小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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10: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 00:23:56.50 ID:nY0iWbpOO
「私は……ちょっとだけ、期待していることがあるんです」

「うん?」

「昔の話なんですけどね。おばあちゃんの家に遊びにいった時、話してもらったんです。18歳になったおばあちゃんが体験した、不思議なお話ーー。その物語には少し年上の男の人と女の人が出てくるんですけど……摩訶不思議で愉快なお話だってんです。だから私にも、不思議な出来事が起きないかなって。ちょっぴり、期待してます」

 今でも美穂は寝る前にファンタジー小説なんかを読むことがあるらしい。それはもしかしたら、幼少期のおばあちゃんの話を聞いた影響なのかもな。

「っと、そろそろいかなきゃだな。じゃあ美穂、俺は加蓮を迎えにいくよ」

「はい。ありがとうございました」

 レッスンルームを出てその足でアクセルを踏んで撮影スタジオまで向かう。クリスマスまで10日を切った街はあちらもこちらも浮かれ切っており道頓堀に投げられたあのおじさんもサンタ衣装。夜になれば並木通りにはイルミネーションの色とりどりの光が非日常を演出する。サンタクロースの正体を知って10年以上経ってるのにこの時期が訪れると無条件に楽しい気持ちになってくる。もしかしたらまだ、内心サンタさんがプレゼントくれることを願ってるのかな。



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