6:名無しNIPPER[sage saga]
2021/03/30(火) 22:17:29.02 ID:sYBNk+YYO
「ケンケンはアイツに甘すぎ」
ワンダー・スワンを引ったくって、電源を入れてピコピコやりながら式波は少し黙って。
「アイツには叱ってやる人が必要なのよ」
その言葉には明確な優しさが含まれていて、少々嫉妬を覚えた。碇。お前は罪な男だよ。
「だけど、叱りすぎるのは可哀想だ」
「ふん。自業自得でしょ」
「式波だって叱られるのは苦手だろ?」
「アタシは叱られるようなことしてない」
「ゲームは1日1時間」
「うぐっ!? もう寝る!!」
珍しく小言を口にすると、これまた珍しく式波は素直に電源を切って横になり、寝たふりを敢行する。しかし、彼女は眠れないのだ。
「我慢せずにゲームすれば?」
「ケンケンは甘すぎ」
「甘やかしてるつもりはないけどなぁ」
俺はただ、こうして式波と軽口を叩き合うだけで幸せなんだ。この世界が続く限り。
明日、世界が終わったとしても後悔しないように、ただそれだけを考えて、生きている。
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