高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/08(土) 19:04:47.88 ID:b+VIQ/E60
「あ、いっけない!」
しばらく談笑を続けていた私たちに出来た、ほんの隙間。あずきちゃんが腕時計をふと見てからそう叫んだ。
「どうしたのです、あずき殿?」
「もうこんな時間だよ!いつの間にこんなに時間がたってたんだろう?」
あずきちゃんが時計を見せる。短針が12の文字を少し越していた。
「なんと!もうそんな時間だったのですか」
あやめちゃんが時計を見て驚く。
「わたし、今日午後からあずささんのコーチングがあるんだった」
「わたくしも、この後アーニャさんに教わるんでした!」
二人とも慌てたような様子を見せる。そんな中、あずきちゃんは急にぴたりと動きを止めて、身体を私の方に向けた。そして、手をずいと差し出してきた。
「藍子ちゃん!」
「は、はい」
私は差し出された手を握り返した。すると、あずきちゃんはぶんぶんと腕を振った。
「あずきたち、今日から友達、だね!」
あずきちゃんはそう言って、ニカッっと笑った。
「……はい!」
私もつられて笑顔になる。
「あ、わたくしとも握手ですよ!藍子殿」
「うん。もちろん」
あやめちゃんとも握手を交わす。
「じゃあ、また明日!」
そう言って、あずきちゃんとあやめちゃんは漕いできたゴンドラに乗り込み、さっき通った道を漕いでいってしまった。
私は、そんな二人の背中を見つめながら、「また明日」という言葉をかみしめた。
「また明日、かぁ……」
その言葉は、私の心の中に広がっていって、なんだかとてもやさしいあたたかさに変わっていった。
「あ、私も練習しないと」
しばらく二人の余韻を感じていたけれど、ふと我に返って思い出した。机の下でお昼寝をしていたアリア社長を起こす。
「お待たせしました、アリア社長。ARIAカンパニーに帰りますよ」
「……にゅ?」
寝惚けまなこをこすりながら、返事をするアリア社長。私はアリア社長が起きるのを待ってから、ゴンドラに乗り込んだ。
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