1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/10(木) 23:02:21.96 ID:YQ6hGnpPo
小高い丘の上。
少し肌寒い夜の空気は透き通るようで。
目線より少しだけ高い遠くの空に輝く星。
そして、見上げれば頭上にも星がキラキラと。
まるで星の降る音や、地球の鼓動が聞こえそうな程の静寂。
しじまの向こうから、少しだけ聞こえた木々のざわめき。
しばらくして風が頬を撫でる。
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:03:15.95 ID:YQ6hGnpPo
「ねえ、響……? 口を開きっ放しだと虫が入ってくるよ?」
雰囲気をぶち壊す美希のその一言に目を側めて口を尖らす。
もう。せっかく浸っていたのに。
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2013/10/10(木) 23:04:04.46 ID:YQ6hGnpPo
「二人とも、お待たせしてすいません。もうしばらくお待ち願います」
プロデューサーと望遠鏡の準備をしていた貴音が申し訳無さそうに頭を下げる。
貴音が謝ることなんか無いのに。
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2013/10/10(木) 23:05:10.42 ID:YQ6hGnpPo
「よし、セッティング完了。後は貴音に任せて大丈夫か?」
望遠鏡を組み終えたプロデューサーが立ち上がると、貴音が望遠鏡を覗き込む。
何か、ツマミを回して調整をしてるみたい。
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2013/10/10(木) 23:06:02.09 ID:YQ6hGnpPo
ことの発端は今日の昼過ぎ。
プロジェクトフェアリーの企画打ち合わせ中のこと──────。
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2013/10/10(木) 23:06:50.43 ID:YQ6hGnpPo
「ミキ的には、キラキラして派手なライブ?」
うん? ライブっていつもキラキラしてないか?
そもそも、なんで疑問系なんだ?
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2013/10/10(木) 23:07:28.31 ID:YQ6hGnpPo
そのイメージに手応えを感じ、立ち上がりながらガッツポーズ。
座っていたパイプ椅子が、ガチャンと悲鳴を上げたけど気にしない。
…………あれ? 周りを見ると、みんなのリアクションはバラバラ。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:08:22.29 ID:YQ6hGnpPo
「……冬の大三角、ですね?」
貴音の言葉にぱっと顔を上げたものの……ダイ、サンカク?
よく分からないけど、貴音の呟きにプロデューサーが眼鏡を上げる。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:10:17.02 ID:YQ6hGnpPo
「だから、フェアリーは三人だろ?」
「うん」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:11:13.06 ID:YQ6hGnpPo
「それで、その三つの一等星を線で結んだのが冬の大三角な」
「なんでそれで星を見に行くの?」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:11:44.96 ID:YQ6hGnpPo
三人は出かける準備しててくれ。
そう言い残し、プロデューサーは逃げるように会議室を出て行った。
会話中、貴音はずっと黙ってたけど知ってたのかな?
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:13:16.95 ID:YQ6hGnpPo
「響はまるで、シリウスのようですね」
「シリウス?」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:13:57.66 ID:YQ6hGnpPo
光り輝くもの……貴音に言われるとなんだか、こそばゆい。
あと、なんでカタカナと平仮名が混じったようなしゃべり方なんだろ。
「あっ、でもさ? 青星なら千早の方が合ってない?」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:14:57.86 ID:YQ6hGnpPo
「響も良く目にしているはずですよ。ほら、横断歩道の向こう側に……」
あっ……信号機の青か。 それなら確かに自分のイメージカラーに似てるかも。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:15:32.89 ID:YQ6hGnpPo
「……ふふっ。まこと響は愛らしいですね」
「もうっ! からかわないでよ」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:16:10.24 ID:YQ6hGnpPo
二人で笑いながら、ぼんやりと未だ見ぬシリウスに親近感を寄せる。
何光年の距離もなんのその……なんて。
ふふっ。だんだん楽しみになってきたかも。 だって、フェアリーで天体観測なんかしたこと無いし。
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:17:20.47 ID:YQ6hGnpPo
都会の喧騒を避けるように車で三時間。
すっかり日の落ちた森林公園の中、荷物を抱えてみんなで歩いていた。
「よしこの辺で良いだろう」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:17:53.35 ID:YQ6hGnpPo
「なんか……ずんぐりだな」
「ミキが思ってたのよりもだいぶ短いの」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:18:45.81 ID:YQ6hGnpPo
「これは……カタディオプトリック方式……洗練された美しい造詣ですね」
「おお流石、貴音は分かってくれるか!」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:19:45.85 ID:YQ6hGnpPo
「最近では反射式や、屈折反射式が熟練者の主流になってきていますね」
「ふーん、こんなのでもちゃんと見れるのか」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/10(木) 23:20:56.19 ID:YQ6hGnpPo
目線を下げれば、星の輝きよりも小さく見える街の光。
星空を見上げて首が疲れたら遠くの夜景を見下ろす。
それを何回か繰り返した頃、美希に突然話しかけられた。
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