過去ログ - 鷺沢文香の元いた古書堂の常連の話
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12:名無しNIPPER
2017/09/14(木) 01:11:11.16 ID:21UZx+iqO
そうやって日々を過ごしていくなか、1度だけ会話があった。
いつも通りに顔を上げる瞬間を見て、会計へ進む、本を受け取って、僕の顔を見た。
「もしかして……待っててくれたのですか…?
? ? もしそうなら、ごめんなさい。」
そう言って、また視点を下に向けた。
僕はと言えば唐突な彼女の声に心臓が止まりかけて、顔は真っ赤になっていたと思う、よくは無いのだろうけど、下を向いてくれて助かった。
ドキドキしながら、咄嗟に言い訳をする。
「この本を買おうか、凄く悩んでいただけですよ。」
ぶっきらぼうに聞こえてしまうかもしれないと、優しいように言ったつもりではある、それがよかったのかは分からないけれど、聞いた彼女は少しだけ柔らかい表情で
「それなら、よかったです。この本、おもしろいですよ。」
この本は宝物にしようと決めた。


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