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長門とキョンは帰れないそうです - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/29(木) 02:10:23.71 ID:OmHzqa60
長門とキョンは帰れないそうです

1スレ目(スレスト祭りによりストップ)
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1195917015/
2スレ目(同上)
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196053749/
3スレ目(同上・現行スレ)
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196064470/
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男「NARUTO世界を安価とコンマで生き抜く」part3 @ 2025/03/14(金) 20:30:14.10 ID:mUlhnMMk0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1741951813/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/03/13(木) 17:32:38.04 ID:eyP+92r1o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1741854757/

追放した王国、俺の作った“自動販売機”がないと生活できないらしい。 @ 2025/03/13(木) 12:53:05.60 ID:xoGAJI1Y0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1741837984/

A雑は衰退しました @ 2025/03/12(水) 14:43:24.51 ID:/H8S90Tb0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1741758203/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/03/12(水) 10:14:44.03 ID:TQON4h2to
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1741742083/

のんびりモンハンしようぜ避難所 @ 2025/03/11(火) 21:55:34.74 ID:x0Pf7MoZO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1741697734/

池沼保守人間です?おい池沼見てる?w @ 2025/03/11(火) 00:01:29.43 ID:Vh8nsgC90
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1741618888/

■ 萌竜会 ■ @ 2025/03/09(日) 21:42:47.87 ID:+VVeADT+o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1741524167/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:14:10.78 ID:OmHzqa60
1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:10:15.75 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:14:33.76 ID:OmHzqa60
4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:12:13.14 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「止まないな……」
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:15:19.81 ID:OmHzqa60
5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:13:16.48 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」


キョン「……なあ」

長門「……なに?」

キョン「どうする?」
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:15:40.92 ID:OmHzqa60
6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:14:28.51 ID:XVgNRv5m0
長門「なにを」

キョン「いや……帰らないのか?」

長門「……」


長門「それは危険」

キョン「……やっぱりそうか?」
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:18:00.47 ID:OmHzqa60
8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:15:42.47 ID:XVgNRv5m0
長門「雪だけでなく、風も強い」

キョン「……」

長門「わたしはともかく、あなたが危険」

キョン「……」


キョン「そっか……」

長門「……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:17:52.37 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」

キョン「じゃあ……どうする?」

長門「……雪と風が止むまでここで待つのが最善」

キョン「でもさ、もう8時だぞ?」

長門「しかたがない」

キョン「……うーんそうかぁ……」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:18:45.52 ID:XVgNRv5m0

 チッ チッ チッ チッ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:19:13.32 ID:OmHzqa60
11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:19:37.53 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」

キョン「……なあ」

長門「なに?」

キョン「あいつら結局買い物行ったまま帰って来なかったけど、大丈夫かな?」

長門「……」


長門「わからない」

キョン「……そっか」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:21:11.35 ID:XVgNRv5m0
キョン「しかしあいつらもついてないな」

長門「……」

キョン「まさかこんなにいきなり吹雪いてくるとはな」

長門「……」


長門「そう」

キョン「……」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:22:28.79 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」


 ペラッ


長門「……」

キョン「……」
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:20:27.61 ID:OmHzqa60
16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:23:30.39 ID:XVgNRv5m0

 ペラッ

キョン「……」

長門「……」

キョン「……なあ長門」

長門「なに?」

キョン「今、どんな本読んでるんだ?」

長門「……」

 スッ

キョン「恋空?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:24:34.00 ID:XVgNRv5m0
キョン「おもしろいのか?」

長門「……」


長門「わからない」

キョン「……そうか」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:26:45.16 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……9時か……」

長門「……」

キョン「今日はもうこのまま帰れないかもなー」

長門「……」

キョン「ま、明日日曜だし別にいいけど……」
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:21:10.86 ID:OmHzqa60
25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:27:19.91 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」

キョン「……腹減ったな……」

長門「……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:27:57.27 ID:XVgNRv5m0

 ガサゴソ

キョン「お、あったあった」

長門「……」

キョン「長門、ハルヒの馬鹿が非常食よ! なんつって買い溜めしてきたカップラーメンがあるんだが」

長門「……」

キョン「食うか?」

長門「……」


長門「…食べる」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:28:38.08 ID:XVgNRv5m0

長門「……」

キョン「……」

長門「……」

キョン「……」


長門「2分50秒経過した」

キョン「よし食おう」
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:21:57.22 ID:OmHzqa60
29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:29:45.09 ID:XVgNRv5m0
キョン「ズズーッ」

長門「ズズーッ」

キョン「……」

長門「…なに?」

キョン「いや……ちょっとおもしろかった」

長門「?」


長門「ズズーッ」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:30:37.10 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオ…


キョン「……ふう」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:31:24.69 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」

キョン「……暇だな」

長門「……」


キョン「なあ長門」

長門「なに?」

キョン「オセロでもするか」
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:22:40.42 ID:OmHzqa60
35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:32:16.00 ID:XVgNRv5m0
長門「オセロ?」

キョン「ほら、俺と古泉がよくやってるだろ? これ」

長門「……」

キョン「ルールは簡単だからさ、白と黒で別れて、相手の色の石を自分の石で挟むんだけど……」


キョン「……なんてな。長門がオセロなんてやるわけないか。悪い」

長門「……」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:33:59.87 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」


長門「……する」

キョン「ん?」

長門「オセロ」

キョン「……え? オ、オセロやるのか?」

長門「コクリ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:35:39.82 ID:XVgNRv5m0

 パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ

 パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ

 パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ、パチ


長門「……」

キョン「……」
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:23:09.61 ID:OmHzqa60
39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:37:23.30 ID:XVgNRv5m0
キョン「……なんだこりゃ」

長門「なに?」

キョン「いや……だってオセロなのに……オセロなんて誰がやってもたいして差の出るゲームじゃないのにどうして全面黒にされなきゃいけないんだ」

長門「そうでもない。石の置き方は何万通りとある。奥が深い。ユニーク」


キョン「……」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:38:20.31 ID:XVgNRv5m0
キョン「やっぱり長門は長門だなぁ……」

長門「……」


長門「もう一度」

キョン「え?」

長門「もう一度」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:39:32.56 ID:XVgNRv5m0

 パチ、パチ

キョン「……」

長門「……」

 パチ、パチ

キョン「……」

長門「……」


キョン「……何回やった?」

長門「これが18度目の勝負」

キョン「0勝18敗か……」
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:26:05.98 ID:OmHzqa60
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:42:44.08 ID:XVgNRv5m0

 パチ、パチ

キョン「……」

 パチ、パチ

長門「……」


 テッテッテテテテーッテッテテ


キョン「?」

キョン「長門、ちょっとすまん」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:45:25.75 ID:XVgNRv5m0

 ピッ

キョン「はいもしもし」

ハルヒ「あ、もしもしキョン!? あんた今どこにいんの!?」

キョン「あ、ハルヒか?」

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:46:19.32 ID:XVgNRv5m0
キョン「おまえ、っていうかみんな大丈夫だったか? 今どこだ?」

ハルヒ「あたしは今やっと家に帰ってきたところだけど……あたしのことはいいのよ、あんたは今どこにいるの?」

キョン「俺? 俺は今学校だけど……」

ハルヒ「学校!? ってことはやっぱりあのまま帰ってないわけ!?」

キョン「ああ」

ハルヒ「え、それじゃあもしかして有希もそこにいるの?」

キョン「ああいるよ」


長門「……」
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:30:32.45 ID:OmHzqa60
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:46:54.62 ID:2I8LpO8/O

……

キョン「パチ、パチ 」

 ……

長門「パチ、パチ 」


 ?


キョン「テッテッテテテテーッテッテテ 」

キョン「長門、ちょっとすまん」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:49:06.89 ID:XVgNRv5m0
ハルヒ「な、何それ。じゃあ今あんた部室で有希と二人っきりってこと?」

キョン「うん……まあそうだな」

ハルヒ「ちょっと! 何やってんのよあんたたち! あんた有希に変なことしてないでしょうね!? なんかあったら死刑よ! 死刑!」

キョン「おい、馬鹿なこと言うな。そんなことするはずないだろ」

長門「……」


ハルヒ「……ダメね。やっぱりあたしもそこ行くわ。これはSOS団の風紀に関わることだから」

キョン「な、今から学校まで来る気か? この吹雪の中?」


長門「……」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:50:57.06 ID:XVgNRv5m0
キョン「やめとけって馬鹿。そこまでして来てどうすんだよ」

ハルヒ「どうするも何もあんたのこと見張らなきゃ……それにね、このくらいの雪なんてことないんだから……きゃあっ!!」

ハルヒ「!? お、おいハルヒ、どうした!?」

ハルヒ「な、なにこれ……外に出た途端にいきなり風が強く……きゃああっ!」

 プッ、ツー ツー ツー…

キョン「……」

長門「……」
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:31:18.20 ID:OmHzqa60
56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:53:52.17 ID:XVgNRv5m0
キョン「な、なんだ今の……大丈夫かよあいつ……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」


キョン「……俺、ちょっと行ってくるわ」

長門「……やめておいたほうがいい」

キョン「え?」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:57:27.02 ID:XVgNRv5m0
長門「今あなたが外に出たらあなたが危険」

キョン「で、でも……」

長門「涼宮ハルヒが連絡を絶ったのは自宅を出てから10秒程度しか経っていなかった。心配は無用」

キョン「……」


長門「……きっと平気」

キョン「……」


キョン「……ん、ま、まあ……長門がそう言うなら……大丈夫か……」
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:31:58.75 ID:OmHzqa60
69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:01:26.89 ID:XVgNRv5m0

 チッ チッ チッ チッ…

キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」


長門「……心配?」

キョン「え?」

長門「涼宮ハルヒのこと」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:04:09.17 ID:XVgNRv5m0
キョン「ん、いや……別に……」

長門「……」

キョン「……ま、心配って言えば心配だけどな」

長門「……」


長門「そう」

キョン「……」
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:32:54.79 ID:OmHzqa60
49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:46:54.62 ID:2I8LpO8/O

……

キョン「パチ、パチ 」

 ……

長門「パチ、パチ 」


 ?


キョン「テッテッテテテテーッテッテテ 」

キョン「長門、ちょっとすまん」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 00:49:06.89 ID:XVgNRv5m0
ハルヒ「な、何それ。じゃあ今あんた部室で有希と二人っきりってこと?」

キョン「うん……まあそうだな」

ハルヒ「ちょっと! 何やってんのよあんたたち! あんた有希に変なことしてないでしょうね!? なんかあったら死刑よ! 死刑!」

キョン「おい、馬鹿なこと言うな。そんなことするはずないだろ」

長門「……」


ハルヒ「……ダメね。やっぱりあたしもそこ行くわ。これはSOS団の風紀に関わることだから」

キョン「な、今から学校まで来る気か? この吹雪の中?」


長門「……」
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:34:15.96 ID:OmHzqa60
ごめん、みすった。
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:34:29.86 ID:OmHzqa60
75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:11:46.54 ID:XVgNRv5m0

長門「……」

キョン「……」

長門「……涼宮ハルヒは一般の人間とは異なっている。でも彼女自身が危険に晒されるということはない」

キョン「え?」


長門「だから平気」

キョン「……」


キョン「……ん、そうだよな。あいつなんたって神様だからな」

長門「……」

キョン「心配は無用か」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:13:31.35 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」


キョン「……すっかり夜中になっちまったな……」

長門「……」
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:35:01.70 ID:OmHzqa60
77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:14:17.47 ID:XVgNRv5m0

 チッ チッ チッ チッ…

キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」


キョン「あ」

長門「?」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:17:23.12 ID:XVgNRv5m0
キョン「そういえばさ長門」

長門「?」

キョン「ちょっと聞きたいことがあったんだけど」

長門「なに?」


キョン「その……おまえさ、前は眼鏡かけてたろ」

長門「……」

キョン「あれ、なんではずしたんだ?」

長門「……」
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:35:57.30 ID:OmHzqa60
85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:18:56.34 ID:XVgNRv5m0
長門「……」

キョン「……」

長門「かけない方がいいと言った」

キョン「誰が?」

長門「あなた」

キョン「あ……」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:21:24.93 ID:XVgNRv5m0
キョン「そ、そっか……」

キョン「……」

キョン「(……やっぱり……あの時のあれを気にしてくれていたのか……)」


キョン「……」

キョン「……あのさ、長門」

長門「なに?」

キョン「あの……ちょっとお願いがあるんだけど」
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:36:38.24 ID:OmHzqa60
89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:23:52.61 ID:XVgNRv5m0
キョン「そのな。前に眼鏡つけてない方がかわいいとか、言ったのにあれなんだが……」

長門「……」

キョン「……もう一回だけ、眼鏡つけてみることできないか? ちょっとでいいんだ」

長門「……」


長門「どうして?」

キョン「あ、いや、その……」

長門「……」

キョン「……なんというか……本当に自己満足的なお願いなんだが」

長門「……」


長門「待って」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:26:29.53 ID:XVgNRv5m0

 キュイイイン…


キョン「……」

長門「……できた」

 クルッ

キョン「……!」

93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:27:46.24 ID:XVgNRv5m0
キョン「……」

長門「……」

長門「……どうしたの」

キョン「あ、い、いや……」


キョン「な、長門。もう一つだけ……」
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:37:07.35 ID:OmHzqa60
94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:29:15.71 ID:XVgNRv5m0
キョン「ちょっと……後ろから、俺の袖引っ張ってみてくんないか?」

長門「……?」

キョン「頼む。軽くでいいから」

長門「……」


長門「わかった」

 クイッ

キョン「……」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:30:21.39 ID:XVgNRv5m0
キョン「……」

長門「……」

キョン「……ズズッ」

長門「……どうしたの」

キョン「あ…いや…ごめん。ズズッ。なんでもない…」

長門「……」


キョン「サンキューな、長門」

長門「……」
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:37:53.00 ID:OmHzqa60
102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:32:05.04 ID:XVgNRv5m0

 チッ チッ チッ チッ…

キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」


キョン「もう一時半か……」

長門「……」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:33:19.18 ID:XVgNRv5m0
キョン「……」

長門「……」

キョン「……じゃ」

長門「……」


キョン「そろそろ寝るか、長門」

長門「……そう」

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:35:11.57 ID:XVgNRv5m0

 ガサゴソ

キョン「……あれ」

長門「?」

キョン「おかしいな、非常用の毛布が1枚しかない。もう1枚くらいたしかどっかに置いてあったと思うんだが……」

長門「……」


キョン「まあいいや。長門、使えよ。俺は我慢するからさ」

長門「……」
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:39:32.50 ID:OmHzqa60
113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:37:34.43 ID:XVgNRv5m0

長門「……」

キョン「じゃ、電気消すぞ。いいか?」

長門「いい」

キョン「ん」


 カチカチッ


キョン「……おやすみ長門」

長門「……」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:39:27.94 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」


キョン「……」

キョン「(……寒みい……)」

キョン「ガチガチガチガチ……」


長門「……」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:40:08.20 ID:OmHzqa60
122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:41:49.01 ID:XVgNRv5m0

 ゴソッ

キョン「……?」

長門「……」

キョン「……長門?」

 スッ…

長門「……入って」

キョン「……え?」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:43:30.78 ID:XVgNRv5m0
長門「入って」

キョン「え、え? で、でも……」

長門「早く」

キョン「う……」


キョン「い、いいのか? 本当に」

長門「いい」

キョン「ほ、本当か? 本当にいいのか? 知らんぞどうなっても」

長門「大丈夫」

キョン「……」
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:41:31.67 ID:OmHzqa60
127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:45:13.87 ID:XVgNRv5m0
キョン「……」

長門「……」


キョン「……じゃあ……」

長門「……」

キョン「……お言葉に甘えて失礼します」

長門「……」

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:46:40.69 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:42:04.63 ID:OmHzqa60
133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:48:36.53 ID:XVgNRv5m0
キョン「……」

長門「……」

キョン「……こうやってさ」

長門「?」

キョン「二人で入ってると……やっぱり一人よりもあったかいな……」

長門「そう」

キョン「……」

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:49:48.89 ID:XVgNRv5m0

 ビュオオオオオオオオオオオ…


キョン「……」

長門「……」

キョン「……」

長門「……」
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:42:44.41 ID:OmHzqa60
143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:51:53.17 ID:XVgNRv5m0

─────


 チュンチュン… チュン…

キョン「ふぁああ……」

キョン「うーん……ん、もう朝か……あ」

キョン「おい、おい長門、長門起きてみろよ」

長門「起きてる」

キョン「わっ……び、びっくりした……」

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:54:20.14 ID:XVgNRv5m0
キョン「なんだおまえ、やっぱり宇宙人ってのは眠ったりしないもんなのか?」

長門「一般的な人間よりは少ないが多少の睡眠は取る」

キョン「あ、そう……」

長門「……」

キョン「それよりさ、ほら。見てみろよ外、晴れてるぞ。これでようやく俺達も帰れるな」

長門「……」
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:43:18.68 ID:OmHzqa60
153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:57:31.59 ID:XVgNRv5m0

 テク テク…


キョン「うーむ、昨日の猛吹雪が信じられないくらいの快晴だなー」

長門「……」

キョン「……でもおかしいよな」

長門「なにが?」

キョン「だってよ、昨日天気予報じゃああんなに天候崩れるなんて一言も言ってなかったんだぜ。1日中晴れのはずだったのに」

長門「……」


長門「そう」

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 01:59:37.56 ID:XVgNRv5m0

キョン「……」

長門「……」

キョン「……長門、おまえさ……」

長門「なに?」


キョン「……ん、いや、なんでもない」

長門「そう」
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:43:47.74 ID:OmHzqa60
159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:00:52.34 ID:XVgNRv5m0

「……! …っ!」


キョン「……ん?」

ハルヒ「…っと! ちょっとあんた達!」

キョン「げ…は、ハルヒ…」

長門「……」

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:04:33.17 ID:XVgNRv5m0
ハルヒ「はあっ、はあっ、はあっ」

キョン「なんだおまえ……わざわざここまで走ってきたのかよ。昨日大丈夫だったか?」

ハルヒ「はあっ、はあっ……あたしのことは……どうでもいいのよっ! 有希!」

長門「……」

ハルヒ「有希、 大丈夫だった!? 昨日こいつに何もされなかった!?」

長門「……」


長門「されてない」

ハルヒ「な、何よ今の間は!」

キョン「……」
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:44:16.22 ID:OmHzqa60
174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:05:34.49 ID:XVgNRv5m0
ハルヒ「あんたねっ…あれだけ言ったのに有希に手出したんじゃないでしょうね!?」

