暇なおっさんのSS図書別館

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94 :パー [sage]:2026/03/07(土) 12:29:21.21 ID:GFYDamfDO
>>93
[AUA288U]

・Burning heat


とある日の宿屋―

「…あれ?よみさん。まだ寝てなかったんですか」

「うん。あ、起こしたか?ごめんな、ちよちゃん。ちょっと思うところがあって」

よみは今までの冒険で、おおさかについて、ふと感じた事があるとその胸中をちよに吐露した。

「勇者の資質、ですか…」

「少なくとも今は、まだまだ真に勇者だ、なんて言えない有り様なんだけど―」

よみは思い返す。

ナジミの塔の屋上階にて、盗賊の鍵を自分たちに渡してくれた老人が再び寝入りこんだ際、
おおさかはさっと、ベッドの方に運んで寝かせた。

「あ、その時はよみさん手を貸してましたね」
「まあ咄嗟に頼まれたから、てのはある」

そして今回の金の冠奪還。

「…カンダタ、強かったですね」
「ああ。それだけに今回の国王、ロマリアの初代女王にしてやるから、て話は普通に引き受けて図に乗る、
調子こいてなんかヘマるかな、て逆な期待してたんだが…」

「おおさかさん、割りと真面目に国について勉強しようとしたり、国民の話を聞いたりして
普通に立ち回って―」

さかきも途中から起きて。

「やっぱり、自分に国を治めるのは無理だったと金の冠を元国王に返還しにいったな」


よみは軽くため息をつき。

「あいつ、やっぱり「勇者」なんだな。て感じたわ」

ちよは驚いた。

「え…?どうして」
よみの普段の思考回路的になら、やりかけた仕事の放棄なぞは問題外な失点ではないか、と。
「あ〜やりかけたことを、てのは確かにな。でも私が思ったのは言うなればおおさか、て(普通な人だったんだ)な、てことさ」

さかきは、よみが言わんとする話を理解できた。

(特別何かの技能、才覚や才能が突出してるワケでないのに結果として周囲に期待させてしまう誰か、か)

「よく、わからないです…」

魔法使いとしても、その才覚に一流なものは自分の中にあるとするちよには、幾ばくかの困惑が心の内に芽生えた。

「ああ、ちよちゃんはそれでいい。魔法、呪文道を極めてくれ」

よみは。

ベッドで起きる気配は微塵もなく高らかにイビキをかく平和な寝顔のおおさかに軽くデコピンを1つかまして。

明日からのまた再開される冒険の旅に備え、ベッドに潜り込んだ。
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