」

葵「はい。毒島は平気で連射してたけど、あたしは一発撃っただけで…」

 細くなった右腕を持ち上げて見せる。

紫苑「それはきっと、撃ち方の問題でしょう。銃は不得手ですが、リボルバー、それも特大のものとなると、独特の反動とその逃し方があるのだと思います」

 そう言うと紫苑は、おもむろにダンベルを戻し、葵に背を向けた。

紫苑「では、行きましょうか」

葵「えっ? 行くって、どこへ」

紫苑「決まっているでしょう。そんな珍しい銃を平気で撃てるのは、わたしや貴女の知る限り、1人だけ」

葵「…ま、まさか」

 紫苑は振り返り、悪戯っぽく微笑んだ。

紫苑「ティルなんとかの撃ち方、毒島ユカリに教わりに行きましょう」
504 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/02/29(木) 22:06:06.44 ID:w0hhYEFlo
ねます
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/02/29(木) 22:47:26.18 ID:2ftnsS12o
おつー
506 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/01(金) 23:20:05.26 ID:hML4VydNo


朱音「…ねえ、何で…?」



アリス「…」ググッ



朱音「何で、またわたしをいじめるの? 『絵里』…」

 首相官邸。いつもの広い部屋で、朱音は問いかけた。その目の前には、トレイターの首魁、東郷アリス。彼女は床に片膝と両手を突き、歯を食いしばっていた。朱音の、ほぼ全力に近い『君臨』の力に、何のギフトも持たない彼女は、ただ筋力で抗っていた。

朱音「あの時…わたしに謝ったよね。ちゃんと仲直り、したよね? どうして…」

アリス「…から」



絵里「…『友達』、だから…止めに、来たんだ。こんな、こと…!!」



カツン カツン カツン

「ぐぅ…ん…はっ」パチ

「…うわーっ!? ばっ、幕僚長!? ごっ、ご苦労様であります!」バッ

紫苑「ご苦労」スタスタ

葵「どうも…」スタスタ

 うたた寝していた看守の前を素通りし、2人は廊下を奥へと進んだ。
 薄暗い廊下には、太い鉄格子の嵌った牢屋が、4つ並んでいた。その中に、それぞれトレイターのメンバーが1人ずつ閉じ込められていた。一番手前に見知らぬピンク髪、その次に毒島ユカリ、それからリュイア、そして一番奥に、これまた見知らぬ赤髪の幼女が入っている。

春華「ひっ、ま、また来た…!」ガタガタ

 ピンク髪の幼女が悲鳴を上げる。戦闘要員ではなさそうだから、これが桜木春華だろう。一番奥の赤髪が、大下ロルということだ。
 2番目の牢の前で立ち止まると、壁際で座り込んでいたユカリが顔を上げた。

ユカリ「…んァ?」

 ユカリの目が、紫苑の姿を捉えた瞬間、その身体が震え始めた。

ユカリ「な…何の用…?」ガタガタ

葵「え…?」

 見たことのない、ユカリの怯える姿に、葵は面食らった。紫苑は何でもない様子で、葵に囁いた。

紫苑「少し『尋問』しただけで、あんなに怖がることはないのに」

葵「…」

 紫苑の尋問がどのようなものか…『演算』でも予想できない。しかし、ただ1つ確かなのは…尋問を通して、ユカリは紫苑を『死合いを楽しむ相手』ではなく、『一方的に命を奪いに来る死神』だと理解したのだろう…

紫苑「少し、お話を聞かせていただきたいと思いまして」

ユカリ「何…? は、話すことなんて、無いと思うけどォ…」
507 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/01(金) 23:57:32.00 ID:hML4VydNo
紫苑「後学のために、貴女の銃の撃ち方を教えていただきたいのですよ」

ユカリ「銃の…?」

 ユカリが、きょとんとする。紫苑は、牢の入り口に放置されていた、ユカリの特大リボルバー拳銃を拾い上げた。奪われても撃てないように、銃身が捻じ曲げられている。

紫苑「ほら、これですよこれ。スミス&ウェッソンM500を改造した、この危険なピストルです」

ユカリ「…」

葵「…正確には、それを元にコトブキ博士が作った、これ」スッ

 葵が、手元にティルフィングを『再現』して見せた。

ユカリ「…知って、どうするの?」

紫苑「もちろん、我が陸上自衛隊の戦力増強ですよ」

ユカリ「使っておいて言うのも何だけど…いらなくなァい? こんなバカでかいの」

春華「そっ、そうだよぉ! うちら捕まったし、もう幼女同士で戦うとか、あり得ないでしょ!」

紫苑「さあ、どうでしょう」

葵「…?」

 意味深な紫苑の言い方に、葵は首を傾げた。

紫苑「とにかく。歩兵全員に指導しろとは言いません。こちらにおられる、篠崎葵陸曹長だけに教えていただきたい」

ユカリ「…」

ロル「…そいつ、例の『ツイン・ギフト』?」

 牢屋の奥で、ロルが不意に尋ねた。

ユカリ「そう」

ロル「教えたげたら?」

春華「!? なっ、何言ってんの!?」

ロル「だって、トレイターが散々探したツイン・ギフトだよ? ユカリはつまんないって言ってたけど…多分、化けるよ。そしたら、面白いことになる」

ユカリ「…でもォ」
508 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/02(土) 00:20:11.40 ID:c71pk7omo
ロル「良いから行ってよ。…今のユカリ、つまんない」

ユカリ「!」

ロル「ビビってるユカリ、つまんない。早くどっか行って」

春華「ビビって…ビビるに決まってるでしょ!? あんなことされて…」

ユカリ「…分かったわよ。いい加減、外の空気も吸いたいしィ」

紫苑「決まりですね」

 紫苑は頷いた。

紫苑「では、毒島をしばらくお借りしますよ。…逃げようなどとは、考えないことです」

ユカリ「はァい…」

ロル「…もう戻ってこないでよ」

509 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/02(土) 21:46:39.37 ID:c71pk7omo


 人目を避けるように、基地の中を進むと、不意に地下へ伸びる会談が現れた。紫苑に先導されるまま、階段を降りると、そこは緑色の網で仕切られて、人型の板の並んだ広間であった。

紫苑「人間の自衛隊が使用していた頃の、射撃訓練場です。独断で捕虜を釈放したと思われてはいけませんので、奥まったところで失礼」

ユカリ「…で、アンタの銃は?」

葵「…」

 葵は、ちらりと紫苑の方を伺った。

紫苑「大丈夫。妙な真似をすれば、すぐに取り押さえますから」

葵「…はい」スッ

 恐る恐る、ティルフィングをユカリに差し出す。ユカリは受け取ると、銃身やグリップ、シリンダーを観察し…おもむろに、人型の標的に銃口を向けた。

ユカリ「口径は、アタシのよりちょっと大きい。ジョイントの精度が高いから、シリンダーギャップが小さい分、反動も大きい。ただ、そのお陰で反動の予測もしやすくてェ…」

ズガァァンッ

 ユカリは衝撃に合わせて、腕を動かした。

ユカリ「っ、こ、これなら…」

 粉微塵になった標的。ユカリは震える息を吐いた。

葵「ど、どうやったの?」

ユカリ「腕で反動を逃がすのよォ? やってなかった?」

葵「やってはいたけど…」チャキ

 葵は、いつものコルトSAAを構え、別の標的に向けた。

葵「」バンッ バンッ

ユカリ「ううん。力で抑え込んでるわねェ。幼女の腕力で、それくらいなら耐えられるけど、コイツは無理よ」

 ティルフィングを構え、葵の撃った標的を狙い撃つ。

ユカリ「」ズガァァンッ

ユカリ「っ、に、逃しても、キツ…」ゾクゾクッ
510 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/02(土) 22:46:46.66 ID:c71pk7omo
 ユカリの目に、怪しい光が宿ってきた。口角が釣り上がり、唇によだれが垂れたのをみて、紫苑はその手からティルフィングを奪い取った。

紫苑「もう結構。…篠崎陸曹長、覚えましたか」

葵「はい」コク

紫苑「良いですね。では牢に戻りましょうか」



安価下コンマ ゾロ目で…
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 22:49:06.45 ID:j2EDDl3Mo
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/02(土) 22:51:44.55 ID:wBhfKPnnO
おしい
513 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/03(日) 10:12:10.91 ID:jIMOBNNCo
ガチャン

ロル「…なに、もう戻ってきたの」

ユカリ「ごめんねェ…」ギラギラ

ロル「! …許す♡」

リュイア「…Generale. リュイアたち、いつまでここにいる?」

紫苑「…」

 リュイアの問いかけに、紫苑は黙って彼女の顔を見つめた。

紫苑「…それは、総理の判断によります」

春華「ま、ままままさか…しょ、しょけ…」

紫苑「『幼女は、皆仲良くすること』…総理の定めた、新日本国憲法第一条です。国防のためとは言え、わたしたちが独断で、幼女を殺害することは許されていません」

葵「え、そうなの?」

春華「よ、よかった〜…」

紫苑「…ですが、貴女がたはそれを破っています」

春華「っ!」

ユカリ「…」

ロル「…けっ」

 紫苑は、肩を竦めた。

紫苑「ですので、その辺りも踏まえて、総理のご判断を仰ぐことになります」

 そう言うと紫苑は、牢に背を向けた。

紫苑「では。…行きましょう、篠崎陸曹長」スタスタ

葵「…! はいっ」タッタッタッ…



朱音「…これが…『この人』が…わたしが、この国を作った理由」

絵里「! こ、この人…」

 白い花で飾り付けられた、小さな部屋。その中央に安置されたガラスの棺に横たわる人物を見て、絵里が息を呑んだ。

朱音「絵里は会ったことあるよね。…わたしの、『お父さん』」

514 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/03(日) 11:14:41.67 ID:jIMOBNNCo


