8:名無しNIPPER[saga]
2019/12/06(金) 23:18:40.11 ID:o9kFpOMF0
眼が覚めたのは翌日の薄明の頃である。
メロスは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。
きょうは是非とも、あの王に「お前のなろう小説、テーマも背景も何を伝えたいかも全く分かんないし、キャラ全員キモいし、しょーもな!!」と言ってやろう。
その後、俺は笑ってセリヌンティウスの職場の炎上を見守ってやる。
メロスは、悠々と身仕度をはじめた。
雨も、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、とメロスは、ぶるんと両腕を大きく振って、雨中、矢の如く走り出そうとしたところ。
2名の警察官に声をかけられた。
私は、今宵、捕まる。捕まらないために、走るのだ。
身代りの友を救うためではなく、警官から逃げるために走るのだ。
なろう王のくだらないなろう小説を、悉くつまらないと罵るために走るのだ。
走らなければならぬ。
セリヌンティウスは(職場的に)殺されるけど、仕方ない。
なろう小説を批判する人々の名誉を守れ。
さらば、ニート生活。
若いメロスは、つらかった。
幾度か、警官が前に立ちふさがった。
えい、えいと大声挙げてひょっとこ踊りをし、頭がおかしいフリをしてなんとか逃げた。
パリピの家を出て、線路を横切り、女子高の更衣室をくぐり抜け、家の近くに着いた頃には、雨も止やみ、日は高く昇って、そろそろ指名手配されて来た。
メロスは額の汗をこぶしで払い、ここまで来れば大丈夫、もはや今世への未練は無い。
妹は、きっと尊いストーカーになってフラれるだろう。
私には、いま、なんの気がかりも無い筈だ。
まっすぐに家に行き着いて、Twitterアカウントを消して逃げれば、それでよいのだ。そんなに急ぐ必要も無い。
ゆっくり歩こう、とメロスは持ちまえの呑気さを取り返し、好きなアイドルアニメの小歌(スノーハレーション)を汚い声で歌い出した。
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