過去ログ - 渋谷凛「トライアド・プリムス、だよ」
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2013/07/30(火) 01:58:46.61 ID:3wCjAt0P0
――――春、渋谷、東急口、日陰
渋谷凛(・・・ふぅ。)
凛(中学に比べるとだいぶ、高校は自由になった、かな)ケイタイポチポチ・・・
凛(校則もそんなにうるさくないし、門限も遅くしてもらったし・・・)ポチポチ・・・
凛(ピアスして、制服着て、渋谷に遊びに来て・・・。なんていうか、普通にJKしてるな。)LINE ソウシン
凛(・・・うん。これこれ。これが私が求めてたものだよ。大人の目なんか気にしなくていい、そんな生活)キドク ポチポチ・・・
凛(・・・けど、ひとりで遊びに来ちゃったのはちょっとマズかったかな。)ケイタイポチポチ・・・
スカウト「すみません、CGプロのPというものなのですが、ちょっとお話よろしいでしょうか?」
凛(・・・こういうのがくるから。)ケイタイシマイ。
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2013/07/30(火) 01:59:19.87 ID:3wCjAt0P0
凛「・・・何か用ですか。」
スカウト「単刀直入に・・・、アイドルに興味はお有りですか?」
凛「・・・はぁ?いいえ、とくには」
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2013/07/30(火) 01:59:56.92 ID:3wCjAt0P0
スカウト「そうです。我々CGプロは新規参入の事務所ですから・・・あなたを私たちのアイドル一号、ひいてはシンデレラガール、第一号にしようと。」
凛「そんな買いかぶられても、困ります。」
スカウト「いいえ、あなたには十分その素質があります。お気づきでないかもしれませんが、あなたはたぐいまれなる美貌をお持ちなのですよ?」
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2013/07/30(火) 02:00:42.36 ID:3wCjAt0P0
――――春、都立高校、入学式当日
凛(私は、勉強はしっかりするタイプ。見た目通りの不真面目に思われるなんて、なんか悔しい。)
凛(だから、第一志望のためにはしっかり勉強して・・・自分を高めて・・・見事合格して・・・)
以下略
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2013/07/30(火) 02:01:15.85 ID:3wCjAt0P0
凛「・・・ん。ふーん、なかなかカワイイじゃん。グーフィー?」
A「そ、そうです・・・。意外ですか・・・?」
凛「ふふ。そういう訳じゃないよ。というか、Aさんだっけ?私もAって呼ぶから、あなたも凛って呼んでよ。同級生なんだし、さ、ため口で、ね」
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2013/07/30(火) 02:01:43.55 ID:3wCjAt0P0
凛「・・・でも、同じように、ってか、単純だから、純粋なんだな、って」
凛「世の中のこういうキャラってさ、目がおっきくて、鼻がなくって、すごく単純にデフォルメされてるでしょ?」
凛「そうやって、余計なモノがなくなって・・・」
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2013/07/30(火) 02:02:33.17 ID:3wCjAt0P0
A「あれ?どうしたの?なんか変なこと言っちゃった?ごめんね?」
凛「ううん、なんでもないよ。・・・ちょっと、自分の顔のこと言われるの、あんまり慣れてないだけ。」
A「・・・でも」
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2013/07/30(火) 02:03:09.51 ID:3wCjAt0P0
A「・・・ねぇ、どうしたの?ほおづえなんかついちゃって・・・」
凛「・・・ん、いや、なんでもない、ちょっとだけ、考えごt」
生徒B「り、凛ちゃん、さん!!」
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2013/07/30(火) 02:03:40.16 ID:3wCjAt0P0
――――再び、渋谷駅東急口、日陰にて
凛(ホント、AかBでも、ムリにでも呼んでおけばよかったかな・・・今日は二人で遊ぶとか言ってたけど、渋谷で合流したって別に・・・)
スカウト「・・・あの、お嬢さん。」タチハダカリッ!