 病室に戻ると、崩礼が待っていた。

崩礼「よう、探したぞ」

葵「ジムに行ってた」

崩礼「そうか」

 崩礼は、葵の右手を見て言った。

崩礼「ギプスが外れたようだな」

葵「うん」

崩礼「リハビリもあるだろうが、少しずつ訓練にも復帰してもらうぞ」

葵「! うん、分かった」

 葵は頷いた。それから、崩礼の制服に付いている階級章を見て気づいた。

葵「…昇進したの?」

崩礼「良く気づいたな。この前の作戦で、偉い奴らの避難に貢献したとかで、3等陸尉になった。朝倉は3等陸曹、上羽と乙坂は陸士長だ」

葵「それは…おめでと」

 その前に離脱した葵は、当然昇格も無い。複雑な思いで祝福すると、崩礼は肩を叩いた。

崩礼「タイミングの問題だよ。それ以上でもそれ以下でもない」

葵「…うん」

崩礼「そんなことよりお前、幕僚長と何やら楽しいことしてるみたいじゃねえか。ええ?」

葵「!」

 葵はどきりとした。幕僚長に連れられて基地を歩くところを、誰かに見られたのだろうか。

崩礼「…気を付けろよ」

葵「えっ?」

崩礼「普通科の佐山なんかはべた褒めしてやがるが、俺から見れば幕僚長は一筋縄じゃいかねえ…どうにも、何か抱え込んでる気がする」

葵「信用できないってこと…?」

崩礼「そんな極端な話じゃねえよ。ただ、何も考えずにほいほい従う前に、本当にそいつの言う通りにして良いのか、考えたほうが良いってことだ。…ま、それは誰に対してもそうか」

葵「崩礼隊長が相手でも?」

崩礼「お前、元々俺に対して、そこまで従順じゃないだろ」

葵「…ふ」

 葵は、思わず吹き出した。少し、心が軽くなった気がした。



安価下1〜3でコンマ最大 崩礼との話題、行動など
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 11:50:38.45 ID:+kA3s/QYO
崩礼から見たティルフィングの使い方のコツを教えて貰う
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 13:41:00.85 ID:b4oXJv35o
風呂に誘われた
517 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/03(日) 17:05:04.44 ID:jIMOBNNCo
崩礼「さて、と…」

 崩礼は、葵に背を向け…

崩礼「ギプスも外れたことだし、風呂に入るか」

葵「行ってらっしゃい」

崩礼「っ、お、お前も来いよ」

葵「えー…」

 この間まで、清拭やシャワーばかりで、久しぶりに湯船に浸かりたい気持ちはある。だが、崩礼がついてくるのは…



安価下 どうする?
@行く

A行かない(後で行く)

B行かない(行かない)

Cその他要記述
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 17:11:33.51 ID:lz7lQTDJo
しゃーねーなーな雰囲気で1
519 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/03(日) 17:41:39.93 ID:jIMOBNNCo


 数分後。葵と崩礼は、大浴場の脱衣所にいた。崩礼はさっさと制服を脱ぎ、葵よりも小柄で、痩せ細った裸体を晒しながら言った。

崩礼「脱がないのか?」

葵「ぬ、脱ぐけど…」

 崩礼の視線を気にしながら、葵は病衣と、白い下着を脱いで裸になった。裸を見られるくらい、何も思わなかったはずだが、先日、看護官に触れられた感触を嫌でも思い出してしまい、お股の割れ目が疼いてしまう。

崩礼「じゃ、行こうぜ」

葵「う、うん…」

 タオルを腰に当てながら、葵は浴室に入った。



安価下コンマ
01〜30 混んでる
31〜70 他にもいる
71〜90 がらんとしている
91〜00 貸し切り
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 17:42:21.04 ID:zZrw5LCG0
521 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/03(日) 21:11:15.61 ID:jIMOBNNCo
 訓練が終わった頃のようで、浴室は幼女たちで混み合っていた。どうにか空いているシャワーを探すと、崩礼と離れて座った。崩礼はかけ湯して、先に湯船に入っていった。
 ひとまず、良からぬことを考えていそうな人物と離れたことに安堵すると、葵は身体を洗い始めた。

葵「…」ゴシゴシ

 いつものように右手で身体を洗うと、あっという間に疲れてしまった。見比べると、やはり右だけ細い。

葵「…元に、戻るかな」

 1ヶ月はリハビリが必要と言われたが、崩礼の口ぶりだともっと早く戻れそうだ。それに、訓練だってリハビリになるはず。早く、8班に戻らないと。



 翌朝。起床ラッパの音で目を覚ますと、葵はいそいそと病衣を脱ぎ、制服に着替えてみた。まだ復帰の時期は聞いていないが、いつでも戻れるように生活習慣を戻していかなければ…



安価下 どうする?
@外出

Aジムでトレーニング

B寝る

Cその他要記述
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 21:52:02.98 ID:Krky+sypO
2
523 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/03(日) 22:19:30.48 ID:jIMOBNNCo
くぎる
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/03(日) 22:25:46.13 ID:b4oXJv35o
おつー
525 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/04(月) 22:23:36.06 ID:RX/zpu+7o


 せっかく着替えた制服を体操服に替え、葵はジムにやってきた。穴掘り前に、取り敢えず人並みの動きができるように戻しておかないと。昨日、幕僚長から勧められたように、自重で腕立て伏せからやってみよう。



安価下コンマ
01    サイレン
02〜30 こんなに重かった…?
31〜60 頑張った
61〜90 ラセン隊長だ
91〜00 幕僚長オリジナルの…?
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/04(月) 22:27:30.31 ID:rMicpNI2o
527 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/04(月) 22:36:46.25 ID:RX/zpu+7o


葵「んーっ、しょっ、うんーっ、しょっ…」ググッ

 一度折れて縮んだ腕には、幼女の体重すら苦しかった。どうにか回数をこなすと、葵はマットの上に倒れ込んだ。

葵「ふぅ…もう、無理…」

 左手を突いてどうにか立ち上がると、不意に目の前にプロテインシェイカーが差し出された。

由依「お疲れ様、葵ちゃん」

葵「由依…真姫も」

真姫「何だか、久しぶりだね…」

 由依の手からシェイカーを受け取ると、葵は中身を飲み干した。

葵「んぐ…っは。ごちそうさま」

由依「リハビリ、頑張ってるみたいだね」

葵「ん」コクン

由依「崩礼隊長から伝言だよ。…明日の訓練から、葵も参加するようにって」

葵「! 分かった」

 葵は頷いた。

真姫「明日、いつもの訓練所で待ってるね」



葵「ふぅ…」

 額の汗を拭い、レッグプレスから降りた。訓練への復帰を受けて、いつも以上に張り切ってしまった。ぱんぱんに張った太ももを擦りながら、葵は自分でも不思議な気持ちになった。
 元々、葵は活発な方では無かった。家にこもって、ロボットアニメを見ているのが好きだった。そんな彼女が、バリバリ体育会系の自衛隊に飛び込み、訓練に精を出しているのは、どういうわけだろう…



安価下1〜3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/04(月) 22:48:04.57 ID:7zpdX2ri0
風呂で数分間寝落ちしていたのを偶然来た初に起こされる
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/04(月) 22:58:37.85 ID:a8BVNBWoO
お風呂で数人の幼女に声をかけられて一緒に出ていく初を目撃
530 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/04(月) 23:06:11.94 ID:RX/zpu+7o


葵「ふぅ…」ポチャン…

 湯船に浸かり、ほっと一息。痛めつけた筋肉が、じんじんと温かい。若者は、翌日筋肉痛になる。もっと大人になると、数日経って筋肉痛になるらしい。
 幼女は、その日のうちに筋肉痛になる。

葵「ふぁ…ん?」

 両腕と両脚に痛みが広がるのを感じながら欠伸をすると、不意に湯船の向こうに知った顔があるのに気付いた。

葵「初…」

 声を掛けようとして、二人の間に邪魔が入った。



「乙坂、ここにいたの」「遅いじゃーん」「ねえ、今日約束してたよね?」

初「あ、あっ…」ザバッ



 湯船から引き上げられる初。それでも、特に抵抗するでもなく、初は3人の幼女と共に浴室を出ていった。

葵「…?」



安価下 どうする?
@追いかける

A追いかけない

Bその他要記述
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/04(月) 23:35:27.92 ID:ift7zqdrO
1
532 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/05(火) 21:54:40.85 ID:gYi+OvpNo


 初と3人の幼女を、後ろからこっそり追いかける葵。
 辿り着いたのは、初の部屋であった。

葵「初って、同室いなかったよね…?」

 3人は当然のようにドアを開け、初を連れて部屋に入ると、ドアを閉めた。すぐに、ガチャンと鍵を掛ける音がした。

葵「…」

 そっと、ドアに耳を当てる。



「…ねえ、玉置隊長とはヤったの?」「してない、です…」「嘘つけ。篠崎にフラれたから、代わりに乙坂を隊に入れたんでしょ」「ほ、ほんとにしてないですって…」



葵「…」

 葵は、眉をひそめた。崩礼と、何をするのだろう? それに、何故自分の名前が出てくるのだ…?
 聞き耳を立てていると、1人が言った。



「お喋りはもう良いでしょ。…ほら、脱いでよ」「は、はい…」



葵「!?」



「10分で交代ね」「ねえー、早く舐めてよ」「じゃ、あたしは舐める」

「はい…ん、れろっ…あ、あっ♡」



葵「…?????」

 初たちは、一体何をシているんだ…?



