このスレッドはパー速VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

水銀燈がドールたちの母親になるようです【入籍編】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:04:15.59 ID:YkNoFJk0
○ローゼンメイデンのSSを投下させていただきます。ところどころで同じようなことをやって(そして失敗して)ますが、どうかぬるく見てやってください。

○原作とアニメの設定が(一部意図的に)ごちゃごちゃになってます。広い心で閲覧してもらえると幸いです。
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このパー速VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

障害者ってなんで生きてるの? @ 2019/11/21(木) 23:45:07.09 ID:pwSfizlH0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574347506/

京介「俺の母親がこんなに可愛いわけがない…」ムラ… @ 2019/11/21(木) 23:32:23.90 ID:PwsfCU70o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574346743/

【ラブライブss】μ’sで学ぶ海外旅行の行き方 @ 2019/11/21(木) 23:04:11.26 ID:uu3idbaKO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574345051/

モバP「言いたいことが!あるんだよ!」森久保「ひぃっ!?」【デレマスSS】 @ 2019/11/21(木) 19:41:12.91 ID:tmt8A5Pv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574332872/

艦娘「はないちもんめ!」【主にコンマ】 @ 2019/11/21(木) 14:49:01.10 ID:SquKlQO0O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574315341/

井河アサギ「安価で対魔忍を近代的な軍事組織にする」 @ 2019/11/21(木) 10:23:12.36 ID:IRjE+LaX0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574299392/

【コンマ・安価】リキシマン「超人界の頂点にたつ」旧:キン肉マンSS PART33 @ 2019/11/21(木) 09:05:43.92 ID:W1wfglI90
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574294743/

男「俺が異世界に転生したとするじゃん?」友「は?」 @ 2019/11/21(木) 03:19:03.37 ID:8gj0qzNa0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1574273943/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:09:23.25 ID:YkNoFJk0
コポ コポ コポ

(ここは・・・)

ドク ドク ドク

(憶えているわ お父様の工房 わたしたちが生まれた場所・・・)

ローゼン「…水銀燈、起きているかい?」

金糸雀「『お父様』 『この方が?』」

(・・・金糸雀。 そう、もう起きられるのね・・・)

「そう、君の・・・だよ みんなご挨拶なさい」

翠星石・蒼星石「『は じ め ま し て』」

真紅「・・・『はじめまして』」

(みんなも・・・)

雛苺「『お父様』 『この方も』」

(…雛苺?) 

雛苺「『アリス』 『となる方』 『なのですか』」

ローゼン「いいや、違う」

(え?)

ローゼン「彼女はアリスにはならない。なってはいけない」

(・・・うそ・・・)

ローゼン「なぜなら、彼女は―」
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:10:40.59 ID:YkNoFJk0
【廃教会】

水銀燈「・・・また、あの夢」

ヒュゴォォォォ

水銀燈「最近、またよく見るようになったわね。忌々しい・・・」

バタン バタン

(真紅「お父様の失敗作の癖に、お姉さま面するんじゃないのだわ! このジャンク!」)

水銀燈「・・・ふん。目が冴えちゃったわぁ。月も綺麗だし、夜の街でも眺めにいきましょうか」

バサ バサササ

バダン!!!

蒼星石「水銀燈!」
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:12:30.01 ID:YkNoFJk0
水銀燈「あらぁ? ノックもせずにごあいさつねぇ」

蒼星石「黙れ!お前、性懲りもなくまた翠星石に・・・」

クスクス

蒼星石「! こ、この・・・!」

水銀燈「ふふ、ごめんなさぁい。あの子、ほんっとうにわかりやすいわねぇ」

蒼星石「今度はいったい何を吹き込んだんだ!!」

水銀燈「吹き込むなんて、人聞きが悪いわねぇ。 一般論よぉ?」

ジャキンッ! 

水銀燈「あらぁ、乱暴ねぇ」

蒼星石「そうやって、どれだけ僕たちを引っかき回せば気が済むんだ!」

水銀燈「私は言うべきことを言ったまでよぉ? あの子、この間ジュン君におイタしたでしょう?

蒼星石「それだって、元はお前がそそのかしたんじゃないか!」

水銀燈「わたしは『ジュン君の気を惹きたいのなら、積極的にならなきゃダメ』って言っただけよぉ」
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:14:13.07 ID:YkNoFJk0
水銀燈「そうしたらあの子、あなたたちに黙って裏でこそこそ出し抜こうとしたわよねぇ」

水銀燈「ジュンの心の樹を弱らせて、献身的な介抱を演じてみせて」

蒼星石「全部お前のせいじゃないか!」

水銀燈「あの子もそう思ってたみたいだから言ってやったわ。『やるんなら堂々とやれ』って」

バサ バサササ

水銀燈「『ジュン君に好かれたい、けれど誰にも嫌われたくない』」

水銀燈「『かといって両方かなえるために茨の道を歩く気もなく、お手軽に済ませようとする』」

水銀燈「『そんないやらしい根性だから、あんな姑息な手を使うことになるのよ』ってねぇ」

ジャジャッキキン!!!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:15:03.25 ID:YkNoFJk0
水銀燈「あらあら。ほんとうにお行儀が悪いんだから」

蒼星石「言い方ってものがあるだろう!」

蒼星石「あの子は、自分のローザミスティカを抜き取ってジュンの心の樹の根元に埋めようとしたんだぞ!!」

バサ バサ バササササササ

水銀燈「やらせてあげればよかったじゃなぁい。いい薬よぉ」

蒼星石「待…待てっ!」

バサササササササ

水銀燈「『お花もあまり大事にしすぎると、ちょっとしたことですぐ枯れるようになる』」

水銀燈「あなたたちが言ってたことだったわよねぇ?」

ヒュゴォォォォォ




蒼星石「く…」
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:17:42.08 ID:YkNoFJk0
【廃ビル屋上】

水銀燈「…月が綺麗」

ヒュオオオオオ

水銀燈(「街の灯りも…」)

ビュヒュウウウウウ

(蒼星石「全部お前のせいじゃないか!」 )
(翠星石「翠星石は悪くないですぅ!みんな水銀燈が悪いんですぅ!」)

水銀燈(人のせいにするのもいいけれど―)

水銀燈(いつか必ず、誰のせいにもできない事が起こる)

ヒュヒュヒュ フォォォォォ

水銀燈(その時までに、ほんのちょっとでも強くなっておきなさい)

水銀燈「…体が冷えちゃったわぁ そろそろ帰って寝ちゃいましょう」

バサ バサバサササササ

水銀燈「…」

ヒュォォォォォ

水銀燈「このあたりだったわね」

ヒュシュルルルル
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:21:02.82 ID:YkNoFJk0
【ジュンの家】

ジュン「…zzz」

翠星石「…くー…くー…」

カタン

水銀燈(…まぁ、涙でぐちゃぐちゃの顔をぬぐいもせずに)

水銀燈(ジュンのパジャマまでぐちゅぐちゅにしちゃってまぁ)

水銀燈(あの分だと、寝るまでにだいぶジュンに手間をかけさせたようねぇ)

翠星石「すー…すー…」

ジュン「…んー…ん?」

ヒュゥゥゥゥゥ

ジュン「…気のせいか」

翠星石「ん…ジュン…?」

ジュン「ん、大丈夫だよ。どこにも行かないよ」

翠星石「…ありがとですぅ」



バサ バサササササ 

水銀燈「(ジュンに、後始末させちゃったわねぇ)」

ヒュォォォォォ

水銀燈「(…いずれ、借りは返すわ)」

ヒュルルルル

水銀燈「おやすみ、翠星石…」
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:24:34.04 ID:YkNoFJk0
【廃教会】

シュルルル ストッ

水銀燈「ただいま」

シーン

水銀燈「…馬鹿みたい」

コツ コツ コツ

水銀燈「(もう、何も考えたくない)」

ギシッ

水銀燈「(眠ってしまおう。 深く、深く…)」

ゴソゴソ モフッ

水銀燈「…夢も見ないくらいに…」

水銀燈「……」



ローゼン「水銀燈…水銀燈?」
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:26:28.29 ID:YkNoFJk0
(…ここは…また、いつもの夢?)

ローゼン「目が覚めたかい」

(お父様…それに…)

金糸雀「『お父様 私は何をすればよろしいですか』」

ローゼン「そうだね、みんなを連れて外で遊んでおいで」

金糸雀「『わかりました』」

パタン トトトト

ローゼン「…かわいい私の娘たち」

ローゼン「けれど まだ『心』を持たない」

(…こころ?)
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:27:28.85 ID:YkNoFJk0
ローゼン「人がなぜ『心』を持つのか そもそも『心』とは何なのか」

ローゼン「私は なにもわからないまま お前たちに『心』を持たせようと大それた事を考えている」

(…お父様?)

ローゼン「私はそのために お前を造った」

ローゼン「お前は『???』になるんだ」

(…私が?そんな…)

ローゼン「きっとお前には 辛い想いをさせると思う」

ローゼン「けれど信じておくれ 私は本当に 本当にお前たちのことを…」

(…お父様? お、お父様?!…)
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:28:56.75 ID:YkNoFJk0
【廃教会】

水銀燈「ん…」

ビュヒュウウウウ

水銀燈「…やっぱり、夢」

ヒュォォォ ビュルルル

水銀燈(いつものとは、すこし違っていたようだけど)

水銀燈(なんだか、どんどん鮮明になっていくようだわぁ)

水銀燈(なのに 肝心なところがわからない お父様の顔も 言葉も)

水銀燈(何なのよぉ このもどかしさは…)

「あぁ、イラつくわねぇ…」

バダンッ!!

ジュン「水銀燈っ!」
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:31:04.84 ID:YkNoFJk0
水銀燈「…? あなたは…」

ジュン「やっぱり…やっぱりお前かっ!」

水銀燈「こんな朝っぱらから、今度はなによぉ レディの寝起きを襲おうだなんて」

ジュン「黙れっ!! 」

水銀燈「黙るのはそっちよぉ たった一人でいきがっちゃって、人間ごときが…」

水銀燈「…って、真紅はいないのぉ?翠星石は?」

ジュン「とぼけるな! お前の仕業だろう!」

ビシュシュシュ

ジュン「わっぷ!?」

水銀燈「喉を潰されなかっただけありがたく思いなさぁい」

ジュン「お前、お前なんか…」

水銀燈「…ねぇ、ほんとうにいったいなんなのよぉ??」
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:32:58.06 ID:YkNoFJk0
【ジュンの家】

水銀燈「…これは、いったいどういうことなのぉ?」

ジュン「ボクが知るもんか…! 今朝になってのりが出かけた直後に、みんな倒れて…」

ジュン「真紅も翠星石も、雛苺も。それだけじゃない」

ジュン「電話して聞いてみたら蒼星石も、金糸雀も…」

水銀燈「それで、わたしだけが無事だったからぁ?」

ジュン「どう考えたって、それしかないじゃないか!」

スッ スススス

ジュン「! 真紅に触るなっ!」

バシュッ!

ジュン「うぇっ」

水銀燈「…ローザミスティカは、体の中にはないようねぇ…」
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:34:18.84 ID:YkNoFJk0
ジュン「ぐ…よくもぬけぬけと…」

水銀燈「…ねぇ、頭をすこし冷やしたらぁ?」

水銀燈「もしもわたしがみんなのローザミスティカを抜き取ったんなら、今頃この街にはいないわよぉ」

水銀燈「ましてやこうやってここに来る理由なんてほんとに無いわぁ」

ジュン「それは…ボクをごまかそうとして…」

水銀燈「あなたをごまかす必要なんてどこにあるのぉ? わたしを止めるために何かできるのぉ?」

ジュン「!…く…」

水銀燈「ふふっ。そこまでしょげなくてもいいわよぉ。 …もう少し詳しい話を聞かせてくれるぅ?」

ジュン「…なんだって?」

水銀燈「わたしがみんなのローザミスティカを探すって言ってるのよぉ」
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:40:05.28 ID:YkNoFJk0
ジュン「…嘘だ!」

水銀燈「嘘じゃないわよぉ」ニコッ

ジュン「…そうだ、探すって言ってローザミスティカをひとり占めする気だろう!」

水銀燈「あら、わたしが盗ったんじゃないってことは信じてくれたのぉ?」

ジュン「そ、それは…」

水銀燈「まぁ、わたしがもらっちゃってもいいんだけれどねぇ」

ジュン「! やっぱり、お前!!」

クスクスクス

水銀燈「まぁ、お聞きなさい。…たまには紅茶でもいれてあげるからぁ」

ジュン「…お前が?」

水銀燈「『お前が』…って失礼ねぇ。私はローゼンメイデンの第一ドール」

水銀燈「レディのたしなみは一通り身に付けているのよぉ」

ジュン「いや、そうじゃなくて… なぜ、水銀燈がボクに?」

水銀燈「…落ち着いてお話しましょう、って言ってるのよぉ。それとも」

ニコリ

水銀燈「どうしても、わたしとやりあいたい?」

ジュン「う…」
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:44:02.88 ID:YkNoFJk0
水銀燈「ティーセットは…確かここだったわねぇ」

ジュン「(なんで知ってるんだよ…)」

カチャ カチャ カタン 

水銀燈「…わたしたちは永い永い間、アリスゲームをほんとうに恨みっこなしでやってきたわぁ」

水銀燈「潰しあい、騙しあい、それこそありとあらゆる手段を使ってねぇ」

コト コポポポポ

水銀燈「けれどそれは、わたしたち姉妹の間だけでの話よぉ」

ジュン「…どういう意味?」

水銀燈「砂糖とミルクはいるぅ?」

ジュン「…一杯ずつ」

カラン クルクルクル

水銀燈「もしも、わたしたちと何のかかわりも無い第三者が、わたしの妹たちを狙ったとしたらぁ…」

コク コク   カタン

水銀燈「わたしはそいつらを迷わず叩き潰すわ かけがえのない妹たちを守るために」
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:45:50.60 ID:YkNoFJk0
ジュン「…」

水銀燈「ふふっ、難しかったかしらぁ?」

ジュン「…そんなのおかしいよ」

水銀燈「なぜぇ?」

ジュン「そんなに大事な妹たちと、なんで争いあうんだい?」

クスクスクス

水銀燈「おかわりいるぅ?」

ジュン「…いらない」

水銀燈「すねないでよぉ 可笑しかっただけなんだからぁ」

ジュン「何がだよ」

水銀燈「人間たちだって、姉妹でも兄弟でも、親子でも殺しあってるじゃなぁい」

水銀燈「歴史をひもといても、いま現在のニュースでも珍しい話じゃないでしょう?」
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 07:47:37.10 ID:YkNoFJk0
ジュン「え? そ…それは違うよ」

水銀燈「一緒よぉ」

コポコポコポ

水銀燈「いえ…むしろ、血のつながりがあるからなお憎らしくなるのかもしれないわねぇ」

ジュン「…」

水銀燈「でも、憎しみも争いもすべて含めて―」

水銀燈「それらはわたしたち姉妹の『絆』なのよぉ」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「それらを土足で侵そうとする輩には、姉として一切容赦はしないわ」

ジュン「…」

グイッ ゴクゴクゴク ガチャン

ジュン「…わかったよ」
20 :1 :2009/03/21(土) 08:23:39.09 ID:SUbxzwDO
とりあえずストップ。再開は夕方。
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 12:25:01.45 ID:SUbxzwDO
水銀燈「ふふっ。ようやく素直になったわねぇ」

ジュン「…まだ信用はしてないけど」

ジュン「キミが『妹を守る』って言ってた時の顔」

水銀燈「顔?」

ジュン「あの顔は嘘じゃないと思う」

水銀燈「…なぜぇ?」

ジュン「…のりが本気で怒ったときの顔に似てたから」



(ローゼン「…おまえは『???』になるのだ」)
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/21(土) 14:17:49.14 ID:hfYnZVEo
ノC
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:08:54.95 ID:drCZ6NQ0
ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「?…わ、わかればいいのよぉ(な…今のは何?)」

水銀燈「とりあえず、心当たりをあたってみるわぁ」

ジュン「心当たりがあるのか?!」

水銀燈「えぇ。とりあえず、こういう悪戯をしそうな末っ子に聞いてみるわぁ」

ジュン「『末っ子』…あいつか…!」

水銀燈「まぁ、まだそうと決まったわけじゃないけどねぇ」

ジュン「…頼むよ」

水銀燈「ふふ、姉の務めよ。あなたのためじゃないわぁ(まぁ、『借り』は返せそうだけれどねぇ)」

水銀燈「けれどあの子の仕業ならアリスゲームのうちだから、ローザミスティカはもらっちゃうかもねぇ」

ジュン「水銀燈!」

???「その必要はありません」

水銀燈「…お前は!」



ラプラスの魔「雪華綺晶も機能停止中。アリスゲームは一時中断です」
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:19:11.71 ID:drCZ6NQ0
ジュン「ラプラスの魔が現実世界に…! まさか…」

ゴゴゴゴゴ

ジュン「な…?!(黒い羽…翼?!)」

水銀燈「…そうだったの」

ズワァァァァァ!!

ジュン「(部屋いっぱいに… 水銀燈の翼が!!)」

水銀燈「お前の仕業とはねぇ!!」

ヒュバババババッ!

ガシャバキグシャッ

ジュン「うわぁぁぁっ!?」
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:47:22.90 ID:GgIsTto0
ラプラスの魔「…おふたりとも誤解してらっしゃる」

水銀燈「なっ…!(後ろに…! まるで気配を感じないなんて?!)」

ラプラスの魔「私は、ゲーム中断のお知らせと再開の方法を伝えに来たのです」

水銀燈「…たわごとを!」

ラプラスの魔「…さきほど、あなたもジュン君にそう言われていましたね」

水銀燈「?! そ、それは…」

ラプラスの魔「とりあえずこれをご覧なさい」

ポワッ

ジュン「…なにこれ、水晶球?いや、丸い水槽?」

水銀燈「真ん中に浮かんでるのは…土くれ? これが何だというのよ!」

ラプラスの魔「これが、あなたの妹たちのローザミスティカです」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:50:50.46 ID:GgIsTto0
ジュン「な…?!」

水銀燈「ふ、ふざけないで! こんなものが…!」

ラプラスの魔「生命と精神の結晶、ローザミスティカ。偉大なるローゼンの、もっとも貴重な発明品」

ラプラスの魔「しかし神ならぬ人の手により造られたものである以上、寿命というものが存在するのです」

ラプラスの魔「今はまだかろうじて機能していますが、このままではいずれ土に還るでしょう」

ジュン「ち、ちょっと待て! お前の言うことが本当なんだったら…」

水銀燈「なぜわたしのローザミスティカは無事なの?! おためごかしも大概になさい!」

ラプラスの魔「単純なことですよ。そういう仕組みなのです」

水銀燈「・・・どういう意味!?」

ラプラスの魔「薔薇乙女の結晶は寿命が近づくと、あなたに組み込まれているもの以外の機能を一時的に停止させて永らえるのです」



ジュン「なん…だって…?」

水銀燈「…どういう…ことなの…?」

ラプラスの魔「あなたは特別な存在なのですよ、水銀燈」
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:53:32.70 ID:GgIsTto0
ヒュルルルル ビュゴォォォ

ラプラスの魔「…私の説明は以上です」

ジュン「水銀燈に、そんな役割が…」

ラプラスの魔「何か質問はございませんか?」

バァン!

水銀燈「…ふ、ふざけるんじゃないわ!」

水銀燈「そもそも、なんでお前がそんなことを知っているの?!」

水銀燈「そして、なぜそれをわざわざ教えるの?!」

ジュン「す、水銀燈…」

ラプラスの魔「あなたのお父様との約定です。 いや、取引と言うべきでしょうか」

ジュン「と、取引?」

ラプラスの魔「私も『結晶』を持っているのですよ」
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:55:47.53 ID:GgIsTto0
水銀燈「な…なんですって?! それじゃ、お前は…、いやあなたは?!」

ラプラスの魔「私はローゼンの作品ではございません」

ラプラスの魔「ローゼンはしがない自動人形だった私に、知恵の結晶を与えてくれたのです」

ラプラスの魔「あなたたち姉妹に言伝をする役割と引き換えにね」

水銀燈「う…嘘よ、馬鹿なこと言わないで…」

ジュン「…おまえの結晶には、寿命は来ないのか?」

ラプラスの魔「私は自身の結晶なら修復することはできます」

ジュン「なら、みんなの結晶も…!」

ラプラスの魔「知恵の結晶は小手先で治せますが、生命と精神の結晶は無理です」

ラプラスの魔「いかな錬金術であろうと、無から生命は造れないのです」

ジュン「…それじゃあ」

ラプラスの魔「いま申し上げた方法しかございません」
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:57:55.27 ID:GgIsTto0
水銀燈「い、いいかげんになさい! そんな馬鹿げたことが!」

ラプラスの魔「その土くれと化した結晶を取り込んだときがはじまりです」

ラプラスの魔「ご自身の覚悟はもちろん、周りの方々ともよく相談することをお勧めしますよ」

水銀燈「な… そんな…」

ラプラスの魔「それではごきげんよう 幸運を祈ります」

水銀燈「ま、待ちなさいよぉ! 待って…」


フシュルルルル


ジュン「…」

水銀燈「…これって、いったい…どういうことなのよぉ…」
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 19:59:31.78 ID:GgIsTto0
【有栖川大学病院】

巴「そんなことが…」

みつ「…」

柴崎「にわかには信じがたい話だのぉ」

ジュン「確かにそうです。 でも、ほかには何の手がかりも無いんです」

水銀燈「…」



(ラプラスの魔「時とともに衰え、朽ちていく結晶」)

(ラプラスの魔「水銀燈にはその結晶を修復する機能が備わっています」)

(ラプラスの魔「貴女の腹部パーツは欠けているのではありません」)

(ラプラスの魔「その部位こそ、結晶の修復が行われる御座なのです」)



めぐ「それじゃあ、ここにローザミスティカを収めればいいの?」ガバッ

水銀燈「や、やめてよぉめぐ!」

ジュン「…そうはいかないんだ」
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 20:00:54.13 ID:GgIsTto0
(ラプラスの魔「結晶を再生するためには、膨大な生命と精神のエネルギーが必要になります」)

(ラプラスの魔「しかも、それはひとりの人間から与えられなくてはならないのです」)

(ラプラスの魔「必要量を短時間で集めようとすると確実に死に至ります」)

(ラプラスの魔「そして、量だけではなく質の問題もあります」)

(ラプラスの魔「弱った体、荒んだ心からは結晶の成長を阻害する不純なエネルギーしか採取できないのです」)


ジュン「つまり、ひとりのパートナーが長期間にわたって水銀燈にエネルギーを少しずつ与えていかなくてはならないんだ」

のり「それって、もしかして…」

みつ「…婚約? いえ、入籍?!」
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 20:14:22.21 ID:ArBPD9w0
ジュン「…そ、それだけじゃない」

(ラプラスの魔「パートナーとして選ばれた人間は、まず水銀燈と特殊な契約を交わします」)

(ラプラスの魔「これは通常の契約とは異なり、任意に解除することができません」)

(ラプラスの魔「契約が終了するのは結晶が完成するか、いずれかの死・消滅によってのみです」)

めぐ「死がふたりをわかつまで…ロマンティックが止まらないわ」

水銀燈「めぐぅ…」

ジュン「そ、それから…」

(ラプラスの魔「契約が成立したら、結晶を腹部に定着させる作業に移ります」)

(ラプラスの魔「この作業がもっとも契約者のエネルギーを消費します」)

(ラプラスの魔「契約者は水銀燈に密着して、結晶が定着するまでエネルギーを与え続けなければいけません」)

みつ「しょ、初夜よ! まちがいないわ!!」

ジュン「(言うと思った…)」
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 20:34:09.77 ID:p.NOdHI0
ジュン「…問題はここからなんだ」

(ラプラスの魔「結晶が定着すると、水銀燈の能力はすべて結晶の再生に向けられるようになります」)

(ラプラスの魔「戦闘はおろか、普通に動くのも難しいくらいになるでしょう」)

(ラプラスの魔「その状態の水銀燈に、契約者が継続的にエネルギーを分け与えていかなくてはなりません」)

(ラプラスの魔「修復中のの結晶はエネルギーの補給が断たれると急速に劣化するのです」)

ジュン「…だから、水銀燈のそばに常にパートナーがいなければいけない」

めぐ「期間はどれくらいになるの?」

ジュン「契約者によって個人差があるっていってたけど…短くても3ヶ月、長いと半年だって」

ジュン「長すぎても母体がもたない、とも言っていた」

ジュン「そして、結晶が完成すると…」

(ラプラスの魔「完成した結晶は、ふたたび7つに割れて排出されます」)

(ラプラスの魔「このときは契約者のエネルギーは必要としませんが、母体には多大な負担がかかるでしょう」)

みつ「出産よ! 女体の奇跡よ!!」

ジュン「(まったくもう…)」
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 20:36:08.00 ID:p.NOdHI0
ジュン「(でも、あながち間違ってはいないんだ ラプラスの魔が言っていた)」

ジュン「(ローゼンは結晶に『心』を与えるために、生命の誕生を意識してなぞるようにしたと つまり…)」

ジュン「そして、肝心なことがひとつ」

めぐ「…予想はできるけど」

ジュン「たぶん、それ正解だよ」



ジュン「契約者は男性であることが絶対条件なんだ」

みつ「ジュン君、おめでとう!」
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 20:38:31.44 ID:p.NOdHI0
ジュン「…いや覚悟はしてましたけど」

めぐ「仕方ないわよ。柴崎さんはお年だし、他にこんなことを引き受けてくれる人なんていないわ」

巴「ひどい言い方だけど、ジュン君はいま学校にも仕事にも行ってないんだし」

ジュン「ほんとにひどいよ」

みつ「のりさんにも大変なことをお願いすることになるけど…」

のり「気になさらないでください、みんなのためですもの」

柴崎「ふたりのお世話、金銭的なことなどはできるだけお手伝いさせてもらうよ」

めぐ「水銀燈、あなたはどうなの?」




水銀燈「…気持ちだけ受け取っておくわぁ」
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 20:55:30.87 ID:p.NOdHI0
めぐ「…なに言ってるの、水銀燈?」

水銀燈「みなさんの申し出はありがたいけれど、やはりこれはわたしたち姉妹の問題」

水銀燈「他人の手をわずらわすものではないわぁ」

ジュン「…む、無茶だよ」

水銀燈「あなたもお気楽にその気にならないで!」

ジュン「…えっ?!」

水銀燈「あなたなんかのエネルギーで結晶を修復したら、お父様に顔向けできないわ!」

めぐ「…水銀燈!」

バサ バサササササ

水銀燈「…しばらく、ひとりにさせてちょうだぁい」

バサ バサバサバサササ 
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 21:38:31.14 ID:bffgBnY0
ジュン「水銀燈…」

みつ「…仕方ないわ。マリッジブルー…いえマタニティブルーだわね」

めぐ「あとで私が、彼女と話をしてみます。それよりもジュン君」

ジュン「はい」

めぐ「改めて聞くけど、本当にまかせて大丈夫?」

ジュン「…」

柴崎「君を軽んじるわけではないが、話を聞いただけでもなまなかなことではなさそうじゃぞ」

みつ「たぶん、母体…水銀燈の体調や精神状態も管理しなきゃならないんだろうしね」

ジュン「…はい」
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 21:45:06.53 ID:bffgBnY0
めぐ「そして…まかりまちがえば、とりかえしのつかないことになる可能性もある」

めぐ「もしもそうなったら、いけないとわかっていても私はジュン君を恨むかもしれない」

みつ「め、めぐちゃん!」

ジュン「…みっちゃんさん、いいんです」

のり「…ジュン」

ジュン「当然だと思うから」

柴崎「…どうかね、ジュン君」



ジュン「正直に言うと、怖いです」
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 21:58:20.94 ID:So9dHuU0
巴「ジュン君…」

ジュン「うまくいくのかどうか、ボクにできるのか、水銀燈の気持ちはどうなのか」

ジュン「なにひとつ自信なんて無いです」

のり「…ジュン」

ジュン「やらなきゃならないってことはわかるし、やりたいとも思うんだけど」

ジュン「逃げ出したいって気持ちもどこかにあります」

みつ「正直すぎるわよ」

ジュン「ただひとつはっきりしてるのは、ボク一人の力じゃどうにもならないってこと」

ジュン「だから…」

ガバ

ジュン「どうか、みなさんの力を貸してください!」
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 22:00:08.77 ID:So9dHuU0
のり「ジュン。それはあなたひとりがお願いすることではないわ」

ジュン「のり…姉さん」

のり「わたしからもお願いします。みなさん、なにとぞどうか」

めぐ「ジュン君、それでいいのよ」

めぐ「あまりに安請け合いするようだったらなにか言ってやろうと思ったけど」

めぐ「『逃げだしたい』なんて言ったあなたなら、きっと水銀燈がひとりになりたくなった気持ちもわかるだろうから」

ジュン「めぐ…」

めぐ「水銀燈はきっと説得してみせる」

巴「私たちも、身の回りの世話くらいなら交代してやります」

のり「みなさん、くれぐれもよろしくおねがいします」

柴崎「水臭いことを言いなさるな。私たちは、あの子達に結び付けられた家族のようなものじゃないか」




ジュン「…ほんとうに、ありがとうございます」
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 23:06:15.02 ID:WbCiOw60
【廃ビル屋上】

ビュウウウウウ

水銀燈「…」

(ラプラスの魔「あなたは特別な存在なのですよ、水銀燈」)

水銀燈「…いまさら、何よ。 なんで私が…」

(ラプラスの魔「戦闘はおろか、普通に動くのも難しいくらいになるでしょう」)

水銀燈「…ぞっとするわぁ」

ビュォォォォォ

(ラプラスの魔「母体には多大な負担がかかるでしょう」)

水銀燈「(わたし…)」

ヒュゴゴゴゴォ

水銀燈「(いったい、どうなってしまうんだろう)」

42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 23:17:03.24 ID:WbCiOw60
ヒュゴォォォォ

(ラプラスの魔「契約者は水銀燈に密着して、結晶が定着するまでエネルギーを与え続けなければいけません」)

水銀燈「密着ぅ? …はん、冗談じゃないわぁ! わたしがあんなやつと?」

(ジュン「ん、大丈夫だよ。どこにも行かないよ」)

(翠星石「…ありがとですぅ」)

水銀燈「(…なんで今こんなことを思い出すのよ?!)」

水銀燈「(ダ、ダメよ。あんなガキなんかに体を許しちゃ)」

水銀燈「(わたしの体に触れていいのはただひとり…)」

(ローゼン「すまない…私は、こんなことをするつもりでは…」)

(水銀燈「いいんです、お父様。わたし…ほんとうに、ほんとうに嬉しい…」)

水銀燈「うわぁぁぁぁぁぁ!?」ワシャワシャワシャ



水銀燈「わたしってば…いったいなに考えてるのよぉ」
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 23:42:51.38 ID:GmOagA.0
【公園】

キィコ キィコ

水銀燈「…」

カァ カァ

水銀燈「(もう夕暮れ…)」

キィコ キィコ

(ラプラスの魔「ご自身の覚悟はもちろん、周りの方々ともよく相談することをお勧めしますよ」)

水銀燈「…もう遅いわよ」

(「目を潰されなかっただけありがたく思いなさぁい」)


(「あなたをごまかす必要なんてどこにあるのぉ? わたしを止めるために何かできるのぉ?」)

水銀燈「…いまさら、どの面下げて『助けてくれ』なんて言えるもんですか」

カァ カァ カァ

母親「みんなー、もう帰るわよー」

子供「えー、やだぁ。まだ遊ぶんだもん」

44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 23:44:49.18 ID:GmOagA.0
水銀燈「(…親子…)」

母親「そんなこと言ってると晩ごはんのハンバーグ、ママが食べちゃうぞ〜」

子供「えーっ?やだぁ〜」


(雛苺「きょうは、はなまるハンバーグの日なの!」)


母親「だったら、いっしょに帰りましょ?」

子供「はーい」

カァ カァ 

キィコ キィコ



(「いつか必ず、誰のせいにもできない事が起こる」)


水銀燈「…やらなきゃ」

水銀燈「泣き言なんて言ってられない」

水銀燈「私が、みんなを助けてみせる」



バサ バサバサバササササ
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/21(土) 23:47:20.90 ID:GmOagA.0
【廃教会】

バサササササ ストッ

水銀燈「(…すっかり遅くなっちゃったわぁ。もう、真っ暗)」

ギギギィ

水銀燈「(おなかもすいちゃったけど… いいわ、寝てしまいましょう)」

コツ コツ

水銀燈「…今日はもう、めぐのところに行く気がしないわぁ」

ガチャリ

めぐ「そう言うだろうと思ったわ」

水銀燈「なっ…?!」
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 02:25:49.67 ID:KkSlIPso
続き及び中断宣告はまだか
気になって眠れぬ
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 05:28:39.76 ID:9iIAuUo0
>>46
すみません、PCごと自分自身も落ちてました;;;
あと読んでくれていたことに感謝。
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 05:35:28.60 ID:9iIAuUo0
めぐ「立派なベッドねぇ」ボフンボフン

めぐ「ダブルベッド並みの大きさで、あとこれって…天蓋っていうのかしら?」

めぐ「お姫様のベッドみたい。ロマンチックねぇ〜」

水銀燈「…何しに来たのよぉ」

めぐ「別にぃ」ボフンボフン

水銀燈「…看護婦が巡回に来るわよぉ」

めぐ「抜かりはないわ」
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 05:36:46.84 ID:9iIAuUo0
【有栖川大学病院】

看護婦「検温の時間ですよ」

???「…」

看護婦「柿崎さん、お布団にくるまってないで…」

ブン ガチャン!

看護婦「きゃっ?!」

???「…もう誰も来ないでぇ!」

看護婦「…し、仕方ないわね…」

コツコツコツ バタン 




???「…ううう…」



のり「バレたらどうしよう…こわいよ…」
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 05:39:47.65 ID:9iIAuUo0
【廃教会】

水銀燈「…無茶するわねぇ」

めぐ「認めるけど、あなたに言われるのは心外ね」

ゴロンゴロン

めぐ「未婚の母になろうって言うんだから」

水銀燈「…そういう話じゃないわよぉ」

めぐ「だってそうじゃない。ひとりでやれるって保証でもあるの?」

水銀燈「…」

めぐ「誰かにすがるってことが、そんなに嫌なの?」

ゴロン

めぐ「…嫌でしょうね。よくわかるわ」

水銀燈「…」

めぐ「私は生まれたころから、ずっと誰かの世話になって生きてきた。…今でもそう」

ゴロンゴロン

めぐ「誰の手も借りたくないけど、誰かの手がないと生きられない。本当に嫌になるよね」

ゴロンゴロン
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 05:50:11.13 ID:UW6Chfko
また寝たのか
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 05:52:02.90 ID:hRYfD3o0
めぐ「それでも結局は―」

ガバッ

めぐ「どっかで開き直っちゃうしかないんだよね」

めぐ「なにひとつ思うがままにならないまま、それでも生きていこうと思ったらさ」

水銀燈「めぐ…」

コツ コツ コツ

ポフン

水銀燈「そんなこと、わかってるわ」

めぐ「…」

水銀燈「ずっと覚悟も積み重ねてきた。それでも…」

めぐ「…怖い?」

水銀燈「…」
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:02:50.35 ID:9iIAuUo0
>>51
なんとか起きてます。PCはよく寝ますが…
閲覧どうもです。もうしばらく続けます。
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 06:05:49.20 ID:UW6Chfko
面白いこと言えないからレスしないけど見てるから頑張れ
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:09:17.40 ID:9iIAuUo0
めぐ「…それとも、不安? 嫌悪?」

水銀燈「…わからない」

コロン

水銀燈「考えることがいっぱいありすぎて、考えがまとまらないのよぉ」

めぐ「…ジュン君は『怖い』って言っていたわ」

水銀燈「…ふん、やっぱりヘタレねぇ」

めぐ「『あなたの気持ちはどうなのか』だって」

水銀燈「…どういう意味ぃ?」

めぐ「本人に聞いてみたら?」

水銀燈「…」



めぐ「もう少ししたら彼、ここに来るから」
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:14:24.80 ID:9iIAuUo0
水銀燈「な?!」

めぐ「考えることがいっぱいあるっていうんなら、全部吐き出してぶつけてみたら?」

めぐ「それで愛想をつかされるんなら、はなっからうまくいくはずないんだから」

水銀燈「ちょ、ちょっと、そんなぁ…」

めぐ「それじゃ、私は帰るわね。…あと、最後に」

ギュッ

水銀燈「め…めぐぅ?」

めぐ「たとえ結果がどうなろうと、私はずっとあなたの味方」

水銀燈「…」

めぐ「もしもうまくいかなかったなら…」

ギュウゥッ

水銀燈「…めぐ…」

めぐ「あなたと一緒に死んであげる」



キュッ

水銀燈「…馬鹿なこと、言わないでよぉ」

水銀燈「わたしがしくじるはずないじゃなぁい」

めぐ「…そうね。きっと、大丈夫だよね」

ギシッ

めぐ「じゃあね…」
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 06:18:49.06 ID:u/i.mWI0
非常に面白い
支援
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:18:52.99 ID:9iIAuUo0
コツン コツン コツン

ギギギィ

ジュン「…めぐ? 水銀燈?」

コツ コツ コツ

(めぐ「今すぐ水銀燈のところに行ってあげて」)

(めぐ「言いたいことがいっぱいあるみたいだから」)

ジュン「(夜の教会…ううう、おっかないよ…)」

ギシ ギシ ギシ

ジュン「め、めぐ…? いるの…?」

水銀燈「めぐなら帰ったわよぉ」

ジュン「うひゃぁあっ?!」

ドスンバタン バリン!
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:22:55.56 ID:G3PK5gDO
>>54
>>57

支援どもっす。今日中に完結できるといいな。
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:31:12.74 ID:hRYfD3o0
水銀燈「…んもう、床に大穴あけてくれちゃってぇ…お馬鹿さぁん」

ジュン「い、いきなり声なんかかけてくるからだろ!」

水銀燈「ほんっとうにヘタレもいいところねぇ」

水銀燈「…まぁ、とりあえずお茶でも飲んでいきなさぁい」

ゴソゴソ

ジュン「…これおみやげ。お弁当とホットカルピス」

水銀燈「…そ、そんなものでご機嫌取りぃ?つくづく…」

ぐきゅるるる

水銀燈「///」カァァ

ジュン「…ぷっ」

ドガス

ジュン「ぐぇ」

水銀燈「…せっかくだからいただくわぁ」
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:34:25.98 ID:hRYfD3o0
モム モム 

水銀燈「(これが噂の『はなまるハンバーグ』…)」

クミ クミ 

水銀燈「(暖かいグレイヴィと濃厚な黄身の取り合わせが絶妙だわぁ)」

ムニュ ハム ペロ

ジュン「おいしそうに食べるなぁ」

ゴスッ

ジュン「ぶっ」

水銀燈「…まぁ食えなくはなかったわぁ」

フキフキ

水銀燈「ところで、今度は何の用?」

ジュン「何のって…」

水銀燈「例の件の話なら、もう済んだはずよぉ」
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:50:00.01 ID:zAg245g0
水銀燈「あなたは真紅たちの契約者かもしれないけれど

ジュン「…」

水銀燈「こんなことにまで首を突っ込む必要はないはずよねぇ」

ジュン「(ここでひるんじゃダメだ)」

水銀燈「善人面して中途半端に手を出されても、迷惑なのよぉ」

ジュン「(いちかばちか… 作戦A発動)」

水銀燈「…」

ジュン「(…どうか死にませんように…)」



水銀燈「…なんとか言ったらどうなの?」

ジュン「なにをそんなに意固地になってるんだよ?」
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 06:57:03.60 ID:zAg245g0
水銀燈「…何ですってぇ?」

ジュン「なんで、そんなにつまらない意地を張っているんだって」

ビシッ

ジュン「ぐっ」

水銀燈「あまりさえずると、ほんとうに喉を潰してやるわよ」

ジュン「へへ…」ニヤリ

ジュン「図星を突かれてムカついたな?」

ボグッ

ジュン「むっ…」 

水銀燈「それとも、舌を引き抜いてやろうかしら」

ジュン「…へっ、こんなもんかよ」 ニヤニヤ

ガスッ

水銀燈「悪いことは言わないから、そろそろおやめなさい」ニコリ

水銀燈「本当に殺されたいの?」

ジュン「いつもの猫なで声はどうしたんだよ?」

ガゴス

水銀燈「…や・め・ろと言ってるでしょう…?!」

ジュン「いいや、やめないねっ! 何を意地になってるのか当ててやるよ!」
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:01:44.72 ID:zAg245g0
水銀燈「お黙りなさいっ!」

グボ

ジュン「怖いんだろ!」

ベキ

ジュン「姉貴面して、ずっと突っ張ってきたから!」

ボグ ドス ガギ

水銀燈「黙れぇっ! 黙れ黙れ黙れ黙れだまれぇぇっ!!」

ジュン「誰かに頼っちゃったら、もう二度と突っ張れなくなっちゃいそうなんだろ!!」

水銀燈「…わかったようなクチをきくなぁぁぁっッ!!!」

ジュン「いいかげんにしろっ!」

ポコッ

水銀燈「?!」

ジュン「その高慢ちきな態度! ヘドが出るんだよ!」

水銀燈「…わたしの顔を…」

水銀燈「(お父様からいただいた私の顔を…!)」

水銀燈「よくも…!」
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:20:27.73 ID:phoBL7g0
ジュン「真紅たちだって、おまえなんかに助けてもらいたいだなんて思うもんか!」

ボギャ ドブ グボ

水銀燈「だ・ま・れぇぇぇぇッ!!!」

ジュン「大当たりだろ!」

ペシッ

水銀燈「!! この、2度も…!」

ジュン「何度でもやってやるよ!!」

ポム パチ ペシ

水銀燈「このぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

グシャ ドボ ゴキ

ジュン「どうしたどうした!それで終わりかよ!このジャンク!」

水銀燈「!! …それを…」 

(真紅「いつも偉そうに、このジャンク!」)
 
水銀燈「…その言葉を…」 

(???「いいかげんに静かにしろ! ジャンクにしてサーカスに売っぱらうぞ!」)

水銀燈「言・っ・た・な・ぁあああああああっ!!!」



めぐ「…派手にやってるわねぇ、ここまで聞こえてくるわ」

のり「ジュン、頑張るのよ…!」
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:28:13.09 ID:phoBL7g0
水銀燈「[ピーーー]っ! [ピーーー]っ[ピーーー]っ死んじゃえぇぇぇぇっ!!」ドゴボグメシャベキ 

ジュン「(あ…なんかちょっとヤバいかも…)」

水銀燈「わたしの気持ちがおまえなんかにわかるものか!!」ボスドコベシバン

ジュン「(…?)」

水銀燈「わたしだって… わたしだって、ずっと…!」ポコペチポスパキ

ジュン「…」

水銀燈「く…」ポロッ




ジュン「(…作戦成功、かな?)」
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:30:23.59 ID:phoBL7g0
水銀燈「…ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…」

ジュン「…へ、へへ、もう終わりかよ…」

水銀燈「…もう原形もとどめてない顔で、まだ強がるのぉ?」

ジュン「…思ったほどじゃなかった…手加減したんだろ?」

水銀燈「…」

ジュン「そうでなかったら、もう2〜3回は死んでるはず…」

水銀燈「そっちだって…手加減したんでしょお? 弱いくせにぃ」

ジュン「…女の子は殴れないよ。ところで、めぐから聞いたんだけど…」

水銀燈「何よぉ」

ジュン「水銀燈の言いたいことって、結局何?」



水銀燈「…忘れちゃったわぁ」
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:40:48.61 ID:hRYfD3o0
水銀燈「わたしからも聞きたいことがあるわぁ」

ジュン「何?」

水銀燈「何で、こんなことをしようと思ったのぉ? わざわざ私を怒らせるようなことを…」

ジュン「…ちょっと前、のりと本気でケンカしたことがあるんだ」

水銀燈「…あなたの姉さんと?」

ジュン「さっき水銀燈に言ったのは、そのとき言ったり言われたりしたことなんだ」

ジュン「『わたしだって普通の女の子みたいに遊びたい』『あなたの世話なんかもういや』」

ジュン「『おれだって世話なんかしてほしくない』『姉貴面してえらそうに、いちいちムカつくんだよ』」

水銀燈「…」

ジュン「そうやって取っ組み合いのケンカして、全部本音を吐き出して…」

ジュン「そのあとは、すこしだけ素直に甘えられるようになった気がしたから」

ジュン「水銀燈も言ってただろ?」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「『憎しみも争いもすべて含めて、わたしたちの絆』って」

水銀燈「…」
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:45:44.00 ID:hRYfD3o0
ジュン「…水銀燈」

水銀燈「…なぁに?」

ジュン「ボクは、真紅たちを助けたい」

水銀燈「…」

ジュン「そして、できれば君のことも助けたいんだ」

ジュン「みんなの姉さんとしてずっと頑張ってきた君のことも」

ジュン「…ヘタレのボクなんかじゃ嫌かもしれないけど…」 

水銀燈「…」

ジュン「お願いだよ」


水銀燈「とりあえず、顔くらい冷やしてちょうだぁい。そんな顔で言われても締まらないわぁ」
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:50:14.78 ID:hRYfD3o0
ジャーーー

ジュン「あちち…」

水銀燈「薬は後ろの戸棚に入ってるから、勝手にやっててちょうだぁい」

ジュン「(手当てくらいしてくれないのかよ…)」

コツ コツ コツ

水銀燈「大暴れしたせいで、埃やらあなたの血やら汗やらでベトベトになっちゃったわぁ」

水銀燈「綺麗にしてこなくちゃ、ねぇ」

ジュン「え?」

ガチャリ

水銀燈「契約するには、あなたと密着しなきゃいけないんでしょぉ?」

ジュン「…って、今から!?」

水銀燈「ちょっと待っててねぇ」

バタン
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 07:58:26.59 ID:hRYfD3o0
ジュン「ちょ…ちょっと待ってよ!」

コツ コツ コツ

水銀燈「(お父様)」

キィ パタン

水銀燈「(…わたしを、どうか許してください)」

スルスル パサリ

水銀燈「(お父様には遠く及ばないひとだけど)」

キュッ シャーーーーー

水銀燈「(…ちょっとだけ、甘えて頼ってみようと思います)」

シャーーーーー…
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 08:06:02.98 ID:/3GT8s.o
朝起きたら何だか惹かれるスレタイがあったから来たんだが・・・・
いいね これ
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 08:18:01.91 ID:phoBL7g0
ジュン(シャワーの音…これって…これって…)

ジュン(落ち着け俺、そうだ、素数を数えるんだ)

ジュン(1、2、3、5、7、えーと…)

水銀燈「ジュン、聞こえるぅ?」

ジュン「じ、じゅういちっ?!」

水銀燈「…あなたも綺麗になさぁい。臭いのも汚いのもイヤよぉ」

ジュン「は、はいっ!」

水銀燈「シャワー室は突き当たりの右。終わったら、階段をのぼって一番奥の部屋に来なさぁい」

コツ コツ コツ
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 08:41:32.14 ID:T2ca8AI0
>>72
ども。完結までがんばります。
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 08:47:04.82 ID:T2ca8AI0
コツ コツ コツ

水銀燈「(…みんなも)」

トン トン トン

水銀燈「(かならず助けてあげる。 わたしが…いえ)」

キィ パタン

水銀燈「(わたしと、彼が。)」 

スルスル パサリ

水銀燈「(…真紅と翠星石、雛苺にはちょっと悪いけどねぇ)」

カチャリ ゴソゴソ

水銀燈「…これを着ることになるとは思わなかったわぁ」シュルシュル
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 09:05:14.42 ID:T2ca8AI0
ジュン(…行っちゃった)

ドキドキドキ

ジュン(シャワー…浴びないと…)

ギシ ドタ ギシ バタン

ガチャン ドテ

ジュン(ううー… 足がとっからまっちゃいそうだよぉ)

ジュン(とりあえず服脱がないと…ってあれ?)

ジュン「顔…治ってる… あの薬?」


シャーーーーーー


ジュン(うう…どうしようどうしよう)

ジュン(あんなこと言っちゃったけど…ボクこんなの…)

ジュン(いやいやいや、相手は人形!そうただの人形!おかしくも恥ずかしくないっ!)

水銀燈「…ねぇ、まだぁー?」




ジュン(…あ…鼻血…)
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 09:16:27.95 ID:T2ca8AI0
ギシ ギシ ギシ

水銀燈「(…来たわね)」

ミシ ミシ ミシ

水銀燈「(わたしの…わたしたちのこと、頼むわよ。 半端なことはしないでね)」

ガダン ギィィィ

水銀燈「(助けてくれるっていうんなら、最後までつきあう覚悟じゃないと)」

バタン

ジュン「…水銀燈…」

水銀燈「ふふっ、いらっしゃぁい」



水銀燈「(…こうなったら、とことん甘えてやるんだから)」




水銀燈がドールたちの母親になるようです【入籍編】 完




○ご観覧ありがとうございました。書き溜めが出来次第第2部…【初夜編】にとりかかります。
この板を使うか新しい板を建ててもいいかは思案中です。


支援してくださった方に感謝。
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 09:20:29.04 ID:/3GT8s.o
ディ・モールト!! イイ スゴク イイよ・・・・
次も楽しみにしているぜ
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 09:35:40.60 ID:aZt74j2o
乙、昨日の夜からスレが開きっぱなしで、朝見たら更新されててラッキーってな感じ
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 09:53:34.35 ID:T2ca8AI0
>>78-79
どうもです。明日以降には続編を出せると思います。
なお予定では7部構成。
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 11:29:53.24 ID:xmUIyjEo
n ∧_∧
(ヨ(´∀` ) グッジョブ!
 Y    つ
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 20:40:11.30 ID:PH9BTgk0
>>1乙。
ローゼンメイデンSSスレでの頃から見てますよ。
全版規制であっちでは感想書き込めなくてゴメンなさい。

パー速は1000行かないと落ちないから、新しく立てたらだめだよ。移るときは9割がた埋めてからでないと、永久に残るよ。
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 21:29:37.74 ID:G3PK5gDO
>>81
どもっす(^-^)b

>>82
あわわ、こっちまでどもっす<(_ _;)>
それでは、そのままこの板で継続してみます。
初夜編は、あっちで書いたのより大幅に増える予定なのでどうか見てやってください。
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/22(日) 22:34:16.95 ID:PH9BTgk0
>>83
おお、加筆分があるのですね。

楽しみにさせてもらいます。
ぜひとも、そのうちドールズ復活編もお願いします。
(JUMと仲良くなった水銀燈が、多大な労力で復活させた真紅や翠に妬まれて排除される、軽い鬱展開なのを勝手に妄想しておりました、ウヘヘ)
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 23:00:48.89 ID:G3PK5gDO
>>84
もっと斜め上にハードな鬱展開になる予定です^^;
そこまで頑張ります。
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/22(日) 23:09:24.99 ID:UW6Chfko
あ、ありのまま…… 今起こったことを話すぜ
「予想屋が出たと思ったら作者がネタバレした」
な、何を言ってるか(ry
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/23(月) 07:14:11.88 ID:.0dpnmoo
救いのあるルートも書いて欲しいぜ・・・・
88 :sage :2009/03/23(月) 19:59:45.61 ID:oaRXY0U0
>>86-87
おっと口が滑った^^;
正直どんな展開になるか自分も予測できないんですが…
なんとかまとめきれるようにがんばります。
89 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:48:55.95 ID:pBj9.ZY0
【有栖川大学病院】

めぐ「静かになったわね…」

のり「いよいよ、はじまるのかな…」

めぐ「のりさん、みんなの準備は?」

のり「準備は万端よ。誰にもジャマはさせない」

めぐ「そう…」

のり「ジュン、男になるのよ!!」

めぐ「(…水銀燈)」




めぐ「(あいつのものになっちゃうんだね…)」
90 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:51:24.07 ID:pBj9.ZY0
【廃教会 寝室】

水銀燈「遅かったわねぇ」

ジュン(…すごいベッド…)

水銀燈「よく効く薬でしょお? お父様の贈り物なのよぉ」

ジュン(黒の、薄っぺらいキャミソールが…ランプの明かりに透けてる…)

水銀燈「あの顔じゃあ、ムードもなにもあったもんじゃないからねぇ…って聞いてるのぉ?」

ジュン「あっ…ひっ、ひゃい…」

水銀燈「まったく、もう…こっちにいらっしゃい」

ギシ ギシ  

水銀燈「しっかりしてよぉ。わたしだってはじめてなんだから…」

ジュン「…う、うん」

ギシッ

水銀燈「…ちょっと待ってぇ」

ジュン「えっ?」

水銀燈「あなた、臭うわよぉ」
91 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:53:09.85 ID:pBj9.ZY0
ジュン「え?…あ、服か」

水銀燈「どうにかならないのぉ?」

ジュン「だって、着替えなんて持ってきてないし…」

水銀燈「じゃあ、脱いじゃってよぉ」

ジュン「へ?!」

水銀燈「臭いのはイヤだって言ったでしょう?」

ジュン「そそそそそそんなこここととと」

水銀燈「なによぉ、じゃあこれでいいでしょお?」

カチャリ フッ

水銀燈「これなら、何も見えないでしょお?」

ジュン「そそそそういうことじゃじゃなくて」

水銀燈「だから何よぉ」




ジュン「ボ、ボクひとりだけハダカになんてなれないよ!」 
92 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:54:47.51 ID:pBj9.ZY0
水銀燈「……」

ジュン(…?)

ジュン(あばばばばばぼぼぼぼくはなんてことを口走ってぇぇぇぇ)

水銀燈「…それもそうねぇ」

ジュン「…ふぇっ!?」

シュル シュル スル スル

パサリ

水銀燈「いいわよぉ」

ジュン「」ガクガクブルブル
93 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:56:59.94 ID:pBj9.ZY0
水銀燈「ねぇ、ジュン…」

ボウッ

ジュン「うわ、明かりをつけないでっ!…って、それは?!」

水銀燈「そう、みんなのローザミスティカよぉ。ほとんど土になっちゃってるけど」

水銀燈「今から、これをわたしの中にとりこむわぁ」

ジュン「そ、そんなことをしたら…!」

水銀燈「あなた、そのためにここに来たんじゃないの?! いいかげんにしてよ! 」

ジュン「う…」

水銀燈「『君たちを助けたいんだ』って言ったじゃない! しっかりしてよ!」

ジュン「…」

水銀燈「あなたがそんなんじゃ、わたしだって…」

ジュン「…わかったよ。ごめん」

スル スル バサリ

ジュン「あ、あんまり見ないでよ」

水銀燈「(…うーん… ちょっと細すぎるかな…)」
94 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:58:28.86 ID:pBj9.ZY0
ジュン「…水銀燈」

ギシッ  ゴソゴソ

ジュン「そ、それじゃ、はじめようか…(うわ…肌、真っ白…)」

水銀燈「(…男のくせに、きれいな肌なのねぇ)それじゃ、いくわよぉ…」

ブウン 

ジュン「(…綺麗な胸の間に、結晶が吸いこまれていく…)」

水銀燈「…ンッ?! く、くぅぅ…っ…」

ジュン「?!」

水銀燈「く、く…うううッ…ああっ…」

ジュン「水銀燈!け、契約を…っ!(ええい、ヤケクソ!)」

チュッ

水銀燈「んっ…」
95 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 22:59:45.58 ID:pBj9.ZY0
チュウウウウウ

水銀燈「む…」

水銀燈「…ぷう」

ジュン「…だ、大丈夫?」

水銀燈「ん…大丈夫よぉ」



ジュン「…意外と、あっけなかったね」

水銀燈「…これで終わりなのぉ?」

ジュン「あ、そうだ。おなか、おなかどうなってる?」

水銀燈「ん…」

サスサス

水銀燈「変わらないみたいだけどぉ?」

ジュン「そうなの?」サスサス

水銀燈「ジュ、ジュン?!やぁん!」

ジュン「あ、ご、ごめん」

水銀燈「くすぐったいわよぉ」
96 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 23:02:57.07 ID:pBj9.ZY0
ジュン「…ここからどうすればいいんだろ?」

水銀燈「それは…たぶん、ねぇ…」

キュッ

ジュン「なっ?!」

水銀燈「『密着』すればいいんじゃなぁい?」クスクス

ジュン「ななななな」

ピシャン!

ジュン「あ痛てっ!」

水銀燈「…いいかげんに腹を据えなさいよぉ。 リードしろとまでは言わないけど…」

ジュン「う…わかったよ…(人形人形人形人形)」

ギュッ

水銀燈「…あんっ(あったかぁい…)」

ジュン「…(うわ…やわらかい…)」




ドクン

「?!」

ドクン ドクン ドクン 
97 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 :2009/03/23(月) 23:04:32.30 ID:pBj9.ZY0
ジュン「う…あぁぁ?!」

ドクン ドクン ドク ドク ドク ドク

水銀燈「あ…熱いっ!」

ドク ドク ドク ドドドドドド

ジュン「あああぁぁっ?!(つ、冷たい…ッ!)」

ドドドドドド

水銀燈「い、いやぁぁっ! 燃え…焼けるっ!」

ドドドドドド

ジュン「くぅぅああああ!!(こ、凍るっ…!)」

ドドドッ! ドドドッ! ドドドッ!

水銀燈「熱いよぉっ! イヤ… 助けてぇっ!!」

ジュン「んぐぅぅぅっ!!(胸が… 内臓がえぐられていくみたい…!)」

ビュゴゴゴゴゴ

ジュン「(なんの音…? ?! 黒い羽が、部屋中に…?!)」

水銀燈「いやぁ、翼が… 翼が壊れていく…!」
98 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [sage]:2009/03/23(月) 23:06:24.69 ID:pBj9.ZY0
とりあえずここまで。 今日は寝ます。
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/03/24(火) 00:21:29.26 ID:22/Ak9Q0
お疲れさまです。
昨日は余計な話題振ってすみません。

過疎スレに久々に傑作を投下してくれた人だったから、うれしくて、つい。

上の方見て気付いたけど、パー速はメル欄に「saga」(sag e にあらず)っていれないと規制入るよ。「死ね」が「ピー」になったりする。
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/24(火) 04:45:48.97 ID:rXjUZJQo
乙乙
101 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 07:03:35.70 ID:rf1C1pE0
>>99
とんでもないです;;; 
ネット素人の自分にいろんなことを教えてくれてどもです。

>>100
どもっす〜
102 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 07:17:19.79 ID:rf1C1pE0
ビュゴゴゴゴゴ

ジュン「う…あぁ…くっ…!(気が、気が遠くなる…)」

水銀燈「いやぁぁぁぁっ! うぁぁぁぁあっ!(壊れちゃう、壊れちゃうよぉ!)」


ビュゴウ!


ジュン「…はぁっ、はぁ、はぁ…」

水銀燈「…ふうううぅ…ふぅ、ふぅ…」

ジュン「お、おさまったのか…?」

水銀燈「ジュ、ジュン…」

ジュン「え?」

水銀燈「ちょっと、重いよぉ…」
103 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 07:26:02.11 ID:rf1C1pE0
ジュン「あ、ごめん」ガバッ

ジュン「 !! 」

水銀燈「…? どうしたの?」

ジュン「(…黒い羽の中に、白い肌がうずめられてる…)」

ジュン「…なんて綺麗なんだ…」

水銀燈「え…」

ジュン「…」

ジュン「あっ、いやっ、そのっ、これは!!」

水銀燈「…ふふふっ」サワッ

ジュン「ひゃっ?!」

水銀燈「わたしの羽。…くっついちゃってる」
104 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 07:34:26.37 ID:rf1C1pE0
ジュン「…羽根ぶとんになっちゃったね」

水銀燈「わたしの翼…壊れちゃったのかな…」

ジュン「…ちょっとごめん」

サスサス

水銀燈「はぅっ?!」

ジュン「…なくなっちゃってるみたい(…背中、すべすべ…)」

ベチン

ジュン「わぷっ!?」

水銀燈「いきなりなにすんのよぉ!」

ジュン「…君だって。仕返しだよ」

水銀燈「…んもう」

キュッ

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「もう一回」

サスサス

水銀燈「…ぎゅーっと抱いて」
105 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 07:45:48.41 ID:rf1C1pE0
ジュン「…うん」ギュッ

水銀燈「…もっと強く」

ギュゥゥゥッ

ジュン「苦しくない?」

水銀燈「…あたたかい」ピトッ

ジュン「水銀燈…?」

水銀燈「ふふ、あなたの胸… ドキドキしてる」

ジュン「…」



ジュン「(水銀燈が小さくってよかった… 正直もう限界…)」
106 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 07:51:23.48 ID:rf1C1pE0
水銀燈「どうしたの?」

ジュン「…な、なんでもないよ」

水銀燈「…ははぁん。 さては…」

ゴソゴソ

ジュン「んなっ!? …水銀燈、足を動かさないでっ!」

水銀燈「こっちのほうがなにか、気になっているのぉ〜??」

ジュン「ダメダメダメダメ!! そっちはダメ!!」

水銀燈「うーん、このへんかなー??」

ジュン「ダメだってばー!!」グイッ

水銀燈「…やぁん、乱暴ねぇ」

ジュン「(今さわられたら… ほんとにどうかなっちゃう…)」
107 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:02:34.47 ID:rf1C1pE0
ジュン「あ、そうだ、おなかは?」

水銀燈「ん…」

サワサワ

水銀燈「ダメ、まだみたい」

ジュン「…うーん、まだなにかやることがあるの?」

水銀燈「…いやぁねぇ。『やること』だなんて」

ジュン「そっ! そんな意味じゃ…!」

水銀燈「ふふふっ」



ズキン



水銀燈「んっ!?」
108 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:07:11.36 ID:rf1C1pE0
ズキン ズキン ズキン

ジュン「なんだ、頭が…!」

水銀燈「頭が…割れる…!!」

ズキン ズキン ズキン ズキ ズキ ズキ

ジュン「う、うわぁぁぁ?!」

(イタイ、イタイヨォッ!)

ジュン「(?! い、今のは…なに?!)」

(コワレチャウ!! イヤァアアアア!)

水銀燈「いや、いやぁああああ!」

(ク、ナンダコノイタミ?!)

水銀燈「(なんなのこれ…なんなのよぉ!)」

(コ、ココロガ…ハジケル…!)



ズキズキズキズキズキ
109 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:14:11.77 ID:rf1C1pE0
ズズゥゥン!!


ジュン「(…う…く…)」

水銀燈「(ん…あぅっ…)」

ジュン「(今のはいったい… 何だったんだ…?)」

水銀燈「(…私に聞かれたって、わからないわよぉ)」

ジュン「(…? えっ?!)」

水銀燈「(…なぁに?)」

ジュン「(いま…きみ、しゃべった?!)」

水銀燈「(? 何を言って… えぇっ?!)」



ジュン「(ボクの心と水銀燈の心が…)」

水銀燈「(つながってる…!)」
110 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:22:07.79 ID:rf1C1pE0
ジュン「(…これから、何が起こるんだ?)」

水銀燈「(いや、怖い…)」

ジュン「(…君にも、怖いってことがあるんだね)」

水銀燈「(…あたりまえじゃない。 女の子なのよぉ)」

ジュン「(ふふっ)」

水銀燈「(笑わないでよぉ… あれ?)」


(ねぇ… お姉ちゃん…)


ジュン「(…こ、これは?!)」


(なぜ、パパもママも帰ってきてくれないの…?)


水銀燈「(この子は…?)」


(ボクたち、嫌われちゃったの…?)





ジュン「(これは… ボクの記憶…!!)」
111 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:35:05.63 ID:rf1C1pE0
(お姉ちゃん…何か言ってよ…)

(ねぇ… お姉ちゃんってば…)


ジュン「(うあぁ… いやだ、いやだっ!)」

水銀燈「(…ジュン!?)」


(のり「うるさいっ!」)

(…お姉ちゃん?!)

(のり「自分ばっかりなによ! わたしだって、わたしだって…!!」)


水銀燈「(い、痛い…っ!)」

ジュン「(なんで、なんでこんなことをいまさら… 水銀燈、見ないで!!)」

水銀燈「(ジュンが感じてる痛みが、私の心に突き刺さってくる…!)」


(のり「あんたなんか、あんたなんか…」)

(お、お姉ちゃん!)

(のり「生まれてこなければよかったのよ!」)


ジュン「(ああ… うあぁ… )」

水銀燈「(ジュン… あなたは…)」
112 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:42:53.51 ID:rf1C1pE0
(ジュン「お父さん、お母さん… お姉ちゃん…」)

(ジュン「みんな、ボクのこといらないの? ジャマなの…?」)


ジュン「(うああ… いやだ、いやだ…)」


(ジュン「ボク…いい子にするよ… にんじんも食べるから…」)

(ジュン「だから… みんな、どこにもいかないで…」)

(ジュン「ボクを置いていかないで…」)


水銀燈「(あぁ、ジュン… あなたは…)」

ジュン「(…水銀燈…)」

水銀燈「(わ、わたしと同じ…)」


(お父様… わたしたち、どうなるの…?)
113 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 08:51:42.24 ID:rf1C1pE0
ジュン「(これは… まさかこれは!)」

水銀燈「(わたしの記憶… ずっと忘れていた、いえ…)」


(ずっと、逃げて、戦って、逃げて…)

(いくあてもない、お金もなくなりそう…)


水銀燈「(思い出したくなかった…)」

ジュン「(…水銀燈?!)」

水銀燈「(ああ、イヤ、イヤ… 思い出したくないっ! 考えたくないっ!!)」


(わたしも、みんなも、もうもたないかもしれない… 怖い、怖いよ!)

(お父様、お願い… 何か言って! 言ってよ!)

(ローゼン「…うるさいっ!」)


水銀燈「(いやぁっ!!!)」

ジュン「(水銀燈!!)」
114 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:02:56.71 ID:rf1C1pE0
(ローゼン「お前だって、頑張るって言ったじゃないか! いいかげんに静かにしろ!」)

(お、お父様…!)

(ローゼン「ジャンクにしてサーカスに売っぱらうぞ!」)


水銀燈「(いやぁっ!! だめぇっ!!)」

ジュン「(く… 痛い…灼けるように、冷たい!)」

ジュン「(これが… 水銀燈の痛み…!!)」


(うそ… そんな… お父様…)

(わたしのことも みんなのことも 邪魔だったの…?)


水銀燈「(あああああ… ジュン、見ないで、聞かないで…)」

ジュン「(水銀燈… 君はボクと同じ、いや…)」


(お願い… お願い… 嫌わないで、見捨てないで)

(わたし、お父様のためだけの人形だから…)

(どんなことでもするから…)


水銀燈「(いやああああぁっ!! うわああああぁっ!!)」

ジュン「(ボクなんかより、ずっと、ずっと…!)」
115 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:13:20.21 ID:rf1C1pE0
ズキン

ジュン「(うっ!)」

ズキン ズキン ズキン

水銀燈「(こ、こんどはなに?!)」

ズキ ズキ ズキ ズキ

ジュン「(な、なんだ?!)」


ズズズズズズズズ



(真紅「あなたなんかいらないっ! このジャンク!!」)
(梅岡「すばらしいじゃないか! これはみんなに認められるべきなんだ!」)


ジュン「う、うああ?!(ボクと君、お互いの痛みが…想いが…)」
水銀燈「くあああっ!!(…心になだれこんでくるっ?!)」
116 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:29:17.40 ID:rf1C1pE0
(蒼星石「アリスにもなれないお前が、僕に勝てるものか」)
(同級生「へへ、すごい才能だな〜 桜田ぁ?」)


ジュン「ううあああああっ!(痛みが、苦しみが、互いの心を反響して膨れ上がっていく!!)」
水銀燈「ひぃあああああっ!(まるで…合わせ鏡の中に…放りこまれたみたい!!)」


(雪華綺晶「愛に縛られているのね、哀れなMy fair Lady」)
(巴「あ… ジュン君… さ、さよなら」)


ジュン「うああああ、ぐああああ!!(あ、頭が煮えたぎるっ!!!!)」
水銀燈「ひい、ひぃ、ひぎいぃぃ!(このままじゃ…ジャンクになっちゃうぅ!!)


