もしもし、そこの加蓮さん。
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27:名無しNIPPER[saga]
2020/04/26(日) 23:50:42.92 ID:DTyxDqAB0

 ◇ ◇ ◆


ポテト全サイズ百五十円。


終業の挨拶とほぼ同時に携帯電話の画面上にポップアップしたその広告は、
稲妻と化して加蓮の脳天へ勢い良く突き刺さりました。

奇しくも帰りにポテろうかなとぼんやり考えていた矢先の出来事です。
もはや加蓮の歩みを止める事など誰にも叶いません。
友人からの言葉に自分でも何だかよく分かっていない生返事を投げ返しつつ、
机の中身を物凄く無造作に鞄へ放り込んでいきます。


加蓮はアイスとポテトと甘いココアを愛する女の子でした。
健康に悪い物ほど美味しい。彼女はそう信じて止みません。
女の子として最低限のラインを―
―この場合はもっぱらウェストラインを指しますが―
―守りつつも、楽しむ時はとことん楽しんでやろうと、
そう割り切れる女の子だったのです、彼女は。

もちろん、彼女は高校生になったばかりですから、
お小遣いにはどうしたって限りがあります。

ただ、最近は映画の方も何となくご無沙汰でしたし、
財布は夏の陽射しへ張り合うかのように熱を溜め込んでいます。


ポケットの中の小さなエンジンに釣られるかの如く。
上機嫌な加蓮の足取りは、
愚直なほどまっすぐにハンバーガーチェーン店へと吸い込まれてゆくのでした。


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