キョン「なっ…出すか! 決して出してないぞ! 神に誓って俺は何もしてない!」

長門「……」

ハルヒ「怪しい…動揺してる。やっぱりあんた何かしたんでしょ!」

キョン「だからしてないって…痛っ! やめろこの馬鹿!」

ハルヒ「待てこの馬鹿キョン! 死刑にしてやる!」

キョン「やめろーっ……」


長門「……」

177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:06:43.88 ID:XVgNRv5m0
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:47:17.62 ID:OmHzqa60
210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:31:21.28 ID:XVgNRv5m0

「と、言うわけで、それがパラレルワールドというものなんですね」

スプーンを片手にひとしきりしゃべり終えた朝比奈さんは、最後にそう言って話を締めくくると、持ち前の笑顔でニコッと笑った。
聞いていたほうの俺はと言うと、実は途中難しい言葉に何度もチンプンカンプンになってしまっていたわけだが、
それでも、はあ、とか、へえ、とか相槌を打ちながら、彼女の長い講釈をなんとか最後まで聞き通した。
ま、簡単に言うと、世界は一つじゃない。何通りもある過去や未来、そんな別の世界のことを、パラレルワールドと言うのだという内容の話だった。

「でも、たしかにたくさんの世界は存在しているんですど、どの世界も大筋は決まっているんです」
「大筋?」
「はい。大きな間違いのないストーリーのようなものですね。だからその大筋に沿って時代を正しい方向へと導くのが、あたし達の役目なんです」

なるほど。ハルヒにはその大筋ってやつをぶち壊す力がある。世界を崩壊させてしまうほどのとんでもない力が。
それをさせないために、朝比奈さん、あなたはあんなワガママ自己中娘の暴走に翻弄されながらも、健気にメイドさんをしているんですね。
それは俺としては嬉しい限りなのだけれど。
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:47:46.34 ID:OmHzqa60
214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:35:55.51 ID:XVgNRv5m0
だけどこんな話、まともな神経のやつが聞いても絶対に信じられないだろうな……そう思うと少しおかしくなって、笑いが込み上げてきた。
信じる信じないの前に、何を言っているのかすら解らないだろう。

でも、俺には朝比奈さんの話を信じることができる。
なぜならそれは俺自身が時間旅行などという、普通ならとても信じられないような出来事を実際に何度も体験しているわけだし、
それに……今の話にでてきたパラレルワールド。
俺は身に染みてよく知っているのだ。

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:38:14.60 ID:XVgNRv5m0

 キーンコーンカーンコーン

授業5分前の予鈴が鳴る。
朝比奈さんはそれでふと我に帰ったような顔をすると、少しの間を置いた後、照れたように頬を掻きながら笑った。

「も、もうこんな時間になっちゃいましたね。キョン君、行きましょう」

食べていたミニカレーの皿の乗ったおぼんを手に持ち、彼女は慌てて椅子から立ち上がった。それに続いて俺も腰を上げる。

「ごめんなさい。あたしばっかりしゃべっちゃって」
「いやいやそんな。楽しかったですよ。ためになりましたし」

そうして歩き出した。
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:48:38.81 ID:OmHzqa60
216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:41:20.74 ID:XVgNRv5m0
なぜ昼休みに俺達二人が一緒にいるのか言うと、別にたいした理由があるわけじゃない。
偶然廊下で出会ってしまい、たまにはということで学食でご飯を食べていただけだ。
そしてその食事の途中で、どうしてこの会話になったのか……はよく覚えていないが、ともかく、朝比奈さんは得意の時空論について熱く語りだしてしまった。
別に俺はその手の話題に興味があるわけではないのだが、話をしている朝比奈さんは実に楽しそうだったので、黙って聞いてあげることにした。
朝比奈さんの幸せそうな顔を見ていられるのなら、たとえそれが眠たくなるような説法だろうがなんだろうが、何時間だって聞いていられる。

学食を出てから外の廊下へ出ると、目のくらむような眩しい太陽が頭上に浮かんでいて、思わず目を細めた。
むわっとした感触と共に、生ぬるい風が頬を撫でるようにすり抜けていく。
まるで焼けたフライパンの上にいるような、そんな8月の一日だった。

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:42:43.90 ID:XVgNRv5m0

「そういえばあたしとキョン君って、知り合ってからもうとっくに一年以上経っちゃってるんですね」

ふと、前を歩く朝比奈さんが振り向いて、かわいらしい笑顔を作ってからそんなことを言った。
それにつられて俺も笑って返す。

「そうですね。まったく時間が過ぎるのは早いもんです」
「今までいろいろありましたね」
「ええ。ホント」

「……だけどきっともう、そんなに大きな事件は起こらないと思いますよ」
「え?」

「どうしてそう思うんです?」
「なんとなく。勘です。あたしの」
「勘、ですか」
「それにほら、あたしも受験だし。これ以上いろいろ起こられると困っちゃうんです」
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:49:15.25 ID:OmHzqa60
220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:44:14.76 ID:XVgNRv5m0
さらに、あたし馬鹿だからと付け足して、ペロっと舌を出してから自分の頭をこずくといういつものリアクションを取る彼女。
ああ……
本当にかわいいなぁこの人は。
ちくしょう。


そんなたわいのない会話を交わしていた、その時だった。

「おわっ!!!」
「きゃあ!!!」

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:47:14.78 ID:XVgNRv5m0
突然、膝から下が無くなってしまったような衝撃に襲われた。
急に下半身のバランスを失った俺は尻から床に倒れこみそうになったが、すぐ横にあった壁に両手を着いてなんとかそれを堪えた。
な、なんだ?

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

大きな……何か獣の唸り声のような、そんな腹の奥に響く重低音が聞こえてくる。そしてまるで波の激しい船上にいるかのような振動。
殴りつけられたみたいに、視界が上下左右に揺さぶられる。
何だ? 何が起こっている?

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

音と振動は一向に止もうとしない。
もしかしてこれは……
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:49:46.88 ID:OmHzqa60
223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:48:15.38 ID:XVgNRv5m0

「じっ、地震だ!」
「きゃああああああ!!」

俺が振動の正体に気付いたのと、あちこちで悲鳴と叫び声が巻き起こるのは同時だった。
じ、地震……地震!!

「……!!」

本当だ。本当に地震が起きている。
しかも……でかい。相当でかいぞ、これは。

「あ、朝比奈さん!」
「ひ、ひいぃ〜〜……」
「掴まって! 早く!」
「ふぁぁ」

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 02:49:40.14 ID:XVgNRv5m0
2mほど先で何の支えもなく、今にも崩れ落ちそうになっている朝比奈さんの元へとなんとか近づいて、彼女の二の腕を掴む。
その途端、朝比奈さんは弾かれたように俺の身体を抱きしめ返してきた。

「!!」

うぐっ。
や、柔らかい……

いやいや、そんなこと考えてる場合じゃないだろう。
普段なら喜びで発狂してしまいそうなその弾力だったが、今この状況ではさすがにそんな?気なことも言っていられない。
揺れは一向に止む気配を見せない。

ず、随分長いぞ。まずいんじゃないのかこれは。 関東大震災の再現か?
もしかしてついに世界の終わりがやってきたとでも言うのだろうか。ノストラダムスの預言が今頃になって的中した?
ハルヒが横にいたらきっと大喜びでそう言うに違いない。

そう思わせるほどの巨大な振動が、俺と朝比奈さんの二人の身体を揺らし続けた。

「ひい〜……」
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:50:51.32 ID:OmHzqa60
228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:02:42.69 ID:XVgNRv5m0
生まれたての子猫のような声をあげる朝比奈さんのことを抱きしめながら、恐怖感から目を閉じた。
すると、途端に頭の中が真っ白になっていく妙な感覚に襲われた。

……あれ? なんだ?
死んだのか? 俺。

全身から力が失われていく。まるで自分の身体が無くなってしまったように。

……なんだよ。
もう死んだのか、俺は。この若さで。

そう思った。
すると、途端に頭の中が真っ白になっていく妙な感覚に襲われた。

……あれ? なんだ?
死んだのか? 俺。

全身から力が失われていく。まるで自分の身体が無くなってしまったように。

……なんだよ。
もう死んだのか、俺は。この若さで。

そう思った。


230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:04:35.31 ID:XVgNRv5m0
だが、まあ、朝比奈さんの身体を抱きしめながら[ピーーー]ると言うのなら、それも悪くはないかもしれない。
こんな幸せな死に方をしたやつはどれだけ過去の偉人達を見ていったって、10人といないことだろう。断言できる。

しかし……短い人生だったな。思った。まだまだやりたいことはたくさんあったのに。
エベレストに登ってみたかった。オーロラも見てみたかった。くそ、こんなことならさっさと実行しておけばよかったんだ。

でも。
よく考えてみたら、俺は最近それ以上に貴重でわけのわからない経験を、毎日のように味わっていた気がする。
ハルヒ……

おまえと会ってから、ロクなことがなかったよ。
だけど、悪くなかった。

最期に残された意識の中で、俺はあの我儘でやかましい団長様の顔をなぜか思い浮かべていた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:51:37.83 ID:OmHzqa60
230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:04:35.31 ID:XVgNRv5m0
だが、まあ、朝比奈さんの身体を抱きしめながら死 ねると言うのなら、それも悪くはないかもしれない。
こんな幸せな死に方をしたやつはどれだけ過去の偉人達を見ていったって、10人といないことだろう。断言できる。

しかし……短い人生だったな。思った。まだまだやりたいことはたくさんあったのに。
エベレストに登ってみたかった。オーロラも見てみたかった。くそ、こんなことならさっさと実行しておけばよかったんだ。

でも。
よく考えてみたら、俺は最近それ以上に貴重でわけのわからない経験を、毎日のように味わっていた気がする。
ハルヒ……

おまえと会ってから、ロクなことがなかったよ。
だけど、悪くなかった。

最期に残された意識の中で、俺はあの我儘でやかましい団長様の顔をなぜか思い浮かべていた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:53:29.50 ID:OmHzqa60
232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:08:50.44 ID:XVgNRv5m0
「……」

「とま、った……?」

「と、とまった…」
「終わったぞ…」
「よかったぁ〜…」
「ああー怖かった…」

ふと、自分の感覚が全身に蘇った。
そして周囲から聞こえてきていた生徒達のざわめきが、安堵のものへと変わっていくのがわかった。

あ……あれ?

閉じていた瞼をゆっくりと開いてみる。辺りの景色はもう揺れ動いてはいない。
目の前にあるのはいつも通りの校舎、そして朝比奈さんの小さな身体だ。

233 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:11:44.46 ID:XVgNRv5m0
な、なんだ……?
なんだったんだろう。今の俺の感覚は。
自分が消えたような感覚だった。間違いなく死んだと思ったのに……

「……」

と、そこまで考えて、急にそんなことを考えている自分が恥ずかしくなった。
何言ってんだ。たかが地震くらいで死ぬだなんて。何を考えていたんだ。
なぜ急にあんな気持ちになったんだろう?

よくわからなかったが、だが今はそんなことよりも、今だに俺の胸に顔を埋めて震えている朝比奈さんを安心させてやることが先決だと思った。

「朝比奈さん、朝比奈さんっ」
「……」
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:53:48.77 ID:OmHzqa60
234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:12:35.13 ID:XVgNRv5m0
「もう大丈夫ですよ。ほら」
「ふえっ……?」

肩を掴んで優しく揺すってあげる。

「どうやら終わったみたいです。安心してください」

すると彼女はそっと俺の体から顔を離し、ぼんやりと目を開いた。
その顔はまるで、たった今起きたばかりの赤ん坊のように幼く無垢なものだ。
さて、最初に何て言うだろう。今まで抱きついていたことに対して照れて、真っ赤になって謝るか。
それとも安堵から、もう一度俺に抱きついてきて泣きじゃくるか。その光景は容易に想像できる。
どっちにしても、ちょっと楽しみだ。

そう思っていたのだが、次の瞬間彼女のとった反応は、俺の予想していた妄想パターンの全てを裏切るものだった。


 バチンッッ!!!!


「ぐわっ!!!」
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:54:06.74 ID:OmHzqa60
235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:15:21.54 ID:XVgNRv5m0
まるで閃光でも走ったかのように、視界が真っ白くフラッシュする。
そしてすぐに皮膚の神経回路を通して、強烈な衝撃が痛みとなって頬から脳へと伝達されてきた。

え、な、何?
なんだ? 何が起こったんだ?
ジンジンと左頬が痛む。そこを手で押さえながらも、自分が何をされたのか、その時はまったくわからなかった。

「……なんで……」
「え?」

「なんであなたがまた、ここにいるんですかぁ……」
「……は?」
「それに、抱きついたりして……ふええええぇぇ」

怯えた声を出す朝比奈さんの右手は、フルフルと小刻みに震えたまま宙に静止している。
そしてその手ははっきりと張り手の形をしていた。
それを見て俺は、今いったい自分が何をされたのか、ようやく理解することができた。

ビンタされたんだ。朝比奈さんに。

「……」

……び、ビンタ?
な、なんで俺が?

されたのだということだけは理解できたが、なぜ、そんなことを俺がされなきゃならないのか、
その行為の意図と、そして今、彼女が言った言葉の意味は、まったく理解ができなかった。
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:54:29.61 ID:OmHzqa60
237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:17:23.05 ID:XVgNRv5m0
「あ、あの…」
「来ないでくださぁい…」

震える足を一歩後ろに後退させる彼女。
涙目のその表情には安堵でもなければ照れ隠しでもない、恐怖と不安の色が広がっている。
ど、どうしたって言うんだ急に。

「あ、あの、朝比奈…さん…?」
「お願いだから、もう来ないで……!!」

 ダッ!!!

「あっ、ちょ、ちょっと!!!」

そう言って朝比奈さんは素早く俺に背中を向けると、一目散に走りだして、校舎の中へと消えて見えなくなってしまった。

「……」


「なん…なんだ…」
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:55:28.32 ID:OmHzqa60
238 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:18:27.46 ID:XVgNRv5m0
……

新手のドッキリ…
か? もしかして。

いや、朝比奈さんはそんなタチの悪い冗談をするような人ではない。
じゃあ、またハルヒにでも命令されたのか?
…いや、それもない。彼女は人を殴ってまでも
あんなヤツの命令を素直に実行する人ではない。そんな人じゃない。
さっきのは本気だった。あの優しい朝比奈さんにそんなことはできないだろう。

「じゃあ……」

…いったいなぜ…


汗でべっとりと背中にへばりついたYシャツの後ろを、またむわっとした風が吹く。
ショックで茫然自失としていた俺は、すでにあたりに誰もいなくなっていることにそれでようやく気が付いた。
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:55:59.50 ID:OmHzqa60
241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 03:20:28.27 ID:XVgNRv5m0
壁に張り付けられている時計を見た。もうとっくに授業の始まっている時間だ。
それでもチャイムが鳴らないというのは、きっと学校中が今の巨大地震でパニックになっているせいなのだろう。
ならばちょっとくらいなら遅刻をしていっても文句は言われないはずだ。多分。

しかし、あれだけの地震でよくこのボロ校舎がぶっ潰れなかったものだな。まったく感心するよ。
もしここが跡形もなく崩れてくれていたら、あの坂の下に新しい校舎を建て直してくれていたかもしれない。そうすれば通学がうんと楽になったんだけどなぁ。


…なんてそんなことを考えている場合ではない。

「どうして…朝比奈さんがあんなことを…」

さっぱり訳がわからない。

だけど俺は、過去にも一度彼女に同じような態度をとられたことがあるような…
デジャブのような、そんな奇妙な感覚に捕らわれていた。


たしか…前にも同じようなことが…

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:03:57.85 ID:XVgNRv5m0

そのまま10分ほどその場に立ち尽くして考え続けてみたが、結局朝比奈さんにいきなり嫌われた原因に何も思い当たらなかった俺は、
諦めて自分の教室へと戻ることに決めた。

廊下から音をたてないように、後ろ側のドアをほんの少しだけ開けて、教室の中の様子を覗いて確認してみる。
だいたいクラスの全員が揃っているようだ。そして予想した通り、教壇の上に先生の姿は見えない。よかった。

「…あれ?」

いや、見えないのは先生の姿だけではなかった。
肝心のヤツの姿が窓際の席に見えない。というか、どこにも見えない。


ハルヒがいない。
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:56:24.58 ID:OmHzqa60
250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:05:25.43 ID:XVgNRv5m0
「どうしたんだあいつ…」

…あいつのことだからまっさきに飛んで帰ってきて、今の現象で体験したスリルでも俺にやかましく克明に説明すると思ってたんだけど。
そしてノストラダムスはやっぱり本物だったのよ!とか、マジな顔で言うと思っていたんだが。おかしいな。

「…あ」

ふと、嫌な光景が頭の中をよぎった。
まさか…

今の地震で、どっかで怪我でもしているんじゃ…

そう考えた途端、猛烈に不安になった。ありうる。特に、もしSOS団の部室にでも行って何か作業をしていたとすれば。
あそこには崩れやすい物が大量に棚の上に積まれている。上から何かが落ちてきて下敷きになっているとしてもおかしくはない。
ハルヒ…!!