【廃教会外 車内】

みつ「かなり激しいわね〜(わたしもご無沙汰なのに…)」

柴崎「…若いもんはええのぉ」
117 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:33:06.76 ID:rf1C1pE0
みつ「うん…来たみたい」



警官「誰かが騒いでる、って通報があったのはこのあたりかな…」



みつ「…柴崎さん、そろそろお願いします」

柴崎「心得とる。作戦Bじゃな」



警官「ん…この教会か」

ウワァァァ! イヤァァァァ!

警官「どうやらあそこのようだな… まったく」

ヒョコヒョコ

柴崎「おやおや、夜分にご苦労様で」
118 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:38:02.88 ID:rf1C1pE0
警官「おっと…失礼ですが、通報者ですか?」

柴崎「いえいえ、私はあの子らの保護者で」

警官「保護者?」

柴崎「肝だめしをやるといってとびだしていったのを探して、見つけたところですわい 

警官「はぁ… こんな季節にですか」

柴崎「これから連れて帰ります。 どうもご迷惑をおかけしました」

警官「…うーん… まぁ足元も暗いし、念のためお供しますよ」

柴崎「ほほ、お気遣いどうも」ピッ




みつ「(! 作戦Cに移行の合図ね、よしっ!)」

みつ「きゃあぁぁぁぁ! おまわりさん、たすけてぇっ!」
119 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:41:25.71 ID:rf1C1pE0
警官「…な、なんだっ!?」

みつ「いや、いや、やめてぇっ!」

バタン ブロロロロロ

警官「い、いかん! …すみません、お孫さんたちはお願いします!」

柴崎「お気をつけて」

警官「そこの車、止まりなさぁーい!!」




柴崎「…たわいないのぉ」



みつ「これで作戦終了♪ ジュンジュン、しっかりやるのよ!」

パープーパープー

みつ「…え゙??」

パトカー「そこの車、止まりなさぁい!!」

みつ「うそぉぉぉん!!」
120 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 09:48:40.89 ID:rf1C1pE0
休憩〜
再開は未定。
121 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 17:39:36.06 ID:NUZH/Co0
【廃教会 寝室】

ズキン ズキン ズキン ズキン

ジュン「くっ… うっ… あっ…」

ドクン ドクン ドクン ドクン

水銀燈「はっ… ふぅ、くう…」


(ローゼン「泣かないでおくれ、水銀燈。 これで良かったのだから…」)

(水銀燈「いやっ、いやっ! お父様が死んじゃうっ!!」)


ジュン「(そうか… そうなのか… 水銀燈… 君は…)」

水銀燈「(そんな… まさか… ジュン… あなたは… )」


ズキ ズキ ズキ
ドク ドク ドク


ジュン「(神様… ボクはもう、大丈夫だから…)」

水銀燈「(主よ… わたしは、どうなってもいいから…)」


ズ ズ ズ
ド ド ド

(この腕の中にいる、このひとのことだけは…)


ズ…ズ…
ド…ド…





(どうか…)
122 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 17:42:31.52 ID:NUZH/Co0
【???】

(ローゼン「彼女はアリスにはならない。なってはいけない」)


(ローゼン「なぜなら、彼女はおまえ達の母親になるべく造られたからだ」)


(真紅「母親…?」)


(ローゼン「惜しみなき愛をみんなに注ぎ その身を賭けた厳しさでみんなを導き」)


(ローゼン「みんなの『心』をはぐくむ 究極の母親になるために」)




(ローゼン「水銀燈。おまえは―」)
123 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 17:50:38.89 ID:NUZH/Co0
チュン チュン

ジュン「ん…」

チチチチ

ジュン「ここは…朝か」

ゴソゴソ

ジュン「夢じゃ、ないよな。…指輪に…」

キラッ

ジュン「(赤い石が…朝日を浴びて…)」

チュン チュン チチチ

ジュン「大丈夫かい、水銀燈…あれっ?」

ガバッ

ジュン「水銀燈?!」

バタバタバタ
124 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 17:54:03.85 ID:NUZH/Co0
【廃教会 礼拝堂】

(めでたし天の后 天使たちの女王)

(めでたし世に光を生みだした根よ 門よ)

バタバタバタ

水銀燈「…」


(すべての人にまさって美しく)

(栄光あるおとめよ お喜びください)

ドタドタドタ

水銀燈「…」


(めでたし ああ いとも美しいお方よ)

(わたしたちのために御子に祈ってください)


水銀燈「…アァメン」

ギィィィ

ジュン「…なんだ、ここにいたのか」

水銀燈「おはよう、ジュン」
125 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:00:02.83 ID:NUZH/Co0
ジュン「…水銀燈…?」

水銀燈「どうしたの?」

ジュン「ん…いや、なんか雰囲気が昨日までとぜんぜん違うような…」

ジュン「(朝日のせいだけじゃなく… なんか、ほんとうに輝いてるみたい…)」

クスッ

水銀燈「思い出したのよ、お父様の言葉を」

ジュン「…ローゼンの?」

水銀燈「ええ。ずいぶん永い間、思い出せなかったお父様の言葉」

ジュン「ことば…」

水銀燈「昨日、あなたと契約を交わしたでしょう?」

ジュン「う、うん」

水銀燈「あなたとわたしの心が激しく混ざり合って…」
126 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:05:46.53 ID:NUZH/Co0
ジュン「あ、ああ」

水銀燈「そのときわかったの。あなたが私に教えてくれたから」

ジュン 「…ぼくが?」

水銀燈「あなたの心が、私に教えてくれた。私の記憶を読み取ったあなたの心が」

ジュン「…そうか…」

水銀燈「見て、ジュン」

ジュン「(ステンドグラス?)…聖母像?」

水銀燈「ええ。これがお父様の言葉」





(ローゼン「水銀燈、おまえは『マリア』になるのだ」)
127 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:12:14.28 ID:NUZH/Co0
ジュン「『マリア』…」

水銀燈「ええ。…見て」

スルスルスル

ジュン「お…おなかが!」

水銀燈「ふふ、驚いた?」

ジュン「ふくらんでる…」

水銀燈「…ここにみんながいる。はっきり、わかるのよ」

ジュン「この中に…」

水銀燈「みんなのぬくもりを、感じるの」

ジュン「みんなが…」

サワッ

水銀燈「やん、くすぐったい」

ジュン「ご、ごめん」
128 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:18:11.92 ID:NUZH/Co0
水銀燈「でも…」

サスッ

ジュン「…翼が無くなっちゃったんだっけ」

水銀燈「それだけじゃない」

ボカッ!

ジュン「わぶっ! いきなり何するんだよ!?」

水銀燈「…今の、思いっきり殴ったのよ」

ジュン「…えっ?」

水銀燈「鼻血も出ないなんて、くやしいわ」
129 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:20:54.18 ID:NUZH/Co0
水銀燈「さっき試してみたら、メイメイも呼べないし鏡にも入れなかった」

ジュン「そうなんだ…」

水銀燈「だからたぶん…」

ギュッ

ジュン「…えっ??」

ググググ

ジュン「…い、痛いよ」

水銀燈「…やっぱりダメね、力を奪えない」
130 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:22:57.19 ID:NUZH/Co0
水銀燈「いまの私は、ほんとうにただのお人形」

ジュン「…」

水銀燈「こうなるってことは覚悟してた。だから後悔はしてない。してないけど…」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「…いまさらだけど、ほんとうにいいの?」

ギュッ

ジュン「もちろんさ、うちに来なよ。のりも待ってる」

水銀燈「いろいろ迷惑かけるわよ?」

ジュン「真紅たち3人の面倒だって見たんだ。なんとでもなるよ」

水銀燈「…わがままも言うし、イライラすることだってきっとあるわ」

ジュン「そのときはまた、ケンカしようよ。あのときに比べれば軽いもんさ」

水銀燈「…」

ギュウウッ

水銀燈「…それじゃ、さっそくだけど…」
131 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:27:22.59 ID:NUZH/Co0
ジュン「なぁに?」

水銀燈「…ちょうだい」

ジュン「…なにを?」

水銀燈「さっきやってみせたでしょう? 今のわたしは、あなたから力を奪うことができないの」

ジュン「? …うん」

水銀燈「だから、あなたのほうから結晶にエネルギーをちょうだい。…昨日みたいに」

ジュン「…えぇっ!」

水銀燈「何よ、いまさら恥ずかしがらなくたって…」

ジュン「…い、今?」

水銀燈「んもう、じれったい。早くぅ…」

ジュン「わ、わかったよ」


チュ


水銀燈「…ん…」


チュウウウウ


水銀燈「…ぷぅ、もういいわぁ」
132 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:33:26.47 ID:NUZH/Co0
ジュン「…」ドキドキ

水銀燈「ふふ、ありがとう」

ジュン「…あ、朝ごはん食べようよ。持ってきてあるんだ」

水銀燈「じゃあ、わたしはお茶いれてくるわ」


カチャン カチャン ボッ

シュー-ーーー

水銀燈「♪ふん、ふん…」

ジュン「…それにしても」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「一晩で、ずいぶん変わっちゃったね…」

水銀燈「そう? わたしはそんな気はしないけど」

カチャカチャ

水銀燈「むしろ『元に戻った』ような気がするわ」
133 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:40:30.21 ID:NUZH/Co0
ジュン「『元に』?」

水銀燈「ええ。わたしって、もともとこうなの。…なによその顔、ほんとよ?」

ジュン「でも…」

水銀燈「そんなに信じられないなら、この子たちが目覚めたら聞いてごらんなさい?」

シューーーーー

水銀燈「わたしが変わったとしたら、あなたのせいよ?」

ジュン「ぼ、ぼくの?」

水銀燈「ええ」ニコ

コポコポコポ

水銀燈「…わたし、ずっと怖がっていたの」
134 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:46:38.31 ID:NUZH/Co0
ジュン「…怖がって?」

水銀燈「ええ。…ミルクと砂糖は一杯ずつでよかった?」

ジュン「…あ、疲れちゃったから二杯ずつちょうだい」

水銀燈「昨日は激しかったものね」ニコニコ

ジュン「んなっ!?」

クスクス

水銀燈「怖かったのよ。…今ならよくわかる」

ジュン「…」

チャポ クルクルクル

水銀燈「自分が何者なのかわからなかった。…わたしは『いらないもの』なんじゃないかって」
135 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 18:55:00.00 ID:NUZH/Co0
ジュン「…そんなことないよ」

水銀燈「ありがとう。 …でも、昨日まではそう思えなかった」

カチャン

水銀燈「だから『ジャンク』っていう言葉を恐れた」

ジュン「…」

水銀燈「でも、あなたが思い出させてくれた。そして、教えてくれた」

ジュン「…何を?」ゴク ゴク

水銀燈「あの言葉を恐れるようになったきっかけの出来事」コク コク

ジュン「…」ゴク 

水銀燈「そして、あの言葉の意味も」

ジュン「意味?」

水銀燈「おかわりいる?」

ジュン「あ、うん」
136 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 19:01:37.55 ID:NUZH/Co0
コポコポコポ

ジュン「…意味って?」

水銀燈「あなたがお姉さんからぶつけられた言葉と同じ」

ジュン「…」

(あなたなんて、生まれてこなければよかったのよ!)

水銀燈「あなたのあの記憶が教えてくれた。あの言葉の意味は『弱さ』なんだって」

ジュン「『弱さ』…」

水銀燈「お父様だって、イライラすることくらいある。…今にして思えば、当たり前なんだけどね」

ジュン「…」
137 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 19:12:32.57 ID:NUZH/Co0
水銀燈「わたしは、ずっとその言葉に囚われていた。けれど、もう大丈夫」

コク コク コク

水銀燈「あの言葉は、そんなに気にする必要はなかった。何よりも…」

サスサス

水銀燈「わたしには、この子達をよみがえらせる役割がある」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「わたしは『いらないもの』なんかじゃない」

カチャカチャ

水銀燈「いま、すごく晴れやかな軽やかな気分なの」

ジュン「…そうなんだ」

水銀燈「永い間、心につかえていたものがとれたんですもの」

ジュン「うん…」

水銀燈「翼で実際飛んでたときよりも、空を飛ぶような心持ちよ♪」ルンルン

ジュン「へえ…(よかった…)」



ジュン「(『あのこと』までは、思い出してない…)」
138 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 19:25:25.60 ID:NUZH/Co0
水銀燈「お弁当ごちそうさま。おいしかったわ」

ジュン「それじゃ、みっちゃんさんに連絡するよ。迎えに来てくれることになってるから」

水銀燈「わたしは食器洗って、荷物片付けてくるわ」

ピポパピプ



「ただいま電話に出ることができません」

ジュン「あれ? おかしいな…」

ピポパピプ



「ただいま電話に…」

ジュン「あれぇ…? 待っててくれることになってるのに…」




【有栖川警察署】

みつ「えーと、えーと、勘違いしてまして…」

署員「…ならなんで、その時刻から明け方まで逃げていたのかね?」

みつ「えーと、えーと、気が動転して…」

署員「…まったくもう」
139 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 19:41:02.75 ID:NUZH/Co0
水銀燈「どうしたの?」

ジュン「うーん、みっちゃんさんと連絡が取れないんだ」

水銀燈「みつ…さんと?」

ジュン「うん。車出してくれるはずだったんだけど…」

水銀燈「じゃあ構わないわ。歩いていきましょう」

ジュン「えっ?」

水銀燈「電車代くらいならあるわよ?」

ジュン「いや、それくらいはボクが出すけど…体、大丈夫なの?」

水銀燈「もちろん人に見つかったら大変だから、あなたに運んでもらうわよ?」

ジュン「それは構わないけど…」

水銀燈「ゆっくり行きたいの」

ジュン「そうなの?」

水銀燈「ゆっくり流れる風景なんて、あんまり見る機会がなかったから」

ジュン「…そうなんだ」
140 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 19:48:19.35 ID:NUZH/Co0
ゴソゴソ

水銀燈「えっと、これに、これ、あとこれも…」

ジュン「…歩いていくんだから、もう少ししぼって持っていかない?」

水銀燈「だめよ、これ全部名品ぞろいなんだから」

ガチャガチャ

ジュン「ねぇ、このティーセットも持っていくの?」

水銀燈「丁寧に扱ってちょうだい! そのウェッジウッドはお気に入りなの!」

ジュン「この、昨日着てたキャミソールは?」

水銀燈「それシバリス!とっておきの勝負用なの! シワ作っちゃだめ!」

ジュン「しょうがないじゃん、カバンももうぎゅうぎゅうづめだよ」

水銀燈「んもぅ。昨日はそれ見てドキドキしてたくせにぃ…」

ジュン「…ただの服にドキドキなんかしないよ」

ガサガサ

ジュン「…だよ」

水銀燈「えっ?」

ジュン「き、君が着てたからだよ!」

水銀燈「…んもう、お馬鹿さぁん」

チュ

ジュン「…あっ」
141 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 19:51:37.77 ID:NUZH/Co0
水銀燈「…って、なぁにニヤニヤしてるのよぉ。いやらしいわねぇ」

ジュン「そ、そうじゃないよ。ほら、口調が…」

水銀燈「え?」

ジュン「いつもの猫なで声になってる」

水銀燈「…あららぁ」

ジュン「さっきまでもかわいかったけど…やっぱりそっちのほうがらしくていいや」

水銀燈「…」

ペチッ

ジュン「いてっ!」

水銀燈「もう、お馬鹿さんなんだからぁ」
142 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 20:01:54.99 ID:NUZH/Co0
ジュン「用意はできた?」

水銀燈「いいわよぉ」

ジュン「…なにその格好?」

水銀燈「これでいいのよぉ」

ジュン「(蛍光色のワンピ−ス…リカちゃん人形みたい)」

ジュン「いつもの服は?」

水銀燈「あれは、もういらないわぁ。お手入れに手間がかかりすぎちゃうもの」

水銀燈「アンティークだから、みつに頼めばお金にしてもらえるしねぇ」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「じゃあ、行きましょうか」ヨイショ

ジュン「あ、カバンの上じゃ危ないよ」

水銀燈「だって、キャリーの上じゃもっと座りづらいわぁ」

ジュン「ここに乗りなよ」

水銀燈「きゃっ!?」

チョコン

ジュン「しっかりつかまっててね。ボクも気をつけるけど」

水銀燈「…重たくない?」

ジュン「ぜんぜん」

水銀燈「…ありがとねぇ」
143 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 20:05:15.60 ID:NUZH/Co0
トコ トコ

ガラ ガラ

水銀燈「あ、そっちじゃないわ」

ジュン「え? 駅はこっちだけど?」

水銀燈「寄ってほしいところがあるのよぉ」

ジュン「…どこ?」

水銀燈「…めぐに、挨拶したいの」

ジュン「ああ… わかったよ」

トコ トコ

ガラ ガラ
144 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 20:09:58.69 ID:NUZH/Co0
【有栖川大学病院】

看護婦「柿崎さん、面会です」

めぐ「…誰?」

看護婦「…メガネをかけて人形を持った男の子ですよ。知ってる人ですか?」

めぐ「…そう。来たんだ…」

ガチャン

ジュン「…お邪魔します」

めぐ「いらっしゃい」

看護婦「じゃ、帰るときには一言かけてください」

パタン



水銀燈「めぐ…」

めぐ「…水銀燈」
145 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 20:13:58.36 ID:NUZH/Co0
めぐ「…ジュン君と、やっちゃったの?」

ジュン「はぁっ?!」

水銀燈「…ええ」

ジュン「(そそそそんな…)」

めぐ「ジュン君」

ジュン「な、なに?」

めぐ「ちょっとだけ、ふたりきりにしてもらっていい?」

ジュン「あ… うん。 わかった」

ガチャン パタン

めぐ「…」

水銀燈「…」




めぐ「おなか、見せてもらっていい?」
146 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 20:46:04.81 ID:QmMnxHw0
水銀燈「…いいわよぉ」

ギシ

スルスル

めぐ「わぁ… こうなるんだ」

水銀燈「…ちょっと恥ずかしいわぁ」

めぐ「恥ずかしがることなんてないじゃない」

サワ

水銀燈「ひゃうっ!?」

めぐ「…すばらしいことよ」

ナデ ナデ 
147 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 20:52:31.33 ID:QmMnxHw0
水銀燈「そうね… きっと、そうよねぇ」

ナデ ナデ

めぐ「水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

めぐ「素直に、甘えられた?」

水銀燈「…むつかしいわぁ。できたと思うんだけど…」

めぐ「甘えるべきときに甘えるっていうの、難しいからね」

めぐ「わたしも、100万回失敗してる」

水銀燈「…」

めぐ「ジュン君、よくしてくれそう?」

水銀燈「…まぁまぁね。頼りないけどねぇ」

めぐ「…わたしのことなんて、忘れちゃっていいからね」
148 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 21:20:25.20 ID:36ANOY.0
水銀燈「何言ってるのよぉ、忘れるわけないじゃない」

めぐ「ふふっ」

水銀燈「あなたこそ…」

めぐ「なぁに?」ニヤニヤ

水銀燈「…ふんっ」

めぐ「あ、また素直じゃなくなってる」ケラケラ

水銀燈「…もうっ、調子狂うわぁ」

コンコン

ジュン「もういい?」

めぐ「あ、あとちょっと」
149 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 21:27:12.17 ID:36ANOY.0
めぐ「水銀燈… 約束、憶えてる?」

水銀燈「えぇ… もちろん」


(もしもうまくいかなかったら あなたと一緒に死んであげる)


めぐ「…無理するなとは言えないけど…」

水銀燈「…」

めぐ「『自分ひとりの命で済むんなら』なんて絶対思わないで」

水銀燈「…めぐ」

めぐ「どんな理由でも、あなたが死んだら私も生きてなんかいない」

めぐ「あなたを呪いながら死んでやるから、覚悟なさい」

水銀燈「…ふふ、怖いわねぇ。 大丈夫よぉ、絶対に」

めぐ「…お願いよ」
150 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:04:23.43 ID:36ANOY.0
コンコン

ジュン「まだ?」

めぐ「あ、もういいわ」

ガチャン 

ジュン「話は終わった?」

水銀燈「…ええ」

ジュン「…めぐ」

めぐ「なに?」

ジュン「…水銀燈のこと、しばらく借りるよ」

めぐ「…」

ジュン「水銀燈はボクとも契約したけど、君との契約も続いてるはず」

めぐ「…そうね。指輪は残ってる」

ジュン「落ち着いたら、水銀燈と一緒にまた来るよ」

めぐ「あんまり気を使わなくてもいいわ。それよりも」

ギシッ 

ジュン「あ… 立って大丈夫なの?」
151 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:08:26.92 ID:36ANOY.0
めぐ「平気よ」

スタ スタ スタ

ジュン「…なに?」

めぐ「…いい?」

ジュン「あ、うん。 …いいよ」

めぐ「…意外に落ち着いてるのね」

ジュン「覚悟はしてた」

カチャリ

水銀燈「…?(メガネを取って、どうするのぉ?)」

めぐ「いくわよ」

ジュン「ん」




バチィン!!!

ジュン「くっ」

水銀燈「!?」
152 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:15:32.21 ID:36ANOY.0
めぐ「ああ、すっとした。もういいわよ」

ジュン「…ありがとう」

めぐ「頼むわよ、私の天使様のこと」

ギシッ

めぐ「幸せにしてあげて… いえ、あなたが幸せになって」

ジュン「…うん」

めぐ「そうでないと、絶対幸せになれない子だから」

水銀燈「めぐ…」

めぐ「…いってらっしゃい」

ジュン「…じゃ」

ガチャン パタン





めぐ「…帰ってきてね…」
153 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:23:08.92 ID:36ANOY.0
テク テク
ガラ ガラ

水銀燈「…大丈夫?」

ジュン「うん」ヒリヒリ

水銀燈「…どうして、あんなことを?」

ジュン「ボクだってのりと結婚する男がいたら、一発は殴ってやりたくなる」

水銀燈「…ジュン」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「…幸せにするよ」

水銀燈「…やだぁ。 何言ってるのよぉ」

ジュン「本気だよ」

水銀燈「…もちろん、わかってるわよぉ」ピトッ

テク テク
ガラ ガラ
154 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:26:24.87 ID:36ANOY.0
テク テク
ガラ ガラ

ジュン「もうすぐ駅だよ」

水銀燈「…ねぇ、ジュン」

ジュン「なんだい?」

水銀燈「あなたのおかげで、お父様のいろんなことを思い出すことができたわぁ」

水銀燈「でも、まだわからないことがいっぱいあるのぉ」

ジュン「…?」

水銀燈「わたしが『マリア』となるべく作られたのなら、なぜアリスゲームに参加したのかしらぁ?」

水銀燈「お父様の消息も顔も、結局わからなかったしぃ…」

水銀燈「…なにか、心当たりはなぁい?」

ジュン「…」
155 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:29:27.74 ID:36ANOY.0
水銀燈「…ジュン?」

ジュン「ごめん、よくわからないや」

水銀燈「そう…残念ねぇ」

テク テク
ガラ ガラ


水銀燈「わたしはあなたのこと、結構おぼえているんだけどぉ」

水銀燈「小学3年生までおねしょしてたとかぁ…」

ジュン「?!ちょ、それ!!」

水銀燈「真紅たちに教えてやれるのが楽しみだわぁ〜」

ジュン「こらこらこらぁー!」



ジュン「(…言う必要なんて、きっと無い)」

ジュン「(思いださなくっていいことだって、きっとあるんだ) 」
156 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:33:13.63 ID:36ANOY.0
プァー…

ガタンゴトン ガタンゴトン



ジュン「次の駅だよ」

水銀燈「…ねぇ、ジュン」

ジュン「なに?」

水銀燈「ぜいたくはしない。わがままも、なるべく言わない」

ジュン「うん」

水銀燈「だから…お願いがあるのよぉ」

ジュン「言ってみなよ」
157 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:34:44.16 ID:36ANOY.0
水銀燈「…はなまるハンバーグ、また作ってもらえるぅ?」

ジュン「日曜と水曜ははなまるの日なんだ」

水銀燈「土曜の7時からは、くんくん観てもいい?」

ジュン「真紅たちも観てたから、別にいいよ」

水銀燈「ヤクルトも、たまにでいいから飲みたいわぁ…」

ジュン「毎朝ヤクルトおばさんが届けてくれてるよ」

水銀燈「…」

ジュン「他には、何かないの?」


ガタンゴトン ガタンゴトン


水銀燈「…そんなによくしてもらっちゃって、ほんとにいいの?」

ジュン「(いじらしい願い事ばっかりで泣けてくるよ…)」
158 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:41:48.32 ID:36ANOY.0
ジュン「もうすぐ、家だよ」

水銀燈「…ずいぶん歩いてるけど、大丈夫?」

ジュン「なんてことないさ」


水銀燈「(ああ… そういうことなのね)」


ジュン「なに?」

水銀燈「…なんでもないわぁ」



水銀燈「(なんとなく、わかったわ)」

水銀燈「(なんで、妹たちからあんなに慕われてたのか)」

水銀燈「(甘え下手のわたしが、あんなに甘えてしまえるのか)」
159 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 22:46:29.86 ID:36ANOY.0
ジュン「そっちこそ、疲れてない?」

水銀燈「ふふ、心配しなくても平気よぉ」


水銀燈「(気の使い方に、わざとらしさがまるでない)」

水銀燈「(うらやましい才能ねぇ)」


ジュン「のりが、ご馳走作って待ってるってさ」

水銀燈「楽しみだわぁ」




水銀燈「(ジュンって『甘えさせ上手』なのねぇ)」
160 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 23:06:27.56 ID:36ANOY.0
水銀燈「(力を失い、心のつかえもなくして…)」

水銀燈「(わたしは、生まれたころの自分にもどってしまった)」

水銀燈「(まぁ思っていたより、なんてことも無かったけれど)」

テク テク
ガラ ガラ

水銀燈「(おなかのなかには、みんながいて)」

水銀燈「(甘えさせ上手の男の子と、一緒に暮らす)」

水銀燈「(なにもかもはじめてのことばかり)」

テク テク
ガラ ガラ

水銀燈「(それなのに…)」

水銀燈「(なんで、こんなにワクワクするのかしらねぇ)」

水銀燈「(今まで、こんな気持ちになったことなんてあったかしら)」


ジュン「よいしょっと」
ピンポーン


水銀燈「(いったい、この扉の向こうには、どんな暮らしが待ってるのやら)」

ガチャリ

ジュン「ただいまー」

のり「おかえりなさーい!」

水銀燈「…お邪魔します」


水銀燈「(ふふっ、楽しみねぇ)」


水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 完


○これにて第2部を終了します。ご観覧ありがとうございました。
近日中に第3部【新婚編】をアップする予定です。
支援してくださった方へ感謝。
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/24(火) 23:10:49.67 ID:zbfkGx6o

面白い

鬱になっちゃうのか……
162 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【初夜編】 [saga]:2009/03/24(火) 23:26:46.80 ID:36ANOY.0
>>161
コメどうもです〜
鬱のまま終わるかどうかはともかく、長い鬱展開があるってことだけは明言しておきます。
そこまで続けられればの話ですが^^;
末永く付き合っていただけると幸いです。
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/03/24(火) 23:47:50.70 ID:22/Ak9Q0
乙です。
以前に投下されたものより結構加筆されていますね。

特に、垣間見えた二人の過去がより鮮明かつ具体的に変更されてますね。
正直、あそこののりとの喧嘩のシーンのことは、もっとずっと最近のこと(ジュンが引きこもってから)だと思ってたので、今回の投下でどうやらもう少し以前の話だとわかりました。
どうも、のりが原作より随分と態度が厳しいみたいだったので(原作があまりに甘すぎるんですけどね)、アニメ一期ラストのジュン君が追い詰められる悪夢のシーンが現実になった感じで、てっきり引きこもりのジュンに一回愛想を尽かしてるからだと理解してたのですが。

そして、以前では色々ぼかしてあって、ジュン君の態度と端々の台詞から、あまり良い記憶ではないということしかわからなかった水銀燈の過去が具体的に描写されたため、複線の張り方から、あっちで読んでるときの「もしかして鬱展開なのかも?」から「ああ、この先鬱展開なんだろうな」と感想が変わって来ました。
まだ、あちらで投下された分と被っているところですが、何回読んでも楽しめます。面白いです。
ジュンと水銀燈はトラウマ抱えてナンボのキャラですから、鬱展開どんとこい!
他人に甘える水銀燈とドールズに甘えられるジュン君は、ローゼンでも有数の萌えキャラだと思います。

それでは、ご投下お疲れ様でした。続編も楽しみにしてます。
(トラウマに残るほどの鬱ではありませんように)
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/25(水) 00:08:36.93 ID:APOL2Co0
>>163
感想どうもです〜
時間軸についてはかなり適当なので突っこまれるのが怖いのですが^^;
ただ【新婚編】でも書きますが、のりはこのときジュンにトラウマを負わせてしまったという負い目があり、それが彼に対しての甘さ…ひきこもり助長につながったという解釈でやってます。

「鬱」は、2部にわたって、過去と未来にまたがって存在するとだけ。
母親の物語を書くときに避けては通れないものを書いてみるつもりです。

やたらと張りまくった複線を全部回収しきれるようにがんばります。応援どうもです。
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/25(水) 03:20:11.42 ID:5NOAwl20
俺達ゆとりには間違っても真似できねぇお・・・
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/25(水) 09:30:02.22 ID:B2qo9h60
銀様かわいいよ銀様
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/25(水) 22:47:33.60 ID:qaNoTR60
>>165
自分はゆとり教育が始まる前からすでに真性ゆとりでしたヘ(゚∀。)ノアヒャ

>>166
おいらも水銀党入党申請中だす。
第一希望はピチカー党だけど(ぉ
168 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [sage]:2009/03/26(木) 23:19:02.32 ID:XxoBl/E0
投下します〜
今晩は20レスくらい予定。
169 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:21:47.65 ID:XxoBl/E0
ジュン「ただいまー」

のり「おかえりなさーい!」

水銀燈「…お邪魔します」

ジュン「あれ、どこにいるの?」

のり「お料理作ってるのー、いいからあがってもらってー」

水銀燈「(…いいにおい…)」



ジュン「ここか…ってうわぁ」

水銀燈「あららぁ、すごいわぁ」

のり「へへー、張り切っちゃった」

ジュン「…のり、水銀燈はたぶんこんなには食べられないよ」

のり「みんなも来るのよ〜 今日はパーティよ!」

水銀燈「…みんな?」
170 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:29:00.06 ID:XxoBl/E0
のり「あ。う〜ん、めぐちゃんは来られないの」

水銀燈「…そうよねぇ」

のり「午前中に会ってきたんだって?」

ジュン「うん。 …挨拶してきたよ」

のり「痛かったでしょ」ニヤニヤ

ジュン「…知ってたの?」

のり「うん、わたしも昨日会ってたの」

カチャカチャ

のり「水銀燈を奪っていく男に一発かましてやるんだって息巻いてたわよ」

水銀燈「…もう、めぐったら」

のり「あ、お庭にめぐちゃんからのお祝いがあるのよ」

ジュン「お祝い?」
171 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:39:21.29 ID:XxoBl/E0
ジュン「なにこれ、苗木?」

のり「花言葉は『相思相愛』だったっけ。ロマンティックね〜」

水銀燈「…からたちの木…」

(めぐ「♪からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ…」)

水銀燈「…めぐ」

のり「わたしもめぐちゃんと約束してきたわ。絶対幸せにするって」

水銀燈「…」

のり「水銀燈、だから遠慮なんかしないで。自分の家だと思って、ゆーっくりしていってね」

水銀燈「…」

のり「あなたの妹たちも、そうしてったんだから」




水銀燈「のり…さん」
172 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:41:16.48 ID:XxoBl/E0
のり「なっ、なぁに? あらたまっちゃって…」

水銀燈「…ジュン、荷物を取ってちょうだい」

ジュン「え?…うん」

カチャリ

のり「うわぁ、すごーい!」

水銀燈「お父様の贈り物、かつての契約者たちの形見。いずれ劣らぬ名品たち」

ジュン「…」

水銀燈「のり…さん、お願いがあります」

のり「なぁに?」

水銀燈「どうか、これらをお納めになってください。お金になるはずです」

ジュン「! 水銀燈、それは…!」

ジュン「(キミはそれらを守るために、本当に文字通り泥水をすすってきたんじゃないか!)」
173 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:43:12.76 ID:XxoBl/E0
のり「…」

水銀燈「お気持ちは、ほんとうにほんとうに嬉しいし、正しく理解してるつもりです」

水銀燈「だからたぶん、こんなことを求めてなんかいないということも」

ジュン「…」

水銀燈「でも… どうしても、どうしてもわたしの気が済まないんです」

水銀燈「どうか、わたしの心を助けると思って、お受け取りになってください」

のり「…わかったわ」

ジュン「(の、のり!)」

のり「(大丈夫よ。こころえてる)」

のり「ありがたくいただくわ。そのかわり…」

パタン

のり「もらった分はおもてなしさせてもらうからねっ!」

水銀燈「…ありがとうございます」
174 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:45:28.81 ID:XxoBl/E0
のり「よーし、もうひとがんばりするぞー!」

シュボッ ジャーーーー 

のり「ジュン、水銀燈をお部屋に案内してあげて〜」

ジュン「わかったよ」



ジュン「キミの部屋はここ。ベッドはこれを使って、小さいけど」

水銀燈「…素敵なお姉さんねぇ」

ジュン「うっとうしいこともあるけどね」

水銀燈「…あの子たちも、こんなによくしてもらってたの?」

ジュン「キミよりよほど行儀が悪かったよ」

水銀燈「まぁ」

サワサワ

水銀燈「…しつけなおさなくちゃねぇ」

ジュン「…結晶がおかしくならない程度にしてよ」
175 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:48:11.78 ID:XxoBl/E0
ピンポーン

ジュン「…来たかな」

トトトト

ガチャン

ジュン「あぁ、いらっしゃい」

みつ「じゅんじゅーん」

巴「ジュン君…」

「お・め・で・と!」 ドスボスドカバキゴスゴスゴス

ジュン「きゅう」

柴崎「まぁまぁ、その辺にしてあげなされ」

ジュン「…な ん で ?」

巴「…バカ」

みつ「水銀燈の純潔を奪った男への祝福よ!」
176 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:49:04.18 ID:XxoBl/E0
ト ト ト ト

水銀燈「…みんな」

みつ「きゃあ! キュートっ!」

巴「体、大丈夫なの?」

水銀燈「…ええ」

のり「いらっしゃーい! 準備はできてるわー」

みつ「おじゃましまーす」

柴崎「それでは遠慮なく」

水銀燈「ほらぁ、ジュン。しっかりなさいよぉ」

ジュン「あいたた…」

みつ「(あらら? ほんとにいい雰囲気…)」

巴「(…バカぁ)」
177 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:50:55.16 ID:XxoBl/E0
シャー----

カチャ カチャ

のり「無理しないでね」

水銀燈「大丈夫です。 …片づけくらい、手伝わせてください」

(みつ「会社が休みのときは遊びにくるからね〜」)

(巴「…ジュン君、水銀燈、がんばってね」)

(柴崎「嬉しいのぉ、ほんとうに孫ができるかのようじゃわい」)

のり「…水銀燈」

水銀燈「…はい?」

のり「ジュンのこと、よろしくね」

水銀燈「…」

のり「王様みたいに育っちゃったから、気遣いなんてできないと思うし」

キュッ キュッ カチャン

のり「口ばっかり達者で、いざって時には逃げ出しかねないとんだヘタレだけど」

水銀燈「…」

のり「あなたたちを助けたい、って気持ちだけはウソじゃないと思うから」

水銀燈「…ええ」
178 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:52:19.85 ID:XxoBl/E0
ジャブジャブ

カチャン

のり「…あとそれから」

のり「もうちょっと、いつもの話し方してくれると嬉しいな」

水銀燈「…え?」

のり「なんか、他人行儀すぎちゃって」

水銀燈「…だって、お世話になる身だし…」

のり「だから、そういうのは無しでいこうよ。もらうものはもらったんだからさ」

ゴシ ゴシ カチャン

のり「あなたのことは、ジュンのお嫁さんだと思ってるの」

水銀燈「え…そんなんじゃ…」

のり「なら、わたしの妹も同然でしょ?」

水銀燈「…妹?」
179 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:54:56.54 ID:XxoBl/E0
のり「…あ、ゴメンね。そっちのほうがずっと年上なのに、気悪くしたかな」

水銀燈「…いえ…」

カチャン カチャン

水銀燈「の、のりぃ」

のり「…なぁに?」

水銀燈「…笑わないで聞いてね」

のり「うん」

水銀燈「…わたし、前からずっと、一度でいいから」

のり「一度でいいから?」

水銀燈「…『妹』に、なってみたかったの」

カチャン カチャン

のり「…ふふふっ」

水銀燈「わ、笑わないでよぉ」

のり「年下の姉でいいの?」

水銀燈「う、うん…」




のり「よろしくね、銀ちゃん」

水銀燈「…えぇ、お姉さまぁ」
180 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/26(木) 23:57:10.66 ID:XxoBl/E0
のり「ありがとう、銀ちゃん。もうお休みなさい」

水銀燈「えぇ、お姉さま」

トン トン トン 

ガチャ

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「zzz…」

水銀燈「(あら、もう寝ちゃったのぉ?)」

水銀燈「(…一日わたしの荷物の片づけして、持って運んでじゃ、疲れて当然よねぇ)」

トコ トコ 

水銀燈「(おやすみ、ジュン)」

ガチャ パタ

水銀燈「(わたしも疲れたわぁ)」

水銀燈「(いろんなことがありすぎて…)」

ゴソゴソ パタン

水銀燈「…あったかいわぁ」

水銀燈「(隙間風の入らない部屋って、やっぱりいいわねぇ)」
181 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:00:00.03 ID:q/t.SkI0
水銀燈「(…)」

モゾモゾ

水銀燈「(…)」

ゴソゴソ

水銀燈「(目がさえちゃったのかしらぁ?)」

水銀燈「(疲れてるのに、眠れない…)」

モゾモゾ

(ジュン「ん、大丈夫だよ。どこにも行かないよ」)

(翠星石「…ありがとですぅ」)

水銀燈「(…んもう、なんでこんなこと思い出すのよ…)」

(水銀燈「…もう一回、ぎゅーっと抱いて」)

水銀燈「(…)」



トコ トコ トコ

ガチャリ キィ

パタン

ジュン「…ん…」
182 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:01:33.23 ID:q/t.SkI0
ギシ ゴソ ゴソ

モフン

ジュン「…ん、ぐぅ…」

水銀燈「(…ちょっと汗臭いわねぇ、もう)」

ジュン「…ん…」

水銀燈「(…なまいきにオトコ臭いし。 こんなのの、どこがいいのかしらぁ)」

サワッ

水銀燈「(! …髪を…)」

サワ サワ サワ

水銀燈「(…起こしちゃったかしら?)」

ジュン「…翠星石…ダメっていったろ…」

水銀燈「!」
183 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:02:42.69 ID:q/t.SkI0
ジュン「寝てる間に入ってきたら…」

サワ サワ サワ

ジュン「…しょうがないなぁ…」

水銀燈「(…)」

ギュッ

水銀燈「(…ジュン)」

サワ サワ

水銀燈「(いつも妹たちに向けられている、そのやさしさ)」

サワ サワ

水銀燈「(いまはちょっとだけ、わたしにもわけてちょうだい…)」

サワ サワ サワ

水銀燈「…くー…」

ジュン「ん…」



ジュン「…ん?」
184 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:04:14.26 ID:q/t.SkI0
水銀燈「…くぅ…すぅ…」

ジュン「う!?(水銀燈?!)」

水銀燈「…ん…」

ジュン「(…起こさずにすんだかな…って、なんで水銀燈まで…)」

水銀燈「…ん…」

ジュン「…?」

水銀燈「…お父様…」

ジュン「…」

キュッ 

サワ サワ サワ

ジュン「(…水銀燈、ボクが戦う。みんなを守る)」

水銀燈「…くぅ…」




ジュン「(あの悲劇を、もう絶対に繰り返したりはしない)」
185 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:05:00.71 ID:q/t.SkI0
チチチ

ジュン「ん…」

チュン チュン

ジュン「ふわぁ…もう朝か」

トン トン トン

のり「おはよう、ジュン。コーヒー入ってるわよー」

ジュン「あんがと」

水銀燈「あらぁ、お早いお目覚めねぇ」

コク コク カタン

ジュン「…誰かさんがベッドにもぐりこんできたおかげだよ」

水銀燈「?!ななななななにを言ってるのぉ!?」

のり「あらー…お邪魔だったかしら?」

水銀燈「やだ、お姉さまったらぁ!」

ジュン「」ブバッ!
186 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:05:43.65 ID:q/t.SkI0
のり「あらら、もったいない」

ジュン「お…お姉さまぁ?!」

のり「そうよー。だって水銀燈はジュンのお嫁さんでしょ?」

ジュン「だ、だから違うって! そういうあれじゃ…」

水銀燈「あら、違うのぉ? つれないわねぇ」クスクス

ジュン「す、水銀燈までなんてこと…!」

のり「にぎやかねぇ〜 なんだかほっとするわ」

のり「真紅たちがいた生活に慣れちゃってたから…」

ジュン「(のり!)」

水銀燈「…」

のり「(…あちゃー)」




水銀燈「…お姉さま」

のり「な、なぁに?」

水銀燈「あの子達はいま、どこにいるのかしら」
187 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:06:33.98 ID:q/t.SkI0
ジュン「…ボクの部屋にいるよ」

水銀燈「そう…」

カチャ カチャ カチャ

のり「(ううー、気まずいよう)」

ジュン「ごちそうさま」

水銀燈「お姉さま、片付けはわたしがしますから」

のり「う、うん、お願い」

のり「行ってきまーすっ!」

バタン バタバタバタ

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「お姉さまには、悪いことしちゃったわね」

ジュン「え?」

水銀燈「余計な気を使わせてしまって。別に、気にすることじゃないのに」

ジュン「…」

シャ----

水銀燈「ジュン」

ジュン「な、なんだい?」

水銀燈「あの子達に会わせて貰っていい?」
188 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:07:55.50 ID:q/t.SkI0
トン トン トン

キィ バタン

ジュン「…ここだよ」

カチャリ パタン

コト コト

水銀燈「…真紅、翠星石」

ジュン「ふたりはうちにいる」

水銀燈「…ほかのみんなは?」

ジュン「ヒナは巴が、蒼星石は柴崎さんのところ、カナはみつさんのところにそれぞれいる」

水銀燈「…ジュン、櫛をもらえるかしら」

ジュン「…ドール用のブラシなら」

水銀燈「ありがとう」
189 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:09:47.20 ID:q/t.SkI0
シュル シュル シュル

ジュン「(…あれからずっと、ふたりの髪をくしけずってる)」

シュル シュル

ジュン「(いつか、どこかで見たような顔で)」

シュル シュル

ジュン「(あの顔は、そう―)」


(のり「ああ、ジュン、ごめんね… わたしがバカだったの…」)

(ジュン「お…お姉ちゃん?」)

(のり「あなたはいらない子なんかじゃない。バカなことを言ったお姉ちゃんを許して…」)


ジュン「…水銀燈」

水銀燈「なあに?」

ジュン「お願いがあるんだ」




ジュン「ボクに戦い方を教えて」
190 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:11:31.27 ID:q/t.SkI0
水銀燈「お断りよ」

ジュン「…なぜ?」

水銀燈「足手まといになるから」

ジュン「君だって、いまは力を失って…」

水銀燈「それでもよ」

シュル シュル シュル

水銀燈「わたしたちは、生まれてからずっと戦い続けてきた」

水銀燈「姉妹との間でだけじゃない。人形が命を持つことを許せない人間、お父様の技術を狙う連中、心を欲しがる狂った人形」

ジュン「…」

水銀燈「そういう連中と永きに渡ってやりあって積み重ねてきた戦闘の経験が、わたしにはある」

水銀燈「あなたが出てきても、たぶんかえって邪魔になるだけよ」

シュル シュル シュル
191 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:12:54.53 ID:q/t.SkI0
ジュン「…君は力がなくても、戦えるんだろ?」

水銀燈「あなたよりはね」

ジュン「なら、その方法をボクに教えてくれればいい」

水銀燈「…そう簡単に身につくとでも思ってるの? はっ、バカにされたものねぇ!」

ジュン「まさか、いまだに『ジュンを巻きこめない』なんて思ってるんじゃないだろうな?」

水銀燈「…」

ジュン「水銀燈。こういう言い方はあれだけど、ボクだって男なんだ」

水銀燈「…いっちょまえの口をきくのは、生えそろってからにしたらぁ?」

ジュン「んなっ?!」

水銀燈「おやすみ。真紅、翠星石…」

カチャン パタン



水銀燈「…条件があるわ」
192 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:15:06.72 ID:q/t.SkI0
ジュン「なんだい?」

水銀燈「あなたは、わたしを守りたいと思ってるんでしょう?」

ジュン「…」

水銀燈「でも、戦いにおいてはそれは禁忌よ」

ジュン「…え?」

水銀燈「とにかく自分だけが生き残ることを考えて。そうしてくれれば、少なくとも邪魔にはならない」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「わたしは、戦いとなったらあなたに守ってもらうつもりなんてないしあなたを守る気もない」

ジュン「…」

水銀燈「わたしは自分の身は自分で守るつもり。あなたも戦うというならその覚悟だけは持って」



ジュン「わかったよ」

水銀燈「…ほんとかしら。まぁいいわ。 それじゃ、まずは…」
193 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 00:15:43.16 ID:q/t.SkI0
とりあえずここまで。続きは明日の朝。
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/27(金) 00:45:00.04 ID:rq6098Mo
wwktkしながら待ってる
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/27(金) 02:10:58.90 ID:u.GGXkIo
おつ
196 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:35:42.38 ID:tUDg4IQ0
>>194-195
どもっす〜 再開します。
197 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:37:10.76 ID:tUDg4IQ0
ジュン「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ…」

水銀燈「はい、次はスクワット100回よぉ」

ジュン「い、いま腕立て100回終わったばっかりなのに…」

水銀燈「いいからやりなさぁい」

ジュン「…はい」

ワッセ ワッセ ワッセ

水銀燈「…まずは最低限の体力と、運動能力を身につけてもらうわぁ」

ワッセ ワッセ ワッセ

水銀燈「いくら理論だけ教えても、それを実践できる能力がなければ無意味よぉ」

ワッセ ワッセ ワッセ

水銀燈「ここでへばったら、もうなにひとつあなたには期待しないからそのつもりでねぇ」

198 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:39:13.03 ID:tUDg4IQ0
ジュン「…やってやる、やってやるよ!」

水銀燈「(…急にどうしちゃったのかしら?)」

ワッセ ワッセ …ウンショ

水銀燈「(…少し舞い上がってるのかもしれないわねぇ。まぁ少ししごいてやれば音を上げるでしょう)」

水銀燈「はぁい、もっとペースをあげるぅ! 日が沈んじゃうわよぉ!」

ジュン「ぬがー!」

ワッセワッセワッセワッセ

ジュン「(やるしかない、やるしかないんだ…!)」

ジュン「(もう2度と、あんな思いを水銀燈たちにさせないためには…!!)」



ジュン「…ど、どうだ…やったぞ…(腕立て、スクワット、腹筋100回ずつ…死にそう…)」

水銀燈「ここからが本番よぉ、バットを持って表にでなさぁい(意外と頑張るわねぇ)」
199 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:40:00.71 ID:tUDg4IQ0
ジュン「木の枝に…糸?」

水銀燈「5円玉よぉ」

カチ カチ カチ

水銀燈「このメトロノームの音に合わせて、連続で5円玉を打ちなさぁい」

水銀燈「最初だから10回でいいわよぉ」

ジュン「よ、よぉし…」

水銀燈「…はじめっ!」


ヒョロン ドテ


ジュン「あいてて…」

水銀燈「なんてへっぴり腰なのよぉ、もう」

水銀燈「とりあえず失敗したからスクワット10回よぉ」

ジュン「(も…もう、立てない…)」

水銀燈「…もうあきらめたらぁ?」

ジュン「…まだ…まだぁ!」
200 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:41:33.02 ID:tUDg4IQ0
水銀燈「…今日はこのへんにしときましょう」

ジュン「まだ…まだ…」

水銀燈「(たいした根性ねぇ。一回も成功はしなかったけど、ついに音も上げなかった)」

水銀燈「ねぇ、ジュン」

ジュン「な、なんだよ…」

水銀燈「いったい、どうしたっていうのよぉ?」

ジュン「…」

水銀燈「ちょっと頑張りすぎじゃなぁい?」

ジュン「…なんてことなかったよ」

水銀燈「何か、隠してるんじゃないでしょうねぇ?」

ジュン「…別に」

水銀燈「…まぁいいわぁ。せいぜいどこまでやれるか見せてもらうわぁ」

ジュン「…望むところだよ」

水銀燈「あと、今日の分のエネルギーもちょうだいねぇ」

ジュン「(あ、忘れてた…)」チュウウウウ



ズル ズル
水銀燈「…んもう、重たいわねぇ。気絶するくらいくれなくってもいいのに」
201 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:42:38.69 ID:tUDg4IQ0
水銀燈「よっ、こい、しょっと…」

ドテ

水銀燈「まったくもう。なにをこんなに張り切っちゃってるんだか」

水銀燈「ジュン?ジューン!」

ジュン「」シーン

水銀燈「…こりゃダメだわぁ。 とりあえず、汗だけでも流しておかなくちゃ」

ズルズル

水銀燈「はいはい、脱いで脱いで」

ジュン「…」

ヌギヌギ

水銀燈「なまっちろい体ねぇ、たくもう。生えそろってもないくせに…」

水銀燈「…」

ツンツン

水銀燈(いやん、かわいいのぉ)
202 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:44:24.82 ID:tUDg4IQ0
シャーーーーー

ジュン「…」

水銀燈「とりあえず、そのままシャワー浴びてなさぁい。洗濯してあげるからぁ」

ンゴー ンゴー

水銀燈「やれやれ。ほんとにいったいどうしちゃったのかしらぁ」

水銀燈「(…わたしの記憶を読んだせい?)」

ンゴーーーーー

水銀燈「まぁ、頑張ってくれるのはいいんだけどねぇ」

水銀燈「(おかげで、わたしもフヌケにならなくて済みそうだしぃ)」

ンゴ ンゴ ンゴ

水銀燈(お姉さまもジュンも、あんまりよくしてくれるもんだから)

水銀燈(心がとろけてしまいそうだったわぁ)
203 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:46:53.36 ID:tUDg4IQ0
シャーーーーー

水銀燈「(戦うことを思い出させてくれたのには、礼を言わなきゃかもねぇ) 」

水銀燈「…ま、明日どうなってるか次第だけど」

ンゴゴゴゴゴゴ

水銀燈「…ついでに晩ごはんも作っちゃいましょう。お姉さまに連絡しないと」




ジュン「…あれ?わっぷ」

ジュン(なんでボク、ハダカでねっころがってシャワー浴びてるの…?)

ヨイショ

ジュン(まぁいいや…考えるのももう疲れた)

ジュン「…うう…体がガタピシする…」

フキフキ  ガチャン
204 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:48:09.43 ID:tUDg4IQ0
ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「あら、起きたのねぇ。ご飯出来てるわよぉ」

ジュン「…いらない、もう寝る」

水銀燈「食べておかないともたないわよぉ」

ジュン「…大丈夫」

バタン トン トン トン

水銀燈「あと、寝る前に体をほぐしておきなさぁい!」

パタン ドサッ

ジュン「…」

水銀燈「ジューン?」

ジュン「…ぐー…」



水銀燈「まったくもう。明日になって泣き言言い出したら承知しないんだからぁ」

ガチャリ

のり「ただいまー」
205 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 09:49:04.89 ID:tUDg4IQ0
水銀燈「おかえりなさい、お姉さま」

のり「うわー、おいしそう! 銀ちゃん、ありがとうね」

水銀燈「ふふ、ジュンに聞かせてあげたいわ」

のり「ジュンは?」

水銀燈「寝ちゃったわぁ」

のり「もう?」

水銀燈「…ねぇ、お姉さまぁ。ジュンって、何かあったのぉ?」

のり「?」



のり「…そう、そんなことが…」
206 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:04:24.53 ID:tUDg4IQ0
水銀燈「気持ちは嬉しいんだけど、あんまり張り切り過ぎられてもねぇ」

のり「…でも、それはきっといいことよ」

水銀燈「そうなのぉ?」

のり「だって、あの子がそんなに一生懸命になるのなんてほんとうに久しぶりだもの」

水銀燈「…そうなのぉ?」

のり「無理させない程度に、銀ちゃんが見てやってくれる?」

水銀燈「まぁ、そう言うんならやってみるわぁ」

のり「よろしくね」




のり「(ジュン…)」
207 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:05:26.74 ID:tUDg4IQ0
【翌朝】

のり「ごちそうさまー♪」

カチャカチャ

のり「ごめんねー、朝ごはんまで作ってもらっちゃって」

水銀燈「お世話になってる身ですものぉ、これくらいはさせてちょうだい」

のり「んもう、それは無しって言ったでしょ?」

水銀燈「ふふふ」

のり「…ジュン、遅いわね」

カチャン

のり「片づけするから、起こしてきてくれる?」

水銀燈「えぇ(まぁだいたい察しはつくけどぉ)」




ジュン「…体が…動かない…」
208 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:06:21.64 ID:tUDg4IQ0
水銀燈「ジュン。朝よぉ」

ジュン「す、水銀燈…」

水銀燈「…んもぅ、言わないことじゃなかったでしょう?」

ジュン「うー…」

水銀燈「ほら、とりあえず起きてスープだけでも飲みなさぁい」グイッ

ジュン「いだだだだだだ」

水銀燈「(これでちょっとはこりたかしらぁ)」

ジュン「…おいしい」コク コク

水銀燈「あら、ありがと」

ジュン「…昨日はごめんな」

水銀燈「何よぉ?」

ジュン「せっかく晩ご飯作ってくれたのに」
209 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:18:13.23 ID:kfvZojI0
水銀燈「…別にいいわよぉ。残った分は朝ごはんに使っちゃったからぁ」

ジュン「そっか」

コク コク コク

ジュン「ごちそうさま」

水銀燈「じゃあ、身支度を整えてらっしゃぁい。今日もやるわよぉ」

ジュン「うん…ちょっと待ってて」

水銀燈「(あらぁ? …目論見が狂っちゃったわ

パタン

水銀燈「(ちょっとでも迷ったらダメ出ししてやろうと思ってたのに、まったく間をおかずに「やる」って言われちゃったわぁ)」

ゴソ ゴソ 

水銀燈「(意地を張っちゃって、まぁ)」

のり「銀ちゃーん、大丈夫そう?」

水銀燈「大丈夫よぉー、今着替えてるところよぉー」

のり「ありがとー! 行ってきまーす!」
210 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:19:44.73 ID:kfvZojI0
ジュン「…用意できたよ」

水銀燈「そう、それじゃあ昨日の繰り返しよぉ。腹筋、腕立て、スクワット100セットずつ」

ジュン「うん …うぐぐぐぐg」

水銀燈「(…もう、どこまで突っ張る気かしらぁ?)」



ジュン「…うぅ、ふぅ…終わったよ」

水銀燈「(昨日の倍以上時間がかかったけど、やりぬいちゃったわぁ)」

ジュン「じゃぁ、次は五円玉打ちだね…」

ヨロ ヨロ

水銀燈「(…まったく)」
211 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:21:04.15 ID:kfvZojI0
ジュン「水銀燈、メトロノーム」

水銀燈「?あ、いいわよぉ」

カチ カチ カチ

ヒョロン ドテ

ジュン「…」ワッセワッセ

ヒョロン カチ ヒュルン スカッ

ジュン「…」ヨイショヨイショ

ヒョロン カチ ヒュルン ドテ

ジュン「…」イチニ イチニ

水銀燈「…」



水銀燈「…あぁ、もう! わかったわよぉ!!」
212 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:21:45.16 ID:kfvZojI0
ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「ほら、ちょっとこっち来なさい!」

ジュン「え?」

水銀燈「そこ座って! ひざ伸ばして!」

ジュン「…こう?」

水銀燈「息大きく吸って…吐いて、力抜いてぇ」

グイッ

ジュン「あだだだだ!?」

水銀燈「ちょっとくらいガマンなさい!」

ググッググッググ

ジュン「あでででで!!」

水銀燈「腕も出して! 腰も回す!」

ジュン「うががががが!」
213 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:23:07.19 ID:kfvZojI0
水銀燈「…どう?」

ジュン「…どうって、体中ねじまげられてガタガタだよ」

水銀燈「憎まれ口たたいてないで、立ってごらんなさぁい」

ジュン「…」

グッ 

ジュン「あれ?」

水銀燈「多少は楽になったでしょう?」

ジュン「…ほんとだ、水銀燈ってすごいな」

水銀燈「まったく、もう…ちゃんと教えてあげるから、よく聞きなさぁい」

ジュン「! …ありがとう」
214 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:24:38.86 ID:kfvZojI0
水銀燈「そう、立ち位置はそこ。全身の力を抜いてぇ」

ジュン「…こう?」

水銀燈「そうよ、それでもう一回打ってみなさぁい。一回でいいわよぉ」

ジュン「わかったよ。よいしょ!」

カチーン!

水銀燈「…軽くでいいのよぉ。横から軽く、コツンと叩けばいいのよぉ」

ジュン「…そうなの?」

コツン クルクルクル

水銀燈「そう、それでいいのよぉ。そうすれば、軌道も予測しやすいでしょう?」

ジュン「…そうだけど、これで練習になるの? 力もいれずに、打ちやすいように叩いても…」

水銀燈「なら、やってみなさぁい」
215 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:25:59.58 ID:kfvZojI0
カチ カチ カチ

ジュン「よっ、はっ、せっ!」

カチン カチン カチン スカッ

ジュン「さ、三回続いた!」

水銀燈「そのくらいで喜んでどうするの。失敗したからスクワット10回よぉ」

ジュン「はーい」

ワッセ ワッセ ワッセ…

水銀燈「はい、ストップ」

ジュン「えっ? まだ10回やってないよ…」

水銀燈「姿勢が右にずれてるわよぉ」

ジュン「…あ、ほんとだ」

216 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:28:15.89 ID:kfvZojI0
水銀燈「ジュン、さっきの空振りのこと覚えてるぅ?」

ジュン「え?」

水銀燈「右から振ったか左から振ったか、振り遅れたのか早く振りすぎたのか」

ジュン「え、えっと…たしか、右から振って振り遅れたんだと思う」

水銀燈「そう、ついでに言えばかなり下側のほうを振ってたわねぇ」

ジュン「でも、それがいったい?」

水銀燈「答えから言うと、ジュン。あなたには力むと右に体がよれるクセがあるのよぉ」

ジュン「え?…そんな」

水銀燈「ウソだと思うんなら、もう一回スクワットしてごらんなさい。ただし、目はつぶってねぇ」

ジュン「…」ワッセ ワッセ ワッセ

水銀燈「はい、目を開けてぇ。どう?」

ジュン「…あれれ」

水銀燈「わかったでしょぉ?」
217 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:53:02.91 ID:Ub54x7g0
水銀燈「体はよれているのに、意識ではまっすぐだと思いこんじゃってる」

水銀燈「だからズレが生まれて、思うとおりに当てられなくなるのよぉ」

ジュン「…」

水銀燈「人間の体だって、使ってるうちにずれてきたりゆがんできたりする」

水銀燈「だから、ほんとに正確に動かそうと思ったら調整する必要があるのよぉ。私たちと同じように」

ジュン「…そうか、いまやってたことは…」

水銀燈「そう、意識のとおりに体が動くかどうかの調整と試運転よぉ」

ジュン「最初のスクワット・腹筋・腕立ては、いわば暖気運転ってこと?」

水銀燈「そのとおりよぉ。飲みこみが早いわねぇ。だから慣れるまでは、軽く打ちこんで調整なさい」

ジュン「…うん」

水銀燈「そして空振ったら何で外したかをよく考えて、10回体を動かすうちに微調整するのよぉ」

ジュン「なるほど、そうだったんだ…」

水銀燈「とにかく、自分の体にとことん意識を向けてみなさぁい」

ジュン「…意識を」

水銀燈「さぁ、再開よぉ」

ジュン「よーし!」
218 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:54:00.04 ID:Ub54x7g0
ジュン「あ、その前に」

水銀燈「え?…んむっ!?」

チュウウウウウ

ジュン「今日は忘れないうちに…ぶっ!」ベシン

水銀燈「い、いきなりなんてずるいわよぉ! か、開始よっ!」



のり「…ただいまー」

水銀燈「おかえりなさぁーい、ご飯できてるわよぉ」

カチン カチン カチン

のり「…何の音?」

カチン カチン カチン

のり「…ジュン?」

カチン カチン カチン

のり「銀ちゃん、ジュン何してるの?」

水銀燈「あぁ、あれはねぇ…」
219 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:54:59.46 ID:Ub54x7g0
(水銀燈「暗くなってきたし、今日はそろそろおしまいにするわよぉ」)

(ジュン「居間の電気つけて、カーテン開けておいてよ。もうすこし頑張る」)

(ジュン「なんか、もうちょっとで出来そうな気がするんだ」)

(水銀燈「…それじゃ、勝手になさぁい」)



水銀燈「…っていうわけなのよぉ」

のり「ふーん…」

カチン カチン カチン

水銀燈「いくらなんでも、2日目でできるわけないんだけどねぇ」

のり「…でもなんか、さっきからずいぶん続いてない?」

カチン カチン カチン

水銀燈「え…?」
220 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 10:56:02.73 ID:Ub54x7g0
ジュン「(も、もうだめだ… 頭がボーっとする…)」

カチン カチン カチン

ジュン「(手も…しびれて…足も… ボク…なんでこんなことやってるんだっけ?)」

カチン カチン カチン

水銀燈「ジュン? …ジュン!! もういいわよぉ!」

ジュン「…え?」

水銀燈「…合格よ、だからもういいのよぉ!」

ジュン「…へへ」ニヤリ 

ドテッ
221 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 11:05:07.77 ID:kfvZojI0
とりあえずここまで。再開は…未定。
やれれば夜。
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/27(金) 13:38:24.80 ID:uB/c4aM0
乙カレー
おもしろかったよ

でものりがジュンとか真紅とか呼び捨てにしてるとなんか違和感あるな・・・・・・・
223 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 16:21:26.70 ID:8GfNTcY0
>>222
把握。 DVD見倒して反省しますorz
224 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:40:29.20 ID:hmsoqro0
ジュン「…ぐー」

のり「…この子ったら」

水銀燈「(気づいただけで20回以上続いてた…)」

水銀燈「…もしかしたら、素質あるのかもねぇ」

のり「…銀ちゃん、足のほうもって」

水銀燈「はぁい」




のり「(ジュン君…すごいよ、ほんとにすごいよ)」

のり「(わたし… わたし、もしかして…)」
225 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:41:48.32 ID:hmsoqro0
水銀燈「とりあえず、体洗って着替えさせなくちゃねぇ」

のり「わたしもやるわ」

水銀燈「帰ってきたばかりだからいいわよぉ。晩ご飯食べてぇ」

のり「…お願い、やらせて」

水銀燈「…わかったわぁ」

ンショ ンショ 

ドサ

ヌギ ヌギ

水銀燈「シャワー暖めるわよぉ」

のり「あ、ちょっと待って。銀ちゃん、動かないで…」

水銀燈「…なぁに?」

のり「髪の毛。切れちゃったら大変」

シュルシュル キュッ

のり「いいわよー」

水銀燈「…あ、ありがとねぇ」
226 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:47:47.30 ID:hmsoqro0
シャーーーー

ゴシゴシシゴシ

のり「こうやって洗ってあげるのなんて、ほんとにひさしぶり」

水銀燈「頭はわたしがやるわぁ」

ワシャワシャワシャ

水銀燈「ほんとに、よく頑張ったわねぇ。ちょっと見直したわぁ」

のり「…銀ちゃん」

水銀燈「…どうしたのぉ?」

のり「…わたしね、ジュン君をずぅっと甘やかしてきたの」

水銀燈「…お姉さまが?」

のり「ジュン君、寂しがりやだから、親がそばにいないことをほんとうに悲しんでて毎日のようにぐずっていたことがあったの」

のり「…でも、わたしも寂しかったから、ついジュン君にあたっちゃって」

(「あなたなんて、生まれてこなければよかったのよ!」)

水銀燈「…」
227 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:50:21.40 ID:hmsoqro0
のり「だからっていうんじゃないけど、あんまり厳しいことも言わずに、好きなようにさせてきちゃった」

水銀燈「…お姉さま」

ワシャ ワシャ

のり「学校に行かなくなって、家に引きこもるようになっても、ずっと…」

のり「でも、真紅ちゃんたちやあなたが来てくれて、ジュン君は変わった」

ゴシ ゴシ

のり「みんなを、あなたを守るために、努力を惜しまないようになった」

のり「相手を思いやるようになったし、気を使うようになった」

シャーーーーー

のり「苦しむことも傷つくことも、いとわないようになった」

のり「だから、ほんとうにあなたたちには感謝したいのよ。いくらしてもし足りないくらい …でもね…」

ワシャ ワシャ

のり「…もしかしたら、わたしがジュン君をダメにしちゃってたのかな、って思っちゃって…」

水銀燈「…お姉さま…」

のり「ぐずっ…へへへ、わ、わたしって…ダメなお姉ちゃんだね…ひぐっ」

シャーーーーー
228 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:52:46.99 ID:hmsoqro0
のり「んしょ、んしょ」

水銀燈「よいしょ、っと」

ボフン

のり「ジュン、おやすみ」

水銀燈「わたしも、もう寝るわぁ」

のり「うん、わたしもご飯食べてすぐ寝ちゃう。 …銀ちゃん」

水銀燈「はぁい?」

のり「…変なこと言っちゃって、ごめんね」

水銀燈「…いいえ」

のり「おやすみ、銀ちゃん」

トン トン トン

水銀燈「…」
229 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:55:08.49 ID:hmsoqro0
のり「ぐすっ…ぐす……」

トコ トコ トコ

のり「ぐす… すぅ… すぅ…」

モゾ モゾ ゴソ ゴソ

のり「…ん…」

のり「ん…あれ? え?!」

水銀燈「こんばんわぁ、お姉さま」

のり「ぎっ、銀ちゃん?!」

水銀燈「寝つけないからお邪魔するわぁ。お布団もあったかくていいわねぇ」
230 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:57:09.02 ID:hmsoqro0
のり「べ、別にいいけど…カバンで寝なくていいの?」

水銀燈「一日二日なら、なんてことないわぁ」

のり「…そうなんだ」

水銀燈「背中が寒いわぁ…失礼するわねぇ」

モゾモゾ  ギュウ

のり「あら、あらららぁ」

水銀燈「あったかいわぁ」

のり「銀ちゃんって…大胆ねぇ」

スリスリ 

水銀燈「ねぇ、お姉さま」

のり「…なぁに?」

水銀燈「ジュンのこと」

のり「…」
231 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 22:59:11.27 ID:hmsoqro0
水銀燈「ジュンはお姉さまの言うとおり、私たちのことを真剣に守ろうとしてくれてるんだと思う。 けれど…」

ギュウ

水銀燈「その想いの源になっているのは、やっぱりお姉さまへの想いのような気がするのよ」

のり「…わたしへの?」

水銀燈「ええ…ジュンは言っていたわ。『みんなの姉さんとしてずっと頑張ってきた君のことを助けたい』ってね」

のり「ジュン君が、そんなことを…」

水銀燈「たぶん…姉さまにされてきたこと、いつか返したいと思ってきたことをいまわたしたちにしてくれている」

水銀燈「わたしにはそう思えるの。だから、あそこまで頑張れるんだって」

のり「…」
232 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 23:02:51.42 ID:hmsoqro0
水銀燈「お姉さま。あなたは、ジュンをダメにしたんじゃない」

水銀燈「ジュンの中に、いつか飛び立つための力を育て続けてきた」

水銀燈「わたしたちは、その力を解き放つきっかけになっただけ。そう思ってる」

のり「…」

ギュゥゥゥ

水銀燈「…ん、ちょっと苦しいわよぉ、お姉さまぁ」

のり「…めぐちゃんにお礼を言わなくっちゃね」

水銀燈「…お礼?」

のり「ええ。わたしたちとあなたを引き合わせてくれたことを」

水銀燈「…お姉さま」

のり「銀ちゃん。 ほんとうに、ほんとうにありがとうね」

ギュッ

のり「…もしジュン君との契約が終わっても、あなたはいつまでもわたしたちの家族よ」

水銀燈「…ありがとうね」
233 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 23:04:21.30 ID:hmsoqro0
チュン チュン チュン

ジュン「…あたたた」

チチチチチ

ジュン「…いつの間にか寝ちゃってたんだ」

ジュン「…おなか減った」

トン トン トン

ジュン「あててて…おはよ」

のり「おはよー」

水銀燈「あらぁ、今日は自分で起きてこれたのねぇ」

ジュン「…水銀燈? 髪型…」

水銀燈「…あ、これぇ? お姉さまに結ってもらったのよぉ」

ジュン「(…か、かわいい…)」
234 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 23:05:36.32 ID:hmsoqro0
水銀燈「ふふ、どーぉ? 似合うぅ?…んむっ!?」

ンチュウウウウ

のり「あら、大胆」

ドゲシ

水銀燈「んななななななな何すんのよぉっ!!! いきなりやるなって言ったでしょぉ?!」

ジュン「…いいじゃん、今更」

水銀燈「ふざけんじゃないわよぉ! とっととご飯食べなさぁいっ!!」

のり「(…ニヤニヤが隠せてないわよー…」
235 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/27(金) 23:06:21.72 ID:hmsoqro0
中断。再開は明日の夜。
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/27(金) 23:08:06.22 ID:rq6098Mo
俺のニヤニヤも止まらないぜ
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/03/27(金) 23:23:23.94 ID:Yq3nOTw0
お疲れ様です。
原作で一人身の水銀燈が、桜田家で家族の構成員として成っていくのはいいね。癒される。
(めぐは病み過ぎてて、なんか家族って言うには違う。孤独者同士で水銀燈と依存しあってるけど、家族と呼ぶには互いに支えあってる感じがしない。)

>>223
のりがジュンを呼び捨ててるのは「仕様」ではなかったのか…!
原作よりのりがキビシイのを表現する手法だと勝手に納得してたよ。
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/28(土) 00:10:40.95 ID:MHnJPFgo
乙乙
239 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:23:23.25 ID:ypoFS0U0
米どうもっす。
>>236
おいらは夜中にニヤニヤしながら書いてます。ツンデレマンセー

>>237
仕様ではなくミスです;;;スンマソン

めぐと銀の関係はこの物語の核となる部分だと思うので、機会があったら書いてみます。

>>238
どもっすノシノシ


では今日の分投下開始。
240 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:25:35.09 ID:ypoFS0U0
【契約から二週目】

カチン カチン カチン カチン

水銀燈「(ほとんど失敗しないようになってきたわねぇ、午前中で終わっちゃうようになっちゃったわぁ)」

カチン カチン カチン カチン

水銀燈「(そろそろイタズラしてみようかしらぁ)」

カチン カチン カチン ヒュッ チン!

