式波・アスカ・ラングレー「忘れられない人」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/30(火) 22:15:57.99 ID:sYBNk+YYO
「もしも碇が帰って来たらさ」

懲りずに話を続ける俺に式波は不機嫌そうな視線で抗議つつも、黙って聞いてくれた。

「ちゃんと自分の気持ちを伝えるんだぞ」
「はあ?」

何言ってんだコイツみたいな顔をして式波は俺を睨む。俺も睨み返すように見つめた。
しばらく睨めっこを続けて、式波が折れた。

「ケンケンは人の世話を焼きすぎ」
「控えてるつもりなんだけどなぁ」
「アイツが帰ってきたらこの家に泊めたりしそう。マジでやめてよね。冗談じゃなく」

式波がなんと言おうが、帰ってきた碇に居場所がないようなら俺は泊める。友達だから。

「碇は良い奴だよ」

式波のワンダー・スワンを拾いあげて、それをピコピコやりながら、14年前のまるで夢のような日常を思い返す。忘れられない記憶。

「あの時、俺たちはまだ子供で、それでも碇はエヴァに乗って戦っていた。もちろん式波も、綾波さんも、あと真希波さんは……ちょっと違うかな。とはいえ、俺やトウジはそれをただ見ているだけしか出来なくて、子供だから仕方がないなんて言い訳は通用しなくて、だからすごいって思った。すごすぎるって思った。たぶんそれは他の誰にも出来ないことで、碇だからこそ、碇がニアサーを起こしたからこそ、俺たちはきっと生き延びたんだって、俺はそう信じてる」

ゲーム・オーバーと画面に表示されて、つくづく自分にパイロットとしての資質が欠けているのだと思い知らされて、電源を切った。


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