急いで走り出したい気持ちに駆られた。が、まずはクラスのやつらにハルヒが帰ってきてないかをちゃんと確認してみてからにすることにした。
これでトイレにでも行っていただけというならあまりにもマヌケすぎる。

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:06:15.57 ID:XVgNRv5m0

「谷口っ」

ドアを開けて教室の中に入ると、俺はすぐそこでキョロキョロと挙動不審に顔を動かしていた谷口の首を後ろから掴みかかり、無理やりこっちに回転させた。

「おお、キョン! おまえどこ行ってたんだ今まで? 探したぞ。みんな心配してたんだぜ。大丈夫だったのか?」
「俺のことはいい。それより、ハルヒ帰ってきたか?」
「え、は、ハルヒ?」

俺のその質問に、谷口は突然のことで訳がわからないといった表情を見せてから、困ったように口を開いた。


「な…なんだそりゃ。ハルヒ? なんの話だ?」
「え…」


「…いや、なんの話ってな。ハルヒの話だよ。もう教室に帰ってきたのか?」
「いやいやいや。何言ってんだおまえ? 誰? それ」
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:56:43.47 ID:OmHzqa60
252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:09:47.41 ID:XVgNRv5m0
……

何を言っているんだろうこいつは。
ボケたか? ついに。
いや、いくら健忘症気味の谷口の脳みそだって、ついさっき、30分前まで同じクラスメートだったヤツを忘れるなんてことはさすがにないだろう。
だとしたらもしかして得意の冗談のつもりだろうか。 だとしたらそれはつまらないしまったく笑えない。
というか今はそんなもんに付き合ってる場合じゃないんだ。

「谷口」
「な、なんだよ」
「俺をからかうのは後にしてくれ。それよりまずハルヒの居場所を──」

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:10:48.79 ID:XVgNRv5m0
「そりゃこっちの台詞だっつうの! おいキョン! しっかりしろよおい! もしかして今の地震で頭でも打ったんじゃねーだろうな!?」

そう言った谷口の表情は、とても冗談を言っているようなものには見えなかった。
くそっ。なんだよ。何を言ってやがるんだこいつは。

「頭打ったのはおまえだろ! ったくもういい!! 国木田」

俺はすぐ横に座っていた国木田の肩を噛みつくような勢いで掴んだ。

「な、何? キョン」
「国木田、おまえはハルヒがどこに居るか知らないか? もしかしてどっかで怪我でもしてるんじゃ…」
「いや…ごめん、僕もそのハルヒさんってのが誰だかわかんないんだけど…」


「な…」
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:57:13.68 ID:OmHzqa60
255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:11:26.73 ID:XVgNRv5m0
「や、やめろよおまえまで。アホの谷口に付き合うことないぞ。くだらない冗談はやめてくれ。急いでるんだ」
「冗談じゃないよ。本当に知らないんだ」
「あのなっ。だってハルヒだぞ、ハルヒ。さっきまでそこにいただろ? おまえらが知らないわけないじゃないか。なあ、そうだろ?」
「だからっ。誰だよそいつはって言ってんだよ! どうしたんだおまえ!?」

頭の中がパニックになりかけていた。

知らない…ハルヒを? そんな馬鹿な。
何を言ってるんだよこいつらは。今の今まで、昼休みが始まる前までそこの席に座ってただろうが。ふざけんな。

困惑する俺に、まるで宇宙人でも見るかのような奇怪な視線を向ける二人。なんだよ、それじゃあまるで俺が変なヤツみたいじゃねーか。
冗談じゃないぞ、変なのは俺じゃなくておまえらの方だろう。ちくしょう。

「あっ、でも思い出した!」
「!!」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:12:30.15 ID:XVgNRv5m0
国木田が胸の前で手を一つ叩いて、小さく頷いた。

「おっ、思い出したのか!?」
「うん。そうだ。そういえば去年の冬頃にもハルヒさんがどうしたとか、キョン騒いでたことあったよね」

「…は?」
「確かクリスマスのちょっと前くらいだったかなぁ。思いだしたよ。その人のことでしょ? 」
「あーっ! はいはい俺も思い出したぞ。そうだ、言ってたなぁおまえ。ってことはハルヒってのはあれか? またあの涼宮ハルヒのことか? 東中の」


…二人のその言葉に、きっと以前の俺ならこんなに冷静にはいられなかっただろう。
いや違う。事実、いられなかった、のだ。

まさ…か…
嘘だろ。

頭の中であの時の記憶が、戦慄と共にジワジワと蘇ってきていた。
そしてそれと同時に、今頃になってようやくはっと気が付いたことがあった。
さっき朝比奈さんが俺を殴り飛ばした後に言ったセリフ。


「なんであなたがまた、ここにいるんですかぁ…」


…ぞっとした。
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:57:41.58 ID:OmHzqa60
257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:14:28.52 ID:XVgNRv5m0
また。朝比奈さんはあの時確かに「また」と言った。

また…ってどういうことだ。
またってことは、前にも同じようなことをしたことがあるってことじゃないか。

そうだ。これとまったく同じような状況を、俺は前にも一度経験したことがある。

そうか。そうだったのか。
さっき朝比奈さんに殴られた後に感じた感覚。あれはやっぱり、デジャブなんかじゃない。
国木田が言う、去年のクリスマスの少し前。それは…


「あの」三日間。


ということは…俺は…

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:15:27.21 ID:XVgNRv5m0

 ガタッ

「…!!」

その時、教室の前で固まって喋っていた女子グループの中から、一人が立ち上がって俺の方へと歩み寄ってくることに気が付いた。
さっきクラスの中を見渡した時には、他のヤツの壁に隠れていて見えなかった。だが。
「そいつ」の姿を見て、俺の疑念は確信へと変わった。

なんてこった…
こいつの顔だけは、できることならもう二度と拝みたくないと思っていたのに。
勘弁してくれよ。

深く暗い海を思わせる藍色の髪と、目。
絶対に忘れられないあの薄ら笑い。今思い出しただけでも寒気がする。
俺を何度も殺そうとした女との、2度目の再会か…


「大丈夫? 姿が見えないからみんな心配してたのよ、キョン君」


「…ああ。大丈夫だよ、朝倉」
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:58:06.17 ID:OmHzqa60
259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 04:16:43.29 ID:XVgNRv5m0
「そ。ならいいんだけど」

本当に心配していたのかと言いたくなるような軽い口調で一言だけ言うと、目の前で殺人鬼朝倉は音もなく踵を返した。
くそっ…まさかまたおまえと話しをする日が来ちまうとは。

「…朝倉」
「何?」
「…おまえは、ハルヒを…」

「知らない…よな」
「…なに、またハルヒさん? たしか前にも言ってたわよね。どうしたのキョンくん、またおかしくなっちゃったの?」

シレッと返す朝倉。相変わらず口悪いな。
しかし、こいつは以前に俺がハルヒのことで騒いだことをすぐに思い出したようだった。どうやら後ろにいる二人よりも記憶力がいいらしい。

「いや…すまん。なんでもないんだ。忘れてくれ」
「変な人ね」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:17:56.18 ID:XVgNRv5m0
「……」

…やっぱり、か。

知っているはずがないんだ。「この世界」のこいつらにとっては、ハルヒはクラスイトでもなければ、SOS団の団長でもなんでもない。
いや、と言うよりも、そもそもSOS団などと言う名前の怪しいクラブは最初から存在してはいないんだ。
そう。ハルヒは下校途中、あの坂の下にあるいろんな意味で憧れの名門校、
光陽園学院の一生徒でしかなくなっている。世界を壊すでも再構築するでもなく、ちょっとおかしいけど、ごく一般的な女の子として。
そしてそこは女子高ではなく、今は共学となっているはずだ。


そう。この…


長門が作り出した、偽りの世界では。
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:58:27.85 ID:OmHzqa60
271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:19:56.70 ID:XVgNRv5m0

  キーンコーンカーンコーン

6時間目の授業の終了を告げるチャイムが校舎中に響きわたる。
5時間目の授業は地震のせいで行われなかったが、どうやら生徒に被害がまったくなかったことがわかると、
6時間目は通常通りに行おうということになったらしい。

だけど俺は頭の中が真っ白になっていたせいで、授業が行われていたということにすら気が付くことができなかった。
何も考えられずにいるうちに、いつの間にか放課後がやってきてしまっていた。


…いつも通りならこれからSOS団の部室に行って、古泉とオセロをやりながらハルヒの馬鹿な妄言をハイハイと適当に聞き流して、
朝比奈さんの煎れてくれた熱いお茶をおいしく頂くというのがお決まりのパターンのはずなのに……

今日はそういうわけにはいかなかった。
あの平凡な日常が、やたら遠くへ行ってしまった気がした。

272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:29:25.96 ID:XVgNRv5m0
「…どうしてまた、こんなことになるんだ…」

…もう終わったはずだろう? こんな馬鹿げた話は。
長門と朝比奈さんと過去に戻って。
それで朝倉の恐慌を食い止めて、長門がしようとしていたことも止めて。

それで全て終わりだったはずだ。

「…なのになんで…」


窓の外の雲を見上げながら、さっきの、元の世界にいた時の、俺の朝比奈さんの言葉をふと思い出した。

「だけどきっともう、そんなに大きな事件は起こらないと思いますよ」

「…朝比奈さん…」


…あなたの勘、全然あてにならないですね…
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:58:56.05 ID:OmHzqa60
273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:30:25.10 ID:XVgNRv5m0

いつまでもそうやってぼーっと席に座ってると、頭のてっぺんを何かにツンツンと突かれた。
はっとして顔を上げると、目の前に箒を持った朝倉が立っていた。

「ほらほら。何やってるの。掃除の邪魔だから立って立って」
「……」

…こう言ってくれたのがこいつじゃなくてハルヒだったら、どんなに幸せだったことだろう。
いつもは無駄にでかくてうるせーとしか思ったことのないあいつの声だったが……今はあの声が無償に聞きたい。

「なによもう、ヤル気の無い顔しちゃって。男ならシャンとしなさいよね、シャンと」

くそっ。おまえがいるせいでこんな顔になってるんじゃねーかこの馬鹿野郎。
…そう言ってやろうかと思ったが、やめた。別にこんなところで怒りをブチまけても何がどうなるわけでもない。


でも、確かに…
朝倉の言う通りでもある。シャンとしなくては。
そうだ。いつまでもこんな落ち込んだままではいられない。行動を起こさなきゃ何も変わらないんだ。

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:31:19.61 ID:XVgNRv5m0

朝倉に教室からつまみ出された俺は、とりあえず古泉のことを探してみることにして、各教室を片っ端から覗いていった。

だが、ほとんどわかりきっていたことだったが、どの教室を覗いてみてもやはりあいつの姿はどこにもなかった。
そしてこれもわかりきっていたことだが、やつが在籍しているはずの9組。
本来は廊下の端に存在していなくてはいけないそのクラスだったが、その場所はただの壁へと変わってしまっていた。

…わかってるさ。
あいつも今は光陽園学院の、ただの一生徒に変わっちまっているんだろ。秘密機関の人間でもなければ超能力者でもなんでもなく。
ハルヒの後ろを着いて回っていたけど、たしかそろそろ飽きられてしまっているとか言っていたっけ。
とっくに転校生なんて呼ばれる時期は終わっているだろうが、結局あいつの想いは実を結ぶことができたんだろうか。

そんなことを思ったが、今の俺に他人の心配をしている余裕はどこにもなかったので、考えるのをやめた。
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:59:21.76 ID:OmHzqa60
275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:32:10.27 ID:XVgNRv5m0
「ふう…」

…まいった。以前にこうなった時にも本当にまいったけど、今回もやっぱりまいった。

廊下の窓から身を乗り出して、沈んでいく夕日を見つめながら大きな溜息をつく。

どうしていつも俺ばっかりがこんな目に会わなきゃならないんだろう。
俺、なんか悪い事でもしたか? こんな仕打ちを受けなきゃならないような悪いことしたか?
もしかしたら前世で何かとんでもない悪事をやらかしていて、その代償を今償わされているとでも言うんじゃないだろうか。
だとしたら冗談じゃないぞ。そんなもん俺には何の関係もない。え、おい。聞いているのか神様。


…どうすればいいんだ。
これからどうやって元の世界に戻ったらいい?
再びデタラメな世界に迷い込んでしまった。もう本当の俺を知っているヤツなんて、ここにはどこにも…

276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:33:25.35 ID:XVgNRv5m0
「…あ」

…いや。
そんなことはない。そうだ。そうだった。
いるじゃないか。
頭に血が昇って、すっかり肝心なヤツのことを忘れていた。


「あいつがいるじゃねーか」


思わず声に出してしまった。
そうだ。この世界を作り出した張本人。どんな状況でも絶対になんとかしてくれる万能宇宙人。
いや、こっちの世界でのあいつは、たしか万能でも宇宙人でもなくなってしまっているのだけれど。
それでも前回だって結局あいつのおかげで俺は戻ることができた。

今はまた、あいつに頼るしかない。

あいつなら今日だってSOS団の…違うな。文芸部の部室にいるはずだ。
いつもと変わらず椅子に座って分厚い本を読んでいるはずだ。

俺は慌てて走り出した勢いで転びそうになりながらも、全速力で廊下を駆けていった
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 02:59:42.33 ID:OmHzqa60
277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:34:38.57 ID:XVgNRv5m0
部室の前に到着して、息を切らしてドアノブを回そうとした自分の手を、俺はギリギリのところで思いとどめた。
そうだ。忘れるな。今ここはSOS団の部室なんかじゃない。そんな部は存在してはいない。
ここは文芸部の部室なんだ。

一度ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ちつかせてから、目の前のドアを見据え直す。
今回はいきなり襲いかかるようなマネはしないようにしないと。前の時は完全に怯えちゃってたからな、あいつ。

「ふう…」

握りしめた拳の中で、汗がジンワリと染み出てくる。
もう一度大きく深呼吸をして気持ちを静める。…くそ。なんでこんなに緊張するんだ。

だけどこんなところでただ突っ立ったまま、何もしないでいるわけにはいかない。

 トントン

二回軽くノックをした。

「…どうぞ」

すると少しの間を置いてから、中から聞きなれた小さな声が返ってきた。
…やっぱり、いるんだな。そこに。
俺は金色の冷たいノブを回すと、ドアをゆっくりと引いて開いた。

278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:36:53.74 ID:XVgNRv5m0

「長門…」

長門はいた。
窓際の小さなパイプ椅子に座って、本を持って。いつも通りの格好で。

入ってきた俺を訝しがるように、彼女は顔をこっちに向けたまま動こうとしなかった。
窓から射すオレンジ色の陽の光が反射して、うまくその表情を窺うことができない。
だけど予想していた通り、どうやら眼鏡はかけたままでいるようだった。

その姿を見た瞬間、俺の頭の中で…
半年前のあのできことが、あの時の長門の姿が、フラッシュバックのように鮮明な映像となって蘇った。

無理やり掴んだ俺の腕の中で、怯えるように震えていたあの時の表情。
俺の視線に頬を薄っすらと赤く染めながらも、ひたすら本を読み続けていたこと。
あいつの家から帰ろうとした時、弱々しい力で服を掴んで引き止めてくれたこと。
白紙のまま返した入部届けを見て、泣き出しそうになっていた時の表情。
そして…

一度も見たことのなかった、あの笑顔。
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:00:20.56 ID:OmHzqa60
279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 07:38:06.48 ID:XVgNRv5m0
「……」

また…会えた。
長門に。いや、この子に。
あの時エンターキーを押して、俺は元の世界へ帰ることを願った。だけど…
本当はずっと心残りだった。もう一度だけでいいから…

会いたかった。

胸がジワッと熱くなって、喉の奥から何かが込み上げてくる。
だけど俺は顔を上に向けて、鼻を何度かすすってそれを堪えると、笑顔を作ってから、座ったままの長門に声をかけた。

「…よっ」

しかし長門はそう言っても、まるで置物のように固まったままの姿勢で動こうとしなかった。

「久し振り」
「……」

…声をかけても反応がない。時間が止まってしまっているみたいに動かない。
どうしたんだろう?

「長門?」
「……」
「おーい」
「……」

289 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:08:53.86 ID:XVgNRv5m0
「…もしかして…」
「……」
「俺のこと、覚えてないのか?」

もしかしてそうなんだろうか。不安になった。だとしたら非常に困る。

…よくよく考えてみたら、俺はクラスのやつらの反応から、すっかりここは以前に来たあの時の世界と同じ場所だと思い込んでしまっていたけれど、
本当にそうだという証拠なんて一つもありはしないのだ。
もしかして俺の早とちりだったんだろうか。

「…てる」
「え?」

「覚えてる」

だが、本を机の上に置き、すっと静かに立ち上がった長門がようやく言ったその一言のおかげで、俺はほっと安堵の息をつくことができた。

「そ、そっか」
「……」
「はあ…よかった。ちょっとだけ安心した」

胸を撫で下ろしながら、ハハハと力なく笑ってみせた。
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:00:55.18 ID:OmHzqa60
290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:09:58.14 ID:XVgNRv5m0
「よかった…」

…べつに事態がそれほど好転したというわけではない。帰るための手段が見つかったわけでもない。
だけど…それでも長門が覚えていると言ってくれたことは、地獄の淵にいた俺の手を、強く握って這い上げてくれたような、
そんな暖かく心強い気持ちにさせてくれた。

いつもいつも…本当に頼りなるやつだよな、こいつは。


「また、な…」

「ちょっとお前の世話になっちまうかもしれない」
「……」
「その…迷惑かもしれんが、よろしく頼むな」

そう言ってから俺は、小さく一度頭を下げた。

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:12:01.54 ID:XVgNRv5m0
「もう…」
「?」

「…もう、来ないと思ってた…」

今度は長門が、震えるような口調でポソポソと呟くように言った。
そして窓から射す夕日の光の中から、一歩こちらへと足を踏み出した。おかげで俺はようやく彼女の表情を確認することができた。

あの時と同じだ。口がわずかに半開き。そして、必至に冷静さを保とうとしているようだが、明らかに驚いているのがそのメガネの奥の大きな瞳に表れている。
こんな表情…本当の世界の、クールな宇宙人のあいつなら、絶対に見せることはない。

それを見て確信した。間違いない。
この長門は…あいつのバグ…
いや違う。そう、あいつの願望、本心が作り出した、あの時のあの世界の長門だ。
ホントにわずかな…たったの三日間だけの間だったけど、俺といっしょに過ごした。
宇宙人でもなければ万能でもない、ちょっとシャイだけど、ごく普通の文芸部員の女の子。

あの時の長門に間違いなかった。

だけど…
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:01:57.21 ID:OmHzqa60
293 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:14:06.30 ID:XVgNRv5m0
「もう来ないと思ってたって?」

俺は不思議に思って逆にそう尋ね返した。すると長門は、無言のままコクリと小さく頷いた。

「え、ど、どうして?」
「……」

もう来ないって…
どうしてそんなことを言うんだろう。
つまり、俺は元の世界に戻ったあの日から、ずっとこの部室に来ていなかったということなのだろうか。
どうして…

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:17:25.24 ID:XVgNRv5m0

あの時。
ハルヒと古泉と朝比奈さんと、そして長門と俺。
SOS団の全員がこの部屋に一同にそろって、長門がパソコンに仕掛けた脱出プログラムが作動して…

俺は元の世界に戻りたいか否か、という決断を迫られた。
戻りたいならばエンターキーを押せ、戻りたくないならば違うキーを押せ、と。

…結局俺はエンターキーを押して、ハルヒ達のいる訳のわからない日常を選んでしまったというわけなのだが。


ここからはただの俺の予想なのだが。
この世界がこうやって今も存在を続けているというのなら、おそらく俺の意識はあの時、
パソコンのエンターキーを押したその瞬間に、こっちの自分のものに戻ったんじゃないかと思う。
この世界の谷口や国木田たちから見たら、いつもの、普段通りの俺へと。
そうじゃないと辻褄が合わない。俺の存在だって消えるわけじゃないだろうからな。
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:02:14.52 ID:OmHzqa60
296 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:19:18.69 ID:XVgNRv5m0
…そしてきっと、長門と過ごした三日間のできごとは…俺の記憶から無くなってしまったんじゃないだろうか。
なにせ、その三日間を過ごしたのはこっちの俺じゃない、今ここにいる俺なのだから。
ハルヒ達を探しだしてここまで連れてきたということも、覚えてはいなかったんじゃないだろうか。

…だからあの後、目が覚めた後で自分の知らないヤツらに囲まれて、それがどんな状況なのか俺が理解できなかったとしても無理はない。

だけどそれでも…それでもきっと、俺はあの場に集まったみんなと何だかんだで意気投合して、共にまたSOS団を校外にだろうがなんだろうが作りあげて、
ハルヒの我儘に翻弄されたりしながらも、面白おかしい毎日を過ごしているんじゃないかと、
そう思っていた。そう信じていた。

そしてそこには、きっとここにいる長門の姿もあって…
いつかはみんなと少しずつだけど打ち解けていって、笑い合っているんじゃないかと…
そう思っていた。

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:21:21.37 ID:XVgNRv5m0

「な、なあ」
「……」
「なんでもう来ないと思ってたなんて言うんだ? 俺、もしかして、おまえと会ったの久し振りなのか?」

俺のその言葉に長門は、あの時と同じように困惑した表情を見せていたが、
やがてしばらくの間を置いてから、コクリとまた小さく頷いた。

やっぱりそうなのか…
なんでだ?