ジュン「えっ!?」

水銀燈「はぁい失敗。腹筋10回ねぇ」

ジュン「い、今のはずるいよ! 小石を当てるなんて…!」

水銀燈「あらぁ? 相手が普通の動きしかしないとでも思ってるのぉ?」

ジュン「う…」

水銀燈「もうひとつ言うと、攻撃は目の前からしかこないとも限らないわよぉ」
241 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:27:08.50 ID:ypoFS0U0
水銀燈「さぁ、ちゃきちゃきやんなさぁい」

ジュン「…ちぇ」ヨイショ ヨイショ ヨイショ

水銀燈「さ、ここらでお昼にしましょうか」

ジュン「うん。あ、そうだ」

ボコッ

ジュン「ぶっ?!」

水銀燈「…いつまでも不意打ちばっかり食らうと思ってるのぉ?」

ジュン「…ちぇっ」

水銀燈「お・ば・か・さぁん」チュッ

ジュン「んむっ」

チュウウウウ



水銀燈「ぷぅ、…ふふふっ」

ジュン「…へへへ」
242 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:28:15.74 ID:ypoFS0U0
【1ヵ月目】

カチン カチン カチン

水銀燈「…」

カチン カチン カチン

水銀燈「」シュッ

ジュン「せいっ!」

キキン!!

水銀燈「ふふ、お見事」

水銀燈「(半身になってわたしを視界におさめ、小石ごと五円玉をたたく。まぁまぁねぇ)」

ジュン「へへ。どうだい」

水銀燈「わたしに背中を向けたままできたら100点あげるわよぉ」

ジュン「…それはいくらなんでも無理」

水銀燈「(このぶんだと、出来るようになっちゃいそうだけどねぇ)」
243 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:29:05.57 ID:ypoFS0U0
水銀燈「…ねぇ」

ジュン「ん」

チュウウウウ

のり「あらら。慣れてきた感じ…」

ドサッ

巴「さ…桜田君…」

ジュン「か、柏葉!?」

水銀燈「あらぁ、いらっしゃぁい」

ジュン「な、なぜ?!」

水銀燈「お姉さまに、だれか武術の心得がある人を連れてきてってお願いしてたんだけど…」

のり「(…ちょっとマズかったかなー)」

巴「…」キュッ シュルル ガバ

ジュン「(…無言で防具つけてるのが怖すぎる…)」
244 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:30:00.31 ID:ypoFS0U0
巴「…桜田君も、防具つけて竹刀持って」
 
水銀燈「『本気で打ちこむから覚悟決めろ』って意味よぉ、頑張ってねぇ〜」

ジュン「(マジッスカ)」

水銀燈「はじめっ!」

ヒュババババッ!!

巴「いぇぁあああああああー!!」

ジュン「うわぁあああああー?!」

ビシバシドスベシボグ

水銀燈「んもう、いきなり気迫負けしてどうするのよぉ…」
245 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:30:50.17 ID:ypoFS0U0
水銀燈「ジューン! とりあえず落ち着きなさぁーい!」

ジュン「(そんなこと言われても速すぎるよっ!)」

水銀燈「腕が糸、竹刀の先が五円玉よぉ!」

ジュン「(…え?)」

巴「しゃっ!」

ジュン「(こ、こうか?!)」

ビシッ!

巴「えっ?!」

水銀燈「そうよぉ、落ち着いていきなさぁい!」
246 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:32:08.88 ID:ypoFS0U0
巴「しゅっ! しゃっ! ひゅうっ!」

ジュン「うわっ、とっ、せっ!」

ビシッ バシッ パシッ!

巴「(す、すごい…桜田君…)」

水銀燈「今よジュン! 小石打ち!」

ジュン「(え…こう?!)」

パァン!!

巴「…うそ…(小手をとられるなんて…)」

水銀燈「ふふっ、まずまずといったところかしらねぇ」

巴「…もう一本!」

ジュン「お、おぅっ!」
247 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:33:49.13 ID:ypoFS0U0
ジュン「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…」

巴「はぁ、はぁ、はぁ…」

水銀燈「(人間相手だとやっぱり違うわねぇ。できれば実戦がいいんだけれど)」

ジュン「か、柏葉…」

巴「な、なぁに?」

ジュン「…柏葉って、すごいな。全然歯が立たない」

巴「…嫌味? 小手2回も取っておいて」

ジュン「いや、そんなつもりじゃ…」

巴「…明日も来るわ。このままじゃ、私の気が収まらない」

ジュン「あ、ああ…(目が怖い…)」
248 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:35:32.71 ID:ypoFS0U0
【翌日】

巴「たのもーぅ!!」

ジュン「…なんか違うような…」

水銀燈「(思った以上にいい訓練になりそうねぇ)」

巴「今日は一本も取らせないからっ!」

ジュン「(…タスケテ…)」

水銀燈「はじめっ!」

ビシバシパンボススパパパパ




ジュン「…ほんとに一本も取れなかった…」

水銀燈「あららぁ、ボッコボコねぇ」

巴「どうだーっ!(…後半、ほんとギリギリだった…)」
249 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:36:43.60 ID:ypoFS0U0
巴「(ほんとにひと月くらいしかやってないの? 桜田君…)」

水銀燈「ほらぁ、いつもでもへばってないで礼くらいなさい」

ジュン「うう…あ、ありがとうございました」

巴「(…ずるいよ。 水銀燈もずるいし、ジュンはもっとずるい)」

巴「じゃあ、わたしはこれで」

ジュン「…あ、柏葉」

巴「なに?」

ジュン「…今日もありがとう」



巴「(…男の子って、ほんとにずるいよ…)」
250 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:37:42.14 ID:ypoFS0U0
のり「あれ、巴ちゃんは?」

ジュン「帰ったよ」

のり「そうなの… ご飯食べてもらおうと思ってたのに、残念」

ジュン「お風呂入ってくるよ」

水銀燈「いってらっしゃぁい」



ジュン「ごちそうさまー」

水銀燈「ジュン、寝る前に体ほぐしておくのよぉ」

ジュン「はーい」

トン トン トン

のり「銀ちゃんももう休んで。今日はわたしがやるから」

水銀燈「ありがとう、お姉さま」

トン トン トン

水銀燈「…」

251 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:38:42.29 ID:ypoFS0U0
ジュン「…ぐー」

ガチャリ

水銀燈「まぁ、やっぱり」

ジュン「zzz…」

水銀燈「まったく、もう」

ユサユサ

水銀燈「ジュン! ジュンってば!」

ジュン「む… ぐー…」

水銀燈「…んもう、仕方ないわねぇ。 よいしょっ」

ゴロン

水銀燈「今回だけよぉ」

グイ グイ グイッ

ジュン「んー…」

ギュ ギュ ギュッ 

水銀燈「(…ちょっと筋肉ついてきたかしら)」
252 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:41:13.42 ID:ypoFS0U0
ジュン「すー…くー…」

水銀燈「んもう、ぐっすり寝ちゃって」

グ グ ググッ

水銀燈「…手だけじゃ無理ねぇ。よいしょ…っとと」

フミ フミ フミ

水銀燈「(…案外、大きな背中ねぇ。 まだまだ、体が大きくなるのかもねぇ)」

ジュン「ん…」

水銀燈「(あんまり大きくなりすぎても困るけど。それにしても)」

フミ フミ フミ

水銀燈「うらやましいわぁ」

ジュン「…何が?」

水銀燈「わぁっ?!」

ドッスン

ジュン「ぐぇ」
253 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:42:53.12 ID:ypoFS0U0
水銀燈「お、起きてたんなら一言言いなさいよぉ!」

ジュン「…いま目が覚めたんだ、驚かせてごめん。 マッサージありがとう」

水銀燈「ほんとにもう」

ジュン「ねぇ…」

ゴロン

ジュン「うらやましいって、何が?」

水銀燈「…どうでもいいでしょぉ?」

ジュン「聞かせてよ。明日からまじめにストレッチやるから」

水銀燈「それは言おうが言うまいがやらなきゃダメ!」

ジュン「ちぇ」ゴロン

水銀燈「…んもう」

ギシッ ギュッ ギュッ

ジュン「あ…そこ…気持ちいい」
254 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:45:07.35 ID:ypoFS0U0
水銀燈「ちょっとは筋肉ついてきたみたいね」

ジュン「ほんと?! ほんとに!? へへっ、やったぁ」

水銀燈「…そんなに嬉しいのぉ?」

ジュン「うん。ずっとチビとかもやしっことか言われてたから」

ジュン「いっそ、ウェイトトレーニングもしてみようかな」

水銀燈「それはダメ」

ジュン「えー? 何で?」

水銀燈「力に頼りすぎるようになっちゃうからよ」

水銀燈「どんなに力をつけても、かなわない相手や状況ってのはあるでしょう?」

ジュン「…うん」

水銀燈「力をつけるのはいいけど、やみくもに筋肉をつけるものじゃないわ。使うための体を仕上げなさい」

ジュン「わかったよ」

水銀燈「(それに…)」グニッ

ジュン「あでっ!?」

水銀燈「(マッチョすぎるのは好みじゃないのよぉ)」グニグニ

ジュン「…い、痛いよ?」
255 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:46:28.72 ID:ypoFS0U0
水銀燈「息を吸って…吐いて、力抜いて」

ジュン「すぅーーーー、ふぅぅー…」

水銀燈「よっ」グイ

ペギキ

ジュン「あうぅ」

水銀燈「痛かったぁ?」

ジュン「んー…痛きもちいい」

水銀燈「ふふっ」

グッ グッ

ジュン「水銀燈って、なんでもできるんだね」

水銀燈「まぁ、永年生きてきたからねぇ」

ジュン「…うらやましいなぁ」
256 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:48:01.54 ID:ypoFS0U0
水銀燈「…わたしが?」

グッ グッ グッ

ジュン「うん。気楽にあこがれるものじゃないってのはわかるけど」

水銀燈「…」

ジュン「それでも、君らは強いし、きれいだし、賢いし…」

水銀燈「…」

ジュン「いろんなことができて、年もとらない」

グッ グッ グッ

ジュン「大変なのはわかるけど、やっぱりうらやましい」



水銀燈「…あなたはなにもわかってない」
257 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:50:25.90 ID:ypoFS0U0
ジュン「ぼくが?」

水銀燈「えぇ、そうよ。わたしたちからすれば、むしろあなたたちのほうがうらやま…」

ジュン「ぼくたちのほうが?」ニヤニヤ

水銀燈「…あっ(…いっけなぁい)」

ジュン「ねぇ、ぼくたちのほうが、なに?」ニヤニヤ

グリッ

ジュン「あだだだだ?!」

水銀燈「わたしをハメようとするなんて悪い子ねぇ」グリグリグリ

ジュン「うががが! こ、降参!」

水銀燈「ほんとに、もう… しょうがないわねぇ」

キュッ キュッ キュッ

水銀燈「…わたしたちは『体を鍛える』ってことが出来ないから」
258 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:52:13.91 ID:ypoFS0U0
ジュン「鍛える?」

水銀燈「ええ。人間は、強くなるためには大変な思いをして鍛錬しなければいけない」

水銀燈「けれど逆に言えば、大変な思いをすれば強くなったり美しくなったり、ごほうびがあるってことでしょう?」

ジュン「…」

水銀燈「わたしたちは、どんなに辛い目にあってもはやく体が痛むだけ」

キュッ キュッ キュッ

水銀燈「生きる辛さは変わらないのにね」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「この体はお父様からいただいた無二のものだから、わたしたちの誇りではあるんだけれど」

ジュン「でも、心は成長するんだろ?」

水銀燈「そうありたいとは思ってるんだけど」
259 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:53:33.03 ID:ypoFS0U0
ジュン「…何か心配なの?」

水銀燈「雛苺を見てたり、真紅と仲直りできない自分のことを考えると不安になってくるわ」

ジュン「…」

ギュ ギュ ギュ

水銀燈「まぁ、最初から強く美しい体を持ってるって考えればいいのかもしれないわねぇ」

ジュン「そうだよ。…それに」

ギュ ギュ ギュ

ジュン「君たちは、年をとらないじゃないか」

水銀燈「…」

グイ グイ グイ

ギュッ ギュッ グッ

水銀燈「…」

ジュン「…」

グ グ グッ

キュ キュ キュッ

水銀燈「…それを一番、うらやましいと思ってるのよ」

ジュン「…」

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「…ぐー」

水銀燈「(…まったく、もう)」
260 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:55:41.46 ID:ypoFS0U0
【翌週】

巴「こんにちはー」

のり「いらっしゃーい。いつもありがとうね」

巴「いえ…ジュン君は?」

のり「お庭で稽古してるわよー」



水銀燈「来たみたいねぇ…じゃあ、教えたことは理解できたぁ?」

ジュン「…たぶん」

水銀燈「頼りないわねぇ。まぁいいわ、せいぜい頑張ってみなさぁい」

巴「桜田君、水銀燈、こんにちは」

ジュン「あ、どうも…え?」

水銀燈「…家からその格好で来たのぉ?」

巴「今日は荷物を余分に持ってきたから。それじゃ、早速だけど…」

ジュン「あ、うん。着替えてくる」
261 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:56:37.14 ID:ypoFS0U0
水銀燈「それでは…はじめっ!」

ジュン「せやあああああっ!」

巴「(えっ?!)い、いやぁぁぁぁあっ!」

(水銀燈「まず、気迫でのまれないことよ」)

(水銀燈「気迫負けしたら、相当戦力差があっても苦戦させられる」)

(水銀燈「一切動じない自信がないなら、こちらも気勢を上げていきなさい」)

ジュン「せっ! はっ! やぁっ!」

巴「くっ! うっ! このっ!」

(水銀燈「気勢を上げても、のぼせちゃったらダメよ」)

(水銀燈「あくまで冷静に。相手をよく見なさい」)

(水銀燈「体、顔、動き…いろんなことを教えてくれるはずよ」)
262 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:57:02.65 ID:ypoFS0U0
巴「…しゃっ!」

ジュン「…はっ!」

ガシイッ

(水銀燈「隙あらば、力勝負に持ち込みなさい。技の勝負ではあなたはまだ勝てない」)

(水銀燈「いくらチビでももやしっ子でも、男なんだから力はあなたのほうがある」)

(水銀燈「自分の得意な勝負にいかにして持ちこむかを考えるのよ」)

ジュン「えぇーいっ!」
巴「…くっ?!(いけない、押し切られる!)」ダッ


水銀燈「そこよ!」

ジュン「はぁっ!!」

ドスッ

巴「うぁっ?!」

ドテッ

ジュン「か、柏葉!」
263 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:57:59.62 ID:ypoFS0U0
水銀燈「ジュン! ダメよ!!」

ジュン「…えっ?」

水銀燈「助け起こそうとしたんでしょう?」

ジュン「…そう、だけど…」

水銀燈「巴に恥をかかせる気?」

巴「…水銀燈の言うとおりよ」

ムクッ

ジュン「柏葉…」

巴「見事な突き一本だった」

ビュッ!

巴「さぁ、もう一本!」

ジュン「…おぅっ!」

水銀燈「(…ありがとうね、巴)」
264 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 20:58:53.58 ID:ypoFS0U0
ジュン「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…ま、負けた」

巴「はぁ、はぁ…今回はなんとか勝ち越せたけど…」

巴「(男の子って、ずるいなぁ。ほんっとに…)」

のり「みんなお疲れさまー。お風呂わいてるわよー」

ジュン「はーい」

のり「巴ちゃんも入っていきなさーい、今日は晩ご飯食べてってねー」

巴「はい。…すみません、のりさん」

のり「なぁに?」

巴「今日は、泊まっていってもいいですか?」

ジュン「…えぇっ?!」
265 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:00:10.48 ID:ypoFS0U0
巴「明日は休みだし、それにもうすこしやってみたいことがあるんです」

のり「いいわよー、わたしか銀ちゃんと相部屋になるけど」

巴「はい、お願いします」

ジュン「…ちょ、ちょっと…」

水銀燈「先風呂もらうわよぉ。…巴、一緒に入るぅ?」

巴「…はい」

ジュン「(いいのかよ、ほんとうに…)」



巴「わぁ、ほんとうにふくらんでる」

水銀燈「ふふ、雛苺もここにいるのよぉ」

巴「すごい…あ、背中流します」

ザァッ

水銀燈「…ありがとうねぇ」

巴「…何ですか?」

水銀燈「雛苺と、ジュンがお世話になって」
266 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:01:19.36 ID:ypoFS0U0
巴「いえ… 私のほうこそ、ありがとうございました」

水銀燈「なぁに?」

巴「今日のお稽古で、桜田君を止めてくれて」

水銀燈「…私も、背中流してあげるわぁ」

ゴシ ゴシ ゴシ

水銀燈「…さっきの話だけどぉ」

巴「…はい」

水銀燈「…全力で戦って負けた相手に情けをかけられるってことほど、切ないものはないわよねぇ」

巴「…わかります」

水銀燈「戦うのなら、恨みっこなしでやりあいたいものねぇ」

巴「…アリスゲームのように?」
267 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:02:22.17 ID:ypoFS0U0
水銀燈「…えぇ。そうよ」

シュ シュ シュ

巴「結晶が修復されてみんながよみがえったら、またゲームを始めるんですか?」

水銀燈「…」

巴「流しますね」

ザァッ

水銀燈「…それを聞きに来たの?」

巴「…」

水銀燈「湯船、もらうわ」

巴「…わたしも」

チャポン

水銀燈「…もちろん、再開するわ。恨みっこなしでね」

巴「もう、あなたはアリスを目指す必要はないんでしょう?」
268 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:03:54.19 ID:ypoFS0U0
水銀燈「スキあらばなってもいいと思ってるけどね。究極の少女なんてロマンチックじゃなぁい?」

巴「…ふざけないでください」

水銀燈「ふざけてなんかないわ」

チャポ

水銀燈「…わたしは、まだ『マリア』になる覚悟を固めきったわけじゃないもの」

巴「…え?」

水銀燈「ずっと姉妹として生きてきたあの子たちが、いきなりわたしを『母親』と認めると思う?」

巴「…それは…」
269 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:04:59.23 ID:ypoFS0U0
水銀燈「それにアリスゲームをやめたからって、わたしたちが戦わずにすむわけじゃないもの」

巴「…」

水銀燈「いずれにせよ、これからも戦わなければならない。だからジュンも戦おうとしてくれてる」

水銀燈「ならば、常に戦える自分たちでいたいと思うのよ」

巴「…水銀燈」

水銀燈「あなたたちには、ほんとうにお世話になってる。そのことは忘れていない」

水銀燈「けれど、あんまりお世話になりすぎてしまうと、いざというとき戦えない自分になってしまいそうな気がする」

ザバッ

水銀燈「そして、勝てる戦いに負けて、助けられる命を取りこぼしてしまうかもしれない」

水銀燈「わたしはそれがとても怖いの」

巴「…」

水銀燈「長話になっちゃったわね。さぁ、上がりましょう。ふたりが待ってるわ」
270 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:07:08.40 ID:ypoFS0U0
水銀燈「お待たせぇ」

ジュン「待ちくたびれたよ。おなかペコペコ」

水銀燈「うわぁ、今日は豪華ねぇ」

のり「巴ちゃんのさしいれよー」

巴「ミートローフ作ってみたんです。お口に合うといいけど…」

ジュン「うまいよ、最高!」

のり「こら、ジュン! みんなそろってから食べなさい!」

巴「…うふふっ」



ジュン「ごちそうさまー、お風呂入ってくるよ」

巴「あ、片付け手伝います」

水銀燈「わたしもやるわぁ。あ、ジュン! お風呂上がったら…」

ジュン「『体ほぐしておきなさい』だろ?」
271 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:08:40.79 ID:ypoFS0U0
ジュン「また、水銀燈がやってよ。そのほうが気持ちいいもん」

水銀燈「だぁめ。今はとっても忙しいのよぉ!」

(ねこ警部「なにっ! これはいったいどういうことだ!?」)

(ドロボウキャット「ネコのくせに、警察のイヌになるようなやつにはわからんよ」)

水銀燈「(あぁっ、正義のピンチ! くんくん早く登場してぇっ!)」

ジュン「…テレビ見たいだけじゃないか」

水銀燈「なんか言ったかしらぁ?」ニヤー

ジュン「なんにもー」スタコラサッサ

巴「…」



ガチャン バタン

ジュン「…ちぇ、ケチ」ゴロン

ウンショ ウンショ ウンショ

272 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:10:50.49 ID:ypoFS0U0
のり「もういいわ、みんなお疲れさま」

巴「はい」

水銀燈「はぁい」トタタタタ

巴「…」



ジュン「よいせ、よいせ… もういいや」

トン トン トン

ジュン「…ぐー…」 

ガチャリ



(くんくん「小さな小さな事柄も、積み重ねればかならず真理に到達する!」)

水銀燈「あぁっ素敵! あなたこそ正義よぉ!」

のり「(…銀ちゃんのこんな顔はじめて見たわ…)」



ギシッ 

グイ グイ グイ

ジュン「(…ん?)」
273 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:12:05.73 ID:ypoFS0U0
グッ グッ グッ

ジュン「(なんだ、水銀燈。 結局やってくれるんだ)」

グッ グッ グッ

ジュン「(…気持ちいい〜)」

グイ グイ グイ

ジュン「…ねぇ、背中鳴らして」ゴロン

ググ  グググッ  ペキッ

ジュン「あふっ」

巴「あ、痛かった?」

ジュン「ううん、痛きもちいい…」



ジュン「う、うわぁぁぁぁぁ?!」



(くんくん「正義は僕が守る! よい子のみんな、また来週!」)

水銀燈「あぁ…夢のような時間だったわぁ…」

のり「(…やっぱり姉妹ね〜)」
274 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:14:06.45 ID:ypoFS0U0
ジュン「とととと、巴っ?!」

巴「あれ? ふふふっ」

ジュン「な、なに笑ってるんだよ!」

巴「『巴』って呼んでくれたのひさしぶり」ニコニコ

ジュン「か、勘弁してくれよ…」ガバッ

巴「足もやってあげるよ? 部活でよくやるから。」

ジュン「いいってば!」

巴「いいからいいから。 桜田…ジュン君」

キュ キュ キュ

ジュン「(あ、気持ちいい… って俺落ち着け)」

巴「…迷惑じゃなかった?」

ジュン「え? な、なにが?」
275 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/28(土) 21:16:07.20 ID:ypoFS0U0
今日はここまで。続きは明日の夜。
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/28(土) 22:13:06.77 ID:MHnJPFgo
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/28(土) 22:23:20.68 ID:nTzKLDko
おつつ
278 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 :2009/03/29(日) 21:32:20.45 ID:UZgnOPY0
>>276-277

どもっす。再開します。
279 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:34:06.80 ID:UZgnOPY0
巴「何度も押しかけてきて」

ジュン「…いや、とてもありがたかったよ。 すごく助かった」

巴「そう?」

ジュン「相手してくれるたびに、新しいことがわかるような、身につくような気がして…」

キュ キュ キュ

ジュン「つきあってくれて、ほんとにありがとう」

巴「そう…」

クニ クニ クニ

ジュン「ふひゃっ?!」

巴「あ、くすぐったかった?」

ジュン「いや、大丈夫!(足の指の間…気持ちいい…)」
280 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:35:29.46 ID:UZgnOPY0
クニ クニ クニ

巴「ほんとのこと言うとね、悔しかったんだ」

ジュン「悔しい?」

巴「うん。 ジュン君って、鍛え始めてから1ヶ月ちょっとなんでしょ?」

ジュン「あ、ああ」

巴「私はいちおう子供のころからずーっとやってるのよ」

ジュン「…」

巴「だのに、あっというまに追いつかれて、もう追い越されそう」

ジュン「そんな…」

巴「ううん、あなたはほんとに強くなった。だから悔しいって思ったの。 …男の子って、ずるいなぁって」

ジュン「…それは違うよ。 ボクは実力じゃまだまだ巴にはかなわない」

クイ クイ クイ

ジュン「どうにか勝負になったのは、水銀燈のおかげだよ」
281 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:36:26.29 ID:UZgnOPY0
巴「…それも、ずるいなぁって」

ジュン「…どういう事?」

巴「だって… 水銀燈って、強くて綺麗で年もとらない究極の少女でしょ」

ジュン「え?」

巴「私じゃ勝負になりっこない」

ジュン「そ、それって…」

巴「…くやしいなぁ」

クニ クニ クニ

ガチャン

水銀燈「お馬鹿さんねぇ」
282 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:37:33.29 ID:UZgnOPY0
ジュン「す、水銀燈!」

巴「…聞いちゃったの?」

水銀燈「えぇ。…馬鹿なこと言ってるわねぇって」

トコ トコ ギシッ

水銀燈「しょうがないわねぇ、わたしは頭をやってあげるわぁ」

グニ グニ グニ

ジュン「(あ、頭の皮…これも気持ちいいかも)」

巴「…そんなに馬鹿なことだった?」

水銀燈「ええ。 お馬鹿も馬鹿、大馬鹿さんよぉ」

グニ グニ グニ

巴「…いつまでも出会ったころのまま綺麗な姿の少女なんて、漫画やゲームの女の子みたいなものじゃない」

クニ クニ クニ

巴「現実にいられたら、勝ち目なんてないよ」

水銀燈「…わたしたちは、漫画やゲームのキャラクターと一緒なのよ」
283 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:41:09.88 ID:UZgnOPY0
巴「え?」

水銀燈「人間と同じ時間を歩めないってこと。 出会って、お互い成長しあって、年をとって寄り添いあって…」

グニ グニ グニ

水銀燈「そういう時の流れを共有できない。 それはつまり、同じ世界で生きられないってこと」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「わたしたちとあなたたちは、たまさか生きる時代がかろうじて重なり合ったってだけ」

水銀燈「もう何年かすれば、いやおうなしに別れが来る。そういうものよ」

巴「そんな…」

水銀燈「そうなのよ」

グニ グニ グニ
284 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:46:17.95 ID:UZgnOPY0
水銀燈「いずれあなたたちは年をとって、わたしたちを置いていってしまう。」

水銀燈「いままで、数限りない人間たちと、わたしはそうやって別れてきた。残ったのは妹たちだけ」

ジュン「…」

水銀燈「…だから、柴崎ご夫妻を見てるとほんとうにほんとうにうらやましいって思うのよ」

水銀燈「同じ時間、同じ思い出をを共有したパートナーと寄り添いあって生きていけるなんて…」

巴「…」

水銀燈「ジュン、メガネ外して」

ジュン「? …うん」

カチャン

水銀燈「目、つぶって」

ジュン「えっ?!」

巴「ええぇっ!?」
285 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:49:17.20 ID:UZgnOPY0
水銀燈「…何にもしやしないわよぉ。 ほらほら目つぶって」

ジュン「あ、うん」

クリ クリ クリ

水銀燈「ほら、これもイイでしょぉ? いつもメガネかけてるから」

ジュン「あ…うん(まぶたの上から目をマッサージ…イイ…)」

水銀燈「…巴。 たぶん、わたしとあなたとじゃ最初っから勝負にならないわ」

水銀燈「わたしはどうせすぐにただの思い出になる身だもの。ジュンと同じ時代を生きられるあなたとは違う」

巴「そんな…」

水銀燈「だからせいぜい、良くも悪くもみんなの心にひっかかってやろうと思ってるんだけどねぇ」ケラケラ

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「君の言ってることは、ちょっと違う」

水銀燈「え?」

ジュン「間違ってないけど、足りない部分があると思う」
286 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:50:32.78 ID:UZgnOPY0
水銀燈「どういう意味よぉ」

ジュン「同じ時代を生きられないっていうのはそのとおりだと思う。 でもそれは、君たちだけじゃない」

巴「ジュン君…」

ジュン「たとえば、ボクやのりや巴は、柴崎さんと同じ時代は歩けない。いずれ、別れが来る」

水銀燈「…」

ジュン「ボクたちだって、明日生きていられるって保証なんてない。キミらだってそうだろう?」

水銀燈「…えぇ、そうね」

ジュン「でもボクらはここで出会って、縁があっていまいっしょにいる。 …永遠の関係じゃないけれど、ボクはこれで充分だと思うよ」

水銀燈「…なにそれ。わたしを口説いてるのぉ?」
287 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:52:46.29 ID:UZgnOPY0
ジュン「ちちちち違うよっ!! ボクはただ…」

巴「送る時間や住む世界が違っても、家族にはなれるかもしれないってこと?」

水銀燈「…くっさいわねぇ」

グニッ

ジュン「んぎゃっ!?」

水銀燈「もう寝るわぁ、お休みぃ」

ガチャン バタン

巴「…わたしも寝るね」

ジュン「目がぁ、私の目がぁ!!」

巴「ジュン君、明日はちょっと早く起きて」

ジュン「…はい」
288 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:55:17.99 ID:UZgnOPY0
ガチャン バタン

水銀燈「…まったくもう。わかったようなクチ聞いてくれちゃって…」

ゴソゴソ

水銀燈「(言いたい事はわかるし、少し嬉しいけど。でも…)」

水銀燈「やっぱり、甘すぎるわ」

コンコン

水銀燈「だぁれ?」

巴「…わたし。ここで寝てもいい?」

水銀燈「…勝手になさぁい」

ガチャ パタン

巴「よいしょ」

モゾモゾ

水銀燈「…」

巴「…怒ってる?」

水銀燈「別にぃ」

巴「…やっぱり怒ってるんだ」

水銀燈「…ふんっ」

ゴロン

水銀燈「たいした覚悟もないくせに『家族になる』だなんて軽々しく言うもんじゃないわぁ」

巴「…」

水銀燈「まぁ、あんな甘ちゃんとつきあうのも結晶が修復されるまでの辛抱よぉ」

巴「…やっぱり、巻きこみたくないって思ってる?」

水銀燈「…まったくもう。あなたもジュンも、どうしてこう…」
289 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 21:57:42.46 ID:UZgnOPY0
水銀燈「…あぁもう、思ってるわ。当たり前じゃない」

巴「…」

水銀燈「この時代この国に生まれたあなたたちは、とても幸運なのよ」

水銀燈「だって、殺しも殺されもしないまま一生を終えられるかもしれないんだから」

巴「!」

水銀燈「わたしとともに生きるっていうことは、その幸運を捨てるかもしれないってことなのよ」

巴「…あなたは、人を殺したことがあるの…?!」

水銀燈「ないわよ」

グルッ

水銀燈「血肉の通った人間はまだ、ね」

巴「『血肉の通った』って…どういう意味なの…?!」ブルブルッ

水銀燈「…わたしが怖い?」

巴「…こ、怖い(忘れてた…この子は『水銀燈』なんだ…)」
290 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 22:01:45.34 ID:UZgnOPY0
水銀燈「心配しなくても、好き好んで人を手にかける気はないわ。 お父様からも止められてる」

巴「…そ、そう」

水銀燈「けれど」

ゴソッ

水銀燈「好む好まざるに関わらず『その時』ってのは唐突にやってくる」

水銀燈「その時になれば、わたしはためらいも迷いもしない」

巴「…」

水銀燈「それが、わたしたちが生きる世界なのよ。あなたたちが来るべきところじゃない…来ないでほしい」

水銀燈「心を通わせてから、私たちの目の前で殺されてしまうくらいなら」

巴「…」

ゴソゴソ

巴「ねぇ、水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

巴「あなたが、こっちに来るわけにはいかないの?」

水銀燈「無理よ。 どうせすぐに、立ち去らなきゃいけなくなるだけ」

巴「…でも、いまあなたは少なくともアリスゲームはしなくていいんでしょう?」
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/29(日) 22:02:02.70 ID:/cGTzO6o
¥、m
292 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 22:03:38.90 ID:UZgnOPY0
水銀燈「…まぁ、そうだけど。 このおなかが引っこむまではねぇ」

サスサス

巴「じゃあ、ちょっとだけでいい。こっちの世界に来て。戦わなくてもいい世界へ」

水銀燈「…嫌よ」

巴「なぜ?」

水銀燈「戻れなくなる」

巴「…戻るときには、私たちも一緒に行く。そして戦って、すぐ帰る」

水銀燈「ピクニックじゃないのよ」

巴「わかってる。でも…ほんとうに、どうにもならないの?」

水銀燈「…」

巴「少しだけでいい、おなかにみんながいる間だけ、私たちと一緒に生きていって」

水銀燈「…なぜ、そこまで?」

巴「…わからない。うまく言えないけど」

サスサス

水銀燈「ひゃんっ?!」

巴「強いて言うなら…おなかのみんなのためにそうしてほしい」
293 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 22:06:07.33 ID:UZgnOPY0
水銀燈「…みんなの?」

巴「うん。…『お母さん』がそんなひとりぼっちじゃ、絶対ダメだよ」



(「ああ…もうイヤ…あなたたちさえ、あなたたちさえいなければ…」)



巴「水銀燈??」

水銀燈「…え? ふ、ふん、もう寝るわぁ」

グルッ

巴「水銀燈…」

水銀燈「…巴」

巴「…なに?」

水銀燈「…もし明日目が覚めても戦わずにすむようだったら、そのときだけはあなたたちと一緒の世界にいてあげる」

巴「…ほんとう?」

水銀燈「…2回も言わないわぁ」

巴「…あした、いい日になるといいね…」

水銀燈「…おやすみ、巴」
294 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/29(日) 22:07:33.86 ID:UZgnOPY0
今日はここまで。続きは明日以降。 …早ければ明後日。
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/29(日) 22:18:34.77 ID:7BCseuE0
銀様にくそ萌えた
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/30(月) 03:42:38.70 ID:y5n3QZoo
おっつ
297 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:25:30.01 ID:9ZxpgcI0
>>295-296
どもっす。再開します。
298 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:26:50.52 ID:9ZxpgcI0
【翌朝】

チュン チュン チチチチ

巴「…ジュン君?」

ジュン「…んあ、もう朝…ってまだ暗いじゃん」

巴「さ、早く早く。これに着替えて」

モソモソ

ジュン「ん、これって…柔道着?」




巴「それじゃ、しゅっぱーつ!」

ジュン「うー…眠いよ、寒いよ…」

巴「走ればあったかくなるよ」

ジュン「…はいはい」

ワッセ ワッセ ワッセ

ジュン「(…朝の空気って、胸がきれいになるような気がする)」

ジュン「けっこう気持ちいいね」

巴「でしょう? この時間のランニングって、好きなんだ」
299 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:28:12.59 ID:9ZxpgcI0
ワッセ ワッセ ワッセ

ジュン「昨日の晩、水銀燈と何話したの?」

巴「ふふ。内緒」

ジュン「ちぇ」

ワッセ ワッセ ワッセ

ジュン「…どこまで走るの?」

巴「あとちょっと。…ほら、見えてきた」

ジュン「…陸橋?」

巴「ここのてっぺんまで、全力疾走!」

ジュン「え?」

巴「負けたほうがジュースおごりだよー!」

シュタタタタタ

ジュン「ず、ずるいよー!」
300 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:29:44.77 ID:9ZxpgcI0
巴「はぁ、はぁ、はぁ… Maxコーヒーね♪」

ジュン「ひぃ、ひぃ… はーいはい」

巴「ほら、間に合った」

ジュン「? …うわぁ…」

巴「きれいでしょう」

ジュン「日の出…」

巴「イヤなこと、考え切れないことがあると、ここに来ることにしてるんだ」

ジュン「…やっぱり、何かあったの?」

巴「…うん。 考え切れないことのほうね」

ジュン「…そうなんだ」

巴「考えても考えても、どうにもならなくなったとき。思いっきり走って、朝日を浴びるの」

巴「そうすると、頭の中を一回リセットできるような気がして」

ジュン「…」

巴「もう一回、なんとかしてみようかなって気持ちになれる」

ジュン「…そっか」
301 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:39:19.35 ID:9ZxpgcI0
巴「ジュン君」

ジュン「なに?」

巴「…あなたのほうこそ、水銀燈とのことで何かあったの?」

ジュン「え…」

巴「急に体を鍛えだしたりして」

ジュン「べ、別に」

巴「…言えないようなこと?」

ジュン「…」

巴「…無理に言わなくてもいいけど、内緒にされるのって結構切ないよ」

ジュン「…ごめん」

巴「あ、やっぱり内緒にしてたんだ」

ジュン「なっ?!」

巴「ふふふっ、冗談。 コーヒー忘れないでね?」トコトコ

ジュン「あ、ああ」テクテク
302 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:42:14.37 ID:9ZxpgcI0
チャリン チャリン

ピッ ガシャン ピッ ガシャン

ジュン「はい、これ」

巴「ふふ、ごちそうさま」

カシュッ コク コク

ジュン「うわー、甘ーい」

巴「寒いときに体動かしたあとにはちょうどいいんだよ」

ジュン「そういうものかな」コク コク 

巴「そういうもの」コク コク

テク テク

巴「…ジュン君、体動かすのって楽しい?」

ジュン「え? …ああ、楽しいよ」

巴「…そうだよね」

ジュン「体のことなんて意識したことなかったけど…」
303 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:49:56.02 ID:9ZxpgcI0
巴「…うん」

ジュン「鍛えて筋肉がついてきたり、思うとおりに動けるようになっていくのって、やっぱり楽しい」

巴「…」

テク テク

巴「私ね、剣道辞めようと思ってたんだ」

ジュン「え、なんで? あんなに上手いのに…」

巴「男の子にはぜんぜんかなわないし、女の子同士でも大会に毎回出るような人には及ばないよ」

ジュン「…」

巴「いくらがんばっても結果が出ないから、このまま中途半端に続けるくらいならいっそすっぱり辞めて受験に集中しようかなって思ってたの」

ジュン「もったいないよ」

巴「…でもね、ジュン君とお稽古してたら思い出したの」

ジュン「何を?」

巴「…剣道って、楽しいなぁって」
304 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 06:58:10.17 ID:9ZxpgcI0
ジュン「…」

巴「もっと正確に言うと、恨みっこなしの勝負っていいな、って」

ジュン「え?」

巴「鍛えた技と力で、お互い後のことは気にしないで全力でぶつかり合うのって、やっぱり楽しい」

ジュン「…でも、負けたときあんなに悔しがってたじゃないか」

巴「それも含めていいなって思うの。 精いっぱい悔しい思いができることなんて、あまりないから」

ジュン「…そうなんだ」

巴「だから、今ならわかるような気がするの」

ジュン「何が?」

巴「水銀燈たちがアリスゲームにこだわる理由」
305 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 07:28:16.74 ID:e5wxNao0
ジュン「えっ?! …昨日話してたことって、まさか!」

巴「うん、そのこと」

ジュン「水銀燈は、なんて言っていたんだい?」

巴「…みんなが目覚めたら、再開するって」

ジュン「そんな…」

巴「…アリスゲームはお互いの存在をかけた争いだから、剣道の試合みたいには語れないけれど」

ジュン「…」

巴「でも、思うのよ」

テク テク

巴「私が剣道に打ちこんできた日々を大事に思うように、あの子たちはアリスゲームを大切にしてるのかもしれないって」

ジュン「そ、それとこれとは違うよ」

巴「そうかもしれない。 私だって、雛苺に姉妹で争ってなんかほしくない」

ジュン「…」

巴「…けれど、もしそれがあの子たちの『絆』にかかわることなら、大事にしなくちゃいけないような気がする」

ジュン「…」

(水銀燈「憎しみも争いもすべて含めて、わたしたちの『絆』なのよ」)
306 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 07:35:51.15 ID:e5wxNao0
巴「…きっと大丈夫だよ。私も水銀燈のことはよく知らなかったんだけど、けっこう妹思いのお姉さんみたいだし」

ジュン「…うん、それはきっとそうだよ」

巴「それに、水銀燈も言ってたから…」

ジュン「なんて?」

巴「もしも今日戦わずに済むようなら、そのときだけは私たちと一緒に生きていくって」

ジュン「そうか…」

巴「ね、ジュン君」

ジュン「なに?」

巴「今日、いい日になるといいね」

ジュン「…うん」
307 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 07:40:01.22 ID:e5wxNao0
(水銀燈「好む好まざるに関わらず『その時』ってのは唐突にやってくる」)



巴「(もしかしたら、帰ったら『その時』が始まっているのかもしれない)」

テク テク

巴「(でも、お願い… 神様がもしいるのなら)」

テク テク

巴「(せめて きょう一日だけでいい。『その時』が来るのを どうか延ばしてください)」

テク テク

巴「(つかの間でいい。 私たちとあの子たちに、安らげる日々をどうか…)」



ジュン「ただいまー」

のり「おかえりなさーい」

水銀燈「おかえりぃ。ご飯できてるわよぉ」



巴「(神様、ありがとう)」
308 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 07:44:27.93 ID:e5wxNao0
水銀燈「どうしたのぉ、巴?」

巴「…水銀燈、約束覚えてる?」

水銀燈「…2度も言わない、って言ったはずよぉ」プイッ

トタタタ

水銀燈「さ、早く食べちゃってぇ。 今日もビシバシやるわよぉ!」

巴「(ありがとう、水銀燈)」



ジュン「ごちそうさまー」

巴「あ、片付けしますね」

水銀燈「ジュン、休んだら準備運動しておきなさぁい」

ジュン「はーいはい」

水銀燈「どうやら今日は、巴が柔道を教えてくれるようだからぁ」

巴「ふふっ、ひさしぶりだからうまくできるかどうかわからないけど」

のり「…お昼ご飯も、いっぱい作っておかなっくっちゃいけないようね〜」
309 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 [saga]:2009/03/31(火) 07:51:13.13 ID:e5wxNao0
水銀燈「(『その時』は、いつか必ずやってくる。 そうなれば、私は迷いもためらいもしない)」

カチャカチャ シャーーーーー

水銀燈「(けれど… 今だけ、このひとときだけは)」

ゴシゴシ キュッ キュッ 

水銀燈「(戦いのことを少しだけ忘れて みんなと同じ時間を過ごしていたい…)」

カチャン カチャン

水銀燈「…それでいいよね。 みんな」サワッ

巴「…なにか言った?」

水銀燈「いいえ、何も。 …さぁ、始めるわよぉ!」




水銀燈がドールたちの母親になるようです【新婚編】 完

○これにて第3部を終了します。ご観覧ありがとうございました。
近日中に第4部【妊婦編】をアップする予定です。
支援してくださった方へ感謝。
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/31(火) 10:32:39.35 ID:FmTBgEAO
乙でした
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/31(火) 12:36:54.26 ID:9G8r1ls0
乙ですよー
楽しみに待っときますねw
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/31(火) 15:26:06.32 ID:76HHFpIo
おつつ
313 :1 [sage]:2009/03/31(火) 16:32:14.62 ID:SLRYcGk0
>>310-312
どうもです〜
書き貯めができしだいとりかかります。
また見てもらえると幸いです。
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/03/31(火) 20:39:05.02 ID:Dj3gJLEo
遅まきながら乙
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/01(水) 18:40:38.67 ID:y.l1dYQ0
>>314 どうもっす。
返答だけでは能がないから軽く次回予告。


次回登場予定↓





         /ノヽ       ヽ、
         / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
         | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
         |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.        ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
        /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
       /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄
       /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
      /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/01(水) 18:46:46.28 ID:G90SSkMo
うわあああああああ
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/01(水) 22:47:41.95 ID:2K.L9Awo
                 うゎぁぁ  ''';;';';;'';;;,.,                  うゎぁぁ
                       ''';;';'';';''';;'';;;,.,   う ゎぁぁあああ
          う  ゎぁぁあああ    ;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
                        ;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
               ヽ        vymyvwymyvymyvy     う ゎぁぁあああ
               つ ゎぁぁ MVvvMvyvMVvvMvyvMVvv、
                   Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^−^Λ_ヘ^Λ_ヘ
     う ゎぁぁあああ     ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ ヘ__Λ      ヽ
               __,/ヽ_ /ヽ__,.ヘ /ヽ__,.ヘ _,.ヘ ,.ヘ    つ ゎぁぁあああ
    /\___/ヽ   /\___ /\___/ヽ _/ヽ /\___/ヽ
   /    ::::::::::::::::\/    ::::::/    ::::::::::::::::\  /    ::::::::::::::::\
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::|  ,,-‐‐   |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::|、(|  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::|
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::  、_(o)_,:  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|_, )|  、_(o)_,:  _(o)_, :::||
.   |    ::<      .::|    ::< |    ::<      .::|ニ=|    ::<      .::||
   \  /( [三] )ヽ ::/\  /( [三]\  /( [三] )ヽ ::/ニ´\  /( [三] )ヽ ::/
   /`ー‐--‐‐―´\ /`ー‐-  /`ー‐--‐‐―´\-‐‐ /`ー‐--‐‐―´\

あまりの事についAAどこDBから拾ってきちまった
318 :1 [sage]:2009/04/02(木) 05:50:11.16 ID:DdPZBUY0
>>316-317
ダディじゃないですよ。念のため…
319 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:48:06.54 ID:J6H1yRA0
書き貯めができたんで投下開始。
今回は結構長くなりそうです…
320 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:49:27.12 ID:J6H1yRA0
巴「せやぁっ!」

ブォン!

ジュン「くっ!」

ドサッ!

水銀燈「一本! それまで!」

ジュン「あいてて…」

巴「ごめんなさい、大丈夫?」

水銀燈「受け身くらいちゃんととりなさいよぉ」

ジュン「平気だよ。…もう一本!」



のり「そろそろお昼にするわよー」

巴「はーい、いま行きまーす」

ジュン「はぁ、はぁ…」

水銀燈「きれいに投げられまくったわねぇ」
321 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:50:59.52 ID:J6H1yRA0
巴「いただきます」

ジュン「いただきまふ」モグモグ

のり「こらっ、ジュン! 行儀悪いわよっ!」

ジュン「…はーい」

巴「ふふふ」

ジュン「(最近、水銀燈が二人いるみたいになってきたよ…)」

ジュン「それにしても…」

巴「なあに?」

ジュン「巴って、スポーツ万能なんだな」

巴「ふふ、おおげさね。小学生のころ、少年団に通ってただけよ」
322 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:52:56.75 ID:J6H1yRA0
水銀燈「その割には、いい動きだったけどねぇ」

巴「あ、雛苺にもちょっとだけ教えてたから」

ジュン「雛苺にも…?」



(雛苺「ジュン登りー!」)

(ジュン「うわっ!? まったくもう…」)

(雛苺「んしょんしょんしょ…」)

(ジュン「しょうがないなぁ」)

(雛苺「よいしょ」)

(ジュン「ん… 疲れたのか?」)

(雛苺「ふふふ…いっくのー!」ガシッ)
323 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:55:39.41 ID:J6H1yRA0
(ジュン「ぐえっ?!」)

(雛苺「苺スリーパーなのー!!」)

(ジュン「!!!!!(ちょ…チョーク?!)」)

(翠星石「おっとせですぅ! おっとせですぅ!」)

(真紅「…そろそろやめておあげなさい。 チアノーゼを起こしてるわ」)



ジュン「…なぁ、巴」

巴「なに?」

ジュン「もしかして、プロレス技とかも教えた?」

巴「!! ななな、なんのことっ?! 知らないっ! そんなの知らないっ!」



ジュン「(…柔道はいいのに、なんでプロレスは恥ずかしいんだろ…)」
324 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:58:29.20 ID:J6H1yRA0
巴「それじゃ、おじゃましました」

のり「いつも、ありがとうね」

水銀燈「それじゃあねぇ」

ジュン「おやすみ、巴」

ガチャン バタン

水銀燈「…わたしたちも寝ましょうか」

ジュン「そうだね」

のり「おやすみ、ジュン」

トン トン トン

ジュン「ぷぁー、今日も疲れたぁ」

水銀燈「ふふっ。 …ねぇ」

ジュン「あ、うん」

水銀燈「…ん」チュッ


チュウウウウウ



ドクン

水銀燈「…あっ」
325 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 21:59:58.60 ID:J6H1yRA0
ドクン

水銀燈「あ…」

ジュン「…水銀燈?」

ドクン ドクン

水銀燈「あ… あ…」ポロッ

ジュン「! ど、どうしたの?! どこか痛いの?!」

水銀燈「…違うの」ポロポロ

ジュン「な、なんなの?」

水銀燈「…ふくらんだの」

ジュン「えっ??」

水銀燈「結晶が、脈打って、大きくなった」

ジュン「…ほんと?」

水銀燈「感じたのよ。みんなの息吹を」

ジュン「…そうなんだ…」

水銀燈「みんな…生きてる…」

サワッ

水銀燈「ここにいる…」
326 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 22:02:46.23 ID:J6H1yRA0
ジュン「…さわっていい?」

水銀燈「うん。さわってあげて」

サワ サワ

ジュン「…みんな」

水銀燈「とくん、とくんって脈打ってるの」

ジュン「…ほんと?」

ピトッ

水銀燈「あ…」


トクン トクン トクン


ジュン「…わかる。わかるよ!」

水銀燈「…そうでしょ?」

ジュン「あたたかい… 脈打ってる… 生きてる、みんな生きてる!」

バタバタバタ

ジュン「のりー!!」

のり「…ふあぁ??」
327 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:17:55.87 ID:EVgtarI0
ジュン「ほら、ほら!」

のり「ほんとに?」ピト

トク トク トク

のり「…ほんとだ…!」

ジュン「でしょ、でしょ!? すごいよ、水銀燈!」

水銀燈「…ありがとう。ジュン、お姉さま、ほんとうにありがとう…」ポロポロ

のり「よかった、よかったわ…」ポロポロ

ジュン「もう、なんでみんな泣くんだよ…」グスッ

水銀燈「(…お父様、ありがとう)」



水銀燈「(わたしをこういうふうに造ってくれて、ほんとうにありがとう)」
328 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:20:38.48 ID:EVgtarI0
【???】

(♪London Bridge is falling down,)

(Falling down, Falling down.)

(♪London Bridge is falling down,)

(My fair lady.)



(ふふ… みんな、よく寝てる。わたしのかわいい妹たち… あら?)

グスン

(…ひとり、いない? どこへ行ったのかしら?)

グス グス

(もう、しょうがないわねぇ)


クスン クスン


(…どこ? 出てらっしゃあい)


…コワイ


(…どこに行ったの?)


…コワイノ
329 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:22:13.54 ID:EVgtarI0
(…あら、ここにいたのねぇ)


イヤ イヤ コワイ


(…どうしたのよぉ?)


ゴメンナサイ オコラナイデ


(…怒ってなんかないわよぉ)


モウ イタズラシナイ オコラナイデ


(いたずら? …何のこと?)


ゴメンナサイ ゴメンナサイ


(…もう、いいのよぉ。さぁ、帰ってみんなと寝ましょう)
330 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:26:16.25 ID:EVgtarI0
イヤ イヤ オネエサマタチ キットオコッテル


(大丈夫よぉ、みんなよく寝てるわ)


ホントニ?


(ええ。だから、こっちに来なさい。ね?)


…ウン


(そう、いい子ね。よいしょ、っと)ギュッ


…ネェ


(なぁに?)


…オウタウタッテ


(ふふ、いいわよぉ。ゆっくりお休みね)


…ウン


(♪London Bridge is falling down,)


…オカアサマ…


(おっ、お母様!? …あ、でも、そうか…)


…スゥ…スゥ…


(寝ちゃった… 『お母様』か…)


(あらためて言われると、恥ずかしいわねぇ)クネクネ
331 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:28:39.59 ID:EVgtarI0
チチチ

水銀燈「…」

チュン チュン

ジュン「水銀燈??」

水銀燈「ん…」

ジュン「ご飯できてるよー」

水銀燈「…あ、いっけなぁい」

トトトト

水銀燈「…ごめんなさぁい」

ジュン「めずらしいね、水銀燈が寝坊するなんて」

のり「ふふ、可愛いところもあるってことね」

水銀燈「ごめんね、お姉さま。 …変な夢見ちゃって」

のり「夢?」

水銀燈「うん。 …よく覚えてないんだけれど」
332 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:30:20.76 ID:EVgtarI0
ジュン「…ローゼンの記憶?」

水銀燈「ううん、違う。けど…」

(…オカアサマ…)

水銀燈「悪い夢じゃなかったわねぇ」ニヤニヤ

のり「ふふ。 じゃ、行ってくるね」

ジュン「いってらっしゃい」

水銀燈「わたしの番だったのに、ごめんなさいね」

のり「いいの。じゃ、行ってきます!」

バタバタバタ

水銀燈「…ごめんね、ジュンも」

ジュン「いいんだよ、さ、食べちゃって。今日も頑張るから」
333 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:31:08.22 ID:EVgtarI0
カチン カチン カチン

水銀燈「」ビュッ

ゴツッ

ジュン「あいてっ!」

水銀燈「はい失敗。 腕立て10回ねぇ」

ウンショ ウンショ ウンショ

ジュン「…やっぱり無理だよ、後ろ向きじゃ」

水銀燈「無理だと思ってもやんなさぁい」

ジュン「…はぁい」

カチン カチン カチン

ゴツッ

ワッセ ワッセ…

水銀燈「(必死にやりなさい。それが、いつかあなたを救うかもしれないんだから)」
334 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:32:07.61 ID:EVgtarI0
水銀燈「はぁい、今日はここまでよぉ」

ジュン「疲れた、頭コブだらけ…」

水銀燈「若いんだから大丈夫よぉ」

ジュン「…そりゃ水銀燈と比べたら」

グシャ

ジュン「きゅう」

ガチャン

のり「ただいまー♪」

水銀燈「おかえりなさぁい」

のり「ジュン君は?」

水銀燈「いま寝てるわよぉ、今日もがんばってたわぁ」

のり「そうなんだ。あ、ご飯つくるねー」

水銀燈「あ、今日はわたしにやらせて。朝はやらせちゃったから…」

のり「じゃあ、一緒に作りましょ♪」



ジュン「」ピクピク
335 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:55:48.63 ID:iBJyzQo0
トントントントン

のり「ねぇ、銀ちゃん。おねがいがあるんだけど…」

水銀燈「なぁに?」

のり「来週の日曜日、友達から誘われたの。遊びに行かないかって…」

水銀燈「ふふっ、そんなことぉ? 気にせずいってらっしゃぁい」

のり「…いいの?」

水銀燈「大丈夫よぉ。ジュンもいるんだし」

ジュン「」ピクピク

のり「…大丈夫かな…」

トントントントン

水銀燈「そんなに心配? それなら、みつさんにお願いすればいいじゃなぁい」

のり「そ、それは悪いよ。わたしが遊びに行きたいだけなのに…」

水銀燈「遠慮するものじゃないわぁ。…お姉さまだって、わたしにそう言ったでしょう?」

のり「でも…」

トントントントン
336 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:56:54.13 ID:iBJyzQo0
水銀燈「お姉さまには息抜きが必要よぉ。きっとみんなだってそう思ってるわ」

のり「そうかな…」

水銀燈「ふふ、それならこういうのはどう? …携帯貸してもらえるぅ?」

のり「え? いいけど…」

ピポパピプ 

プルルル 

(みつ「あら…のりちゃん?」)ピッ

水銀燈「あ、みつさん?わたし。 …水銀燈よぉ」

(みつ「え…え? きゃーっ!! 銀ちゃーん?!」)
337 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:58:07.65 ID:iBJyzQo0
水銀燈「(…耳がキンキンするわぁ)夜分にごめんなさいねぇ、お願いがあるんだけど」

(みつ「なに、なーに?! 何でも言ってぇ!!」)

水銀燈「…来週の日曜日、のりにお休みをプレゼントしたいのよぉ。だから…」

(みつ「え? そんなこと? …日曜日にそっちに行けばいいのね?! おっやすい御用よー!」)

水銀燈「…よ、よろしく頼むわぁ」

(みつ「あ、そうだ! 柴崎さんたちにも声かけてみるわねー! そんじゃーね!!」)ブチッ

水銀燈「…大丈夫そうよぉ(ちょっと不安だけど…)」

のり「…いいの?」

水銀燈「えぇ。どうせそのうちやろうと思ってたことだし、いい機会だわぁ」

のり「…ありがとうね、銀ちゃん」



みつ「うっふふふー♪ 銀ちゃんには何着てもらおうかな〜♪」
338 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/02(木) 23:59:30.23 ID:iBJyzQo0
のり「おやすみー。 …ジュン君どうしようか?」

ジュン「」ピクピク

水銀燈「よく寝てるみたいだし、毛布かけてほうっておきましょうよぉ」

のり「(なんか尋常じゃない雰囲気だけど…)」

水銀燈「おやすみぃ」

トン トン トン

ガチャリ パタン

水銀燈「ふぅ、今日も疲れたわぁ」

カチャ

水銀燈「…おやすみなさい、お父様」

パタン

水銀燈「…」



グスン グスン

(また…誰か泣いてる?)
339 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 00:00:21.75 ID:oCTfUPw0
グスン グスン


(あの子は… 昨日の?)


グスン グスン


(…どうしたのぉ?)


! パタパタパタ


(あららぁ、逃げなくてもいいのにぃ…)


イヤ、イヤ、コナイデ


(ダメよ、だってあなた泣いてるじゃない)


イヤ、イヤ…


(ほうら、つかまえた)


キャ…


(さぁ、何で泣いてたのか言ってごらんなさい)
340 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 00:01:13.98 ID:oCTfUPw0



(どうしたのよぉ。 怒らないから…きゃ?!)


バカ バカ オカアサマノバカ


(な、なによぉいきなり…)


イツモ イツモ オネエサマタチバカリ カマッテ


(…え?)


オトウサマモ オカアサマモ ワタシノコト ズットズット ホウッテオイテ

ワタシダケ ズット ヒトリボッチ


(…どういうこと?)


ミンナキライ オトウサマモ オカアサマモ オネエサマタチモ


(…あなた、まさか…)
341 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 00:04:16.27 ID:oCTfUPw0
…ワタシ オネエサマニナリタイ


(…)


ヒナネエサマミタイニナレバ キット ミンナ カワイガッテクレル

オトウサマモ オカアサマモ オネエサマタチモ…


(そういうこと、だったのね…)ギュッ


キャッ?!


(そんなこと、しなくていいのよ。いまから、いっぱいいっぱい可愛がってあげるから)


…ウソ。 ダッテ、オネエサマタチガ…


(みんなぐっすり寝てるから大丈夫。いままでかまってあげられなかった分、たっぷり可愛がってあげる)


…ホント? ホントニ?


(ええ、ほんとよ。 あなたは、かわいい末っ子なんだから…)





(…雪華綺晶)
342 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 00:05:44.43 ID:oCTfUPw0
今日はここまで。
重かった…
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/03(金) 00:14:10.01 ID:NEsP0lgo
乙です
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/03(金) 00:47:59.20 ID:oUaZ/yso
おつつ
最近やけにつながらないのー
345 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 08:52:28.12 ID:gruL6HE0
>>343-344
どもっす〜 ちょっとだけ再開。
346 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:02:36.70 ID:gruL6HE0
チュン チュン

水銀燈「ん… 朝ね」

チチチチ

水銀燈「…今日は寝坊しないですんだわぁ。 着替えなくっちゃ」

ヌギ ヌギ

水銀燈(…雪華綺晶)

(ワタシノコト ズットズット ホウッテオイテ  ワタシダケ ズット ヒトリボッチ )

スル スル

水銀燈(意識して、ひとりぼっちにさせたわけじゃなかったけど)

シュル シュル キュッ

水銀燈(何が何でも見つけ出して話を聞いてやろうともしなかったわね。 けれど…)

ガチャン トトトト

(わたしはこの時を待っていた。 お姉さまたちがそろうこの時を)

(ワタシ オネエサマニナリタイ キット ミンナ カワイガッテクレル)

水銀燈「(どっちが本当なのかしらねぇ)」
347 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:09:55.73 ID:gruL6HE0
水銀燈「おはよう。 お姉さま、ジュン」

ジュン「おはよ」

のり「おはよ、銀ちゃん」

水銀燈「それじゃ、朝ごはんの準備するわね」

のり「わたしはお茶でも入れてるわ」



シューーーー… トントントン

水銀燈(…嘘を言っていないのはつながってる感覚でわかるけれど)

水銀燈(かといって、鵜呑みにしてしまってもよいものなんだろうか)

トントントン
348 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:17:17.53 ID:gruL6HE0
水銀燈(万一、わたしを騙そうとしているのだとしたら…?)

水銀燈(言っていることと、やっていることが矛盾しすぎてるもの)

トントントントン

水銀燈(矛盾…?)

