過去ログ - GOSICK ～From Manchuria with Love【SS】 -SS速報VIP

過去ログ - GOSICK ～From Manchuria with Love【SS】

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1: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/13(日) 04:36:25.75 ID:NGHhwzgpO
小説「GOSICK」の二次創作です。
作中の時系列で行くと原作2期、ニューヨーク編のものとなります。

・地の文多め
・都合上無理のある設定の改変
・超絶亀更新

以上の点にご注意ください。

また、この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。

SSWiki : ss.vip2ch.com

2: ◆plZ0A1BUbA[saga sage]
2015/09/13(日) 04:38:06.14 ID:NGHhwzgpO
January 5，1935

雪に覆われた荒野。

以下略

3: ◆plZ0A1BUbA[sage]
2015/09/13(日) 04:39:41.11 ID:NGHhwzgpO
「本もいいけどさ、折角こんないい席を頂いたんだから…」

やや呆れた様子で、黒髪の青年が隣の席で黙々と厚い本を読む少女に声を掛ける。
先程までは「退屈だ」だの何だのぶつくさ青年に愚痴っていた少女であったが、今はすっかり押し黙ってしまって、本とにらめっこをしている。

以下略

4: ◆plZ0A1BUbA[sage]
2015/09/13(日) 04:40:51.09 ID:NGHhwzgpO
徐に、少女は懐からパイプを取り出した。
すかさず青年はそれを受け取り、慣れた手つきで刻み煙草をカップに詰めて行く。
その様子は、さながら一介の貴族の子女とその従者である。

「いやあ、どうもぼくは執事と勘違いされる程度には彼女の尻に敷かれているのかもしれませんね…」

以下略

5: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 04:44:09.08 ID:NGHhwzgpO
「ああ、そうだった」

ひと段落して、紳士はひょいと立ち上がり、脇に置いてあった鰐皮の鞄から一つの包みを取り出す。

「先程の無礼のお詫びに、これを」

以下略

6: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 04:45:07.89 ID:NGHhwzgpO
「ほら、ヴィクトリカもお礼を」

「有り難く頂戴する……ふむ、なかなかいい香りではないか」

それからすぐに少女は煙草の袋と新しい名刺を紳士から受け取り、品定めをする。

以下略

7: ◆plZ0A1BUbA[sage]
2015/09/13(日) 04:46:38.24 ID:NGHhwzgpO
一等展望車のすぐ前の車両に食堂車がある。
丁度昼時であったので、多くの客が席に座って名物の洋食に舌鼓を打っていた。
葉巻やパイプの煙に燻されていた一等展望車から打って変わって、洋食特有のデミグラス・ソースの香りが仄かに食堂車の中に漂っている。

「ここのハヤシライスが美味いんだ」

以下略

8: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 04:48:48.42 ID:NGHhwzgpO
「四人掛けの席を私一人で使うのは悪くてね…」

「いえ、ご招待ありがとうございます」

机の呼び鈴を鳴らすと、給仕服を着込んだ黒髪のウエイトレスがやって来て、置かれていた予約札を回収して行く。

以下略

9: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 04:51:18.71 ID:NGHhwzgpO
「注文はどうするかね？」

「ハヤシライスをお願いします」

青年は迷わず紳士一押しのハヤシライスを所望した。

以下略

10: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 04:54:10.42 ID:NGHhwzgpO
鮮やかな二つの色をした飲み物たちが銀の盆に載せられて一等展望車に運ばれて行く。
一つは血と見間違えんばかりの赤、そしてもう一つは鮮やかなグリーンである。
物珍しげに青年はウエイトレスが運んで行くグラスを眺めていた。

「して、いける口かね？」

以下略

11: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 04:56:33.86 ID:NGHhwzgpO
「お待たせしました」

暫く待つと、白い皿に盛り付けられたハヤシライスが三人分、運ばれて来る。

「来たか、来たか」

以下略

12: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 05:00:11.04 ID:NGHhwzgpO
「事件だ……殺しかな？」

少女は低い声でそう告げるやいなや、すかさず青年は足の障害を感じさせない俊敏さで立ち上がり、ウエイトレスが飛び出て来た一等展望車へ向かう。

「ハヤシライスが冷めるまでには終わるかな？」

以下略

13: ◆plZ0A1BUbA[sage saga]
2015/09/13(日) 05:01:06.90 ID:NGHhwzgpO

以下略

14:名無しNIPPER[sage]
2015/09/13(日) 10:32:50.88 ID:2UOXEDCRO
ゴシックとか超懐かしいw

15:名無しNIPPER[sage]
2015/09/13(日) 14:38:01.42 ID:axKO5ziQO
乙です
期待

16: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/14(月) 02:21:27.49 ID:SjJ/kQ+1O
Decenbar 19，1934

Manhattan"GRAY WOLF" Private Eye Office

以下略

17: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/14(月) 02:23:27.01 ID:SjJ/kQ+1O
「おいおい、また散らかして…」

階段を登る革靴の音がして、事務所に一人の黒髪の青年が入って来る。
青年の名は久城一弥。この私立探偵社の主であるヴィクトリカの助手であり、彼女の夫でもある。
探偵社の助手と兼ねつつ、まさしく飛ぶ鳥を落とさんとばかりに成長を続ける合衆国の中でも、とりわけ際立った活躍を見せている某自動車会社の傘下の新聞社に勤めている。

以下略

18: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/14(月) 02:24:10.74 ID:SjJ/kQ+1O
「そりゃあ、君は読んだ物は全部覚えちゃうからそうなんだろうね………」

久城は打ち捨てられた新聞紙を拾い上げて集める。

「でもぼくの仕事にも協力しておくれよ、ああ、バックナンバーをきちんと保管しないと…」

以下略

19: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/14(月) 02:25:33.06 ID:SjJ/kQ+1O
「君の仕事、それは私の助手ではないのか？」

「確かにそうだけど…」

「新聞記者の仕事なぞ唯の副業に過ぎないでは無いか」

以下略

20: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/14(月) 02:26:32.30 ID:SjJ/kQ+1O
「ふむ、君は人間だ。資本という機械細工の中であくまでも無機物である歯車や部品として働くことを要求されることに疑問、いや、憤りを感じないかね？」

少女は悪戯っぽく笑い、何処からか赤いハンカチーフを取り出すとひらひらとそれを振り回した。

「昼飯時にやっと出勤するような君に労働者の悲哀が分かってたまるもんかい」

以下略

21: ◆plZ0A1BUbA[saga]
2015/09/14(月) 02:27:38.97 ID:SjJ/kQ+1O
最近のニューヨークは労働争議のオンパレードである。
今までは身を寄せ合って権力の下で怯える様に暮らしていた貧者や労働者達が、好景気の中の自由な風潮に後押しされて続々と立ち上がっているのだ。
折しも先の戦争に敗北した北の大帝国では大規模な革命が起き、労働者達の名の下に国が再構築されているところであったので、余計に階級打破の機運が高まっているのだろう。
しかし、先鋭化した一部の者たちは暴徒化して破壊や略奪を繰り返す様になっていた。
それは久城の勤務する会社も例外ではなく、調査部では労働者の組合などの動向を詳しく探って逐一経営陣に報告しているのであった。

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