安価下 どうする?
@もう少し聞く

Aノックしてみる

B突入

Cその他要記述
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/05(火) 22:35:44.88 ID:90QcQ9n0o
3
534 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/07(木) 22:06:12.59 ID:wypWWRgJo
葵「…」グッ

 葵は、ドアノブを握り…捻って、ドアを開けた。葵は、『鍵のかかっていない』このドアを見たことがある。だから、それを『再現』したのだ。

葵「何してるの!」ジャキッ



「…うわっ!?」「なっ、何よアンタ!?」

 そこにいたのは、全裸で仰向けになった初と、その顔に跨る下半身裸の幼女と、初の脚の間に顔を埋める幼女と、向かいのベッドに腰掛ける幼女……



葵「…うっ、初から離れて!」ジャキッ

 混乱しながらも、葵は両手にリボルバーを構えて叫んだ。

「うるさいわね、アンタ、何なのよ!」

「…あっ、もしかして、お前が篠崎」

「…ふーん、そういうこと」

 向かいのベッドに座っていた幼女が、にやにやしながら言った。

「乙坂、玉置隊長じゃなくて、篠崎とヤってたんだ」

葵「ヤってたって、何を」

 右手がきつくなり、葵は左手でリボルバーを向けた。

「とぼけちゃって。ほら、今やってること」

「れろ…っ♡」

初「あっ、あぅ…♡」ビクッ

 裸の割れ目を舌で舐められ、竦み上がる初。

葵「!? はっ…離れてって、言ってるでしょ!」

「何でさ? こんなに、気持ちよさそうにしてるのに…」
535 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/07(木) 22:17:57.52 ID:wypWWRgJo
 股間を舐めていた幼女が、初の割れ目を指で広げた。そうして、小さなピンク色の穴に指を突っ込むと、奥から透明な汁を掻き出した。

初「ひゃぁ…あぁっ…♡」プルプル

「ちょっと、舌がお留守よ!」グイッ

初「はぶっ…れろ、ぇろ…っ♡」

「あぁんっ…もっとぉ…♡」ゾクゾクッ

葵「う、初…?」

「…ねっ」

 傍観していた幼女が、葵の肩に腕を回した。反射的に振り払うと、彼女は言った。

「うちら、こうして『仲良く』してるだけだから…篠崎だって、玉置隊長とヤったんでしょ?」

葵「や、やってない!」

 事ここに至り、葵はようやく、崩礼の言っていた『営み』の意味を理解した。崩礼は、拒まれると潔く諦めて、最近は言い寄ることも無いが、もう少し聞き分けが悪ければ、今頃葵は…

葵「…で、でもっ、初、1人で3人を」

「えー? だって、乙坂が良いって言ったんでしょ?」

「そうそう…んっ♡」「じゅるるるっ、じゅっ♡」

初「あっ、あっ♡ あむ、んんぅ…♡ んっ、あぁっ…♡」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
@見逃して帰る

A全員ぶっ飛ばす

B混ざる

Cその他要記述
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/07(木) 22:36:18.92 ID:pJjykMaUO
4演算を使いつつ初とこの場を抜け出す
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/07(木) 22:38:31.40 ID:k5eh6b04o
3
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/07(木) 22:47:05.35 ID:ej7lmYiLo
2
539 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/08(金) 22:08:27.45 ID:658loP7Ro
葵「…」ツカツカ ギシッ

「おっ、篠崎も混ざる?」

初「あ、あおいちゃ…」

 葵は、初の横たわるベッドによじ登ると…

葵「」ガシッ

「い゛っ!?」

 初の顔に跨る幼女の後頭部を左手で掴み、そのまま前に引き倒した。

「いだっ!?」「あ痛っ!?」ゴッ

 足元側に陣取っていた幼女と、頭を打ち合わせる。悶絶する2人の間から初の身体を引き抜くと、そのまま左肩に担ぎ上げた。

初「あっ…」

葵「初は、あたしの部下。連れて帰る」ダッ

 初の身体に、パジャマを『再現』しながら、葵は部屋を飛び出した。



 宣言通り葵は、自分の部屋に初を連れてきた。幸い、葵も同室がいない。話を聞くには丁度いい。

葵「…いつも、あんなことしてるの?」

初「…い、いつも、っていうか、時々…」

葵「何で、あんなことになってるの?」

 すると初は、気まずそうに俯いた。

初「…その…ここって、お、女の子が好きな人が、何人かいて…でも、相手がいなくて…一回、頼まれて、よく分からなかったけど、やったら…なんか、増えて」

葵「嫌なら、嫌って言わないと」

初「…」コクン

 小さく頷く初。それから、前髪の隙間から窺うように、葵を見た。

初「…あ、葵ちゃんって…結局」

葵「結局?」

初「く…崩礼隊長とは…」

葵「断ったよ」キッパリ

初「や、やっぱりそうだったんだ…でも、ど、どうやって?」

葵「えっと…その時は、未汐が同室だったから、一緒に…」

初「! そっか、朝倉さんが…」

葵「後、襲ってきた時に頭に数発」ジャキッ
540 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/08(金) 22:34:29.43 ID:658loP7Ro
初「撃ったの!? 隊長を!?」

葵「それだけじゃ、諦めなかったけど…誘ってくるの全部無視したら、諦めた」

 初は、呆然としながら言った。

初「…あ、葵ちゃんは…強いです」

葵「! …」

 葵は、複雑な顔をした。

葵「…でも…それだけじゃ、何の役にも…今回の作戦も、初たちの方が活躍したし」

初「ういは、言われた通りにしただけです…葵ちゃんみたいに、自分の力じゃ何もできないです」

葵「できるとか、できないとかじゃなくて」

 脳裏に浮かぶ、毒島ユカリの姿。トンネルで。地下道で。牢屋で。射撃場で。この幼女は、幾度となく葵の目の前に現れ、その力の差を、嫌でも見せつけてくる…

葵「やらなきゃいけない…って時が、時々来るんだよ。あたしだって、勝てるから戦ってるんじゃない…目の前に敵が現れて、戦わないといけないから、戦ってる。…で、結局負ける」

初「でも、あのテロリスト相手じゃ仕方ないで」

葵「あたしには『しょうがない』って言ってもいいけど。でも、あたしは…幸実閣下に『自分が負けたのはしょうがない』なんて、絶対言えないかも」

初「! …」

 葵たちが取り逃した結果、トレイターは首相官邸前に集結した。幸実はそれを1人で制圧したが、帰投した彼女の右足の骨は、粉々に砕かれていた。治っても、杖無しで歩くことは難しいかも知れないと言われたらしく、葵もいた院内には重苦しい空気が漂っていた。

葵「だから…精一杯、強くならなきゃ。ガッタイザーだって、何回も負けて、その度に轟タイザは修行して、パワーアップしてきたんだから」

初「…はい!」

葵「というわけで、明日から訓練に戻るから。よろしくね」

初「よろしくお願いします!」

 頷く初。気が付くともう、日付が変わろうとしていた。



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
@寝る

Aその他要記述
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/08(金) 22:52:23.51 ID:WTT0l50hO
1
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/08(金) 22:52:51.18 ID:xovjpi8b0
1
543 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/09(土) 06:38:44.84 ID:oX/o+MPPo
葵「じゃあ、寝る。そこのベッド空いてるから、使っていいよ」

初「はい…」ゴソゴソ

葵「おやすみ」

初「おやすみなさい…」



安価下コンマ ゾロ目で…
安価下コンマ 01で…
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/09(土) 07:57:26.26 ID:h4vBrE1zo
えい
545 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/09(土) 22:19:38.68 ID:BagKNGoEo


カツン カツン カツン

春華「…!! なっ、何っ、今度は何!?」ガクガクガク

 春華の問いかけに…暗がりの中から紫苑は、無表情に言った。

紫苑「総理からの命令です。貴女がたを、官邸へ護送するようにと」

ロル「あそこに送って、何する気?」

紫苑「さあ?」

リュイア「…Aliceは? 無事?」

紫苑「ええ、おそらく。今回の命令も、東郷アリス…正しくは八島絵里の希望で、と」

ユカリ「ふゥん…?」

春華「リーダーが? なら、よ、良かったぁ…」

紫苑「ですが」

 突然、紫苑が声を張り上げた。暗闇の中から、光の下へまろびでた彼女の手には、一振りの日本刀。

紫苑「この国を脅かし、罪のない幼女たちを殺傷した貴女がたを、総理…たかだか1人の幼女の一存で見逃すのは、『わたしの』気が済みません。よって」スゥ…

 ゆっくりと、鞘から刀を抜く。



紫苑「___ここで、貴女がたには死んでいただきます」

546 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/11(月) 21:11:05.02 ID:7K/JNYe2o


崩礼「見ての通り、今日から篠崎にも訓練に復帰してもらう」

葵「よろしくお願いします」ペコリ

由依「おかえりー!」

 手を振る由依。しかし崩礼に睨まれ、さっと気をつけに戻った。

崩礼「実際のところ、篠崎はまだリハビリ期間中だ。できる限り付いてこい」

葵「サーイエッサー。…大丈夫。ついて行く」

崩礼「…」

 崩礼は、少し目を伏せ…言った。

崩礼「…お前を早く訓練に戻したのには、訳がある」

葵「訳?」

崩礼「テロリストが捕まったことで、『拡大作戦』が再開する可能性が高いと判断した」

葵「『拡大作戦』…?」

崩礼「ざっくり説明すると、人間の支配域に攻め込み、幼女の支配域を広げる作戦だ。つまり、これからの相手は人間の軍になる」

葵「…」

崩礼「この作戦は、総理の肝いりだ。テロリストが活発化してからしばらく停滞していたが、そいつらが捕まった以上、すぐにでも総理は作戦を再開したがるだろう…というのが俺の予想だ」