「あ、あのさ長門」
「?」
「スマン…きっとおまえは俺がどうしてこんなことを聞くのか、訳がわからないだろうけど…でも、その、できたら去年の12月20日──」

「…あの日、ここで俺がお前に入部届けを返した後、その後から今日までに…俺やおまえにいったいどんなことがあったのか…」

「…教えてくれないか」
「……」
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:03:01.69 ID:OmHzqa60
298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 09:22:13.39 ID:XVgNRv5m0

長門は俺が元の世界へ帰ってしまった日から今日までのことを、静かな口調で詳しく教えてくれた。

その話によると…どうにもあの後、パソコンのエンターキーを押した途端、
俺はまるで糸が切れた人形のようにその場で派手にぶっ倒れて、そのまま気を失ってしまったらしい。
だが、しばらくしてから保健室の布団の中で目を覚ました。そこまで俺を運んでくれたのは長門だったそうなのだが…
そして布団から出てキョロキョロと辺りを見回した後、ずっと見舞ってくれていた長門にたったの一言だけ礼を言い、気恥ずかしそうに帰って行ったそうだ。

そしてそれからというもの、この部室へは顔すら出していないとのことだった。
ハルヒも、長門が俺を見舞い終わってから部室に帰ってきてみると、もうどこにもいなかった。
無論、古泉も、朝比奈さんも。

結局、残されたのは長門一人。
その三人ももうそれ以来ここへやって来ることは一度もなかったという。

391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 18:41:40.94 ID:XVgNRv5m0
「……」

なんじゃそりゃ。

何考えてんだよ、こっちの世界の俺は。
いや、ハルヒもだ。あれだけ大騒ぎして喜んでやがったくせに、ちょっと面倒なことになったらもう顔すら出さないってのか? ふざけんなよ。

くそっ。こんな寂しそうな長門を一人にして放っておくなんて…
死 ね。死んでしまえ俺。


「…それから」
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:10:42.58 ID:KqC2MdU0
392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 18:42:44.63 ID:XVgNRv5m0
長門は顔をうつむかせながら、どこか苦しそうにも聞こえる声で続けた。

「それから?」
「……」

「…付き合っている人も、いるみたいだった…」
「付き合ってる人?」

「……」

「…え?」
「…付き合ってる人…」
「え、誰が?」
「あなた」

「……」

「え、な、なんだって?」
「……」

聞き返しても、長門はそれ以上何も答えようとはしなかった。

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/25(日) 18:44:57.20 ID:XVgNRv5m0

…つ…
付き合ってる人って、つまり…
彼女って、ことだろうか。


お、俺に?


「…えー、あー、うーん…」
「?」
「スマン。あの…なんか変な質問なんだが…いや、変な質問なのは最初っからだが…」

「…俺、誰と付き合ってたんだ?」
「……」

長門はさっきよりもさらに小さな、消え入りそうな声でポソポソと言った。

「…あたしの知らない人…」
「え?」

「…違う学校の人…」
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:12:53.87 ID:KqC2MdU0
495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:06:14.39 ID:XcEz5m8y0
違う学校…
誰だろう? 違う学校に知り合いの女なんてほとんどいないはずだが…
もしかしてあれだろうか、誰かの紹介とか、そういうのだろうか。
ちくしょう。こっちの世界の俺はそんなうまいことやってやがると言うのか。信じられん。

「…キレイな人だった…」
「……」

…ますます信じられん。

このクソ野郎。長門のことは放っておいたくせに、何自分だけヨロシクやってんだ。
覚えのないことで自分自身に腹を立てるというのは何とも妙な感覚だったが、ともかく、むかついた。

「…今も付き合っているのかどうかは、わからないけど…」

…もうとっくに別れてしまっているということを、皮肉とかではなく本気で望む。
じゃないと、下手すると明日からますます面倒なことになってしまいそうだからだ。

496 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:09:50.24 ID:XcEz5m8y0

…しかし。

自分自身のことを聞くなんて、まるで記憶喪失者まがいのことを俺はしているというのに、
それでも長門は、何も聞かないでいてくれるんだな…
それがとても不思議だった。

もしかしたら。
こいつは今までの、この世界の俺と、今ここにいる俺は別人で…
そして、あの三日間をいっしょに過ごした俺こそが、今ここにいる俺と同一人物だと言うことに気付いてくれているのかだろうか。

…気付くはずはない。
なぜならこの長門は、空間移動やタイムスリップなどという馬鹿げた理念とは、まったく無関係の普通の女の子だからだ。
そんな漫画みたいな話が本当に起こっているだなんて、想像すらしていないだろう。

しかしそれでもこいつなら。
長門なら、もしかすると感覚的に何かに気付いてくれているのかもしれない。
そんな期待を俺は抱いてしまう。

長門なら。

…もし本当にそうなら、大変助かるのだが。
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:13:47.20 ID:KqC2MdU0
499 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:19:21.57 ID:XcEz5m8y0
「あっ!」

そこまで考えて、俺はようやく重大なことを思い出した。
この部室にやって来たもう一つの理由。

それは、現実世界の長門からの助け。

 ガタッ

大きく飛び込むように踏み出して、窓際にたたずんでいた長門との距離を俺は一気に縮めた。

「!!」

その途端、突然のことに驚いたのだろうか、眼鏡をかけた長門はビクッと身体を強張らせた。
…怯えた顔。しまった。また怖がらせてしまった。
これじゃあの時と同じじゃないか。また襲われるとでも思ったのだろうか。そんなつもりじゃないんだ。

「長門」
「……」

「ちょっとパソコン借りていいか?」
「え…?」

「あ、うん…」
長門は思い出したように一度だけ頷いた。

「悪い」
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:14:03.34 ID:KqC2MdU0
501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:26:45.66 ID:XcEz5m8y0
相も変わらず古臭いパソコンの電源を急いで入れる。
やっぱり変わってないな。ハルヒがパソコン部の部室から強奪してきたSOS団の新型より、三世代ほど前の代物だ。
古泉がこれを見たときにちょっとしたアンティークものだとか言っていたっけ。

 ウイイイイイイイイインン…

パソコンはガタガタと不快な音をたてながら、まるで牧場にいる牛のようにのんびりとしたスピードで起動を始めた。
3分…5分…10分…
それでもパソコンはなかなかデスクトップの画面を表示しようとしない。
こいつ、俺が焦ってるのを知っててわざとこんなに遅くしているんじゃないのか。

「あっ待って」

ようやくパソコンが完全に立ち上がった時、俺が掴んでいたマウスを横から長門がひょいと奪い取った。
そしてパソコンとは正反対に、もの凄いスピードで、かつ的確に、
デスクトップ上に出しっぱなしになっていたフォルダをひょいひょいとマイボックスにしまいこんでいった。

……たしか前にも同じことやってたな。

「はい」

一瞬で作業を終えた長門は、あえて何もなかったような表情をしてマウスを俺の手元へと返した。
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:14:32.08 ID:KqC2MdU0
503 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:28:56.19 ID:XcEz5m8y0
「…なあ」
「え?」

「今、何しまったんだ?」
「……」

好奇心から、つい俺は長門に尋ねた。
まあ、それは前にここに来た時からなんとなく予想はついているんだけど。
でも、長門が口をつぐんだのを見て、その予想は確信に変わった。


「自分で書いた小説?」


俺がそう聞いた瞬間、長門の白い顔がまるで勢いよく火がついたように、ボッと赤く染まった。
やっぱりな。

504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:32:11.56 ID:XcEz5m8y0
「……違う」

顔を真っ赤にしながら首を振って否定する長門。少し息遣いが荒くなったような気もする。
その様子はかわいらしかった。
そりゃあさすがにバレバレだよ、長門。

「嘘だ」
「嘘じゃない」
「小説だろ?」
「違う」
「嘘つけよ〜」
「……嘘じゃない」

動揺を隠すように同じ言い訳を必死に繰り返す長門を見て、ああ、やっぱりこっちの長門は普通の女の子なんだなと改めて思った。
俺はそれが少し嬉しくなった。
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:14:55.10 ID:KqC2MdU0
510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:37:23.24 ID:XcEz5m8y0
「なあ、今度それ、読ませてくれよ。前から読んでみたいと思ってたんだ。頼む」

少し真剣な顔でそう言うと、長門は困ったような顔で俺の目を見つめてきた。
だが、黙ってその眼を見つめ返してやると、そのうちさらに頬を赤らめてうつむいてしまった。
そして一つ息をついてから、観念したといったような声で言った。

「……わかった」

「えっホントか?」
「うん」
「絶対な。約束だぞ?」
「約束する」

俺は笑った。うつむく長門も恥ずかしそうだったが、どこか嬉そうな表情に見えた。
だけどそれは、笑っていた、というわけではなかったのだけど。

511 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:39:48.68 ID:XcEz5m8y0

「!!」

その瞬間、視界の端で、パソコンの画面が突然真っ暗なものへと変わったのに気が付いた。
なんだ? 停止した?
いや、違う。

この画面は。

何秒かの間があってから、その真っ暗なモニターの中に白色の文字で、自動的にタイプがうち込まれ始めた。


YUKI・N>


……やっぱり。
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:15:18.27 ID:KqC2MdU0
513 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 01:41:41.56 ID:XcEz5m8y0
予想した通り。
長門。そっちの世界でも、おまえは俺のこと見ていてくれたんだな。ホントに頼りになるヤツだ。
この画面と文字に世話になるのももう何度目のことだろう。俺にとってはすっかりお馴染みになってしまったから今更特に驚くということもない。
それにしてもこんな早くにヒントをくれるなんて、今回は随分と気前がいいじゃないか。


>そこはパラレルワールド


「パラレルワールド……?」

525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 02:15:06.42 ID:XcEz5m8y0
パラレルワールド。
画面に打ち込まれたその文字を見て、俺はその言葉の意味をすぐに思い出すことができた。
それは、偶然にもついさっき俺が耳にした言葉だった。さっきもさっき、今日の昼休みだ。
元の世界の朝比奈さんがミニカレーを食べながら熱く語ってくれた。


>あの時あなたが、別のキーを選択した世界の未来。


「別のキー…」

別のキー……というのは、あの脱出プログラム作動させる時、俺が押したエンターキーとは違うキーのことだろうか。
あのエンターキーとは、別のキーボタン。

それを押した場合、用意されていたのは、宇宙人も未来人も超能力者も、そして神様もどきみたいなヤツもいない、平穏な世界。


ふと、頭の中で朝比奈さんの長い講釈をぼんやりと思いだした。
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:15:34.09 ID:KqC2MdU0
527 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 02:19:05.96 ID:XcEz5m8y0

「キョン君にもありますよね? 二者択一の選択を迫られて、どちらかを選んだということが。
 そしてその選択の結果を悔やんだこともありませんか? 間違ったーっとか、ああこうしていればなあ、とか。
 そんなたくさんの失敗や成功を経て辿り着いたのが今のわたしたちの世界というわけなんですけど、実は別の方を選んだ場合の世界の未来だって、ちゃんと存在してるんです」
「ほうほう」
「選んだ方の世界、選ばなかった方の世界。世界は、何通りも存在してるんです。あたしたちがいる世界だけが現実じゃない。わかりますか?」


……なるほどね。


ここは……疲れてしまった長門が、世界を作り変えてまで望んだ、普通の日常。
俺がエンターキーを押さなかった世界。

なぜかはわからないが、ハルヒ達のいる馬鹿げた日常を選んだはずの俺が、再びこの平穏な方の世界に迷い込んでしまったというわけか。
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:15:56.09 ID:KqC2MdU0
38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:42:23.91 ID:XcEz5m8y0
腕組みをしながら黙って考え込んでいると、再びスクリーンにタイプが始まった。

>今あなたがいる世界では、涼宮ハルヒやわたしやあなたが関わりを持つということは永遠にない。

「…やっぱりそうなのか」

俺達SOS団はあの時、全員一度は顔を合わせてみたけど、結局は別々の道を進んだらしい。


…でも。
そんなのあるかよ。
ひどすぎるだろ。許されるのかよ。
じゃあ、ここにいる長門はこの後ずっとどうするんだよ。

ずっと一人で、一人ぼっちで、ここで本を読んでいる気なのか?

そんなの……寂しすぎるじゃないか。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:44:45.14 ID:XcEz5m8y0

「……」

何秒かしてまたタイプが始まる。

>あなたがその世界に飛ばされた原因は

それだ。それがまず一番知りたかった。
その中に俺が元の世界に戻るための方法のヒントも隠されているかもしれない。

「原因は…?」

>わからない。現在調査中。

「…おい」

なんだよそれ。
困るぞそんなの。ここはおまえが作った世界じゃないか。
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:16:22.05 ID:KqC2MdU0
40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:45:50.18 ID:XcEz5m8y0

 カタカタカタカタカタ

直接キーボードを叩いて文字を入力する。これがこっちから自分の意思を長門に伝える唯一の連絡方法だ。

>前回はおまえの意思で俺はこの世界に一人残された。でも、今回は違うだろ? なぜだ? わからないのか?

すぐに返信がくる。

>調査中。

「おいおい…」

勘弁してくれ。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:50:40.33 ID:XcEz5m8y0
>でも

「でも?」

>帰還方法はある。

「何っ!?」

思わず椅子から立ち上がってしまった。

 カタカタカタカタ

>あるのか!? 戻る方法が?

>ある。ただし少し時間がかかる。
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:16:47.12 ID:KqC2MdU0
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:51:27.11 ID:XcEz5m8y0
「時間……」

時間……って、なんだ。
まさか五年とか十年とか言うんじゃないだろうな。


>どれくらい?

>五日間。その時またそこいて。あなたを連れ戻す。


「五日間……」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:55:04.15 ID:XcEz5m8y0
俺がそう小さく呟いた途端、小さな機械音と共に今まで写し出されていた文字が急に画面上から全て消えた。どうやら本当に電源が落ちてしまったらしい。
その後はいくらキーボードを叩いても、旧式のパソコンはうんともすんと言わず、スクリーンは真っ黒のまま何の反応も示さないで停止していた。


「……」

「五日間か…」


…うん。
たいした時間じゃない。この前来た時だって一瞬に感じたけど、三日間もここにいたんだからな。
よかった。あいつが……長門そうが断言してくれたんだ。間違いはないだろう。どうやら今回はもう安心してもよさそうだ。

「YUKI・N…」
「?」


「…わたしの…名前…?」
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:17:21.75 ID:KqC2MdU0
45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 16:58:39.25 ID:XcEz5m8y0
横で呆然としていた長門が、説明を求めるように俺に言った。

「あ、ああ、うん。それは…その…」
「どういうこと?」
「えーっとな。これにはその…もの凄ーい深い事情があって…」
「深い事情…?」
「ああ。深いっていうかめんどくさいっていうか…で、でももう大丈夫。全然なんてことなかったからさ」
「……」

俺がその本当の理由を言い辛そうにしていると、長門はもうそれ以上追求してこようとはしなかった。
…このサッパリしたところがこいつのいいところだよな。こっちでも、あっちでも。

「さーて」

緊張が解けて力の抜けた身体を、俺はゆっくりと椅子から持ち上げた。
もう半分街に沈んだ夕日を窓から眺め見る。辺りの色はいつのまにか眩しいオレンジから薄暗い紫色へと変わってしまっていた。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/11/26(月) 17:00:18.43 ID:XcEz5m8y0
「どうすっかなー」

うんと背伸びしてから、間抜けに言った。
帰れる。間違いなく。もう大丈夫だ。
そして五日間。元の世界に帰るまでに、それだけの時間の猶予が与えられた。
その間に必ず実行しなくてはいけない、ということは特に定められてはいない。鍵を揃えよなんていう訳のわからない謎かけも今回はない。

ならば俺はその与えられた時間を、いったいどうやって過ごすべきなのだろうか。

だったの五日間だ。何かをしようと思ったって、できることなんて限られているだろう。もしできたとしてもきっとたいしたことはできない。
それでもその短い間に、俺がこの世界にいる間にしなくてはいけないこととはなんだろう。


それはもう、とっくに決まっていた。
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:17:37.66 ID:KqC2MdU0
58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/11/26(月) 17:04:41.68 ID:XcEz5m8y0

「あ、あのさ長門」

一言言ってから、俺は眼鏡をかけた長門の顔を見た。
するとたったそれだけのことでまた薄っすらと頬を赤く染め、下を向いてしまった。
どうもこっちの長門は本当に人一倍シャイらしい。

