過去ログ - 氷菓に不満があったのでSSを作ってみた。
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/05/24(木) 23:04:21.07 ID:KdslAUbA0
「こら、単独行動は、危ないって」
「あ、奉太郎さん。ビデオの海藤さんが死んでいた場所を早く確かめたくて」
 ホール内も乱雑な物だった。アルミサッシが積んであって、一部は派手にガラスが割れてるし。

「とりあえず、俺とえるは、ホールをチェックしてみるよ。里志たちは通路とか外回りを見てきて
くれないか?」
「判った。何かあるといけないから、1時間後にこのホールに集合しよう」
「ああ、その方がいいな」里志たちは、ホールから出て行った。

 出入り口が左右に2つ、正面に1つあって、右奥のドアが開いてビデオのラストで光が見えたんだろうな。
「わたし、気になるんです。何故、海藤さんはホール中央で倒れていたんでしょう?」
「俺もそれは疑問に思った。誰かに殺害されたなら、殺害後、目撃されることを恐れて、壁沿いとか
逃走しやすい場所にするよな」

 えるは、ふらふらと歩き回り、天井から下がっているロープにつかまろうとぴょんぴょんしていた。
 その様子に俺も気になり、えるでは届かなかったロープは俺の身長だとラクに届く長さだ。

 ロープの上を見るとレールがあって、舞台上まで繋がっているようだった。俺はロープを引っ張って、
舞台上まで上がって考えた。いつのまにか、えるも隣に座っていて、

「やっぱり、このロープが怪しいですよね、奉太郎さん」
「ああ。今、考えているのは無邪気さと単純さの両方なんだが…」

 ホール入り口から里志と摩耶花が入ってきて、舞台上まで上がって来た。
「おーい、ホータロー、何やってるんだ?」
「あのさ、里志、このロープにつかまってターザンみたいに向こうへ跳んでみてくれないか?」
「えっ?面白そうだから、やってみるよ。いっくぞー!」

 里志は、ロープにつかまり、助走を付けてびゅんと宙を飛び、中央付近に積んである資材にかすって
レールが中央で止まっているのでロープがふり戻って、里志は、ずるずると落ちた。

「あっぶねー、なんだアレ、アルミサッシ?すれすれだったよ」
「ちょっと、奉太郎、里志になんてことさせるのよ!」

 摩耶花に睨まれてしまった。

「いや、俺の推理だと海藤先輩が里志がぶつかる予定の場所で派手にぶつかった筈だから、当たらない
だろうと思ってさ、済まんな、里志」
「どういうことなんだ?ホータロー」
 里志を少し怒らせてしまったようで険悪な表情だ。

「通路や外回りは、特にめぼしいところ無かったろう?」
「ああ。僕の見た限りでは、資料通りに窓は雪害対策で打ち付けてあるし、使えない部屋が多かったよ」
「あたしが見たところ、何か仕掛けとか工作したような所も無かったわ」
「奉太郎さん、どんな推理が出来上がったんですか?」

「事故と殺害の両面がありそうだなってさ。単純に事故の場合、ガタイが良くて体育会系の海藤先輩なら、
さっきの里志みたいにターザンのまねごとがしたくなってもおかしくない」
「そういえば、資料のノートに丈夫なロープってありましたね。あ、ロープが途中でつないであるから
それに使ったのかしら」
 えるが補足してくれた。


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