2: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2016/05/06(金) 19:07:07.95 ID:J9K9lNQH0
「最近見てなかったから……起きないかなー……?」
私の隣に立って、テーブル越しに顔を近づけて美穂ちゃんの寝顔を眺めている。
……さすがにつついたら起きるんじゃないかなぁ。触れる前に指を引っ込めてたけど。
「よしっ、それじゃあ私も…………撮っておこうと思いますっ」
そう言いながら、ピンクのカメラを取り出した。
私も両手でカメラを持ってたから、なにをしてたかすぐにバレてたみたい。
「やっぱりまずは正面から……」
ソファに座ってカメラを構える。
少ししてからカシャ、と軽い音が鳴った。
「藍子ちゃんはどんな写真を撮ったの?」
「私も正面からだけだよ」
「それだけじゃもったいないですよね?」
「それはそうだけど……あんまり撮ってると美穂ちゃんが起きちゃうよ」
「大丈夫だと思うんだけどなぁ……」
またシャッター音が鳴った。
さっきから美穂ちゃんは身動きもしなければ息も乱れていない。
……本当に大丈夫なのかな?
「ちょっとだけ、横顔を……」
そうなると、ちょっと欲を出してしまうのが人というもので……私は悪くない、はず。
美穂ちゃんの左側に回って、少し腰を落とす。
「そーっとそーっと……」
パシャ、という音がやけに大きく聞こえた。
「ふぅ」
反応がないことを確認して、大きく息を吐き出す。
「藍子ちゃん」
そんなところに、少し位置をずらしてカメラを構えた卯月ちゃんが名前を呼んできた。
「……いらっしゃいませ♪」
「すっごく不本意なんだけどっ」
ぐっ、といい笑顔でサムズアップ。そんなところで特技を使わないでほしい、切実に。
そもそも卯月ちゃんは計画的だけど、私のは魔がさしたというか……
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