由依「陸自だけじゃなく、空自も参加するんだよ」

崩礼「我々塹壕班は、作戦のキーになる。よって、さっさとお前を戻し、リハビリがてら訓練をさせることにした。…異論は?」

葵「…何でもいい。早く、戻りたかった」

 崩礼は、ふっと微笑んだ。

崩礼「なら、いい」

 それから、再び険しい目つきに戻る。

崩礼「…話は以上! まずは装備の点検だ!」





安価下コンマ
01〜10 訓練が終わった
11〜90 周りが騒がしい
91〜00 背後に
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 21:12:34.02 ID:/k6gB4wIo
えい
548 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/11(月) 21:20:58.86 ID:7K/JNYe2o


崩礼「本日の訓練は以上!」

葵「いったぁ…」ズキズキ

 おなじみの穴掘り訓練で、右腕が痛い。他の隊員と比べても、まだまだペースが遅い。

崩礼「…どうだ。調子は戻りそうか」

葵「戻す…」ズキズキ

 呻くように応える葵。そこへ、初が近寄ってきた。

初「葵ちゃん、お疲れ様です…」

葵「ん、お疲れ様」

初「ご飯、食べませんか…?」

 初は、おずおずと尋ねてきた。



安価下 どうする?
@初と夕食

A他の隊員と夕食(相手を併記)

B1人で夕食

Cその他要記述
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 21:29:04.83 ID:CF4wRL5E0
1
550 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/11(月) 21:30:24.69 ID:7K/JNYe2o
葵「うん、行こ」スタスタ

初「! はい」トコトコ

 歩き出した葵の後ろを、初が嬉しそうに付いてきた。



安価下1〜3でコンマ最大 食事、入浴中の出来事
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 22:16:01.60 ID:/CCGUhZYo
あれから例の奴らに迫られたりしてないか聞く
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/11(月) 23:35:00.79 ID:CF4wRL5E0
興味本位と前置きした上で初は幼女同士の肉体関係に抵抗はないのかと問う
553 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/12(火) 20:56:36.37 ID:FSYAj4tMo


初「」モグモグ

葵「」モグモグ

葵「…ねえ」

 箸を止め、ふと葵が口を開いた。

初「ん…はい、何です…?」

葵「本当に…ただの興味なんだけど…」

 葵は、辺りを見回し…小声で尋ねた。

葵「…その、初は、嫌じゃないの?」

初「?」

葵「女の子同士って…」

初「! …」



安価下コンマ
01〜30 嫌だけど…
31〜60 実はそこまで…
61〜90 実は自分も…
91〜00 …葵ちゃん
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/12(火) 21:17:35.62 ID:vzbutjRe0
555 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/12(火) 21:37:08.88 ID:FSYAj4tMo
初「…///」

 すると、初は顔を赤くして俯いた。

葵「初…?」

初「えっと、その…ほ、ほんとは、ういも『そう』で…」

葵「…!?」

 初の言わんとすることに気付き、葵は絶句した。

初「な、内緒ですよ? だから…あの子達は好き、じゃないけど…するだけなら、別に…///」

葵「そ、そうなんだ…」

 葵はしどろもどろに相槌を打つと、逃げるようにご飯を口にかき込んだ。







幸実「…」パチ

 ベッドの上で、幸実は目を覚ました。砕かれた右足が痛む。腫れが引き、手術ができるようになったことで、骨の固定が外固定のピンからプレートとスクリューに変わり、かなり身軽になった。それでも、手術の傷は痛むし、地面に右足をつけることができない。

幸実「…はぁ」ギッ

 身体を起こし、ベッドサイドに腰掛けると、柵に立てかけた松葉杖を取り上げ、立ち上がった。

幸実「よい、しょ…」ググッ

幸実「…立つのも一苦労」ハァ

 ため息を吐くと、幸実は杖を突き、病室を出た。行き先は特に無い。そもそも、こんな夜中に、怪我人が出歩くものじゃない。
 しかし、幸実は胸騒ぎを覚えていた。

556 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/12(火) 21:55:51.72 ID:FSYAj4tMo


カツン カツン カツン

幸実「ふぅ…ふぅ…」

 巨大化の反動で、幸実の身体はすっかり痩せている。しかしそれ以上に、筋力が落ちてしまった。病棟を出るだけで、幸実は辛そうに額を拭った。

幸実「ふぅ〜…」

「…あっ、閣下!」

 病棟を出たところで、巡回の兵と鉢合わせた。

「お散歩ですか?」

幸実「そんなとこ〜」

「そうでしたか。…」

 そこまで言って、兵は何か言いたげに黙り込んだ。

幸実「…な〜に?」

「あの…非常に申し上げにくいのですが」
557 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/12(火) 21:56:31.84 ID:FSYAj4tMo


「トレイターが、牢を脱走したようで…幕僚長も、見当たりません」

558 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/12(火) 22:30:58.25 ID:FSYAj4tMo
くぎる
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/12(火) 23:17:46.75 ID:erdetTZ6o
おつー
560 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/13(水) 22:27:28.44 ID:m8YIAT6no


 基地の中は、混乱の渦に包まれていた。

桜「そんな…幕僚長が…そんな…」

二三「トレイターめ…4人がかりで、幕僚長を…」



幸実「…紫苑ちゃんが、あの4人にやられたとは思わないわね〜」

ねね「分かってるわよ。皆、分かってる。分かってるけど…」

???「…認めたくないのである」

 紫苑の使っていた執務室にて。隊服に、何故かフルフェイスヘルメットで顔を隠した幼女が、重々しい声で言った。彼女は長虫 虹(ながむし こう)准陸将。機甲科長でもある、陸自のナンバー3であった。

虹「あの幕僚長が、テロリストと共に出奔したなど」

幸実「…」

 幸実は、ため息を吐いた。

幸実「そんな娘に育てた覚え、無いんだけどね〜…」

ねね「とにかく!」

 ねねは声を張り上げた。

ねね「今は、体制を立て直さないと。閣下には、また幕僚長に戻ってもらって」

虹「だが…閣下は今、足を負傷しているが」

幸実「ここで指示出しくらいはできるわ。…」

 幸実は、椅子に深く座り直した。

幸実「…紫苑ちゃんの考えは分からないけど…トレイターを率いて、テロ行為をするとは流石に思わないかな〜。それよりも、自衛隊以外で動かせる戦力を得て、何かをしようとしてるのかも」

ねね「ひどいことにならなきゃ良いけど…あ」

 ここで、ねねがふと、何か思い出したように声を上げた。

ねね「そう言えば、変な噂を聞いたんだけど…」



崩礼「…篠崎。都築科長が呼んでるぞ」

葵「科長が…?」

崩礼「この状況だ。あんまり良い用事じゃなさそうだな…俺も行こう」

葵「ん…」

 硬い表情のまま、葵は頷いた。何となく、ねねの用事は察しが付く…
561 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/13(水) 22:41:21.74 ID:m8YIAT6no


 果たして、執務室に行くとねねだけでなく、幸実や見知らぬフルフェイスヘルメットの幼女までもが、ただならぬ顔で葵と崩礼を出迎えた。

ねね「何よ、玉置ちゃんまで来たの?」

崩礼「毎度毎度、俺をすっ飛ばして篠崎ばかり呼ばれるのが、いい加減ムカつくんでな。…で?」

葵「何の用事?」

幸実「…これは、噂なんだけど〜…葵ちゃん、紫苑ちゃんと、毒島ユカリと、基地を散歩したって本当?」

葵「! …」

 やはり、それか。ちらりと崩礼の方を窺うと、彼女は怪訝な目で葵を見返した。

ねね「…玉置ちゃんがいたら話しづらいなら、出て行ってもらって」

葵「良い、です。…別に、散歩はしてません。けど」

虹「けど?」

 フルフェイスヘルメットの幼女が、首を傾げる。

葵「…訓練を、見てもらってました」

幸実「紫苑ちゃんは、時々そういう事するけど…毒島ユカリにも、訓練を?」

葵「そうじゃなくて…毒島に、教わりました」

ねね「はぁーっ!?」

 ねねが素っ頓狂な声を上げた。

ねね「テロリストに、何を教わるのよ!? そんなことしたら、あんたもテロリストじゃない!」

葵「あたしが、コトブキ博士から貰った銃は…毒島の銃を元に作られたんです。地下道での戦いで、上手く撃てなくて怪我をしたことを幕僚長に話したら、それなら元の銃の持ち主に撃ち方を教わろうと言われて…」

ねね「…」

虹「…閣下」

 幸実は、ゆっくりと頷いた。

幸実「…紫苑ちゃんは、そういう事する、かも」
562 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/14(木) 22:23:55.25 ID:NpZuanwho
葵「…」

