堀裕子「ぴーぴーかんかん?」
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8:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 17:44:14.13 ID:YBAOIjLn0
多分だけれども。彼女に言わせればこれがテレパシーってやつなのかもしれない。根拠はないけれどもそう思う。
「よし」
握りっぱなしだったスマホをポケットに仕舞ってから扉を開け

「あっ! イツキさん!」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 17:45:23.02 ID:YBAOIjLn0
帰ったら続き投下します


10:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:45:15.38 ID:YBAOIjLn0
2.四月


この図書室に入り浸るようになった理由と言うか、彼女と話すきっかけになったのは
それは俺がこの図書室の鍵を持っているから。と言う案外単純な理由に落ち着くんじゃないかと思う。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:47:14.98 ID:YBAOIjLn0
そもそも俺らの高校には図書司書と呼ばれる存在が居ない。
いや居ないと一口に言ってしまうのは違うし、正確には存在しているけれど今は名義だけの存在で
腰をいわして絶対安静中という深い理由があるのだけれど、
深堀して話をする内容でもないし、教育法だとか何かに引っかかってしまいそうなのでここでは割愛させて頂く

以下略 AAS



12:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:48:52.23 ID:YBAOIjLn0
いくら旧校舎の図書館で全く人が来ないからと言って、面倒なことをわざわざ請け負う人間も居なくて
その結果が前述したジャンケン大会と言うある種の責任の押し付け合いみたいな事態になってしまっている訳だ。

まぁ、それで激闘の末に栄えある図書委員長と言う大層な称号を請け負ってしまった俺は
一週間に一度、図書室の掃除を行うという役割と共に、代わりの価値にもならない図書室の鍵を手に入れることになった。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:50:32.24 ID:YBAOIjLn0
ある日、俺がいつもみたいに「やりたくないなぁ」だとか「面倒だなぁ」とか
そう言う人間なら誰でも抱えたことがあるだろう、その怠惰的な気持ちを抑えながら図書館に向かう廊下を歩いていると
今はもう誰も使っていない古ぼけた教室、その中に彼女は椅子に座って片手でスプーンを握りしめてそこに居た。

こんな事を言ってしまうもなんだけれども初めは幽霊なのかもしれないのだと思えた。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:51:08.45 ID:YBAOIjLn0
せいぜい迷い込んだ野良猫がたまに顔を見せるぐらいだ。
それに教室の窓越しから見える彼女の白い肌は窓越しに射す夕日に照らされて
まるでこの世の物だと思えないぐらいの儚さだとか、綺麗さだとか、切なさだとか、そう言った物を心のどこかに感じさせていた。


15:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:52:27.43 ID:YBAOIjLn0
一分にも、五分にも、あるいは十分にも感じられるような、そんなオレンジ色の世界の中で先にはっと気づいたのは俺の方だった。
一応程度にドアをノックしてから教室の扉に手を伸ばす。
思っていたたよりも少しだけ重かったドアはガラっと軋むような鈍い音を立てて開いた。
教室の真ん中に居る彼女は、突然来訪した俺の事なんか気づいてもいないみたいに瞳を閉じている。


16:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:53:27.32 ID:YBAOIjLn0
「何してんの?」
俺が彼女に初めて話しかけた時の、乾いた喉から出た言葉はそんな言葉だったと思う。
「むむ……ちょっと待ってください! もう少しで行けそうな気がするので!」
彼女はそう言って先の割れたスプーンを握りしめていた。
これが俺らのファーストコンタクトだった。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER
2021/06/23(水) 22:54:59.84 ID:YBAOIjLn0
「むむ……サイキック不調ですかね……夕日の力を借りてスプーン曲げに挑む作戦は悪くないと思えたんですが……あ、ところでどなた様でしょうか?」
「あ、えっと俺の名前はイツキ、樹木の樹って書いてイツキ」
「成程イツキさんですか! いいお名前ですね! 私の名前は堀裕子! サイキッカーです!」
「あぁ……なるほどサイキッカー……」

以下略 AAS



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