【FGO】サーヴァントトレーニング
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6: ◆BAKEWEHPok[saga]
2017/10/17(火) 15:28:37.76 ID:aFQ70cXAo
「嬉しいけど、とても実戦はできそうにないよね……レベルの低いスケルトンはともかくとして
 もっと強い相手と闘えるようにはどれだけかかるか……」 
「そうだな。間に合いそうにない」
「うん……強くなるよりも前に特異点が全部壊れちゃいそうだ。
 しかも多少強くなったとしても、きっと勝てない相手のほうがずっと多い」

そもそもカルデアの立香は戦士ではなく魔術師であり、戦いには向いていない。
その魔術であってもカルデアの職員達の誰よりも魔術師としては劣っているだろう。
マスターとしてのポテンシャルはあれど、戦うという持ち味は必要ないはずだ。

「君なら最初からわかっていたと思ったが?」
「そうだね。みんなみたいに戦えるとは思ってない。けれど試してみたかったんだ。
 支援してるだけじゃなく、みんなと肩を並べて戦えないかなって」

エミヤがぴくりと眉を上げた。
表情に色々な感情が浮かび、複雑な、何とも答えを決めきれないと目を瞑る。
無謀を皮肉るのは容易い。それは傲慢だと糾弾する資格もある。
けれども、どちらも自分には相応しくないと思った。立香の言葉に正面から応えた。

「オレも今よりも若く、弱くて力が無い時は同じ様に思ったよ。
 もっと強くなれないのか、もっと守れないのかと。……ああ、悔しいほどわかるよ。
 できないからやらない。力不足だから挑戦しない。そうはありたくなかったんだ」

立香は笑顔を浮かべた。
それは友が似た悩みを抱いていた事への喜びであり、ほのかな秘密を聞けた共犯者の笑みでもあった。

「エミヤでもそんな事考えるんだね」
「どのような英霊であれど未熟な時代はあるものだ。私も例外ではないよ」
「怒られるかと思った。闘うとはそんな軽々しいものではないぞって」
「悲しいかな。私には怒る資格がない。というかむしろ私のほうが無茶を……何でもない。忘れてくれ」

話し過ぎた。
口を噤み、紅茶を傾けるエミヤは少し落ち着きがない様子。
ただ初めて聞けた内心に、立香の口も軽くなる。

「……これは恥ずかしいから誰にも言わないでね」
「ああ。話したいことがあるなら話すがいいさ。私の事は茶汲み人形だとでも思ってくれ」

二人分のカップに改めて紅茶を注ぎ、殊更に平穏を装いながらエミヤは視線を外す。
気恥ずかしいのは立香だけではないのだ。

「その……さっきの気持ちも本当なんだけど……サーヴァントとか関係なく……
 マシュが傷つくのがイヤだから、俺だって守られるだけじゃないんだぞって
 一度くらい見せたいというか……あ! 笑ったな!」
「くっ、ふふっ……いや、すまない……これはどちらかと言えば……君だけではないというか……
 君とは冬木の時からの付き合いだが、偶然の縁だけではなかったのかもな」

顔を手で隠しているエミヤは笑いを堪えているようで、在りし日を思い出している。
そんな若い時もあったと照れくさくも恥ずかしく、気持ちがわかりすぎるから困ってしまう。
自分の未熟を許せなかった時期はとうに通り過ぎているだけに、それを真正面から叩きつけられるのがなんとも面映いのだ。


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