【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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19: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/14(金) 01:05:17.48 ID:DTY4fa360

 聞きたいことは山ほどある気がしたが、かける言葉が出てこない。
 見つめ合うことしばし、妙な沈黙が二人の間に降りた。

「「あの」」

「あ、すいません、お先にどうぞ」
「ああいや、大したことじゃないんで、そちらから先にどうぞ」
「いえ、私も……それほどのあれではありませんから、もしあれでしたらそちらから」
「別にそんな、あれってほどでもないんであれですけど、あれ? ああだから、まずは……」

「助けてくださって、ありがとうございます」
「いえいえ、大したこともできず」

 ぺこー。

 ……なんだこれ。いや、とりあえず礼でいいんだよな?

「……お礼を言うなら、こちらこそ。私を助けてようとしてくださったんですよね」
「いや、差し出がましい真似をしてしまったみたいで。まさかお飛びになるとは思わず」

 お飛びになるって日本語初めて使ったぞ。
 なんか順調に混乱してきてる気がする。


「ですから、お詫びというのではありませんが……」

 細く形のいい指が、お猪口をつまむ形を取る。

「この後、一杯奢らせていただけませんか?」

 綻ぶように笑む彼女の、左眼の下にある泣きぼくろが、不思議なほど印象に残った。




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