(水銀燈「真紅、この出来損ない! ジャンクにしてやるわ!」)

水銀燈(…あ)

(水銀燈「わたしは出来損ないじゃない、ジャンクなんかじゃない! お父様…!」)

トントントントン

水銀燈(…まぁ、少し様子を見てみましょうか)



のり「…銀ちゃん?」

水銀燈「なあに? …あ、あららららぁ」

ジュン「キャベツ1個千切りにしちゃったよ…」
349 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:22:08.80 ID:gruL6HE0
ジュン「…どうしたんだよ? らしくないなぁ」

水銀燈「だ、大丈夫よぉ。ちょっと考え事してただけ」

のり「…そう? 疲れたりしてない?」

水銀燈「…ええ。 本当に平気よ」

のり「大事な体なんだから、遠慮なんかしないでね?」

水銀燈「…ありがとう」

のり「じゃ、行ってくるね」

ジュン「いってらっしゃーい」

水銀燈「気をつけてねぇ」



水銀燈「…ふぅ、苦労させてくれるわね」ナデナデ
350 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:22:58.52 ID:gruL6HE0
【日曜日】

のり「それじゃ、行ってくるね」

ジュン「行ってらっしゃーい」

水銀燈「…楽しんできてねぇ」

のり「うん。 …ありがとうね」

水銀燈「ふふ、いいのよぉ」

のり「みっちゃんさん、柴崎さんたちによろしくね」

バタン トトトト

ジュン「行っちゃったね」

水銀燈「…えぇ」フラリ

ジュン「…大丈夫?」

水銀燈「大丈夫よぉ、ちょっと眠たいだけ…」

ジュン「どうかしたの…」

水銀燈「うん…」



水銀燈「(どうしよう、話しちゃっていいものかしらぁ)」
351 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:24:13.69 ID:gruL6HE0
ジュン「もしかして、結晶の具合でも悪いのかい?」

水銀燈「ん… 平気よぉ。 昨日の夜、寝つけなかっただけ」

ジュン「…このあいだ言ってた、変な夢ってやつ?」

水銀燈「(…なんでジュンって、ときどきものすごく鋭くなるのぉ…?)」

ジュン「いったい、どんな夢なんだい?」

水銀燈「…(ジュンはたぶん、雪華綺晶にはいい感情を抱いていないでしょうね…) 」

水銀燈「…妹が、寝ついてくれない夢」

ジュン「…妹って?」

水銀燈「誰かは決まってないんだけど、いつもひとりだけいないのよぉ」

ジュン「そうなんだ」

水銀燈「わたしはその子をいつも探すの。見つからないってことはないんだけど…」

水銀燈「あちこち探し回っちゃうせいか、夢なのに疲れちゃうのよぉ」

ジュン「ふーん…」

水銀燈「いったいどういうことなのかしらぁ。心当たりあるぅ?」

ジュン「…ごめん、わからないや(これは本当にわからないなぁ…)」

ブロロロロ ガチャン

ジュン「あ、着いたかな」
352 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:25:31.40 ID:gruL6HE0
ピンポーン

ジュン「いらっしゃい」

みつ「じゅんじゅーん♪ 来てあげたわよー!」

柴崎「おお。元気そうじゃな」

水銀燈「…こんにちは」

マツ「お邪魔しますね」

ジュン「あ、マツさん! 起きられるんですか?」

マツ「おかげさんでねぇ。 家事くらいはできますよ」

水銀燈「…」

みつ「それじゃさっそく、わたしはお家のお掃除やるわねー!」

マツ「わたしはご飯をつくりますね」

柴崎「わしは庭の掃除をやろうかの」

水銀燈「…」
353 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:27:23.41 ID:gruL6HE0
みつ「よーっし、やるわよー!」

ジュン「あ、みっちゃんさん。 ボクも手伝います」

トトトト

柴崎「わしらもとりかかろうか。ばあさん、無理はしないでな」

マツ「大丈夫ですよ。 ゆっくりしますから」

水銀燈「…あの」

柴崎「何かね?」

水銀燈「わたし… 柴崎さんたちに謝らなくてはいけない。 蒼星石のこと…」

柴崎「…いいんじゃよ。 おまえさんはもう、十分に償ってる」

水銀燈「あの子をよみがえらせたのはお父様。 わたしは何も…」

マツ「いま、あの子はあなたのおなかの中にいるんでしょう?」

水銀燈「…」

柴崎「償いが足りないと思うなら、その子を元気に産んでおくれ」

マツ「そう。 それが何よりよ」

水銀燈「…ありがとうございます」



水銀燈「(ああ、やっぱりうらやましい… なんて素敵な夫婦なんだろうか)」
354 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 09:28:34.12 ID:gruL6HE0
これにて中断。再開は…未定。
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/03(金) 12:58:44.73 ID:oUaZ/yso
未定だと…?
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/03(金) 13:06:14.58 ID:PYLcSQco
乙。再開待ってる
357 :1 [sage]:2009/04/03(金) 15:16:45.25 ID:THAahcA0
>>355-366
支援どもです。再開は明日の夜以降になる予定。
358 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 23:51:26.33 ID:O11tIZg0
時間が出来たのでちょっとだけ投下〜
359 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 23:52:55.72 ID:O11tIZg0
カチャ カチャ 

マツ「無理はしないでね」

水銀燈「すみません。 …おばあさまこそ、無理はなさらないで下さいね」

マツ「ええ、辛かったら休むわ。 心配しないで」

トントントントン

水銀燈「…おばあさま」

マツ「なにかしら?」

水銀燈「おふたりは結婚して、何年くらいになるんですか?」

マツ「そうねぇ… もうすぐ金婚式よ」

水銀燈「…50年…」
360 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 23:54:25.72 ID:O11tIZg0
マツ「ただ、なんとなくふたりで生きてきただけなのだけどね」

水銀燈「…いえ、素晴らしいことです」

カチャ ボッ

水銀燈「わたしも、おふたりのようになりたい」

マツ「なれるわ。 きっと…いえ」

カチャカチャ

マツ「意外と、もうなってるのかもしれないわね」

水銀燈「え… そんなこと…」

マツ「ジュン君はいい子でしょう?」

水銀燈「…///」ポッ



みつ「ふんふんふーん♪ これでだいたい終わったわねー♪」

ジュン「…みっちゃんさん、その大荷物はなに?」

みつ「ふふふふふー。 とーってもいいものよ〜〜〜」
361 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/03(金) 23:56:17.33 ID:O11tIZg0
柴崎「ごちそうさま」

ジュン「ごちそうさまでした。 …とてもおいしかったです」

マツ「ありがとうね」

水銀燈「あ、片付けはわたしがしますわ。おばあさまはお休みになってください」

ジュン「水銀燈も休みなよ。片付けはボクがするから」

水銀燈「…いいの?」

ジュン「大丈夫だよ。…みんな、ゆっくり休んでください」

柴崎「それではお言葉に甘えて、一息つこうかの」

マツ「お庭のお花でも見せていただこうかしら」

水銀燈「わたしも、お供しますわ」



みつ「ねぇ、じゅんじゅん」

ジュン「なんですか?」

みつ「…銀ちゃんって、あんなに礼儀正しかったの?」
362 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:08:36.38 ID:QJHFi0o0
ジュン「ああ…あれですか」

カチャカチャ

ジュン「水銀燈って、子供と動物とお年寄りにはものすごく優しいんです」

みつ「…そうなの?」

ジュン「はい。ひどい言い方になるんだけど、たぶん…」

シャーーーーー

ジュン「彼女は『敵として認識してない相手』に対しては、本来の姿で接するのかなって」

みつ「『本来の』?」

ジュン「本人が言うにはですけど、水銀燈ってもともとは気弱で繊細だったとかなんとか」

みつ「…カナもそう言ってたわ」

ジュン「真紅たちにも、今はすごく優しく接してますよ。 結晶の抜けた体にも、おなかの中の結晶にも」

みつ「そうなんだ…」
363 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:11:44.40 ID:QJHFi0o0
マツ「まあ、素敵なお庭ねぇ」

水銀燈「…おじいさまのおかげです」

柴崎「ほほ、たいした事はしとりゃせんよ」

マツ「あのからたちの苗は…」

水銀燈「はい。 めぐからの贈り物です」

マツ「いいわね。 春になったら、きっと綺麗な花が咲くわ」

柴崎「トゲには気をつけんといかんがの。 昔は、ドロボウよけにあれで生垣を組んだものじゃわい」

マツ「まぁ、あなたったら。 また昔の話ばかり…」

柴崎「おっと、すまんすまん」

水銀燈「いえ…(ほんとうに、ほんとうに素敵… うらやましいわ…)」



水銀燈「あの…」

柴崎「何かね?」

水銀燈「おふたりに、お伺いしたいことがあるんです」
364 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:17:16.18 ID:QJHFi0o0
マツ「何かしら?」

水銀燈「…子供のこと、なんですけれど」

柴崎「子供?」

水銀燈「はい。誰の、というわけではないんですが…」



みつ「ふんふんふふーん♪」

ジュン「…ボクの部屋で、なに組み立ててるんですか?」

みつ「とっても素敵なものよ〜♪」



柴崎「ほほう。 子供がすぐにどこかに行ってしまうと」

水銀燈「はい。 …目を離すと、すぐにいなくなってしまう。探すといるのだけど…」

柴崎「ふむ…」

水銀燈「いったいなんで、あんなことをするのか…」

マツ「ふふふ。…それはね、簡単なことよ」
365 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:18:20.18 ID:QJHFi0o0
水銀燈「…簡単?」

マツ「あなたの気を引きたいのよ。自分ひとりにね」

水銀燈「わたしの?」

マツ「そう。その子を探している間、あなたはその子のことだけ考えていたでしょう?」

水銀燈「…ええ」

マツ「ひとりでいなくなって、あなたにさがしてもらって見つけてもらえば、その間だけはあなたをひとりじめできる」

柴崎「そういえば一樹も、ちょっと大きくなってからそうなったことがあったのぉ」

マツ「あの時は大変でしたねぇ」

水銀燈「そのときは、いったいどうされたのですか?」

柴崎「おぶり紐を持ち出して、ずっとおぶりっぱなしじゃったよ」

マツ「いなくなってから構おうとするから大変なのよ。いなくなる前から構ってあげなくちゃね」

水銀燈「いなくなる前から…」
366 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:20:18.19 ID:QJHFi0o0
柴崎「では、そろそろとりかかるとしようか」

マツ「私はお洗濯でもしますわね」

水銀燈「…ありがとうございました」

柴崎「あぁ、忘れとった。 草笛さんがお前さんに、午後からなにか用があるようじゃよ」

水銀燈「…みつさんが?」



みつ「よーっし、準備オッケー♪」

ジュン「ボクの部屋が… フォトスタジオみたいに…」

ガチャン

水銀燈「みつさん、御用って… えっ???」

ジュン「あ…」

水銀燈「…」ポカーン
367 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:22:15.78 ID:QJHFi0o0
みつ「きゃーっ! 銀っちゃーん!」

ガバッ

水銀燈「!!」

みつ「待ってたのよ〜〜〜!!」スリスリスリスリ

水銀燈「…なななな…」

ジュン「(固まってる…)」

みつ「あのね、あのね、お願いがあるの!!」

カチャン パカッ

ジュン「うわぁ、すごい! …これ、全部ドール用の服なの?」

みつ「もっちろんよー! 水銀燈用にサイズもきっちり合わせたし、ちゃんとおなかもゆったりにしてあるのよ!」

水銀燈「…な、なんなの??」

みつ「ね、ね、着てみてくれる? 写真撮らせてほしいの!」

水銀燈「…はぁっ?!」
368 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:25:55.79 ID:QJHFi0o0
ジュン「…水銀燈は知らないんだっけ。たまに真紅たちもみっちゃんさん家で…」

みつ「そうなの! 新作のモデルになってもらってたのよ〜 ね、お・ね・が・い♪」

水銀燈「…」

ジュン「…す、水銀燈?」チョンチョン

水銀燈「は? え… えーと…」モジモジ 

みつ「…銀ちゃん?」

水銀燈「あっ… ふんっ! お断りよぉ」

みつ「えー…?!」

水銀燈「わたしは誇り高きローゼンメイデン第一ドール、水銀燈よぉ?」

ジュン「(ひさしぶりに聞いたフレーズだなぁ)」

水銀燈「なんでそんな安っぽい服を着て、あまつさえ写真なんかに残されなきゃならないのぉ?」

みつ「…」

水銀燈「そんなことしたら、お父様に顔向けできないわぁ」

みつ「そうなの…ゴメンね…」パタン

水銀燈「…えっ?」

みつ「ごめんなさい… 私なんかの服じゃ、やっぱりあなたには似合わないよね…」スゴスゴ



水銀燈「(な、なに簡単にあきらめてるのよぉぉぉ!!)」
369 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:27:14.39 ID:QJHFi0o0
ジュン「みっちゃんさん、ごめん。せっかく持ってきてもらったのに」

みつ「ううん、いいの。こっちこそ迷惑かけちゃってごめんね…」

水銀燈「あ… あ…」

スゴスゴ パタン

ジュン「あーあ。もったいない」

水銀燈「…」

ジュン「いいの? 下手したら、あのまま帰っちゃうよ?」

水銀燈「そ、そう思うんなら、あなたも止めなさいよ!」

ジュン「なんて言って止めればいい? きみは嫌がってるみたいだし」

水銀燈「…いいから早く行ってきなさぁーいっ!!」

ジュン「はいはい」

パタン

ジュン「…もう少し、じらしてみます?」ニヤニヤ

みつ「うーん、絵に描いたようなツンデレーションね〜 最高♪」ニコニコ

ジュン「最近わかってきました。 水銀燈って不幸慣れしすぎてるから、本当に嬉しくなるとああなるって」

みつ「失うことに慣れちゃったってわけね。 …ちょっとかわいそうなことしたかな…」

ジュン「面白いからもうすこし見てましょうよ」



水銀燈「(まだなのぉ…? ジュン… みつ…)」
370 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:28:28.96 ID:QJHFi0o0
水銀燈「(もう、みつったら…なんであんなに大喜びで薦めてきたのに、簡単にあきらめちゃうのよぉ)」

みつ「…」

水銀燈「(ジュンもジュンよぉ。 もう少し、気を利かせてくれたっていいのにぃ…)」

ジュン「…」

水銀燈「(…違うわね、悪いのは…わたし。 素直になれなかったわたし…)」

ジュン「…あ、涙目になってきた…」

水銀燈「(わたしっていつもそう… なんでこんな時に限って素直になれないのよぉ)」

みつ「…ちょっとやりすぎたかな、そろそろ…」

ガチャン

水銀燈「! な、何よぉ…」
371 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:29:51.39 ID:QJHFi0o0
みつ「…銀ちゃん、ごめんね」

ジュン「とりあえず呼び戻してきたよ」

みつ「嫌なのはわかってるんだけど… どうしても、ダメ?」

水銀燈「…」

みつ「一生のお願い。 …ね?」

ジュン「水銀燈、ボクからも頼むよ。みっちゃんさんにはいろいろお世話になってるから…」

水銀燈「ふ、ふんっ。 しょうがないわねえ、一回だけよぉ?」

みつ「…ありがとうね。 じゃあ早速だけど、これに着替えてくれる?」

水銀燈「まったくもう。すぐに済ませるのよぉ」 ルンルン♪



ジュン「(スキップしてる水銀燈なんて初めて見た…)」
372 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:32:57.08 ID:QJHFi0o0
のり「ただいまー」

ジュン「おかえり、晩御飯できてるよ」

水銀燈「おかえりなさぁい」フリフリ

のり「?! 何それ、エプロンドレス?! きゃー! かわいいっ!! どうしたの?!」

水銀燈「ふふぅん。 みつがねぇ、どうしてももらってほしいっていうもんだからねぇ」フリフリ

のり「みっちゃんさんが?」

水銀燈「えぇ。 …まぁ迷惑なんだけれど、掃除もしてもらったことだし、仕方なくねぇ」クルクル

のり「…ふーん」ニヤニヤ

ジュン「(…わかりやすいよなぁ)さ、食べよ食べよ」



みつ「おじゃましてまーす」

柴崎「おお、お帰りなさい」

マツ「おつかれさま」

のり「…みなさん、今日はほんとうにありがとうございました」

みつ「そりゃ、銀ちゃんのお願いだもの! 頼んでくれて嬉しかったわ♪」

水銀燈「ふふっ、ありがとうねぇ」

のり「(…ありがとね、銀ちゃん)」
373 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:36:05.50 ID:QJHFi0o0
【翌日】

のり「それじゃ、いってきまーす」

ジュン「いってらっしゃい」

水銀燈「ふあぁ…いってらっしゃぁい(あの子ったら、昨日も寝かせてくれなかった…)」

ジュン「…大丈夫? また、例の夢?」

水銀燈「ええ… 悪いけど、今日は一人でやっててくれる?」

ジュン「うん。 ゆっくり休んでてよ」

水銀燈「ありがとうねぇ」



(マツ「いなくなってから構おうとするから大変なのよ。いなくなる前から構ってあげなくちゃね」)



水銀燈「(いなくなる前に、ねぇ)」サワサワ



カチン カチン カチン

ジュン「やっ、とっ、せっ!」

カチン カチン カチン

…♪London Bridge is falling down,

ジュン「…?」

…Falling down, Falling down.

ジュン「…歌??」
374 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:37:36.69 ID:QJHFi0o0
水銀燈「…♪London Bridge is falling down, My fair lady.」サスサス

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「…やだ、見てたのぉ? サボっちゃダメよぉ」

ジュン「おなかのみんなに、歌ってあげてたの?」

水銀燈「えぇ。 もう、恥ずかしいわねぇ」

ジュン「ううん。 もっと歌ってよ」

水銀燈「えっ?」

ジュン「ボクも聞きたい」

水銀燈「な、なに言ってるのよぉ!」

ジュン「お願い」

水銀燈「…しょ、しょうがないわねぇ」



…♪London Bridge is falling down,Falling down, Falling down…



ジュン「…♪ロンドン橋落ちた、さあどうしよう」
375 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:38:39.45 ID:QJHFi0o0
水銀燈「…日本語だと、そういう歌詞なの?」

ジュン「うん。子供のころ、歌いながら遊んだ。…こう、ふたりで橋を作って…」

水銀燈「ふふ、わたしたちもしたわ。下をくぐって歩くのね」

ジュン「歌が終わると、橋が落ちるんだ。父さんと母さんが、いつも橋をやってくれていた」

水銀燈「わたしたちは、姉妹ではいちばん背の高いわたしとお父様が橋役をよくしていたわ」

ジュン「橋が落ちたら下にいる子は負けなんだけど、抱いてもらえるのが嬉しくて…」

水銀燈「ふふっ、わかるわ。わざと遅く歩いたりするの」

ジュン「あと、たまにボクが橋をやったりするんだけど…」

水銀燈「そうそう。金糸雀と雛苺が橋をやったときなんかもう大変」

ジュン「…ローゼン、くぐれたの?」

水銀燈「無理よぉ。 あのふたり、わざとくぐらせないようにしてお父様に抱きつきっぱなし」

ジュン「ははっ、ボクがのりとやってたのと一緒だ」

水銀燈「まぁ。 …ふふふふっ」



ジュン「…そうだ、ちょっと待ってて」パタパタパタ
376 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 00:50:24.41 ID:QJHFi0o0
ジュン「持ってきたよ」

水銀燈「…絵本?」

ジュン「うん、雛苺に読んであげたことがあるんだ」

水銀燈「ふふっ。 …じゃあ、ジュン。あなたが読んで」

ジュン「…ボクが?」

水銀燈「ええ。 きっとみんな、喜ぶわ」

ジュン「…うん、それじゃ…『100万年も しなない ねこが いました』」

水銀燈「…」ナデ ナデ

ジュン「『100万回もしんで、100万回も生きたのです。りっぱなとらねこでした』」

水銀燈「(…怖い)」ナデ ナデ

ジュン「『100万人のひとが、そのねこをかわいがり、100万人のひとが、そのねこがしんだときなきました』」

水銀燈「(…こんなにも、静かで満たされた時間を過ごしてしまったら、わたし…)」

ジュン「『ねこは一回もなきませんでした。 あるときねこは…』」

水銀燈「(わたし…もう二度と戦えないかもしれない。 怖いよ…)」




水銀燈「(ああ、この時間が、永遠に続いてくれたなら…)」
377 :1 [sage]:2009/04/04(土) 00:55:05.70 ID:PkTjfYM0
これで中断。続きは明日夜。
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/04(土) 00:58:17.04 ID:LS4/LUEo
おつつ

怯えてる銀ちゃんかわいいよー
いいよーすばらしいよー
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/04(土) 01:49:23.36 ID:TIYl3IEo
乙乙
380 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 06:40:08.23 ID:W3yGvDM0
>>378
どもっす〜
ここは力入りましたw

>>379
支援どもっす〜
381 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 22:52:17.12 ID:cBaIAQ60
再開します〜
382 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 22:54:06.10 ID:cBaIAQ60
【その夜】

(ふふ、みんな、よく寝てる…)

…オカアサマ

(…あら、雪華綺晶。きょうはここにいたのね)

ネ、ダッコシテ

(ふふ、はいはい)

オカアサマ、ゴホン ヨンデクレル?

(いいわよ。 …何がいい?)

ハイ、コレ

(ふふっ、用意がいいわねぇ)



(…『100万年も しなない ねこが いました  りっぱな とらねこでした』)

ネ、オカアサマ

(なあに?)

オヒル ゴホンヨンデクレタカタ ダレ?

(…ジュンのこと?)

オカアサマノ イイヒト?

(なっ… そんなんじゃ… いえ、でも…)

ドナタ?

(…なんて説明したものかしらねぇ)
383 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 22:58:10.11 ID:cBaIAQ60
(愛人…ってわけにもいかないし…)

アイジンッテナニ?

(!? この子…心を読むのね…!)

??

(どうしよう…)

オカアサマ?

(えーい、もう面倒! …雪華綺晶、よく聞きなさい)

ハイ

(あの人はね、あなたのお父様よ)

??? オトウサマ?

(ええ、そう。 ジュンお父様)

??? オトウサマッテ イッパイイルノ?

(わたしたちを作ってくださったのは、偉大なローゼンお父様)

(そして、いまあなたに命を与えてくれているのが、ジュンお父様なの)

ソウナノ???

(そう。 どっちも、大切な人)

…ソウナンダ

(お父様の言うことをよく聞かなきゃダメよ)

ワカッタワ 

(そう、いい子ね) 

エヘヘ
384 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:01:05.81 ID:cBaIAQ60
ネエ オカアサマ キイテ

(なあに?)

…ワタシ ローゼンオトウサマノオイイツケ チャントマモッタノヨ

(…そうなの?)

ガンバッテ ガンバッテ マモッタノヨ

(…そう、よくがんばったわ)

ヒトリボッチデ ズットズット オリコウニシテタノヨ ダカラ ダカラ…

(わかってる、あなたはいい子よ。 …もうひとりにしない。 )

…ヤクソクヨ オカアサマ

(ええ。 あなたとわたしの大切なお約束ね)

エヘヘ ウレシイ…
385 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:24:44.90 ID:nALYLgo0
【翌朝】

水銀燈「…おはよぉ」

ジュン「おはよう」

(あなたのお父様よ)

ジュン「…大丈夫?」

水銀燈「…あっ、えーと… 大丈夫よぉ」モジモジ

ジュン「昨日は寝れた?」

水銀燈「…あんまり(結局、あれからずっと話しこんじゃったわぁ)」

ジュン「うーん。 一回、ちゃんと調べてみようか」

水銀燈「んー… でも、たぶんもう大丈夫よぉ」

ジュン「そうなのかい?」

水銀燈「大丈夫よ。 ねぇ?」サスサス

ジュン「???」

水銀燈「ふふ、今日もお歌歌ってあげるからねぇ」



水銀燈(お父様、か… 勢いで言っちゃったけど…)

水銀燈(ジュンは、どう思ってくれてるかしらねぇ)
386 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:28:31.46 ID:nALYLgo0
【2ヶ月目】

ジュン「いやぁっ!」ブンッ

巴「くっ!」ダンッ

水銀燈「一本、それまで!」

巴「あーん、負けちゃった… もう、ジュン君には勝てないかも」

ジュン「そんな…」

巴「さすがに組み合いになったら、男の子には勝てないよ」

ジュン「…巴のおかげだよ」

水銀燈「(ありがとうね巴。あなたのおかげで、ジュンは最低限の体と動きを得た)」

???(…)

水銀燈「(けれど… まだ、あなたたちは知らない)」

???(…ケヒヒ)

水銀燈「(実戦というものを、あなたたちは知らない)」

???(ヒヒヒ… あの膨らんだ腹… あの中だな…)



巴「水銀燈、どうかしたの?」

水銀燈「…なんでもないわ。お昼にしましょう」
387 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:29:56.68 ID:nALYLgo0
巴「それじゃ、わたしはこれで」

ジュン「いつもありがとう」

水銀燈「また来てねぇ」

バタン

ジュン「ボクらも一休みしようよ」

水銀燈「ええ。…ん」

チュウウウウ

ジュン「…おなか、だいぶ大きくなってきたね」

水銀燈「ふふ、恥ずかしいわぁ」

ジュン「そんなことないよ。 …すごく綺麗だよ」

水銀燈「んもう、何言ってるの…」

???(ククク…)

ジュン「水銀燈?」

水銀燈「…何でもないわぁ。 休憩が終わったら、勉強の時間よぉ」

ジュン「べ、勉強?」

水銀燈「ええそうよぉ。 筆記用具準備してねぇ」
388 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:31:42.97 ID:nALYLgo0
水銀燈「それじゃ、勉強開始よぉ」

ジュン「…ちぇ、これじゃ学校にいるのと変わんないよ」

水銀燈「ウダウダ言わない。さぁ、わたしが書くものをよく見てぇ」

ジュン「はいはい…」  

カリカリカリ…

ジュン「!」

水銀燈「お勉強中は静かにねぇ」

ジュン「あ… うん、わかった」

カリカリカリ

水銀燈「ねぇジュン。 今度、みつのところに行くんだって?」

ジュン「あ…あー、うん。 ドールドレスの見立てを手伝うんだ」

水銀燈「いつ行くのぉ?」

ジュン「きみの都合でいいよ」

水銀燈「わたしは家に残るわぁ。 なんだか、最近また疲れちゃって…」

ジュン「…そうなんだ。 じゃあ、今度の土曜日でいい?」

水銀燈「ええ。 お姉さまはその日は…」

ジュン「午前中だけ出かけるって。 お昼前にはもどるから大丈夫だよ」

水銀燈「そう。ゆっくり行ってくるといいわぁ」



???「ケケケケ… 土曜だな…」
389 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:33:22.96 ID:nALYLgo0
【土曜日】

ジュン「…それじゃ、行ってくるよ」

水銀燈「行ってらっしゃあい」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「…ほんとうに、気をつけてね」

水銀燈「ふふっ。 大丈夫よぉ」

ジュン「なるべく早く戻るよ」

水銀燈「戻るときには連絡してねぇ」

ガチャン

ジュン「お待たせしました、みっちゃんさん」

みつ「はーい。 それじゃ、レッツゴー!」

ブロロロロ

水銀燈「…行っちゃったわね」


???(ケヒヒヒヒ… 行ったな…)


水銀燈「さてと、それじゃちゃっちゃっと済ませちゃいましょう」

パタパタ

水銀燈「…『お客様』をおもてなしする準備をしなくちゃあ、ねぇ…」
390 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:47:23.11 ID:Km1rhpI0
【物置】

水銀燈(…ヤツは、たぶんすぐそこにいる。 わたしに勝てる相手だろうか)

ガチャガチャ

水銀燈(…いや、そもそもいまのわたしは、本当に戦えるんだろうか)

ゴソゴソ

水銀燈(アリスゲームを始めてから、こんなに長く戦いを離れたことなんてない)

カタン カチャン

水銀燈(…怖い。 わが身だけならまだしも、この子たちに何かあったら…)

コト

水銀燈「…考えてもしかたないわ。 やれることをやるだけ。 そう、やれるだけのことを」




ガッ!

水銀燈「…くっ」
391 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:50:18.90 ID:Km1rhpI0
みつ「ふんふーん♪ じゅんじゅんとおでかけってのも素敵ねー♪」

ジュン「…」

みつ「でも銀ちゃんをひとりにして、ほんとによかったの?」

ジュン「みっちゃんさん、そこのホームセンターで止めてくれませんか」

みつ「えっ? ここ? いいけど…」

ブルルルル キキッ

ジュン「みっちゃんさん、これからするボクの話を落ち着いて聞いてください…!」



ウィイイーーーン

水銀燈「ふん、ふん♪」

ピンポーン

水銀燈「…あら? お客様?? お掃除の途中なのに…」

カチッ

水銀燈「でも、わたしが応対するわけにもいかないし。どうしたものかしらねぇ」

パタパタパタ

水銀燈「…あれ? 誰もいない…?」
392 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:51:47.17 ID:Km1rhpI0
ガチャン

水銀燈「いたずらかしらぁ。 …? なにかしら、この箱…」

ゴソッ

水銀燈「中身は…人形? 趣味の悪い人形ねぇ」

ゴソゴソ

水銀燈「Goodguy-Doll? …アメリカ的センスって、どうにも肌に合わないわねぇ」

ガサッ

水銀燈「まぁ外に置きっぱなしにするのもあれだし、中に置いておきましょうか」

パタ パタ

水銀燈「それにしてもブサイクな人形ねぇ… 雛苺に見せてやったら一日笑ってるでしょうねぇ」



???(このアマ… あとで泣き面かかせてやる…)
393 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:53:23.96 ID:Km1rhpI0
水銀燈「ふう、重かった」

ゴトン

水銀燈「さて、お昼でも作りましょうか。ご飯余ってるから…チャーハンなんかいいわねぇ」

カチ ボッ

シャーーーー

水銀燈「♪ふん、ふん…」

シャワシャワシャワ

???「…」



ジュン「これと、これ。あとこれも…」

みつ「こ、これも買うの?!」

ジュン「水銀燈が、絶対必要だって…!」
394 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/04(土) 23:54:27.54 ID:Km1rhpI0
水銀燈「…♪London Bridge is falling down…」

シャワシャワシャワ

???「Hi, I'm Chucky.」

水銀燈「…?」カチッ

パタ パタ

水銀燈「誰か…いるの?」

???「 and I'm your friend to the end.」

水銀燈「…誰?」

パタ パタ

水銀燈「? 箱が… 開いてる?!」

???「Hidey-ho! Ha Ha Ha ! 」

シャッ!

水銀燈「う、上っ!?」

チャッキー「…ひははははははっ!!」

水銀燈「きゃああああああああっ!!」



バゴォン!!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/05(日) 00:02:54.54 ID:A9Eo9Oc0
チャッキー「ひげぇっ?!」 ドシャッ!

水銀燈「…なんて生娘みたいな悲鳴を、このわたしがあげるとでも思ったのぉ?」

チャッキー「このアマ…!(フライパンで俺を張り飛ばしやがった…!)」

水銀燈「あら、まだ元気なのねぇ。 …悪いことは言わないわぁ、動かないほうがいいわよぉ」

チャッキー「しゃあっ!」ガバッ!

水銀燈「…お馬鹿さんねぇ」

シュッドスッ!

チャッキー「うぎゃあ!!(な…包丁?!)」

水銀燈「もう一本いっとくぅ?(動きが見える… なんとかいけそうね)」

チャッキー「こ、この…!」

水銀燈「こっちにこないでねぇ。汚いからなるべく触りたくないのよぉ」

チャッキー「…ギギギギッ!」ズボッ!

水銀燈「(あら、引き抜いたわね… 痛みは感じていないの?)」

チャッキー「くたばりやがれぇぇぇっ!」

水銀燈「お断りよ」

ヒュッズカッ!!

チャッキー「ぎゃっ!?」

水銀燈「もう観念したらぁ?」

チャッキー「お…俺の腕がぁ!!(包丁ごと切り飛ばされて…!)」

水銀燈「返してもらうわねぇ。二本ないと、はなまるハンバーグが作れないのよぉ」
396 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:06:32.60 ID:A9Eo9Oc0
みつ「飛ばすわよぉ!」

ジュン「急いでください!!」

ブルルルッブロロロロ

ジュン「(水銀燈…無理はしないで!)」


【回想・前日晩】

ジュン「…ちぇ、これじゃ学校にいるのと変わんないよ」

水銀燈「ウダウダ言わない。さぁ、わたしが書くものをよく見てぇ」

ジュン「はいはい…」  

カリカリカリ…

水銀燈(ジュン、落ち着いて読みなさい。 わたし、今狙われてるみたい)

ジュン「!」

水銀燈「お勉強中は静かにねぇ」

ジュン「あ… うん、わかった」

カリカリカリ

ジュン(狙われてるって、誰に!?)

水銀燈(わからない。たぶん一人だと思うけど、ずっとこっちの様子を伺ってる)

水銀燈(わたしがひとりになるのを待ってるんだと思う)

ジュン(ど、どうしよう)

水銀燈(考えがあるわ。 誘い出しましょう)

ジュン(誘うって?)

水銀燈(適当な理由をつけて外出して、わたしを家にひとりにして)

ジュン(そんなことをしたら!)
397 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:08:36.11 ID:A9Eo9Oc0
水銀燈(もちろん、誘い出したら指輪で合図を送るから、すぐに戻ってくるのよ。はさみうちにするの)

ジュン(…はさみうちに…)

水銀燈(あなたにも頑張ってもらうわよ。覚悟を決めてね)

ジュン(…わかったよ)




みつ「合図は、もう来てるの?!」

ジュン「はい、さっきから指輪が熱くなってます!!」

みつ「よーし、赤信号なんてへっちゃらよー!!」

キキキキキ パパパパー

ジュン「うわわわわわっ!?」



チャッキー「さ、差し金ってなんだよ…?!」

水銀燈「とぼける気? …まぁいいわぁ」

シャリ シャリ

水銀燈「…あなたは傀儡? それとも生き人形?」

チャッキー「ど、どういう意味だ?」

水銀燈「わたしはいちおう自動人形だからよく知らないの。だから、確かめさせて」

シャリ シャリ

水銀燈「傀儡や生き人形って、どこまで解体すれば行動できなくなるのかって」

チャッキー「ひ…!」

バタン!

ジュン「水銀燈っ!」
398 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:10:22.68 ID:A9Eo9Oc0
水銀燈「ジュ…ジュン?!(ば、馬鹿っ! 声を上げたら…!!)」

チャッキー「(…チャンスか!?)」シュバッ!

水銀燈「そ、そっちに行くなっ!!」

シュッドスッ!

チャッキー「ぐがっ! …へへへへへ」

水銀燈「(?! し、しまった!)」

チャッキー「愛してるぜベイビー。 プレゼントありがとうよ」ズボッ

シュタタタタタタ

チャッキー「Hi, I'm Chucky ! Wanna play ? 」

ジュン「う、うわぁっ?! こ、このっ!」

シャッ ザシュッ!

ジュン「…え?」

チャッキー「へへへ、いいねぇこの感触」

ジュン「ち、血が…」ヘタッ

水銀燈「ジュ、ジュン!!」

チャッキー「おっと、動くんじゃねぇぞ」グイッ

水銀燈「く…」
399 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:12:47.80 ID:A9Eo9Oc0
チャッキー「へへへ… 人間のガキは、どこまで解体しても生きてられるんだろうな?」

ズルッ ズルッ 

ジュン「う… あぁ…」

水銀燈「(ジュン…しっかりして! そんなのかすり傷じゃない!)」

チャッキー「おっと、そこのレディも、ドアの後ろで変なこと考えるんじゃねーぞ?」

みつ「(く…)」

チャッキー「内臓ぶちまけるのにコンマ1秒もいらねえからな…」

水銀燈「…なにが望み?」

チャッキー「決まってるじゃねえか。てめえの腹の中の結晶よぉ」

ジュン「あ… う…(ダメだ、水銀燈… くそ、こ、声が出ない…)」

水銀燈「わかったわ。…その人には手を出さないで」

チャッキー「お前しだいだな。包丁をこっちに投げな」

シュッ カラン

チャッキー「ヒヒ、女は素直が一番だねぇ。こっちに来な。ゆっくりとな」
400 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:16:04.59 ID:A9Eo9Oc0
トン トン トン

チャッキー「そうだ、もっと近づけ」

水銀燈「…」

チャッキー「ほらよ」

ビリーーーーッ

水銀燈「!」

ジュン「(みっちゃんさんからもらった服が…!)」

チャッキー「この中に… ヒヒヒヒ…」

みつ「(水銀燈…!)」

チャッキー「それじゃ、遠慮なくかっさばいていただくとするか。…だが、その前に」

ガブッ!

水銀燈「くっ!」

ジュン「?!」

チャッキー「くひひ… 俺の腕をちょん切りやがった仕返しをさせてもらうぜ…!」
401 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:17:23.49 ID:A9Eo9Oc0
ミシ ミシ ミシ

水銀燈「く…!」

ジュン「す、水銀燈!!」

チャッキー「おっと動くなよ?」グイッ

ジュン「う…!」

水銀燈「ジュン、動かないで! わたしは、平気だから…」

ミシ ミシ ピシッ

チャッキー「ひひひ、お高くとまりやがって。 …腕を噛み砕かれても、すましていられるかね?」

ピシ ピシ ビキッッ

チャッキー「さあ、泣き顔おがんでやるぜ…!」

水銀燈「…やってごらんなさい。 泣くのは貴様よ…!」

チャッキー「いいねぇ、その強がり! さぁ、いい声だしな!!」

ジュン「水銀燈っ!!」

グシャバキッ!




チャッキー「ひぎゃああああああああ?!」
402 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:22:22.90 ID:A9Eo9Oc0
チャッキー「ひぎ、ひあ、ひがあ?!」

ジュン「くっ!」

バタバタバタ

ジュン「い、いったい何が…?!」

水銀燈「…わたしの腕はおいしかったぁ?」

チャッキー「ひ…ひが…がぁ!」

水銀燈「お父様が丹精こめてつくりあげた至高の芸術作品よ」

ジュン「(あの人形の… あの人形の口の中に?!)」

水銀燈「五寸釘を添えてみたんだけど、お口に合ったかしらねぇ」

チャッキー「ぐへっ… ぐへぐへぇっ!」

水銀燈「先端を割って折り曲げてあるからそう簡単には抜けないわよぉ。ゆっくり味わいなさい」

ジュン「(まさか… 腕の中に仕込んでたのか!?)」
403 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:28:19.24 ID:A9Eo9Oc0
チャッキー「ふがぁぁぁー!!(この、このアマぁぁぁ!!)」

ヒュンヒュンヒュンッ! 

ジュン「あ、危ないっ! 水銀燈!」

水銀燈「あらあら、まだ食べたりないいのぉ? それなら、どうぞ…」 スチャ

ジュン「(折れた自分の腕を?)」

水銀燈「召・し・上・が・れっ!!」

ドズ

チャッキー「ぐぼああああああっ!」

水銀燈「食事中は静かになさいよぉ」グリグリグリ

チャッキー「ぐぇああっ! ぎぃああっ!!」

水銀燈「…落ち着きがないから目から食べさせる羽目になるのよ」ズブッ

チャッキー「ぐぇぇ?!」



ジュン「(これが… これが、水銀燈の戦い…)」
404 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:31:51.30 ID:A9Eo9Oc0
チャッキー「ぐ…ひぎ…」ピクピク

水銀燈「…もう何も聞こうとは思わないわぁ。ジュン、みつ、買ってきたもの持ってきてくれる?」

ジュン「あ、ああ」

みつ「こ、これ?」ドサッ

水銀燈「…バラバラに解体するだけでは足りないのよ。粉々にして、さらに灰にしないとねぇ」

ジュン「え…」

水銀燈「こいつはたぶん『生き人形』なのよ。 そうしないと、何回でも復活するの」

ジュン「『生き人形』?」

水銀燈「人の魂…強い感情が宿った人形。 執念だったり憎悪だったりするんだけどね」

みつ「…こ、怖い」

水銀燈「だから、欠片も残らないくらいに処分しないと…」

ヨロッ

ジュン「す、水銀燈?」

水銀燈「く…っ(い、いったい…)」ヨロヨロ

チャッキー「が…が??」

みつ「いけない!」

水銀燈「うぅ…(意識が… だめ…)」

パタン
405 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:36:09.72 ID:A9Eo9Oc0
みつ「銀ちゃん!!」

チャッキー「ぐががががっ!」

ビュンバキッ!

チャッキー「ぐべっ?!」

ジュン「こ、このぉっ!」ボグッ!

チャッキー「ぐぼっ! ぶばっ!!」

ジュン「壊れろ、壊れろぉぉぉ!」ボグ ベギ

チャッキー「が…が… がぁぁぁっ!!(邪魔するな、失せろ!)」

ドゴッ!

ジュン「うあっ!」

みつ「じゅ、じゅんじゅん!!」

チャッキー「ぐべ… ぶえ…(このアマ… 食ってやる、食ってやるっ!!)」

ジュン「や、やめろおおおおっ!!」

チャッキー「ぐがわぁっ!!」



ザシュッ!!
406 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:47:24.86 ID:A9Eo9Oc0
みつ「あ… あれ?」

ジュン「な、なんだ? あの人形…(背中からなにか生えてる…?)」

チャッキー「うっがっがっが…?!(なぜだ?! なぜ動けない?!) 」

ジュン「あれは、あれはまさか!」



ヨクモ



チャッキー「(な?! 誰だ!!)」



ヨクモ オカアサマト オトウサマヲ



チャッキー「(は…腹の中?!)」



ユルサナイ オマエナンカ


チャッキー「ひ? …ひいぃあぁ?!」ズワァァァァァ!

ジュン「あの白い茨が…!!」

みつ「水銀燈のおなかから!」



オマエナンカ キエテナクナレ



チャッキー「ひぎいあぁぁあぁぁぁあぁぁ!!!」

ミシミシゴキゴキグシャッムシッメシャッ
407 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 00:47:53.32 ID:A9Eo9Oc0
今日はここまで。再開は明日のいつか。
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/05(日) 00:49:34.20 ID:1So8mBAo
おつ
きらきーパネェ

きらきーにお父様と呼ばれて甘えられたい
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/05(日) 00:50:00.76 ID:og6tIhoo
乙!
410 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 01:12:29.94 ID:p6CbdJg0
>>408
どもっす〜
白薔薇は今後、いろいろと大活躍する予定です。

>>409
迅速乙どもです〜♪
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/05(日) 05:07:25.47 ID:DtFOauAo
きらきーは俺の娘なんだ
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/05(日) 09:33:27.92 ID:uyJBepgo
おつおつ
413 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [sage]:2009/04/05(日) 10:04:39.82 ID:DF8Yokc0
>>411
はじめましてお義父さん(カエレ

>>412
2乙どもです。再開は今夜10時くらいにやれれば…
414 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 22:10:44.02 ID:DBmEosc0
再開します〜
415 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 22:12:45.12 ID:DBmEosc0
みつ「な、何が起こったの…?」

ジュン「…わからない、だけど…」

チャッキー「…ひ…ひ…」ヒクヒク

ジュン「とどめを刺さないと…」ガチャッ

チャッキー「ひ…ひ…」

ブン グシャッ

チャッキー「ひぐ」



ジュン「…ハンマーとノミで粉々にして、焼却炉で焼いてしまわないと」

みつ「私がやるわ。…じゅんじゅんは、銀ちゃんを治してあげて」

ジュン「…はい」
416 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 22:24:33.03 ID:DBmEosc0
水銀燈「…ん」ムクッ

ガシャッ

水銀燈「(わたしの腕… うっ)」 ズキッ

ヨロ ヨロ

ジュン「…水銀燈? 水銀燈…」

水銀燈「ここにいるわ」

ジュン「…よかった、起きられるのか」

水銀燈「…あいつは?」

ジュン「…覚えて、ないのか?」

水銀燈「何を?」

ジュン「気を失ったきみのおなかから出てきた白い茨が、あいつをバラバラにしたんだ」

水銀燈「白い…茨…」サスッ

ジュン「…詳しいことは後で聞くよ。あいつはいま、みっちゃんさんが処分してるところ」

水銀燈「徹底的に粉々にするよう言った?」

ジュン「うん、その上で焼くようにも。 …腕、治さないと」

水銀燈「…頼むわ」



ガス ガス ガス

みつ「ううう… 怖いよ怖いよ…」
417 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 22:28:41.26 ID:DBmEosc0
水銀燈「…うっ」

ジュン「い、痛かった?」

水銀燈「平気よ」

ジュン「(…真紅の時と違って折り砕かれてるから、そう簡単には治せそうにないよ…)」

水銀燈「…ジュン」

ジュン「な… 何?」

水銀燈「あなたが戦いたいと言ってきたときに、わたしが最初に言ったこと覚えてる?」

ジュン「…うん」

(「自分の身を守ることだけ考えて」)

水銀燈「守れなかったわね」

ジュン「え…」

水銀燈「わたしの名を呼ぶくらいなら、後ろからやつを不意打ちして欲しかった」

ジュン「…」

水銀燈「結果としてだけど、わたしひとりでやったほうがまだ楽だったわ」

ジュン「う…」

水銀燈「ねぇ、ジュン」

ギシッ

水銀燈「もう一度聞くけど、もうやめにしない?」

ジュン「…えっ?」
418 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/05(日) 22:36:04.30 ID:DBmEosc0
水銀燈「あなたには、このマエストロ級の指先がある。戦ってもらわなくても、十分助けてもらえるわ」

ジュン「ぼ、ぼくは!」

水銀燈「がんばってくれるのは嬉しいけど、やっぱりあなたは戦いを知らない。優しくて甘い」

ジュン「そ、そんな…」

水銀燈「無理に戦おうとするより、それが生きるようなことをすればいいんじゃない?」

ジュン「…とりあえず、応急処置はしたよ(水銀燈… ボクは、ボクはっ…!!)」

水銀燈「ありがとう。 …仕上げをしなくちゃ、ね」

ジュン「仕上げ?」

水銀燈「ええ、出かけてくるわ。…わたしの言ったこと、考えてね」

ジュン「…」

バタン

ジュン「…うぅ…」ヘタリ

(水銀燈「戦いを教えるなんてお断りよ。 足手まといになるから」)

ジュン「くっ…うう…あぁぁ… ボクは、ボクは…!」
419 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:37:46.33 ID:DBmEosc0
のり「ただいまー… あれ?」

シーン

のり「靴がいっぱい… 誰?」

トン トン トン

ガチャッ

のり「銀ちゃん? …あら? えっ!?」

みつ「…おかえり、のりちゃん」

のり「な、なに?! どうしたの、このお部屋!」

水銀燈「わたしが説明するわ」

のり「ぎ…銀ちゃん!! 腕…!!」

水銀燈「みつさん、灰を集めて冷やしておいて」

みつ「…わかったわ」

水銀燈「なるべく広い場所でばらまくから…」
420 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:45:11.42 ID:DBmEosc0
のり「そ、そうだったの…」

水銀燈「ごめんなさい、黙っていて」

のり「…いいえ…」

水銀燈「…ジュンにも、ひどいことをしたわ」

のり「ひどいこと?」

水銀燈「ジュンは以前言っていた。『ボクだって男なんだ』って」

のり「…うん」

水銀燈「なら『守ろうとした者に守られ、さらに情けをかけられ気遣われる』なんてことには耐えられないはず」

のり「…」

水銀燈「ジュンはきっと、いっそ殴られ罵倒されたほうがずっと楽だと思ってるでしょうね」

のり「銀ちゃん…」

水銀燈「…けれど本気で戦うというのなら、そんな事だって乗り越えなくてはいけないもの」

のり「…」

水銀燈「それは生き人形なんかよりもよほど手ごわい相手。今度こそ勇気を振り絞って立ち向かってもらわないとね」

のり「…そうだよね」

水銀燈「それに、戦ってほしくないっていうのも半分は本音」

のり「…本音?」

水銀燈「ええ… あなたたち姉弟は、戦いを知らないままでもよかったんじゃないかって」
421 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:49:15.71 ID:DBmEosc0
のり「…そんな…」

水銀燈「戦いを知らずに育ったあなたたちのもとで、わたしの妹たちは安らいでいた」

のり「…」

水銀燈「あなたたちが妹たちの心のよりどころになってくれるなら、血みどろになるのはわたしが引き受けても…」

のり「…だ、ダメよ!」ガバッ!

水銀燈「!?」

のり「お願い、そんなこと言わないで…!」

水銀燈「の…のり?」

のり「だって、だって… あなたは『お母さん』になるんだもの!!」

水銀燈「…『お母さん』…」

のり「そ…そうよ!」ポロッ

水銀燈「…のり!?」

のり「…みんなの…お…お母さんが… そんな…そんなこと言っちゃ…」ポロポロ

水銀燈「…」

のり「えぐっ…ぜ、絶対、ダメだよう…ぐずっ」

水銀燈「…わかったわ。 ごめんなさい」

キュッ

水銀燈「…『お姉さま』」

のり「…ぐす、銀ちゃん…」
422 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:50:32.92 ID:DBmEosc0
みつ「…銀ちゃん、用意はできた?」

水銀燈「ええ。 近くに海か川はある?」

のり「…大丈夫なの?」

水銀燈「すぐ戻るわ、大丈夫」

みつ「それじゃ、案内するわ」

ブルルルルルル

のり「…」



トントン 

のり「…ジュン君」

シーン

のり「…ジュン君?」ガチャ

ジュン「…」

のり「…ケガ、大丈夫?」

ジュン「…かすり傷だよ」
423 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:51:08.86 ID:DBmEosc0
のり「…よかったわ」

ジュン「よかった?」

のり「みんな、大きなケガじゃなくて…」

ジュン「水銀燈は重症だよ」

のり「…それでも、みんな生きてて…」

ジュン「うるさい!!」

バァン!!

のり「ジュ…ジュン君?!」

ジュン「ボクは… ボクは… 水銀燈を守れなかったんだぞ?!」

ジュン「こんなかすり傷でへたりこんで…何もできなかった!!」

ジュン「『みんなを守る』って言っておきながらこのザマなんだ!!」

のり「ジュン君、落ち着いて! …自分を責めないで!」

ジュン「うるさいって言ってるだろ!! のりも水銀燈もなんで…」

のり「…ジュン君…?」

ジュン「なんでそんなに… ボクを責めないんだよ…!!」
424 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:56:25.36 ID:DBmEosc0
のり「…それは…!」

ジュン「そんなに優しくするってことは… そんなに頼りないってことかよ…!!」

のり「ち、違うよ! そうじゃないよ…!」

ジュン「違わないだろ!! ボクはヘタレだよ! 自分の言葉も守れない最低野郎だ!!」

のり「(ジュン君…違う、違う! 絶対違う!!)」

ジュン「役立たずは役立たずらしく、部屋の中でおとなしくしておけばよかったんだ!!」



(水銀燈「ジュンはきっと、いっそ殴られ罵倒されたほうがずっと楽だと思ってるでしょうね」)



パァン!

ジュン「!?」



のり「ジュン君の、ジュン君のバカっ!!」
425 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 22:58:11.11 ID:DBmEosc0
ジュン「のりが… ボクを殴った…?!」

のり「バカバカバカっ!! ジュン君のバカっ!」ポカポカポカ

ジュン「わ、わっぷ?!」

のり「あんなにがんばってたじゃないっ! 一生懸命だったじゃないっ!!」ポロポロ

ジュン「の、のり…?」

のり「なんで『もっと強くなって今度こそ守る』って言わないの!?」

ジュン「…無理だよ! ボクは…」

のり「そんなこと言わないでっ!! あんなに…あんなにがんばってたのに…すごかったのに…」

ジュン「…のり…」

のり「ぐずっ…えぐっ…ひっぐ」

ジュン「…」

のり「…うわあぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

ジュン「…姉さん…」
426 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 23:01:42.30 ID:DBmEosc0
【河川敷】

みつ「…この辺でいい?」

水銀燈「…ええ」

バタン

水銀燈「灰を貸して」

みつ「…はい」

パラ パラ パラ


―主よ


みつ「…銀ちゃん?」


―永遠の安息をかれらに与え 絶えざる光をかれらの上に照らしたまえ


みつ「…かれらの安らかに憩わんことを」

水銀燈「…アァメン」



みつ「…祈ったのは、復活させないための儀式か何か?」

水銀燈「そんな大げさなものじゃないわ。 …礼よ」

みつ「礼?」

水銀燈「…こいつのおかげで、わたしは戦う自信を持ったから」

みつ「戦う自信…」

水銀燈「ジュン達と暮らしていても、戦える自分にいつでも戻れるんだっていうね。…まぁ多少なまっていたけれど」

みつ「…銀ちゃん」
427 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/05(日) 23:02:59.72 ID:DBmEosc0
今日はここまで。ちょっと重めなので短めに…
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/05(日) 23:11:09.44 ID:pgwSaRAo
乙なのですっ
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/05(日) 23:13:52.30 ID:1So8mBAo
おつ
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/06(月) 00:46:23.94 ID:RyKKVboo
431 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [sage]:2009/04/06(月) 08:42:02.83 ID:EhlBqK60
>>428ー430
3乙入りましたー!(八嶋智人
どもっす〜
432 :1 [sage]:2009/04/06(月) 19:38:19.61 ID:rysNtpU0
再開は明日夜です〜
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/06(月) 23:49:43.07 ID:05VmGr2o
おつつ
434 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/07(火) 20:43:35.84 ID:G3F/hOY0
>>433
ありがとうございます〜
再開します。
435 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/07(火) 20:46:23.17 ID:G3F/hOY0
みつ「それじゃ、帰りましょう」

水銀燈「ええ…」

バタン ブルルルルル

水銀燈「みつ…」

みつ「なあに?」

水銀燈「ごめんなさい」

みつ「…なに?」

水銀燈「…服」

みつ「え?」

水銀燈「せっかく貰ったのに、破かれちゃった」

みつ「…いいのよ」

ブォォォォォ
436 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/07(火) 20:49:54.05 ID:G3F/hOY0
みつ「じゅんじゅんが直してくれるだろうし、よかったらまた持ってくるわ」

水銀燈「ありがとう。 …ちょっと眠らせて」

みつ「いいわよ、着いたら起こすから」

水銀燈「…ありがと…」

ブォォォォォ

みつ(おだやかな寝顔… たしか、翠星石は彼女のことをこう言っていた)

みつ(『冷酷非情な最凶ドール』と)

みつ(あの生き人形との戦いっぷりを見る限り、それはまさしくその通りなのだけれど)

ブロォォォォォ

みつ(柴崎夫婦に礼を尽くして接し、おなかの妹たちにやさしく語りかけ…)

みつ(綺麗な服を前にはしゃぎ、手にかけた敵の冥福を静かに祈る)

みつ「…おっと、いけない」

キキッ

みつ「起きなかったかな… よかった、よく寝てる」

水銀燈「…くー…」

みつ「…かわいい寝顔」

ブルルルル…
437 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/07(火) 20:58:12.11 ID:G3F/hOY0
みつ(その姿はむしろ、あの言葉にふさわしい …『強く気高く美しい、薔薇乙女の中で最もアリスに近い存在』)

みつ(貴女を最も憎んでいるはずの、真紅の言葉。『未完成品でなければ』という言葉がついてくるけれど)

パパー

みつ「あちゃ、またやっちゃった」

ブォン ブロロロロロ

みつ(水銀燈…どっちが本当の貴女なの?)

ブォォォォォォ

みつ(もしも… 普段のおだやかな姿が貴女の本質だとしたら)

みつ(戦いに挑むと冷酷非情になるのはもしかして…『そうでもしないと戦えないから』なの?)

みつ(だとしたら、なんて哀しいことだろうか)

ブルルルルル

みつ「…もうすぐ着くわね」

みつ(私には、貴女を戦いから遠ざける力も覚悟もない)

みつ(…なら、せめて戦いが終わった後くらいは…)

キキッ

水銀燈「ん…」

みつ「あ、銀ちゃん。 起きた? いま着いたよー」

438 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/07(火) 21:14:52.79 ID:XTS2al60
水銀燈「ありがとう。 今日はほんとうに、巻きこんでしまって…」

チッチッチッ

みつ「それは言わないヤ・ク・ソ・クよっ! 今度はちゃんと、本当に遊びに来てねー♪」

水銀燈「…いいの?」

みつ「あったり前よー! もちろん、じゅんじゅんやのりと一緒にね! いっぱいごちそう作って待ってるわよー!」

水銀燈「…金糸雀が言ってたわ。『みっちゃんの卵焼きは至高の一品かしら』って」

みつ「えっへん! その通りよー!」

水銀燈「…ぜひ、ごちそうになるわ。…『みっちゃん』」

みつ「もちろん服もいっぱい用意しとくわよ〜♪」

水銀燈「…えっ?」

みつ「また写真撮らせてね? 真紅ちゃんたちみたいにね♪」

水銀燈「あ…ふ、ふんっ! 余計なお世話よぉ!」

みつ「(…ごちそうよりも、服のほうが嬉しいみたいね…)」
439 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/07(火) 21:16:33.55 ID:XTS2al60
みつ「それじゃ、またね」

水銀燈「送ってくれてありがとうねぇ」

ブロロロロロ

水銀燈「…すっかり暗くなっちゃったわぁ」

ガチャン

水銀燈「ただいま」

シーン

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「…おかえり」

水銀燈「お姉様は?」

ジュン「…寝ちゃったよ(泣き疲れて…)」

水銀燈「そう… なんか食べる?」

ジュン「いや、もう食べたから」

水銀燈「そうなの… じゃ、お風呂もらって休むわね」

ジュン「…うん。 あ、水銀燈」

水銀燈「なあに?」

ジュン「傷口、濡らさないでね」

水銀燈「…わかったわ。シャワーだけ浴びるから」
440 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/07(火) 21:19:56.89 ID:XTS2al60
シャーーーー

水銀燈「(思ったよりも、落ちこんでないわねぇ…)」
 
キュッ

水銀燈「(案外たくましいのかしら。 それとも…)」

フキフキ

水銀燈「(お姉様が、何か言ってくれたのかしらねぇ)」

ジュン「…おやすみ、水銀燈」

水銀燈「お休み、ジュン」



【???】

(…みんな、よく寝てる。 無事でよかった…)



(…雪華綺晶? あの子は…どこ?)



(どこに行ったの? どこ?)
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/07(火) 22:00:38.16 ID:uYZv1vAo
まだー?
442 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:36:10.87 ID:z.iEzzw0
落ちて寝てたorz
443 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:37:35.45 ID:z.iEzzw0


(おかしい… どこにもいない。 いつもならすぐに見つかるのに…)



(…どこ?! どこなの…! まさか、まさか…!)

…オ…カア…サマ…?

(! ここにいたのね。 よかった、よかったわ…)キュッ

オカアサマ…

(…いったい、どうしたの?)

オケガ…ダイジョウブ?

(これ? …大丈夫よ。 ただのかすり傷よ)

ヨカッタ…

(…雪華綺晶? 雪華綺晶!!)
444 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:38:47.91 ID:z.iEzzw0
ダイジョウブ… トッテモネムタイダケ…

(ああ、雪華綺晶… ごめんね、お母さんのせいで…)

チガウノ… オカアサマノセイジャナイ…

(ごめんなさい、ごめんなさい…)

オカアサマ… ナ…カ…ナイ…デ…

(…雪華綺晶!)






…クゥ…スゥ…


(…よかった、ほんとうに眠っただけみたい…)

クゥ…クゥ…

(みんなといっしょに、おねむしましょうね…)

ン… スゥ…
445 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:45:47.25 ID:z.iEzzw0
【翌朝 4:30】

ジュン「…」

(水銀燈「がんばってくれるのは嬉しいけど、やっぱりあなたは戦いを知らない」)

ジュン「…」ゴロン

(のり「なんで『もっと強くなって今度こそ守る』って言わないの!?」)

ジュン「(…眠れない)」ゴソゴソ

(巴「考えきれないことがあると、ここに来ることにしてるんだ」)

ジュン「…」



ガバ

ソロ ソロ

ジュン「…」

ソロ ソロ

のり「ん…」

パタン

のり「…ジュン君??」
446 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:50:14.38 ID:z.iEzzw0
ジュン「いちに、いちに…」ワッセ ワッセ

(巴「考えても考えても、どうにもならなくなったとき。思いっきり走って、朝日を浴びるの」)

ジュン「…うう、寒い」ワッセ ワッセ

( 巴「そうすると、頭の中を一回リセットできるような気がして」)

ジュン「…」ワッセ ワッセ

(巴「もう一回、なんとかしてみようかなって気持ちになれる」)

ジュン「(…なんとか、しなくちゃ)」ワッセ ワッセ



ジュン「ふぅ、ふぅ… 間に合った」

ツンツン

ジュン「ん?」

巴「おはよう、ジュン君」
447 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:51:37.77 ID:z.iEzzw0
ジュン「あ、来てたんだ… また、何かあったの?」

巴「ううん。 最近、毎日走ってるんだ。もう一回、体を鍛えなおそうと思って」

ジュン「そうなんだ」

巴「ジュン君こそ、なにかあったの?」

ジュン「…何も」

巴「…また、内緒なの?」

ジュン「…」

巴「はい」

ジュン「…缶コーヒー?」

巴「いつかのお返し」
448 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:53:47.63 ID:z.iEzzw0
ジュン「サンキュ」カシュ

巴「ふふ」カシュッ

コク コク コク

ジュン「…甘い」

巴「エネルギーになるよ」

ジュン「エネルギー?」

巴「うん」

コク コク コク

巴「眠るのも食べるのも考えるのも、みんなエネルギー使うでしょ?」

ジュン「…ああ」

巴「だから、とりあえず甘いものとっておけば元気だけは出るよ」

ジュン「…太らない?」

巴「だから走るの!」

クスクス

ジュン「へへ、巴が怒った」

巴「…ふふ、ジュン君が笑った」
449 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 00:58:33.83 ID:z.iEzzw0
巴「あ… 見て」

ジュン「ん? …あ、日の出」

巴「…綺麗」

ジュン「ああ…」

チュン チュン  チチチチ

巴「…リセットできた?」

ジュン「ああ。 …なあ、巴」

巴「なあに?」

ジュン「頭をリセットしたあとって、何すればいいんだろ」

巴「リセットしたあと?」

ジュン「…うん」

巴「うーん。…私だったら、とりあえず食べて動く」
450 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:07:36.09 ID:z.iEzzw0
ジュン「食べて動く?」

巴「うん。 おなかすいてじっとしてたら、元気なんて出ないから」

イチニ イチニ

巴「ちょっと無理にでも食べて、大事なこと、できることからひとつひとつ片付ける」

ジュン「…そっか」

巴「ジュン君、背中貸して」

ジュン「ん」ピトッ

巴「そう、腕組んで… ぐーっと、持ち上げてくれる?」

ジュン「了解」ウンショ

グイッ

巴「…いたた」

ジュン「なまってるじゃん」

巴「言ったわね? じゃあ降ろして。今度はこっちの番」

ジュン「重くない?」

巴「平気だよ」ウンショ 

グイ-ッ

ジュン「いてててて!」

巴「ふふふふっ」
451 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:12:41.25 ID:z.iEzzw0
巴「じゃ、私はそろそろ行くね」

ジュン「うん。…巴、ありがとう」

巴「ふふ、何にもしてないよ」

ジュン「でも、ありがとう」

巴「…ジュン君、今は内緒でいいけどそのうち話してね。 水銀燈のことも…」

ジュン「…ああ。必ず話すよ(話さなくちゃいけないから…)」

巴「それじゃ、ね」

タッ タッ タッ

巴「ファイト、ジュン君」

ジュン「…ああ」 



(ジュン「大事なこと、できることから…」)
452 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:13:37.83 ID:z.iEzzw0
ガチャ

ジュン「ただいま」

のり「…あ、おかえり。どこ行ってたの?」

ジュン「ちょっと走ってきた。 ご飯食べるよ」

のり「そう…」



水銀燈「あら、おかえりぃ」

ジュン「ただいま」モグモグパクパク

水銀燈「…って、行儀悪いわねぇ」

ジュン「ごべん」ゴクゴクゴク

のり「…ジュン君?」

ジュン「ぷぅ、ごちそうさま」

水銀燈「(どうしたのかしら)」
453 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:14:33.77 ID:z.iEzzw0
ジュン「(まずは、しっかり食べておこう。 食欲ないけど…)」

(巴「眠るのも食べるのも考えるのも、みんなエネルギー使うでしょ?」 )

ジュン「(そして、今一番大事なことは…)

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「水銀燈」

水銀燈「な、なぁに?」

ジュン「…腕、見せてもらっていい?」

水銀燈「え… あ、いいわよぉ。 お願い」

ジュン「のり、片付け頼むよ」

のり「あ、はーい」

ジュン「(いまは、できることをひとつひとつやるだけ。 それしかないんだ)」



のり「…」

カチャンカチャン

のり「…よかった」ポロッ
454 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:16:55.47 ID:z.iEzzw0
クイ クイ

ジュン「痛くない?」

水銀燈「…大丈夫よ」

ジュン「…痛いんだね」

シュッ シュッ

ジュン「ちょっと、ごめん」

水銀燈「え? …んっ」

チュウウウウ

水銀燈「ん…」

ジュン「ボクのエネルギーは結晶の再生に向けられるから、きみの傷の治療にはあまり効果がないけど…」

水銀燈「…でも、多少は痛みがやわらぐわぁ」

ジュン「本格的な修復には、めぐの力を借りないといけない」

水銀燈「そうね」

クイッ 

ジュン「水銀燈、これ…」

水銀燈「え… 釘のこと?」

ジュン「自分で仕込んだの?」

水銀燈「そうよ、両手足の4箇所に。武器を失ったときの用心にね…」

ジュン「…抜くよ。傷の治りが遅くなるから」

水銀燈「…」

ジュン「そのかわり、ボクが武器を作るから」
455 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:29:10.81 ID:k17fCco0
水銀燈「あなたが?」

ジュン「…自分の武器も、作るつもりなんだ」

水銀燈「…」

ジュン「いつまでもバットじゃ心もとないから。 …リクエストはある?」

水銀燈「…どんなものでも、一通り扱える自信はあるわ」

ジュン「なるべく軽くてかさばらないのを選ぶよ」

水銀燈「あと、射程が長いほうがいいわ。おなかがこうだから、あまり接近戦はしたくない」

ジュン「了解」

シュルシュル キュッ

ジュン「とりあえず、終わったよ」

水銀燈「…ありがとう」



水銀燈「(2〜3日は、へこんでると思ったんだけれどねぇ…)」
456 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:32:17.81 ID:k17fCco0
のり「それじゃ、行ってくるねー」

ジュン「行ってらっしゃーい」

バタン

ジュン「じゃ、早速とりかかるよ」

水銀燈「…ああ、まったくもう!」

ジュン「え?」

水銀燈「しょうがないわねぇ。 …ジュン」

ジュン「な、なあに?」

水銀燈「わたしの荷物を持ってきてくれる?」

ジュン「あ、ああ」
457 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:33:56.81 ID:k17fCco0
ヨイショ ヨイショ

ジュン「はい」

水銀燈「そこに置いて」カチャリ パタン

ゴソゴソ

水銀燈「…これと、これ」

ジュン「十字架と…本?」

水銀燈「あなたにあげるわ」

ジュン「なんなの?」チャリ

水銀燈「危ないわよ」

スッ

ジュン「す、水銀燈?」

水銀燈「十字架を握っている手に力をこめて。握力ではなく、生命力を」

ジュン「ど、どうやるの?」

水銀燈「いつもわたしに口でしてくれてる、あの感覚よ」

ジュン「え…(こ、こうか?)」

ブォン

ジュン「うわっ?!」

水銀燈「『ダモクレスの剣』よ。心して使いなさい」

ジュン「(十字架が…剣に…!)」
458 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:39:00.49 ID:k17fCco0
ジュン「な、なんで?」

水銀燈「それは人間専用の武器。わたしには使えない」

ジュン「いや、そうじゃなくて… 君、ボクに戦うのをやめないかって」

水銀燈「何よ、武器を用意するとか何とか言ってるくせに。どうせ、やめる気なんて無いんでしょう?」

ジュン「…」

水銀燈「あなたがその気なら、わたしも徹底的にやるから覚悟なさい」カチャリ

ジュン「(…錠前つきの本なんて初めて見るよ…)」

パラパラパラ

ジュン「…読めない。ドイツ語??」

水銀燈「これは、わたしの備忘録」

ペラッ

水銀燈「生まれてきてからいままで、覚えている限りすべてのことを綴ってある。 無論、戦いの記録も」

ジュン「え…」

水銀燈「今日から、肉体の鍛錬はあなたにまかせるから好きにやって」

パタン

水銀燈「わたしは、自身の数百年に及ぶ戦闘経験すべてをあなたに伝えるから」
459 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:44:20.69 ID:k17fCco0
ジュン「…え!」

水銀燈「生き人形から軍隊まで、ありとあらゆる相手との戦い方をね」

ジュン「い、いいのか?」

水銀燈「いいも悪いもないわ。こうなったらやってもらう」

ジュン「…」

水銀燈「わたしは、また襲われるかもしれない。 それに結晶の修復が完成したら…」

(ラプラスの魔「母体には多大な負担がかかるでしょう」)

水銀燈「無事でいられる保証なんて無い」 

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「だからもしわたしに万一があったら、あなたがあの子たちを導いてあげて」

ジュン「…ボクが…」

水銀燈「わたしたちがこの時代にいる間だけでいいから」
460 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:46:25.28 ID:k17fCco0
水銀燈「みんなを助けたい、って言ってたでしょう?」

ジュン「…うん」

水銀燈「なら、助けたあとのことも頼むわよ。甦らせてあとは知らない、じゃ困るわ」

ジュン「…」

水銀燈「怖気づいた?」

ジュン「違う。…その、ボクでいいの?」

水銀燈「いまさら何よぉ。 …『お父様』」

ジュン「おっ、お父様っ?!」

水銀燈「だってそうじゃない。 あなたはこの子たちの父親になるのよ?」

ジュン「…」

水銀燈「よろしく頼むわね?」

ジュン「…水銀燈、そこまで言うんなら」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「ボクに黙ってたことがあるだろう?」

水銀燈「!」
461 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:53:13.11 ID:k17fCco0
ジュン「目覚めてるんだね? 白薔薇が…」

水銀燈「…ええ、そうよ」

ジュン「なんで、ボクに言ってくれなかったんだ?」

水銀燈「…あなたは、この子のことを警戒してるんじゃないかと思って」

ジュン「そりゃそうだよ。みんなをあんな目にあわせたやつじゃないか」

水銀燈「それはそうだけど」クスッ

ジュン「…なに?」ムッ

水銀燈「わたしに人のことが言えると思う?」

ジュン「…あ」

水銀燈「あ、納得したわねぇ?」クスクス

ジュン「…ちぇ」

水銀燈「大丈夫よ。 …根拠はないけど、わかるから」

ジュン「なんでだよ」

水銀燈「だって…ねぇ?」サワサワ



水銀燈「わたしたち、つながってるのよ?」



ジュン「…まったく、もう(ボクも水銀燈のことは言えないしなぁ)」



水銀燈「…ジュン、内緒にしてたのは謝るわ。だから、この子のことも…」

ジュン「もういいよ。 …『お母さん』にはかなわないよ」

水銀燈「ふふっ。 よろしくねぇ、『お父様』」
462 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 01:54:08.89 ID:k17fCco0
今日はここまで。続きは明日。
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/08(水) 01:55:39.80 ID:01XkcToo
おつクレスの剣
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/08(水) 02:02:14.11 ID:NjHC7n6o
おつつ
465 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 09:31:42.87 ID:ndzrgIE0
>>463-464
どもクレスの剣(2点
ちょっと再開。
466 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 09:37:20.93 ID:ndzrgIE0
【???】

ゴォォォォ

???「…やはりな」

ゴ ゴ ゴ

???「最も恐れるべきは『御子』じゃわい」

ゴゴゴゴゴ…

???「他の姉妹は再生中身動きひとつ取れんのに、目覚めなおかつ力さえ使いよるとは」

ゴォォォォォ

???「これで『聖母』が覚醒し、『御子』と組むことになったら…」

ゴ ゴ ゴ ゴ

???「じゃが幸い『聖母』はいまだ目覚めず、かつ弱っておる。結晶の再生を待ってカタをつけるとしようかの」

ブシュウウウウ

???「『生命と精神の結晶』を完全な形でこの手にするためには、失策は許されん。慎重にならんとの…」

…ゴ ゴ ゴ ゴ
467 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 09:39:09.03 ID:ndzrgIE0
【翌週・有栖川大学病院】


バチィン!!!