「あの…」
「…何?」


「…入部届け、あるか?」
「……!」


俺がそう言うと、うつむいていた長門は驚いたようにぱっとその顔を上にあげた。
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:18:31.40 ID:KqC2MdU0
184 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:06:38.36 ID:D1uzlnEr0
「…ある」

「悪い。よかったらまた一枚、もらえないかな?」
「待って」

長門は勢いよく傍にあった机の引き出しを開けて、中を物色し始めた。

 ガサガサガサガサ…

「……」

長門が机の中のもの、鉛筆やら小冊子やらセロハンテープやらを手当たり次第にその辺に放り出す様子を俺は横から黙って眺めていたのだが、
ふと隣の本棚を見ると、並べて置かれていた本の列の上に、白紙の入部届けの束がキレイに揃えられているのを見つけてしまった。

「あ、長門。ここに……」
「あった」

185 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:07:21.52 ID:D1uzlnEr0
顔を上げた長門がその手に掴んでいたのは、クシャクシャの、だけど何も書かれていない入部届けだった。
どうやら机の奥底からわざわざ探し出してくれたみたいだ。でも…

「…そんなに必死に探してくれたのは嬉しいけどさ、ここにほら、新しいやつがたくさん──」
「あなたの」

「…え?」

そう言って俺の言葉を途切った長門は、机の中から探し出したその入部届けをすっと差し出した。
それを見た俺の脳裏に、あのときの出来事が再びよぎった。

「…も…」

「…もしかして、これ」
「あなたの」


…この入部届け…


「…あの時の…」

 コクリ
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:18:47.96 ID:KqC2MdU0
186 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:08:05.71 ID:D1uzlnEr0

「……」

信じられなかった。

何も書かれていない、白紙の入部届け。
それはたしかに半年前に俺がこの世界からいなくなる時、涙目の長門につっかえした物だった。
こんなにクシャクシャになってしまっているのは、俺が乱暴にポケットの中に突っ込んでしまっていたせいだろう。

そんな、こんなどうでもいい物を…
今まで大事に取っておいてくれたなんて…


「…な…」

「…長門…」


そう言うと、長門は再び照れたようにして下を向いた。


 ズキッ

187 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:09:23.13 ID:D1uzlnEr0
その時俺の胸の中で何か、小さいけど鋭く尖った針に刺されたような痛みが走るのを感じた。

俺は…あれからおまえに会いに来ようともしなかったと言うのに…
話しかけようともしなかったのに…

それでも、こんな冷たい俺のことを…
おまえはずっと待ってくれていたのか…



長門…



「……」

「…はっ」
「?」
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:19:05.44 ID:KqC2MdU0
188 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:09:56.79 ID:D1uzlnEr0
「あ……え、えーっと。ありがと長門。あとついでにさ、何か書くもんあるか?」

ぐっと押し寄せた感情を俺は必死に押し殺して、あえてできるだけ普通な口調で言った。

「ある」

そう言うと、長門は制服のポケットからゴソゴソとサインペンを取り出して俺に渡してくれた。

「さ、サンキュ。えーっと、それじゃあ…はい、これ」
「……」
「前に一回破棄しちゃったけど、今回はちゃんと正式に文芸部に入部したい」
「……」

一つ息を吐いてから、静かに続きの言葉を言う。


「許可して…」

「…くれる…か?」


「……」

189 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:11:32.05 ID:D1uzlnEr0

…一瞬の沈黙。

だけどすぐに、その沈黙を破って長門は言った。

でも、ただ言ったってわけじゃない。そう、薄っすらとだったけど、あれは…



「認めます」



…その時確かに、長門は優しく微笑んでいた。
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:19:32.94 ID:KqC2MdU0
190 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 07:13:49.25 ID:D1uzlnEr0

───────


翌日。

「ふわぁ…」

重たい身体を布団から起こして、眠い目を擦りながら自分の部屋の中をキョロキョロと見回してみる。

「……」

特に変わったところはない。
いつも通りの、何の面白味もない俺の部屋だ。

「…夢…」

…だったのか? もしかして。

だとしたら、随分リアルな夢もあったもんだ。こんなにリアルな夢を見たのはハルヒと閉鎖空間に閉じ込められた時くらいのもんだ。
まあ、どうやらあれは夢じゃなかったとのことだったが。

197 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:12:46.79 ID:D1uzlnEr0

「おはよ〜キョンくん〜」
「ん…おはよ」

廊下で俺のことを滑るように追い抜いて行った妹が笑って朝の挨拶をした。

「…うーむ」

家族にも特に変わった様子はない。猫のシャミにも別段変化はない。前に来た時もそうだったけど。
それにしても、これじゃ本当にまた別の世界にやってきてしまったのかよくわからないな…
もしかして実は、やっぱり昨日の出来事は全部夢だったんじゃないだろうか。

そう期待していたのだが、焼けるような気温の坂道を登り学校までたどり着くと、そんな甘い考えは通用しないのだとすぐに思い知らされた。

「あら、おはようキョン君」

ハルヒの代わりに朝倉がいるのだ。
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:19:51.40 ID:KqC2MdU0
198 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:13:52.84 ID:D1uzlnEr0
「…おはよう」
「なんか顔色悪いわね。大丈夫?」

それはおまえのせいなんだけどな。

「大丈夫だよ」
「そう。昨日もちょっと変なこと言ってたけど、しっかりしてよね」
「ああ」


「…はぁー…」

…朝倉と話すと、というか顔を見ただけで、本当にどっと疲れを感じる。まるでマラソンでも走らさせられた後のような。
どうやら殺されかけたとかそういうのを抜きにしても、こいつとは根本から合わないようだ。

199 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:15:06.60 ID:D1uzlnEr0

「しっかしよ〜昨日の地震にはホントびっくりしたよなぁ」

朝のショートホームルームが終わった後、隣の席で谷口があくびをしながらいつものちゃらけた口調でそう言った。
本当にびっくりしていたようにはとても思えない間抜けな言い方だ。だが…

そう。

「地震だ」
「あ?」

昨日学校から自宅に帰ってきた後も、俺は眠らずにいろいろこの世界にやってきてしまった原因を考えてみた。
あの時長門が作り上げた世界。このパラレルワールドへ俺が再び飛ばされた理由を。

やはり、あの地震が直接的な原因だとしか考えられない。
あの直後に俺は朝比奈さんにビンタで吹っ飛ばされ、教室からはハルヒが消えた。
そして代わりのポジションには朝倉がいて、長門はかわいらしい眼鏡っ子へと再び変貌を遂げてしまっていた。

きっとあの時の巨大地震の影響で、世界が微妙におかしくなったんだ。

「うーん…」
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:20:08.14 ID:KqC2MdU0
200 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:17:10.44 ID:D1uzlnEr0
「なんだキョンさっきからよぉ。便秘か?」
「違う」
「昨日もちょっと変なこと言ってたもんねー。今日は大丈夫? しっかりしてよ?」
「朝倉と同じセリフ言うな」

…ま、
考えたってしかたがないか。
どうせどうやったって、俺のこの一般人より少し劣るような出来の脳みそじゃ、理解できる範疇を超えた問題なんだろう。
だったらいくら考えたって無駄なだけだ。ならばあえて考えないでいてやるさ。ああ考えないとも。

それに今回は前回と違って、頭を抱えて悩んだりする必要もないんだからな。
なにせ五日後には確実に迎えが来てくれると決まっているのだ。

202 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:18:03.49 ID:D1uzlnEr0
「だけどあんだけでかい地震でよくこのボロ校舎がぶっ潰れなかったよな。ちょっと感心したぜ」

俺が昨日考えたことと同じことを谷口は言った。どうやら思うことは皆一緒のようだ。

「というより、学校だけじゃなく他のどこでも物理的な被害はなかったみたいだよ。変な話だよね、いいことだけどさ」
「うーん不思議だなぁ」

…確かにそりゃちょっと不思議だ。
俺がこっちに飛ばされてきたことともしかしたら何か関係があるかもしれない。

…と思ったが、それ以上深く考え込んでしまう前に、俺は自分の思考回路をストップさせることにした。
いいんだよ、そんなことは。どうでも。
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 03:20:32.75 ID:KqC2MdU0
203 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:19:22.02 ID:D1uzlnEr0

 キーンコーンカーンコーン

全ての授業が終わり、放課後の始まりを告げるチャイムが鳴る。
頭の中がまるで別のことでいっぱいで、授業をまったく聞いてなかったおかげで、昨日に続き今日も時間が過ぎるのが大変早かった。

「…そ」

今の俺には、そんなことを考えてる余裕なんてどこにもないんだ。

205 名前:1[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 08:21:17.68 ID:D1uzlnEr0

 コンコン

見慣れた、いつもなら何の遠慮もなしに開けるはずのドアを軽い力でノックする。

「はい」

中から小さな声で返事が返ってきた。

「俺だ。入ってもいいか?」
「…どうぞ」
「ん、それじゃ」

俺はひとつ断りを入れてから、静かにドアを開けた。

 ガチャリ…
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 06:35:16.52 ID:/SFe/wAO
>>1
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 18:55:16.34 ID:WTxobmAo
>>1
ていうかいつの間に落ちた?
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/29(木) 20:39:39.74 ID:Ip0z2o.0
本スレからきました。
なんかいつの間にか落ちてたね。保守しようと思ったらもうなかった。
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/30(金) 01:28:50.90 ID:wjX1org0
保守
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/30(金) 02:57:03.49 ID:wjX1org0
              /          \
                , '            ヽ
            /       j __/_    ハ
              /  、ヽ ハ   /// `//   }
               レ  ィくム从 /イtァテ</     ! 
             i ハゝ ii Y-{ ゞ'┘/:/   ,′
             l !ヘ\__,ノ' ` ー‐7 /   /  
             リl 八   .   /イ ///    
             ヽヘ > 、   ,.ィ//ル′   
               ` \N、l`71-‐〃´ ̄ヽ 
               〃 ̄ V }{ヽ/    _>
       ___      /\_,.ィ=ヽ/_.. -‐ヘ
       l\ミミヽ、   ,ィ≦三彡'´ ̄「ヽ     ヽ
       |   `ヾミヽイ彡'"      |        \ 
       j_    l≡l         !_         \
       { ヽ   |  !         _ とニヽ        ヽ
       ヾー;ヘ   l  l       ヾー- !\` 、     } 

85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/30(金) 02:57:45.29 ID:wjX1org0
スマン素でSS間違えた
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/11/30(金) 03:09:38.13 ID:wjX1org0
           __, -──- 、
        / /        `ヽ
          / ,'           \
       /  ! / / ,  ,   } ヽ  ヽ
       ,'  │ {, 'i ィレ'レ|  ハ ハ !  ハ
      ,イ   |   |‐‐‐-、 レ' _ム__!_i/ ! }
     ~ レ、 i  ,ィ≠、     ___ }ノノ}ノ
        N,ヘ  V:rソ    {!::jテ//   ……………
        ` レヽ ! ̄/////└' //  -3
          `ヘ |>、  ‐   , イ/    SSじゃなくてAAだった…
            ,∨- ≧ー≦´W
         ,<ヾ、  \ニミ! `¨ヽ__
         /::::\ , ――┘、/, ―‐┤
         /::::::::::|  ̄ ̄ ̄ iー 'i イみ , !、
         /::::::::::::レ┐ 性  |  | ケく {  l
         〈:::_/::{  ] 奴  |  |.ナる└,ヘ
       /::´::::::::::>ー' 隷 │ !イは !::}
        {::::::::::/::|_____|_|_, ---':ソ
       `ー‐フ:::::::::::::::|/廾、ヽ:::|`ー‐ ´
          /:::::::::::::::::|∨| || V::::|
           l:::::::::::::::::::| ̄| || |:::::::〉
         >┴┴┴'   VV┴ ヘ
       /    ∧   ∧  \
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/30(金) 12:06:12.55 ID:kM6rkQAO
スレ主はこのスレ来てくれるのかな?
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/30(金) 18:34:29.71 ID:mrIdjxE0
来てくれなくてもVIPにスレ主が新スレたてたときには
誰かここに情報欲しいかなと思う
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/11/30(金) 20:53:23.70 ID:M804Floo
よし、もしVIPで見つけたらこのスレに報告するわ、お前らも頼んだぜ
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 01:53:52.34 ID:fVt8H/w0
了解だ、俺も見かけたら書くんでよろしく頼む。
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/01(土) 04:34:07.69 ID:R0lvoXc0
保守
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/01(土) 09:37:53.33 ID:UaCZJUAO
>>89
了解した。
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 12:41:22.74 ID:q5yAjC6o
長門とキョンが帰る事が出来ないと云う局面の、他者のSS投下は、可なりや否や?
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 12:43:09.47 ID:UaCZJUAO
可なり。
wwktk
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 12:45:29.92 ID:q5yAjC6o
>>94
了解。感謝。これより構想に入る。期待しないで。
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/01(土) 12:49:36.49 ID:Lc5rrRg0
ちょうどいいところにwwwwww
wwktkして待ってる 
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 21:41:36.60 ID:Lc5rrRgo
ま・・・だ・・・か?
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 21:48:53.44 ID:wYZ9Iz6o
ジラースジラース・・・
焦らしすぎwwwwwwwwwwwwwwwwww
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/01(土) 23:14:48.67 ID:L5.UrFUo
まだか
100 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 02:33:24.33 ID:8cpNnWQo
 雪の中 1/5

瞼を開けたはずなのに、それが定かかどうかも判らない闇の中だった。
俺は寝て居たんだっけ?今は夜か?ここはどこだ?寒いぞ。布団を蹴っちまったかな?って、なんだか背中が冷たいぞ、おい。

「動かないで」
殆ど聞き取れない程小さな声が、上向きに寝ている事だけは判る俺の顔の上から静かに降りて来た。
「………ながと?」
いやいやいやいや長門さん、なぜこんな真っ暗やみの中、俺のベッドの上に居られるのですか……って、ここはどこだ?なんだか冷たいし、布団じゃないぞ。
「ユキノナカ」
ああ、なんだって?どうも頭がぼーっとしている。なんで俺がお前の中に居るんだよ?胎内回帰にしたって変だぞ?って、何こっ恥ずかしい事考えてんだ俺。
ええと、『ユキのナカ』『雪の中』と考えるべきなのだろうな。うむ、寒いし冷たいし。そうだそれに違いない。コホン…。

なんだって俺はこんなに頭が混乱しているんだ?

「衝撃が強かった上、精神に攻撃を受けた。」
衝撃?
「衝撃に寄る破損は修復、攻撃は無効化済み。」

ええと、一体何があったのでしょう?

「雪崩…」
……………なだれ?

………ああ、そうだったな、雪崩に追われたんだった、俺と………おまえは。
じゃあ雪崩に巻き込まれちまったのか、俺たち。


事の始まりはすっ飛ばそう。例によって例の如くSOS団の冬合宿として雪山に来てスキーに興じていたのだ。スキー客でにぎわっているゲレンデではなく山の中腹で。

他に誰もいない所を滑るのは快感だった。真っ白な山肌に俺たちだけのシュループ。
中腹といってもたいした斜面では無く、場所さえ間違えなければ朝比奈さんでもなんとか楽しく滑る事が出来るところだった。猛練習をなさったのだろうなぁ、本当に努力家でいらっしゃる。
元々鶴屋さんの山だとかで、鶴屋さん一族の遊び場みたいなもんらしい。その鶴屋さんの案内で楽しませてもらっているのだ。なんとまぁ、把手のついたロープをモーターで動かす簡易昇降機まであるんだぜ、流石鶴屋さんち。

「だって、いちいち上まで歩いて上がるの疲れるし面倒だしさっ。時間ももったいないっしょ。」
いやいやたいしたもんです。ところで朝比奈さんに鶴屋さん、お二人共受験はどうなさったのでしょうか?
「折角の年の暮れに野暮な事言うもんじゃないよっ。なんとかなるっさ!」
………ほんとたいしたもんです。

はっきり言って、雪崩等起こるはずもない様なところだった。

しかし、雪崩は起きた。
101 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 02:33:53.23 ID:8cpNnWQo
 雪の中 2/5

滑っているうちに自然と俺たちはばらけて来た。
朝比奈さんは低めの所から滑っているし、鶴屋さんはそれに付き合って賑やかにしている。
結構長いこと長門と競争をくり返していたハルヒも流石に飽きたらしく、今度は古泉を顎で使ってあちらこちらのビデオを撮らせ始めていた。来年の文化祭にでも使う気なのかね?

え?妹はどうしたって?今回は上手く誤摩化してやったよ。まったく大変だったんだぜ。
おかげでハルヒや鶴屋さん、朝比奈さんには残念がられたけどね。そうそう甘やかしてばかりはいられないってもんだ。

なんとなく長門に続いてロープの把手に手をかけた俺は、そんなみんなを眺めながら後どれくらいで午後のお茶になるのかなとか平和だなとか去年の悪夢みたいな事は起こらないで欲しいなとか、そんなことを考えて居たんだ、その時にはね。

流石にかなりの高さと距離のある昇降機(何と呼ぶのか判らない。)の最上部に到着し、俺が並ぶのを律儀に待っていた長門とヨーイドンで滑り始めた。こちらにビデオカメラを向けている古泉に、ハルヒが大げさに手を振り回してなにやら指示をしている。元気なこった。
うむ、こんなシーンなら絵になるだろう。どんな映画にする気かわかったもんじゃないが。転ぶなよ俺。

何度も何度もハルヒに長門に古泉に俺に、それから一度か二度鶴屋さんが通った雪の斜面が異様な動きをしたのは、滑り始めてすぐだった。

怪し気な気配がした直後、俺より遅くなるはずのない長門の姿が後ろに流れ、一気に俺のスピードが上がった。
え、何をしたんだ?俺に良い格好をさせるつもりか?そんなことしなくっていいから……と、ちらっと後ろを見たら………そこには雪の壁がそそり立っていた。

「振り向かないで、急いで。」
いきなりの轟音の中、実に穏やかに静かに尤もな事を仰って下さいますね長門さん。良かったらもう少し焦って下さい。もちろん大急ぎ大特急です。
実のところそう心配はしていなかった。例によって例の如く長門の呪文が雪崩の速度を抑えたり方向を変えたり、俺と長門の速度を上げたりするくらいはできるだろうと咄嗟に考えていたし、事実長門はそうしていたらしい、後ろの状況だから確認はできなかったが。
心臓ばくばくだったけどね。

しかしそれが続かなかった。突然断たれてしまった。俺の速度は急低下し轟音は迫り、一瞬長門のスキーウエアに包まれた手が見えたと思ったら………先の展開となってしまっていたのだ。
102 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 02:34:23.47 ID:8cpNnWQo
 雪の中 3/5

ぽとん…

闇の中、何かが耳元に落ちた。そういえば気が付いた時から一定のリズムで落ちているみたいだ。寒いとはいえ雪の中にしては暖かいから、天井の方が溶けているのだろうか。

「つまり、雪崩に巻き込まれて損傷…ええと怪我をしたのか俺?を治してくれたってことか。」
いつものことながらすまん。で、精神に攻撃って………おい、まさか……

「おそらく天涯領域による精神攻撃。今も続いているが、あなたはもう大丈夫。」
俺の顔の上からあっさりと言ってくれる。あなたはって、おい!おまえはどうなんだ!

