3:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/30(火) 22:11:46.83 ID:sYBNk+YYO
「義務教育なんて必要ない私が学校に通って、えこひいきやコネ眼鏡やケンケンや鈴原なんかと騒いで、ほんと馬鹿みたいだったわ」
式波は写真や録画に自分が映ることを極端に嫌う節がある。思い出に囚われたくないのだろう。しかし、それが生きるということだ。
忘れたくても、忘れられないこともある。
どんなに忘れたふりをしても、思い出す。
忘れたくても、忘れられない人が、居る。
「大丈夫。碇はきっと帰ってくるよ」
生憎の雨で衛星軌道上の同級生の姿を視認することは出来ないけど、碇も生きている。
人を捨てようが、神になろうが、碇は碇で、俺とトウジの友達で、そして式波にとって。
「式波が迎えに行ってやればいい」
「なんで、アタシが……」
「今にも殴りたそうな顔をしてるから」
「もちろん、ぶん殴ってやるわ」
仲が悪いんだか、良いんだか。いや、仲は良かったのだろう。少なくとも、人と関わるのが下手な式波にしては頑張ったほうだろう。
「ケンケンはそれでいいわけ?」
ジト目で尋ねられて返答に窮する。参った。
「これは式波の問題だからな」
結局、いつも通り、何でもかんでも甘やかさないというスタンスで一歩距離を置く。
そうすることが正解であると経験していた。
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