 葵は、奇妙な脱力感を覚えていた。そうだ。紫苑は結局、誰に対してもそうなのだ。葵が特別なのではなく、単に目についた隊員に声をかけ、指導していただけなのだ…

虹「…幕僚長が、あの4人を鍛えようとしている可能性は?」

幸実「うちたち自衛隊を差し置いて、あの4人を指導するって…?」

虹「その…我々に明かせないような任務を任せるために」

ねね「そういうのを、テロ行為って言うのよ? …信じたくは無いけど、向き合わないといけないわ。幕僚長が、テロリストの仲間に」

メシャッ

 突然、幸実の座る机の天板が、音を立てて引き裂けた。

ねね「!?」ビクッ

幸実「…」ググッ

 幸実は、裂けた天板を握りしめたまま、手元をじっと凝視していた。彼女が、感情のままに机を引き裂いたのだ。

幸実「…ええ、ええ、そう、大丈夫…」プルプル

崩礼「…篠崎に、もう用はありませんな?」

幸実「」コク

崩礼「行くぞ」グイッ

葵「あっ…」

 崩礼が、葵の肩を掴んで執務室の外まで引っ張った。
 程なく、ねねと虹も執務室から出ていった。扉が閉まってから数秒経って…その向こうから、泣き叫ぶ声が、廊下まで響き渡った。
563 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/14(木) 23:16:36.24 ID:NpZuanwho


ラセン「どうもこうも、ないだろうっ」ギィッ ギィッ ギィッ

 目一杯重量を乗せたバーを上下しながら、ラセンは言った。

ラセン「体制を整え、訓練を続け、帰りを待つ、それだけだっ」ギッ ギッ ギッ

葵「でも…」

 右手でダンベルを保持しながら、葵は呟いた。

ラセン「幕僚長は、気まぐれな人だ。しょっちゅう執務室を抜け出しては、目についた下士官に稽古をつけたり、飯に誘ったりする」ギッ ギッ

葵「…」

ラセン「それならまだ良いほうだぞ。陸将だった頃は、誰彼構わず組手を挑んでは、一方的に叩きのめしてきたものだ。ワタシもやられた」

葵「それって、この前言ってた」

ラセン「だが、それでも不思議と上手くいくのは…あの方の芯に、揺るぎない『正義』が、あるからだと、ワタシは思うぞ」ギッ ギッ ギッ ギッ

葵「信じて良いのかな…」

ラセン「ああ。少なくとも、ワタシは信じるぞ」

 ラセンはラットプルダウンのマシンから降りると、葵の隣でダンベルを持ち上げた。

ラセン「だから、いつでも任務に就けるよう、鍛えておかねばな」グイッ グイッ グイッ

葵「…うん」ググッ



葵「…ふぅ」ガタッ

 ダンベルを置くと、葵はいつものようにプロテインを溶かして飲んだ。訓練と夕食の後に来たから、もう外は夜だ。風呂に入って寝よう…



安価下1〜3でコンマ最大 夜の出来事、行動
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/14(木) 23:40:46.72 ID:0exYkCbV0
自分なりに情報を整理して幕僚長の行動の理由や意図を考察してみて、行き詰まったらやめて寝る
565 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/15(金) 21:51:39.51 ID:lmYKAREZo


葵「…」ジッ

 夜。ベッドの中で、葵は考えていた。

葵「幕僚長は、何で毒島たちを連れて出ていったんだろ…?」

 紫苑は、偉い。陸自の隊員は皆、彼女を尊敬しているし、命じられれば大抵のことはするだろう。では、隊員に任せられないようなことを押し付けるために連れて行ったのかと言われると、それも違う気がする。何しろ、紫苑は強い。下手したら幼女で一番強い。幸実1人で制圧できるような戦力など、むしろ足手まといにすらなりかねない。

葵「…むぅ」

 分からない。『演算』しても、人の気持ちは分からない。つくづく、肝心な時に役に立たないギフトだ…

葵「じゃあ、逆から考えたら…」

 紫苑が、現状不満に思っていて、どうにかしたいと思っていることは?
 例えば、陸自の人手不足。人間、種付けおじさん、そしてテロリスト…空自よりも、陸自の仕事は多い。いつも人手を欲しがっていると、空自の霰准空尉は言っていた。

葵「なら、逃げずに4人を入隊させれば良いじゃん…」

 他には? 例えば…自分も、総理大臣になりたいとか。常々、紫苑は朱音総理の周りが、彼女の関係者で固められていることを語っていた。テロリストのリーダーも、『例によって』総理の関係者らしい。そんな現状を、変えたいとか。

葵「あるかも…だけど、そしたら、本当に幕僚長までテロリストになっちゃったってこと…?」

 一先ずその考えを押しやり、次に浮かんだのは…

葵「…何もかも、嫌になっちゃった…?」



安価下コンマ
01〜50 寝落ち
51〜60 眠れない…
61〜70 ノック
71〜80 ノック
81〜90 窓
91〜99 窓
   00 頭上
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/15(金) 21:55:28.52 ID:L0LrWRAzo
えいや
567 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/15(金) 21:58:34.54 ID:lmYKAREZo
葵「…」

 ベッドの中で、葵は目を開いたままじっとしていた。色々な考え…実際には、ほんの2、3個程度の考えが、ぐるぐると脳内をループする。
 眠れない…



安価下 どうする?
@無理やり寝る

A基地を散歩する

B初の部屋に行く

C崩礼の部屋に行く

Dその他要記述
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/15(金) 22:28:02.81 ID:uTvnpV8l0
2
569 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/15(金) 22:43:32.05 ID:lmYKAREZo


葵「…」ムクリ

 葵はベッドから降りると、靴を履いた。そうして、部屋を抜け出した。



安価下コンマ
01〜10 雨
11〜60 特に無い起こらない
61〜90 ラセンだ
91〜99 幸実だ
   00
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/15(金) 22:55:05.27 ID:uTvnpV8l0
571 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/15(金) 23:11:28.92 ID:lmYKAREZo


葵「…寝よ」

 歩いたら、頭が少しすっきりした。部屋に戻ると、葵はベッドに潜り込み、すぐに眠りに落ちた…







 あれから、数週間が経った。陸上自衛隊は幸実を幕僚長代理として、これまで通りの運営に努めていた。脱走したトレイターは、再び暴れることはなく、紫苑共々どこかへ息を潜めているようであった。
 元々、総理の要請で4人を官邸に移送することになっていたらしい。他の幼女では返り討ちに遭いかねないので、紫苑自ら牢に向かった訳だ。
 表向きには、紫苑はそこで4人がかりで倒され、拉致されたことになっている。

葵「…ふぁ」

 ベッドの上で、葵は欠伸をした。一人ぼっちの部屋にも、すっかり慣れた。
 今日は久々の非番だ。どう過ごそうか…



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
@外出

Aトレーニング

B二度寝

Cその他要記述
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/15(金) 23:13:58.76 ID:eFsb6Koxo
3
573 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/15(金) 23:17:52.83 ID:lmYKAREZo
ねる
安価下
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/16(土) 08:07:24.04 ID:kn05Rzqi0
1
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/16(土) 10:50:45.45 ID:fNz+PzEYo
1
576 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/16(土) 20:33:46.03 ID:JmP1CJDTo
葵「…」ドサ

 葵は、再びベッドに倒れた。今日は何もする気にならない。また寝よう…



ウー…ウー…
ジリリリリリ…

葵「!?」ガバッ

ガチャ

真姫「葵ちゃん! …あっ、いた!」

葵「何があったの?」

 部屋に飛び込んできた真姫に尋ねた。

真姫「非番の子も集まってって! そして、首相官邸に出動しなきゃ」

葵「首相官邸…?」

 嫌な予感。真姫は、青ざめた顔で言った。

真姫「トレイターと…幕僚長が、襲ってきたって」
577 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 16:44:07.17 ID:v50bQ5B5o


朱音「…」ジッ

コトブキ「ああもう…」イライラ



紫苑「…」ニコニコ



 大きな机を挟んで向かい合う、朱音と紫苑。怪訝な目を向ける朱音と、その隣で苛立つコトブキに対して、紫苑は張り付いたような笑みを浮かべていた。そして、その後ろではトレイターの4人が、突っ立ってじっと黙っていた。

コトブキ「…確かに、テロリストの4人を連れてこいとは言ったがね? どうして、こんな騒ぎになっているんだ?」

 コトブキが口を開いた。

紫苑「騒ぎに?」

コトブキ「とぼけるんじゃないよ。君がテロリストごと基地から失踪して、陸自が混乱しているじゃないか」

紫苑「混乱? わたし一人いなくとも回るよう、育ててきたつもりですが」

コトブキ「組織運営の問題じゃない。君という存在の損失による、精神的な打撃の問題だよ」

朱音「みんな、あなたを頼りにしてたよ。…もちろん、わたしも」

 ここで、始めて朱音が口を開いた。

紫苑「総理が? それは光栄です。ですが総理には、忠実なご友人がおられるではありませんか」

コトブキ「親衛隊だけで、治安維持ができるものか。君の能力は、誰もが認めている。総理は、君の忠誠心も買っていた。だが、君はそれを裏切ったのだよ」

紫苑「そうですか」

朱音「…」スクッ

 平然と応える紫苑に、朱音が椅子から立ち上がった。そして、その目が朱く…
578 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 16:59:32.42 ID:v50bQ5B5o


