19: ◆Rj0X.392Pk
2017/06/04(日) 21:06:32.42 ID:eT+S8Zf10
「……昔の話です。ある女の子がいました。女の子はいっつも学校に遅刻しています。
遅刻するたびに怒られて、遅刻するたびに女の子はこう言うんです。『時計があっという間に進むの』って」
何の話だろう。
何でそんな現象が起こるのだろう。
「ある時、女の子は気づいたんです。見ても意味がない時計に何の価値があるんだろうって。
それ以来、女の子は家中の時計から電池を取り外しました。
両親は電池が外されるたびに入れ直していましたが、いつの日か諦めてテレビに表示される時間や携帯の時計を頼りにするようになりました」
どうして藍子はそんな話をしているのだろうか。
どうして悲しい表情で話しているのだろうか。
「でもそうしたことで女の子の負担は減ったんです。不思議と心が軽くなって、遅刻する回数も減りました」
「……藍子」
どれだけ目の前の少女は苦悩を抱えていたのだろうか。
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