「時間が無い。要点を伝える。わたしたちは」

ぽとん…

「閉じ込められている。」

それはわかる。そうでもなけりゃお前が黙ってこんな所にいやしない。いやいやその前に雪崩に巻込まれる事もあるはずもない。なにより雪崩自体起こるはずがない!

「周防九曜かっ!!!」

「違う、と思う。」
「あいつしかいないだろう!?くそっなんでこんなことしやがる!」
「違うと、思っている。」
「しかし………」

ぽとん…俺の頬に液体が落ちて来た。やっぱり溶けているんだな。長門が気温を上げてくれているのだろう。

「要点を言う。良く聞いて。」
………すまん、時間が無いとか言っていたな。よし聞くぞ。怒りをぶち撒くのは助かってからだ。お前も俺も。

「空間確保の上、酸素供給のナノマシンを散布。呼吸に関しての心配は無い。更に雪の加圧を調整、確保した空間のマイナス方向への容積変化は無い。これから体力・体温保持他、救助もしくは脱出までの間必要と思われる効果を持つナノマシンをあなたに注入したい。手を上げて…」
俺は右手をわずかに上げただけで雪の壁にぶつけてしまった。冷たい感触で手袋が無くなっているのに気付いた。どうやら袖の辺りも破けて取れてしまっているらしい。
空間確保は最低限なのだろう。しゃくしゃくっという雪の感触と俺の身体の脇を擦る感じを受けつつ、長門の声の方に適当に見当を付けて、もそもそと身をよじらせながら手を上げて行った。

まっくらでなにがどこやらわからんぞ。
103 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 02:35:22.23 ID:8cpNnWQo
 雪の中 4/5

ぽとん…

「明るくしてくれないか?どこにおまえの顔があるのかわからん。」
「………あなたの顔の上。」
「…すまん、明るくはできないのか。」
完全な闇の中、俺は自分の鼻先に手を置こうとして途中で長門の腕に触れた。俺の右肩の少し下に片手を突いている。なんとなくほっとしてその腕に添って右手を挙げた。どうやら突っ張って天井を支えてくれているらしい。
腕に添って上げた手は暖かな頬に触れ、長門は中指をそっと銜えた。圧力はあるが痛くは無い。いつもほんとにすまん………………なんだ、お前泣いているのか?頬が濡れているようだぞ。いや泣くのは………いやしかし………

ぽとん…

今度は唇に落ちて来た。じゃあこれは水じゃなくて涙?なみだって………お前………
ゆるりと唇を滑り僅かに口に入ったそれは、しょっぱく、鉄の味が………

「明かりをつけろ!」
「…………」
「怪我をしているんだな!あああいいから治せ!何やってんだお前!俺はもう大丈夫なんだろう!?だから早く治せよ!」
「聞いて、治している時間も余力も無い。わたしは後2分で」
「だから少しでも…!」
「行動不能となる。」

ぽとん…

俺は固まった。
今何と言った?行動不能?
「前と同じような負荷を受けている。耐え切る事はできない。あなたの安全は保たれると思われる。だから安心して救助を待って。負荷が消えればわたしがここから出す。」
俺は上げたままの手で長門の頬を覆い、更に頭の方に伸ばした。酷い怪我をしているのが、俺にだって判る………。

「酸素も体力その他も最低1000時間は保たれる、だから諦めずに。」

そんなに保つのか凄いな流石はお前だ、それだけありゃハルヒが素手でも掘り出してくれるだろう……で、お前自身はどうなんだ?俺だけ助かるなんてのは嫌だからな。

「…………」
「言うべき事は言ったか?」
「言った。」
「たのむ、明かりをつけてくれ。お前の顔を見たい、見せてくれよ。」
「………………見せたく無い。」
………そんなにひどいのか。

ぽとん…

「行動不能になる前に弱い明かりを付ける、精神的安定の為。でも、見て欲しくは無い。」
わかったよ、わかった、もういいから。
「ごめんなさい。」
謝るなよ、泣けちまうじゃねえか。ちくしょう、何だって俺はこんなに無力なんだ?
ちくしょう ちくしょう ちくしょう!

おれは長門の顔を右手で撫でてしまった。それだけでもざっくりと裂けているのが判る。どんなに酷い傷だってかまわない、かまうものか………
104 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 02:36:01.01 ID:8cpNnWQo
 雪の中 5/5

俺の右手が触れている頬が急激に熱くなり、ゆっくりと長門の顔が降りて来るのが感じられた。
俺はできるだけ静かに、俺の顔の横に長門の頭を誘導した。焼ける様に熱い頬が俺の頬をこする。少し斜めにして呼吸を楽に出来る様にしようとしたが、上手くいったかどうかわからない。
長門の小さな身体が俺の胸の上に被さり、頭がとすっと雪の上に収まった時、どこが光源か判らない微かな明かりが灯った。
ぼうっとした光が当たる雪の天井には赤い不規則な模様がついている。手を延ばせば届くそこに長門は頭を押し付けていたのだ。

俺は真っ直ぐにそれを見つめたまま、手で雪を掻き集めて長門の頭や首に押し付けた。あっと言う間に溶ける。掻き集めては押し付け、掻き集めては押し付け、そうしながら俺は泣いていた。

いつもなんでこうなるんだ?
いつもいつも一番とんでもない目に会っているのはこいつだ。俺が知らない所でも酷い事になっているんじゃないのか?

天涯領域の連中がなんだってんだ?進化の可能性がどうだっていうんだ?そんなことのためになんでこんな目に合わされなくちゃならんのだ。

周防九曜、長門は否定していたが、もしお前がこんな事の犯人なら俺は絶対に許さない。

絶対に。
105 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 02:40:56.26 ID:8cpNnWQo
10月末日に初めてハルヒを知り、その後ぞっこんになった新参者です。
初めてのSSでおかしな所もあるかと存じます。ご指摘頂ければ嬉しく思います。
最後が妙に尻切れなのは、帰れない時点までという事でご了承ください。

お粗末様でした。
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/02(日) 04:25:50.53 ID:A94gaRQo
>>105
ご了承できNEEEEEEEEE!!
長門長門ながとなgtどうなっちゃうんだ?!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

細かいこと申し上げれば、長門が行動不能になっても
尚、1000時間酸素の供給や人一人分の空間が維持できるのは
どういう長門magicなのかなあ・・?とかちょっと思いますた
いや、そんなん全くの些事ですが…GJ
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/02(日) 05:43:22.13 ID:uq.AbkAO
>>106
ヒント:ナノマシン注入


このままBAD ENDは後味悪すぐる…
続編に期待する
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/02(日) 09:15:22.12 ID:vhyCbyk0
乙!


続編待ってるぜ!
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/02(日) 16:13:59.84 ID:LNHzvaoo
長門。・゚・(ノД`)・゚・。
乙、意外と本格的で泣いた、是非続編を
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/02(日) 22:20:16.67 ID:CjgErg20
  |::l | ::::|::::::::-i-L;;_l .|!i:::::l ヽ::::l  ヽ、__;;;;::::| :::::::::::::::::l::::
  |:! .|::::::l::__;;;|_ l:::l`ヽヽ;:::l ヾ;レ‐'''゙゙´\ :::::| ::::::::::::::::l:::::
  l!  .|:::/ ___ノ,ィ'ト|''=ミ、 ヾ!  ,r-=fニミ;;弍;;| :::::::::::::::l~゙'i
    l/ ,/ト、::l゙__゙ヾ::ii::|ヽ  ,/  .|:::illi:::゙ii/ |:::::::::::::::j¨゙ l
   /⌒ヾ、|/`fト l ゙K);j .l'⌒''h.   K);;;;ッリ l:::::::::::::/ .ノ ………
  /‐-、 `iノ /'ヽ|、   ノ    ヾ、     ,/  |:::::::::::/=7゙   …………
 ./ 、. ヽ |゙V,_  l:::i、 ̄ 丶    ゙''ー-‐''  ,l::::::::::/|:;/  …長門?
 i  '゙ヽ_j-'   .|::::|.\   ‐-        ,,イ::::::::/ ,l/
 ヽ    ヽ   jl:::::l.   ヽ、      , ''゙ /:::::::/゙`ヽ、
  ヽ、.     /ヽ::::|    ,,`=ー '''i´    /:;/レ'〉;:;:;:;:,.,\
現代に大東亜戦争時の日本海軍の軍艦の名前を聞くと
真っ先に「大和」が上がると思うが、「大和」は当時
極秘に建造されていたために国民には存在は知らされておらず
有名になるのはむしろ戦後だろう。逆に戦前戦中にかけて
帝国海軍の軍艦と国民に聞けば間違いなく「長門」と答えたのである。
長門は昭和13年から17年まで連合艦隊の旗艦まで勤めた帝国海軍の
シンボルであった。しかも大和が戦中末期に撃沈されたのに比べ
長門は数々の戦いを潜り抜け終戦時まで残った唯一の巨大戦艦であった。
しかし戦後米軍に接収された長門は原爆実験の標的艦として最後を迎える。
一回目の実験でも無傷で残り、2回目の実験でも僅かに傾いただけで
他の米軍戦艦が沈む中で唯一水上の上で悠々と残っていた。
これには米国実験者は驚嘆し、長門の構造を調べ上げようとした矢先、
長門は忽然と海上から姿を消した。
日本が2発の原爆で降伏したのに対して、長門は2発の原爆にも耐え
アメリカによる解体からをも許さず、まるで自決するかのように
自ら沈んでいった・・・まさに大日本帝国海軍の最後の意地を見せた最期であった。
111 :ss95 [sage]:2007/12/02(日) 23:48:14.00 ID:8cpNnWQo
BAD ENDは今の所わたしの引き出しには無い様です。

続編へのご期待ありがとうございます。
残りの帰還とその後の分を、9巻と雪山再読の後に書き上げ、
それぞれ推敲の後に出させて頂きたいと思っています。

本来ならば周防九曜が10巻でどういう態度で来るかを見てから書くべきものなのですが、
そうすると場合によっては書けなくなってしまうかもしれないので、
敢えて10巻発売前の今、書かせて頂きます。

気に入って頂ければ嬉しいです。
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/03(月) 00:06:32.02 ID:sMyp7Voo
いいねー期待しとるよー
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/03(月) 11:32:52.36 ID:K/aH0sAO
期待してる。
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/04(火) 11:26:13.66 ID:/76XLVoo
ほしゅ
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/04(火) 12:01:07.58 ID:UjiJz/.o
>>114
パー速において保守は無意味。
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/04(火) 23:57:38.20 ID:1I3b/wDO
あえて言うなら>>100

×シュループ
○シュプール
117 :ss95 [sage]:2007/12/05(水) 22:33:42.29 ID:iGa7yM6o
>>116
や、これはお恥ずかしい。
ご指摘ありがとうございます。
読み返した時違和感はあったのですが、流してしまいました。
精進いたします。
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/11(火) 11:52:02.69 ID:ajSRKAI0
作者さんここにもVIPにもこないなあー
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/11(火) 13:12:03.64 ID:V9YSxmI0
未完は勘弁してほしい…
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/15(土) 06:53:59.21 ID:/wHG6r6o
諸君らの愛した作者は来ない!!

何故だ?!
121 :ss95 [sage]:2007/12/15(土) 11:22:34.15 ID:tKv97Noo
消失他の作者さんが来られるまでお口汚しに。
>>100-104
雪の中の続きをわずかですが。
語り手の感じが掴みきれず、とはいえ推敲をいつまでもしていても仕方が無いので
思いきって出させて頂きます。
加えて「雪の中」で「天蓋」を「天涯」と間違えていた事をお詫びします。(恥
122 :ss95 [sage]:2007/12/15(土) 11:24:59.69 ID:tKv97Noo
>>100-104
 続 雪の中  雪の上  1/2

両手が痛む。心臓の鼓動にあわせてじんじんじんじんと。
包帯に包まれた手の痛みを、ただ感じている。

昨夜急遽張られたテントの中にあたしたちは押し込められてしまった。夜の間だけでも中に居るように強制された。
冬期登山用だかなんだか知らないけれど、とても暖かい。それだけでも腹立たしくて哀しくて寂しくて…
二人は雪の中だというのに、なんであたしはこんなところにいるのよ。

プロに任せなさい。

その一言であたしたちは圏外に置かれた。

暖かな所で待っていなさい。


プロの気遣いです。心労を思って言って下さっているのですよ。

絶対、絶対に二人共生きてますっ!


鶴屋さんは無言だった。事務的なやり取りは凄い勢いでしていたけれど、テントに入ってからは、まるで石の様に。

森さんが渡してくれたシチューは温かかった。
あたしの手に薬を塗ってくれた新川さんの大きな手も、暖かかった。
みくるちゃんが泣きたいのを我慢して入れてくれたお茶、とても熱かった。
古泉君が掛けてくれた毛布、背中の寒さが緩んだ。


二人は雪の中なのに。


一晩中投光器の強烈な光の中で捜索作業が行なわれている事は、知らされなくても判った。

でも、朝になっても、太陽が西に傾いても、ただ黙々と横一列に並んで釣竿の様な長い棒を雪の中深く突き刺している人たちや救助犬が動き続けるだけだった。
気が狂いそう。八つ当たりをしてしまう。ごめん、みんな…

夜のうちに到着したキョンのご家族は、あたしたちを慰めてくれた。そんな価値無いのに、自分たちの方が辛いのに。あいつの妹はこんなに小さいのにあたしの手を暖めてくれた。
この子の前では泣けないよ。

有希の方には連絡がつかないらしい。どうしてよ、どうして何時も何時も有希の事そんなに放っておけるのよ。わかんないよ、ほんとにおかしいよ!有希の家族って、いったいどうなってんのよっ!!

……ごめん有希、ごめんねごめんね……これも八つ当たりだ……ごめんなさい………
123 :ss95 [sage]:2007/12/15(土) 11:26:30.16 ID:tKv97Noo
>>122
 続 雪の中  雪の上  1/4

哀しい程静かで美しい夕焼けの中、総てが赤く染められた雪面をせわしなく嗅ぎ回っていた犬が、雄叫びを上げて雪を蹴散らし始めた。
廻りで棒を上下させていた人たちが速攻で集まり、犬の横でまた棒を突き刺す。誰かが何かを叫び、すぐに何人もが巾広のスコップをふるって白い大小の塊を廻りに飛ばしだした。長いソリが二台、何人かに引かれてそちらに向かっている。待機していたヘリコプターの廻りが慌ただしくなった。

あたしは駆け出した。柔らかな雪が邪魔をする。遠い遠い遠い………。なんでこんな遠くで待機しなきゃならなかったのよ!

『…た。ふた………もだ。』『目……けるな!閉じていろ!』距離とヘリの音で聞こえない…

いきてる。生きている。ふたりとも、ふたりともよね!そうに決まってる!

足を取られて倒れたあたしの上半身を誰かが抱え起こしてくれた。座ったまま額から落ちる雪越しに、穴から抱え出している救助員の後ろ姿が見える。
小さい………有希………………動かない………。あの子のウェアには、あんなに大きな黒い模様なんか無かった………あんな黒で半分染め分けられたようなウェアじゃ無かった。
淡い単色の、とても綺麗なスキーウェア。あたしとみくるちゃんと三人で選んだ色違いのお揃いの。

 身体が動かない。寒い、とても寒い…力が抜けて行く、崩折れてしまいそう…

 何もかもが赤く染まっている……有希のウェアも……違う、違う、違う、違う、あれは夕焼けのせいだ。夕焼けの色だ。

『右腕左脚……に、凄い熱だ、急げ。』
ソリに乗せられた有希の上に屈みこんだ救助員達が慌ただしく鞄から何かを出したり布を巻き付けるような動きをしている。

スゴイ ネツ? 熱? 凄い熱。いきてる。生きてる。生きている。 身体が震える。

穴に入った救助員に何か言っていた人がこちらを向き、指を二本立てて両手で○を作ると大声で叫んだ。

「男は意識あり、外傷無し!」昨夜、あたしたちをテントに追い込んだ人の声だった。
オトコ ハ イシキアリ、ガイショウナシ
男 ハ 意識アリ、外傷無シ。
男は 意識あり、外傷無し。

あたしは立ち上がる事が出来た。目が、頭が、胸が熱くなる。

「お二人共生きているという事です。」お腹の底から息を吐き出しているような古泉君の声がすぐ近くから聞こえた。あたしを支えてくれている。「彼に至っては怪我も無いと…」

……男 は……意識 あり……外傷 無し。
キョン は、意識があって、怪我なんかしてない………


……有希 は………有希は………


「来るな!見ちゃいかん!」


あたしたちは反射的に足を止めてしまった。
ミチャイカン?ってなに?どういうことよ?だって二人とも生きてるんでしょ?
どうしてよ、会わせてよ、生きてるんじゃない、会わせなさいよ!!!
124 :ss95 [sage]:2007/12/15(土) 11:27:55.24 ID:tKv97Noo
>>123
 続 雪の中  雪の上  3/4

古泉君は救助員に向かって大きく頷いた。あたしの肩を掴んでいる指に異様に力がこめられている。
「長門さんは意識が無い。」横顔を引きつらせながら古泉君は吐き出す様に言った。「……厳しい、ですね。」

意識が無いってどうして断言できるんだろう?動かないだけじゃないの。ウェアの色だってきっと見間違いよ、こんな夕焼けの中だもの、そうに決まってるわ。決まってるんだから。

あたしは身体を強く廻して古泉君の手を払おうとしたけれど、痛い程きつく掴まれていて動けない。放してよ。
「だめです、救助作業の邪魔になってしまいます。どう考えてもそれは良く無い。」
放しなさいよっ!「放しません。」

「はなせっ!!!」

あたしはありったけの力を振るって古泉君を突き飛ばしたけれど、その途端に、今度は息を切らせて追い付いて来ていたみくるちゃんに脇から抱き着かれて横倒しにされてしまった。

「ダメです、ダメなんです、涼宮さんが見ては。」みくるちゃんは懸命にあたしを押さえながら切れ切れに続けた。「涼宮さんが見てしまったら、本当に長門さんは…………」後は言葉が続かない。必死にあたしに抱き着いて、ただただしゃくりあげている。何を言っているのかわかんないよ、どうしてよ、なんであたしが有希を見たらダメなのよ。
「みくるちゃ………だって有希が…」
「行っちゃいけないよ。」鶴屋さんが救助作業を隠す様に前に廻って来ながら言った。「救助員が来るなって言う時には特に、だね。」
「……どうして、どうしてみんな、そんな‥‥‥」
「それは」固い表情で鶴屋さんは少し言葉を捜してから、続けた。「一秒を争っているのに、邪魔になるから。」

違う、そんなの解ってる。それだけじゃない、なにかを隠してる。何を隠してるの?