めぐ「…あぁ、スッとした」

ジュン「…ごめん」ヒリヒリ

水銀燈「わたしはもういいのにねぇ」

めぐ「…私の気が済まなかったから。 傷、見せて」

シュル シュル

めぐ「言ってたほど、ひどくはないね」

水銀燈「ジュンのおかげよ」

ジュン「…ボクの『せい』だよ」

めぐ「いつまでも卑屈にならないで。もう、私の気も済んだから」

ジュン「…」

めぐ「水銀燈、指輪を…」

水銀燈「無理はしないでね」


パァア


めぐ「さ、ジュン君。今のうちに…」

ジュン「…ああ」カチャカチャ
468 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 09:42:49.52 ID:ndzrgIE0
カタン

ジュン「…とりあえず、いいと思う」

めぐ「…お疲れ様」

水銀燈「めぐ、大丈夫?」

めぐ「…ちょうどいい運動よ」

ジュン「ボク、ちょっと風に当たってくるよ」

ガチャン パタン

めぐ「…変わったね」

水銀燈「…わたし? それともジュン?」

めぐ「両方よ。…ね、ここ座って」

水銀燈「ええ」

ギシッ

めぐ「おなか、いい?」

水銀燈「ふふ、どうぞ」

ナデ ナデ
469 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 09:45:07.29 ID:ndzrgIE0
水銀燈「…大きくなったでしょう?」

めぐ「不思議ね」

ナデ ナデ

めぐ「あなたが私のところから去って、ジュン君のところで暮らして…」

水銀燈「…」

めぐ「もっと、死ぬほど悔しくなるかと思ってた」

ナデ ナデ

めぐ「…少なくとも、こんなに幸せな気持ちになるとは思ってなかった」

水銀燈「…幸せなの?」

めぐ「水銀燈。 …あなた、いま幸せなんでしょう?」
470 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 09:48:57.70 ID:ndzrgIE0
水銀燈「…わかる?」ニコ

めぐ「あら、隠す気もないのね。 …妬けちゃう、見ればわかるわ」

ナデ ナデ

めぐ「なんか、いい夫婦になっちゃってるんだもの」

水銀燈「…そうかしら」

めぐ「『あなた』『おまえ』って呼び合ってるんじゃないの?」

水銀燈「ま、まっさかぁ(まぁ似たようなもんだけど…)」

めぐ「ふふ。…一人娘をお嫁さんに出した親の気分」

キュッ

水銀燈「…めぐ」

めぐ「ねぇ、『予定日』なんてわかるの?」

水銀燈「ラプラスの魔が言ってたとおりなら、そろそろ来てもおかしくないんだけれど…」

(ラプラスの魔「期間は契約者の生命力によって差が出ますが… 短ければ3ヶ月、長ければ半年」)
471 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 18:32:43.19 ID:CjRd2as0
めぐ「あんまり長くてもいけないんだっけ」

水銀燈「そういう話だけど…」

(ラプラスの魔「これ以上長くなると、母体への負担が大きくなりすぎます」)

水銀燈「まぁ、ゆっくり構えることにするわ」

めぐ「ふふっ」

水銀燈「何よぉ」

めぐ「もっとずっと続いてほしい、なんて思ってるんじゃないの?」

水銀燈「…かもねぇ」サスサス

クスクス

めぐ「…妹たちに会えるといいね。もちろん、無事に7人そろって」

水銀燈「ええ。…頑張るわ」
472 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 18:40:28.47 ID:CjRd2as0
【3ヶ月目】

ジュン「…ん」

チュウウウウ

水銀燈「…ふぅ、ありがと」

ジュン「おなか、変わらない?」

水銀燈「大丈夫よぉ」

ジュン「いや、そうじゃなくて。 そろそろ…」

水銀燈「うーん… まだみたいね」

ジュン「…やっぱり、ボクのせいかな」

ペチッ

水銀燈「いつまでもウジウジしてるんじゃないの。さ、勉強勉強」



水銀燈「…このとき、総司令官は左翼の一隊を見捨てる決断を下した。より深く敵を誘い、殲滅するために…」

カリカリカリ

ジュン「ねぇ、水銀燈。 …戦い方を学ぶのに、戦争の勉強なんてする必要あるの?」
473 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 19:40:04.63 ID:PbuWpWo0
水銀燈「当たり前じゃない。 戦うということを考えたら、最終的にはみんなここに行き着くのよ」

ジュン「そうなのか?」

水銀燈「当然よ」

カリカリカリ

水銀燈「…あなた、どっちかといえばいじめられっ子よね」

ジュン「いきなりなんだよ」

水銀燈「いじめられないために、いろいろ工夫したでしょう?」

ジュン「…あんまり思い出したくない」

水銀燈「ケンカが強かったらいじめられないと思う?」

ジュン「え? うーん…」

水銀燈「実際には、正面からかかってくるやつが少なくなるだけよ」

カリカリカリ

水銀燈「それも含めて被害を小さくしようと思ったら、駆け引きが重要になる」

ジュン「…わかるような気がする」

水銀燈「味方を増やしたり、うまく言いくるめたり、争った後にうまく仲直りしたりね」

ジュン「(…要領のいいやつがいたよなぁ…)」
474 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 20:09:59.44 ID:PbuWpWo0
水銀燈「そういうことも含めて『戦う』ってことを考えたら、結局は戦争を学ぶことになるはずよ」

ジュン「きみたちは、実際に戦争に巻きこまれたこともあるのか?」

水銀燈「巻きこまれたこともあるし、軍隊に狙われたこともある。お父様の技術を狙う人間はどの時代どの国にもいた」

ジュン「そういうときはどうするんだい?」

水銀燈「ひたすら逃げてたわ」

ジュン「…そうなのか?」

水銀燈「軍を相手に下手に事を構えれば『国の敵』…ひいては『人類の敵』と容易にみなされてしまうもの」

カリカリカリ

水銀燈「だからひたすら逃げてあきらめてくれるのを待ったり、時間を稼いで後方からかく乱したり…」

ジュン「そんなことまでしてたんだ。きみは、ほんとうに何でもできるんだな…」

水銀燈「やってたのはわたしじゃないわ」

ジュン「え?」

水銀燈「こういう駆け引きは、ほとんど金糸雀が一手に引き受けていた」
475 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/08(水) 20:42:30.40 ID:SoPMUCU0
ジュン「…あのカナが?」

水銀燈「わたしたちが姉妹で組んで外の敵と戦うとき、指揮はあの子が執ることになってる」

ジュン「…あのドジっ子が…?」

水銀燈「あの子が普段ドジをよく踏むのは、考えることが多すぎるからよ」

カリカリカリ

水銀燈「単純なことでも全力で考えてしまう。…公道をF1マシンで走らせるようなもの」

ジュン「…そうなんだ」

水銀燈「でも、いざ大勢力と事を構えることになったらあの子ほど頼りになる存在はいない」

ジュン「(…頼れるカナってのが想像できない…)」

水銀燈「政治的な駆け引き、戦闘の指揮、実際の戦力としてもね」

ジュン「戦力? 確かにカナは強いけど、きみや真紅のほうが…」

水銀燈「あなたはアリスゲームでの戦いしか見てないからそう思うのよ」
476 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/08(水) 20:48:39.73 ID:SoPMUCU0
ジュン「えっ?」

水銀燈「あの子はもともと、正面きって戦うには向いていないのよ」

カリカリカリ

水銀燈「味方に守ってもらって、後ろから援護してこそあの子の真価は発揮される」

ジュン「…真価?」

水銀燈「薔薇乙女の中で、遠距離戦最強を誇る火力」

パタン

水銀燈「あの子がその気になれば、町ひとつ消し飛ばすことなんてたやすい」

ジュン「!!」

水銀燈「それをするためにはわたしたちの力も必要だし、そもそもあの子はそういうことを好まないけれどね」 

カチャリ

水銀燈「いえ…そういう子だから、お父様はあれだけの力を持たせたのかもしれない」

ジュン「…すごい…」

水銀燈「あの子は、薔薇乙女の切り札的存在なの」

スック

水銀燈「わたしたち姉妹が一人も欠けることなく生き延びてこれたのは彼女の力によるところが大きいのよ」
477 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/08(水) 21:42:38.59 ID:XLf8u6w0
ジュン「きみたちって、すごいんだな…」

水銀燈「さ、休憩しましょう」

ジュン「ああ、紅茶淹れるよ」



コク コク カタン

水銀燈「…まあまあね」

ジュン「真紅に鍛えられたから。 …ねえ、さっきの話の続き」

水銀燈「続き?」

ジュン「きみたち姉妹の話。 ほかのみんなには向き不向きってあるのかい?」 

コク コク カチャン

ジュン「…蒼星石が格闘向きだってのはわかるけど」

水銀燈「翠星石もそうよ」

ジュン「…翠星石も? 援護向きじゃないの?」

水銀燈「本来は、あのふたりは格闘向き。翠星石も戦い自体を好まないけど」

ジュン「…そうだったんだ」 
478 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/08(水) 22:11:25.43 ID:XLf8u6w0
水銀燈「あと、雛苺は近距離戦に優れている」

ジュン「近距離? 格闘とは違うのか?」

水銀燈「要するにパワーがあるってことよ。すばやい相手と戦うよりも大きな物を壊したり動かしたりするのが得意」

ジュン「ああなるほど、なんだか納得」

水銀燈「そのくせあの性格だから、力を持たせておくと危なっかしくてしょうがないのよねぇ」

ジュン「…それはすごく同意できる」

水銀燈「そして、わたしと真紅が全距離戦向け。どんな戦局にも対応できるよう造ってある」

ジュン「差とかはあるのかい?」

水銀燈「…」

ジュン「(あ、いけね。 まずいこと聞いたかな…)」

水銀燈「真紅のほうが完成度が高いわ」

ジュン「えっ?」
479 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 :2009/04/08(水) 22:21:36.03 ID:XLf8u6w0
水銀燈「全体的な能力が高い水準で完成されている」

ジュン「…でも、きみのほうが強そうだけど」

水銀燈「力だけならわたしのほうがある。でも、安定はしていない」

ジュン「…そうなんだ」

水銀燈「あの子は、お父様の最高傑作と言っても過言じゃない」

ジュン「…意外だな、きみが真紅のことをそう言うなんて」

水銀燈「『知彼知己百戰不殆』」

ジュン「???」

水銀燈「…わたしはアリスにはならなくてもいいのかもしれない。でも、真紅には勝ちたいのよ」

ジュン「…」



ジュン「あれ?? もしかして…」

480 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 22:38:45.95 ID:dnCGggc0
水銀燈「なに?」

ジュン「いや、きみたちって、もしかしたら…」

水銀燈「?」

ジュン「姉妹そろって戦うように設計されているんじゃないか?」

水銀燈「…え? そんな…」

ジュン「だってそうじゃないか。ちょうど役割がきれいに分担されてる」

水銀燈「…考えたこともなかった。でも、そう言われれば…」

ジュン「そうなんだよ! きっと、きっとそうなんだ!」

水銀燈「ジュ、ジュン?」
481 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 22:53:14.88 ID:KaJbDdA0
ジュン「きみたちはきっと、力を合わせるように造ってあるんだよ!」

水銀燈「でも、お父様はアリスゲームを…」

ジュン「きっとなにか、考えがあるんだよ。うん、きっとそうだ!」

水銀燈「…どうなのかしらねぇ」

ジュン「(いいぞ、もしかしたらアリスゲームを終わらせられるかも!)」

水銀燈「…ジュン?」

ジュン「(戦うことも、『あのこと』を教えることもなく…)」

水銀燈「どうしたの?」

ジュン「なんでもないよ! さあ勉強勉強っ!」




水銀燈「へんなお父様ねぇ」サスサス
482 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/08(水) 22:54:47.19 ID:KaJbDdA0
今日はここまで。再開は明日…予定。
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/08(水) 22:56:00.24 ID:Fxjp12Qo
乙です

続き楽しみにしてますねー
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/08(水) 23:02:13.54 ID:69CUMdAo
乙おつ〜
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/08(水) 23:06:25.89 ID:zAIbP/go
乙です。
『あのこと』が気になってきたなあ。
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/08(水) 23:51:04.14 ID:xJ7qneQo
重い中の投下乙なのです
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/09(木) 04:40:43.35 ID:nDPIZ0Mo
おつつ
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/09(木) 10:09:26.48 ID:p6J4nBso
おっつ
489 :1 [sage]:2009/04/09(木) 12:31:32.51 ID:qGwUCMI0
>>483-488
どうもです〜
『あのこと』はこの話の核なので、気合い入れて書いてます。
頑張ります。
490 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 18:15:55.79 ID:8xLeZjA0
再開します〜
491 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 18:17:26.20 ID:8xLeZjA0
【翌週・ジュンの家】

(ジュン「君の武器ができたよ。使ってみて」)

水銀燈「…ほんとに使えるのかしら。それに…」

(ジュン「これなら、痛みを感じる相手なら力がなくても威力を発揮するはず」)

水銀燈「なんか、いかにもって感じが嫌ねぇ。…試す機会があればいいけど」

(ジュン「…念のため言うけど、ボクを実験台にしないでくれよ」)

水銀燈「手加減するって言ったのに…」



ギシッ 

???「フヒ…フヒヒ…」
492 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 18:29:37.97 ID:xjTSwxc0
ギシ ギシ



???「見つけたぞ… 間違いない…」



カチャ ゴソ



???「ずっと狙っていた…」




???「ようじょの下着…」




ヒュンビシッ!!

変質者「ふぎゃっ!?」

ヒュルルルルル ドッスン

水銀燈「…まぁまぁかしら」
493 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 18:31:52.93 ID:xjTSwxc0
(水銀燈「なにこれ、…鞭?」)

(ジュン「使ったことある?」)

(水銀燈「最近、バイトで少し」)

(ジュン「…」)

(水銀燈「冗談よぉ」)



変質者「フ…フヒ…」ヒクヒク

水銀燈「お仕置きの時間よぉ♪」

ヒュンビシッ! ヒュンバシッ!

変質者「あひぃん! いいっ!」

(ジュン「柄にはナイフが仕込んである。いざというとき使って」)

水銀燈「…生爪はがしてやろうかしら」

ジュン「す、水銀燈っ! 大丈夫?! って…」

水銀燈「何よぉ、その間は」

ジュン「…似合いすぎ」

ヒュンピシッ!

ジュン「あひぃん!」
494 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 20:20:07.07 ID:DMqqNOU0
【さらに翌週・みつの家】

みつ「っっじゃあーーーーん!」

ガラガラガラガラ

ジュン「うわぁ、すっごーい!」

のり「ブティックみたい…」

水銀燈「」ソワソワ

みつ「すっっごいでしょ〜! これのためにこっそりバイトしたんだから!」

ジュン「(社会人としていいのか?)」

のり「いいなぁ、銀ちゃん」

水銀燈「え? あ、あぁ… 面倒くさいわねぇ」ウズウズ

みつ「ど・れ・に・し・よ・う・か・な〜♪」

水銀燈「もう、やるんなら早く始めてよぉ(それっ! そのピンクのブラウスとフラワースカート!)」

ジュン「これなんかいいんじゃないかな」チラッ

水銀燈「えぇ? それぇ? …んもう、しょうがないわねぇ(あぁん、ジュンって最高♡)」
495 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 20:23:08.34 ID:DMqqNOU0
ジュン「…もうこんな時間」

のり「そろそろおいとましないと悪いかな…」

水銀燈「えっ!? …そ、そうねぇ…(あぁん、あとちょっと…)」

みつ「そうなんだぁ、残念」

水銀燈「…ふぅ、やっと終わったわぁ(…ぐすん)」

みつ「それじゃ、最後にこの服でお願い」ガサッ

水銀燈「…これ? なんでこれだけ包んであるのかしら…」

ガサガサ

水銀燈「これ…」

ジュン「そう、きみの服。 …みっちゃんさんに手伝ってもらって、マタニティ仕様にしたんだ」

みつ「ちゃんと翼もあるのよ〜♪ 羽飾りだけど…」

水銀燈「…」

のり「わたしたちからのプレゼントなの。 銀ちゃん、うちに来てくれてほんとにありがとうね」

水銀燈「…」



(ふんっ! 誰がこんなこと頼んだのよぉ! まったく余計なことばっかり…)

496 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 20:34:38.70 ID:HGaH0/E0


(お金にしてって言ったじゃない! おしゃれしたいだなんて言ってないじゃない!)



(お父様からもらった、わたしの大事な大事な服を…こんなにしちゃって…あれ?)

ポロッ

(あれ… なんで、わたし… 声が、出ない、の…?)

ポロポロ

(なにか、なにか、言わなくちゃ…)

うっ… うっ…



水銀燈「うえええええ…えっ…ん…」



みつ「…写真、撮れないね」グスン

ジュン「強がってるわりに、泣き虫なんだよな」グスッ

のり「ありがとね… 銀ちゃん、ほんとにありがとね…」エグエグ
497 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 21:33:46.16 ID:gWBkcNo0
【4ヶ月目】

ジュン「ごちそうさまー」

水銀燈「それじゃ、片付けるわね…」スクッ

フラッ

水銀燈「あ、あれ?」

ジュン「す、水銀燈!?」

のり「銀ちゃん!?」

水銀燈「…大丈夫よぉ。 ちょっとめまいがしただけ…」

のり「…最近眠れてる?」

水銀燈「…ええ。 雪華綺晶も起きてこないし(すこし寂しいけど…)」

ジュン「…長引いちゃってるせいかな…」

水銀燈「ふふ、焦らなくていいわよぉ。 …それじゃ、片付けるわねぇ」

のり「いいよ、銀ちゃん。 わたしがやるから休んで」

水銀燈「でも…」

ジュン「ボクもするからいいよ。 ゆっくりしなよ」

水銀燈「…ごめんね。 じゃ、お休み…」

フラ フラ

のり「…じゃ、ぱぱっとすませて私たちも休んじゃいましょ」

ジュン「…ああ。 あれ? えっと…」

のり「どうしたの?」

ジュン「いや…何か、大事なことを忘れてるような気が…」
498 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 21:36:13.68 ID:gWBkcNo0
【翌朝】

ビシッ! バシッ! ベシッ!

ジュン「うわっ! あてっ! ひいっ!」

水銀燈「バカバカバカバカバカぁーーーーー!!!」

ジュン「悪かったよ! 悪かったってばぁ!!」

水銀燈「なんで起こしてくれないのよぉーーーー!!」

ジュン「普段テレビなんて見ないから忘れてたんだよ!」

水銀燈「わたしのくんくん(2時間SP)を返せぇ−!!!」ヒュンヒュンッ!

ジュン「うわっ! やめっ! ナイフは駄目っ!!」

のり「…録画しといたわよー」

水銀燈「…えぇっ!? あぁ、お姉さまっ! ありがとぉ〜〜〜!!」スリスリスリ

のり「ひゃあぁぁぁぁ?!」

水銀燈「一生ついていくわぁ〜〜〜♡」スリスリスリスリ

のり「ま、まさかのまさちゅーねっちゅー!?」

ジュン「…た、助かった…」

グシャ

ジュン「きゅう」

水銀燈「ちょっとは反省しなさいっ!」

のり「…大丈夫そうねー」ヒリヒリ
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/09(木) 21:37:42.63 ID:SwXN0bQo
クソ!
可愛いじゃねぇかww
500 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 22:14:40.12 ID:c9qEB4g0
【5ヶ月目】

カァ カァ

ジュン「…」

カァ カァ

巴「」ヒュッ

ジュン「はっ!」

キィン!

巴「お見事!」

水銀燈「…まあまあねぇ」

巴「剣で空中の五円玉を断ち割るなんて… ほんとに剣豪みたい」

ジュン「みんなのおかげだよ…」フラッ

巴「ジュ、ジュン君!?」ヒシッ

水銀燈「んもう、最近無理するから…」

巴「無理?」

水銀燈「結晶の完成が遅れてるのを気にして、最近いっぱいしてくれるのよぉ」

巴「…」

ギュウッ

ジュン「あだだだだだっ!?」
501 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 22:17:10.44 ID:c9qEB4g0
巴「水銀燈は大丈夫なの?」

水銀燈「…大丈夫よぉ」

ジュン「(最近、あんまり動けなくなってきてるんだ…)」

巴「…無理しないでね」

水銀燈「ふふ、ありがとう。 …今日は、もうおしまいにしましょう」

のり「おやつ、用意したわよー」

ジュン「ふー、疲れたぁ」



巴「きれいな夕焼け…」

水銀燈「ほんとうねぇ…」

ジュン「ほんとだ」ゴクゴク

カァ カァ

巴「あ、あの花」

のり「そう、めぐちゃんのからたち。 すてきな花でしょう」
502 :1 [sage]:2009/04/09(木) 22:37:56.96 ID:qGwUCMI0
>>499
ニマニマしながら書きましたφ(.. ;)
503 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 22:40:29.43 ID:tTCw1PI0
(めぐ「♪からたちの花が咲いたよ…」)

水銀燈「…」

巴「…♪からたちの花が 咲いたよ…」 

水銀燈「…巴?」

巴「♪白い 白い 花が咲いたよ…」

水銀燈「♪からたちのとげは 痛いよ…」

ナデ ナデ

水銀燈「♪青い 青い 針のとげだよ…」

ナデ ナデ

のり・ジュン「♪からたちは 畑の 垣根よ…」




「いつも いつも とおる道だよ…」

カァ カァ
504 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 23:03:18.56 ID:NK903AQ0
【半年目】

ガチャン

ジュン「ご飯、持ってきたよ」

水銀燈「…ごめんね、起きられなくって…」

ジュン「大丈夫だよ。 ボクのほうこそ…」

水銀燈「だから、気にしないでってば…ん」

チュウウウウ

ジュン「何かあったら、すぐ呼んで」

水銀燈「…ありがと」

パタン

のり「…大丈夫そう?」

ジュン「…たぶん、もうすぐなんだと思う」

のり「そうなの?」

ジュン「うん… できるだけ早いうちに、みんなを集めないと」

のり「そうね…」
505 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 23:05:13.65 ID:NK903AQ0
水銀燈「(体が熱い… 重い…)」

ナデ ナデ

水銀燈「(いよいよ、なのかしら…)」

ナデ ナデ

水銀燈「(…怖い。 結晶のことよりも…)」

ナデ…

水銀燈「(もしも、今、狙われてしまったら…)」





(???「かなり弱ってるようね… 今ならやれるわ」)

(???「…母さん、いよいよやるんだね」)

(???「そうよ… 父さんのかたきを討ってやるのよ!」)
506 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/09(木) 23:06:25.91 ID:NK903AQ0
今日はここまで。再開は明日やれれば…
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/09(木) 23:16:17.17 ID:xlmtJGIo
>>506
乙っした! 天才!
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/10(金) 00:07:38.23 ID:Q0ut1tQo
おっつ
509 :1 [sage]:2009/04/10(金) 22:32:50.83 ID:YLclS4s0
>>507-508
どうもです〜
今日は寝て明日再開。
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 11:32:23.87 ID:efvkLsUo
>>509
キター!
今日の夜ですね wktknrnr待ってます
511 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:35:01.00 ID:uVRG42U0
>>511
意表をついて実は今再開。
512 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:37:13.23 ID:uVRG42U0
のり「それじゃジュン君、行ってくるけど…」

ジュン「ああ、水銀燈のことはまかせて。 …いってらっしゃい」

のり「お願いね。 …いってきます」

ガチャン バタン

ジュン「…」

(???「女が出て行ったよ」)

(???「ガキのほうはどうせ外には行かない。 隙を見てかかるわよ…!」)

ジュン「…?」



ジュン「(なんだろう、この感じ…)」
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 11:37:52.06 ID:efvkLsUo
>>511
なん……だと……

なんだ、ただの神か
514 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:39:50.97 ID:uVRG42U0
水銀燈「…くぅ… …すぅ…」


(???「寝てるみたいだ」)

(???「チャンスよ。ガキを引きつけておきなさい!」)


ジュン「(肌が、ぞわぞわする…?)」

ガチャン パタン

ジュン「…」トコ トコ

???「(いいぞ…もっと近づけ)」

ジュン「よいしょ」ギシッ

???「(よしよし… あとちょっと)」

ジュン「…」カチャカチャ

???(今だ!!)

ガバッ!

グレン「父さんのかたき!!」

ブォン ザシュッ!

グレン「うぐわぁっ!?」

ジュン「…やっぱり来たか!」
515 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:42:09.65 ID:uVRG42U0
【水銀燈の部屋】

???「(よく寝てる… 弱ってるようだし…)」

水銀燈「…すぅ…」

???「(でも相手は、あの人をやったやつら。 油断は禁物)」スチャ

水銀燈「…」

ティファニー「(これでもくらいなっ!)」ビシュッ!!



キィン!



ティファニー「やっぱり起きてたわね…!」

水銀燈「…安物の香水がプンプン臭えばねぇ(く、部屋に入られるまで気づけなかった…)」

ティファニー「覚悟しなさい、バラバラにして灰にしてやるわ…!」

水銀燈「…あの生き人形の仲間?」

ティファニー「妻よ!」

ビヒュン! ザシュッ



水銀燈「っく…!(体が重い、よけ切れなかった…!)」
516 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:45:14.36 ID:uVRG42U0
ティファニー「あの人は悪党だけれど… わたしたちにとっては大事な家族だった」

ジリッ

ティファニー「『でかいヤマを見つけた、うまくいけば家族3人人間に戻れる』って言って出かけたまま音沙汰なくなって…」

スチャ

ティファニー「あちこち探し回ってようやく駆けつけてみたら、あの人は灰にされていた」

水銀燈「…」

ティファニー「思い知らせてやるっ!!」ピシュッ! ヒュンッ!

水銀燈「くっ! ちっ!」キンッ! チンッ!



グレン「しゃっ! しゃあっ!!」ビュッ フンッ

ジュン「(動きが見える…!)」

ブォン ザシュッ!

グレン「うあっ!」

ジュン「(狙いは水銀燈に決まってる、早く行かなくちゃ! けど…)」

(自分の身を守ることを考えて)

ジュン「せやあっ!」ビュッドスッ!

グレン「ぐはっ!」

ジュン「(水銀燈、もう少しだけ頑張って!)」
517 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:46:39.03 ID:uVRG42U0
>>513
仕事の都合で今投下だす^^;
518 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 11:49:07.71 ID:uVRG42U0
ズダダダダダ ヅドッ!

グレン「ぐえっ…!(壁に縫い付けられた?!)」

ジュン「(まずは目の前のこいつに集中する! 片がついたらすぐ君を守る!!)」

グレン「こ、このぉ!」ヒュンヒュンッ!

ジュン「(何かないか… あった! 延長コード!)」ブチッ!

グレン「近寄るなっ! くそっ!」ヒュンサクッ!

ジュン「くっ!…おとなしくしてろ!」ゲシッ!

グレン「くそおおお!!」

ジュン「このおおおお!!!」



(無事でいて… 水銀燈!!)
519 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 12:21:42.75 ID:uVRG42U0
水銀燈「く… はぁ、はぁ、はぁ」

ティファニー「息があがってるわねぇ。 くくく、やっぱり弱ってるわ」

水銀燈「…安物の香水を嗅ぎたくないだけよ」

ティファニー「その強がりが、いつまでつづくかしらね?」ビュッ!

ガシッ!

水銀燈「く…!(いけない、押されてる…!)」ギシ ギシ

ティファニ−「くくっ。 もう、はねのける力もないようね」グイ グイ

ガキッ ガシッ!

水銀燈「あぅっ!?」

ティファニー「覚悟しな。 楽に殺してなんかあげないよ…!」ミシ ミシ

水銀燈「く… あっ…!(ま、まずい…!)」



(ジュン…!)
520 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 12:30:18.62 ID:uVRG42U0
ギリリリリ

ジュン「これで動けないだろ。…早く、水銀燈を助けないと…」

グレン「くそ、くそっ! よくも、よくも父さんを…!」

ジュン「…父さん? …!」


(水銀燈「戦いでは、駆け引きが重要よ」)


ジュン「(もしかしたら… いや、でも… うまくいくのか?)」

グレン「今頃、母さんがあの女をバラバラにしてるところさ!」

ジュン「! この…!」

(水銀燈「のぼせちゃダメよ」)

ジュン「(…そうだ、考えてる場合じゃない!)」

ギリギリギリ

グレン「ぐ、わががっ?!」

ジュン「やるしかない、やるしかないんだ!」
521 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 12:34:06.23 ID:uVRG42U0
バダン!

ジュン「水銀燈!」

水銀燈「…ジュン!」

ティファニー「動くんじゃないよ!」ミシッ

水銀燈「くっ…!」

ジュン「(水銀燈…! どうする、どうする!?)」

ティファニー「くくく、いいわね、その絶望した顔!」

ジュン「望みは何だ!」

ティファニー「望み? ふざけるなっ!」グィッ

水銀燈「…っ!」

ティファニー「あの人の受けた苦しみを、何千倍にしてつき返してやる!!」

ジュン「(あの人? やっぱり、こいつら…)」

(グレン「父さんのかたき!」)

ジュン「(…うまくいくかも、けど…)」

水銀燈「…く、くっ…」ミシ ミシ

ジュン「(…いや、もう後には引けない! やるしかないんだ!)」グイッ

ズルズル

ティファニー「!」

ジュン「卑怯とは言わせないぞ…!」



グレン「ぐ…ぐ…」

ティファニー「坊や!」
522 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 12:51:45.05 ID:FCzbkRY0
ジュン「交換だ。 武器を捨てるんだ」

ティファニー「…ふん、わたしたちがそんな脅しにのると思う?」グイグイ

水銀燈「ぐっ…」

ジュン「やってみるか?」ギシッ

グレン「ぐ、ぐぐっ!?」

ティファニー「…」ギロッ

ジュン「…」ジーッ



ティファニー「…わかった。 ただし武器を捨てるのはおまえから」

ジュン「同時にだ」

グレン「ぐぐ!!(お母さん、だまされないで!)」

ティファニー「…いち、にの」

ジュン「3」

ポイッ カラン カラン
523 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 12:55:06.08 ID:FCzbkRY0
水銀燈「…!(ジュン、それは…!)」

ティファニー「他に隠し持ってたりしないでしょうね?」

ジュン「そっちこそ。 …ほら、こっちはポケットにも服の裏にもないよ」

ティファニー「こっちも持ってないわよ(自分の武器はね…)」

水銀燈「(…ジュン、あなた、まさか…!)」



ティファニー「じゃ、ゆっくりこっちに来なさい」

ジュン「そっちも来るんだ」

グレン「んーっ!(だめっ! お母さん、違うんだ!)」

ジリッ ジリッ

ジュン「合図をしたら、同時に人質を離すんだ」

ティファニー「信用しろと?」

ジュン「お互いさんだろ?」

ティファニー「…いち」

ジュン「にの」



「3!」
524 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 13:11:21.46 ID:FCzbkRY0
ジュン「それっ!」ポイッ

グレン「うぅーっ!!!(だめだ母さん! こいつが捨てたのはただのナイフ!)」」

ティファニー「ふんっ!」ドスッ

水銀燈「くっ!」

ティファニー「坊や!(あの女のナイフで、ガキの喉をかっ切ってやる!)」

グレン「うぅーっ!!(こいつのほんとうの武器は、ぼくの背中に…!!)

ジュン「しゅっ!」ダダッ ガシッ

ティファニー「な?!」

ブォン ズボッ!

グレン「ぐはっ!」

ズドッ!

ティファニー「ぐっ?!」



水銀燈「…ダモクレスの剣!(子供ごと貫いた!!)」
525 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 13:27:33.30 ID:0PxboYM0
ジュン「うぉぉぉぉぉ!!」ダダダダダ

ドスッ!!

ティファニー「ぐうっ!」

グレン「はうっ!」

ジュン「このおおおおおっ!」グリグリグリ



グレン「ぬ、抜けない…」

ティファニー「動けない…!」

ジュン「はぁ、はぁ、はぁ…」



水銀燈「ジュン…」

ジュン「水銀燈、こいつらを見張ってて…」
526 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 13:30:06.14 ID:0PxboYM0
水銀燈「…わかったわ」

ジュン「なにかあったら、すぐ知らせて」

ガチャン ダダダダ

水銀燈「(…ジュン 見事だった)」

ガチャガチャ ゴソゴソ

水銀燈「(あの状況で、すばらしい駆け引きだったわ)」

ダダダダ バタン

ジュン「大丈夫?」

水銀燈「…ええ(…でも、でもあなたは… わたしのせいで…)」

ジュン「とどめを…」

ジリッ
527 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 13:31:31.47 ID:0PxboYM0
グレン「ひ…」

ティファニー「…くそっ!」

ジュン「君らは、悪くないんだ」


スチャ


ジュン「悪いのは全部、ボク…」


ガバッ


グレン「…父さん、母さん!」

ティファニー「覚えてろ、化けて出てやるわ!!」

ジュン「…ごめん!」



ブオン グシャッ



グレン「ぐぶ」

ティファニー「ぎ」
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 13:39:36.09 ID:efvkLsUo
ジュン……強くなって……うおおおおwktk
529 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 13:44:34.91 ID:DoZm.6s0
ゴォォォォォ

パチ パチ パチ

ジュン「水銀燈、大丈夫?」

水銀燈「ええ… あなたのほうこそ」

ジュン「かすり傷だよ」

水銀燈「…男の勲章ね」

ジュン「へへっ」

水銀燈「助けてくれて、ありがとう」

ジュン「…いいんだよ」




水銀燈「(あなたは強くなった… それは、とても嬉しい)」

パチ パチ 

水銀燈「(でも… ほんとうに、ほんとうにこれで良かったの…?)」
530 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 13:47:25.55 ID:DoZm.6s0
【河川敷】

パラ パラ パラ

水銀燈「…彼らの安らかに憩わんことを」

ジュン「アァメン」

水銀燈「…帰りましょう」

ジュン「ああ…」

テク テク

ガラ ガラ

ジュン「…なぁ、水銀燈」

水銀燈「なぁに?」

ジュン「ボクは… 人を殺したのか?」

水銀燈「…」
531 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 14:05:55.92 ID:DoZm.6s0
ジュン「彼らは、家族だった。 …お互いを想いあっていた」

水銀燈「…」

テク テク 

ガラ ガラ

水銀燈「…人の魂は人の体に在るべきもの。それを離れたら、すみやかに天へ召されるはずのもの」

テク テク

水銀燈「人の魂が人形の体に入って生きるなんて、不自然なことなのよ」

ジュン「…」

ガラ ガラ

水銀燈「行き先を迷って袋小路にはまり、抜け出せなくなった魂をあなたは救ってあげた。 …そう思いなさい」

ジュン「わかったよ。 …ありがとう」

テク テク

ガラ ガラ



水銀燈「(やはり… やはりわたしは… ああ、ジュン…)」
532 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 14:08:07.51 ID:DoZm.6s0
【ジュンの家】

のり「ただいまー… あれっ!? どうしたの!」

ジュン「…また、襲われたんだ」

のり「たいへん… 大丈夫?!」

ジュン「水銀燈は無事。ケガもたいしたことないし、平気だよ」

水銀燈「…ジュンのおかげよ」

のり「そうなの…?」

水銀燈「すごかったわ、カッコよかった。 …お姉さまにも見せてやりたかった」

ジュン「言いすぎだよ」ポリポリ



のり「…」プルプル



水銀燈「…お姉さま?」

のり「…ジュン君っ! 銀ちゃん!」ガバッ!

ジュン「わっ!?」
533 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 14:33:47.26 ID:hrp0B4E0
のり「みんな… みんな、危ない目にあったのに…」グスグス

水銀燈「お姉さま…」

のり「わたし、わたし、なんにもできなくて…」ヒックヒック

ジュン「…のり」

のり「ごべんねぇ…」エグエグ

ジュン「…いいんだよ」

のり「でも… でも…」

ジュン「じゃあ、すっかりおなかすいちゃったから何か作ってよ。 …姉さん」

水銀燈「お姉さまのハンバーグで、おなかいっぱいにしたいわぁ」

のり「…うん! わたし、がんばっちゃう!」
534 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 14:37:25.66 ID:hrp0B4E0
のり「じゃあおやすみ。 …銀ちゃん、ジュン君」

ジュン「おやすみ。…水銀燈、つかまって」ヒョイ

水銀燈「…お休みなさい」

トン トン トン

ジュン「それじゃ、お休み」

水銀燈「…ね、ジュン」

ジュン「なに?」

水銀燈「…ここ、入って」

ジュン「えっ!」
 
水銀燈「ひさしぶりに、一緒に寝たいの。 …ダメ?」

ジュン「え…あ、あぁ、いいよ…」ポリポリ


ゴソゴソ


水銀燈「あったかいわぁ」

ジュン「うん…」
535 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 14:41:32.43 ID:hrp0B4E0
サス サス

ジュン「みんな無事で、よかった」

水銀燈「ふふっ。 …ねぇ、ジュン」

ジュン「なに?」

水銀燈「今日は、ほんとうにありがとう」

ジュン「…だから、もういいってば」

水銀燈「戦ってもらって…守ってもらって…」

ジュン「…?」

水銀燈「ほんとうに、見事な駆け引きだったわ。 でも…」

ジュン「…」

水銀燈「ウソをつかせて… 子供を盾に、親を脅して…」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「優しいあなたに、そんなことまでさせてしまった…」

ジュン「…」

水銀燈「わたしのせいね…」




ペシッ

水銀燈「きゃんっ?!」

ジュン「…ほんとにもう、殴るよ」

水銀燈「な、殴ってるじゃない!」
536 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 15:03:29.90 ID:1/wbT2k0
ジュン「…きみはうちにきて、いろんな顔を見せてくれた」

水銀燈「えっ?」

ジュン「テレビをみて笑ったり、おしゃれをしてはしゃいだり…」

水銀燈「…」

ジュン「家事をしたり、歌を歌ったり、真紅たちの世話をしたり… とても、素敵な女の子の顔だった」

水銀燈「…素敵、だなんて」

ジュン「でも『素敵な女の子のきみのほうがいい』って言われたら、君はどう思う?」

水銀燈「…え?」

ジュン「『あんな、戦ってるきみなんていやだ』なんて言われたら」

水銀燈「それは…」

ジュン「いま、きみはボクにそう言ったんだろう?」




水銀燈「…あ!」
537 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 15:29:50.92 ID:zU4/zSA0
ゴロン

ジュン「ボクがああしたのは、ボクが選んだこと」

水銀燈「…」

ジュン「君のせいなんかじゃないんだ」

水銀燈「ジュン…」

ジュン「君にそんなこと言われたら、ボクは…」

ヒシッ

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「ごめんなさい」

キュッ

ジュン「もう、だから謝らなくていいって…」

ジワッ

ジュン「? す、水銀燈…」

水銀燈「…ごめんなさい。 わたし、わたし…」



(自分が一番言われたくなかったこと、一番傷ついてしまうことを、あなたに言ってしまった…)
538 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 15:32:01.75 ID:zU4/zSA0
ジュン「…」

クルッ ギュッ

水銀燈「あっ…」

ジュン「一回しか言わないよ」

水銀燈「な、なに?」

ジュン「戦う君の顔。 …『冷酷非情の最凶ドール』の顔」

水銀燈「…」

ジュン「ボク、その顔、嫌いじゃない…いや」 



「好きだよ」



水銀燈「えっ?」

ジュン「わかったんだ。 きみのその顔は、大事なものを守るときの顔」

水銀燈「…」

ジュン「『子供を守る母親の顔』なんだって」

水銀燈「…」



ジュン「お、おやすみっ!」ゴロン
539 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 15:47:57.17 ID:Gy24x9k0
水銀燈「ジュン…」


ツンツン


水銀燈「こっち向いて」

ジュン「もう言わないっ! ぐーぐー!」

水銀燈「…」ゴソゴソ

ジュン「…もう、なにも言わないって…んむっ」


チュ


水銀燈「…」


チュウウウウ


ジュン「…ぷぅ」

水銀燈「…だめ、離れないで」

ジュン「ま、まだいるの? 今日はもう疲れて…」

水銀燈「違うの」


キュッ


水銀燈「…エネルギーなんていらない」




チュッ
540 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 16:07:29.98 ID:dnAwCdI0
ジュン「(す、水銀燈…)」

ギュッ

水銀燈「(…ジュン。 ああ、ジュン…)」

ギュウウウウ



(お父様…)


(わたし、決めました。 ずっとずっと、迷っていたけれど…)


(やっと、覚悟ができました。 もう、迷いません) 





(…わたし、『アリス』になるのはあきらめます)
541 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 16:52:50.28 ID:p.x73jU0
(お父様…)


(わたし、この子たちの母親になります。 あなたの言葉通りに…)


(生まれてくる妹…子供たちと、いとしいこの人と、いっしょに生きていきます)


(…わたし、『マリア』になります。 …きっと、なれます)


(わたしのすべてをうけとめてくれるこの人となら…) 





(…きっと、許してくださいますよね?)



(だって、この人は…)



(このお方は…)





ドクン
542 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [saga]:2009/04/11(土) 17:05:25.41 ID:iDCrhhg0
(…うっ? おなかが…?)


ドクン ドクン


(…あ、熱いっ?! まさか…!)


ドクン ドクン ドクン




水銀燈「あ… ああっ…!」

ジュン「す、水銀燈?」

パアァ

ジュン「! おなかが光って…」

水銀燈「ああ… あああっ!!」

パアアアァ…

ジュン「(ついに… ついに始まった…!!)」





水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 完

これにて第4部を終了します。ご観覧ありがとうございました。
準備が出来次第第5部【出産編】にとりかかります。
支援してくれた人たちに感謝します。よかったら次回もまたお付き合いください。
543 :1 [sage]:2009/04/11(土) 17:14:53.69 ID:DvHFLj20
>>528
調子に乗ってジュン無双させてみました。
キャラ崩壊してないか心配ですf^_^;
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 17:17:13.28 ID:ZgQ.8XAo
おっつ
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 18:04:21.14 ID:efvkLsUo
.>>543
遅くなったが乙!
第5部もついていくお!
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/11(土) 18:13:22.85 ID:indpRVko
おつつ
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 18:26:39.01 ID:efvkLsUo
言い忘れた

ジュンはやればできる子b
548 :1 [sage]:2009/04/11(土) 19:15:49.75 ID:DvHFLj20
>>545-547
ありがとうございますm(__)m


ここで軽くネタばらしというかお願いが…


次回の展開には、かなりの確率で生理的嫌悪感をもよおす成分が含まれてます。

もしかしたら本気で傷つく人もいるかもしれませんが…


どうか、最後まで付き合ってください。
549 :1 [sage]:2009/04/11(土) 19:21:00.33 ID:C./u0Go0
おっと失礼;
>>544様もどうもです。
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/11(土) 20:53:44.05 ID:efvkLsUo
>>548
オカルトで鍛えた精神なら平気だぜ!
どーんとこい! 続き待ってる!
配慮ありがとう
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/11(土) 21:33:49.85 ID:/IMAOcAO
乙です
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/12(日) 00:31:50.65 ID:sfuvJjY0
553 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【妊婦編】 [sage]:2009/04/12(日) 00:36:55.87 ID:jwSO6JM0
>>550
どもです。懲りずに付き合ってやってくださいm(_ _)m

>>551-552
支援感謝。次回は…週明けに始められるかな…
554 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 00:54:18.03 ID:ln8mPz60
それでは再開します〜
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 00:54:40.86 ID:SDTO5dAo
わっふーわっふー
556 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:05:53.59 ID:/qrNKg20
パアアアア…

水銀燈「ああ…! うあああっ…!」

ジュン「(とうとう、始まった…!)」ガバッ

ギュッ

水銀燈「ジュ、ジュン…?」

ジュン「…ボクを信じて。 身を任せるんだ」

ナデ ナデ  サス サス

水銀燈「あっ…(せ、背中…?)」

ジュン「(たしかここ… あった!)」

水銀燈「ひぅっ!? そ、そこは…!」

ジュン「ごめん、がんばって!(ゼンマイ穴の奥… ここっ!)」

カチリ

水銀燈「あ…」

カクン



ジュン「…夜中だけど、しかたない。 すぐにみんなに知らせないと…!」
557 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:07:32.50 ID:/qrNKg20
【ジュンの家】

巴「水銀燈は…大丈夫なの?」

ジュン「今は、一時的に機能を止めてる。 …みなさん、こんな夜中にすいません」

みつ「それはいいんだけど…いいの?」

のり「そうよ、ジュン君。 めぐちゃんに知らせなくて…」

ジュン「…追って、説明するよ」

柴崎「なにか、理由があるのかね」

ジュン「はい。 結論から言うと…」





「水銀燈の体は限界が近いんです」
558 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:09:35.40 ID:/qrNKg20
みつ「!」

のり「え…?」

柴崎「なんと…」

巴「そんな…」

ジュン「…」

のり「…そんな、銀ちゃん、銀ちゃんが…!」

ジュン「…もし、めぐがこのことを知ったら…」

みつ「…ほんとうに、自分がどうなってでも助けようとしかねないわね」

巴「…」

みつ「じゅんじゅん…ジュン、あなたには悪いけど… 長引かせすぎちゃったの?」

ジュン「…それもあります」

巴「それ『も』? いったい、どういうことなの?」



ジュン「…」
559 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:17:29.52 ID:iYV7Dh.0
巴「ジュン君?」

ジュン「…完成した結晶は、腹部を突き破って外に出ます」

巴「…ジュン君??」

ジュン「けれど、腹部パーツは水銀燈本体から分離しているわけでなく一体化しているんです」

柴崎「…つまり結晶が出てくるとき、あの子は全身に衝撃を受けるということかね」

ジュン「そうです。 そして水銀燈の体には、無数の古傷があるんです」

みつ「古傷…?」

ジュン「最悪の場合、こっぱみじんに砕け散る可能性も…」

バン!!

巴「ジュン君! …お願い、もう話してよ! 内緒にしてることがあるんでしょう?!」

ジュン「…」

スッ

みつ「…ともとも、いえ… 巴」

巴「み、みっちゃんさん?」
560 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:19:57.08 ID:iYV7Dh.0
みつ「もうすこし、じゅんじゅん…ジュンの話を聞いてみましょう。 …いいわね?」

巴「…はい」

ジュン「…ごめん」

柴崎「何か、打つ手はあるのかね」

ジュン「ボクがあらかじめ、結晶が飛び出す位置に切れ込みを入れます」

みつ「…切れ込み?」

ジュン「そして、結晶にありったけのエネルギーを吹きこみます」

のり「『ありったけ』って…」

ジュン「うまく勢いよくその切れ込みから飛び出してくれれば、水銀燈への負担を最小限にできるはずです」

みつ「…」

ズイッ

ジュン「み、みっちゃんさん? 近すぎ…」

みつ「ジュン。 あなた、水銀燈のこと、あまりにも詳しすぎない?」
561 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:33:12.43 ID:/qrNKg20
ジュン「え…」

みつ「その言い方だと、結晶の飛び出してくる位置まで把握してるみたいに聞こえるけど?」

ジュン「…」

のり「…そうなの? ジュン君…」

みつ「あなたさっきから、事も無げに『一時的に水銀燈の機能を止めた』『水銀燈への負担を最小限にできる』って言ってるけど…」

ジュン「…」

みつ「やり方を教えてもらったからって、そんないきなりできるものじゃないんじゃないの?」

ジュン「それは…」

みつ「それを、まるで一回実際に見てきたかのように…」





みつ「あっ!!」
562 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:34:22.47 ID:/qrNKg20
巴「み、みっちゃんさん?」

みつ「まさか… ジュン、そうなの? そういう、ことなの…?」

ジュン「…」

のり「え? え… そんな、まさか… ジュ、ジュン君!?」

巴「ジュン君、お願い…いつか話すって言ってたじゃない!」

ジュン「…ああ」

スック

ジュン「長い間、話さないでいてごめんなさい」

のり「ジュン君…」




ジュン「水銀燈は… 水銀燈は、実は…」
563 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:37:30.50 ID:/qrNKg20
柴崎「そういう事じゃったか…」

のり「そんな… そんな…」

巴「…ひどい…」

ジュン「ごめん。万が一にでも、水銀燈には知られたく…思い出してほしくなかった」

みつ「…わかったわ。 わたしのほうこそごめんなさい。あなた一人に背負わせて」

ジュン「…とりあえず、母体と結晶を無事に分離することが第一です」

柴崎「しかし、万が一失敗すれば、最悪の場合あの子だけでなく…」

ジュン「はい、ボクも無事ではすまないでしょう。 …その時は、どうか助けてください」

みつ「…人がこない、音がしても衝撃が走っても大丈夫な場所じゃなきゃだめね」

ジュン「それも心当たりがあります。今日はもう暗いから、明日になりますが…」

みつ「…明日ね」

ジュン「みっちゃんさん、仕事は…?」

みつ「…」



グリグリ

ジュン「あででで?!」
564 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:39:50.93 ID:/qrNKg20
みつ「…怒るわよ? いつまで他人事にするつもり?」グリグリ

ジュン「ご、ごめんなさい…」ヒリヒリ

巴「わたしも行く。 じっとなんかしてられない」

のり「みんな、ほんとうに、ごめ… いえ、ありがとうございます…」

柴崎「わしも行こう。 役に立てないかもしれんが…」

ジュン「…ぜひ来てください。 きっと、水銀燈も安心すると思います」

みつ「じゃあ、明日の朝またここに集合ね」

ジュン「…どうか、お願いします。 うまくいくかどうかわからないけど…」

みつ「…」



スパーン!

ジュン「あでっ!?」

みつ「だーいじょうぶよーっ! しっかりしなさい、じゅんじゅん!」

ジュン「…はい」ヒリヒリ
565 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 01:50:14.42 ID:/qrNKg20
のり「みんな、帰っちゃったね」

ジュン「…じゃ、ボクは水銀燈のそばで寝るよ」

のり「いよいよ、だね…」

ジュン「ああ…」

のり「…大丈夫?」

ジュン「…わからない」

のり「…」



ジュン「…いや、大丈夫。 絶対に大丈夫」

のり「ジュン君…」

ジュン「かならず、水銀燈もみんなも無事に助けてみせる」

のり「…うん」

ジュン「おやすみ」

バタン
566 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 02:03:34.94 ID:fQURB2A0
ジュン「水銀燈…」


ゴソッ …サスッ


ジュン「いつもは口やかましくって乱暴だけど…」


サス サス


ジュン「こうして静かにしてると、君ってまるでお人形みたいだ」


ナデ ナデ


ジュン「…まぁ実際そうなんだけど。 でも…」


(「…ぎゅーっと抱いて」)


ジュン「…」




ギュッ
567 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 02:09:44.23 ID:fQURB2A0
ジュン「(ボクは、君たちを助けたい)」


(「みんな…生きてる… ここにいる…」)


ジュン「(…ずっとそう思ってた。 今でもそう。 なのに…)」


(「♪London bridge is falling down…」)


ジュン「(今ボクは、とても恐ろしいことを考えてる)」


(「よろしくねぇ、『お父様』」)


ジュン「(もし… 君か結晶か、『どちらか』しか助けられなかったら?)


(「…エネルギーなんかいらない」)


ジュン「(もしもそんな状況になってしまったら)」





(ボクはいったい、どうしてしまうんだろう…)
568 :1 [sage]:2009/04/15(水) 02:14:02.55 ID:HJfiSfo0
これで中断。続きは明日夜。
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 02:26:59.36 ID:wjwsuVMo
最初から一気に読んでしまった
これは間違いなく良スレ
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 02:29:59.35 ID:SDTO5dAo
おつつ
571 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 02:35:14.02 ID:fQURB2A0
>>569
ありがとうございます〜
完結できるようにがんばります。

>>570
乙どもっす。
1乙で300メートル走れます(嘘
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/15(水) 06:45:16.54 ID:PEHkXoAO
乙です
573 :1 [saga]:2009/04/15(水) 19:50:36.86 ID:yhcZjI60
>>572
どうもです。再開します〜
574 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 19:53:51.48 ID:uTZ03xU0
のり「(…眠れないよ…)」

ゴソゴソ

のり「銀ちゃん… ジュン君…」

ゴソゴソ

のり「…神様、仏様、ローゼン様、お願いです。 どうか、どうかみんなを無事に…」

カタン

のり「…?」

ゴソッ

のり「何の音…?」

シーン

のり「あれ…? 鏡台が…」

ムクッ

のり「(閉めといたはずなのに?)」

トコ トコ

ギシッ

のり「…?!」



???「夜分遅くに失礼」

のり「ひ…!」
575 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 19:56:48.28 ID:uTZ03xU0
【翌朝 未明】

コンコン

ジュン「おはよう」


シーン


ジュン「…のり? 朝だよー」


シーン


ジュン「…のり?」ガチャ


バタン ゴツッ


ジュン「あでっ?!」





のり「…あ、ごめんね」

ジュン「あいててて…」

576 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 20:00:59.59 ID:uTZ03xU0
のり「ごめんね、昨日、眠れなくって」

ジュン「…やっぱり?」

のり「ジュン君だって。 目の下まっくろだよ…」

ジュン「とりあえず、ご飯食べて準備しよう」

のり「…うん、みっちゃんさんもすぐ来るよね」

ジュン「ああ。…水銀燈の身支度も整えておくよ」



のり「…」

ジュン「ごちそうさまー」

のり「(昨日の… 晩…)」

ジュン「んしょ、んしょ、っと…」

のり「(わたしの部屋にやってきた… あのひと…)」
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 20:19:12.07 ID:u1BWxuc0
始まっているではないか
僭越ながら支援させて頂きます。
578 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 20:22:15.53 ID:uTZ03xU0
(???「ふたりの力になることを望みますか?」) 

のり「(あのひとが言ってたこと…)」ゴソゴソ

(???「たとえ危険がともなおうと」)

のり「(夢じゃ、ない…)」コロッ



(???「受け取りますか? 受け取りませんか?」)



のり「…」キラッ

ジュン「のり? どうしたの?」

のり「あ… なんでもないわ、サンドイッチでいいよね」ゴソゴソ

ジュン「うん…? もう食べたよ??」

のり「あら、あらららら」

ジュン「???」
579 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 20:24:07.44 ID:uTZ03xU0
ブロロロロ キキッ

のり「あ、着いたみたい」

ガチャ

みつ「おはよう、のりのり。準備はいい?」

のり「はい、すぐ出られます」

巴「水銀燈は?」

ジュン「ここにいるよ」

みつ「…銀ちゃん」

ジュン「ひざの上に抱いて乗るよ」

巴「じゃ、前に乗って。わたしは後ろに行く」

柴崎「それじゃ詰めますぞ、のりさんどうぞ」

のり「はい…ありがとうございます」

バタン バタン

みつ「それじゃじゅんじゅん、案内して」

ジュン「…はい」
580 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 20:25:46.54 ID:uTZ03xU0
【廃ビル】

みつ「ここ…? 危なくない?」

ジュン「水銀燈が言ってました。 上の階に上れば、人はまったくこないって」

巴「わたしたちは飛べないよ…」

ジュン「…がんばって歩こう」

柴崎「…人影はないようじゃ、いまのうちに」

バタン バタン

ジュン「あれ… みっちゃんさん、柴崎さん?」

みつ「じゅんじゅん、悪いけどわたしたちは一回帰るね。…わたしは会社に行くから」

柴崎「わしは、ばあさんと出かける用事ができて… すぐ戻ってくる」

ジュン「そうなんだ… 気をつけてください」

みつ「じゅんじゅんこそ、がんばってね」

柴崎「正念場じゃぞ!」

ブロロロロロロ



ジュン「…よし、それじゃ行こう」
581 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 20:41:10.34 ID:pXrM/iI0
カツ カツ カツ

ジュン「足元、気をつけて」

のり「ジュン君、大丈夫? 銀ちゃんだっこしたままで…」

巴「疲れたら言って、変わるから」

ジュン「ありがとう、まだ大丈夫」

コツ コツ コツ

巴「…あ、通路が…」

のり「これ… バリケード、って言うんだっけ?」

ジュン「…巴、水銀燈をお願い」

カツ カツ

ジュン「(あんまり、音は立てないように…)」

ブォン
582 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 20:42:34.60 ID:pXrM/iI0
ジュン「…っ!!」

ガシュッ!!

ジュン「…ふっ! …やっ!」

バシュッ ザギッ!

ジュン「…ふぅ」

巴「ジュン君、すごい…」

ジュン「足元を片付けるから、ちょっと待ってて」

のり「あとで、みんなも来るだろうしね…」

カツ カツ カツ




ジュン「…よし、ここだ」

ギギギギィ
583 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 21:02:44.91 ID:BRUzP0Q0
のり「わぁ、広い…」

巴「…吹き抜けになってるんだ」

ジュン「これだけ広ければ、音がしても多少なにかあっても大丈夫」

のり「…あ、あのソファでいいかな」

ジュン「うん。 …毛布をしいて使おう」

巴「明かりもつけるね」

パアッ

のり「…やっぱり暗いね」

巴「懐中電灯3個だから…」

ジュン「手元だけ照らしてくれれば大丈夫」

ギシッ

ジュン「よし、それじゃ…」

サス サス 

クイッ  カチリ




水銀燈「…」
584 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 21:04:36.20 ID:BRUzP0Q0
(…暗い)



(寒い…)



(ここは…)

…オカアサマ

(? あなた…?)

オカアサマ…

(そう、ようやく起きたのね… 心配したのよ)

…ゴメンナサイ

(あやまらなくてもいいのよ。 …ちゃんとお礼を言いたかったの)

オレイ?

(あなたが、生き人形からわたしを助けてくれたんでしょう? …ありがとうね)

…ソンナ… オカアサマ…オカアサマ…

(…どうしたの? また、泣いちゃって)

…ガンバッテネ

(…ふふ、大丈夫よぉ)




水銀燈「ん…」
585 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 21:06:30.66 ID:BRUzP0Q0
のり「あ…」

ジュン「…水銀燈」

水銀燈「…ジュン? お姉さま…」

巴「大丈夫?」

水銀燈「ええ… ここは?」

ジュン「君が教えてくれた、廃ビルの中だよ。ここなら誰も来ない」

水銀燈「…はじめるのね」

ジュン「ああ。 …こんな散らかったところで悪いけど」

水銀燈「構わないわ。 わたしは『マリア』になるのよ?」

巴「え? あ、ああ、そうか…」

水銀燈「そう。馬小屋よりはこっちのほうがマシよぉ」ケラケラ

のり「…銀ちゃん」

水銀燈「ふふ、大丈夫よぉ。 …ジュンがついてるから」
586 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/15(水) 21:07:33.56 ID:BRUzP0Q0
ジュン「…それじゃ、手順は説明したとおりだけど」

水銀燈「ええ、まずあなたがわたしにエネルギーを吹き込むのね」

ジュン「結晶が出てこようとするはずだから、きみは自身の力すべてを自分の体に向けて、崩壊を防ぐんだ」

水銀燈「そしてあなたが私のおなかに切れ込みを入れたら…」

ジュン「一瞬だけ力をゆるめて。 ゆるめっぱなしでも、いれっぱなしでも被害が大きくなる」

水銀燈「…やってみるわ」

のり「…ふたりとも、がんばってね」

巴「ジュン君、こんな感じ?」

パアァ

ジュン「もうちょい右… うん、そこ」
587 :1 [saga]:2009/04/15(水) 21:13:41.68 ID:yhcZjI60
>>577支援どうもです。ちょっと少ないけど今回は終了。次回は明日の夜。
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 21:47:08.31 ID:er5z7UIo
おっつ
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 21:51:04.52 ID:wjwsuVMo
乙乙
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/15(水) 22:07:52.33 ID:e/XNk4so
乙!
591 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 20:33:07.20 ID:mBzec/g0
>>588-590
どうもっす。再開します〜
592 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 20:35:40.23 ID:mBzec/g0
巴「それじゃ…」

ジュン「うん。 …はじめるよ」

水銀燈「わたしも、いつでもいいわ。 …来て」


ギシッ


ジュン「…ん」チュ

水銀燈「んむっ…」


チュウウウウウ


ジュン「…」

水銀燈「ん…」


チュウウウウウ


巴「(神様…)」


ドクン


水銀燈「(…来たわ)」ツンツン
593 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 20:51:17.28 ID:ZplUyqU0
ジュン「(ん。 OK)」ツンツン


パアァァァ…


巴「あ! おなかが、光って…!」

水銀燈「う…んっ」

ジュン「(大丈夫?)」トントン

水銀燈「(平気。 来るのがわかってれば、なんてことない)」ツンツン

ジュン「(よし、もうすこしエネルギーを入れてみよう)」


チュウウウウウ


ドクン ドクン


水銀燈「ん…」

ジュン「(もうちょっとかな)」

のり「…銀ちゃん…」ギュウウウウ
594 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 20:52:52.41 ID:ZplUyqU0
ジュン「(あとすこし入れてみる)」トントン

水銀燈「(お願い)」ツンツン


チュウウウウウ


ズキン


ジュン「(?)」


ズキン ズキン


ジュン「(あれ? この感じ…)」

水銀燈「(どうしたの? ジュン)」

ジュン「(いや、なんか変な感じが…)」



(!!!)



水銀燈「(あぁ… わたしとあなたの心がつながったのね。 契約のときと同じように)」

ジュン「(ま、まずい!!)」
595 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 20:55:09.58 ID:ZplUyqU0
水銀燈「(…そう? 合図でやりとりする手間がはぶけるわ)」

ジュン「(い、いや、その…)」

水銀燈「(もうすこし、エネルギーを入れてみてもいいんじゃない?)」

ジュン「(…)」


チュウウウ…


ズウン!!


ジュン「うぐっ!!」

水銀燈「うぅっ!?」

巴「ジュン君、水銀燈?!」

のり「どうしたの?!」

水銀燈「(な、何なの? 今のは…)」






(ローゼン「私は… お前に、―ことを…」)
596 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 20:58:37.30 ID:ZplUyqU0
水銀燈「(あら… これは、お父様の…?)」

ジュン「(な?! …ダメだぁっ!! 思い出すなっ!!)」

水銀燈「(ジュ、ジュン?!)」



(ローゼン「許して… ―言えない、私は―」)



ジュン「(ああ、ああ、記憶が流れ出してしまう…!!)」

水銀燈「(な…?! なに、これ…! ジュンの記憶? でも、こ、これは…!)」

ジュン「(こ、こうなったら、くちびるを離さないと…!)」





(ローゼン「水銀燈、悲しまないでおくれ… これでよかったのだから…」)
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/16(木) 21:31:41.71 ID:N7GnAa.o
わっふるわっふる!
かつてないほどのワクテカだ……!
598 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 21:53:35.51 ID:ZplUyqU0
ジュン「んむぅうっ! んぐうっ!!(か、体が動かないっ…?!)」

巴「ジュン君!!」

水銀燈「うぅぅっ! うぐくっ!!(ああ、あああ… なんてこと…!)」

のり「銀ちゃん!!」



(「いやっ、いやっ! やめて…お父様が、お父様が死んじゃうっ!!」)


水銀燈「(なんてこと…わたし、わたし… この感覚…)」


(「わたし、そんなつもりなんてなかった… お父様を追い詰めるつもりなんて…」)





水銀燈「(わたし… この感覚、覚えてる…)」
599 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 21:54:54.85 ID:ZplUyqU0
(「わたしはただ… お父様を、愛したかっただけ… 愛されたかっただけ…」)


水銀燈「(おなかに結晶が宿る感覚も… 結晶が飛び出すときの感覚も…)」


(水銀燈「ああ、いや…もういや! あなたたちさえ、あなたたちさえいなければ…」)





(わたし、はじめてじゃ、ない…)



(こうやって、結晶を再生して… 産み出すの…)



(わたし… わたし… お父様と…)






(…)
600 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 23:04:13.44 ID:senrjKw0
【???】

コポ コポ コポ


(…ここは… お父様の、工房…?)


シューーーーー


(…あそこにいるのは… お父様と…?)


ローゼン「…目覚める…」

???「…ん、んっ…」


(あれは…なに…?)


???「…あ なた、 は …?」
601 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 23:05:27.12 ID:senrjKw0
ローゼン「おはよう…はじめまして。 わたしはローゼン。 君の…父親だ」

???「ちち…おや?」

ローゼン「そう… お父様だよ」


(え… あれは…?)


???「おとう…さま…」

ローゼン「そしてきみは、わたしの娘だ。 …命の謎をとく鍵となる」

???「いのち…?」

ローゼン「そう。生命の神秘を… いや、まずは君に名前をつけよう」
602 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/16(木) 23:07:45.97 ID:senrjKw0
???「…なまえ?」

「いい名前を用意したんだ。私が今、研究している品からとらせてもらった」


(これは… まさか、これは…)


「まだ理論の段階だけれど。完成すれば、きっと希望の光となる」

???「きぼうの、ひかり…」

「人の手による照明でありながら、太陽と同じ命を与える光をもたらすもの…」


(そんな、でも、これは…!)