バンッ ザッザッザッザッ

「動くな!!」



 突然、部屋のドアが勢いよく破られ、何人もの兵がなだれ込んできた。彼女らは朱音とコトブキに背を向け、紫苑と4人のトレイターを取り囲んだ。

「っ! ば、幕僚長…」

紫苑「お勤めご苦労。ですが、突入する場所を間違ってはいませんか? 誰も、陸自に通報など」

???「わたしがしました」

 不意に、紫苑の背後から声がした。と同時に、彼女の首元にナイフの刃が現れた。それから遅れて姿を現したのは、朝倉未汐。
 紫苑は一切動じること無く言った。

紫苑「いつ出てくるか、気になっていましたよ。朝倉2等陸曹」

未汐「もう2等陸曹ではありません。それから、無駄話は終わりです」

 紫苑の首筋にナイフを押し付け、低い声で言う。

未汐「…目的は、何? 返答次第では殺すね」

紫苑「…」

 紫苑は肩を竦めると…言った。

紫苑「ちょうど聴衆も揃いましたし、お話ししましょうか」
579 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 17:55:46.23 ID:v50bQ5B5o
紫苑「まず…トレイターによるこれまでの被害を。居住地での破壊行為、5件。繁華街など、人口密集地での破壊行為、2件。幼女の負傷者、39名。死者、2名。人間の死傷者、74名。種付けおじさんの被害、計測不能」

紫苑「…少なくとも、わたしの知る人間の司法に則れば、死刑は免れない」

朱音「…そうだね」

 ここで紫苑は、4人を振り返った。

紫苑「では…何故、彼女らはトレイターを組織し、テロ行為に及んだのか」



ユカリ「…」

紫苑「毒島ユカリ。物心ついた時から、死の感覚に興味を持っていたそうです。しかし彼女の得たギフトは『繁殖』。牧場に回された彼女は、種付けおじさんに強制的に種付けされ、幼女ではなく種付けおじさんを出産したことで、そこからも不要とされた。更に、幼女の力を受け継いだことで危険視された自身の『息子たち』を、目の前で処分されたことで、遂に死に触れ…彼女は、出奔しました」



春華「はっ…はっ…」ガクガク

紫苑「桜木春華。親から虐待を受けていた彼女は、施設に保護されていました。彼女の得たギフトは『予感』。その瞬間から、彼女の人生は、降り注ぐ悪意と死の予感から逃げ続けることに全て注がれることとなりました」
580 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 18:54:01.67 ID:v50bQ5B5o
ロル「…」

紫苑「大島ロル。学校で級友からいじめられていた彼女は、相手を見返すために幼形成熟BOXに入りました。そして得たギフトは『飛蝗』。姿形の大きく変わるギフトのために、またも彼女は幼女たちからいじめられることとなりました。どの職場に行っても馴染めず、最後はテロリストとなりました」



リュイア「ねえ」

 リュイアが、不意に口を開いた。

リュイア「Aliceは、どこ?」

朱音「アリスじゃなくて、絵里。絵里は…」

紫苑「___リュイア・トラメスロ」

 紫苑が遮るように、声を張り上げた。

紫苑「両親と共に、日本に旅行に来ていた時…総理による、日本征服が始まりました」

朱音「…!」

紫苑「総理の名は『幼女は引き入れ、大人は殺せ』。それを忠実に実行した兵によって、彼女の両親は殺害されました。彼女は一人、異国の戦場を逃げ惑い…八島絵里に出会いました」

リュイア「…Alice」

紫苑「どういうわけか八島絵里は本名を隠し、『東郷アリス』と名のり、彼女と行動を共にしました。そうして、当時は理化学研究所に設置されていた幼形成熟BOXにたどり着くと、両親を殺した勢力に対抗する力を得るため、密かに幼形成熟BOXへ入りました。…2人、一緒に」

コトブキ「…ふん。予想通りのつまらない結果だったね」

 コトブキが鼻を鳴らす。八島絵里から事の顛末を聞き、彼女は既にそのことを知っていたのだ。

紫苑「両親の仇を取りたいリュイア。そして、個人的に総理に用のある絵里は、幼女の支配する国で排斥された者たちを集め、トレイターを結成した…」

 紫苑が、朱音の目をまっすぐに見据えた。

紫苑「分かりますか。トレイターの始まりは、貴女の起こした戦いなのですよ」
581 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 19:11:17.55 ID:v50bQ5B5o
未汐「だから、何」

 紫苑の首にナイフを突きつけたまま、未汐が冷ややかに言った。

未汐「不幸なら、何をしても許されるの? それなら、わたしたちの方が」

紫苑「彼女らを許せ、などとは一言も言っていません」

 紫苑は首を横に振った。

紫苑「ただ…総理、一人で彼女らの処遇を決めるのですか?」

朱音「…」

紫苑「貴女が事の発端だからではありません。トレイターの構成員たちは、過去に多くの人から傷を受け、多くの人を傷つけてきた。だから、その処遇は一人の意思で決められるものはありません。公平に…裁判で決めるべきです」

「…あ、あの、幕僚長」

 ここで、銃を持つ兵士の一人が、おずおずと声をかけた。

「つまり幕僚長は、この国でも、悪い人への罰は裁判で決めようと、そう言いたいってことですか?」

紫苑「ええ、そうです」

「それなら、どうしてこんなことしたんですか!」

 涙を浮かべながら叫ぶ。

「テロリストの牢屋をぶっ壊して、一緒にいなくなって…し、心配したんですからね!!」

紫苑「それはすみませんでした。ただ、総理の要求通りに身柄を引き渡せば、わたしの要求は通らなくなるでしょうし、かといって無視すれば、基地の皆さんにも迷惑がかかります。だから、誰が見てもわたしの独断と分かるよう、このような形になってしまいました」
582 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 20:59:59.61 ID:v50bQ5B5o
紫苑「そもそも…話を聞くまでわたしは、牢で4人を斬るつもりでした。しかし、桜木春華が命乞いに話した内容を受け、わたしはじっくりと話を聞くことを決めました。姿をくらましたのは、時間が欲しかったからです」

「幕僚長…し、信じてました…!」

朱音「…」

 一方、朱音は困惑した顔で、紫苑と4人を見つめていた。代わりに、コトブキが口を開いた。

コトブキ「…総理のギフトは『君臨』だ。総理が上に立てば、万事上手くいくのだよ」

紫苑「上手く行っていないから、トレイターが生まれたのです」

コトブキ「だが人間の統治は、それ以上の欠陥品だった。だから総理が生まれたのだ」

紫苑「それでも学ぶべきところはあるでしょう」

コトブキ「無い!」

 コトブキが叫んだ。

コトブキ「総理も私も、そこの朝倉未汐も、大人たちのせいで大切なものを失ってきた。子供だから、親に頼らざるを得ないから…だから、我々は大人から独立したんだ! それを何故、今更、大人のやり方を真似る必要がある…」

朱音「…コトブキ博士」

 ここで、ようやく朱音が言葉を発した。

朱音「未汐ちゃん。紫苑ちゃんを離して」

未汐「…うん、いいよ」スッ

 未汐がナイフを下ろし、紫苑から離れた。

朱音「…ごめんね。わたしは、そんな難しいことは分からない」

コトブキ「総理、総理は気にしなくてもいいのです。面倒なことは私が…」

朱音「でも、あなたたちがこんなことをしたのは、結局わたしのせいだったんだね。…ごめんなさい」ペコリ

コトブキ「総理! テロリストに謝る必要など」

朱音「…紫苑ちゃん。わたし、難しいことは分からないし、興味も無いの。だから、裁判がやりたいなら、好きにしていいよ」

ロル「興味、ない…?」

 不意に、ロルが呟いた。と思うや、突然床を蹴って飛び上がり、朱音めがけて棘だらけの足を振り下ろした。

紫苑「! やめ___」



朱音「…」ギンッ



ロル「っ、ぐあっ」ドシャッ

 朱音が睨んだ瞬間、ロルの身体が空中で固まり、そのまま机の上に落下した。

ロル「クソっ…クソっ、クソっ!」

 机の上に磔けられたまま、ロルが悪態をついた。

ロル「お前らはいつもそうだ! 散々好き放題やっておいて、ごめんなさいだって? そしたら、許さなきゃいけなくなるだろうが! 本当はやられた側のことなんて、クソほども興味ないくせに…」

朱音「」ギンッ

ロル「ぐっ、うぅ…」

未汐「…」カッ カッ カッ

 未汐が机の上に上がり、ロルの元へ歩み寄った。その手には、抜身のナイフ。

紫苑「___朝倉2等陸曹」

未汐「っ!?」ビクッ

 紫苑の言葉に、未汐の動きが止まった。その隙にリュイアがロルに駆け寄り、肩に触れる。『反逆』の力でロルの拘束が解け、彼女は再び立ち上がった。
583 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 22:01:39.43 ID:v50bQ5B5o
ロル「そうだ…こっちには、『反逆』がある。お前を、殺してやる…」

 その言葉に、隊員たちが一斉に銃を向けた。

「待て!」「それは駄目!」

紫苑「止めなさい! 総理を傷付けては、大義が無くなる」

ユカリ「…大義ィ?」

 不意に、ユカリが呟いた。

ユカリ「アタシたち、そんな偉そうなこと、してたっけェ?」

ロル「調子に乗らないでよ、軍人。うちらのリーダーは、アリスだけだから」

春華「そ、そうだよ…リーダーは? リーダーはどこ? 早く会わせてよ!」

朱音「絵里は…駄目」

ロル「やっぱりこいつ殺そう! ユカリ、手伝って」

朱音「絵里は、守ってるの。わたしの『お父さん』を…」







葵「…」

 首相官邸前。先日の作戦で掘り返されたコンクリートは工作科によって均され、敷地には歩兵と戦車隊が展開していた。葵たち工作科は、その後方に控えている。
 先程、先遣隊から連絡があった。中では紫苑と朱音が会談しており、少なくとも紫苑にテロを起こす意思が無いことが分かり、一先ず部隊には安堵が広がった。と思いきや、その数分後に同行していた大下ロルが総理を殺害しようとしたと通信があり、すぐさま戦車隊が前進を始めた。
 それと同時に、葵たち工作科は、総理やその他の要人たちの保護のため、官邸内へ潜入した。



