過去ログ - ブギーポップ・クロス 〜ネオンライトのガラス玉〜
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1: ◆qXEKQweJllf.[saga]
2012/06/04(月) 01:55:06.42 ID:ZOyFKUWno

〜〜〜

死に至る病。
それを発病させるのは簡単だ。
絶対的な評価を常に下される環境に放り込んでやれば良い。
その環境下で高い評価を受けられるものが、そうでないもの達の間に無意識に、あるいは無感情に、その病を蔓延させるだろう。
もう一つ、絶対的な管理を一方的に下される箱庭に投げ込むのもいいかもしれない。
その中では被管理者は感情を徐々に失い、生きる希望、活力を亡くして行くだろう。
それは、死に至る病、つまり絶望を増長させる。
高い能力を持ったものは、意識の外側で自分のそばにいる存在を緩やかに絶望させ、死に追い込む病そのものだと言ってもいいかもしれない。
そしてそれは、淘汰と呼ばれ正当化される。
自分に適合した環境から少し外れただけで、人間は死に至る病に侵されて行くのだ。
能力こそが全て、その認識は文明を発達させるだろうが、同時に文明自体を穏やかに殺している。
では、もしもそのような環境下に置かれたら、人はどうすれば良いのだろうか。
―― 答えは簡単だ。誇り、自尊心、尊厳、全てを捨てて僅かに見える希望だけを這いつくばってでも追えば良いのである。
死に至る病が蔓延している中には、同時にその病の特効薬も大なり小なり転がっているのである。
それに気づけば、その環境下から抜け出す事が出来るであろう。
そして、抜け出したものは、今度は自分が死に至る病をばらまく病原菌となるだ。

霧間誠一『人を壊す物』

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