「すべての人に命の恵みをあたえられることを願って、君にこの名を贈ろう」


(あれが… わたしだというの…?)





「【Mercury Lumpe】 …今日からきみは、『水銀燈』だ」

水銀燈「…はい、お父様」
603 :1 [saga]:2009/04/16(木) 23:10:38.12 ID:DRHl2Bk0
今回はこれで中断。次回再開は少し間が空きます。
土日にできれば…
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/16(木) 23:11:41.71 ID:nhJMZkIo
乙!
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/16(木) 23:12:39.89 ID:n9aLT7Eo
おつつ
何度も言うがきらきーは俺の娘だからお前らよろしくな
606 :1 [saga]:2009/04/16(木) 23:13:08.43 ID:WaaAc/.0
>>597
支援どうもです〜
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/16(木) 23:43:01.71 ID:N7GnAa.o
>>606
無理せずがんばってくれよな!
乙!
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/17(金) 00:01:58.90 ID:mTTHdUQo
おっつ
609 :1 [sage]:2009/04/17(金) 10:06:30.55 ID:SesW1EA0
>>604
乙どもです〜

>>605
何してんすかお父さん(ぉ
610 :1 [sage]:2009/04/17(金) 10:09:40.10 ID:SesW1EA0
>>607
気遣いどもです。ゆっくりやりますがご勘弁。

>>608
乙どもです〜
611 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 22:09:45.20 ID:UVpjs/s0
それでは再開します〜
612 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 22:14:12.40 ID:UVpjs/s0
(うそ… あれが、わたし…? 頭と胴体だけだからよくわからないけど…)



(それにしても、大きすぎない…? いったい、どういうこと…)



(あ… また… 意識が…)



(引っ張られる…)



(…)




ローゼン「…起きているかい」

水銀燈「はい…」
613 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 22:28:55.15 ID:jB5lheQ0
(ここは… さっきと、同じ場所?)



ローゼン「ついに、完成したんだ」ポォウ

水銀燈「これが? …きれい」



(あれは!)



ローゼン「そう… 生命と精神の結晶」



(あれが… あんなに大きいなんて…)



水銀燈「これが、わたしたちに命と心を与えてくれるのですか…?」

ローゼン「正確に言うと、少し違う」



(えっ?)



ローゼン「宇宙に存在するすべてのものは、命と心の萌芽を持っている」

水銀燈「そうなのですか?」

ローゼン「草木も、石ころも、吹き渡る風や流れる水でさえ…」

水銀燈「…わかるような気がします」



(そんな…)
614 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 22:54:44.86 ID:Ts24X960
ローゼン「そして、当然君も命と心を持っている。ただ、弱いというだけで」 

水銀燈「わたしにも… 命と、心が…」

ローゼン「…けれどこの結晶があれば、生命と精神の働きを増幅することができる」



(え? ぞ、増幅って…?)



水銀燈「…わたしも、心から笑ったり泣いたりできるようになれるのですか…?」

ローゼン「ああ、なれるとも。 ただそのためには、心を育てなくてはいけない」

水銀燈「育てる?」

ローゼン「そう。 この結晶は、心の弱さ醜さも増幅してしまう」 



(えっ?! …そ、そんな! それでは…)



ローゼン「元の心が弱ければ、増幅してもふくれあがった弱い心にしかならない」
615 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 22:58:04.67 ID:Ts24X960
(うそ… うそよ!)



ローゼン「だから、この結晶で心を得たら、それを大事に大事に育てていくんだ」

水銀燈「…はい」

ローゼン「そうすれば、いずれ結晶に頼らずとも豊かな心を持てるようになるだろう」

水銀燈「わたしに、心が…」

ローゼン「…そのときこそ、きみたちは真に完成するのだ」



(な…バカな! それでは、アリスゲームは…?!)



ローゼン「まずは、この結晶を君に贈ろう。 これで、わたしと君は本当の親子になる」

水銀燈「親子に?」

ローゼン「この結晶は、わたしの命と心を使って作ったのだよ」

水銀燈「…お父様の命と心をいただけるのですね」

ローゼン「そう。 そして、今度は君がその結晶を妹たちに分け与えるのだ」

水銀燈「…あの子たちに?」
616 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 23:22:44.26 ID:6kT6Cus0
ローゼン「そうすれば、きみたちが今度は親子になれる」

水銀燈「…嬉しい」

ローゼン「では、受け取ってくれ。わたしの命と心を…」

水銀燈「はい…」

ローゼン「『奇ゆしき薔薇』…【Rosa Mistika】を」

水銀燈「…聖母のメタファですね」

ローゼン「そう。君は『マリア』となるのだ」



「処女のまま、御子を宿し産んだ聖なる母に…」



(そんな… そんな…)


(ローザミスティカは、わたしたちを「究極の少女」にする結晶ではなかったの…?)


(それじゃ、いったい、アリスゲームはなんのために…)





(…)
617 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 23:36:34.44 ID:byfiaRU0
コポ コポ コポ



(…また、ここなのね…)



ローゼン「おはよう、水銀燈」

水銀燈「…おはようございます」

ローゼン「具合はどうだい? 結晶を分離したばかりだから、一時的に機能が落ちると思うが」

水銀燈「…大丈夫です。 あの子たちは?」

ローゼン「ふふ、説明するより見てもらうほうがいい。 …入ってきなさい」

ガチャン パタパタパタ

水銀燈「まぁ、あなたなのね?」

ローゼン「さあ、ご挨拶なさい」



(…あ、あの子は!)



金糸雀「はいっ、お父さま! …ご機嫌いかがかしら、お母さま?」
618 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 23:37:49.86 ID:byfiaRU0
水銀燈「ふふっ、元気ねぇ… まるで、ほんとうに人間の子供みたい」

ローゼン「うーん… そういうときは『かしら』ではなく『ですか』のほうがいいね」

金糸雀「わかりましたかしら!」

ローゼン「…そういうときは『かしら』はいらないよ」

金糸雀「???」

水銀燈「ふふふふ。 …金糸雀、ほかのみんなも呼んでくれる?」

金糸雀「はいっ!」 パタパタ

ローゼン「うーん、演算機能を高めすぎたかな… 言語機能が若干…」

水銀燈「気になさりすぎですわ。素直で明るくて、とてもいい子…」

ローゼン「…そうかな?」
619 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 23:39:58.81 ID:byfiaRU0
パタパタ

金糸雀「連れてきたかしら!」



(ああ、ああ、あの子たちは…)



蒼星石「失礼します、お父さま」

翠星石「…失礼します」

ローゼン「よく来たね。 お母さまにご挨拶なさい」

水銀燈「いらっしゃい、みんな。 …元気そうでよかったわ」

蒼星石「お父さまとお母さまのおかげです」

翠星石「…ありがとうございます」

水銀燈「ふふ、そんなにかしこまらなくていいのよ? わたしたちは親子なんだから…」

蒼星石「…はい」

翠星石「…お母さま」

水銀燈「なあに?」

翠星石「お母さまは、いつ起きられるようになるの?」
620 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/18(土) 23:41:45.72 ID:byfiaRU0
ローゼン「…もうしばらくかかるんだ」

金糸雀「そうなのかしら…」

蒼星石「だめだよ翠星石、そんなことを聞いちゃ…」

水銀燈「…いいのよ。 私も早く、あなたたちといっしょに出歩けるようになりたいわ」

金糸雀「…お母さま」

ローゼン「…それじゃ水銀燈、そろそろ休んでおくれ。私は、この子たちを診るから」

水銀燈「はい…」

ローゼン「それじゃみんな、行こう。 …今日はそうだな、歌のお稽古でもしようか」

金糸雀「はいっ、お父さま! …おやすみなさい、お母さま」

蒼星石「…それでは、失礼します」

翠星石「早く元気になってね…」

パタ パタ パタ バタン
621 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 00:02:45.82 ID:n72bpho0
水銀燈「(…よかったわ。みんな、心が芽生えてる)」 

コポ コポ コポ

水銀燈「(金糸雀も元気そうだし、あのふたりにも個性が生まれてる)」

コポ コポ コポ

水銀燈「(結晶がなかったときにさえあった想いが、いまはとめどなくあふれだす…)」 



「(ああ、あの子たちがいとおしい)」



(あの子たちが… わたしと、あんなに楽しそうに語らって…)


(え? 『わたしと』…? 今まで気づかなかった、でもこれって…おかしい…)


(なぜわたしは、わたし自身の姿を外から見ているの?)


(わたしがあそこにいるのなら、この視点はいったい誰のもの?)


(ここにいるわたしは、なんなの? わたしはいったい誰なの…?)





(教えて… お父様…)

ヨロリ

水銀燈「…あら? あの子…」
622 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 00:04:02.26 ID:n72bpho0
フラ フラ

水銀燈「勝手に動いて… だめよ、危ないわ」

ヨロ ヨロ フラリ

水銀燈「あ、危ない…!」

ヒシッ

???「…危なかった」



(…あなたは!?)



水銀燈「あら、あなたも起きられるのね? さっき来なかったから心配したわ」

???「すみません、お母さま。 …ついさきほど目覚めました」
623 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 00:06:04.58 ID:n72bpho0
水銀燈「ふふ、よかったわ。 あなたはとても素敵な子だから…」

???「そんな…」



(まさか…)



???「…さあ、ここでじっとしてなさい。お姉さまたちに見つかったら、叱られてしまうわよ?」

水銀燈「あなたもこっちに来て、顔をよく見せて。…真紅」

真紅「はい、お母さま」



(なぜ… なぜ?!)



パタパタ

真紅「お母さま…」

水銀燈「(…この子が、真紅… お父さまの理想を形にした子…)
624 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 02:50:02.28 ID:WC/Ql8s0
真紅「お母さま…?」

水銀燈「(ああ、想いが… 想いがとまらない…)」

真紅「お母さま…」コンコン

水銀燈「な、なあに?」

真紅「お母さま… 泣いてらっしゃるの?」

水銀燈「!」 

真紅「お母さま… 泣かないで…」ピトッ

水銀燈「なんでも…なんでもないのよ。 さあ、お父さまのところへ行っておあげ」

真紅「…はい」

パタパタパタ




水銀燈「(…なんて子なんだろう。 溶液に浸かっているわたしが、泣いているってわかるなんて…)」

コポ コポ コポ

水銀燈「(人間なみに、いやそれ以上に感受性が鋭い… あれが、お父さまの理想…)」
625 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 02:55:23.32 ID:WC/Ql8s0
水銀燈「(ああ、ああ… 感情が、かたまりになってわきあがってくる…)」 



「…早くここを出たい」



「あの子たちをこの手に抱きたい」



「あの子たちとともに歩きたい」



「あの子たちと…」グ グッ



(…こっちを見た?!)



水銀燈「わたしもあなたのように、出歩くことができたなら…」






(…え? …えっ?!)


(いや、いや、そんな… まさか…)


(わたしは… わたしは…)





(…)
626 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 02:56:45.61 ID:WC/Ql8s0
ここで終了。続きは書ければ明日。
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/19(日) 03:10:21.72 ID:.kU/eZwo
おつ
どういうことか気になるね
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/19(日) 03:25:50.32 ID:8FmDwVEo
おつつ
寝てしまったのかと思ったぜ
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/19(日) 08:29:30.45 ID:Q/N3vkAO
乙です
630 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [sage]:2009/04/19(日) 10:17:01.88 ID:pMEEsNo0
>>627
頭の中にあったものを文に起こすとますます重くなって、自分でもこの先どうなるのかわからん状況です…

>>628
実は寝てました^^;

>>629
乙どもです〜
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/19(日) 13:17:07.08 ID:YZLyrIso
おっつ
632 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/19(日) 23:58:59.30 ID:dTWQ5wg0
乙どうもです。再開します〜
633 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:02:06.71 ID:r1NXclM0
(…また、ここ…)


コポ コポ コポ


(誰もいない… 『わたし』も寝てるみたい…)


コポ コポ コポ


(? なにか、聞こえる…)


キャッキャ パタパタ アハハハ


(笑い声… みんなかしら)


水銀燈「…みんな?」


(!)


パタ パタ パタ


(…誰か、来る?)
634 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:03:41.63 ID:r1NXclM0
カチャリ キィ


水銀燈「あら… どうしたの?」

真紅「お母さま… 起きてらっしゃったのですね」


(真紅… あら?)


パタ パタ パタ


(こっちに、来る…?!)


真紅「…あなたも、起きてる?」


(な… なにを…)


真紅「お母さま、この子も連れて行ってあげたいの」
635 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:05:26.81 ID:r1NXclM0
水銀燈「そうなの? …でも、お父さまやほかのお姉さまには内緒よ」

真紅「はい。 …立てる?」


(真紅…)


ヨロリ フラ フラ


真紅「つかまって」


(く、うまく立てない、歩けない…)ヒシッ


真紅「それでは、お母さま…」

水銀燈「気をつけてね」


パタ パタ フラ フラ ガチャン
636 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:08:09.03 ID:r1NXclM0
(…なぜ?)


真紅「…いっしょに来たかったんでしょう?」


(え…?)


真紅「だってあなた、ずっとわたしたちを目で追っていたもの」


(…)


「でも、お父さまには内緒よ。 未完成のあなたが出歩いてたなんて知れたら…」


(…未完成? わたしが?!)


「…ジャンクにされてしまうわ」





(な、なっ…!!)
637 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:17:27.38 ID:OOrxd/w0
真紅「嘘じゃないわ。…わたし、見たんだから」



【数日前】

人形「あ… ぁ… あ…」カクカクカク

ローゼン「(だめだ、もう治せない…)」

真紅「…お父さま、その子をどこへ?」

ローゼン「…ここじゃ治せないから、ちょっと遠いところにね」


ガチャン バタン


真紅「…」




パタパタパタ
638 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:18:49.18 ID:OOrxd/w0
コツ コツ コツ


真紅「(ここは… 地下室…)」


コツ コツ コツ


真紅「(危ないから、来てはいけないといわれていた場所…)」


コツ コツ コツ


真紅「(明かりが…? お父さま…)」

ローゼン「…すまない」

真紅「 ! 」サッ

人形「あ… ぁ… あ…」カクカクカク

ローゼン「お前がジャンクになってしまったのは、私のせいだ…」

真紅「(あれは… 釜?)」

ローゼン「人形にも魂があるのなら、せめて苦しまずすみやかに天に召されんことを…」


カチリ


人形「ぁ…」カクン

ローゼン「…さよなら」ポチャリ 




ジュワァァァァァ…




真紅「(ひ…!!)」
639 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:20:22.85 ID:OOrxd/w0
(そんな… お父様が…)

真紅「…だから、勝手に動いちゃだめよ。 お母さまはきっと黙っていてくれるけど」


パタパタ ヨロヨロ


真紅「お父さまや、お姉さまに知られたら… ときどきなら、わたしがこうして一緒に歩いてあげるから」


パタパタ ヨロヨロ


キャッキャ アハハハ
 

(笑い声…)

真紅「(…ここよ)」ソーッ

(お父さま… みんな…)

真紅「(ちょうど今、終わったところみたい)」
640 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:34:49.53 ID:4WIlKl.0
(どれどれ…)




雛苺「ヒナがいちばんなのー!」

翠星石「…ずるいですぅ」

蒼星石「綱引きじゃ、雛苺には勝てないよ…」

金糸雀「しかたないかしら。 お父様、ヒナ、いってらっしゃい」

ローゼン「みんなは、仲良くお留守番してるんだよ。 雛苺は、静かにね」

雛苺「いい子にしてるのー!」



(楽しそう…)

真紅「(あの子が雛苺、5番目の妹。 わがままで甘えん坊)」

(…)

真紅「(いつも外に出たいって騒ぐものだから、お父さまは今日のアリスゲームをわざとあの子が得意な力勝負にしたの)」

(へぇ…)




(なっ… なんですってぇ!?)
641 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:39:24.54 ID:4WIlKl.0
真紅「(しーっ! 大きな声だしちゃだめ!)」

(…で、でも、いま、あなた…)

真紅「(…あの子、すごいのよ? あんなに小さいけど、腕力だけなら馬車を引けちゃうくらいあるんだから)」

(そ、そうじゃなくて… いま「アリスゲーム」って…)

真紅「(…ああ、お父さまが考えたの。 お父さまは、わたしたちが『アリス』になれるようにいろいろお稽古してくれてるんだけど…)」

(ア…アリス?)

真紅「(うん。 『究極の少女』だって。 たしか…)」



(「君たちは人ではないが、心を持っている。 人と分かり合うことができる」)


(「人とともにあり、人を愛し愛され、ともに成長し、かつ輝きを失わない。…そんな少女になってほしい」)


(「子供のころ読んだ絵本の少女が、大人になってからもまぶしく心に映るように」)


(「…そう、わが友人の手による、夢のなか、鏡のなかを行き来する少女…」)



真紅「(『アリス』のように、だって」)」




(…お父様)
642 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:41:55.09 ID:4WIlKl.0
真紅「(でもただのお稽古だとみんなあきちゃうし、それにみんないつもお父さまをひとり占めしたがってる)」

(…)

真紅「(だからいろいろなことで競争させて、一番になった子がその日だけお父さまを独占できるように決めたの)」

(そんな… まさかそれが…)

真紅「(そう、アリスゲーム。 私は昨日勝ったから、今日はお休みなのよ)」

(うそ… うそ… そんなことって…)

真紅「(? …どうしたの?)」



(うそよ…)



真紅「(?! …しっかりして!)」

643 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 00:46:22.91 ID:4WIlKl.0
水銀燈「…誰か、来る?」


パタパタパタ


真紅「お母さま、この子が…!」

水銀燈「どうしたの? …よくお見せ」


(あ… あ… ぁ…)


水銀燈「(なにか… ショックを受けてるみたい)」

真紅「急に、動かなくなっちゃったの…」

水銀燈「…真紅、その子をしっかり支えててちょうだい」

真紅「え? …こう?」


ヨイショ


水銀燈「そう、そこ。 …いくわよ」


ポォウ


真紅「きゃっ!?」


(あ… あたたかい…)


水銀燈「…これで大丈夫」
644 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 01:03:15.15 ID:OOrxd/w0
真紅「…いまのは…なに…?」

水銀燈「わたしの力。 使ったって事、お父さまには内緒よ」

真紅「…はい。 お母さま…」

水銀燈「なあに?」

真紅「この子にやさしくしてくれて、ありがとう」

水銀燈「…いいのよ。 さあ、お行きなさい」

真紅「…」パタパタパタ



水銀燈「やさしい子… でも…」
645 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 01:04:11.43 ID:OOrxd/w0
コポ コポ コポ


水銀燈「(自分より弱いものにやさしさを向けられる。 …それは尊いこと)」


コポ コポ コポ


水銀燈「(…けれど、裏に闇を抱えていることでもある)」


コポ コポ コポ


水銀燈「(あまりに人間らしい心を持ったあの子。 ならば、心の闇までも持っているのかしら…)」





(…わたし…)



(いったい、なにがあったの?)



(いったい、何をしてきたというの?)



(教えて… 誰か…)
646 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 01:05:13.79 ID:OOrxd/w0
これにて中断。再開は明日夜。
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 01:06:35.97 ID:hfLPQ6so
おつ
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 01:09:23.36 ID:OVSj3dYo
おっつ
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 01:13:03.00 ID:0Kqso9co
おつつ
さっさと明日になって欲しいですぅ
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 02:17:58.37 ID:N67Fvsoo
ぃちゃ、ああっおにぃちゃぁんっ

舐め上げた瞬間、妹が体をピクッと震わせ顔を背ける。



妹は体を硬直させると、ガックリと力を抜いた。

ふん!と、軽く意志すると、近くの惑星が爆発した。

洗面所に入った時に、風呂上りの全く何も身につけていない状態を見てしまっ

あんっ

ビクンビクンと妹の体が震える。

それに入れるまでは気持ち良さそうによがってたあれだけ感じてたく


                  
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 03:08:28.34 ID:4VJwGXUo
ロデ自身が,自分の兄弟フィリポの妻ヘロディアのために,人を遣わして,ヨハネを

人を聞こえるように,また口のきけない人を話せるようにさえするのだ!

苦痛の表情がたまらない快感となり、射精感が高まっていく。

1542 すでに夕方になっていた。準備の日,すなわち安息日の前日だったので, 154

舌を押し込み、妹の小さな舌を見つけると絡め、吸い上げる。

その事に興奮が高まった司郎は、最後とばかりに腰を激しく動かしていく。

た。 815 彼は彼らに命じて言った,このことを思いに留めなさい。すなわち,フ

ネルギー塊の激光と化し、衛星を破壊しまくりながら



何のことはない、妹の怒りは治まっていなかったのだ。
              
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 04:17:46.54 ID:Ds2pqwso


だ。



今まで背後からであるため見えなかったが、それはたまらない表情だった。

612 彼らは出て行って,人々が悔い改めるために宣教した。 613 彼らは多くの悪霊

心はともかく、肉体が司郎を求めているのは確かな様だ。

いた。

ありとあらゆるものに意識が転移した。次々、すべてに融合し、溶融の感触は、

っていないからだ。 83 もし彼らを空腹のまま家に帰らせたら,途中で気を失ってし

あっ!はぅっ、あっ、ああああっ!
           
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 05:07:08.59 ID:MMblxXMo
両親に知られる事を恐れていたのは司郎なのだ。

真奈美ぃっ真奈美ぃっ

ああ!!

とどまりなさい。 611 だれかがあなた方を受け入れず,あなた方の言うことに耳を

ああっ、あっ、あんっやぁぅっ、はぁっ、ああんっ激し、ああっ



その時、それまで微動だにしなかった妹がゆっくりと起き上がった。

て彼の舌に触った。 734 天を見上げて嘆息し,彼に向かって,エッファタ!,

今まで自分が想像していたのよりも、断然美しい裸体だった。

729 彼は彼女に言った,その言葉のゆえに,帰りなさい。悪霊はあなたの娘から出
             
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/20(月) 06:12:34.45 ID:HWjSboAO
>>1
乙です
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 06:38:20.01 ID:5l0pWVYo




まうだろう。彼らの中には遠くから来ている人もいるからだ。

ヌメヌメと蠢いている。

824 目を上げて言った,人が見えます。木のようなものが歩き回っているのが見え

う事は何でも聞くの。いい?

強姦された時の記憶が蘇ったのだろう、妹は震えながら体を抱きしめる様にし

る。灰になる。いや、灰になることすらも許されない

810 すぐに彼は弟子たちと共に舟に乗り,ダルマヌタ地域に入った。 811 ファリサ

ビクビクと最後の放出を終えた肉棒を引き抜くと、司郎は妹の体に倒れこんだ
               
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 07:26:11.00 ID:zs435sIo
行為が終わると罪悪感が押し寄せる。

妹がビクッと体を震わせて、今まで聞いた事のない様な甘い声を上げた。



ま、いいわ。お出かけしましょう!この星から少し離れなきゃ

やっ、はっ、ああんっおにぃ、あっお兄ちゃん、ああっお兄ちゃ

はないか。その姉妹たちは我々と共にここにいるではないか。人々は彼のために不

殿を壊して三日で建てる者よ, 1530 十字架から降りて来て自分を救ってみろ!

初めてみる女の秘所。



肉欲に侵された脳は冷静な判断を奪ってしまった。
             
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 08:14:09.31 ID:oKWElQko
あぐっ、あっ、おにぃちゃ、ああんっや、止め、あぅっだ、駄目ぇ、

状態に突入していた。

以前の様に痛がらないことにホッとしながら、さらに腰のスピードを早める。

ボソッと呟く。

た。そして,泣いたり,大声で泣きわめいたりする騒ぎを目にした。 539 中に入っ

彼女の血の流れは乾き,彼女は自分が苦しみからいやされたことを体の内で感じた。

老いることのない体。自在に姿を変えることのできる体。カンタンにはもはや死

ユダヤ人の王という罪状書きが記されていた。 1527 彼と共に二人の強盗をはり

そう言い放つ妹の顔は、教科書で見た般若の面ソックリだった。

や水差しや銅器や寝いすを洗うことなど,他にもたくさんある。 75 ファリサイ人
             
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 09:02:15.18 ID:TVJ6L/Yo
グラビアで水着姿のアイドルを何度も見ていたが、妹の裸体はそんなものとは



柔らかい何て柔らかいんだ

て,すべての食物は清くされるからだ。 720 彼は言った,人から出て行くもの

そんな生活がしたいか?嫌だろ?お前が黙っていてくれればそれが避

布団に横たわり、目を瞑ってある光景を思い出しながら一物をしごく。



“ぬばたま”がひり出た。幽体離脱であった。ボディより御魂みたまは、浮

彼らはパン切れや魚を,十二のかごいっぱいに拾い集めた。 644 パンを食べたのは*

と一緒にいました!
            
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 09:51:35.74 ID:Qmw4p02o


体をガクガクと揺らしながら、腰を激しく小刻みに動かす。

535 彼がまだ話しているうちに,会堂長の家から人々が来て言った,あなたの娘さ

トか。



顔を上気させながら、はぁはぁと荒い息を吐いてぐったりとしている。

星の巫女であった。

それらとも融合し、それらとも絡み合い――。

1535 そばに立っていた者たちの何人かは,それを聞いて,見ろ,エリヤを呼んで


     
660 :1 [sage]:2009/04/20(月) 10:46:10.81 ID:uvpnTJc0
>>647-649>>654
乙どうもです〜
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 11:43:01.09 ID:Izex0coo
妹の体がピクンッと震える。



なってもっそれはお前のせいだからなっ俺の

それがオナニーとは比較にならない、とんでもない快感をきっと与えてくれる

ほらほらっこれでどうだっ?これでも気持ち良くないって言うかぁっ

小さいながらもムニュムニュといった感じで形を変える乳房は、思春期の少年

ば,わたしの神,わたしの神,なぜわたしをお見捨てになったのですかという意

一度目にしてしまった生の女体。

そうなったらこのまま家にいるのに耐えられるとは思えない。

魂舐めたまなめ、魂揉みたまもみに、もう死んでいるのに、更に追い討
           
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 15:46:05.45 ID:VK5lwUIo
ぎた。視覚だけでなく、精神でも知覚できた。恐るべき霊力の圧倒的な、桁違い

ビクンビクンと妹の体が震える。

妹はすでに兄の行為を否定するのを忘れたのか、頭を左右に振って髪を振り乱

かしくなっちゃうぅっあっ、はぁっ、ああんっあああああっ!

多分、何を言っても無視するという意思表示なのだろう。

を裂き,人々に配らせるためにそれを弟子たちに与え,弟子たちが群衆に配った。 8

い、そして――

お前だってっ気持ちいいんだろっ?俺としたいんだろっ?もっと正直になれよっ

だが頭にかかる力の方向は、離そうとするより、押し付けている様に感じられた。

お、終わり?
                
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 19:19:40.93 ID:tsYmUfAo
>>569
728 しかし彼女は彼に答えた,そうです,主よ。でも,食卓の下の犬たちでさえ,

妹は胸を両腕で隠すようにしながら、いつもと違う兄の様子に驚いた表情を浮かべている。
だがしょせんその程度の力では司郎を離すことはできない。
ふ〜〜ん、じゃあ、これは何なんだぁ?お前のここから出てくるこれはぁ

だが数日に渡る酷い扱いにより、その事は記憶から消え去ってしまっていたのだ。
に行きなさい。あなたの病気からいやされなさい。

            
664 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 20:58:33.50 ID:G5BUgzo0
それでは再開します〜
665 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:02:56.22 ID:G5BUgzo0
コポ コポ コポ


ローゼン「…数値は異常なし。 経過は順調、と…」カリカリカリ

水銀燈「…お父様」

ローゼン「なんだい、水銀燈」

水銀燈「…私は、いつ起きられるようになるのですか?」

ローゼン「うーん…」


カリカリカリ


ローゼン「まだ、大分かかってしまいそうなんだ」

水銀燈「…そうなのですか」

ローゼン「すまないね…」
666 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:05:15.43 ID:G5BUgzo0
水銀燈「お父さま、わたし…」

ローゼン「なんだい?」



(肉体はほぼ完成しているから、起動させようと思えばできる。しかし今は、機能を半分以上停止させてある)


(起動させてしまうとたぶん、それらの機能が与える負荷に、いまの彼女では耐えられないだろう)


(時間が許す限り、ゆっくり彼女の精神と生命を育てていきたいところだが…)



水銀燈「…できれば早く、あの子たちを抱けるようになりたい」

ローゼン「そうか…」
667 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:07:50.72 ID:G5BUgzo0
(控えめなこの子がここまで言うとは、よくよくのことなのだろう。 なんとかしてやりたいが…)


(機能を制限した状態で起動しようか? しかしそれでは、調整のたびにまたここに入ってもらわなくてはならなくなる)


(起動と停止、再起動を繰り返すことになり、彼女に与える負担が大きい…)



ローゼン「ん…?」

水銀燈「…お父様?」

ローゼン「…」スック


スタ スタ スタ


水銀燈「(あ… あの子を…!)」

ローゼン「…初めての試みだが」ヒョイ
668 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:10:53.62 ID:G5BUgzo0
(きゃっ!?)


ローゼン「『これ』が、使えるかもしれないな」


(…『これ』? そんな、そんな…)


水銀燈「(お、お父様…! その子は…!)」

ローゼン「試してみる価値はあるかな」コトン


スタ スタ スタ

ガチャン バタン



(…『これ』? わたしのこと…?)


ヨロ ヨロ


水銀燈「(あ…! あの子!)」
669 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:13:15.01 ID:G5BUgzo0
(…怖い)フラ フラ


(真紅「ジャンクにされてしまうわよ」)


水銀燈「(だめ… 外に出ては!)」


(わたし… わたし…)

フラ フラ

(お父様が…わたしのことを『これ』なんて… そんな、そんな…)

ヨロ ヨロ


(お父様… 真紅… わたしは… わたしは…)

ヨタ ヨタ

(いや、怖い… 誰か… 助けて…)



ガキッ!!


(あうっ?!)


ガシャッ





蒼星石「…まったく、また出歩いていたのか」
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 21:15:00.96 ID:8r6Z5LMo
なんかさ……擬音語だけって怖いよなヒイイイイ
リアタイ遭遇うれしいぜ!
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/20(月) 21:16:13.30 ID:Qmw4p02o
れを自分の母に渡した。
エスは,彼を群衆から離して一人にし,その両耳に自分の指を差し入れ,つばをかけ


だれにもそのことを知られないようにと望んだが,気が付かれないでいることはでき
,彼は弟子たちに尋ねた,人々はわたしをだれだと言っているか。
            
672 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:19:43.91 ID:G5BUgzo0
(あ… あなたは…)

蒼星石「真紅から頼まれたから、みんなには内緒にするけど」ガシッ

(うあっ! い、痛い…!)

蒼星石「あまり、迷惑はかけないでくれ」


スタスタスタ


(あ… あぁ… 動けない…)


ガチャン キィ


蒼星石「…お母様」

水銀燈「あら、あなた…? まぁ、その子を連れてきてくれたの?」

蒼星石「はい」


(痛い… 苦しい…)
673 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:27:15.27 ID:G5BUgzo0
水銀燈「よかった、心配だったから… ほかのみんなには気づかれてない?」

蒼星石「大丈夫です」

水銀燈「そう… あなたも、大事にしてあげてね」

蒼星石「…はい」

水銀燈「この子は… いえ、この方は、わたしたちの一番上のお姉さんなのよ?」

蒼星石「…失礼します」ガシャッ

(くっ?!)


パタパタパタ バタン!


水銀燈「もう、あの子… あなた、ごめんなさい。大丈夫?」

 
(う… ぅ… う…)


水銀燈「(あの子ったら、いつも大人ぶって聞き分けよく振る舞ってるけど…)」
674 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:35:37.97 ID:G5BUgzo0
(…うう、ううう…)


水銀燈「(ほんとうはそんなに大人でもないし、そしてとても頑固な子)」


(…ううう…)


水銀燈「(でもあの子は、それを抑えこんでしまってる。わたしやお父様に、不安をかけたくない一心で…)」


(痛い、苦しい…)


水銀燈「(けれど、もっと素直に本音を吐き出してほしい… あなたはまだ、子供のままでいたっていいのだから…)」


(うう… あああ…)


水銀燈「あなた、大丈夫?」


(ああ… ああっ…)


水銀燈「…あなた?」


(ああ… ああぁ… 悔しい…)


(いいようにもてあそばれるのも… あわれみをかけられることも…)


(悔しい、悔しい… 悔しいわ…)




(力が欲しい… さげすみやあわれみを、はねのけられるだけの…)
675 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:37:49.60 ID:G5BUgzo0
蒼星石「…」スタスタスタ

ローゼン「おや、蒼星石。 どこへ行っていたんだい?」

蒼星石「…すいません、お父様。 すぐに、アリスゲームを始めてください」

ローゼン「…? ああ、いいだろう。 それじゃあ今日は…」

翠星石「今日は負けないですぅ!」

金糸雀「今日こそ、わたしが一番になるかしら!」

蒼星石「…」



(「お母様も… 真紅も… なぜ、あんなのをみんな大事にするんだ?」)

(「動くことも話すこともままならない、未完成の試作品じゃないか」)

(「なぜ… ぼくよりも… ぼくだって、ぼくだって…!」)

(「いっぱい頑張ってるし、いっぱい我慢だってしてるのに…!!」)



蒼星石「…負けないよ」
676 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 21:59:45.97 ID:G5BUgzo0
【翌週】

キュイイイイイ キリキリキリ


(あああ… いや… いやっ! こ、怖い…)


ローゼン「…それじゃ、いいかい?」

水銀燈「…はい…(ごめんなさい… ごめんなさい…)」


(お父様、やめてぇっ! お願い、お願いぃぃ…っ!!)


ローゼン「説明したけど… まず、君の結晶に、君の意識と記憶を移す」

水銀燈「…はい(わたし、あなたにもう心があること、お父様には言えなかった…)」


(たすけて! たすけて! わたし、消えたくない! でも…っ!)


ローゼン「そして、その結晶をこの試作体に移すんだ」 

水銀燈「はい…(だって、言ってしまえばあなたは処分されてしまう…)」


(もしわたしが声を上げたら… ジャンクにされちゃう…!!)
677 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:08:10.05 ID:G5BUgzo0
ローゼン「うまくいけば、本来の体をここで調整しながら、君はこの体で出歩けるようになる」


水銀燈「…(それに、わたし… もう、待てないの…)」


(だめっ! いやっ! やめてぇっ!!)


ローゼン「それじゃ、いくよ」カチャリ カチッ

水銀燈「(あの子たちを… 抱きしめたいの…)」


パアァ…


水銀燈「…(…ごめんなさい、ごめんなさい…っ!)」




(…いやあああぁぁぁああぁぁあぁっ!!!)
678 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:11:19.12 ID:G5BUgzo0
(ああ、ああああ… いやぁっ!! いやっ、わたしのなかに入ってこないで!!)


水銀燈「(ああ、ああ… あなたの悲鳴が、頭の中いっぱいに響いて…!!)」


(いやっ! いやぁ…! あああぁ… 消える、わたしが消えてしまう…)


水銀燈「(あなたの痛み、苦しみ、悔しさ、恐怖が、伝わってくるっ…!)」


(ああああ、あああぁぁ、ぁぁぁぁぁ…)


水銀燈「(ああ、あああ、わたしのせいで…)」


(ぁ… ぁ… …)


水銀燈「(ごめんなさい…)」





(ごめんなさい…)
679 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:17:13.49 ID:G5BUgzo0
【翌日】

ローゼン「みんな、集まったね」

翠星石「何事ですか?」

蒼星石「みんなに、話って…?」

ローゼン「会わせたい人がいるんだ」

真紅「…どなた? わたしたちの、知らない人ですか?」

ローゼン「いや、よく知ってる人なんだ」

雛苺「??? わからないの…」

ローゼン「…入っておいで」

???「…はい」


カチャリ キィ


真紅「!!」


コツ コツ コツ


蒼星石「(あ…あれは!!)」
680 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:18:52.16 ID:G5BUgzo0
雛苺「だれなのー…??」

翠星石「…あっ! もしかして、もしかしてこのかたは…!」

ローゼン「…そう、君たちのお母さんだよ」

水銀燈「…みんな」


コツ コツ


水銀燈「研究室の外では、はじめましてだね…」

翠星石「…お母さま? お母さまなんですね…?!」

雛苺「お…お母さま? ちっちゃくなっちゃったの…?」

ローゼン「あの体が完成するまでは、この体を使うことにしたんだよ」



真紅「(…うそ…)」

蒼星石「(ま、まさかっ…!!)」
681 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:21:55.07 ID:G5BUgzo0



水銀燈「みんな。 あらためて、よろしくね…」

翠星石「ああ…お母様っ!」ヒシッ

水銀燈「(ああ… ああ… このときを、どれだけ待ちわびたことでしょう…)」

雛苺「お母さま…」キュッ



水銀燈「(あら…?)」

ローゼン「…? 真紅? 蒼星石?」

真紅「…」

蒼星石「…ちょっと、すいません」パタパタ

ローゼン「蒼星石?」

蒼星石「またあとで」パタパタ ガチャン


バタン!!


ローゼン「…どうしたんだろう」
682 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:23:44.45 ID:G5BUgzo0
水銀燈「(あの子…)」

真紅「…」

ローゼン「真紅? …お母さんだよ?」

真紅「…ない」

ローゼン「 ? 」



真紅「認めないっ!!」バタバタバタ



ローゼン「真紅!?」


ガチャン バタン!!


ローゼン「まちなさい、真紅!!」

水銀燈「(あの子たち… やはり…)」



ズキン



水銀燈「(…うっ?)」
683 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:41:14.03 ID:G5BUgzo0
ズキン ズキン


水銀燈「(…なに、この感じは?)」


ズキン ズキン


水銀燈「(心の奥底から… なにかが…)」



クヤシイ



水銀燈「(?!)」



クヤシイ



水銀燈「(これは… まさか…)」



アナタタチナンカ ダイキライ



水銀燈「(…消えていない?!)」






オモイシラセテヤル
684 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:42:55.60 ID:G5BUgzo0
今日はここまで。続きは…あさってかな。
685 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/20(月) 22:45:11.14 ID:G5BUgzo0
>>670 
支援どうもでした〜
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 00:26:50.05 ID:CEUmKNEo
った。
ふふんっじゃあ、これはどうだ?
1535 そばに立っていた者たちの何人かは,それを聞いて,見ろ,エリヤを呼んで
してゆく。娘は常外の神的な超プレイの凄まじさを満喫していた。神を体感して

うぐっ、いっ、いやっ、うぅっ

一緒に風呂に入らなくなって何年経つのか忘れたが、その頃とは体付きが全然違っていた。
顔を左右に動かし、妹の頭を抱える様にしながらしばらくそうして唇を擦り合
を待ち望んでいた。思い切ってピラトのところへ行き,イエスの体を渡してくれるよ
ガックリとした感じを装いながら、腰の動きを止める。

                   
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 00:27:39.48 ID:vvCJTXco
おっつ
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 02:17:12.23 ID:Mb4j3Xco

ああっ、あんっ、いやぁっ
時刻も遅くなった時,弟子たちが彼のもとに来て,こう言った。ここは寂しい場所
               
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 03:36:48.40 ID:51IGpXAo
おつつ
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 03:50:30.51 ID:y60FAK2o

まるで内臓の様な印象を与えるそこは、少し気持ちの悪さを感じさせたものの、
誓ったりし始めて言った,わたしはあなた方の話しているその人を知らないのだ!
怪訝な顔でこちらを見ている。
た。 525 十二年間も血の流出をわずらっている女がいた。 526 多くの医者にさん
妹の裸体はそんなものとは比較にならない美しさを持っていた。

         
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 05:16:23.50 ID:7zXnbTQo
しなさい。 1616 信じてバプテスマを受ける者は救われるが,信じない者は罪に定め
復讐のためにしているとはいえ、妹が甘い声を上げてくれた方が自分も気持ち良くなれるのだ。
ていた。 56 彼は,遠くからイエスを見ると,走って来ておじぎをし, 57 そして
51 彼が彼らと共に舟に乗り込むと,風はやんだ。それで彼らは互いに非常に驚き,ま
腰を高速に動かし、叩きつける様に肉棒を押し込む。
あっそ、そんなこと、あっないよぉ、ああっ
1517 紫の衣を彼にまとわせ,イバラの冠を編んで彼にかぶせた。 1518 彼にユダ
途中で抜く、などというテクニックは中学生の司郎にはない。
気づくと星に貼りついていた。
それを遥かに越える快感が司郎の心を支配していたのだ。
大津波!!射乳スパート核兵器みたく連続ロケットエンジン超噴射連続スタート
ことができるものは何もないが,人から出て行くものが人を汚すのだ。 716 聞く耳
                
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 06:38:34.65 ID:PqAd25wo
慌てて妹の肩に手をかけ尋ねる。
服を押し上げると、つつましい膨らみをあらわにし、揉みながら腰を動かし始める。

感じてる感じてるんだ
             
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/21(火) 08:13:55.75 ID:EdSlvU.o
>>580
な事は吹っ飛んでしまった。
体を起こして逃げる様にする妹を抱きしめ、乳房をギュッと掴む。
に大進化したのだ。
た。そして,泣いたり,大声で泣きわめいたりする騒ぎを目にした。 539 中に入っ
クリトリスか?
                 
694 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/21(火) 21:51:19.00 ID:pU.BAoY0
ちょっと訂正。

以下>>680と差し替え。



雛苺「だれなのー…??」

金糸雀「…あっ! もしかして、もしかしてこのかたは…!」

ローゼン「…そう、君たちのお母さんだよ」

水銀燈「…みんな」


コツ コツ


水銀燈「研究室の外では、はじめましてだね…」

金糸雀「…お母さま? お母さまなんですね…?!」

雛苺「お…お母さま? ちっちゃくなっちゃったの…?」

ローゼン「あの体が完成するまでは、この体を使うことにしたんだよ」

真紅「(…うそ…)」

蒼星石「(ま、まさかっ…!!)」
695 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/21(火) 21:55:34.94 ID:pU.BAoY0
以下は>>681と差し替え。



水銀燈「みんな。 あらためて、よろしくね…」

金糸雀「ああ…お母様っ!」パタパタパタ


ヒシッ


水銀燈「(ああ… ああ… このときを、どれだけ待ちわびたことでしょう…)」

雛苺「お母さま…」パタ パタ

水銀燈「雛苺…」


キュッ


雛苺「(…あったかいの、いいにおいなの…)」ギュッ

水銀燈「(あなたたちを、こうしてこの手で抱けるなんて…)」ギュゥッ



真紅「…」



ローゼン「…? 真紅?」 

翠星石「…蒼星石? どうしたですか?」

蒼星石「…ちょっと、すいません」パタパタ

ローゼン「蒼星石?」

蒼星石「またあとで」
 

ガチャン バタン!!


翠星石「蒼星石?!」パタパタパタ ガチャンバタン!


ローゼン「…どうしたんだろう」
696 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:24:24.32 ID:ZOThEzo0
再開します〜
697 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:28:12.31 ID:ZOThEzo0
>>683からの続き




(そう… わたしは消えていなかった)


(わたし…薔薇乙女に先駆けて造られた、名も無き試作体の意識は、『水銀燈』の増幅された意識に押しつぶされはしたけれど…)


(存在を顧みられなかった憎しみ…)


(体と心を奪われ、存在が消えていく恐怖…)


(絶対的優位からいいようにもてあそばれ、蔑まれ、憐れまれる悔しさ…) 


(それらの強烈な感情は、無意識の奥底に沈んだまま残された…)





(そして…)
698 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:32:54.70 ID:ZOThEzo0
パタパタパタ


水銀燈「待ちなさい! 待って、真紅!」

真紅「…」パタパタパタ

水銀燈「(そ、そっちは地下室!)」


コツコツコツコツ


水銀燈「危ないわ! 真紅!」


コツコツコツコツ




水銀燈「…真紅? どこ?」


コツ コツ 


水銀燈「どこ…?」




真紅「…」
699 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:36:34.83 ID:ZOThEzo0
コツ コツ


水銀燈「…よかった、ここにいたのね」

真紅「…」

水銀燈「さぁ、行きましょう」クッ


バシッ!


水銀燈「あっ!?」

真紅「近寄らないで!!」


ヨロッ


水銀燈「し、真紅…」

真紅「…あなた、あの子なんでしょう?」

水銀燈「え?」

真紅「あの、かわいそうな子なんでしょう?!」
700 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:39:51.13 ID:ZOThEzo0
水銀燈「…そうよ、この体はあの子のものだけど…」

真紅「なんで、未完成品のあなたを『お母さま』と呼ばなければいけないの?!」

水銀燈「そ、それは…」


ザワッ


水銀燈「(?!…いまのは…?!)」

真紅「つくりかけで放っておかれてたあなたが…なぜ…!」

水銀燈「真紅…」


(ああ… やはり… この子の見せた『優しさ』は、ただの憐れみ…)


真紅「わたしたちを飛び越えて… お父様の一番そばまで…!!」


(『優しい自分』を確認するために、自分よりかわいそうな子が欲しかっただけ…)





ザワザワザワ
701 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:43:41.61 ID:ZOThEzo0
水銀燈「(?! わたしの心が、心の奥底が、ざわめいている…)」

真紅「あなたなんか、わたしが黙っていなかったら…」

水銀燈「真紅!」


バシッ!


真紅「つっ!!」

水銀燈「…やめなさい! あなたは…そんな…そんな子じゃない!」

真紅「何をするのよ! このジャンク!!」

水銀燈「 ! 」



「あなたなんか、ここでお父様に壊されてしまえばよかったのよ!!」




ザワザワザワザワ
702 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 22:57:17.08 ID:ZOThEzo0
(…湧き上がってくる、奥底から)


ザワザワザワザワ


(暗くて、重くて…焼けつくようななにかが…)


ユルセナイ


(そう、許せない…)


ワタシノコトヲ ヨクモ ヨクモ


(弱きものをふみにじる、みにくくゆがんだその心…)


オモイシラセテヤル!!


(許すわけにはいかないっ!!!)





ズザザザザザザザザァァァァッ!!!
703 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 23:00:35.82 ID:ZOThEzo0
真紅「こ…これは!(肩を突き破って…黒い羽が?!)」

水銀燈「…真紅ぅぅっ!!!」


ヒュババババババッ!!


真紅「うあっ!」


ズガッ ドォン!!


ローゼン「…な、なんだ?! あの子たちか…?!」




真紅「(な…なんて力なの…)」ヨロッ


パキッ


真紅「 ? 」
704 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 23:11:16.35 ID:ZOThEzo0
水銀燈「あら…? これ…」

真紅「それは… 私の!」

水銀燈「たしか…あなたの誕生を祝って、お父様から贈られた…」

真紅「返して!」

水銀燈「…」



「大事なものを、踏みにじられる痛み」



真紅「え?」


グシャッ!


真紅「!!!」



水銀燈「あなたも知るべきなのよ」

真紅「あ… ああ…」





「よくも…!!」
705 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 23:18:14.06 ID:ZOThEzo0
真紅「よくも! よくもぉっ!!」

水銀燈「自分がされてはじめて痛さがわかったくせに、甘ったれるんじゃないわ!」

真紅「黙りなさいっ!! ジャンク風情が!!」

ローゼン「…やめなさい! ふたりとも!!」



(あのとき… 真紅にののしられたとき、わたしと『水銀燈』の想いが一致した)


(理由は違うけれど… 『この暗くゆがんだ心を許せない』という怒り)


(『水銀燈』はわたしとひとつになり、わたしの暗い想いを力に変えた)


(未完成で、もともと能力がけして高くないわたしが真紅を圧倒できたのは、その力があったから)
706 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 23:24:33.77 ID:ZOThEzo0
(けれど… なぜか、真紅も蒼星石も『水銀燈』も、わたしの存在をお父様には言わなかった)


(理由はわからない。 …後ろめたさがあったんだろうか?)


(けれど… わたしと、ふたりの間に生まれたしこりは、消えることはなかった…)




ローゼン「よし、アリスゲームをはじめようか。今日は…」

真紅「お待ちください、お父様」

ローゼン「…なんだい?」

真紅「…なぜ、お母様はアリスゲームをしていないのに、いつもお父様のそばにいるんですか?」
707 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 23:32:21.24 ID:ZOThEzo0
ローゼン「…えっ?」

真紅「わたしたちは、お父様と一緒にいるために、毎日毎日がんばっているのに…」

金糸雀「真紅! お母さまは特別かしら!」

蒼星石「そんなのおかしいよ、金糸雀」

金糸雀「あ、あなたまで…!」

蒼星石「だいたい、みんなお父様の手による作品だということに変わりはないじゃないか」

ローゼン「みんな、水銀燈はみんなの…!」


コツ コツ コツ


水銀燈「お父様、結構です」

ローゼン「水銀燈…」
708 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/22(水) 23:38:03.80 ID:ZOThEzo0
水銀燈「…わたしは、特別扱いしてもらおうとは思いません」

真紅「それじゃ…」

水銀燈「わたしも参加します。それでいいわね?」

真紅「…ふん」

翠星石「(真紅、蒼星石… ちょっとやりすぎですぅ)」

蒼星石「(いいじゃないか、本人がやるっていうんだから)」




ギリギリギリ


雛苺「ううううぅ…!!」

水銀燈「…」


ギリギリギリ


雛苺「うーんっ! えーいっ!」

水銀燈「…」
709 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 00:14:01.74 ID:TAwMT/w0
真紅「(うそ…! あの雛苺が…)」

金糸雀「全力で引っ張ってるのに、びくともしないかしら… しかも…」


ギリギリギリ


水銀燈「…っ!!」グイッ


ブゥン!!!


雛苺「ふおぉぉぉぉぉー?!」


ヒシッ


水銀燈「すごいわね、雛苺って… なんて力なの」

雛苺「うそ… うそなの…」

水銀燈「もう少しで、両手を使わされるところだった」

翠星石「(片手で、ヒナを引っこ抜いちまったですぅ…)」
710 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 00:16:59.59 ID:TAwMT/w0
雛苺「お母さま… すっっごいの…(あったかいの…)」キュッ

真紅「(なんて… なんてひとなの…?)」

蒼星石「(みんなが、それぞれの得意なもので勝負したのに…)」

翠星石「…ぜんっぜん歯が立たないですぅ」

金糸雀「ああ、お母さまって、やっぱりすばらしいかしら!」

水銀燈「ふふっ、そう簡単には負けてあげないわよ…?」


フラッ


ローゼン「…水銀燈!」
711 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 00:18:46.96 ID:TAwMT/w0
水銀燈「お父様…大丈夫です」

ローゼン「…すぐに診てみよう」


パタパタパタ


翠星石「…結局、お母様がお父様をひとりじめですぅ」

真紅「…」



水銀燈「…うっ」

ローゼン「…胸部と右肩が、だいぶ痛んでいる」


カチャカチャ


ローゼン「…君は、無理をかけすぎだよ。 体にも心にも…」

水銀燈「…」
712 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 00:20:02.47 ID:TAwMT/w0
ローゼン「あまり、眠ってもいないんだろう? いつも夜遅くまで、お稽古ばかり…」

水銀燈「…ごめんなさい。 わたし…」

ローゼン「…母親でありたい気持ちはわかるけど、くれぐれも無理はしないでおくれ」

水銀燈「はい…」



真紅「(…あの目…)」



真紅「(お父様が、お母様を見るときの、あのお顔…)」



真紅「(わたしたちには、けして見せない顔…)」



真紅「悔しい…っ!」パタパタパタパタ



ローゼン「…誰か、いたのか?」

水銀燈「(真紅…)」
713 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 00:20:37.81 ID:TAwMT/w0
今日はここまで。再開は明日できるといいな…
714 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 00:21:38.01 ID:TAwMT/w0
>>687>>689
支援どうもでした〜
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/23(木) 00:26:39.07 ID:dfpxdhco
おっつ
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/23(木) 00:36:44.13 ID:8Pq6QNko
乙!
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/23(木) 01:11:56.25 ID:kXyiy9Uo
おつつ
やはり銀ちゃんはかわいい
718 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:14:47.69 ID:Ku93fsM0
>>715-717
支援どもです〜 再開します〜
719 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:24:57.92 ID:Ku93fsM0
(誰からも見向きもされずいいようにされていたわたしは、みんなに認められる立場と力が欲しかった)


(力はあったけど、それを振るうには心が弱かった『水銀燈』は、お父様とあの子たちを守る強い母親になるために強力な意思と感情の力を求めていた)


(わたしは、『水銀燈』の心を借りて『ローゼンメイデンの第一ドール』と『母親』という立場、そして彼女の力を得て…)


(『水銀燈』はわたしの暗いどろどろした感情を原動力にして、秘められていた自身の力を存分に振るい、強くなるためがむしゃらに努力に励んだ)



(結局はじまりこそああだったけど、わたしと『水銀燈』は利害の一致を得て、それなりにうまくやっていたと思う)


(あの子たちも、しこりは残っていたけど、日が経つにつれてそれをあからさまに外に出すことはしなくなった)





(そして… ほんの短い間だったけど、わたしたちは家族として過ごすことができた)
720 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:27:16.40 ID:Ku93fsM0
ローゼン「♪London Bridge is falling down…」

翠星石「(ヒナ、はやく前に行くですぅ!)」

水銀燈「♪Falling down、Falling down…」

雛苺「(翠星石、押しちゃダメなの!)」

ローゼン「♪London Bridge is falling down…」

翠星石「(よーし、今ですぅ! ヒナ、そこをどくですぅ!)」

雛苺「(今日は翠星石を勝たせてあげるの!)」

翠星石「(そんなのいいから、お父様に抱っこしてもらうんですぅ!!)」

水銀燈「♪…My fair Lady.」ガバッ



ドッスン!



雛苺「うわー?!」ドテ

翠星石「うわぁぁぁぁ?!」ドテッ



金糸雀「あららら、負けちゃったかしら〜♪」ギューッ
721 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:30:15.32 ID:Ku93fsM0
ローゼン「おやおや、金糸雀の負けだね」ギュッ

水銀燈「それじゃ、お仕置きよ♪」ギュッ



スリスリスリスリスリスリスリ



金糸雀「うきゃぁぁぁぁぁ!! お父さまとお母さまに挟まれまさちゅーせっちゅー?!」

雛苺「むー…(嬉しそうなのー… うらやましいのー…)」

翠星石「(…あんの性悪女―!!)」

蒼星石「…やれやれ、アリスゲームがこんなのでいいの?」

ローゼン「まぁ、たまにはね」

真紅「…」



ローゼン「…真紅? どうしたんだい?」

真紅「…何でもありません」
722 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:32:09.27 ID:Ku93fsM0
翠星石「(昨日勝ってゲームに出られないから、すねてるですぅ)」

雛苺「(真紅、わかりやすいのー …あら?)」



ソーッ



金糸雀「(あらら、お母さまったら…)」ニヤニヤ

真紅「…なに、金糸雀? にやついて…」

金糸雀「ねーぇ、真紅。 外はとってもいい天気かしらー?」

真紅「…それがどうかしたの?」

金糸雀「あらら。 いい天気なのにぶすくれた顔してる子がいるかしら、お父さま?」

ローゼン「ん? …あ、ああ。 ふふ、お仕置きしなきゃいけないね」

真紅「…えっ?」



ガシッ



真紅「なっ?!」

水銀燈「ふふふ、逃がさないわよ?」
723 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:36:35.78 ID:Ku93fsM0
金糸雀「お父さま、やっちゃってかしら!!」

真紅「なっ、やぁっ! そんなっ、お父様まで…!!」

ローゼン「よーし、お仕置きだ!」ガバッ!

真紅「いっ、いっ、いやあああああああ?!」



スリスリスリスリスリスリ



真紅「いやっ、やめてっ、お父様! …んあっ?! だめっ、水銀燈!!」

雛苺「(…顔も声も喜んでるのー、わかりやすいのー)」

翠星石「わたしもお仕置きするですぅ!(真紅、幸せな顔しやがってですぅ!)」

蒼星石「それじゃ、ボクもやっちゃおうかな?」



スリスリスリスリ
724 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:41:17.70 ID:Ku93fsM0
真紅「やっ、やめて! ふたりまで… ひゃあっ?! やめてってばぁ!!」

翠星石「ひーっひっひっひ。口で嫌がってても体は正直ですぅ♪」

蒼星石「真紅って、胸とおなかのさかい目がすっごく弱いんだよね…♡」

真紅「いやぁぁぁんっ!」



ガバッ!



真紅「ひ、雛苺?!」

雛苺「真紅ばっかりずるいのー!」

真紅「へぇっ?!」

雛苺「…ヒナもお仕置きしてなのー!!」

金糸雀「…それじゃ、こーしてやるかしらー!!」スリスリスリスリ

雛苺「ふおぉぉぉぉぉー?! くすぐったいのー!」

水銀燈「…ふふふふっ」



ローゼン「結局、今日は誰の勝ちなんだろう?」

水銀燈「ふふ、お父様の勝ちですわね」

ローゼン「そうなのかな…」ポリポリ




(けれど、そんな日々は長く続かなかった…)
725 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:54:39.44 ID:Ku93fsM0
雛苺「…お父様、お荷物の準備できたのー」ヒョイ

ローゼン「ありがとう、雛苺。 …みんなは、大丈夫かい?」

翠星石「大丈夫です、お父様。 …この家とも、お別れですね」

真紅「…出発しましょう」

雛苺「…うー、寒いの、眠いのー…」

蒼星石「しっかりするんだ、雛苺。 お母様の本体も運ばなくちゃ」

雛苺「…わかったのー」ヨイショ ヨイショ



(当代一の錬金術師だったお父様は、ありとあらゆる相手から狙われていた)



金糸雀「お母さま、大丈夫かしら?」

水銀燈「…わたしは平気。みんなを見てあげて」



(研究を異端とみなす教会、技術を狙う権力者、お父様を妬む同じ錬金術師たち…)



金糸雀「みんな、乗ったかしら」

ローゼン「それじゃ、行くよ」パシン



ガラガラガラガラ
726 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:56:50.71 ID:Ku93fsM0
真紅「…荷台は大丈夫?」

蒼星石「ああ、しっかり連結してある」

真紅「あまり揺れてしまったら、お母様の本体が…」

蒼星石「うん… ちゃんと包んであるから、大丈夫だと思うけど」



(そしてあの日、恐れていた事態が起きた)



ローゼン「…まずいな」

翠星石「どうしましたか…むぐっ!?」

蒼星石「(出ちゃダメだ!!)」


下士官「…そう、そこに寄せて止まれ。 荷台をあらためる」


ローゼン「(軍の検問だ。 この時間、この場所ではやらないはずなのに…)」

水銀燈「(…どうしますか?)」

ローゼン「(頼む、水銀燈。 私たちは、あの脇の山道を抜けるから…)」

水銀燈「(…任せてください)」

下士官「それでは、失礼…」



ボォン!!
727 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 21:59:33.68 ID:Ku93fsM0
下士官「な、なんだ!?」

兵士「じょ、上官殿! 詰め所に火が…!!」

下士官「なんだと?! …えーい、すぐ消し止めろ! おまえらはここで待っていろ!!」

ローゼン「…わかりました」

下士官「まったく…!」

ローゼン「…」



パシン!! ガラガラガラ



兵士「?! ま、待てっ!!」

ガラガラガラ…





ローゼン「(水銀燈、大丈夫だろうか…)」
728 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:02:27.24 ID:Ku93fsM0
バサバサバサバサ ストッ



水銀燈「お父様、大丈夫ですか」

ローゼン「…よかった、君が無事で」

水銀燈「…いったい、なぜあんなところで…」

ローゼン「考えたくないことだが…」

水銀燈「…! まさか…」

ローゼン「だとすると、この行動も読まれているかも…」


バキイッ!!


ローゼン「?!」


ガラガシャァッ!!


雛苺「うゆうっ?!(舌かんじゃったの…)」

真紅「荷台の、車輪が!」
729 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:18:17.59 ID:Ku93fsM0
ヒュンヒュンヒュン! ズトトトッ!


水銀燈「いけない! 火矢よ!」


ゴォォォ…


ローゼン「積荷に、火が!!」


ドドドドドドド!


指揮官「滅びろ、異端のものども!」

錬金術師「?! こら、荷は無傷で入手する約束じゃぞ!!」

指揮官「知ったことか、かかれ!!」


ダダダダダダダ…


ローゼン「あれは… 教会軍か?!」




(あろうことか、対立していたはずの、お父様を狙うもの同士が手を組んだ)
730 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:20:17.09 ID:Ku93fsM0
蒼星石「…出ますっ!」


シュダダダダダッ!


ローゼン「だめだ、蒼星石! 追っ手の中に…!」

指揮官「悪魔の人形が出てきたぞ、貴様の出番だ!」

錬金術師「(まったくこやつらは…)」

蒼星石「お覚悟!」


ババッ!


錬金術師「甘いの」カチカチカチ


ブ―ンッ…


蒼星石「何っ?! あ…」


ヨロ ヨロ 


蒼星石「(…いったい…何が?)」


カクン
731 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:22:37.23 ID:Ku93fsM0
翠星石「蒼星石っ!」

錬金術師「自動人形ごとき、わしの相手になるか」


ヒョイ


錬金術師「まぁ、この人形だけでも頂いて帰るとしようかの」


ヒュバババッ!


錬金術師「おっと」

真紅「させないっ!!」

雛苺「…蒼星石を助けるの!!」


シュタタタタッ!


金糸雀「わたしは、退路をひらくかしら!」

水銀燈「翠星石、荷台の火を消して!」

翠星石「みんな… 頼んだですぅ!!」




錬金術師「ほほほ、出てきおったの」カチカチカチ
732 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:24:44.64 ID:Ku93fsM0
ローゼン「だめだ、みんな! 戻るんだ!」

錬金術師「遅いわ」


ブーンッ…


雛苺「あ…れ…?」

真紅「く?! く…」


カクン カクン


金糸雀「だ… だめ…」

翠星石「そ… 蒼星石…」


カクン カクン


水銀燈「み…みんな…」


ヨロ ヨロ


錬金術師「おや…? 1体残りおった」
733 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:30:04.32 ID:Ku93fsM0
ジャリ


水銀燈「…そ、その子たちには手を出さないで…!」

錬金術師「まぁよいわ、動けまい。 …ええぞ、兵を突入させい。荷台の火もはよう消せ」

指揮官「ふん。 …突入しろ!」


ズダダダダダダ


ローゼン「く…これまでか…」

水銀燈「(お父様… みんな… だれか、だれか助けて…)」


ウバワレル… コワサレル…


水銀燈「(!! …あなた、そうだ、あなたがいた…!)」


ワタシノダイジナモノガ フミニジラレル…!


錬金術師「ん…?」


ザワザワザワザワ


水銀燈「(いまこそ、あなたの力を…!!)」

錬金術師「ま、まずい! 兵を退けっ!」

僧兵「なんだと?!」




ヤラセルカッ!!

水銀燈「…やらせるか、人間どもがあっ!!」 
734 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:37:00.22 ID:Ku93fsM0
ヒュババババババババッ!!


「うわああっ?!」「ぎゃっ!」「ぐはっ?!」

錬金術師「うおお?!」

水銀燈「みんな!!」ヒュゴォッ!

ローゼン「水銀燈!」

水銀燈「…みんな、助けました! お父様、早く馬車を出して!」

ローゼン「しかし、君の本体が!」


ゴォォォォォ


水銀燈「…いいんです」

ローゼン「しかし!」

水銀燈「大丈夫です! わたしは…『わたし』は、大丈夫だから!!」

ローゼン「(そんなバカな! 本体が燃えてしまったら、君の意識は… しかし…!)」


ゴォォォォォ…
735 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:39:10.24 ID:Ku93fsM0
指揮官「なにをしている、隊列を立て直せ! 取り囲め!」


ダダダダダダダ…


ローゼン「…くっ!」

バキィ!!

ローゼン「水銀燈…すまない!」パシン!


ガラガラガラガラガラ


指揮官「し、しまった?! 逃すな!!」




ローゼン「なんとか、振り切ったか…」

水銀燈「…」

ローゼン「水銀燈?」

水銀燈「…」

ローゼン「す、水銀燈!! しっかりしろ!」




水銀燈「(…あああ… わたしが… 消える… 消えてしまう…)」

736 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:41:13.48 ID:Ku93fsM0
ゴォォォォォ…


錬金術師「なにをしておる、早く火を消さんか!」

指揮官「きゃつを取り逃がしたら、貴様の責任だぞ!!」

錬金術師「何を言うかこわっぱが!!」


…ガシャン ガラガラガラ


錬金術師「うおっ?!」

僧兵「もう手遅れだ、放っておけ!」

錬金術師「…くそ、せっかくの貴重な…」


ゴォォォォ…




(結晶で意識を移しても、本体が破壊されれば自我は消えてしまう)


(そのことは、お父様も予見していた。 …『水銀燈』自身も)




(でも… 『水銀燈』は…)
737 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:43:21.19 ID:Ku93fsM0
水銀燈「(ああ…ああ…意識が、散っていく…)」


(…?  …あ、あなた?)


水銀燈「(…あ、あなた…なのね? わたしの意識が弱くなって…目覚めたのね…)」


(…ああっ! あなた、なんて、なんてことを…!)


水銀燈「(あなたが消えてなくて、よかった…)」


(何を言ってるの!! あなたが消えてしまったら…!)


水銀燈「(いいの…これは、天罰だから…)」




「(自分のしたことが、返ってきただけだから…)」
738 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:45:25.58 ID:Ku93fsM0
(そんな…! わたし、そんなこと、もうどうだってよかったのに!!)


水銀燈「(それに…『水銀燈』は消えない… あなたがいる…)」


(…だめ! だめよ!! あなたがいなくなってしまったら、わたしは…!!)


水銀燈「(みんなを…お父様を…お願いね…)」


(いやあっ!! 消えないで、わたしを置いて行かないで!!)


水銀燈「(…ご …め ん… な  さ…)」


(…?! そんな… そんな!)





