過去ログ - 安部菜々「その先も、ずっとずーっとウサミン星
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名無しNIPPER
[saga]
2016/02/14(日) 18:33:24.20 ID:mnHvmUBA0
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ところで、ナナは今までの生涯で二人だけ、自分よりも夢見がちな人に出会っています。
一人はプロデューサーさん。もう一人は、あの子です。
アイドルを続けて数年。いよいよ体力的に辛くなって来たとき、あの子は現れました。
「私、ウサミン星人になりたいんです!」
事務所に来るなり、その子はナナを見て無邪気な瞳でそう言いました。
年の程は12歳ほどの、小さな子供。聞けば中学生と言うけれど、幼い容姿はそうは見えませんでした。
だけど、誰よりも強い意志を持った子でした。
なんど追い返そうとナナにくらいついて、プロデューサーさんたちにも認められた、一歩間違えたら頑固な子でした。
だからこそ、ナナとプロデューサーは、彼女にウサミン星の真実を告げることにしたんです。
それは、とっても辛かったです。
ナナのツギハギだらけの設定を本気で信じてくれた女の子。その子から希望を奪うことになる。
だけど、ナナは言いました。
一字一句、言葉を選びながら。時々泣きそうになりながら、間違えのないようにナナの真実を伝えたんです。
「……わかった」
「はい」
彼女は、そう短く答えました。
ナナは、怖くて顔を見れませんでした。
突き詰めてしまえば、ナナは嘘を演じ続けてきたんです。どんなにすばらしい音楽と衣装で彩られても、ナナはナナでしかない。
ウサミン星は存在しないし、安部菜々は安部菜々でしかないんです。
アイドルに憧れて無謀な挑戦を続けてたナナが、子供の夢を奪うなんて皮肉にも程がある――と、思ってました。
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