安価下コンマ
01    出火
02〜20 出奔
21〜40 脱走
41〜80 捕縛
81〜99 何故?
   00 棺
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 22:07:58.28 ID:qtRz5urJo
585 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/17(日) 22:10:34.65 ID:v50bQ5B5o
ねる
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/17(日) 23:38:22.43 ID:BpRxGTxho
おつ
587 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/18(月) 22:02:30.37 ID:1+ienfsBo


ラセン「おらあっ!」ズガガガッ ボゴッ

崩礼「空いたぞ、こっちだ!」

 ラセンがこじ開けた穴から、葵たち工作7、8班の合同部隊がなだれ込んだ。



朱音「!」

コトブキ「! 総理、こっちへ!」

 コトブキが朱音を引っ張り、葵たちの方へ走ってくる。

「幕僚長! こちらへ」

紫苑「っ…毒島! 桜木! 大下! リュイア! 貴女たちも…」

ロル「…」ジャキッ

ユカリ「えいっ」ガシッ

「ぐっ!?」

 ロルの足が棘と外骨格に覆われ、ユカリは接近していた隊員からサブマシンガンを毟り取った。

「撃てーっ!」

 隊員が、一斉に4人の向けて斉射を始めた。ロルは春華を、ユカリはリュイア抱えると、弾幕の上へ高く飛び上がり、葵たちの方…朱音の目の前に降り立った。

ユカリ「大義とか、平等とか…つまんなァい!」ダダダダダダダッ

ロル「殺す! お前だけは!」ダンッ

崩礼「伏せろっ!」グイッ

コトブキ「おわーっ!?」バッ

ラセン「来い、毒島ユカリ!」

 サブマシンガンの乱射を潜り抜け、ラセンが前に進み出た。

ラセン「決着をつけてやる!」

未汐「朱音ちゃんを傷付けるのは、許さない…!」ジャキッ

ロル「殺す…お前も殺すっ!」ダンッ

ユカリ「アハハハハッ! 逢いたかった、逢いたかったァ!」ガガガガッ ガガガッ

 飛び上がるロルに、哄笑しながらサブマシンガンを撃ちまくるユカリ。春華が泣き叫んだ。

春華「駄目だってぇ! 逃げなきゃ! 逃げなきゃー!」
588 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/18(月) 22:10:06.18 ID:1+ienfsBo


「もう、やめて!!」

589 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/18(月) 22:21:58.41 ID:1+ienfsBo
 次の瞬間、その場にいた全ての幼女…正確には、リュイアを除いて、一斉にその場に倒れ伏した。



朱音「…」ドクンッ ドクンッ



 両目を見開き、周囲を見渡す朱音。その双眸は朱に染まり、頭上には鮮血を固めたような、脈打つ巨大な深紅の王冠が浮遊していた。



朱音「憲法、第一条…『幼女は、皆仲良くすること』…何で、守れないの?」



ロル「うちの周りで、それを守ってる奴なんていなかった…!」ググッ

朱音「だからって、あなたも破っちゃだめ」ズンッ

ロル「ぐっ、あ゛ぁっ!?」

リュイア「…」

 一方、『反逆』を持つリュイアだけは、朱音の『君臨』をものともせず、立っていた。

朱音「…リュイアちゃん」

リュイア「…」

 リュイアは…倒れ伏すトレイターの仲間たちに順に触れ、『君臨』から解放すると、朱音に背を向けた。

朱音「どこに行くの」

リュイア「帰る。また今度、Aliceに会いに来る」

春華「…はっ。そ、そうそう、帰ろ、帰ろう!」

ユカリ「…あーあ」

ロル「クソっ…ムカつくけど、リュイアから離れたら、またぶっ倒されるだけか…」

 4人は、部屋から出ていった。

ラセン「待て、逃げるな! 毒島!」

葵「毒島…毒島ぁーっ!!」

 葵も、思わず叫んでいた。また、ユカリに逃げられる。傷の一つも付けられずに…





590 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/20(水) 00:06:54.35 ID:82Wzt94Oo


ねね「…あたし知ってる。こういうの、『貧乏くじ』って言うのよね」

 板切れで雑に修復された袖机の前に座り、ねねはぼやいた。白い制服の階級章は…幕僚長。
 傍らで虹がなだめるように言った。

虹「仕方ない。藤島幕僚長が責任を取って辞職、戦線復帰が厳しいので富士陸将も退役…であれば、残った面々で回すしかあるまい」

ねね「長虫ちゃんがやってくれても良かったのよ?」

虹「無理だ。幕僚長は、拠点防衛に長けた者と決まっている。吾(おれ)の『サンダーピート號』は、破壊することしかできん」

ねね「はぁ〜…」

 大きなため息をつくねね。虹が尋ねた。

虹「ところで、工作科長はどうなる? 貴殿が兼ねるのか?」

ねね「まさか。ちゃんと、考えてあるわよ」

 丁度その時、部屋の扉がノックされ、1人の幼女が入ってきた。



崩礼「…失礼する」

591 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/20(水) 00:33:11.90 ID:82Wzt94Oo
 崩礼は、自分を見つめるねねと虹を見て、それから机の上に置かれたものに気付くと…おもむろに、2人に背を向けた。

崩礼「…失礼する」

ねね「ちょいちょいちょーい!」ガタッ

 ねねは立ち上がり、崩礼を机の前に引っ張った。

崩礼「よせ、離せ! 御免被る!」ジタバタ

ねね「上官命令っ! 良いから、受け取りなさい!」

 ねねが机の上から取り上げ、崩礼に押し付けたのは、工作科長と、准陸将の階級章。

崩礼「ふざけんな、硝子川か、ラセンにでもやらせりゃ良いだろ!」

ねね「隠密行動の2班長を、あんまり表に出したくはないの。鉄山ちゃんは、どっちかというと前線に置きたいし」

ねね「何より…あんたの育成能力と指揮能力を評価してのことよ」

崩礼「…」

 崩礼が、抵抗を止めた。差し出された階級章を見つめ…尋ねた。

崩礼「…こいつを受け取ったら、俺は1班に回されるのか?」

ねね「その方が面倒が少ないけど、まあ慣習は慣習よ。好きにしたら。ただ、前線に出ることは減るから、8班長は誰かに譲ってもらうわね」

崩礼「…」
592 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/20(水) 16:06:06.59 ID:82Wzt94Oo






ねね「…ぶっちゃけると、あたしは藤島幕僚長みたいに強くないし、人に指図するのも上手くないかも」

 翌朝のグラウンド。壇上でねねは、隊員を見回した。

ねね「大怪我した閣下は仕方ないけど、藤島ちゃんまで辞めることはなかったんじゃないかなーって、正直思うけど…きっと、他にやりたいことができたんだと思うわ。あの人のことだから、それはみんなのためになることだと思う。だから、あたしはあたしなりに、できることを頑張るわ。一応…『守る』ことについては、ちょっとは自信あるから」

ねね「あたしからは以上! 次、長虫陸将」

 ねねが壇を降り、代わりにフルフェイスヘルメットに黒手袋を嵌め、肌をすべて隠した幼女が上がった。

虹「機甲科長の長虫虹である。この度、陸将を拝命した。それ以外は特に変わらぬ。以上」

 次に上がったのは、茶色い髪をツインテールにした、生意気そうな顔の幼女であった。

紫初「普通科長で准陸将になった、紫藤 初(しどう うい)でーす! 幸実閣下の代わりとか、マジヤバすぎだけど…ま、なんとかなるっしょー!」

 最後に上がったのは…崩礼。

崩礼「…都築科長が幕僚長に任命され、空いた工作科長を押し付けr…もとい拝命した。ついでに准陸将になった、玉置崩礼だ。はっきり言って…ここまで挨拶した奴らに比べて、俺のギフトはしょっぱい。そもそも、この中では俺だけが、幼女から生まれた幼女だしな」

崩礼「だが、前の藤島幕僚長は、ギフトに依らない能力を重視していた。俺がここに立っているのも、あの人の考えが今でもここに息づいている証拠だろう。俺のせいでそれが無くならないように、せいぜい努力する」



由依「えっ!? わ、わたしが班長に!?」

 由依は、飛び上がらんばかりの勢いで叫んだ。彼女や、隣で驚いている真姫の手には、鳴らそうとして行き場を失ったクラッカーが握られている。訓練場に現れた崩礼に、『工作科長就任おめでとう!』と言って鳴らすはずだったのだが、その前にそれ以上のサプライズをぶつけられたのだ。

崩礼「そうだ」

由依「な、何で? 葵ちゃんじゃなくて?」

葵「…あたしは」

崩礼「出撃が重なって忘れてるだろうが、篠崎は来てからまだ日が浅い。副班長として仕事を教えていくつもりだったが、その前に俺が1班に移る羽目になった」

真姫「じゃあ…やっぱり隊長、8班じゃなくなっちゃうんですね…」

 崩礼は、ゆっくりと頷いた。それから、由依を真っ直ぐに見て言った。

崩礼「朝倉。お前は、一番長く俺の8班にいた。訓練や任務を通して、俺の考え方や、自分なりの作戦の立て方も身についていると感じている。上羽ともども、後ろに引っ込みがちだから、篠崎に越されても何も気にしてなかったようだが…」

