佐久間まゆ「凛ちゃん聞いてください! まゆ、プロデューサーさんとキスしました!」
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14: ◆E055cIpaPs
2017/10/29(日) 19:50:58.12 ID:T3zoKt8I0
「佐久間じゃないか、久しぶりだな」

「はい、お久しぶりです」

 きっと、とても驚いているのでしょう。

 少し声を上ずらせながら、それでもなんでも無いように振舞う彼の姿は、とても懐かしさを感じます。

「テレビで良く見てるぞ、頑張ってるみたいじゃないか」

「ありがとう、ございます……」

 まゆが突然抜けた後、その責任とか、後処理とか。

 たくさんの迷惑を被ってくれただろう彼は、そんな様子は少しも見せずにあの頃の面影を強く残した笑顔で微笑みかけてくれました。




 「ちょっと場所を移そうか」と彼に連れられて、まゆは昔何度も打ち合わせをした近所の喫茶店のカウンター席の上で懐かしい声に耳を傾けていました。

 流行のファッションの話ですとか、周りに出来た新しいお店のお話ですとか、業界の面白いお話ですとか。

 あの頃と同じような話題を、同じ空気で。

 それは、本当に心地よくて。

 この気持ちにずっと浸り続けて、もうほとんどが辛いことばかりのアイドルとしての生活のことは忘れてしまって。

 だって、ほんとうに地元の皆は優しくて。

 だって、プロデューサーさんが結婚してしまってからもう何も分からなくなってしまって、流されて、流されて、流されるがままここまで来てしまったまゆを、ここの場所はきっとまた優しく受け止めてくれる、そんな確信があって。

 戻りたい、あの頃に戻りたい。

 もちろん楽しいことばかりじゃなかったけど、それでもまゆの心の中を占めるのはそんな哀愁の気持ちばかりでした。

 そんなことが叶わないことは、ちゃんと分かっているんです。

 だって、あの時間を壊したのはまゆ自信ですから。

 まゆは知ってるんです。

 衝動的にプロデューサーさんを追いかけてから暫くして、一人、また一人と一緒に読者モデルの仲間達が業界を去ってしまったことを。

 そして、まゆが読者モデルをやっていた雑誌そのものも方向転換を重ねてあの頃のものとは全くの別物になってしまっていることを。

 それなのに彼は、まゆにこんなことを言ったのです。

「なあ、佐久間。 もう一度こっちに戻ってこないか」、と。

 二つの瞳が、じわりと熱くなるのを感じました。


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