4: ◆Rj0X.392Pk
2017/06/04(日) 20:56:52.53 ID:eT+S8Zf10
それからは問題なく仕事を終えた。
電話を切った数分後に彼女は到着し、急いで支度を整え、インタビューを卒なくこなした。
強いてダメ出しをするとしたら、急いだせいか少しだけ表情に疲れが浮かんでいたことだ。
雑誌のインタビューなので表情が載ることはまずないのだが、プロとしてそれを許せるほど甘い世界ではない。
彼女も必死に隠そうとしていたことが窺えたし、気づいたのもプロデューサーをはじめ彼女と親しい人だけだろう。
「藍子、カフェに行こうか」
その日の夕方、非常に珍しく定時よりも前に仕事がすべて片付いたプロデューサーは、藍子を誘って外に出ることにした。
「……カフェ、ですか?」
事務所のソファーで学校の課題を片付けていた藍子は顔をあげて繰り返した。
普段藍子からカフェへ誘うことはあっても彼から誘ってくることは滅多にないことだった。そのせいで藍子は少し困惑している。
「そうだ。この前藍子に教えてもらった大通りから外れた路地にある店だよ」
「いいですけど。プロデューサーさん、あそこのカフェ気に入ったんですか?」
藍子の記憶では以前一緒に行った時はそこまで気に入った素振りを見せていなかったように思う。
何か裏があるのだろうか。もう夕方になっているが、今朝の叱責をまだ受けていないことも藍子にとっては勘繰ってしまう要因の一つだった。
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