由依「いやー、別に…」

崩礼「だが、この状況だ。身につけた知識、能力は、余さず活かしてもらうぞ」

由依「あ…」

崩礼「朝倉由依! …8班を、よろしく頼む」

 崩礼の言葉に、由依が言葉を失った。その頬を、涙が伝う。

由依「…崩礼隊長…が、頑張ります!」

葵「…由依、隊長。これからよろしく」

初「よ、よろしくお願いしますっ!」

崩礼「それから、篠崎」

葵「!」

崩礼「トレイターだの、総理の護衛だの、色々スカウトされたらしいが、変わらず付いてきてくれてありがとうな。もう少し、近くで面倒を見たかったが…まあ、今生の別れじゃない。朝倉のことも支えてやってくれ」

葵「…サーイエッサー!」
593 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/20(水) 16:36:57.00 ID:82Wzt94Oo


「「「「いただきまーす!」」」」

エリー「はーい、めしあがー!」

 由依が班長になって最初の非番の日。8班の4人は、例のハンバーガー屋さんに来ていた。復旧はかなり進んでいたが、まだテーブルや調理器具などが揃っておらず、葵が全て『再現』したことで早速開店したのであった。

真姫「は、初めて来たけど…」

初「ここのハンバーガー、おっきいです…?」

 4人が頼んだのは、店長イチオシの『復活記念☆蘇るフェニックスチキンバーガー』。特大のバンズに、赤く色付けした鶏もも肉のグリルと紫キャベツに赤タマネギ、真っ赤なトマトが挟まった、ボリューム満点の一品だ。

由依「でも、美味しそう! あー」ガブッ

由依「ん…からくない」モグモグ

店長「赤いのはパプリカですよ。お好みで、チリパウダーもありますよ」コト

真姫「辛くないなら、食べれそう…」

葵「じゃあ、あたしはちょっとかける」パッパッ

初「あ…あー…ああ…?」

 口を大きく開けたまま、初はどこから齧り付いたものか迷っている。



安価下1〜3でコンマ最大 ハンバーガー屋での出来事
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/20(水) 18:31:53.11 ID:WZZnpB8Oo
初ちゃん階級あがって仕事どう?
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/20(水) 19:01:38.78 ID:MJ9JH7fm0
結衣に信頼と励ましの言葉を言う
596 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/22(金) 22:21:49.67 ID:td7ypLoko


由依「…」ジッ

初「」グッタリ

真姫「はぁ…」アオザメ

 食べかけのハンバーガーを前に、黙り込む8班一同。由依は完食寸前だが、真姫と初はまだ半分くらい残っている。

葵「…」モグ

由依「あ、葵ちゃん、まだいけるの…?」

葵「…ん」コク

 葵は、ちまちまとハンバーガーを齧った。

真姫「ふぇ…」

由依「葵ちゃん、やっぱり凄いや…」

葵「…」スッ

 すると、葵はおもむろにハンバーガーを置き、由依を真っ直ぐに見た。

葵「…そんなことない。由依隊長の方が、凄い」

由依「え?」

 突然の言葉に、きょとんとする由依。

葵「いきなり隊長になっても、しっかり班を纏めてる。普通科との合同訓練でも、きちんと指示を出して、7班とも戦えてた」

初「そ、それは…ういも、そう思います!」

 事実、一介の下士官から、短期間で准陸尉まで昇進し、班長まで任されたにも関わらず、由依は他の班長や隊長と遜色ない指揮を行っていた。

由依「それは…崩礼隊長に、色々教わったから」

葵「教えられたことができるのは、凄いよ」

由依「そ、そうかな? えへへ…」

葵「だから、ハンバーガーももっと食べられるはず」

由依「ぅえっ!?」

真姫「はず…」スッ

初「お、お願いします…」スッ

由依「む、無理無理、それは無理だって〜!!」

597 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/24(日) 11:31:44.57 ID:iU+4PREDo


由依「」チーン

葵「…」ジッ

 結局、エリーや店長にも手伝ってもらって、どうにか完食することができた。やたらハイカロリーなハンバーガーばかり開発する店長だが、彼女のギフトは『燃焼』で、食べたものをたちまち消化してエネルギーに変えてしまうことができるのだそうだ。

店長「ありがとうございました!」

エリー「また来てねー!」フリフリ



初「うっ、うぅ…」ヨロヨロ

真姫「あっ、揺れたら、出る…うぷっ」

由依「ど、どうする? 帰る?」

葵「もうちょっと、門限まであるけど…」



安価下1〜3でコンマ最大 どうする?
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/24(日) 14:17:25.32 ID:PFk7uHRX0
結衣とだけ同伴してあとは帰す。結衣に別れ際さっきの信頼の言葉はホントだからと言う
599 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/26(火) 21:42:31.90 ID:0SRyRV+no
初「…」ピタッ

真姫「初ちゃん、無理そうです…」

由依「じゃ、とりあえず基地に帰ろっか」

葵「ん。…初、真姫、先行ってて」

真姫「うん。初ちゃん、ゆっくり歩こ」

由依「じゃあ、あたしも」

葵「由依、待って」

 2人を追って歩き出そうとした由依を、葵は呼び止めた。

由依「どうしたの? 葵ちゃんもきつい?」

葵「ううん。…さっき言ったの、本当だから」

由依「? …ああ」

 葵の言わんとする事を察し、由依は微笑んだ。

由依「…ありがとね」

葵「…ん、じゃあ行こ」ドン

由依「…んっ!? うっ、や、ば、出る…」

葵「!? やっぱストップ、ストップ…」

600 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/28(木) 21:20:40.97 ID:GQ1KxoeSo


絵里「…」ジッ

 地下室にて。花に埋もったガラスの棺を、絵里はじっと見つめていた。
 そこへ、一人の人物が入ってきた。

お兄ちゃん「…や、やあ」

絵里「…」

 絵里は、おずおずと入ってきたこの建物で唯一の男を、無表情に見返した。
 お兄ちゃんは絵里の隣に立ち、棺に横たわる人物に手を合わせた。

お兄ちゃん「…」

絵里「…この人が誰か、聞いた?」

お兄ちゃん「うん。…朱音ちゃんの、お父さんだって」

絵里「の割には、ジジイ過ぎだって思うだろ」

お兄ちゃん「…」

 口さがない絵里の言葉に、お兄ちゃんは苦い顔をした。絵里は気にする風もなく続けた。

絵里「…本当の親父じゃないんだよ。朱音を引き取った、育ての親なんだ」

お兄ちゃん「えっ?」

 お兄ちゃんは、どきりとした。

絵里「朱音…小4の途中までは『島崎 朱音(しまさき あかね)』だった。親父がいなくて、母親も殆ど家に帰らねえってんで、いっつも汚え服着て、勉強もしないで遅くまで公園で遊んでた。それで、クラスの連中にいじめられてた。…っていうか、アタシがいじめてた」

お兄ちゃん「! それは…」

絵里「だけど、ある日いきなり『鷹栖 朱音』になって、担任の態度が変わったんだよ。ずっと知らんぷりしてた癖に、やけに庇い立てして、アタシらを怒鳴ったり。訳わかんなかったけど、それから何日かして…」

 ガラスの棺に目を遣る。

絵里「…この人が来た。警視総監だか、刑事局長だか…とにかく、警察の偉い奴だった」

お兄ちゃん「この人が…朱音ちゃんの、お父さんが…?」
601 : ◆WEXKq961xY [saga]:2024/03/28(木) 22:18:26.64 ID:GQ1KxoeSo
 絵里は、頷いた。

絵里「ホームルームから、何時間も喋ってたよ。何だったかな…確か、”いじめは犯罪だ!”から始まって…クソみてえな話を。でも、聞き終わって、ムカついたけど、それが収まったら、なんだか今までやってたことが馬鹿らしくなって。担任に言われるまま、朱音に謝った」

お兄ちゃん「朱音ちゃんは、許してくれた?」

絵里「口じゃあな。でも、その後から何回か、一緒に遊ぶことがあったから、多分本当に許してはくれたんだろうな」

お兄ちゃん「良かったね」

絵里「…」

 絵里は鼻を鳴らすと、棺に手を置いた。

絵里「…なのに、あんなことしやがって…親父さんが喜ぶわけねえだろ…!」



ねね「総理の命令で、領土拡大作戦が再開されることになったわ!」

 いつもの朝礼の場に出てきた、ねね幕僚長が宣言した。

ねね「トレイターの4人は逃げちゃったけど、一番危ないリーダーを押さえられたから、再開できると判断したそうよ。でも、国が手薄にならないよう、巡回も強化されることになったわ」

 ここで、新しく普通科長になった、紫藤初が壇上に上がった。

紫初「はーい、ちゅうもーく! 現在、我々の持ってる領域はここ!」

 下に控えていた幼女が、何らかのギフトで空中に日本地図を投影した。その、関東地方から東北の南側にかけてが赤く染まる。

紫初「で、人間たちの今の首都はここ!」

 大阪の辺りが黄色く光る。逆に、東北の北の方から北海道にかけては灰色に染まった。

紫初「首都から取り残された、ここより北東の方は、南下してきたガイジンに占領されちゃったみたい。奪い返しても、住民は日本語通じないからパス! よって、西に進みまーす!」

虹「現在、人間の軍は関東山脈に防衛ラインを設けている」

 一緒に上がった虹が言った。フルフェイスヘルメットに阻まれているが、中にマイクが仕込まれているのか、声がよく通る。

虹「山道は意図的に整備されていないため、大型車両は使えん。吾のサンダーピート號もだ。更に、落とし穴や網など初歩的だが厄介なトラップが多く仕掛けられている。よって、工作科を中心とした連隊を編成し、防衛ラインの突破を図る」
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2024/03/29(金) 10:15:57.54 ID:egsh2QQho
世界観地続きだったんか…!
おつ
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