“らしくない私たち” に 祝福と喝采を
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10:名無しNIPPER[saga]
2019/07/01(月) 23:22:05.43 ID:j/IZGaDe0

───────────────────side:春日 未来

「──それは嘘ね」

「え……?」

 静かな中からズバッと投げられた一言。その一言はスゴいスピードで私の中に飛び込んできた。

「声にいつものハリがないし、妙に早口。笑顔も強ばってるわ……それに、ため息も多かったしね」

「……あう」

 結局、そんな私の空元気もアッサリ見破られちゃった。そりゃあ志保みたいに演技に自信ある方じゃないけどさ……。

「未来がどうして落ち込んでいるのか、私には分からない。だって……貴女から何も聞いていないもの。それじゃ分かりっこないわ。そうでしょう?」

「それは、確かにそうですけど……」

「ね? だから何があったのか、良ければ話してみて?これでも一応アイドルの先輩なんだし、何かアドバイスできる事があるかもしれないわ。それに、誰かに聞いてもらう──それだけでも結構心持ちが変わってくるものよ?」

「私もそうだったからわかるの。一人で抱えこんで抱えこんで、抱えこみすぎてどうしようもなくなっちゃった時、ただ話を聞いてもらうだけでどれだけ心が軽くなるのか……私には、よくわかってるの」

「──だから、ね?」

「千早さん……ありがとうございます」

 包みこんでくれるような優しい微笑みに、スッと入ってくる優しい声に、自然とお礼が込み上げてきた。さっきまでは、こんなに弱気な私なんて誰にも知られたくなかったのに、今は話してもいいのかなぁ、なんて思っちゃってる。不思議だなぁ、なんでなのかなぁ……。



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