過去ログ - 美琴「私が一万人以上殺した、殺人者でも?」
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[saga sage]
2011/03/26(土) 14:25:40.67 ID:X5AOPpqso
「ええいっ、ちくしょう不幸だっ、不幸過ぎますーっ!」
上条当麻は街灯が薄暗く足元を照らす通りを全力疾走で駆け抜けながら叫び声を上げた。
ガサガサとやかましい音を立ててぶん回される買い物袋の中身は、最早そのままミキサーにでも掛けて怪しげな健康ドリンクにでもしてしまった方がマシな程度にぐちゃぐちゃに攪拌されている事だろう。
「くそっ、残り八人……? こんだけ走って二人しか引き離せてないのかよっ! ええいもうっ!」
不幸の塊としては珍しく何の障害も妨害も無く行きつけの商店に辿り着き、リーズナブルな食材を満足行くまで購入する事が出来たから、機嫌よく鼻歌なんぞを歌いながらの帰り道。
ふと目をやれば建物の陰に男三人に囲まれた見覚えのある少女が居たのをスルーしていればこんな事にはならなかった。
しかしその時の上条は機嫌が良かった為、可憐な容姿ではあるが明らかに見た目も中身も子供な女の子に粉をかけるような哀れな男達を救済すべく、その集団の中へと踏み込んでしまったのだ。
辺りは大通り沿いとはいえ夜も遅く一般人の通行も減り、道の両脇にろくでもない格好をした不良とホームレスがちらほら点在するのみ……と高をくくっていたのも大きな誤りだった。
その集団に声をかけ、軽く説教でも始めようかと思った矢先、遠巻きにたむろっていた、一見無関係と思われる不良の塊がすっくと立ち上がり、こちらを囲むように歩み寄ってきたのだ。
二〜三人の塊が、一つ、二つ、三つ――合計十人に囲まれた私上条当麻が取った選択肢。
すなわち、全力で逃走。
「なんで俺がこんな目にーっ! 不幸だあああああああっ!!」
叫び声は空しく路地に響き渡り、薄霧に包まれた虚空へと吸い込まれていった。
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