後で確認をしてからお話します。古泉君が救助作業の方を見ながら言った。それができるようでしたら。

「ああ、出てきましたよ。彼が!」
みんなが一斉に見た。

キョンは穴の前で毛布を羽織って棒の様に突っ立ち、ソリの上で手当を受けている有希を見つめている。
片側の頬が黒っぽく汚れた、物凄く険しい顔で。
あたしが鶴屋さんの家でみくるちゃんを酔っぱらわせた時に一度だけ見た事がある、本当に怒った時の顔。
そして、凄く悔しそうな哀しそうな顔。
125 :ss95 [sage]:2007/12/15(土) 11:29:38.86 ID:tKv97Noo
>>124
 続 雪の中  雪の上  4/4

あいつを呼ぶみんなの声が重なった。あたしたちの脇をキョンのお父さんが雪をかき分けながらよたよたと歩いて行く。
あたしはついて行こうとしたけれど、みくるちゃんも古泉君もそうさせてくれない。鶴屋さんは、キョンのお父さんが救助員の脇を通るのを無言で見ている。なに?あたしはダメなのに、おとうさんはいいの?どうしてなのよ…あの救助員もなぜおとうさんは止めないの?

キョンの肩を叩き毛布の上から両腕を強く強く撫でて言葉を交わしたお父さんは、あたしたちからは救助員の陰になっている有希の方に体を向けた。ソリの上の有希の身体は布で覆われて固定され、ヘリに向かい始めていた。僅かに見える頭は白い布で覆われ酸素マスクが付けられている。

キョンはあたしを見て、声を出さずに言った。『大丈夫だ』って。全然大丈夫じゃ無い顔で。

有希がソリごと担ぎ入れられ、キョンが自分でよじ上り、古泉君が付き添いで乗り込んだヘリが飛んで行く。前にキョンが入院した所に向かうという。
「そちらの方が設備も整っていますし、良い病院ですから。」と古泉君は言っていた。最初から決めていたみたいだ。「ヘリですからすぐですよ。みなさんは車で来て下さい。」あたしはみくるちゃんと鶴屋さんに押さえられて、ヘリに向かって行く事さえ出来なかった。

でも、いくら設備や医者が良いからって、そんな遠くにどうして?そんなんじゃ有希が手後れに……ううん、絶対にそんな事無い。そんな事にはならない。大丈夫に決まってる。決まってるけど……

「あたしが付き添う!」「僕の方が適任です。あとは」古泉君はあたしの頭越しに言った。「すみませんが鶴屋さん、よろしくお願いします。」
「わかってるって、さぁ、急いで行くんだよっ。」鶴屋さんはわざとみたいに勢い良く言っていた。「絶対に有希っこを元気にするんだっっ!!!て、言っといておくれよっ!」


なにかおかしくない?変だよ、みんな変よ、なんでなの?

どうしてあたしの邪魔をするの?

どうして有希に会わせてくれないの?

昨日、何時の間にか手袋が脱げてしまっていた両手が、じんじんと痛む。

新川さんが運転する車の中で、あたしとみくるちゃんを、鶴屋さんは黙ったまま纏めて抱き締め続けてくれた。
126 :ss95 [sage]:2007/12/15(土) 11:35:44.14 ID:tKv97Noo
>>122 雪の上 1/4
>>123 雪の上 2/4
行数規制で分けて出した所、訂正し忘れました。すみません。
救助に関しておかしな所もあると思います。
雪のある生活に関して完全に無知です。情報収集能力不足をお許しください。
消失作者さんの再来を願って。
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/16(日) 00:13:46.93 ID:Xc6wRSw0
>>126
GJ!
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/16(日) 03:34:24.34 ID:ygB24gwo
>>126
GJだぜ
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/16(日) 23:02:56.32 ID:gdl04ks0
乙だぜ!
これは・・・続かない?
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/17(月) 03:10:44.80 ID:YOfms.AO
長門…
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/18(火) 01:32:50.09 ID:clPEPZ2o
続く・・・よな?
132 :ss95 [sage]:2007/12/18(火) 22:42:11.78 ID:Srm6Yugo
すみません、続くという事にさせて頂きたいと思っています。

消失作者さんは既にどこかで書いておられるのでしょうか?
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/19(水) 19:14:49.24 ID:314uUcw0
乙です。
ここんとこ、よくVIP落ちるからもしかしたら見落としあるかもしれないけど
俺が見た範囲では、書かれてないっぽいね。しばらく前に、退避先の候補に挙がってた
キャラ個別板も見に行ったけど特に続きぽいのはなかった。

今はVIPでは、選択スレが盛り上がってるからそっちで楽しめてるけど、
これの続きもかなり期待してるので、いつか復活してほしいと願うところ。
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/20(木) 00:30:55.91 ID:6KAfo2.o
選択はハルヒメインなので長門スキーの俺としては作者に帰ってきてもらいたい
135 :ss95 :2007/12/21(金) 02:53:44.70 ID:Ks4Z.fYo
>>133
情報ありがとうございます。

>これの続きもかなり期待してるので、いつか復活してほしいと願うところ。

>>134
>作者に帰ってきてもらいたい

同感です。
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/21(金) 20:53:15.40 ID:xgAQ6ZEo
>>135
続きwwktkして待ってるぜ〜
がんばれ!!
137 :ss95 :2007/12/24(月) 23:43:04.67 ID:UZWTvX.o
>>136
ありがとうございます。
本題の方はまだ全然なのですが、24日にちなんだものを無計画に書きなぐったので、
時巻稼ぎに出させて頂きます。レス数消費ごめんなさい。
138 :ss95 :2007/12/24(月) 23:44:26.79 ID:UZWTvX.o
>>125
 続 雪の中 ユキノユメ 1/5

さくっ

歩き難いスキー用ブーツで雪を踏む。白だけの世界に足跡一つ。

今度はジャンプ。足跡二つ。あ、みっつかな?

上も下も区切りの無い白一色の世界。その空から降り注いでいる光は太く細く分かれ合わさり、様々に雪面を踊っている。
ふと止まった一つの光が何かを白い雪の中から引き出し、複製を作って天に上げようとする。
ゆらぁと浮き上がるそれは「記録」
かつてわたしが経験した事。収集した事。

かまわない、行って。

複製は白い空にのぼり、オリジナルは雪の中に戻る。

たまに、あまりに強すぎる光が雪を融かしてしまうけれど、修復可能。問題ない。

さくっとまた雪を踏む。さくさくさくっ。足元から記録が意見する。複製を行かせて良いのかと。

かまわない。

ならばよい。

記録は答え、当たっている光の中、複製がまた産まれた。産まれたてのそれは少しとまどうように揺れ、光に沿って上がって行く。

いろいろな記録が浮き上がる。

良いのか?かまわない 良いのか?かまわない……………

まって、あなたはダメ。わたしの記憶は複製を作られる前に雪の中に戻る。記録はいい、でも、記憶はダメ、選ぶ。それはわたしだけのもの。

さくさくっと柔らかな雪を踏んで近付き、んしょっと手袋をした両手で押さえて記憶の蓋をする。これでいい。

光は少し戸惑うけれど、またすぐに記録を捜して踊り出す。
139 :ss95 :2007/12/24(月) 23:45:19.39 ID:UZWTvX.o
>>138
 続 雪の中 ユキノユメ 2/5

『なんだか楽しそうですね』穏やかな声が聞こえる。
そう、楽しい。
『有機体端末は死にそうなのに』冗談を言って来た。
あれくらいで機能停止はしない。それにこうなっている今は、どうしようもない。
ならば、できることをするだけ。
『それも楽しみながら、ですか?』
楽しんだ方の勝ち。

おやおや と、言っている様な気がした。でも、笑っている様な気もする。

『わたしはあなたとお話をしましょう。では』
うん、頑張って難しいお話をしてね。喜緑さん。

彼女は他のレベルに移動して行った。微笑みの波動を残して。

本当は笑っている場合じゃ無い。そんなことはお互いに解っている。
でも意識下の存在でしかないわたしにはどうしようもない。なら、その時その時にすべき事を楽しんだっていいじゃない。

だからすべき事をしながら楽しんでいる。じゃないとやっていられないよ。

そうしている内にも記憶は浮き上がり、許可を求め許可を与えられ登って行く。

ああ、あれは夏の合宿の、あっちは文化祭の………かまわない、行って。

ずきんっ!胸が痛む、あなたはだめ、今はだめ、戻って。わたしが消滅させた髪の長い少女が笑う。わたしを助けてくれていた少女が言う。
あら、だめなの?どうして?
………わからないけれど、ダメ。
じゃ、仕方ないわね。
彼女の記憶は笑いながら雪に沈んで行った。

うつむくと息が登り、視界が曇る。水がぽつっと落ちて、その曇りに穴が空く。そう、わたしは泣ける。わたしはわたしじゃ無いから、泣く事も出来る。だから泣くのはわたしの役割。
メガネを外して軽く振った。雫はガラスから飛んで消える。少し残った分は息を吹き掛けて散らした。

許可を、良し。許可は?良し。いいのか?良い………

ぐいっと袖で涙を拭った。スキーウェアだから上手く行かない。行儀も悪いな。

許可不許可を与えている間、どこかから赤い鬼のお面が浮かび上がって、ゆらぁとさっきの少女が戻って行った所に来る。節分の時のオマケのお面。そう、あなたはそこがふさわしい。

わたしはまた涙を落とした。ハンカチを出す事としよう。
140 :ss95 :2007/12/24(月) 23:45:57.22 ID:UZWTvX.o
>>139
 続 雪の中 ユキノユメ 3/5

空からの光は絶える様子が無い。わたしの総ての記録の写しを貪欲に求め続けている。

いつか、記憶も含めて総てを与えようと言う気持ちになるなんて事があるのだろうか?わからない。
いつかはいつか、今は今。最後には同じ結果になるとしても、今は嫌。

いったいいつ光は途絶えるのだろう?いつまでも続けられても困るんだけどな。

許可、許可、許可、だめ、許可………


泣き声?


わたしはもう泣いていない。わたしの声じゃない。
わたしはメガネを掛け直した。冷たい。
中空にぼやっとした影が見えた。小さな子ども?泣いているのは誰?なぜ?
おいで、こちらに。泣かないで。何を哀しんでいるの?
小さな小さな女の子。長くて波打つ黒い髪がすごく印象的な女の子。

ふと、わたしは悪戯心を起こしてしまった。丁度今日はそんな日。泣いている子にこそ与えられるべき日。

許可、不許可、許可、許可………あ、そこのあなた、こちらに来て。

光を止められない。と、その子は言う。主が混乱しているとも。

そっか、そういう事もあるよね。わたしたちにも………ううん、それを言うのはやめておこう、辛すぎるから。

あなたは笑えるの?と、その子は言った。
うん、わたしは笑えるの。わたしも少しはね。   わたしが睨んでいる様な気がする………けど、ま、いっか。

光はまだ止められない。彼女は雪の上を経巡っている空からの光を指してそう言った。
でも、止める方に動いている。だから、もうしばらく待って。

わたしが、わたしを通して答える。 わかった。と。

それを言う為に来たの? わたしは尋ねた。女の子は頷いた。
141 :ss95 :2007/12/24(月) 23:46:30.64 ID:UZWTvX.o
>>140
 続 雪の中 ユキノユメ 4/5

今、わたしがあなたの所に行くことができた。と、その子は伝えてくれた。

そっか、じゃぁ、難しい事はわたしとあなたに任せて、わたしたちは楽しみましょう。

楽しむ?

許可、許可、許可、許可、許可………面倒になって来ちゃったな。みんな許可を出してしまえば楽だよね?
わたしが睨んで来る。わかってます。そんな事しません。わたしだって嫌だと思うもの。

はい、あなたはだめ、戻って。あ、あなたはこちらに来て。

わたしは雪の上に正座をして女の子をその上に座らせ、抱っこした。スキー用のズボンが雪の冷たさを阻んでくれる。
目の前にさっき呼んだ記憶達が広がる。

………この惑星の寒冷地帯に生息する大型草食動物………?
トナカイね。でね、こちらのおじいさんがサンタ・クロース。サンタさん、知ってる?

顎に当たる黒髪は、すこし間を置いて左右に揺れた。単語は知っているけれど。と、彼女は言った。

それは知っているうちには入らない。ただの言葉の並び。わたしもあなたも解っている様に。
トルコの聖ニコラウスが……北欧のある国から……コカ・○ーラ社の宣伝用の絵が今のイメージの元に……これらはただの知識。

わたしは去年のクリスマス・パーティの記憶を近くに呼んで、女の子に触れさせた。記憶が大きく動きだす。にぎやか、おおぜい、たのしい、おいしい、うれしい…色々な感情が溢れ出す。
音楽、湯気、外の雪、窓の曇りとそこにされた幾つもの落書き、良く解らない一発芸、笑い転げる人………

波打つ黒髪の女の子は、ぼーーっと眺めている。

サンタ・クロースのね………クリスマスはね………わたしは話した。楽しい事、嬉しい事、楽しい気持ち、嬉しい気持ち。友達同士のプレゼント。暖かな部屋。暖かな人たち。優しい人たち………

白い世界、踊る光。浮かび上がり、あるいはそのまま沈みこみ、あるいは複製が登って行く記憶達の中、明るくて楽しい赤と緑と温もりと輝きの記憶が、その時を再び巡らす。

ふと、女の子の手が冷たそうなのに気付いた。そっか、冬だからって手袋なんて思いもしないよね、こんな雪の世界だなんて知らなかっただろうから。ごめんね、気付かなくて。わたしは両手の手袋を脱いで彼女の小さな手にはめた。
うーん、大きいけどいいよね。手袋越しに彼女の手をわたしの手で包む。
彼女の身体はわたしが包んでいる。

女の子は身じろぎもしないで記憶を眺めている。あ、すごい、わたしってほんとに良く食べてる。改めて客観的に見ると、ちょっと恥ずかしい………

喜緑さんがまた笑った。わたしがまた睨んでいる。もうひとりは…よくわかんないや。


ア リ ガ ト ウ。


あ、喋った。

わたし−−−−だって………話は−−−−する。

………ごめんなさい。
142 :ss95 :2007/12/24(月) 23:46:53.09 ID:UZWTvX.o
>>141
 続 雪の中 ユキノユメ 5/5

女の子は消えて行った。

空からの光は収まった。どこか遠くのわたしは、いろいろ忙しくなってきている。

記憶の原を見渡した。これら総てを先の光が吸い上げるのに、どれだけの時間がかかるのだろう?そして、それを理解するのにどれだけの時間がかかるのだろう?
わたしたちの主なら瞬時と言うのも遅すぎる。でも、あちらの主はあまりにわたしたちと違い過ぎて、そう、「やりとり」がなりたたない。

「やりとり」が、会話が成り立たない場合、その間になにが起きるだろう?

無視、攻撃………

こちらにとっては「あちらからの攻撃」でしかない接触が、あちらとしては「手探り」という行為であるらしい、という判断が今最も妥当と考えられている。

打開したい、と思うのは自然だろう。

あーー、やめたっと。そんなややこしいことはわたしと主に任せれば良い。わたしはわたし。



雪を踏む。わたしの足跡。記憶がゆらりと笑う。わたしも笑う。記憶が嘆く、わたしも嘆く。雪の上の足跡は消えても、歩いた事は歩かなかった事にはならない。わたしは総ての記憶の上にある。総ての記憶はわたしの上にある。

今は未だ相容れないけれど、記憶の果ての何時かには、共に居る事が出来るのだろうか?

