14:第一話 『新鮮緑豆もやし200g 前編』[sage saga]
2011/12/04(日) 03:52:12.09 ID:AzEYozbn0
どうやら、白米の方にもガーリックの味を染み込ませているようである。
それとは別に、から揚げの衣から出たニンニクが絡んだ肉汁も染み込み、
噛むほどに、ニンニクと鶏の――さっきとはまた違ったマイルドな旨みが口いっぱいに広がった。
おそらく、脇に盛り付けられた野菜は口直しのために、少し甘めの味付けになっているのだろう。
ニンニク弁当という名に相応しい、まさに徹底されたニンニク攻勢。
文句があるとすれば、これをお腹一杯食べれないという事くらいだろうか。
仕送りが入ったら、この弁当を真っ先に取ってお腹一杯食べよう。そう腹の虫に誓った。
「よしっ。お腹一杯になったし、佐藤! 先にシャワー浴びてこいよ!」
「いや逆だろ普通」
そもそも、僕はいまだに空腹だ。腹の虫がニンニクのおかげで更に活性化して、胃の奥で大合唱しているというに。
「何なら一緒に入る?」
「……――いや。先に入る」
決して、僕は悩んでいたわけじゃない。予期せぬ言葉に頭が付いていかなくなって、フリーズしていただけだ。
断じて悩んでいたわけではない。ほんの少しだけ、久しぶりに一緒に入ってもいいかな等と思っていたわけでもない。
目の前に居る女の子に――たとえ幼馴染であろうが、従姉妹であろうが「一緒にお風呂入ろっ」等と言われて、迷わない男なんて居ない。
僕はむしろ煩悩に打ち勝ったのだから誇ってもいいレベルじゃないだろうか。
そうだ。僕は、変態ではなく紳士であり先輩一筋なのだ。こんな誘惑に負けるわけにはいかない。
そこまで考えて、ふと重大な事実に気付いてしまった。
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