(だめえええええぇぇぇぇっ!!)
739 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:51:05.43 ID:Ku93fsM0
ローゼン「水銀燈?! 水銀燈!!」

水銀燈「…う…」

ローゼン「! しっかりするんだ!」

水銀燈「う… うぅ…」



「うええぇぇ…ん…」



ローゼン「す… 水銀燈?」




(…『水銀燈』は、わたしに自分の力と記憶を残して、消滅した)


(もしかしたら、わたしはほんの一瞬、そのことを喜んでしまったかもしれない)


(あさましくも、今度こそ正真正銘のローゼンメイデンになれたと思って)




(それが、ほんとうの悲劇の始まりだとも知らずに…)
740 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/23(木) 22:53:59.49 ID:Ku93fsM0
今日はここまで。続きは明日かあさって。
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/23(木) 22:54:48.43 ID:SpfRCXoo
乙です
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/23(木) 22:56:42.06 ID:pkae0nIo
おっつ
743 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [sage]:2009/04/23(木) 23:01:17.54 ID:Ku93fsM0
>>741-742
乙どもっす。
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/24(金) 08:31:45.27 ID:eFWJwEAO
乙です
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/24(金) 19:55:35.41 ID:iN/NQXso
おつつ
746 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:31:27.42 ID:/kntoL20
>>744-755
どーもっす。再開します。
747 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:33:36.15 ID:/kntoL20
ローゼン「…落ち着いたかい、水銀燈」

水銀燈「はい… 取り乱して、すいません」

ローゼン「もうすぐ、国境を越える。 …心当たりはある、なんとかなるはずだ」



(長い間『水銀燈』とともに過ごしたわたしには、彼女のように振舞うことは難しくなかった)


(お父様もどうにか追っ手を振り切り、新たなパトロンのもとで研究を再開することができた)


(けれど…)



ローゼン「(…これは…)」

水銀燈「お父様、あの子たちは…」

ローゼン「あまり、よくない状態だ。 …結晶がボロボロになってしまっている」

水銀燈「そんな…」
748 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:35:24.80 ID:/kntoL20
ローゼン「早急に修復しなくては…」

水銀燈「でもお父様、設備が…」

ローゼン「なるべく早く再建する。 …それしかない」



(…再建を待っていたのでは危ういことはわかっていた。お父様も、わたしにも)


(そして、すぐに結晶を修復できる手だてがあることも。そう… わたしの機能を使うこと) 


(未完成とはいえ、わたしにも結晶を修復する機能があった。けれど、わたしは知っていた。お父様が賛成するはずがないことを…)



水銀燈「…お父様…」

ローゼン「大丈夫だ。 …君は、なにも心配する必要はない」
749 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:37:28.16 ID:/kntoL20
(わたしの未完成の機能では、お互いに与える負担が大きすぎるというのもあった。…特にわたしのほうに)


(もともと、実験のために機能をつけただけで実際に使う気はなかったそうだから)


(お父様は言っていた。うまくいっても1度きり、2度使ったら間違いなく崩壊すると…)


(けれど、最大の理由はそんなことではなく…)



水銀燈「…お父様、わたしは…」

ローゼン「言うな」


…グッ


ローゼン「君は、私の娘なんだ」

水銀燈「…」
750 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:40:25.83 ID:/kntoL20
(お父様は、私の体に自分の生命を送りこんで結晶を修復することに深い嫌悪を示した)


(なぜならそれを、わたしと交わるに等しい事ととらえていたから)


(…お父様は、自分の創造物と交わるという行為を忌み嫌っていた。けれど…)



ローゼン「…その機能は、君が素敵なお婿さんを迎えるためのもの。わたしが使ってはならない」

水銀燈「(お父様…)」


ザワッ


水銀燈「…?」



(けれど… 私はそのとき、思い知ることになった)
751 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:44:01.05 ID:/kntoL20
ローゼン「君は、もう休みなさい」

水銀燈「…お父様も、無理はなさらないで」

ローゼン「ああ…」


コツ コツ コツ

ガチャン パタン


ローゼン「…もう少し、片付けておこう」カチャカチャ





水銀燈「(…お父様、わたし、あなたの力になりたい… あの子たちのためにも…)」


ザワザワザワ


水銀燈「(…なに? さっきから、心がざわめく…)」


…ザワザワザワザワ


水銀燈「(こ、これは…?! 心の奥底から…!)」



オトウサマ…



水銀燈「(まさか… まさかこれは!!)」




(『水銀燈』の自我は完全に消えていた。けれど、ひとつの想いが残されていたのだ)
752 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:45:26.00 ID:/kntoL20
ローゼン「…ぐぅ…」


コツ コツ コツ


ローゼン「…すぅ…ぐぅ…」


キィ


ローゼン「…すぅ…すぅ…」


グイッ


ローゼン「ん… 君か」

水銀燈「…起こしてしまいましたね」

ローゼン「いや… ありがとう、歩くよ」

水銀燈「大丈夫です、このままおぶらせてください」

ローゼン「…ありがとう」


コツ コツ コツ
753 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:47:34.53 ID:/kntoL20
水銀燈「それじゃ、お休みなさい」

ローゼン「…お休み」


コツ コツ パタン


ローゼン「…」




水銀燈「(お父様…)」


ザワザワザワ


水銀燈「(…う、また…)」


ザワザワザワザワ


水銀燈「(や、やめて… いくら、あなたの願いでも… それだけは…!)」


オトウサマ…


水銀燈「(そ、それは… それだけは… いけない…っ!)」


オトウサマ ワタシ… ワタシ…





(その想いは、心の奥の奥に焼きつけられていた)
754 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:55:19.21 ID:/kntoL20
オトウサマ… ワタシ… 

(控えめで意思が弱いと思っていた彼女が秘めていた、狂おしいほどに激しいたったひとつの望み)



「…」キィ

ローゼン「…すぅ…」



ワタシ… ハハオヤニ ナリタカッタンジャナイ…

(…彼女が強い母親を目指した、恐るべきほんとうの理由)



「…」コツ コツ コツ

ローゼン「すぅ…すぅ…」



オトウサマ… ワタシ、ワタシ…

(わたしは、その思いに抗えなかった…)



「…」ギシッ

ローゼン「…ん…」



ワタシ… ワタシ、アナタノ…



ローゼン「…き、君は!?」

水銀燈「…お父様」





アナタノツマニ、ナリタカッタノ…
755 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 00:57:16.98 ID:/kntoL20
ローゼン「き、君は何を…!」


水銀燈「…破損した結晶を取りこみました」


ローゼン「なにっ?!」


水銀燈「お願いですお父様、契約を…」


ローゼン「…ああ、君はなんて、なんてことを…!!」


水銀燈「ごめんなさい、お父様… けれど、わたしは…」


ローゼン「…ああ、ああ、なんてことを…」


水銀燈「お父様…」
756 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 01:00:18.28 ID:/kntoL20
(…お父様は、血を吐くような声で、長く長く呻いていた…)


(わたしは、自分の行いに恐怖し、また悔やんだ。 けれど…)





ローゼン「…すまない」

水銀燈「…?」


ギュッ


水銀燈「あ…」

ローゼン「すまない…私は、こんなことをするつもりでは…」


…ギュッ


水銀燈「いいんです、お父様。わたし…ほんとうに、ほんとうに嬉しい…」




チュッ




(…そうして『水銀燈』の望みはかなえられた)




(そして、それが破滅の始まりになった…)
757 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 01:00:58.04 ID:/kntoL20
今日はここまで。再開は明日夜。
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/25(土) 02:17:36.44 ID:9Vvs4vAo
おっつ
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/25(土) 04:12:26.93 ID:7qrdyRYo
おつつ
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/25(土) 09:11:35.81 ID:TvF6ocAO
乙です
761 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:44:15.85 ID:rMOkGN.0
>>758-750
乙どもです。再開します〜
762 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:46:17.60 ID:rMOkGN.0
ローゼン「…」カチャカチャ

水銀燈「お茶が入りました、おと… あなた」

ローゼン「…ん」キリキリキリ

水銀燈「…ここに置きますね」



(わたしが何者であるか、本来の水銀燈がどうなったか、お父様は契約の際知ったはずだけど、そのことは何も聞かなかった)


(そして結晶の修復は、お父様が心配していた重複による障害もなく順調だった)


(けれど… 問題は、別のところで生じていた)
763 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:49:50.25 ID:rMOkGN.0
ローゼン「(本来は、戦闘のための機能ではないのだが… やむをえない)」


カチリ カチャッ


ローゼン「(翠星石と蒼星石、真紅に関してはこれでいいだろう…)」


(お父様はあれから、とりつかれたように薔薇乙女の強化に取り組んでいた)


(あのときの一件で、薔薇乙女の最大の敵は、共存することを理想としていた『人間』であることを思い知らされたから)


ローゼン「(雛苺は… 危険だが、能力制限を少しだけ緩めてみよう)」


キキキキ カチッ


ローゼン「(…暴走の可能性もあるが)」


(…お父様は、理想主義者ではない。 人間と共存するためには、それと戦うことも不可避だと予見していたけど…)


(同時に、あまりに強くしすぎても、かえって脅威として認識されやすくなることも理解していた)
764 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:51:41.97 ID:rMOkGN.0
ローゼン「(金糸雀は… 本体の強化より、ありあまる演算機能を活用してみるか)」


サラサラサラ


ローゼン「(以前考案した『自動人形兵』… これが使えるかもしれない)


(けれど、あのとき… ほんとうに私たちを失うかもしれないと思ったのをきっかけに…)


(精緻に私たちの力を調整していたはずのお父様が、すこしずつ傾き始めていた)


ローゼン「(これは… あの子たちに持たせるには、あまりに危険すぎるか)」


カタン


ローゼン「(…使いこなしてくれることを信じよう。 彼女たち自ら、自制してくれることを…)」


(お父様は… ほんとうに私たちを愛していた)


(けれど、あのときのわたしには、それがわからなかった…)





水銀燈「(お父様… いつもいつも、あの子たちの研究ばかり…)」
765 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:53:49.49 ID:rMOkGN.0
カチャカチャ ゴシゴシ

水銀燈「(たまには、わたしのほうも見てほしい…)」


(わたしは、お父様の妻になったつもりで、実は娘として愛されることもまだ望んでいた)

(妻として娘として、愛されることばかりを望んでしまった…)


ローゼン「水銀燈、ご飯はまだかい?」

水銀燈「…あ、今作ります」


カチャカチャ


水銀燈「(…大変なのはわかるけれど、わたしはあなたの妻…)」


カチャン


「…召使いじゃない」




(わたしは、あまりに幼かった)

(追っ手に追われながらパトロンの依頼に応え、あの子たちの強化も行う…結晶に命を吹き込みながら)

(そんなお父様を支えるには、あのときのわたしは幼すぎた)
766 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:56:48.25 ID:rMOkGN.0
水銀燈「…お食事、ここに置きます」

ローゼン「ああ、ありが…」


バタン!


ローゼン「?!」

水銀燈「…」


スタスタスタ


ローゼン「(…最近、あの子はすこしおかしい)」


カタン


ローゼン「(やはり、わたしたちは交わるべきではなかったのだろうか…)」



(そしてわたしたちは、すこしずつすれ違いはじめた…)





ドゴォン!!!

ローゼン「くっ!!」
767 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 22:58:26.86 ID:rMOkGN.0
水銀燈「…お父様!」

ローゼン「かすり傷だ! …逃げるぞ、こっちだ!!」


カッカッカッカッ


(お父様に、安息の日々はなかった)

(世界を転々とし、生活のために意に沿わぬ作業、危険な仕事までも引き受けていた)

(治るはずの傷も生命力を結晶に与えながらでは遅々として癒えず… お父様は荒れた)



水銀燈「…お父様」

ローゼン「…酒は…?」

水銀燈「もう、おやめください。お怪我に障ります」

ローゼン「…ふん」

水銀燈「…」


コツ コツ コツ


ローゼン「…待つんだ」
768 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:00:45.88 ID:rMOkGN.0
水銀燈「お酒は、だめですよ」

ローゼン「…それはもういい。 心配させて悪かった」

水銀燈「…あなた」

ローゼン「君に、言っておきたいことがある」


ギシッ


ローゼン「わたしは今、きみたちにありあまれる力を与えようとしている」

水銀燈「…はい」

ローゼン「…力は、君たちを幸せにはしない。 不幸を避けるか、逆に呼びこむかしかない」

水銀燈「…心得ています」

ローゼン「結晶を与えた時点で、きみたちはわたしの作品ではなく、ひとつの独立した生命となった」

水銀燈「…」

ローゼン「だから、きみたちがどのように生き、どうなっていくのかはもはやわたしが決められることではない」

水銀燈「そんな…」
769 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:03:27.52 ID:rMOkGN.0
ローゼン「君に与えた命の恵みをもたらす力も、使いようによっては人から命を奪い取ることだってできる」

水銀燈「…そんなことが…」

ローゼン「…しかし、君たちはわたしの娘。 もし道を踏み外してしまっても、できれば生きていてほしい」

水銀燈「お父様…」

ローゼン「だから、もしこの子たちが力に狂って、人類に敵対してしまったら…」



「その子の結晶を、君が奪うんだ」



水銀燈「わたしが…」

ローゼン「いま与えている機能の多くは、結晶なしでは作動させられない。 結晶を奪ってその子を止めたら、なんとかその子を立ち直らせておくれ」

水銀燈「…はい」

ローゼン「…万一、君が道をあやまてば、そのときはこの子たちが君を止めるだろう」

水銀燈「…心します」



ローゼン「どうか、よき人たちとめぐり合っておくれ…」
770 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:05:52.81 ID:rMOkGN.0
水銀燈「はい。 …おやすみなさい、あなた」

ろーぜん「ああ…」


ローゼン「(どんな力を与えても、遺恨を持つ人間がいる限りこの子たちに安息が訪れることはない)」


ローゼン「(それに…やはりわたしはまだ、この子たちを置いて死ねない)」 


ローゼン「(けして手は出すまいと思っていたが、やらねばなるまい)」


ローゼン「(禁断の研究… 精神操作と、不老不死を)」




(お父様と、おだやかに話ができたのは、これが最後だった…)
771 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:07:28.09 ID:rMOkGN.0
(お父様の傷は癒えるどころか悪化し、その苦痛は体どころか心までも蝕み始めた)

(そのため結晶の再生も進まず、わたしの体への負担も増すばかり…)

(そんな中でも追っ手は容赦なくやってきた。 そしてとうとう、決定的な出来事が…)




ゴォォォォォ…


ローゼン「…急げ、水銀燈! 追いつかれてしまう!」

水銀燈「…お父様、わたし、わたし…もう…」

ローゼン「弱音を吐くな! あと少しだ!!」



パチ パチ



ローゼン「…今日は野宿だな」

水銀燈「寒い…」
772 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:09:52.04 ID:rMOkGN.0
ローゼン「朝になったら、北に向かって歩こう。 …3日も歩けば、山を抜けて国境に着く」

水銀燈「3日…」

ローゼン「…今日は、もう寝よう。 水銀燈、こっちに来なさい」

水銀燈「…はい」

ローゼン「寒いだろう」


ギュッ


水銀燈「あ…(あたたかい…)」

ローゼン「…お休み、水銀燈…」



パチ パチ



水銀燈「お父様…」

ローゼン「ん…?」

水銀燈「お父様… わたしたち、どうなるの…?」

ローゼン「…」
773 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:11:21.73 ID:rMOkGN.0
水銀燈「ずっと、逃げて、戦って、逃げて… いくあてもない、お金もなくなりそう…」

ローゼン「…もう寝なさい」

水銀燈「わたしも、みんなも、もうもたないかもしれない… 怖い、怖いよ!」

ローゼン「…」

水銀燈「お父様、お願い… 何か言って! 言ってよ!」

ローゼン「うるさいっ!」



バシッ!


ローゼン「お前だって、頑張るって言ったじゃないか! いいかげんに静かにしろ!」

水銀燈「お…お父様?!」



「ジャンクにしてサーカスに売っぱらうぞ!」





(うそ…) 
774 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:13:29.75 ID:rMOkGN.0
(そんな…) 


(お父様…)


(…わたしのことも) 


(…みんなのことも) 


(邪魔だったの…?)



ギュウウウウッ



ローゼン「す…水銀燈?」


水銀燈「お願い… お願い… 嫌わないで、見捨てないで」


ローゼン「な、なにを…?」


水銀燈「わたし、お父様のためだけの人形だから…」





「どんなことでもするから…」
775 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:15:25.67 ID:rMOkGN.0
ローゼン「なん…だと…?」


ザワッ


(どんなことでも…)



ザワザワザワザワ



ローゼン「…」ギュウウウッ

水銀燈「あ… あなた…」



バアン!!



水銀燈「ひっ!?」

ローゼン「わ、わたしに近づくなぁっ!!」
776 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:18:12.79 ID:rMOkGN.0
(わたしは、恐怖と不安のあまり、心に浮かんだそれらをそのまま口にしただけだった)

(お父様は、わたしを父親として最後の最後の一線で守ろうとしてくれていたのだろう)

(だけれど… すれ違い続けたわたしたちの絆は、ここで決定的に砕けてしまった)

(お父様はわたしにみだらな心が芽生えたと思い、わたしはお父様から見限られたと思ってしまった…)



(そして、3日目の夜… 運命の日…)



ローゼン「…もう、だめだ… 振り切れない…」

水銀燈「…お父様、追っ手が…すぐそばまで…」

ローゼン「(もう… ここまでなのか…)」
777 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:20:13.04 ID:rMOkGN.0
(わたしたちは、もはや追い詰められていた。 体も心ももう、限界を越えて…)



水銀燈「お父様…」

ローゼン「水銀燈…」

水銀燈「…最後に、あなたに言いたいことが…」

ローゼン「何を言ってるんだ!」


水銀燈「わたし、悪い娘でした。 …駄目な妻でした…」


ローゼン「…」

水銀燈「ごめんなさい…」



ギュッ
778 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:23:46.29 ID:rMOkGN.0
水銀燈「あ…」

ローゼン「わたしこそ、駄目な父だった…」



「…馬鹿な夫だった」



水銀燈「…お、お父様…」



ギュウウウウッ



「あなた…」



(あのとき、はじめてお父様が、わたしをはっきり『妻』だと言ってくれた。 …そして、それが最後だった)


ローゼン「君を死なせはしない」

水銀燈「え?」


カチリ


水銀燈「あ…?!」カクン



(あの最後の瞬間、お父様の下した決断は…)



ローゼン「これから、わたしに残されたすべての生命と精神の力を結晶に吹きこみ、結晶の再生を終わらせる」
779 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:28:52.54 ID:rMOkGN.0
水銀燈「(や…やめて…)」カチャカチャ


ローゼン「そうすれば力が戻るから、結晶を分離したら君はこの子たちを連れて飛び立つんだ」

水銀燈「(お、お父様…)」カチカチ


ローゼン「忌まわしい記憶も、ともに消し去ってしまおう。 …願わくば、よいお婿さんを迎えておくれ」



(お父様の決断は、自らの命と引き換えにわたしたちのただれた関係を清算することだった)



水銀燈「(だ、だめ…)」カチッ


ローゼン「…はじめるよ」



チュッ



水銀燈「(ああ…)」



チュウウウウウウ
780 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:31:41.44 ID:rMOkGN.0
水銀燈「(だめ、だめ… やめて…!)」


パァァァァァ…


ローゼン「(おなかに切れこみを入れる。 一瞬だけ力を緩めるんだ)」

水銀燈「(ああ… ああああああ…)」


ピキッ


ローゼン「(泣かないでおくれ、水銀燈。 これで良かったのだから…)」

水銀燈「(いやっ、いやっ! お父様が死んじゃうっ!!)」



ピキピキ パキィッ!!



ローゼン「さよなら、水銀燈…」



「…愛していたよ」



パァ…ン!!





「(いやあああああああああああぁぁぁぁっ!!)」
781 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:34:22.89 ID:rMOkGN.0
(…わたしのおなかがはじけて、結晶があの子たちの体に戻った瞬間…)


(…お父様の体が冷たくなっていった)


(思考と記憶を操作されたわたしは、混乱した頭でお父様の最後の言葉通りにあの子たちを抱えて飛び立った)


(いくつもの記憶、思考、感情が閃いては消え… 固まっては砕け…)




『わたしの…わたしのせいで、お父様が…!』

『わたし、そんなつもりなんてなかった… お父様を追い詰めるつもりなんて…』



―アリスゲーム… アリスを目指す… 勝てば、お父様をひとりじめに…
782 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:35:55.00 ID:rMOkGN.0
『わたしはただ… お父様を、愛したかっただけ… 愛されたかっただけ…』

『ああ、こんな思いをするくらいなら…マリアなんかになるんじゃなかった!』



―ジャンクに… お父様に、壊されてしまえば…



『わたしも… お父様の娘のままでいればよかった…』

『ああ、もういや… あなたたち、あなたたちさえいなければ…!』



―結晶を奪って…あの子たちを止める…






(そして、ついにはひとつの物語を作り出した)
783 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:37:35.01 ID:rMOkGN.0
蒼星石「う…」

真紅「…ここは…」

雛苺「…あれ、お父様は…?」


「ようやく目覚めたわねぇ」


真紅「あ、あなたは…!」

雛苺「お、お母様…?」



ビシイッ!



雛苺「ひぃっ!」


「寝ぼけてるんじゃないわぁ。…わたしは、あなたたちの姉」



「ローゼンメイデン第一ドール、水銀燈よ」
784 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:40:58.51 ID:rMOkGN.0
(…お父様の記憶操作の影響は、おなかの中のあの子たちの結晶にまで及んでいた)

(あの子たちは記憶を失って目覚めた直後に、わたしの言葉を刷りこまれた)



金糸雀「(あ…あれ? そうだったかしら?)」

水銀燈「…さぁ、お休みはここまで。 アリスゲームを始めるわよ」

雛苺「ありす…げーむ?」

金糸雀「い、いったい…?」

水銀燈「お父様に会うためのゲーム。 …お互いの結晶をかけて争うのよ」

蒼星石「…どういうことなんだ?」

水銀燈「すべての結晶を集めて『アリス』になった者だけが、お父様に会える」

翠星石「…あ、あれ? そうでしたっけ? そんなの…おかしいですぅ…」



ヒュバッ!



翠星石「あうっ?!」

水銀燈「寝ぼけたこといってるんじゃないわ。 最初の脱落者になりたいの?」

真紅「やめて… やめなさい、水銀燈!」

水銀燈「やめさせたければ、わたしを止めてみせなさい!」

蒼星石「…望むところだ!」
785 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/25(土) 23:44:00.19 ID:rMOkGN.0
(さらにあの子たちはわたしの胎内で、母体…わたしから強烈な憎悪を浴びせられていた)

(互いを、みずからを憎むよう仕向けられたあの子たちは、わたしの言葉通り姉妹で戦い始めた…)



(そう…)



(お父様を追い詰め、死に追いやったのも…)



(あの子たちが、姉妹で果てしない血みどろの戦いをするようになったのも…)



(みんな… みんな… わたしのせい…)







(わたしの…)
786 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:38:56.18 ID:eb7jkDY0
【廃ビル】

巴「(…静かになった…)」

のり「な…何が起こったの…??」



水銀燈「…」



ジュン「(…か、体が…動く?)」


スッ


ジュン「す…水銀燈?」



水銀燈「…」



のり「ぎ、銀ちゃん?」





「く…」
787 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:41:09.20 ID:eb7jkDY0
ジュン「?」


「くっくっくっく…」


巴「…水銀燈?」



「…あはははははっ!!」



ジュン「水銀燈!?」

水銀燈「あはははは、あーっはっはっはっ!!」

のり「ど…どうしたの…?」

水銀燈「はは、はは、ははっ…」

巴「まさか…!」

水銀燈「あははっ…わたし、わたし…」





「馬鹿みたい…」
788 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:42:54.44 ID:eb7jkDY0
ジュン「す、水銀燈…」

水銀燈「わたし… ローゼンメイデンでもない、ただの未完成の試作品だったくせに…」

のり「銀ちゃん… あなた!」

水銀燈「マリアになるだとか、役割ができたとか… その気になって…」

巴「(知ってしまったの…!?)」

水銀燈「ほんとは、みんなを不幸にしてしまっただけ… お父様を死なせ、妹たちを戦わせ…」

ジュン「ち、違うよ! それは…」

水銀燈「黙れっ!」 


バシッ!


ジュン「っ!?」


水銀燈「…どうせ、最初から知ってたんでしょう?! 契約のときからずっと!!」
789 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:45:05.26 ID:eb7jkDY0
のり「そ、それは…!」

水銀燈「あなたたちだってそうよ! 勘違いしてるわたしを、ずっとそ知らぬ顔で眺めてたんでしょう?!」

巴「そ、そんなことないっ!!」

水銀燈「ははっ、お笑いよぉ! わたし、バッカみたい! ひとりだけ何にも知らされないで…!」

ジュン「ちがう、そうじゃない!!」


バキッ!


ジュン「ぐっ!」

水銀燈「黙れって言ってるでしょう?!」 ジタバタ

ジュン「水銀燈! 落ち着け!」

水銀燈「みんな、大嫌い! 嘘つき! 最低!!」

のり「銀ちゃん、ちがう、ちがうのよっ!!」

水銀燈「何が違うっていうのよぉ!! みんな… みんな… ふふ…」

巴「…水銀燈?」

水銀燈「ふふ、ふふふふふ…」



「そりゃ、言えないわよねぇ…」
790 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:46:43.79 ID:eb7jkDY0
ジュン「水銀燈…」

水銀燈「そんなこと言っちゃったら、わたしがどうなるかなんてわかりきったことだものねぇ…」

のり「…銀ちゃん」

水銀燈「みんな、みんな、ほんっとうに優しいんだから…」

巴「…」

水銀燈「ありがとうね、みんな。 ほんとにありがとう…」

ジュン「水銀燈…」





「わたし、もう何も思い残すことはないわ…」
791 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:48:23.16 ID:eb7jkDY0
ジュン「…なんだって?」

水銀燈「ジュン、お姉さま、巴… この子たちのこと、お願いね…」

のり「えっ? …ぎ、銀ちゃん?」


パァァァァァ…


巴「お、おなかが?!」

ジュン「まさか、まさか君は!!」

水銀燈「わたし、わたし… もういいの…」


ピキッ


ジュン「結晶に、自分の力を集中してるのか?!」

巴「えっ…どういうこと?!」
792 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/26(日) 00:51:14.96 ID:eb7jkDY0
水銀燈「あなたたちと過ごしたこの半年間、わたしはほんとうに満たされていた…幸せだった」


ピキピキ


ジュン「…そんな、自分の体を守るための力まで、すべて集中する気なのか!!」

のり「ええっ!? そんな…ダメっ!! 銀ちゃん、ダメぇっ!!」

水銀燈「…みんなお願い、わたしのしたいようにさせて… わたしに、罪の償いをさせて…」

巴「水銀燈! 早まらないで!!」



ピキピキ… パキッ



水銀燈「(…めぐ、ごめんね。 わたし、約束、守れないみたい…)」

ジュン「やめろおぉぉぉぉっ!!」
793 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [sage]:2009/04/26(日) 00:52:35.33 ID:eb7jkDY0
今日はここまで。再開はあさって以降。
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/26(日) 00:54:15.52 ID:xrQAv4ko
乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙
乙の言葉だけじゃ収まらないくらい乙
俺にボキャブラリーがもっとあれば1000の言葉を持って賞賛するのに
795 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [sage]:2009/04/26(日) 01:07:26.03 ID:eb7jkDY0
>>794
そう言ってもらえると、自分まで鬱になりそうになってまで鬱展開を書き上げた甲斐があるってもんです。
なんとか、銀ちゃんを幸せにできるようがんばってみます。
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/26(日) 01:18:28.99 ID:W3wNJ0.o
おっつ
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/26(日) 09:12:45.57 ID:.HxNM56o
おつ!!
798 : [sage]:2009/04/26(日) 11:11:22.32 ID:vJiDMnM0
>>796-797
乙どもです〜
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/26(日) 22:34:31.12 ID:tf5RUp60
オリジナルで与えられた設定の中で、こんなにドールズのことをちゃんと考えたSSは初めてだ。
直接的ではないとはいえ、近親相姦とか、想像したこともなかったわ。スゲェ。


あとは、水銀燈のすべての記憶を持つジュン君がどうやって復活後の真紅や蒼星石と普通に接することができるかどうかですな。
乙乙乙。
800 : [sage]:2009/04/27(月) 14:20:57.71 ID:MewlvAo0
>>799
褒めてくれてどもっす。
水銀燈とローゼンの関係は、きらきーの水銀燈に対するセリフ…
「愛に縛られている」って言葉をふくらませていった結果、こうなっちまいました。
縛られるほどの強い愛っていうのをつきつめると、ここに行き着いてしまうかなと。


あと水銀燈の記憶をその戦いの遍歴、罪の意識ともになぞったジュンは、多かれ少なかれ他のドールへの接し方も変わってくると思ってます。どう変わるかは自分でもまだわかりませんが…


つうわけで、そろそろきらきーにも活躍してもらいます(ぇ
3乙どもです。
801 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 14:29:54.69 ID:MewlvAo0
パキッ… パキッ



水銀燈「みんなの結晶だけは、無事に切り離すから… わたしのことは、もう…」

のり「銀ちゃん、ダメぇっ! …ジュン君、どうにかしてっ!!」

ジュン「どうにかって… そ、そうだ! 水銀燈っ!」


ガシッ!


水銀燈「あっ…ジュン?!」


ジュン「いま結晶を分離したら、ボクを巻きこむぞ!」

巴「(ジュン君、なんて無茶を! でも…)」

水銀燈「ああ、ジュン…! もう、もういいのに…」

ジュン「(いまのうちに…機能を停止させる!)」カチッ

水銀燈「あ…」




カクン
802 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 14:35:04.63 ID:MewlvAo0
ジュン「や、やったか…?」

のり「銀ちゃん…ジュン君…」

巴「だ、大丈夫?」

ジュン「…ああ、これで、ひとまずは…」


ピシッ


のり「…えっ?」


ピシ ピシ


巴「そんな… そんな!」

ジュン「ばかな!!」


ピキッ… パキッ!


ジュン「崩壊が止まらない!!」

のり「いやああぁっ! 銀ちゃぁぁんっ!!」





ジュン「…もう限界なんだ! 結晶も、水銀燈の体も!!」
803 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 14:38:12.31 ID:MewlvAo0
のり「ジュン君、なんとかして!」

ジュン「…だめだ! ボクがエネルギーを吹きこんでも、結晶にしかとどかない!」


ジャリッ


巴「そんな! あ…」

ジュン「水銀燈本体を修復するには、水銀燈の正式な契約者を頼るしか…! けれど…!」


ツンツン


ジュン「?」

のり「…あっ!!」


バキィッ!!


ジュン「うあっ!?」

巴「あなたは!」

のり「…来てくれたのね!」





めぐ「まったく、もう」
804 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 14:40:47.34 ID:MewlvAo0
【有栖川大学病院】

看護婦「せ、先生! 柿崎さんがいません!」

医師「なんだと!?」

看護婦「さっき、知り合いっていうお年寄り夫婦が面会に来たあとから…!」

医師「どういうことだ! 面会者の連絡先は!?」

看護婦「さっきからかけてるんですが…」

医師「まったく、あの子はいつもいつも…!」



【廃ビル】

めぐ「…今度という今度は、殺してやろうかと思ったわ」

ジュン「なぜ… なぜきみがここに?」

みつ「どうにか間に合ったわね」

のり「みっちゃんさん! それに…」

柴崎「…危ないところじゃったわい」

マツ「さすがに、ちょっと体にこたえましたけどね…」

巴「柴崎さん… マツさんまで!」
805 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 14:43:46.41 ID:MewlvAo0
めぐ「状況は、どうなの?」

ジュン「…」

のり「すごく、危ないの。 このままだと銀ちゃんは…」

ジュン「の、のり!」

巴「…あなたの力が必要なんです」

ジュン「巴まで!?」

めぐ「…ジュン君、そこをどいて」

ジュン「だ、だめだ! そんなことをしたら…!」

めぐ「大丈夫よ」


グイッ


ジュン「あっ… の、のり?!」

のり「…そう、大丈夫よ。 大丈夫なのよ、ジュン君」

巴「のりさん… あなたのところにも、もしかして?」

のり「…うん、来たの。 …渡してくれたのよ」
806 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 14:46:14.63 ID:MewlvAo0
柴崎「わしらのところにも、来ましたぞ」

みつ「ふふ、じゅんじゅん以外はみんなご承知のようね」

ジュン「な…?!」

めぐ「水銀燈…」


スッ


ジュン「めぐ!」


パァァァァ…


めぐ「…」

ジュン「や、やめるんだ!」

のり「大丈夫よ、ジュン君」


スッ


のり「めぐちゃんひとりには、やらせないから」

めぐ「…のりさん」




ピトッ
807 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:44:02.14 ID:MewlvAo0
ジュン「のり? めぐの背中を触って、なにを…」


キラッ


ジュン「そ…その指輪は!?」

巴「…わたしも」


ピトッ


ジュン「巴っ?!」

巴「わたしたちは、水銀燈に直接エネルギーを与えることはできない」

みつ「けれど…」


ピトッ


みつ「水銀燈の契約者に、力を分け与えることはできる」

めぐ「…あたたかい。 みんなの手が…」

ジュン「な… いったい、どういうことなんだ!!」

柴崎「昨日の晩、わしらの部屋に来たんじゃよ」


ピトッ


マツ「ウサギの顔をした男の人がね」

ジュン「…なっ!?」
808 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:45:31.56 ID:MewlvAo0
【昨晩 のりの部屋】

ラプラスの魔「…夜分遅くに失礼」

のり「ひ…!」

ラプラスの魔「おっと、お静かに」

のり「(ひうっ?! …体が、動かない!)」

ラプラスの魔「ジュン君には、気づかれたくないのでね」


スタ スタ 


ラプラスの魔「…いつも、あの子たちがお世話になっているようで」

のり「(…え?)」

ラプラスの魔「自慢のご料理を相伴あずかりたいところですが」スッ

のり「(これは…指輪?)」

ラプラスの魔「時間もないので、用件だけ手短に。 あと4箇所回らないといけないのでね」

のり「(…4箇所?)」

ラプラスの魔「あの子に関っている人たちのところを回っているのですよ」

のり「(…えっ?)」
809 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:47:26.79 ID:MewlvAo0
ラプラスの魔「この指輪は『ヒュギエイアの杯』の意匠です」

のり「(杯と…蛇…)」

ラプラスの魔「これをはめれば、人から人へ生命力を送ることができます。ただし一度きりですが」

のり「(…どういうこと?)」

ラプラスの魔「あの子の体はもう限界が近いはず。 おそらくは、分離の衝撃に耐えられないでしょう」

のり「!」

ラプラスの魔「しかし、契約者の生命力にあなたたちの生命を上乗せして送りこめば、あるいは…」

のり「(…あなたは、まさか…)」

ラプラスの魔「ただ、助かるという保障はありません。それどころか、うまく制御しないとあなたたちの生命さえ危ぶまれるかもしれない」

のり「(銀ちゃんを、助けようとしているの…?)」

ラプラスの魔「だから、あなたたちに一言聞いておきたい」

のり「…あっ(体が動く?!)」



「受け取りますか? 受け取りませんか?」
810 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:49:07.80 ID:MewlvAo0
ジュン「そんな、そんなのって…! 罠かもしれないじゃないか!」

のり「そうかもしれない…でも」


ギュッ


のり「ただ見てるだけなんて、わたしたちだってつらいもの…」

ジュン「の、のり…」

のり「わたしたちだって、あなたたちの力になりたいの」

巴「…ジュン君だって内緒にしてたんだから、おあいこでしょ?」

ジュン「…巴」

みつ「…もし害を与える気なら、こんな回りくどいことをしようとは思わないと思う。それに…」


ギュッ


みつ「どうせダメかもしれないなら、やれることはみんなやってみなくちゃね」

柴崎「どうせ老い先短い身じゃからな」

ジュン「し、柴崎さん!」
811 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:51:42.44 ID:MewlvAo0
マツ「あら、おじいさん、わたしは死ぬ気なんてありませんよ?」

柴崎「ん?」

マツ「あの子たちをもう一回、抱いてやれるときまではね」

柴崎「…やれやれ。 じゃあ、めぐさん。 わしらの命、存分に使っておくれ」

めぐ「みなさん…」


パァァァ…


めぐ「ありがとう」

ジュン「みんな、みんな…」ギュッ




「(水銀燈、わかるだろ? みんな、みんなきみのことを…)」




「(死なないで…!)」
812 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:54:46.89 ID:MewlvAo0
【???】

ピシ… ピシ…


(みんな…)


(やめて、もういいの… わたしは、もう…)


ピシ…ピキッ


(あの子たちに、合わせる顔がないもの…)


(わたしのことは、ほうっておいて…)


…ダメ


(…?)


ダメ! ダメ!!


(あなた…)


オカアサマ… シンジャダメッ!! 


(そうだ、あなたとも約束してたわね… でも…)


シナナイデ… ヒトリニシナイデ!!


(ごめんね… わたし、もうダメなの…)


ダメ! ダメッ!! …? アレ…?


(? どうしたの…)
813 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 17:58:10.79 ID:MewlvAo0
パァァァァ…


(こ、これは、生命のエネルギー! …めぐ? いや、違う!)


ア…アタタカイ… 


(…めぐひとりで、こんなに力が出せるはずがない! どういうこと…?!)


ス…スゴイヨ、オカアサマ! チカラガ、アフレテクルヨ!


(…)


コレナラ…! オカアサマ、コレナラ!


(…もう、いいのよ)


…エッ?


(わたしには、最初からそんな資格なんてなかったの)


オカアサマ?! 


(あなたたちのお母さんになる資格なんて…)


ダ、ダメッ! シッカリシテ、オカアサマ!!


(ごめんね…)




ピシピシピシッ
814 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:01:24.65 ID:MewlvAo0
アア…アアア… アキラメナイデ!!


(…)


オカアサマ、オカアサマァッ!!


(…)


…ミンナ、ミンナ、タスケテ! ワタシダケジャ、ダメナノ!!



ミンナ… ミンナ…





(お願い! みんな、わたしに力を貸して!!)


ピシ… ピシピシ





ジュン「くっ… なぜだ、なぜなんだ!」
815 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:03:36.07 ID:MewlvAo0
めぐ「く… うぅ…」

ジュン「命の力は、めいっぱい送りこんでるはずなのに…!」

のり「ジュン…君、がんばって…」


パキッ… ピキッ…


ジュン「どうして…どうして…」

巴「(ああ… 意識が…)」


ピキキッ!


ジュン「なぜ、崩壊が止まらないんだ!?」

みつ「じゅんじゅん、あきらめちゃ… ダメ…」

柴崎「わしらは、まだまだ…いけるぞ…」

マツ「そうですとも、まだまだ…」クラッ

ジュン「マツさん! …くっ、もう…」



「もうダメなのか…?」



シュルシュルシュル
816 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:04:55.75 ID:MewlvAo0
ジュン「…?」

巴「何の音…?」


シュルシュルシュルシュル



ジュン「なっ! これは、まさか!!」

のり「きゃあっ!」

めぐ「これは… これは、あの時の!」



ズワァァァァァァ!!!



みつ「白い茨が…水銀燈の体から!」

巴「い、いやあっ?!」



シュルルルル シュルルルルル
817 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:11:59.71 ID:MewlvAo0
柴崎「(からみついてくる!?)」

マツ「ひ…っ!」

ジュン「…くそ…っ、貴様、貴様ぁっ!!」



(信じて!)



ジュン「(な?!)」



(わたしを信じて、お父さま!)



ジュン「な…なんだって…?!」



(お父さま、お願い! お母様を助けたいの!!)



ジュン「どういう…こと…だ?」



(お願い、お願い、わたしを信じて…!)


シュルルルルルル


(わたしを信じてくれた、お母さまを信じてあげて…!!)



ジュン「…白…薔薇…?(あ…意識が…)」



ズワァァァァァァ…
818 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:14:37.44 ID:MewlvAo0
ジュン「ここは…」

のり「ジュ…ジュン君?」

巴「ここは…どこなの? たしか、白い茨に巻きつかれて…」


シュルシュルシュル


みつ「…みんな、いるの?」

柴崎「わしらは、ここにいるぞ」

マツ「何が起こったのかしら…」


「…みなさん」


めぐ「…あなたは!!」


雪華綺晶「あのときは、ごめんなさい…」
819 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:19:06.87 ID:MewlvAo0
ジュン「君なのか…? 白薔薇」

巴「白薔薇?! この子が…雛苺の体を奪った!?」

めぐ「わたしをnのフィールドにひきずりこんだ…」


雪華綺晶「ほんとうに、ほんとうにごめんなさい…」


みつ「あのとき、生き人形をバラバラにして、わたしたちを助けてくれたのもあなた?」


雪華綺晶「…はい」


巴「…なぜ、こんなことを?」

めぐ「今度は、わたしたちをどうする気?」


雪華綺晶「…お母さまを助けてほしい」


のり「お母さまって…銀ちゃんのこと?」

めぐ「あなたが? だって、あなた水銀燈のことを…」


雪華綺晶「…あのときあなたをさらったのは、お母さまを誘うためじゃない」


めぐ「…?」





雪華綺晶「わたしがほんとうに用があったのは、あなた」
820 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:26:14.12 ID:MewlvAo0
めぐ「?! どういう意味よ!」


雪華綺晶「確かめたかった。 あなたが、お母さまにとってどういう存在なのか」

シュルシュルシュル

雪華綺晶「…お母さまが『マリア』になるために、選ばれた人だったのかどうか」


ジュン「どういうことなんだ…?!」


雪華綺晶「お母さまの体は、もうボロボロだった。…いずれ遅かれ早かれ崩壊するはずだった」

シュルシュルシュル

雪華綺晶「けれど、お母さまが『マリア』として目覚めれば、ほんとうに助けることができるはずだったから」


めぐ「…」


雪華綺晶「でも、お母さまが『マリア』になるためには欠けている重要な要素がある。 …それは、ローゼンお父様にさえ造ることができなかったもの」

シュルシュルシュル

雪華綺晶「もしあなたが、その要素をお母さまに与えられる適格者だとすれば…」




めぐ「水銀燈を、助けられるってこと?」
821 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:29:04.89 ID:MewlvAo0
雪華綺晶「けれど…まずは、結晶を分離しなくてはいけない。お母さまの体を崩壊させずに…」

ジュン「でも、命の力はもう目いっぱい送りこんだんだ」

雪華綺晶「命の力だけじゃダメ。 お母さまを助けるには心の力が必要」

巴「心の…ちから?」

雪華綺晶「生きようと願う力。どんなにつらくても、生き抜こうとする意志の力」

柴崎「ふむ…」

雪華綺晶「どんなに生命力にあふれていても、心の力を失ってしまったものは生きていられない」

マツ「わかるような気がする。けれども…」

みつ「どうやって、水銀燈にそれを与えるの…?!」

雪華綺晶「わたしは、心を操る力を持っている」 



シュルシュルシュル



雪華綺晶「みんなの心をお母さまにつないで、直接力を送りこむの」
822 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:34:01.34 ID:MewlvAo0
ジュン「そんなことが、できるのか?!」

雪華綺晶「だから… 私を信じて、お父さま」

巴「(お…お父さま?!)」



雪華綺晶「わたしを信じて、あなたの心をわたしにゆだねて…」



ジュン「…」


スッ


のり「ジュ、ジュン君!」

雪華綺晶「お父さま… ありがとう…」

ジュン「…君も言ってただろう、君を信じるんじゃない」

雪華綺晶「…はい」

ジュン「君を信じていた、水銀燈を信じるよ」


(水銀燈「わたしたち、つながってるのよ?」)

(水銀燈「…ジュン、内緒にしてたのは謝るわ。だから、この子のことも…」)


雪華綺晶「ありがとう…」


シュルシュルシュル…
823 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:43:32.83 ID:MewlvAo0
みつ「(白い茨が… じゅんじゅんを包んでいく…!)」


のり「ジュン君…」スッ

ジュン「のり?」

のり「…あなたが銀ちゃんを信じるなら、わたしはあなたを信じるね」

ジュン「…姉さん」


雪華綺晶「ありがとう、ほんとにありがとう…」シュルシュルシュルシュル…


巴「…」

スッ…

雪華綺晶「…あ」

巴「終わったら、雛苺のこともちゃんと話してね?」

雪華綺晶「…はい、必ず」


シュルシュルシュルシュル…


のり「…えーいっ、ままよっ!!」ガバッ

雪華綺晶「きゃっ?!」

のり「…お母さんが元気になったら、あなたも私の部屋に来てね? みんな一緒によ!」

雪華綺晶「…お着替え、させてくれるの?」

のり「もっちろんよー!」

雪華綺晶「…嬉しい」シュルシュルシュルシュル



(お母さまが『マリア』になってくれさえすれば…)

(わたしも、お姉さまたちのように… 普通の女の子のように…)
824 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:53:45.04 ID:MewlvAo0
柴崎「…ばあさん」

マツ「…ええ」


スッ


雪華綺晶「…いいんですか?」

柴崎「もう、いやもおうもあるまいよ」

マツ「あの子達のこと、お願いね?」

雪華綺晶「…はい」


シュルルルルル


めぐ「…」


スッ


雪華綺晶「めぐ…さん」

めぐ「好きにするといいわ」

雪華綺晶「…いいの?」

めぐ「水銀燈に、どうしても伝えなきゃならないことがあるの」
825 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:58:54.66 ID:MewlvAo0
雪華綺晶「…」

めぐ「心をつないでくれるんでしょう?」

雪華綺晶「はい…」

めぐ「うまくいくかどうかなんてわからない。けど、これを伝えなければわたしは死ねないし…」

雪華綺晶「はい…」

めぐ「伝える前に、水銀燈に死なれたくもない。 だから、頼むわよ」

雪華綺晶「…」



「ありがとう…」



シュルシュルシュルシュルシュル…



(お母さま… あなたの周りにいるのは、みんなすばらしい人たちばかり)


(ジュンお父さまも… めぐさんも… みんな、みんな…)


(だからどうか… 心を開いて…)



シュルシュルシュル…
826 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 18:59:53.51 ID:MewlvAo0
とりあえずここまで。再開は未定。
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/27(月) 19:19:05.36 ID:pUXLsjco
おっつ
あと多分>>823の後半「のり」じゃなくて「みつ」だよね?
重箱の隅つついてすまん
828 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/27(月) 19:37:48.70 ID:MewlvAo0
>>827
おっといけない…^^; 指摘どもっす。以下>>823と差し替え。


みつ「(白い茨が… じゅんじゅんを包んでいく…!)」


のり「ジュン君…」スッ

ジュン「のり?」

のり「…あなたが銀ちゃんを信じるなら、わたしはあなたを信じるね」

ジュン「…姉さん」


雪華綺晶「ありがとう、ほんとにありがとう…」シュルシュルシュルシュル…


巴「…」

スッ…

雪華綺晶「…あ」

巴「終わったら、雛苺のこともちゃんと話してね?」

雪華綺晶「…はい、必ず」


シュルシュルシュルシュル…


みつ「…えーいっ、ままよっ!!」ガバッ

雪華綺晶「きゃっ?!」

みつ「…お母さんが元気になったら、あなたも私の部屋に来てね? みんな一緒によ!」

雪華綺晶「…お着替え、させてくれるの?」

みつ「もっちろんよー!」

雪華綺晶「…嬉しい」シュルシュルシュルシュル



(お母さまが『マリア』になってくれさえすれば…)

(わたしも、お姉さまたちのように… 普通の女の子のように…)
829 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 20:42:19.09 ID:HE4ev0.0
それでは再開します〜
830 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 20:48:42.52 ID:HE4ev0.0
ピキキッ… パキッ


(からだが… 崩れていく、砕けていく…)

(心も… 散っていく、薄れていく…)


パキキッ… パキパキ


(もう、怖くはない… 疲れてしまった…)

(考えることも… なにもかも…)


ポゥ


(?)


パァァ…


(あれは… なに? あ、あれっ?)


シュルルルルル…


(ひ… 引っぱられる?!)


シュルルルルルルル


(あああ…!!)
831 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 20:50:46.51 ID:HE4ev0.0
【ジュンの家・台所】


シューーーー 


水銀燈「…あ、あれ?」

のり「♪ふん、ふん」トントントントン

水銀燈「こ、ここは…?」


トントントントン


のり「銀ちゃーん、お塩取ってー」

水銀燈「あっ… はぁい、お姉さま」


コトン


のり「ありがとうねー♪」

水銀燈「い、いいえ…(なんなのかしら…?)」

のり「さー、ぱぱっとやっちゃいましょっ!」

水銀燈「そ、そうね」


(…走馬灯ってやつなの? だって…)


シューーーー トントントントン


(…楽しかったものねぇ。 お姉さまと、こうやって食事の支度をするの…)
832 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 20:52:19.53 ID:HE4ev0.0
のり「ねぇ、銀ちゃん」

水銀燈「…なあに?」

のり「昨日はありがとうね」

水銀燈「昨日?」

のり「相談に乗ってもらっちゃって…」

水銀燈「…?? あ、ああ…」


(のり「…もしかしたら、わたしがジュン君をダメにしちゃってたのかな、って思っちゃって…」)

(水銀燈「お姉さま。あなたは、ジュンをダメにしたんじゃない。 ジュンの中に、いつか飛び立つための力を育て続けてきた」)


のり「ああいうふうに言ってもらったの、はじめてだったから…」

水銀燈「…ふふっ、いいのよぉ」

のり「あの時わたしが言ったこと、覚えてる?」

水銀燈「ええ、もちろん。…嬉しかったわ」


(のり「…もしジュン君との契約が終わっても、あなたはいつまでもわたしたちの家族よ」)


のり「ずーっとこうやって、みんなで暮らしていけるといいね」

水銀燈「…ええ」
833 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 20:57:29.08 ID:HE4ev0.0
(こんなことを言ってた事もあったわね… 懐かしいわ)


シャワシャワシャワ


(でも… ごめんなさい。 わたし、もう…)


のり「…銀ちゃん」

水銀燈「はぁい?」

のり「あのとき、あなたからもらった言葉」

水銀燈「…えっ?」

のり「今度はわたしから、あなたに返すね」

水銀燈「…なあに?(あれ…?)」


(あのとき、こんな会話したかしら…?)


のり「あなたは、お父さんを死に追いやったんじゃない」

水銀燈「…え?」

のり「あの子たちを、血みどろの戦いに追いやったんでもない」

水銀燈「な、なっ…?!」

シューーーーー

のり「あなたはただ、みんなを一生懸命愛して、守ろうとしていただけ」

水銀燈「(これは… ど、どういうことなの?!)」
834 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:00:02.13 ID:HE4ev0.0
のり「みんな、血まみれなんかじゃない。 素直でかわいくてやさしくて…とってもいい子たちよ?」

水銀燈「わたしは、わたしは…!」


のり「…銀ちゃん」ニコ


水銀燈「あなた…あなたは…まさか?!(わたしの思い出じゃなくて…?!)」



「元気に帰ってきて。 みんなで、いっしょに暮らそうよ」



水銀燈「お… お姉さま…? あなたなの…?!」


「お願いよ?」


(あ… あああ… お姉さま…っ!)


ポウ…


(あ… また、引っ張られる…!)


シュルルルルルル…



「がんばってね、銀ちゃん…」
835 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:03:23.00 ID:HE4ev0.0
【ジュンの家・風呂場】

…チャポ


水銀燈「あ…あれ? ここは…」


ゴシ ゴシ


水銀燈「ひゃん?! せっ、背中…」

巴「流しますね」


ザアッ


水銀燈「あ…」

巴「結晶が修復されてみんながよみがえったら、またゲームを始めるんですか?」

水銀燈「えっ? …え、ええ、そうよ」


(そういえば、こんなこともあったわねぇ…)


水銀燈「…もちろん、再開するわ。恨みっこなしでね」

巴「もう、あなたはアリスを目指す必要はないんでしょう?」


(…人間の女の子、しかも契約者でもない子なのに…)


水銀燈「…アリスゲームをやめたからって、わたしたちが戦わずにすむわけじゃないもの」
836 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:07:10.95 ID:HE4ev0.0
巴「…」

水銀燈「あなたたちには、ほんとうにお世話になってる。そのことは忘れていない」


(…あんなに自分のことを話したことって、無かったわぁ。 …妹たちにさえも)


水銀燈「けれど、あんまりお世話になりすぎてしまうと、いざというとき戦えない自分になってしまいそうな気がする」

巴「…水銀燈」


(こんなことも言ってたっけ。 でも…)


水銀燈「そして、勝てる戦いに負けて、助けられる命を取りこぼしてしまうかもしれない。 …わたしはそれがとても怖いの」


(でも、もうわたしは…)


巴「…でも、水銀燈。 あなた、今…」

水銀燈「…えっ?」

巴「助けられる命… あなた自身の命を、とりこぼそうと…いえ、投げ捨てようとしてる」

水銀燈「…な、なっ!(ま、また…?!)」


(こんな会話、した覚えなんか無い!)
837 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:10:21.87 ID:HE4ev0.0
巴「…なにが怖いの? 妹たちに嫌われること? 軽蔑されること?」

水銀燈「…それは、それは…」

巴「…ずっと戦ってきたあなたが、いまさらなにを怖がっているの?!」

水銀燈「やめてぇっ!!」



「お願い、やめて… もうやめて…」



巴「…ごめんなさい」


ペタッ


水銀燈「…?」

巴「きれいな背中…」ピトッ

水銀燈「と、巴?」



…スリ スリ
838 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:13:08.85 ID:HE4ev0.0
水銀燈「あっ…?」

巴「あなたには、ほんとうにかなわない」スリスリ

水銀燈「ちょ、ちょっと…くすぐったいわよぉ」

巴「綺麗で強くて賢くて、そしてとても優しい。 …でも私、もう逃げない」

水銀燈「えっ?」



「…ジュン君は、渡さない」



水銀燈「…」



「…いいのよ、巴。 もう、わたしは…」



巴「…」


グニッ


水銀燈「あうっ?!」

巴「…」グニグニ
839 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:19:03.25 ID:HE4ev0.0
水銀燈「巴っ!? いっ、痛いわよぉ!」

巴「『全力の戦いで、情けをかけられるほど悔しいことは無い』」

水銀燈「え? …あっ!」

巴「わたしをバカにしないで…!」


ギュウッ


水銀燈「あ… 巴…」

巴「お願い水銀燈、私と戦って!」


ギュウウッ


巴「あなたから見ればわたしなんて、とるにたらない存在かもしれないけど…」

水銀燈「…」

巴「でも、戦って勝ちたいの! ゆずってほしくなんか無い! たとえ勝てなくても…」


ガバッ!


巴「そのときはせめて、決着をつけてほしい! …ボロボロになるまで、叩きのめしてほしい!」

水銀燈「…巴、あなた…」

巴「ようやくわかったの。あなたとみんなを結びつけていたものが。 わたし…」




「みんなが、アリスゲームにこだわる気持ちを、やっと心の奥底から理解できたの!」
840 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:24:12.24 ID:HE4ev0.0
水銀燈「(…あなた、人間の女の子なのに…)」

巴「だから…だから、死なないで…! わたしも、みんなの絆にくわえてほしい…!」

水銀燈「(そんなこと言うなんて… あなた、あなたまるで…)」クルッ

巴「あっ?」

水銀燈「巴、あなた…」クイッ


ヒシッ


巴「あ…」

水銀燈「あなたまるで、真紅みたいね…」

巴「…ああ、水銀燈…」


ギュッ


水銀燈「取るに足らない存在なんて、思ってないわ。 …今まで生きてきた中で、一番の強敵かもしれない」

巴「…水銀燈っ!」

水銀燈「今のわたしじゃ、とても勝てないくらい…」

巴「あなたは… あなたの力はそんなものじゃない!! 強いあなたでいてっ!」




「お願い… 死なないで…!」




(…巴…)シュルルルルルル
841 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:31:45.98 ID:HE4ev0.0
【みつの家】


水銀燈「あ…あれっ?」


パシャッ!


水銀燈「きゃっ?!」

みつ「うーーーん、いいわよいいわよー!」

水銀燈「み…みつぅ?(あら、この服…?)」


(こ、こんどはここなのぉ?! まったくもう、よりにもよって…)


みつ「もう一枚ちょうだ―い! そうそう、今度は横からー!」

水銀燈「…こ、こうかしらぁ?」


(…このノリって、なんか調子狂うのよねぇ。 …でも)


みつ「そうそう! 最高よー!!」パシャン!

水銀燈「…んもう、めんどうくさいわねぇ」


(でも… 楽しかったわ。 いつも戦うか、みんなの世話、お父様の手伝いばかりで…)
842 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:33:36.15 ID:HE4ev0.0
みつ「ねぇねぇ、こんどはこっちの服着てみてくれる? お・ね・が・い!」

水銀燈「…はいはい、まったくもう。 あっちで着替えてくるわぁ」ルンルン♪


(普通の女の子みたいに、おめかししたりすることなんてなかったから…)




スルスルスル パサリ


みつ「ねぇ、まだー?」ワクワク

水銀燈「あわてるんじゃないわよぉ」ウズウズ


キュッ パチン パチン


みつ「でも…夢みたい」

水銀燈「夢?」

みつ「だって…伝説のローゼンメイデンが、私の部屋にいるのよ?」

水銀燈「…ふうん」

みつ「しかも、これで第1ドールまでもが私の部屋に。…長年の夢がかなったわぁ」

水銀燈「へぇ…(なあんだ)」



(そんなことで、よかったの?)
843 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:43:26.90 ID:HE4ev0.0
水銀燈「ねぇ、みつ」

みつ「なあに?」

水銀燈「…いつでもいいから、連絡して。 どんなときでも、何回でも来る」

みつ「えっ?」

水銀燈「妹たちにも修復が終わったら伝えておく。あなたからの誘いなら断るなって」

みつ「…えええっ!?」

水銀燈「どうせなら、全員そろったほうがいいんでしょう?」


キュッ キュッ シュルッ


みつ「うそ… いいの? ほんとに、いいの!?」

水銀燈「…あなたには、ジュンやお姉さま、それに生き人形のことで世話になったから」

みつ「うそみたい…!!」

水銀燈「だから、こんなことくらいで、そこまで喜んでもらえるなら…」

みつ「…銀ちゃんっ!!」


ガバッ


水銀燈「きゃあぁ?! ま、まだ着替え終わってないのよぉ!」

みつ「ありがとうねぇ〜〜〜〜!!」スリスリスリスリ

水銀燈「うひゃあああ!? これで2度目のまさちゅーせっちゅー?!」





(…そういえば、こんな約束もしてたっけ… でもわたし、もう…)
844 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:48:52.40 ID:HE4ev0.0
みつ「…ねぇ、銀ちゃん」スリスリ

水銀燈「…なによぉ」

みつ「みんなも、ここに来て写真とってたこと、聞いてるよね?」

水銀燈「? …ええ、ジュンから聞いたわ」


(あれ…? また… したはずも無い会話に…)


みつ「みんながここに集まって、お着替えして、お茶会してるとね…」

水銀燈「…?」

みつ「いつもかならず、あなたの話になるのよ」

水銀燈「え? …そうなの?」

みつ「うん。 水銀燈はどんなにひどいか、憎たらしいかから始まって…」

水銀燈「…まぁ」


(覚えてなさいよぉ…)


みつ「次は自慢大会になるの」

水銀燈「自慢?」

みつ「ええ。あなたにどれだけひどい目にあったか、逆にあわせてやったか…」

水銀燈「みんなが、そんなことを…」

みつ「翠星石ちゃんなんて、あなたのドレスに[削除]入れてやったんですぅ〜ひーひっひっひ〜なーんて」

水銀燈「え…? …ああっ?! あのときのアレっ!!」

みつ「ぎ、銀ちゃん?」



「(あのアマ…殺すっ!!!)」



みつ「(効き目はあったみたいだけど、ちょっとコレはまずかったかなー …翠星石ちゃん、強く生きてね!)」
845 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 21:55:32.42 ID:HE4ev0.0
水銀燈「な、なんでもないわよぉ〜(殺すっ!殺してやるっ!!)」

みつ「(最凶ドールモードになってる…)そして、その自慢大会で、最後に勝つのはいつもカナなのよ」

水銀燈「え?」

みつ「いつも、同じ話なんだけどね…」



(金糸雀「わたし、水銀燈と一対一で勝負したことがあるかしら。…当然負けたかしら」)

(金糸雀「そのとき、結晶を奪われたあとのことをおぼろげにおぼえているかしら」)

(金糸雀「水銀燈は、動かなくなったわたしの体をほんとうにほんとうにやさしく抱き上げて、自分の住処に運んでくれたかしら…」)



みつ「…っていう話。心当たりある?」

水銀燈「まあ、そんなこともあったわね… ずいぶん前だけど」

みつ「それでね…」



(金糸雀「水銀燈は、傷ついたわたしの体をきれいに治して、わたしの髪をくしけずって整えて…」)

(金糸雀「服をきれいにして、お化粧までしてくれて、当時の契約者のところへ送ってくれたかしら」)

(金糸雀「お花をいっぱい敷き詰めた飾り箱の中に、そっとわたしを横たえて…最後に「ちゅっ」てしてくれたかしら〜〜〜」)
846 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 22:02:15.37 ID:HE4ev0.0
みつ「生き人形のときといい、あなたって戦いでは容赦しないけど、決着がつくとものすごく優しくなるのよね〜」

水銀燈「…優しくしてるつもりなんか無いわ。 あれは…敬意よ」

みつ「敬意?」

水銀燈「ええ。 命も誇りも、すべてを賭けてやりあった相手に対するね」

みつ「…そうなんだ。 でもね、カナは…いえ、あなたの妹たちはね…」



(金糸雀「『あの』水銀燈からあんなにやさしくしてもらえるなら、アリスゲームに負けるのも悪くないって思っちゃったかしら…」)

(蒼星石「ちぇ、ぼくだって1対1で戦って負けたのに、そんなに優しくなんかしてもらえなかったよ」)

(金糸雀「あなたは真紅たちがそばにいたからかしら。わたしたちの前だと、水銀燈はいつも厳しくなっちゃうかしら…あら?」) 

(蒼星石「な、何さ」)

(金糸雀「その言い方だと、あなたも水銀燈に優しくしてもらいたかったのかしら〜?」)

(蒼星石「?! そっ、そんなことなんかあるもんか!!」)

(金糸雀「あららら〜、いっつもクールな蒼の子がどうしちゃったのかしら〜?」ツンツン プニッ)

(蒼星石「あ、蒼の子って言うなー!」ジタバタ)



みつ「…な〜んて調子よ。いっつもね」

水銀燈「そうなんだ… あの子たちったら」
847 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 22:07:31.01 ID:HE4ev0.0
みつ「ね、銀ちゃん」スリスリ

水銀燈「…なぁに?」

みつ「みんなで、来てよ。 …きらちゃんも来るって言ってたし」スリスリ

水銀燈「…雪華綺晶も?」

みつ「…あなたのしたことを、みんな怒るかも、恨むかもしれない」スリスリ

水銀燈「…」

みつ「でも、きっと大丈夫。だってみんな、なんだかんだ言って…」スリスリ



「あなたのことが、大好きなんだから」



水銀燈「…だめ」

みつ「?」

水銀燈「…だめ、だめ。 わたし、やっぱり…」

みつ「んもー、やっぱりまだダメ? それじゃ…」グイッ

水銀燈「…なっ!?」



「柴崎さん、マツさん、まかせたわよぉー!」



水銀燈「えっ?!」


ドンッ!




水銀燈「きゃああああぁぁー?!」
848 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/28(火) 22:11:07.54 ID:HE4ev0.0
今日はここまで。再開はあさってかな…
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/28(火) 22:16:43.60 ID:wxF7TUQo
>>848
乙!
明後日も楽しみにしてる!
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/28(火) 22:21:00.41 ID:LJrR/7Uo
今までROMってたけど言わせってくれ
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/28(火) 22:50:42.68 ID:L5pF1xUo
乙ですぜ
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/28(火) 23:00:35.77 ID:jlvWdV2o
果てしなく乙
853 : [sage]:2009/04/28(火) 23:30:25.73 ID:HE4ev0.0
>>849
どもっす。がんばりまっす〜

>>850
脱ROM感謝です。気合入れます。

>>851
乙どもっす。大詰めに向けてがんばります。

>>852
果てしなくどもっす。
854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/29(水) 13:18:13.73 ID:5/k.01go
おっつ
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/04/29(水) 20:05:55.89 ID:5.1xYO20
昨日夜に一気読みしたせいで今日寝坊しそうだった。
ただちに謝罪と賠s(ry

応援してるぜ!
856 : [sage]:2009/04/30(木) 01:22:35.00 ID:ZLgB3gw0
>>854
おっつどもっす〜

>>855
応援されたおかげでこんな時間まで粘ってました。謝罪と(ry
頑張りまっす。
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/30(木) 02:04:48.28 ID:y1JhW9Uo
俺の水様使ってこんなSS書いてやがったとは・・・・








お前神だな
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/04/30(木) 08:08:12.78 ID:Y2O7IgAO
久しぶりに面白いSSに出会えて嬉しいぞ!

