未来を置き去りにしてバイトをする
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4:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 00:46:32.30 ID:RfngOxBK0
AIのおかげで,生活の質は向上したが,貧富の差は広がっている.

高性能な人工知能が職を独占し,能力のない人間が職を失う.

更に,人間に任せると人件費が嵩むこと,なにより効率が悪いという理由で雇用が減っているのだ.
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 00:49:42.51 ID:RfngOxBK0
それだから,実りの良い職が見つからず,身に染みるような貧乏に悩まされる人々が増えている.

この僕も御多分に漏れず,貴重な日々をバイトに費やしている.


6:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 00:58:59.53 ID:RfngOxBK0
 丑三つ時,長寿命LEDが街灯として道路を照らす一方で,使い古され茶色に変色した豆電球がちらつく六畳間に僕はいた.

布団の上であぐらをかき,座布団の上にあるものと向き合う.

それは眼鏡という視力矯正器具に載せられた電子端末である.人工知能も当然搭載されていて,名前はPAIと名付けた.
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:06:36.55 ID:RfngOxBK0
しかし,今この瞬間だけは,PAIから指先から凍えるような無機質な音声が,彼を人間たらしめていた.

「ユウマ,これから一か月以内に,この住まいを出る必要があります」

分かっていたことだろう.百地悠真.これはもう避けようのない事態なのだ.


8:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:19:26.18 ID:RfngOxBK0
僕の住む二階建てのアパートはどんな悪徳不動産でも見晴らしがよいとは言い難い場所に位置する.

大通りから走る細い小道を進んだ先にあるそれは,周囲をのっぽのビルに挟まれているせいで

窓ガラス越しにもビルの壁が押し迫っている.例えバイトで早起きしようと,美しい朝日など到底望むべくもない.
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:27:05.46 ID:RfngOxBK0
今思えば,駅から十分と近く,都市の中心部と郊外の狭間にあるここは,流通の便が良かった.

なにより,格安の家賃である.障子紙のない障子も味があるではないか.

家主の爺さんに,これこれそうした理由で此処が気に入っているどうにか賃貸を続けてはくれないかと
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage]
2018/03/01(木) 01:30:12.10 ID:qTYYvewA0
支援


11:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:36:14.54 ID:RfngOxBK0
未練たらたらにその訳を聞くと,どうにも爺さんは土地を売り払って,別嬪な家政婦型アンドロイドを購入するらしい.

なんと羨ましいことか.

僕は苦々しい思い出を噛み潰してから,PAIに返事する.
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:49:14.95 ID:RfngOxBK0
「引越に関しましては,今一度お考え下さい.この住居は国の記録によれば築200年を超えています.

先日,壁の一部が剥がれたことに加え,支柱の劣化も著しい.専門家の検分結果,退去命令が出されました」

淡々と事実を述べるPAIと対比するように,僕の表情が険しくなっていくのが分かる.
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 01:52:03.07 ID:RfngOxBK0
より優秀なPAIを持てば,他人よりも仕事ができると見なされる.

つまり,それを買うお金が全てなのだ.

それは今も昔も変わらない不変の事実.田舎から飛び出して,何か自分に合う仕事が見つかると希望に胸を膨らませていた僕への重い楔だ.
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2018/03/01(木) 16:05:48.58 ID:RfngOxBK0
僕は慌てて有り金をはたいて,PAIを買ったけれどあまり意味はなかった.

ピンからキリまであるPAI,学生上がりの僕が買えるものなんてたかが知れていた.


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