わたしは、光が突き抜けて来なくなった白い空を仰いで、小さな黒髪の女の子との明日を夢想した。

メリー・クリスマス。わたし達はそれどころじゃないから、せめてわたしはみんなの為に祈るとしよう。

幸あれと
143 :ss95 :2007/12/24(月) 23:53:25.07 ID:UZWTvX.o
>>142
観念書きで判り難いと思います。わたしの能力不足です。
思い付いて書きだしたのが今朝で、思い付くままにしてしまいました。
天蓋とこちらの思念体の関係が穏やかであればいいなと思いつつ、
あちらにも派閥があったらと想像してみました。

訳の解らない話で申し訳ありません。
144 :トナカイB [sage]:2007/12/24(月) 23:59:52.52 ID:kjka9.AO
8巻までしか読んでないから天蓋がなんなのかわからないけど乙。
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/29(土) 12:08:05.32 ID:yZr8c6SO
作者さんは帰省かな、コミケかな。保守あげ。
(しなくていいんだっけ?)
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [age]:2007/12/29(土) 16:33:39.45 ID:ZbjC5GIo
いっときあげ
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2007/12/31(月) 16:59:28.73 ID:pyk4CsSO
帰省中保守
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2007/12/31(月) 17:27:20.99 ID:4EvQZ7Ao
保守はしなくていいんだよ・・・・
149 :以下、2008年まであと1197秒(紅白から7266レス目)@ガキ使はじまたー [sage]:2007/12/31(月) 23:40:04.59 ID:OtKDQ6co
もう作者は帰ってこんのかのう・・・
150 :A Happy New Year 2008 ! :2008/01/01(火) 05:46:52.41 ID:b226iESO
明けましておめでとうございます。
お正月だからね。いろいろあるんでしょう。
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/04(金) 11:18:59.08 ID:V7Hh4sSO
携帯から書きこもうと頑張っているが、目がおかしくなって来た。
携帯でできる人はすごいです。
作者さんカムバックプリーズ。
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/18(金) 17:44:02.23 ID:B7xxV/U0
ああ
作者はまだなのか
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/18(金) 19:45:55.62 ID:HFN13f2o
もうこのスレ忘れられてるんじゃね?
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/19(土) 01:01:34.67 ID:GCHP/5co
俺も忘れてた
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/19(土) 02:41:16.73 ID:pAryBcw0
正直このスレたてた俺も忘れてた・・・
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/19(土) 11:14:27.33 ID:ZR5gQwUo
>>155
をいこらw
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/19(土) 21:42:07.23 ID:i0aGXUYo
せめてage進行でいこうよ・・・・
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/01/19(土) 22:25:51.69 ID:k4OItRIo
雨乞いスレと聞いて
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/01/20(日) 03:05:22.17 ID:.GwSNuso
ageようがsageようが作者が探す気にならなきゃ意味ないがな
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/07(木) 21:38:45.91 ID:dEgQBvUo
久しぶりに来て見たら全然レスついてねえwwwwwwww
とりあえず age
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/02/19(火) 21:56:35.53 ID:pekvWwgo
新しく書いてくれる人はこないかなー
age
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/03/01(土) 21:59:27.58 ID:/f.MWa6o
3月だよー
この一ヶ月俺しかレスしてねえwwww
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/01(土) 22:34:33.33 ID:8QqGWfgo
諦めろ
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/01(土) 22:47:03.01 ID:/f.MWa6o
それでも俺はッ!・・・あきらめないッ!
165 :ss95 [sage]:2008/03/03(月) 00:21:18.74 ID:rm3q/Bso
>>122-125
 続 雪の中  雪の空 1/3

ヘリコプターが上昇するに連れ、僕の緊張は増して行く。
涼宮さん達の視界から完全に外れると、見るからに物々しいヘリが複数現れて僕らの機体の保護を開始したが、安心からは程遠いとしか思えない。機関内の派閥はまだしも、他の有象無象の中途半端な情報しかないような連中が現状を知った場合どのような動きをするか、判ったものでは無いのだから。

担架を兼ねたベッドに固定されセンサーや点滴のチューブに繋がれている長門さんを、僕は見ていた。
頭部は包帯や呼吸補助具、固定用具で覆われ、身体はエマージェンシーブランケットの上からベルトで押さえられている。ブランケットの下も同じ様にがんじがらめになっているのだろう。
点滴やセンサーが彼女に対して何の意味を持つのだろうか。
救急隊員が読み上げる体温は、まともな範疇では無い。

少なくともこのヘリの乗員は、皆僕と同じ機関の、言わば主流派であり、安心できるはずなのだが、それでも もしも という不安が拭いきれない。彼等を僕は見張るべきだ。気が付いたら毒を喰らわされていた、等と言う様な事に、けっしてさせないために。


溜息をつく。
緊張し過ぎです。悪い方にばかり考えが向かってしまいます。


僕は彼の隣に座っている。彼の座席ベルトの固定具合をチェックしたのは僕だ。
新しい防寒具で身体を包んでいる彼の、彼女から離れない目は、感情の嵐を露にしている。僕も似た様なものだろう。
ビニール袋に入れられて器具の隙間に突っ込まれている二人のボロボロの衣服は、肩や足の付け根で千切れていた。これが何を意味するのか、僕は救助隊員から知らされている。そして多分彼も、その事を理解している。
雪の中から二人とは別個に発見され、涼宮さんにはひた隠しにされたモノ。
二人より遥かに早くから回収されていたそれらは、個別にビニール袋に入れられ、隅のクーラーボックスに氷と共に保管されている。

機内に山の様に急遽積み込まれた雪が、機関の救急隊員によって、彼女の身体を包んでいるエマージェンシーブランケットの上に広げられる。
このブランケットは、通常は覆われた者の体温を効果的に保持するのだが、使い方によっては逆に高効率で熱を伝導し拡散する。
救急用具だけでは到底太刀打ちできそうも無い異常な高熱に対する苦肉の策として、包帯等薄い布地で覆われているだけの彼女の身体に防水効果もあるブランケットを直接巻き付け、その上に負担にならないであろう程度に雪を乗せているのだが、掛けても掛けても見る見るうちに溶けて行く。気休めにさえならない。
救急隊員が機関員で無かったら混乱するだけだっただろう、その常識との違いに。
166 :ss95 [sage]:2008/03/03(月) 00:21:55.01 ID:rm3q/Bso
>>165
 続 雪の中  雪の空 2/3

雪崩直後からTFEIの異常に関しての情報が続々と飛び込み始めたと、昨夜聞いた。行動不能や、そうと判断しうる状況にあると。

天蓋領域の一体を除いて。

卒倒したTFEIもいれば、姿を見せないままの者、知人に「欠席」の類いの連絡を入れた者も居る。そして確認出来た限りにおいて、皆最終的に同様の高熱と昏睡に陥っているという。

何故このような事象が起きているのか。
情報統合思念体によって天蓋領域と命名された存在が、同時に発生したと言って良い異常な雪崩とTFEIの無力化の実行者なのだと考えるのが妥当だとすると、これは最早、長門さんが以前彼に語った雪山軟禁時の「コンタクト」の次元以上の意図があると判断して良いだろう。
その意図による今回の、二人、あるいはどちらかを狙ったとしか言い様の無い雪崩事件と同様の行為が続いたとしたら、情報統合思念体の助力が無いとした場合、我々人間如きに何ができるというのだろうか。
涼宮さん以外の、我々人間に。

そして、天蓋領域という宇宙存在は、何をしたいのだろうか。

つらつら考えても、僕には空恐ろしい仮定を立てる事くらいしか出来ない。多分人間には推測の域を越えられまい。判る、もしくは知る可能性があるのは、情報統合思念体関係者以外では、天蓋領域のTFEIと関係のある者だけだろう。
意志を通い合わす事が出来て、さらに教える気があるのであれば、だが。
167 :ss95 [sage]:2008/03/03(月) 00:22:17.98 ID:rm3q/Bso
>>166
 続 雪の中  雪の空 3/3

通常の救急ヘリよりも二廻りは大きなこの機体に、周りを固めている複数の物騒なヘリに搭載されている物の小型版が設置されているのを、僕は知っている。他のヘリと違って眺める位では判らないように隠されているそれは、好ましくない接近をする物に対しての破壊行為が可能であるのだが、所詮人間の作った物、もし宇宙的意志が迫って来たとしたら無意味でしかない。



如何に長門さんに依存しているのか、改めて思い知らされました。
もし彼女が居なかったとしたら、彼は一体どうなっていたでしょう。彼女が健全で無い状況下での僕らの危うさは、恐ろしいほどです。
この瞬間にも、ミサイルがそこまで迫っているかもしれない、天涯領域のTFEIが目の前に現れるかもしれない、いや、もしかしたらこのヘリ自体に爆弾が仕掛けられているかもしれない、などと次から次へと考えてしまうのを、僕は押さえる事が出来ません。
情報統合思念体、あるいはそれに匹敵する何か、もしくは涼宮さんの力による事ででもなければ、長門さんに感知された時点で殆ど総てが無害化されるでしょう、彼女が普通の状態でありさえすれば。いや、もしかしたら今現在、この過負荷の中でさえ、彼女はそれをしているのかもしれません。僕らが知り得ないままに。
勿論機関も全力で対策を施してはいるのですが、関知能力にしても対応能力にしても、言葉通り次元の違うTFEIのそれとは比べ様さえありません。
ああそうです、僕らは長門さんがTFEIとして無力化する事を望みながら、同時に彼女からのTFEIとしての保護を甘受しているのです。どうしようもないその幼稚さと傲慢の中で、僕らはあがくしかないのです。
そして今回は、雪山軟禁の時の数式に当たるモノはありません。僕らには助力の為に差し出す手も、それを差し出すべき方向を見る為の目さえも無いのです。どれだけそれを僕が欲したとしても。

会話できる程度には遮音されている機内ですが、交わされるのは、ほとんど無意味な言葉だけです。それでも僕は何かを言わずにはいられません。
「寒くはありませんか」「ない」「意識さえ戻られれば」「ああ」「きっと…」「ああ」「すぐに…」「………」「必ず…」
遮音し切れないローター音は、まるで催眠術を掛ける力でも持っているかの様に、僕たちを重くさせます。




TFEI回復の報告は、無い。
168 :ss95 [sage]:2008/03/03(月) 00:31:04.04 ID:rm3q/Bso
>>165-167
昨年末から二月中旬まで異常事態が連続し、その後二週間程過労で伸びてしまったため、
一月中にと思っていた事が果たせず今になってしまいました。
やっと書く事が出来てほっとしています。

原作を読み直し、消失長門さんと通常長門さんの台詞が混ざってしまっていた事に気付き、
他の雰囲気とあわせて反省をしています。

消失作者さんを待たせて頂きつつ。
169 :ss95 [sage]:2008/03/03(月) 00:38:21.78 ID:rm3q/Bso
>>165-167
昨年末から二月中旬まで異常事態が連続し、その後二週間程過労で伸びてしまったため、
一月中にと思っていた事が果たせず今になってしまいました。
やっと書く事が出来てほっとしています。

原作を読み直し、消失長門さんと通常長門さんの台詞が混ざってしまっていた事に気付き、
他の雰囲気とあわせて反省をしています。

消失作者さんを待たせて頂きつつ。

と投稿しようとしたら、できなくなっちゃった。(;;)
170 :ss95 [sage]:2008/03/03(月) 00:38:56.15 ID:rm3q/Bso
ダブりスミマセン 長門タイマー掛けて寝ます。
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/03(月) 00:41:19.18 ID:uA8lWpAo
うはwwww待ってたよwwwwww
  _n
 ( l    _、_
  \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄  )   グッジョブ!!
     /    /
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/03(月) 20:23:18.54 ID:0d8TpeUo
ずっと待ってたwwwwwwwwww
毎日覗きに来ててよかったぜ・・・・
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/03/13(木) 14:41:41.66 ID:p8x4R.oo
10日 age
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/06(日) 17:39:19.55 ID:s3113rYo
いやっほおおおおおおおおう
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/04/14(月) 13:25:39.18 ID:DjQR1yIo
ちぇき
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/04/23(水) 20:47:22.34 ID:ctT0T5Uo
うおらー
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/02(金) 21:05:59.58 ID:S6gsor.o
5がつあげ
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/05/02(金) 23:01:09.36 ID:h5dU.cAo
http://chubei.myminicity.com/
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/05/18(日) 20:47:21.74 ID:dSMHZFgo
うっほうっほwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/06/20(金) 21:11:56.70 ID:SUfA.MDO
続きないのか…
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/06/20(金) 21:16:55.21 ID:/f9Fyp.o
このスレで久しぶりに俺以外の人を見たわ
ということでage
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/07/20(日) 11:14:25.78 ID:ruUo8uco
         ,.- '´  ̄ ̄ `  - 、
        r'   _,. -―-- .、  ヽ
       l r '´        `ヽ  l
       l'.......-―.:::::: ̄ ̄:::::::::::‐.`L.._
     ,-:::´::::::::::-::‐ ''  ̄ ̄  ‐-、:::::::::::::ヽ
   r':::::::::::::::::::/          lヽ:::::::::::::::i
  .i'::::::::::r:、:::::l   _       i:::::::::::::::::::::!
  .l::::::::::i:rヽヾ  ri't:Tヾ、 ;::::- 、 !:::::::::::::::::::/
    ヽ:::::lヽ.、     ̄ノ :.'`-'ヽ`ir' )::::::::::;r'     楽しく読ませていただきました
     ` ヽニ:.      ,.   ::.`   'i:.r'::;;-'´
        l::.   ,,..--`-:く   /'-' ´
        イ :.  "'''''''"';;;;:ミ .!
    r:::'::::::l  :..      `/
 ,.-:':::::::::::::::::!ヽ   、.    i'
':::::::::::::::::::::::::::i ヽ    ̄ /!ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::i,.--ヽ._,〃´l:::::::::ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::l  _/_i_l   ,!、:::::::::::::::ヽ

     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)

183 :ss95 [sage]:2008/08/14(木) 08:42:43.09 ID:CFUAWi2o
済みません、自分がICUに入っていました………
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/14(木) 20:56:07.39 ID:KR7FSFYo
作者キター
ところでICUって何ですか?無知で申し訳ない
185 :ss95 [sage]:2008/08/16(土) 00:56:04.78 ID:4wQ3Omco
集中治療室でし………
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/16(土) 04:14:53.54 ID:RWjoLFso
>>79
これ続きないの?orz
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/16(土) 22:40:02.67 ID:RVDiO9Uo
>>185
なんていうか・・・大丈夫なの?
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/17(日) 17:20:57.20 ID:YGtyK7ko
ss95氏はお体を大切にね。
先月このスレを見つけた者だけど、おまえさんの作品も読んでて楽しめましたよ。また機会があったら是非投下を。
189 :ss95 [sage]:2008/08/18(月) 12:33:09.15 ID:zcGQjjAo
誘い受けみたいな事を書きご心配をおかけして申し訳ありません。
身体自体はもう何の問題も無く治って来ているのですが、
体力気力の貯蓄がかなり減り、話を進める事ができないままでいます。
雪のある時期に終わらせるつもりが全然だめで、更に大幅に遅れる事をお詫びします。

また楽しんで頂けたとの言、今は涙が出る程嬉しいです。
重ねてありがとうございます。
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/16(火) 01:16:54.88 ID:ZHGStio0
いつまでも待ち続ける
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/10/15(水) 03:57:09.35 ID:y0QoO1Uo
うもー
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/10/15(水) 20:58:26.44 ID:1zR65SUo
めりめり
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/11/08(土) 15:24:50.73 ID:NfrNtRE0
てすと
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/11/08(土) 16:01:21.85 ID:NfrNtREo
やったー!やっと専ブラからカキコできる様になったー。ほっとした。
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/11/21(金) 12:48:45.86 ID:zADLYISO
携帯試
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/11/22(土) 21:57:20.51 ID:aytNOEIo
かつまたはんずぼん
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/12/02(火) 16:29:03.19 ID:fdTO/iso
12月だね....
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/02(火) 17:35:48.93 ID:YRBaNoAo
ごめん…
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/02(火) 20:31:43.73 ID:2h4Tc.Qo
12月だよ!
もうこのスレ一年経ってるんだな
なんだかんだ言ってずっとタブに入れっぱなしだ
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/17(水) 08:42:21.22 ID:PRq1tNUo
さて 警備傍ら大掃除でもすっか

って,だよね.  いつまでこのタブ残すかなぁ...
201 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ! :2009/01/01(木) 10:58:13.74 ID:b.05Bdko
>>1
akeome
202 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 0 9 ! :2009/01/01(木) 20:09:59.89 ID:VmTHDaAo
まだ200じゃねーか
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/01/27(火) 13:36:14.00 ID:/xBngNco
書けるかテスト
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/02/11(水) 18:29:26.69 ID:/LwDvvso
テスト・・・・
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/02/24(火) 19:34:51.92 ID:c1.WOIMo
マック壊れてウィンドウズにて書きこテスト。
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/02/24(火) 19:35:16.45 ID:c1.WOIMo
あいでーが「お芋」ww
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/05(木) 18:39:21.09 ID:lKXoAWQo
規制巻き添え食らった。こっちは書けるよね。
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/07(土) 14:12:38.04 ID:ojHkn2Ao
SS作者は重大な病気に罹るのはなんでだぜ?
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/11(水) 12:09:45.06 ID:KvVCcU60
ああ、冬が終わってしまう…
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/04(土) 21:07:46.66 ID:KN2KiZMo
二度目の春だ
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/05(日) 00:10:11.99 ID:gNr63MMo
2007年って・・・

わざわざパー速に来る必要なかったな
VIPで終わらせとけば良かったんだろう
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/25(土) 03:30:19.30 ID:8xHzIBI0
まぁあの時アラシが暴れてたからね。緊急避難だったよね?
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [!桜_res]:2009/04/25(土) 14:22:31.26 ID:JVaqxjwo
test
214 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv :2009/05/27(水) 02:41:52.14 ID:OWM1Lx2o
新アニメーション記念
215 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv :2009/05/27(水) 22:37:24.73 ID:57bQs1oP
その名前欄はなんだよ
216 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv [sage]:2009/06/05(金) 19:14:15.98 ID:JfbiJQDO
やっぱ>>79までコピペされてるやつの作者はもう来ないのかなぁ
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/08(水) 21:38:34.16 ID:vV/lqm.0
七夕すぎたね
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/07/10(金) 20:11:07.39 ID:R8ZZDbYo
もう駄目だろ
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/02(日) 12:16:19.95 ID:MuJCWC2o
あえいえおえあえ
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/14(金) 16:18:29.02 ID:CFUAWi2o
あんいんすとーる
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/08/14(金) 16:19:35.22 ID:RPX.Xag0
駄目なんだろうな
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/09/06(日) 11:44:45.45 ID:4NySqYYo
そっかぁ
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/26(土) 20:30:05.40 ID:28evfrgo
ざんねんだなぁ
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/09/26(土) 20:35:28.27 ID:NLQU0WMo
ざんねんだねぇ
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/10/29(木) 09:54:32.37 ID:92gOTUA0
ひと月?
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/05(木) 16:13:12.60 ID:uJ8J.xko
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/07(月) 19:20:42.95 ID:d2MiVtgo
みんな粘るね
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/07(月) 22:03:30.45 ID:PHmkj22o
ねばねば
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/11(金) 07:54:42.53 ID:z4I4Cj20
俺もねばねば
230 :A HAPPY NEW YEAR 2 0 1 0 ! [sage]:2010/01/05(火) 16:06:19.29 ID:n1L4/5go
あけましておめでとうございます
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/19(火) 19:46:31.09 ID:tCZxotA0
ho
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/24(日) 22:28:44.18 ID:Cq3Pto20
ほしゅ
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/24(日) 22:42:31.87 ID:.3Ou81Yo
なんだかんだ言ってずっとタブ開きっぱなしだけど、このスレ保守する意味あるのかwwwwww
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