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2013/07/30(火) 02:04:08.59 ID:3wCjAt0P0
スカウト「・・・携帯電話。なんでスカウトに時間をとられて、急いで待ち合わせ場所に向かわなければならない人が、携帯で時刻を確認したり、連絡を確認したりしないんですか?」
スカウト「それに、向かったのは代官山方面。ハチ公口は正反対です。友達と待ち合わせするような場所なんか、ありませんよね?」
スカウト「あと、あなたは日陰の壁に背中を預けて、ずうっとスマホをいじっていましたが・・・それはどうみても、そこでの待ち合わせか、単なる暇つぶし。」
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2013/07/30(火) 02:04:39.27 ID:3wCjAt0P0
凛「へえ。なんでそんな一流の会社が、今更アイドルなんてやくざな商売に手を出すんですか?」
スカウト「・・・興味、もってくれてるんですか?」
凛「暇つぶしだから・・・ね。」
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2013/07/30(火) 02:05:13.87 ID:3wCjAt0P0
――――ちょっとして、渋谷楽器街周辺、代官山とのあいだ、しずかな、白が基調のカフェ
スカウト「・・・ですから、バックアップ体制も万全であり、タレントはまだおらずとも、ノウハウを持った事務員なども配置しておりまして・・・」
凛「あ、こちら。アプリコットです。どうもありがとうございます。」
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2013/07/30(火) 02:05:41.85 ID:3wCjAt0P0
凛「・・・で?」
スカウト「要するに。わた、僕達・・・俺達に全部任せて、思いっきりやれば、必ず成功する、ってこと。保証、だよ。」
凛「どうしてそんなことが言えるの?会ったばかりで」
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2013/07/30(火) 02:06:22.11 ID:3wCjAt0P0
凛「・・・はじめて?」
スカウト「いや、スカウトとして、とかじゃなくて、生きてきて、さ。はじめてこういう目をする人がいるんだな、って。」
スカウト「俺もこの業界に入って、もちろん、浅いからなんとも言えないんだけど、たぶん芸能界でもこんな目をした人はいない」
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2013/07/30(火) 02:06:47.74 ID:3wCjAt0P0
スカウト「・・・だから、まあ、ちょっとわかりやすかったよ。」
凛「・・・ん?誉められてたんじゃなかったの、私、っていうか質問に・・・」
スカウト「誉められるの、苦手だろ。」
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2013/07/30(火) 02:07:13.40 ID:3wCjAt0P0
スカウト「で、さ、とうぜん君は、自分の顔の良さだって自覚してると思うんだよね」
スカウト「でもそれは、自分の努力で手に入れたものじゃない。勝手に生まれ持ったものだ、って思ってる。」
スカウト「むしろそんなのを誉められても、嬉しくない。本当の私を見てないじゃん!・・・そんなとこだろ」
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2013/07/30(火) 02:07:41.64 ID:3wCjAt0P0
スカウト「・・・口ぶりから見て、スカウトされ慣れてるのははっきりとわかった」
スカウト「けど、適当に応対するんじゃなくて。スマホもしまい、相手の目を見てはっきりと断るんだ。」
スカウト「私は顔だけの女じゃありません、顔だけで生きようとする女でもありません、とでも言うかのように。」
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2013/07/30(火) 02:08:33.22 ID:3wCjAt0P0
凛「・・・それで、なに?目や声を聞いた時の、私が自信、なり、確信がある人だという予感」
凛「っていうのを、話してみて、そっちが確信しちゃった、って訳?」
凛「・・・すごいね。きっとアンタのスカウトは天職、だよ」
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2013/07/30(火) 02:09:02.91 ID:3wCjAt0P0
スカウト「そして、その顔にあわせて、衣装を着せる。その顔にあわせて、曲もつくる。その顔に合わせた仕事をする。」
スカウト「そうして、顔はひとびとの"イメージ"になってゆく。その戦略、未来を作り出すのは俺達、そして・・・」
スカウト「・・・今更だけど、君の名前を聞いてなかった、ね。お名前は?」
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2013/07/30(火) 02:09:55.14 ID:3wCjAt0P0
スカウト「やれるんだな。後戻りなんかさせないぞ、後戻りしたら渋谷凛、が粉々にぶっ壊れるぞ。」
凛「わかってる。」
スカウト「今日みたいに平然と渋谷をぶらぶらしたりするのも難しくなるぞ、平和な日常とはすこしの長いお別れだ。」
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2013/07/30(火) 02:10:23.38 ID:3wCjAt0P0
――――春、渋谷、CGプロにて
凛「・・・失礼します。」
千川ちひろ「あ、いらっしゃい。渋谷、凛ちゃんね?待ってましたよ。」
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