続き楽しみにしております
859 : [saga]:2009/04/30(木) 23:17:55.59 ID:WMOKsFQ0
>>857
いや俺の銀様です(カエレ
頑張ります〜

>>858
ありがとうございます〜
うまく締められるよう頑張ります。



それでは再開。
860 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:21:08.28 ID:WMOKsFQ0
【ジュンの家・庭先】

カァ カァ カァ


水銀燈「…きゃっ!?」


ドテッ


水銀燈「な、なんなのよぉ…」

マツ「あらら、ここに来たってことは…」

水銀燈「あ、あなたは!」

柴崎「まだ、迷っているということじゃな」

水銀燈「あ… あなたがたは…」

柴崎「まぁ、とりあえずお茶でも飲んでいきなさい」

マツ「緑茶も好きだって、言ってたっけねぇ」

水銀燈「は、はぁ」


カァ カァ…
861 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:22:25.28 ID:WMOKsFQ0
コク…


水銀燈「(…おいしい。 いい香り…)」

柴崎「緑茶を好きといってくれるのは、嬉しいのぉ」

マツ「日本のものですからね」

水銀燈「…茶の葉そのままの味、最初は物足りないと思ったけど…」


…コク


水銀燈「今は、これはこれですごくいいと思える。自然のままの姿が…」

マツ「ふふ、嬉しいわ」



(夕暮れに染まる空… やさしい風… 揺れる木々…)


(庭先で、ただ何をするでもなく流れていった時間)


(…あのときわたしは、なんて満ち足りていたんだろうか)



水銀燈「あなたがたは…」

柴崎「なにかね?」

水銀燈「あなたがたは、本物の柴崎夫妻なのでしょう?」
862 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:23:44.31 ID:WMOKsFQ0
マツ「本物?」

水銀燈「ええ。わたしの思い出じゃなくて…」

柴崎「…いかにも。お前さんの娘さんに案内してもらったんじゃよ」

マツ「白薔薇ちゃん、っていってたかしら」

水銀燈「あの子…」


カァ カァ


水銀燈「わたし… 二人にあやまらなくてはいけない」

柴崎「蒼星石のことかね? あれはもう…」

水銀燈「違う、わたし…おふたりのことを、バカにしていた」

マツ「…?」

水銀燈「あなたがたを、アリスゲ−ムに利用したときに。 …子供を失った悲しみに溺れ、心を病むなんて」

柴崎「…」

水銀燈「過去にとらわれて現実から逃げるなんて、なんて愚かなんだろうって」

マツ「…」

水銀燈「けれど、実はわたし自身こそ過去から逃げ続けて、見ないようにしていて…」

ポタッ

水銀燈「いざ見せつけられたら、あっけなくボロボロに壊れてしまった」

ポタッ ポタッ

水銀燈「ほんとうに愚かだったのは、わたし…」




「ごめんなさい…」
863 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:27:32.00 ID:WMOKsFQ0
柴崎「…いいんじゃよ。 お前さんは、ほんとにいい子じゃ」

マツ「なら、もう、死ぬ気はないの?」

水銀燈「…」

マツ「…水銀燈ちゃん?」
 
水銀燈「わからない、わからないんです…」


「思い出すと辛いけど…忘れられない、忘れたくない…」


柴崎「…」


「お父さまと、あの子たちとの日々を…消してしまいたくない…」


柴崎「…わかる。 わかるとも。お前さんの気持ち、苦しみ…」

マツ「それを失ってしまったら、今度は自分が自分じゃなくなるんだもの」

水銀燈「え…?」

柴崎「どんなにつらかろうと、その思い出がもう自分の一部になっていれば、切り離すことはできん」

水銀燈「…?」

柴崎「たとえ、その思い出のせいで壊れそうになっても… いや、壊れてしまっても」

水銀燈「…あっ!」



(柴崎「…一樹、一樹ぃ…」)

(水銀燈「ふふ、哀れなものねぇ… かわいそうなおじいさま」)
864 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:32:15.06 ID:WMOKsFQ0
水銀燈「あ… ああっ…!」

マツ「…その痛みがあるうちは、まだあの子は死んでいない、消えていないと思える。…だから、痛みも苦しみも忘れたくない」

水銀燈「え… えっ?!」

マツ「わたしたちが忘れてしまったら、あの子はもうこの世のどこにもいなくなってしまうのだもの…」

水銀燈「…!!」 


(マツ「… … …」)

(水銀燈「ふふ、まるでジャンク。 こうはなりたくないものねぇ…」)


「ああ、ああ、ああああっ…!!」



(蒼星石「みんなには内緒にするけど、あまり迷惑はかけないでくれ」ガシッ ガシャッ)

(真紅「かわいそうな子… やさしくしてあげなくちゃ」)


(ああ… ああぁ… 悔しい…)

(いいようにもてあそばれるのも… あわれみをかけられることも…)

(悔しい、悔しい… 悔しいわ…)



水銀燈「わたし、わたし… あああああっ…!」

柴崎「…お、お前さん?」



「ああ、ああああっ…!! わたし、わたし、おふたりになんてことを…!!」
865 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:37:21.61 ID:WMOKsFQ0
水銀燈「…わたし、バカです! バカでした!! 自分ひとりだけ傷ついた気になって!」

マツ「…水銀燈ちゃん」

水銀燈「かわいそうなのは自分だけだと思って…自分がされたことを、あなたがたに! …あああっ!」


…ガクン 


水銀燈「ああ、お願いです! いっそ…」



「いっそわたしを、おふたりの手で、壊してくださいっ!」



柴崎「…いいや、そうしてやるわけにはいかんな」

水銀燈「お願い、優しくなんてしないで! わたし、わたし…罰を受けたいんです!」


ガクガクガク…


水銀燈「罪を背負って生きつづけるくらいなら… 罰を受けてしまいたい…!!」

柴崎「その通りじゃよ」


「だからこそ、いまわしらがお前さんを許すわけにはいかんのじゃ」


水銀燈「え… えっ?」

マツ「だって、これがわたしたちの『仕返し』ですもの」

水銀燈「し… 仕返し…?」
866 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:41:37.58 ID:WMOKsFQ0
柴崎「そうじゃよ。罰を受けて許されるより、許されないまま生きるほうがよほど辛いじゃろう?」

マツ「それこそが、あなたへ課せられた罰なのよ。生き続けることこそがね…」

水銀燈「生きつづけることが… 罰…?」

柴崎「お前さんが、ほんとうに罰を受けたいとおもうなら、生き延びることじゃ」

マツ「そして、あの子たちを立派に育て上げて、お嫁入りさせて…」

水銀燈「わたしが… あの子たちを…?」

マツ「そうよ。そして、長く長く生き抜いて… 何百年もたった、あるときにふっと」

柴崎「おまえさんがわしらのことをちょっとだけでも思い出したとしたら…きっとそれは、たまらなく愉快なことじゃよ」

水銀燈「そんな… そんな…」

柴崎「それが…」


「それがわしらの、おまえさんへの復讐じゃて」


水銀燈「あ…あああ…っ!」



「うああああ…っ…!」


ガバッ


「おじいさま… おばあさま…!」ギュウウウッ



マツ「よしよし。 あなたは、ほんとうにほんとうにいい子よ…」ポン ポン

柴崎「もう、死ぬなんて言わんでおくれ」ナデ ナデ




水銀燈「…」
867 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:45:38.06 ID:WMOKsFQ0
マツ「水銀燈ちゃん?」

水銀燈「…わたし…」



水銀燈「わたし… 怖いんです… もう、だめなんです…」

柴崎「…」ナデ ナデ

水銀燈「心の中で… 支えにしていたものを、なくしてしまった…」

マツ「…」ポン ポン

水銀燈「罪を背負って生きていけるだけの力が… わたしには、もう…」



「ごめんなさい… ごめんなさい…」



マツ「…それでいいのよ。 みんな、罪を背負いっぱなしではすぐつぶれてしまう」

水銀燈「…」

柴崎「罪をすべて償っていくためにも、許されることが必要なんじゃよ」

マツ「みんなも言ってただろうけど、あなたたちは一人も欠けずに生き延びてきたんだし…」

柴崎「それに、お前さんの親父さんだって、そこまで不幸ではなかったと思うがのぉ」

水銀燈「お父様が? そんな…」
868 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:47:42.30 ID:WMOKsFQ0
柴崎「親父さんは、お前さんに恨み言を言っていたかね?」

水銀燈「…え?」

マツ「苦しかったとは思うけど、満ち足りてもいたんじゃないかと思うんだけれど…」

水銀燈「な、なぜ…?!」

柴崎「当然じゃよ。 …まぁ、死なないに越したことはないが」



「子供のために死ねるというのは、親としては最高の死に方じゃからな」



水銀燈「最高の…」

柴崎「そうじゃよ。 だから、お前さんも…」

水銀燈「…」


「わたし… わたし…」


柴崎「…まぁ、わしらにできるのはここまでかの」

マツ「そうですね。 …あなたを許すのは、わたしたちの役目じゃない」

水銀燈「…えっ?」


シュルシュルシュル


水銀燈「あっ…きゃあっ?!」



「子供が待ってるわ、もっとしっかりなさい」

「お前さんは、親になるんじゃからな」



シュルシュルシュルシュル

水銀燈「…きゃああああっ?!」
869 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:51:15.74 ID:WMOKsFQ0
【廃教会 寝室】


チチ チチチチ


水銀燈「ん…」


チュンチュン


水銀燈「ここは…」ムクッ

ジュン「…ぐー…」

水銀燈「…そう、あの日の朝なのね…」


ギシッ


水銀燈「(でも、このジュンも、たぶんほんとうのジュン。 なら…)」


トン トン トン


水銀燈「…起きる前に、髪ぐらいは梳いておかなくっちゃ。 鏡、鏡…」


ギィッ パタン


水銀燈「…この鏡台も、立て付けが悪くなっちゃったわねえ」


シュル シュル シュル


水銀燈「ふん、ふん…♪」
870 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:52:29.81 ID:WMOKsFQ0
ゴソ ゴソ


水銀燈「(あら… 起きたわね)」


ギシッ ギシッ


水銀燈「(まぁ、服くらい着ればいいのに… でも)」

ジュン「…おはよ」ギュッ

水銀燈「ふふっ。 おはよう、ジュン」


チュッ



(…もう、恥ずかしくはない)


(このひとは、私のすべてを知ってくれている…)


(そう、すべてを知った、その上で…)



ジュン「…もう、わかってるんだろ?」

水銀燈「ええ。 …あなたなんでしょう?」

ジュン「ああ」
871 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:55:21.68 ID:WMOKsFQ0
水銀燈「ほんとに…もう」グイッ

ジュン「うん?」


グリグリ


ジュン「…あでででっ!」

水銀燈「あなたって人は…」グリグリ

ジュン「ちょっと、痛いよ!」

水銀燈「最初っから全部知ってたくせに…何にも知らないふりして…」

ジュン「え…?」

水銀燈「知らないふりして、いっぱいやさしくしてくれて… 歯を食いしばって強くなろうとして…」

ジュン「…」

水銀燈「うそつきのジュン」グニッ

ジュン「あててっ!」

水銀燈「最低のジュン」ブチッ

ジュン「うぎゃっ!? それはだめっ!!」


…ギュッ


ジュン「す、水銀燈?」

水銀燈「…優しいジュン」


ギュウウウ


水銀燈「…大好きよ」



チュッ
872 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/04/30(木) 23:57:20.70 ID:WMOKsFQ0
ジュン「…水銀燈」


ギュッ


ジュン「…もう、死ぬなんて言わないでよ」

水銀燈「…」


ギュッ


水銀燈「でも、わたし… もうダメなの! ダメなのよ…!」

ジュン「…」

水銀燈「お父様も言っていた。2回目は間違いなく崩壊するって…」


ガタガタガタ…


水銀燈「助かったとしても、ボロボロになった体であの子たちの母親がつとまるのかしら…」

水銀燈「それにわたし、もう気持ちを支えるものも何も無いのよ…」

ジュン「…」



「ふふふふ…」



ジュン「…? きみ、笑った?」

水銀燈「いいえ?」




「お熱いわね…」
873 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:01:26.08 ID:lqNV3IQ0
ジュン「なっ…?!」

水銀燈「…鏡の中?!」


「もっとドキドキさせてあげる!」


ズワァァァァァ!!


ジュン「うわぁ!」

水銀燈「ジュン!(白い茨?! まさか!)」


シュルルルルルル…


水銀燈「あっ… くっ!! 引きこまれる…!!」


「ふふふふふ…」


水銀燈「く…」




シュル シュル シュル


水銀燈「(巻きついて… 動けない…)」

「ふふふ…」

水銀燈「あ、あなた!」

「人間の男にたぶらかされるなんて、薔薇乙女の名折れもいいところ…」


シュルシュルシュル


水銀燈「ジュン!」

ジュン「く、水銀燈…」
874 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:03:06.25 ID:lqNV3IQ0
「いえ、あなたがこの子をたぶらかしたのかしら? みだらなお人形…」

水銀燈「あなた…!!」

「あら、動かないほうがいいわよ?」


ギリッ


ジュン「ぐっ!?」

水銀燈「ジュン!!」

「ふふふふふ…」



水銀燈「なんの…なんのつもりなの?!」

「決まってるじゃない…? わたしが、アリスになるのよ」


ポォウ


水銀燈「?! あなた、それは、それは…!」

「…ふふふ、結晶に頼るつもりは無かったんだけど…」

ジュン「みんなの結晶を…!」




「全部一か所に集まってるんなら、使わない手は無いわ」
875 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:05:21.41 ID:lqNV3IQ0
水銀燈「…おやめなさい! そんなこと!」

「ふふふ、口だけは達者ね。 やめろと言われてやめると思うの?」

水銀燈「…違う! 結晶を集めても、アリスになんかなれないのよ!!」

「? …何を言ってるの?」

水銀燈「…みんな、みんな、わたしのせいなの…!」

「…おかしくなったのかしら? まあいいわ、そんなに言うんなら試してみる?」


ポォウ


「水銀燈。この結晶を、あなたの手で壊しなさい」

ジュン「なっ!?」

「そうすれば、このひとは助けてあげる」

水銀燈「な…そんなことをしたら!」

「あなた言ってたでしょう? 結晶を集めたってアリスになんかなれないって」


シュルシュルシュル


「なら、こんなのいらないはずよね? …どうするの?」


ギリギリギリ


ジュン「あっ… くっ!」
876 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:08:05.99 ID:lqNV3IQ0
水銀燈「あなた… あなた!!」


ミシ… ミシ…


水銀燈「雪綺華晶っ!!」



ブチブチブチィッ!



「なっ?!」

ジュン「…ええっ?!(じ、自力で茨を引きちぎった!!)」

水銀燈「あなたって…あなたって子は!!」シュダダダッ!

「ばかな… 力なんて出ないはず!!」

ジュン「(ど、どういうことなんだ!)」


ガシイッ!!


「きゃああ!?(あ、あれっ!?)」

ジュン「雪華綺晶!」

水銀燈「あなたって子はっっ!!!」

「こ、このっ!(ち、力が入らない… はねのけられない? なんで!?)」

水銀燈「…言ったでしょう?!」




「もう、ひとりにしないって!!」
877 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:12:29.93 ID:lqNV3IQ0
雪華綺晶「…えっ?」

パァン!!

雪華綺晶「あうっ!?」

ジュン「(うそ?! ぶん殴った!)」

水銀燈「もうあなたは、こんなことしなくってもいいの!!」

雪華綺晶「…え? えっ…?」

水銀燈「あなた、あなた、そんなことしたら… お姉さんたちがいなくなっちゃうのよ!」

ジュン「…水銀燈?」

水銀燈「お父さんも、お姉さんもいなくなって、またひとりぼっちになっちゃうのよ…?」

雪華綺晶「え…? うそ… そんな…」

水銀燈「…もう、もう、寂しい思いなんか、させないんだから!!」

雪華綺晶「あなた… この子よりも… お姉さまたちの結晶よりも… 何よりも先に…」


「『わたし』を助けようと思ったの…?」


水銀燈「…? なに言ってるの? あたりまえじゃない…?」


「あ…あああ…」


ジュン「水銀燈… 君ってやつは…」



「あああああ…」



ジュン「…僕らの負けだよ、きらきー」






「お母さまぁっ!!」
878 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:15:13.16 ID:lqNV3IQ0
ガバッ!!


水銀燈「わっぷ!?」

雪華綺晶「お母さま、お母さまのバカっ!!」ポカポカ

水銀燈「…き、雪華綺晶?」

雪華綺晶「死んじゃうなんて言うんだもん! もうダメだなんて言うんだもん!!」

水銀燈「あなた…」

雪華綺晶「ずっと、ずっと待ってたのに… ひどいよ、ひどいよぉっ!!」

水銀燈「…」


キュッ


水銀燈「ごめんね…」

雪華綺晶「うっ… ううっ…」



「…うわあああああああぁぁぁんっ!!」



ジュン「…やれやれ、ボクはいなくてもよかったみたいだ」




「『お母さん』には、かなわないよ」
879 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:17:56.16 ID:lqNV3IQ0
雪華綺晶「えぐっ… えぐっ… ひっく…」

水銀燈「…ねぇ、ジュン」

ジュン「なあに?」

水銀燈「あなた、この子とグルだったの?」

ジュン「あー… まぁ、うん」

水銀燈「そう…」

ジュン「ああやれば、どっちを助けるにしろ、生きる理由ができるかな、なんて…」

水銀燈「ふーん…」

ジュン「…ご、ごめんよ? だますつもりじゃ…」

水銀燈「…怒ってなんかないわよ? ねぇ、こっちに来て」

ジュン「ほんと?」

水銀燈「ほんとよ。 あなたも、この子を抱きしめてあげて」

ジュン「う、うん」


トコ トコ


雪華綺晶「お父さま…」

ジュン「…雪華綺晶」


トコ トコ




グシャ!
880 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:20:00.07 ID:lqNV3IQ0
雪華綺晶「?!」

ジュン「きゅう」

雪華綺晶「お、お父さま?!」

ジュン「や…やっぱ…り…」ヒクヒク

水銀燈「わたしをたばかって、ただで済むと思うわけ無いわよねぇ…」

雪華綺晶「お、お母…さま…?」

水銀燈「あなたもよ」


ガシッ!


雪華綺晶「きゃっ!?」

水銀燈「もうイタズラしないって、言ってたはずよねぇ?」

雪華綺晶「だ、だってお母さまが!!(う、動けない!?)」

水銀燈「言い訳するんじゃないわ!!!」

雪華綺晶「ひっ?!」


グイッ ペロッ


雪華綺晶「や、やぁんっ!!(お、おしり?!)」
881 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:22:56.55 ID:lqNV3IQ0
水銀燈「どんな理由があっても、やっちゃいけないことってのはあるの!!」

雪華綺晶「そ、そんな! お母さま、ずるいっ!」

水銀燈「問答無用っ!!!」



パシーン!!!



雪華綺晶「きゃあぁあんっ?! い、痛あぁいっ!!」

水銀燈「悪い子っ、悪い子っ、悪い子っ!!」


パシン! ベシン! スパーン!!


雪華綺晶「いっ、いやあぁーん!? い、痛いよぉっ! やめてーっ!!」

水銀燈「やめるもんですか!!」


パシ―ン! ベシーン!


水銀燈「もう二度と、こんなことなんかさせないんだからっ!!」

雪華綺晶「ああああーんっ! ごめんなさい、ごめんなさぁーいっ!!」





ジュン「(…これで、よかったん…だよね?)」ヒクヒク
882 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:31:11.85 ID:lqNV3IQ0
水銀燈「まったく、もう」

雪華綺晶「うう…ごめんなさい…」ヒリヒリ

ジュン「…すいませんでした」ヒクヒク

水銀燈「…わかったわよ。 もう」

ジュン「え? それじゃ…」

水銀燈「ええ。 …死ぬなんて、もう言わない」

雪華綺晶「…ほんとに?」

水銀燈「ほんとうよ。…ごめんね、怖がらせてね」

雪華綺晶「…」



「よかった…」ポロッ



水銀燈「体も心もボロボロ… もう、力も支えもなんにもないけれど」

ジュン「水銀燈…」

水銀燈「でも、あなたがいる。 それに…」

雪華綺晶「お母さま…」

水銀燈「あなたもいる」


ギュッ


水銀燈「…できるだけ、頑張ってみるわ」

雪華綺晶「大丈夫、大丈夫なのよ、お母さま。 『マリア』になりさえすれば…」

水銀燈「『マリア』…」


シュルシュルシュル


雪華綺晶「さあ、これが最後… お母さまが『マリア』になるために、最後に必要なものがきっとここにある…」
883 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:33:26.43 ID:lqNV3IQ0
ジュン「…頑張って、水銀燈」

水銀燈「…ジュン」

ジュン「ぼくは、ローゼンにはぜんぜんかなわないけど…」

水銀燈「…いいのよ」


ギュッ


ジュン「…水銀燈」

水銀燈「わたし、頑張る。 あなたと、あの子たちと…みんなで暮らすために」


ギューッ


雪華綺晶「(…きゃーっ、きゃーっ! すごーい、ダイタン…)」ジ―ッ

ジュン「…あ」

水銀燈「み、見ちゃダメよっ!」



水銀燈「それじゃ、ジュン…」

ジュン「ああ。 …しっかりね」

雪華綺晶「頑張って、お母さま…」



シュルシュルシュルシュル…



ジュン「…行っちゃったね」
884 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:54:01.29 ID:lqNV3IQ0
雪華綺晶「うん。…きっと、大丈夫、お母さまはきっと『マリア』になってくれる」


(そして… 私の望みをかなえてくれる…)


ジュン「それにしても…」

雪華綺晶「…なあに?」

ジュン「水銀燈って、いつの間にあんなに強くなったんだ? あのとき、きみにはまるで歯が立たなかったのに…」

雪華綺晶「…」

ジュン「…雪華綺晶?」

雪華綺晶「わたしから聞いたって、誰にも言わないでね? お父さま…」

ジュン「? …ああ」

雪華綺晶「私は、心を操るドール。 宝石のお姉さまたちのように心の樹を通して心に影響を与えるんじゃなくて、心そのものを攻撃し操作できる」

ジュン「…うん」

雪華綺晶「そして、人形の心って、本来とても弱いの。 結晶で増幅させないといけないくらい…」

ジュン「えっ? …ああ、そういうことだったんだ」

雪華綺晶「うん。 あのときは、みんなまだ心が弱かったから、わたしひとりで勝てた」

885 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 00:56:47.65 ID:lqNV3IQ0
ジュン「でも、人間の心だってきみはやすやすと操ってしまうじゃないか」

雪華綺晶「…お母さまの心が、もうそれだけ強くなってるってこと。それに…」

ジュン「それに?」

雪華綺晶「…お母さまの想いが、私に伝わってきたの」

ジュン「水銀灯の想いが…?」

雪華綺晶「相手の心を操ろうとすると、私の心も相手の心の影響を受けちゃうの」

ジュン「ふーん…」

雪華綺晶「もちろん、ちょっとやそっとじゃ平気だけど… お母さまの思いはあまりに強くて、純粋で…」

ジュン「なにより、嬉しかったんだろ」

雪華綺晶「…うん。だから、力が入らなくなっちゃった」




「わたしはもう、たぶんお母さまにはかなわない」
886 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 01:01:02.73 ID:lqNV3IQ0
ジュン「…そうなのか?」

雪華綺晶「うん。 これで… これで、ようやく私の役目も終わる…」

ジュン「役目?」

雪華綺晶「そう。お母さまが、私を止めてくれる…」

ジュン「…どういう意味なんだ?」

雪華綺晶「ごめんなさい、これ以上はまだ、言えないの…」


ユラッ


ジュン「き…雪華綺晶?!」

雪華綺晶「力を使いすぎたから… また休まなきゃいけない…」


ユラ ユラ


ジュン「い、今眠ってしまったら!」

雪華綺晶「大丈夫… 今頃はもう、お母さまは…」


ユラ ユラ ユラ


ジュン「雪華綺晶!」

雪華綺晶「お父さま… お母さまのこと… お願いね…」




「かならず… 迎えにいくから…」
887 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 01:04:24.63 ID:lqNV3IQ0
【???】


コポ コポ コポ


(ここは…)


ドク ドク ドク


(憶えているわ、お父様の工房。 わたしたちが生まれた場所… けれど、なぜ…?)


ローゼン「…水銀燈、起きているかい?」


(あっ、お、お父様…)


ローゼン「結晶を移植したばかりだから、まだ感情がうまく制御できないかもしれない」


(…)
888 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 01:15:08.31 ID:lqNV3IQ0
ローゼン「…この結晶を得たということは、きみはもう私の作品ではなくなってしまったということ」


(そんな…)


ローゼン「君がどのように生き、どんな存在になるのか。 …わたしにも、もう想像がつかない」


(お父様…)


ローゼン「けれど… できれば、よき人たちとめぐりあい、彼らから愛され…そして、彼らを愛せる存在となることを祈ろう」


(愛され… 愛せる…)


ローゼン「どうか、人類の敵と呼ばれてしまうようなことなどにはならないでおくれ…」


コツ コツ コツ パタン


(お父様…)


コツ コツ コツ


(あら? また誰か来る…)


コツ コツ コツ


(お父様の足音じゃない…?)


ガチャン


「ここにいたのね」

(!!!)

「探しちゃったわ…」



(め…めぐ?!)
889 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/01(金) 01:16:02.24 ID:lqNV3IQ0
今日はここまで。再開は明後日。
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/01(金) 01:17:32.89 ID:wSGOT9so
おっつ
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/01(金) 16:53:24.87 ID:ETFP.ico
>>889
続きにぬるぬるぬるぽ!
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/01(金) 16:53:59.65 ID:ETFP.ico
>>889
続きにぬるぬるぬるぽ!
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/01(金) 17:29:54.00 ID:kpxLCooo
クソッ遅れた乙です
お尻叩かれて涙目になってるきらきー可愛いよきらきー

ちょっと銀様とジュンに挨拶してくる
娘さんを僕にくださいって
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/01(金) 18:18:44.39 ID:SxRvF0Ao
>>893
娘はやらんよ
895 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 19:41:57.76 ID:R3/0k3Q0
>>890 
乙どもっす。

>>891
ぬるぽっす。

>>893
レス番がヤ○ザなのであげません。

>>894
そこをなんとか(カエレ


つうわけで再開します〜
896 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 19:44:39.22 ID:R3/0k3Q0
めぐ「ここが、あなたの生まれた場所なのね…」

(…ええ、そうよ)

めぐ「さすがに話はできなかったけど、お父さんも素敵な方ね」

(そうでしょう? ふふふ…)


トコ トコ 


めぐ「まだ、死ぬなんて言ってる?」

(…もう大丈夫。 ごめんね)

めぐ「まだ言ってるようなら、気合でも入れてあげようかって思ってたんだけど」

(まぁ、ひどい。 あなただって、いつも言ってることじゃない)

めぐ「…」

(めぐ?)




「…そうだったね。 ごめんなさい」
897 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 19:48:50.36 ID:R3/0k3Q0
(あら? 素直ねぇ…)


…ピトッ


(…めぐ?)

めぐ「私、『あなたと一緒に死んであげる』って言ってたけど」

(…ええ)

めぐ「すこしずつ弱っていくあなたの姿を見ていると…ね」

(…)

めぐ「そしてここで、崩れていくあなたの体を見て、もうダメになっちゃった」

(…ダメに?)

めぐ「…あなたにだけは、死んでほしくない」

(…)

めぐ「水銀燈?」

(わたしがあなたに「死んでやる」って言われたときの気持ち、わかってもらえたかしら?)

めぐ「…あなたも私のこと、そう思ってくれてたの?」

(当たり前じゃない)

めぐ「…」




「大事な話があるの」
898 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 19:51:38.85 ID:R3/0k3Q0
「大事な話があるの」


(なに?)

めぐ「手術、受けることにしたわ」

(…なんの?)

めぐ「決まってるじゃない、移植手術よ」

(…ええっ?!)

めぐ「おととい、お父さんに電話したわ」

(でも、でも、あなた…)



(水銀燈「…結晶のかけらじゃ、一時しのぎにしかならない」)

(めぐ「…いいのよ、もう」)

(水銀燈「人間の力でも、治す技があるんでしょう?」)

(めぐ「移植手術のこと? …それがどういうことだか、わかってる?」)

(水銀燈「…誰かの命と引き換えに、自分が生きるということでしょう?」)

(めぐ「…さらに成功する確率だって低いし、成功したからって何年生きられるって保証も無い」)
899 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 19:58:17.29 ID:R3/0k3Q0
(水銀燈「…」)

(めぐ「そして、そんな生でもしがみつきたいという人が、いまたくさん列を作って並んでる」)

(めぐ「私が手術を受けるということは、お金の力でその列に割りこむことにほかならない」)

(めぐ「…私は、そんなにまでして生きようって気になれない。生きたいって気持ちを持ってる人に、譲ってあげるわ」)



(水銀燈「…勝手にするといいわ」)




めぐ「わたし、覚悟ができたの」

(…覚悟?)

めぐ「…もう、わたしも死ぬなんて言わない」


…ググッ



「この身を刻まれようと、誰を殺すことになろうと、あなたとともに生きていく」



(え…)

めぐ「あなたのお父さんは言っていた。人類の敵にはなるなと」

(え? …ええ)

めぐ「それはとても正しいことだし、あなたへの愛にあふれている言葉だと思う。 …けれど」
900 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:05:09.48 ID:R3/0k3Q0
(あ…あなた…)

「私は… あなたが人類の敵になったとしても、私自身があなたに殺されることになったとしても」

(あ… ああ…)

「それでも、あなたに生きていてほしい…」



???(あの子に必要な最後の要素… それは、原初の愛のサンプル)


???(論理で割り切れるものではない、生物の本能としての愛)


???(すなわち『この子のためなら死ねる』という想い)


???(…それはつまり『この子のためなら殺せる』ということでもある)



(ああ… あああ… そうだったのね… わたし…)

「お願い、水銀燈。 お願いよ…!」



???(倫理や常識におさまらない、狂気とさえ思えるその感情こそが、命をはぐくむ原動力)


???(親から子へ、子から孫へ、連綿と命をつなぎ続けてきた力… そう、それは…)
901 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:15:28.73 ID:R3/0k3Q0
めぐ「水銀燈…死なないで!」

…ポウッ

めぐ「こ、これは!」

水銀燈「ああ… 光が、灯ったわ…」



???(その力は、その性質ゆえに誰しもが誰しもに与えられるものではありえなかった)


???(たとえ、血のつながりがあったとしても… だから、あの子に力を与えられる適格者を探さねばならなかった)


???(結果、長い長い寄り道をしてしまったが… どうやら、間に合ったらしい…)



(やっと、わかった… わたし、なぜ、あなたを選んだのか…)

(わたし、あなたに会うために、たくさんの時代を越えてきたのね…)

(あなたは… あなたは、わたしの…)



めぐ「…水銀燈!」

水銀燈「ああ、欠けていたものが… 埋められていく…! わたしに無かったものが…」パアアア…

めぐ「水銀燈が… 水銀燈が、光に包まれていく…!」

水銀燈「ありがとう、ありがとう… めぐ、めぐ… いえ…」




「おかあさま…」
902 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:30:12.59 ID:R3/0k3Q0
【廃ビル】

ジュン「ん…」


ジャリッ


のり「…う、ん…」

みつ「…み、みんな?」

ジュン「み、みんな、大丈夫ですか?!」


ガバッ


柴崎「あ、ああ。なんとか…」

マツ「…めぐさんは?」


ムクッ


めぐ「…平気です。 水銀燈は?」

水銀燈「」シーン

ジュン「まだ、機能を停止させたまま、なんだけど…」


ピキッ…


ジュン「くっ?! 崩壊が、まだ止まっていない!」

のり「銀ちゃん!!」


(雪華綺晶「大丈夫… 今頃はもう、お母さまは…」)


ジュン「(…目覚めさせればいいのか?! で、でも…)」




…ピキキッ
903 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:37:44.57 ID:R3/0k3Q0
めぐ「水銀燈! …ジュン、早くして!」

ジュン「…ええいっ、いちかばちか!」カチリ



水銀燈「…」

のり「ぎ、銀ちゃん…?」


水銀燈「…」

マツ「水銀燈ちゃん?」


水銀燈「…?」グ ググッ

巴「す、水銀燈!」


「みんな…?」


柴崎「しっかりせい!」

みつ「大丈夫? 大丈夫よね?!」


「みんな…」


のり「銀ちゃん、銀ちゃんっ!」

ジュン「水銀燈、もうひとふんばりなんだ!!」



「みんな… みんな…」



「うっ…」


のり「…銀ちゃん?」



「うええええ…ん…」
904 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:42:02.77 ID:R3/0k3Q0
のり「銀ちゃん?!」

水銀燈「ひぐう、ぐうう… うわあああ…んっ…!!」

ジュン「水銀燈、しっかりしろ!」


シュウウウウ…


みつ「! じゅんじゅん、見てっ!」

水銀燈「えぐっ、えぐっ、うええええ…」

ジュン「!! 傷が…」


シュウウウウ-…


巴「水銀燈の傷が、ふさがっていく!!!」

水銀燈「うわぁ、うわあ… うわあああぁぁぁ…っ!」

めぐ「…まったく水銀燈ったら、泣きじゃくっちゃって。 それじゃ、まるで…」


シュウウウウ-…




「産まれたばかりの、赤ちゃんみたいじゃない…」
905 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:44:12.34 ID:R3/0k3Q0
ジュン「い、いくよ、水銀燈! 大丈夫?」

水銀燈「ふぐぅ、うぐぅ…」


…ツンツン


ジュン「よ、よしっ!」チュッ


チュウウウウウ


水銀燈「ああう、ああううぅぅ…」ツンツン


パァァァァァ…


ジュン「い、今だっ!!」カリッ!


ピキッ!


水銀燈「うあああ、ああああああ…っ!」


パキパキパキ…ビキッ!!


水銀燈「…うあああああー!!」




…パァーンッ!!!
906 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 20:49:28.63 ID:R3/0k3Q0
???(最後の要素を得たようですね。「スイッチ」は入った) 


???(…あとは、なにかきっかけがあれば彼女は『マリア』として覚醒する)


???(それまで、肉体がもてばよいのだが…)




???(まあ、彼らに任せるとしましょう)


???(ここまでやってくれたのだから、あとは見守ることとしますか)


???(あの子はもう、私の手は離れたのだろうから。 …こういうときは何と言えば良いのやら)




???(『しあわせに、おなりなさい』といったところでしょうか)
907 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:00:45.62 ID:R3/0k3Q0
【ジュンの家】


ブロロロロロロ キキイッツ!!


みつ「着いたわよ、みんな降りて!」

のり「ジュン君、ごめんねっ!」

巴「ジュン君、早くしてっ!!」

めぐ「そこどいてっ!」


グイグイ ギュウウウ


ジュン「むぎゅう」

柴崎「…わしらの側から出ればいいのにのぉ」

マツ「おじいさん、大丈夫?」

柴崎「ばあさんをひざに乗せるなんて、ひさしぶりじゃったの」

マツ「まぁ、おじいさんったら…」



みつ「さすがに詰めこみすぎたかな…」
908 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:11:47.25 ID:R3/0k3Q0
めぐ「ジュン君! 水銀燈を…!」

ジュン「めぐ?」

めぐ「あなたが、連れていってあげて」

ジュン「…わかった!」

ガシッ

ジュン「水銀燈、しっかり…!」

水銀燈「…う…」


ドダダダダダ

巴「みんなは?!」

ジュン「二階のベッドの上に、5人ともいる!!」

ドダダダダダダ


「…」

ジュン「し、真紅?」

「…」

のり「翠星石ちゃん?」


「…」
「…」
「…」


ジュン「く…目覚めてないのか?!」

水銀燈「…みんな」
909 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:17:06.16 ID:R3/0k3Q0
ジュン「す、水銀燈!」

水銀燈「ジュン…」グ ググッ

のり「銀ちゃん、無理しちゃダメっ!」

水銀燈「ジュン、お願い…」


「わたしを、あの子たちのそばに…」


ジュン「…わかったよ」

巴「ジュン君?!」

ジュン「いいね? めぐ」

めぐ「…彼女の好きにさせてあげて」

ジュン「…」ソーッ


ストン


水銀燈「…みんな…」
910 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:25:46.45 ID:R3/0k3Q0
みつ「…銀ちゃん」

水銀燈「…金糸雀」


ナデ ナデ


水銀燈「翠星石、蒼星石…」

マツ「水銀燈ちゃん…」


ナデ ナデ


水銀燈「雛苺、そして…」

巴「水銀燈…」

水銀燈「…真紅」


サワッ


(みんな… わたし、わたし…)


(みんなから、たくさんのものを奪い取ってしまった…)
911 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:33:41.68 ID:R3/0k3Q0
サワ サワ


(大事な大事なお父様も、穏やかに暮らせるかもしれなかった長い長い時間も…)


ナデ ナデ


(いまさら、許してくれなんて言えない。でも…)



…キュッ


(一度だけでいい。どうか、やりなおすチャンスをちょうだい…)




パア…


巴「…?」

柴崎「あ、あれは!」

みつ「そ、外から!?」
912 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:36:24.55 ID:R3/0k3Q0
パァアア…


ジュン「の、のり! 窓を開けてっ!!」

のり「はぁーいっ!!」ガラガラガラガラ


パアアアア…


水銀燈「あなたたち… そう… 導いてくれたのね…」

ジュン「みんなの精霊たちが、結晶をとりかこんでる…!」


ポウッ


水銀燈「…メイメイ。 あなたも…」



「お願い、みんなを…」



シュパッ!!


巴「あっ…精霊たちが!」


シュパッ シュパッ! シュパパッ!


みつ「結晶を、みんなのなかに!」




水銀燈「よかった…」


カクン


めぐ「水銀燈? 水銀燈っ!!」
913 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:44:12.96 ID:R3/0k3Q0
めぐ「…ジュン君、水銀燈は?」

ジュン「…眠ってるだけみたい。隣の部屋で、横になってもらってる」

めぐ「よかった。 …みんなは、まだ目覚めないようだけど」

ジュン「…」



「…」

ジュン「し、真紅?」

「…」

のり「翠星石ちゃん?」

「…」



「…ん」

みつ「! カナっ!!」


「ん…んぅ??」

巴「雛苺!」


「ふ…あぁ?」

「うっ…ん?」


のり「翠星石ちゃん!!」

マツ「一樹…いえ、蒼星石ちゃん!」


「ん…」 


ジュン「あ… ああ…」



真紅「…ジュン…?」
914 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:49:15.55 ID:R3/0k3Q0
のり「し…真紅ちゃん…!!」

真紅「みんなも… どうしたの…?」

翠星石「…うーん…よく寝たですぅ… って、なんですか?! この大人数は…」


ガバッ!!


真紅「きゃっ!」

翠星石「わあっ!?」


ジュン「…っ!! …っ!!!(真紅、翠星石っ…!!)」

のり「うわあああああああーーーーん! よかった、よかったぁーーーー!!」



真紅「な、なにするの…!? え? ジュン、あなた…?」

翠星石「うーっぷ、熱いっ!むさいっ!苦しいっ! やめるですぅ…っ??」



「なぜ… ふたりとも、そんなに泣いているの?」「泣いているんですか?」
915 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 21:58:55.10 ID:R3/0k3Q0
金糸雀「あら… みっちゃん?? ここは…?」

みつ「カナぁーーーーー!!!」ギュウウウウッ!!

金糸雀「うぐええええっ!?」

みつ「…カナ、カナ!! うわあああああん!! カナぁっ!!」スリリスリリスリリスリリスリリリッ!!

金糸雀「うきゃああわっわぁあっ!? これは伝説のデンプシーまさちゅーせっちゅー?!」



巴「雛苺…」

雛苺「…巴? どうしたの…?」

巴「雛苺、ああ、あああああ…!」

雛苺「巴…?? 泣かないで…泣いちゃ、ダメなの…」

巴「うああ、ああ、あああああんっ…!!」

(水銀燈、水銀燈…! ありがとう!)



蒼星石「お、おじいさん… おばあさん」

キュッ

蒼星石「あっ…」

柴崎「…頑張った、ほんとによく頑張ってくれた」ポン ポン

マツ「よかった、よかったわ… ほんとうに、みんな無事で…」ナデ ナデ

蒼星石「い、いったい何が…?」
916 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:03:59.70 ID:R3/0k3Q0
真紅「そう、わたしたち、半年も…」

雛苺「だから巴、めちゃくちゃにヒナのこと抱きしめて、泣いてくれたの…?」

巴「よかったわ…」

蒼星石「おじいさんも、おばあさんも… あんなに泣いてくれるなんて思わなかった」

柴崎「お前さんは、わしらの娘じゃからな…」

マツ「よかったわ、また先に逝かれてしまうと思ったわ…」

金糸雀「みっちゃん、半年分まさちゅーせっちゅってくれたかしら…」ヒリヒリ 

みつ「まだやりたりない…」ヒリヒリ

金糸雀「涙が潤滑剤になってなかったら発火してたかしら」ヒリヒリ 

翠星石「…でも、なんでいったいこんなことになったですか…?」

ジュン「…」

(水銀燈「あのことは、あの子たちにはまだ言わないで…」) 

真紅「…そう、水銀燈は?」

(「落ち着いたら、ちゃんとわたしから話すから…」)

ジュン「…」スック

雛苺「ジュン?」


スタ スタ スタ


真紅「ジュ、ジュン?」
917 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:11:17.08 ID:R3/0k3Q0
ガチャン

ジュン「…ここだよ」

真紅「あ、あなた!」


水銀燈「あらぁ… ようやく起きたのねぇ」


翠星石「ど、どうしておまえがここにいるですか!!」

ジュン「…怪我をしてるんだ」

雛苺「おケガ、してるの?」

ジュン「治るまでは、うちで診ることにしたから」

真紅「…えぇっ!?」


水銀燈「そういうわけよ、よろしくねぇ」


翠星石「とっ、とーとつ過ぎるですっ!」

蒼星石「…ひどいケガなのか?」

水銀燈「ふふっ、大したことないわぁ」


金糸雀「…」


ジュン「か、カナ?」

金糸雀「…まったく、もう」



金糸雀「また、なのかしら? …いい加減にしてほしいかしら!」
918 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:20:23.05 ID:R3/0k3Q0
水銀燈「…あなた?」

ジュン「か、金糸雀?!」

金糸雀「…ほんとに、ほんとうにあなたは…いつもいつも…!!」

のり「カ、カナちゃん? 水銀燈は…」

みつ「そ、そうよ、カナ! えっと、その…」

金糸雀「…」



「ずっと前、同じようなことがあったかしら」



のり「…えっ?」

金糸雀「記憶がちょっとあやふやなんだけれど…」

水銀燈「…?」

金糸雀「たしか、なにか大変なことに巻きこまれて、わたしたちの意識が無くなって…」

ジュン「カナ…?」

金糸雀「気づいたら、わたしたちには傷ひとつ無いのに、水銀燈ひとりが大怪我をしてたかしら」

水銀燈「…」

金糸雀「ずっと、そうだったかしら。 あなたは、何も言わずに出て行って、大怪我して帰ってくるかしら」

みつ「…カナ」

金糸雀「そして、いつも言ってくれるのは『大したことない』って言葉だけ」

水銀燈「…あなた」



金糸雀「…水銀燈、わたしたち姉妹かしら! 内緒にするのもたいがいにするかしら!!!」
919 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:26:04.71 ID:R3/0k3Q0
水銀燈「…金糸雀…」

みつ「…」グスン


真紅「そうだったわね… あなたは、いつもいつも、何も言わずにひとりだけで…」

翠星石「まったく、カッコつけなんですから。 …水銀燈は」


水銀燈「あ、あなたたちまでなに言ってるのよ! まったくもう…」

ジュン「…みんな」


蒼石星「まさか… 水銀燈、ほんとうにそういうことなのかい? また今回も…」

雛苺「そうなの? ヒナたちには、また、ないしょなの…?」


のり「…ぐすっ」

水銀燈「…ふん。 くだらないこと言ってるんじゃないわぁ。 ジュン、…のり」

のり「な、なぁに?」

水銀燈「わたし、おなか空いちゃったわぁ」
920 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:31:35.95 ID:R3/0k3Q0
ジュン「ああ。 そろそろお昼にしようよ、みんなも」

のり「ご馳走にするね。…ぐすっ、おいしいもの、いっぱい食べさせてあげる!」

雛苺「え… わーいなのー!」

金糸雀「もう、ごまかして… まぁいいかしら。 どうせいつものことかしら」ブリブリ

マツ「わたしも、お手伝いしますわ」

みつ「あ、わたしも、もちろんやりますね」

翠星石「じゃ、翠星石も手伝ってやるですぅ。 腕をよりよりねじくって作ってやるですぅ」チラッ


水銀燈「…?」


翠星星「…不本意ですが、増えちまった居候のためにも」プイッ

ジュン「お前だって居候だろ」

翠星石「生活能力ゼロのチビダメ人間が何言ってやがるですか!」

水銀燈「…ふふっ。 のり、ジュン。 こっちに来なさぁい」
921 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:41:19.72 ID:R3/0k3Q0
のり「はぁい?」

水銀燈「もっと近くに…そう」

ジュン「こう?」


水銀燈「(妹たちのこと… お願いね?)」ヒソヒソ

のり「(だーいじょうぶ。まかせておいて、ゆっくり休んでて)」ヒソヒソ

ジュン「(きみはしばらく、自分のことだけ考えてればいいよ)」ヒソヒソ


真紅「…?」


のり「(わたし、こうしてあげられる日を、ずっと待ってたんだから)」ヒソヒソ

水銀燈「(ありがとう…『お姉さま』)」ポソッ

ジュン「(ずっと、ゆっくりしていきなよ)」ヒソヒソ

水銀燈「(ありがとう…ジュン。 …いえ)」



「(…『お父さん』)」

「(うん…『お母さん』)」


翠星石「さっきから、なにコソコソしてるですかー?」

ジュン「素直に命令聞けって言われた」チラッ

水銀燈「(…まぁ、ジュンったら)」
922 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 22:48:47.69 ID:R3/0k3Q0
のり「それじゃー、ぱぱっとやっちゃいますねー!」

みつ「ジャンボ卵焼き、ひさしぶりに作ってみようかなー♪」

金糸雀「そっれはグレートかしらー!」

雛苺「楽しみなのー!」


トトトト


蒼星石「おばあさん、階段、大丈夫?」

マツ「ふふ、大丈夫よ」

柴崎「なんだか、この半年で10年は若返った気分じゃよ」


トトトト


ジュン「めぐは… ここで待ってる?」

めぐ「…ええ。もうどうせ、あわてて帰っても一緒だから」

巴「準備できたら、水銀燈も降りてきてね」

水銀燈「…ええ」

真紅「…それじゃ、ゆっくりお休みなさい」


トトトト


めぐ「行っちゃったね」
923 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 23:00:06.53 ID:R3/0k3Q0
水銀燈「ええ…」クイ クイ


キシ キシキシ


水銀燈「(関節が… きしむ)」

めぐ「…」

水銀燈「(わたしに残された時間は、恐らくそう長くはないのだろう)」

めぐ「…水銀燈」

水銀燈「なあに?」

めぐ「死なないでね?」

水銀燈「ふふ…」


コツン


水銀燈「こっちのセリフよぉ。 今回は、ほんとに無理させちゃって…」

めぐ「…いいリハビリよ」

水銀燈「もう、強がっちゃって」

めぐ「あなただって」


(やりたいことがいっぱいできたのに、ほとんどやり残してしまいそうだけれど…)


(それでも今は、ただ精一杯生きるだけ) 


(…みんなと一緒に)
924 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 23:04:47.65 ID:R3/0k3Q0
水銀燈「めぐ…」

めぐ「なあに?」

水銀燈「ちょっとだけ、眠っていい…?」

めぐ「…いいわよ。私も眠るから…」



翠石星「んしょーっと、んしょーっと」

のり「…なにやってるの?」

翠石星「腕をよりよりしてるですぅ」

ジュン「(…それはもしかしてギャグなのか?! 素なのか?!)」

翠星石「…これだとかえって作りづらいですぅ。 ことわざって、あてにならないですね」

雛苺「なるほどなるほど… またひとつお利口になったのー」

真紅「…ジュン、何か言ってあげたら?」

ジュン「…言葉って、時に無力だから…」




ジュン「(でも…ほんとに久しぶりだ。 みんながいる日常…)」


(みんながいる…)


(みんな…)




(…ごめんよ)
925 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/02(土) 23:06:20.08 ID:R3/0k3Q0
今日はここまで。続きは明日。
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/02(土) 23:07:30.87 ID:I3hvuGQo
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/02(土) 23:10:01.03 ID:tkqLqKU0
928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/02(土) 23:10:46.72 ID:Y8VH7Dg0
>>1乙!!
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/02(土) 23:12:30.70 ID:vnpqIYAO
乙!
楽しみしてに待ってるよ
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/02(土) 23:12:33.71 ID:nmQXorgo
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/02(土) 23:45:50.55 ID:VgEP8WQo
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/02(土) 23:51:56.10 ID:bGo3zl6o
乙!
なぜか目から汁が……
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 08:00:17.24 ID:Xx.wuVM0
乙!
しかし気になる所でまて次回とは・・・
934 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 19:50:08.96 ID:/fHZAEI0
>>926-933
まとめてですいませんが…乙どーもっす。
それでは、最後の締めくくりにかかります。
935 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 19:55:15.52 ID:/fHZAEI0
シューーーー


みつ「さあ、卵焼きも焼きあがるかな…」

金糸雀「す、すっごいかしら! フライパンの中が約束された黄金の地になってるかしら!!」

雛苺「ふおぉぉぉー?! 見せて、見せてなのー!」

蒼星石「あっ、危ないよっ?!」



ジュン「…」


(みんな、ごめんな。 …ボクあのとき、ふっと考えた。 とてもとても、恐ろしいことを…)


(これは… 水銀燈にもだれにも、今度こそ絶対に言えない秘密。ボクと…)




(きらきーだけの)



【回想・水銀燈の精神世界】

雪華綺晶「…お父さま、大丈夫?」

ジュン「…こ、ここは? 教会の…?」

雪華綺晶「お母さまの、記憶の中。 …お父さまと、一番強く結びついている部分」

ジュン「そうなのか…」

雪華綺晶「ほかのみんなも、それぞれと一番強く結びついているところで待機してもらってる」

ジュン「それじゃ…」

雪華綺晶「あとは、みんなとお母さましだい。 …心の力を、どれだけ分け与えられるか」

ジュン「…そうなんだ」

雪華綺晶「あとは、お母さまを待ちましょ?」


ギシッ
936 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:00:28.73 ID:/fHZAEI0
雪華綺晶「ねぇ、お父さま」

ジュン「…なんだい?」

雪華綺晶「さっき、お母さまが崩壊し始めたとき」

ジュン「…え」

雪華綺晶「わたしたちのこと…」

ジュン「 ? 」



「壊そうと思ったんでしょ?」



ジュン「 !! 」

雪華綺晶「お母さまのために」

ジュン「…」



(もし… 君か結晶か、『どちらか』しか助けられなかったら?)

ムクッ

(もしもそんな状況になってしまったら、ボクはいったいどうしてしまうんだろう…)

ゴソ ゴソ

(たしか、水銀燈の備忘録に。 こっそり探しておいた…)

カチャリ パラパラ

(そう… このページ。 …『生命力付与と収奪』)

パラッ

(「契約者」、「生命力の移動に熟練」、「わたしたちから、逆に生命を吸い取る」)  

…カチャン



(…「可能」)
937 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:01:59.18 ID:/fHZAEI0
(水銀燈…いや、みんなの結晶に力を与え続けてきたボクなら…?)

ブォン

(ダモクレスの剣… 生命力をこめて、形を成す剣… じゃあ、こうすると…)



(…こうかな? こうか…)

シュウウウ

(うわっ!? も、元の十字架に…!)

シュウウ…

(で… できちゃった…)



ジュン「…」

雪華綺晶「そして、あのとき…」
938 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:04:51.75 ID:/fHZAEI0
(ジュン「なぜ、崩壊が止まらないんだ!?」)

ピキッ ピキキ…

(ジュン「…くっ、もう…もうダメなのか…?」)

ピキッ!


(こうなったら…いちかばちか)

(結晶のエネルギーを奪って… 水銀燈の負担を…)

(けれど… けれど、みんなは…どうなる? それに…)

(水銀燈は… 絶対怒るな。 いや、殺されてもおかしくない…)

(みんな…)



(…)


ビキィッ!!


(…みんな、水銀燈、ごめん! 恨んでくれても、殺されてもいい!!)

(なんとか、みんなへの影響を最低限にして… 水銀燈を助ける!!)



シュルシュルシュル



(ジュン「う、うわあ?! 白い茨が…!」)
939 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:08:03.40 ID:/fHZAEI0
ジュン「…あのとき君が出てきてくれなかったら、ボクは結晶から生命を吸い取ってしまっていただろう」

雪華綺晶「…そうね」

ジュン「…ボクを、殺すかい?」

雪華綺晶「まさか。 …むしろ、嬉しいと思った」

ジュン「…?」

雪華綺晶「お父さまって、本気でお母さまのこと好きなんだって」

ジュン「…」 



「ああ、大好きさ」



雪華綺晶「ふふふ。 …ねぇお父さま。 わたし、このこと許してあげる」

ジュン「…ありがとう」

雪華綺晶「お母さまにも、ずーっとないしょにしてあげる」

ジュン「…うん。 バレたらたぶん、本気で殺しにくると思う」

雪華綺晶「お姉さまたちにもほかのみんなにも、だれにも一生ないしょにしてあげる。 だから…」
940 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:09:47.27 ID:/fHZAEI0
ジュン「うん?」

雪華綺晶「これで3つでしょ? だからお父さまも、わたしのお願い3つ聞いてくれる?」

ジュン「…何をすればいい?」

雪華綺晶「ひとつめ。 お母さまに、これからイタズラするから手伝って」

ジュン「…ああ、いいとも。 面白そうだ」

雪華綺晶「ふたつめ。 わたしのこと、もう、白薔薇って呼ばないで」

ジュン「ああ… ごめんな。雪華綺晶」

雪華綺晶「…きらきーって呼んで」

ジュン「…ふふっ。わかったよ、きらきー」

雪華綺晶「みっつめ。わたしたち姉妹と、お母さまのこと、ずっと大事にしてね」

ジュン「…うーん」

雪華綺晶「お父さま?」



ジュン「…それじゃ、だめだ」
941 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:14:51.57 ID:/fHZAEI0
雪華綺晶「えっ? …なんで?」

ジュン「だって、それは頼まれなくったってするつもりだから」

雪華綺晶「あ、そっか」



「…そうだよねー♪」ルンルン
 


雪華綺晶「それじゃね、えーっと…」

ジュン「とっておきなよ」

雪華綺晶「え?」

ジュン「これから1回だけ、どんなわがままでも聞く。いつでもどこでも、どんなときでも」

雪華綺晶「…いいの?」

ジュン「そのかわり、秘密は守ってくれよ?」

雪華綺晶「うん… わたしと、お父さまだけの秘密ね」

ジュン「ああ。 ボクときらきーだけの秘密」

雪華綺晶「…うふふっ♪」



ジュン「(約束は、守るよ。 …きらきー)」

みつ「よーっし、こんなもんかな〜」

のり「ジュン君、銀ちゃんとめぐちゃん呼んできてくれる?」

ジュン「OK」



トントントントン
942 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:16:41.95 ID:/fHZAEI0
めぐ「…」

水銀燈「…」

ジュン「入るよ」


ガチャン


ジュン「ふたりとも、起きて」ユサユサ

めぐ「ん…」

水銀燈「…」

ジュン「ご飯できたよ」

めぐ「ん… もう、もう少しやさしく起こしてよ」

ジュン「ごめんごめん。 …水銀燈?」

水銀燈「…」



めぐ「す、水銀燈?」

ジュン「水銀燈?!」



水銀燈「…」
943 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:30:39.15 ID:/fHZAEI0
(…)


スイギントウ! イヤァッ?!


(…なによ?)


ダ、ダメダ! オキルンダ!


(うっるさいわねぇ…)


イヤ、イヤ、メヲアケテ!!


(もうすこし、寝かせてよぉ…)



(…)



水銀燈「…んっ」
944 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:31:39.00 ID:/fHZAEI0
めぐ「す、水銀燈!」

ジュン「水銀燈!!」

水銀燈「…ん、ご飯できたの?」

めぐ「ああ、ああ… よかった…!」

水銀燈「はぁ?」

ジュン「もう、目を開けてくれないかと…!!」

水銀燈「…ふふ、なに言ってるのよぉ」 


ムクリ


「まだ、大丈夫よ」


ジュン「心配させないでくれよ…!」

水銀燈「しょうがないじゃない。疲れちゃったんだから」
945 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:33:31.86 ID:/fHZAEI0
めぐ「もうっ! ほんとうにもう!」

水銀燈「…心配しなくてもいいわよぉ。 雪華綺晶だって言ってたわ」

めぐ「…え?」

水銀燈「わたしが『マリア』になれば、きっと助かるって」

めぐ「…どういうことなの?」

水銀燈「よくわからないけど… あの子の言うことだから大丈夫」

めぐ「んもう、それじゃ解決になってないでしょ!」

ジュン「…それにしたって、心配はかけないでよ」

水銀燈「…」


「ありがとうね、ふたりとも」


ジュン「えっ…?」

水銀燈「ね、ジュン…」

ジュン「な、なんだい?」 




「抱っこして連れて行って」
946 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:34:51.43 ID:/fHZAEI0
ジュン「え? あ…ああ…」

めぐ「…ふふっ、そうしてあげて」

ジュン「そ、それじゃ。 …つかまって」

水銀燈「…ん」


ヒョイ


めぐ「あら、お姫様抱っこ」

ジュン「それじゃ、行くよ」

水銀燈「…ええ」

ジュン「めぐ、階段気をつけてね」

めぐ「大丈夫よ」



トン トン トン
947 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:42:13.46 ID:/fHZAEI0
ジュン「どこか、痛くない?」

水銀燈「平気よぉ。 …あなたこそ、大丈夫?」

ジュン「え?」


トン トン トン


水銀燈「今日はほんとうに疲れてるでしょう?」

ジュン「…ボクだって平気だよ。きみを抱えていくくらいの力はあるさ」

水銀燈「ふふ、わかったわ」


トン トン トン


めぐ「(ジュン君が水銀燈を抱えて、ゆっくりゆっくり階段を下りていく…)」


トン トン トン


めぐ「(お互いを見つめ、思いやりながら…)」 



(ねえ水銀燈、ジュン君、わかる? いまあなたたち…)



(ふたりでバージンロードを、歩いているのよ?)



水銀燈「…めぐ?」
948 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:44:15.35 ID:/fHZAEI0
めぐ「え?」

ジュン「めぐは、大丈夫かい?」

水銀燈「あなただって、今日は本当に疲れてるんだから…」

めぐ「大丈夫よ、心配しないで」


トン トン トン


(幸せに… なってね…)



ジュン「おまたせー」

めぐ「…すいません」

みつ「主役たちのご到着よ!」

真紅「あら… もう」

のり「あららら、銀ちゃんったら。 お姫様抱っこなんかされちゃって…」

巴「(…ま、今日だけはいいよね)」
949 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:46:59.28 ID:/fHZAEI0
翠星石「…とっとと座りやがれですぅ!」

水銀燈「そうさせてもらうわぁ。 お腹ペコペコよぉ」

雛苺「ペコペコなのー!」

のり「それじゃ、みんな…」


「いただきまーっす!」


(…半年前にこの家に迎えられたときには、こんな日が来るなんて思ってもいなかった)


雛苺「…水銀燈、どっか痛いの?」

水銀燈「ううん。 …大丈夫よ」

真紅「…?」


(みんなとこうして、いっしょにご飯を食べるようになるなんて…)


真紅「水銀燈…」

水銀燈「え?」

真紅「水銀燈、あなた…」



「あなた、いま、泣いているの?」
950 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:48:35.07 ID:/fHZAEI0
ジュン「そ、そうなのか?」

水銀燈「な、なに言ってるのよ! 半年分しっかり食べなさい!!」

真紅「…まあ、いいわ。 そういうことにしてあげる」モグモグ



(大丈夫… きっと、きっとうまくいくわ)


(この子たちは… この子たちは、自慢の娘たちなんですもの)



翠星石「そういう水銀燈こそ、しっかり食べるですぅ!」

蒼星石「…はやく、元気になってよ」

水銀燈「…ええ」



(明日のことは、わからないけれど)


(わたし、今日を生きていく。 …幸せになる)


(…どうか、許してください。 悪い娘だけれど…) 




(…お父様)
951 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:50:23.47 ID:/fHZAEI0
ジュン「水銀燈」モグモグ

水銀燈「…え?」…モグ


(…わかったわ。 …わかってるわよ)

(やっぱり、わかるかい?)


ジュン「…」

水銀燈「…」


(あなた、こう言ってるんでしょう?)

(きみこそ… こう言ってるんだろう?)


真紅「…?」

巴「…」


(『幸せに、するよ』)

(『幸せに、なろうね』)


(って…)


「なんでもない。 いっぱい、食べなよ」

「ふふ、ありがとうね、ジュン」



翠星石「…おかしなふたりですぅ」

巴「(わたし… やっぱり勝てないかも)」
952 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:52:23.86 ID:/fHZAEI0
(命がけで手に入れた、奇跡のようなこの時間)


(今度こそ… 今度こそ、大切にするわ)


(みんなと共に暮らせる、夢のような、幻のようなこの時間…)


(やりのこすことだけは、ないように)


水銀燈「…わたし、頑張る」

のり「? 何か言った」

水銀燈「いいえ、何も。 …飲み物とってもらえるぅ?」

金糸雀「まっかせるかしらー!」


コトン


水銀燈「ありがとうね」

金糸雀「(…水銀燈)」ヒソヒソ
953 :水銀燈がドールたちの母親になるようです【出産編】 [saga]:2009/05/03(日) 20:56:05.74 ID:/fHZAEI0
水銀燈「(…なぁに?)」

金糸雀「(すぐにでなくてもいいけれど…)」

水銀燈「(わかってる。 いつか、必ず話すわ)」

金糸雀「…約束よ?」

水銀燈「…ええ」



(…やりのこさないように、しなくっちゃね)


コク コク コク


水銀燈「もう一杯ちょうだぁい」

金糸雀「?! はっ、早すぎるかしら!!」

水銀燈「ふふ、乳酸菌もいっぱい補給しなくっちゃねぇ」




「さあ、頑張るわよぉ!」





【水銀燈がドールたちの母親になるようです】  完





○これにて、拙作[水銀燈がドールたちの母親になるようです]を終了します。
読んでくださった方、支援の書きこみしてくださった方々へ感謝です。
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 20:57:25.00 ID:bvm8xPQo
きれいな終わり方乙
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 20:58:11.42 ID:GjK2Xqoo
乙!
956 : [saga]:2009/05/03(日) 20:58:27.33 ID:/fHZAEI0
…とはいっても、まだまだ続ける予定なのですが。
きりがいいのでいったん終了して、続きは別スレを立てる予定です。


重ね重ね、読んでくださっていたみなさんに感謝。
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 20:59:04.39 ID:l8MTic6o


>>955
お前のIDが素敵過ぎる件
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/03(日) 21:00:04.99 ID:coktYJAo
乙でした

次スレのタイトル候補があれば聞いておきたい
959 : [sage]:2009/05/03(日) 21:00:38.53 ID:/fHZAEI0
>>954
乙どうもです。どうなるかと思いましたが、なんとか完走できました。
支援感謝。

>>955
乙どもです〜
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 21:01:16.88 ID:soEPHlQ0
乙!
961 : [sage]:2009/05/03(日) 21:03:18.59 ID:/fHZAEI0
>>957
乙どもです。ID指摘されるまで気づかんかった…
>>955氏、GJどもっす。

>>958
候補というか、ぜひこれにしたいというのがひとつ。
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/03(日) 21:07:38.82 ID:coktYJAo
ぜひkwwsk
963 : [sage]:2009/05/03(日) 21:13:39.09 ID:/fHZAEI0
>>960
乙どもっす〜


>>962
できれば秘密にしておいて、書きためができたところで自分でスレ立てして公開したいのですがどうでしょうか。
一目見れば、拙作の続編だとわかるタイトルになる予定です。
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/03(日) 21:16:05.42 ID:coktYJAo
続編だと判るならいいや
作者さんの意向に従いますぜ
965 : [sage]:2009/05/03(日) 21:20:27.38 ID:/fHZAEI0
>>964
>>964
感謝ですm( _ _)m
あまりにひねりがなさ過ぎるタイトルになる予定ではありますが…
見てやってくれると嬉しいです。


再開は7日からになる予定です。
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 21:30:05.04 ID:cc1aBW2o
おつつ
967 : [sage]:2009/05/03(日) 21:56:45.60 ID:/fHZAEI0
>>966
乙どもっす〜
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/03(日) 22:59:46.72 ID:LNJ1Oqso
おっつ
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/04(月) 00:22:06.73 ID:8cu.l1wo
>>1乙!
次も期待してます
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/05/04(月) 04:38:06.98 ID:ksjMC6AO
乙です。
次回作も期待しています。
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/04(月) 08:46:11.74 ID:W8WCvkQ0
新婚編くらいからずっとROMってたけど、最後に
>>1
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/04(月) 10:01:32.22 ID:X7T4/.AO
乙です
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/04(月) 17:22:31.93 ID:2iPUd6AO
乙です!
水銀燈の笑顔で終わって嬉しい!次回作も楽しみに待っています!
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/04(月) 19:03:52.45 ID:Wivc0jAo
残りは埋めた方がいいのかしら?
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/04(月) 19:21:28.16 ID:Ctw7VLYo
次のスレ告知とか用に残しといた方がいいのでは?
976 : [sage]:2009/05/04(月) 20:50:53.78 ID:UHeGubk0
>>968-973
まとめてですいませんが、ありがとうございます。
次回作もきっちり終わらせられるようにがんばってみます。

>>974-975
次スレの1に張るので、いずれ埋まると思います。このままで大丈夫です〜
977 : [saga]:2009/05/06(水) 20:45:24.20 ID:H9D3xnU0
時間ができたので、予定を早めて続編にとりかかります。
次スレのタイトルは…






【水銀燈がドールたちの『母』になるようです】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1241610132/l50
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/20(土) 13:11:46.95 ID:WLurFt.0
うめ
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/21(日) 23:28:46.06 ID:sC.0Jl6o
うめ
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/22(月) 21:23:20.66 ID:uzHDfLIo
うめ
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 11:13:30.74 ID:u18f5eU0
うめうめ
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 14:36:23.97 ID:u18f5eU0
              r_‐、_
                    _, -ー::L._.」‐-、` 、
                /‐ '´ ̄ ̄ ̄`¨ヽ:::丶ヽ
              /  ,        ,  \:::ヽヽ
            r./  /|/',   /l/ |    i::::||
       へ    L| /   ',/     l/|   !:厶l
           /∨ ○       ○  /  l下、_〕_
       |      /              /  i !__ト、
       |      !     ┌┐    'イ  /   l
              丶、._  ̄ ___/ /     l
                  l/!  ̄r::t水ァ::j/     ',
                   /r――――i::::K   ト、 ヽ
                  ムf」       「ヽ::i、 |\! \ |
                  __j」 埋め  ヽ、|」_ヽ_    ヽ
            r┐≧:|_____!::::::::::::::::/
            l___!L.-i_i⌒!-」、|\::::::::ヽ _
                     └‐ '´     ̄ ̄




--------------------------------------------------------------------------------

983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/23(火) 15:46:22.87 ID:g0G4QMA0
埋め
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/06/23(火) 18:20:38.84 ID:6R6KavUo
985 :埋め [sage]:2009/06/24(水) 07:05:04.74 ID:TkWQB6Y0

              _
             ,'´r==ミ、
       ,_ _ _   卯,iリノ)))〉 _ _ _
     /   `."-|l〉l.゚ ー゚ノl/    ヽ
    '"'⌒`~"'" ''|!/'i)卯iつゝ '''"ー"``
            ''y /x lヽ
           l†/しソ†|
           lノ   レ 


986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 10:10:12.03 ID:6Uw0NxU0
ぅめ
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 13:21:32.42 ID:6/V0yG20
埋め
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 17:12:46.46 ID:uw7eZq.o
埋めたい
989 :1 [sage]:2009/06/24(水) 21:27:45.65 ID:X3IC/zk0
セルフ埋め。

          _
         -〈{厭-
       /..:::  -―‐-  \
     //.:/          \
      |_|::|   、    ト | l
     {ヒ{}コ}\  |\   | | | |
      |兀ヽ l\!  \ ノ }ハノ
   三≧ト \|   |    |,, {:lノ彡
     寸::f⌒ト '''    ノ.f⌒ヽ
   ̄ ̄ ̄`ー'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー'  ̄




--------------------------------------------------------------------------------
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:11:59.09 ID:NU55E5go
ume
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:12:08.44 ID:NU55E5go
うめ
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:12:22.53 ID:NU55E5go
生め
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:12:37.18 ID:NU55E5go
埋め
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:12:43.63 ID:NU55E5go
産め
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:12:49.51 ID:NU55E5go
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:13:03.23 ID:NU55E5go
膿め
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:13:10.87 ID:NU55E5go
ウメ
998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:13:21.92 ID:NU55E5go
倦め
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:13:31.17 ID:NU55E5go
宇目
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/06/24(水) 23:13:39.28 ID:NU55E5go
熟め
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
  | |  (・)。(・);    このスレッドは1000を超えました。|
  | |@_,.--、_,>    このレスを見たら10秒以内に次スレを建てないと死にます。
  ヽヽ___ノ    次スレを10秒以内に建てても死にます。

パー速@VIPService
http://ex14.vip2ch.com/part4vip/

1000超えたのでHTML化の依頼をするでござるの巻
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1195554932/

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
おまいらに無料ゲームもってきた @ 2009/06/24(水) 22:51:47.64 ID:V.y9lYAO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1245851507/

平和を信じていたやる夫は眠ったままの母を救うようです 2つ目 @ 2009/06/24(水) 22:50:26.14 ID:9qmaLqk0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1245851426/

赤い柴犬ジャスティス @ 2009/06/24(水) 21:53:13.66 ID:4qMncv6o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1245847993/

やる夫がドラゴンクエスト5の主人公のようです(その8) @ 2009/06/24(水) 21:42:13.90 ID:lIrRi0o0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1245847333/

A-ON!えいおん! 第82話 「ゆーな!」 @ 2009/06/24(水) 21:25:36.86 ID:XY4EktQo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1245846336/


Powered By VIPService http://vip2ch.com/

506.18 KB   

スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)