3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします[saga]
2015/10/12(月) 01:53:59.99 ID:p0a2tvJnO
夢魔「貴方。いったい何者?」
剣士「お前は夢魔だろう。人の精神や記憶くらい、覗いてみせろ」
夢魔「簡単そうに言うわね。それは私のような、高位の夢魔でしかできない事よ。かいつまんで話すくらいできないのかしら」
剣士「……いずれ覗き見れるのなら、黙る事もないか。俺は剣士……勇者となるはずだった人間だ」
夢魔「面白い冗談ね。貴方のような、穢れきった精を宿す人間が破邪の化身たる勇者ですって?」
剣士「人の生たるや奇妙でな……そのようなのだよ。夢魔」
夢魔「まあ、いいわ。知りたければこれから貴方を覗かせてもらうだろうし」
剣士「これから?」
夢魔「ええ。興味深いわ、貴方。今から貴方を私の宿主にしてあげる」
剣士「得はしないぞ。やめておけ」
夢魔「そう思うなら、頬をつねって目覚めてしまいなさい。……振られたというなら、ハンカチくらい噛んであげるから」
剣士「しかしそれは目覚めるということだろう。明日は早いんだ、休ませてくれ」
夢魔「なら、気に入られたのが運の尽きね。……ちゅ」
その口づけはそう艶かしくもなく、桜の花弁が触れるような、初々しいものであった。
剣士「……。好きにしろ」
夢魔「ん、ふ。契約、成立ね」
308Res/203.70 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20