過去ログ - もし一方通行の精神が脆弱だったら
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)[sumiyamagenki@live.jp]
2012/11/11(日) 12:09:52.32 ID:G6ODWudA0
「ねぇ、なんの本読んでんの?」

小学校の図書館で、一人の活発な少年が、一人の白い少年に話かけた。

白い少年は何もいわず、黙って本の表紙を見せた。

「いくなんべくとるとべくとる空間?なんだこりゃ」
            
「……いくなんじゃなくて幾何。幾何ベクトルとベクトル空間」

「へぇ〜。難しい本読んでんだな」

「……ぼくの能力に関係することだから」

「そのいくなんってのがか?」

「……いくなんじゃなくてき――」

「変な能力だなぁ〜」

「……」

「ところでさ、お前っていつもみんなと違うクラスにいるやつだよな」

「う、うん」

「いつも一人でさみしくないか?」

「え?……」

「いやほら、校庭で遊んでるとたまに見掛けるんだよ。たった一人の教室で、窓越しにこちらを見てるお前が」

「……」

「あとちょっとしたらみんなで野球やるつもりなんだけど、人数一人足んなくてさ。一緒にやんね?」

「……やったことないよ」

「じゃあ俺が教えるって」

「……」

白い少年は少しの間、手に持った本の表紙を見つめていた。

「……わかった」

「うし!じゃあ5分後に校庭な!」

そういうと、活発な少年は慌ただしく図書館から出て行ってしまった。

「……」

白い少年は少しの間、彼の背中を見つめていた。

「…ありがとう」



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