にこ「恋愛げぇむ?」雪穂「メイン用ですね」
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987: ◆MQKemQ7EZz9R[saga]
2019/08/04(日) 21:05:26.27 ID:uyjQs26k0




    「急ぎで脱いで着替えただけだから練習着が原っぱの上に置かれたまんまね、早く拾ってちゃんと干さないと」


    「そうですね…おや?」











 一陣、風がふわりと舞った。




 誰が誘ったわけでもなく、強いて言うなら風に誘われて彼女達は旋風のあとさきを眺める

 夏季の夕暮れと共に、そっと沈みゆく夕陽へと溶けて行った。








 magic hour<マジック アワー>

 太陽が沈み、世界から光源が消えた後の世にほんの僅か十数分だけ残された"残光"の時間





 芝生の絨毯は残光に照らされ、緑衣から切ない光の色に変わる、その上に残された9人分の練習着も淡い斜陽に包まれる様に横たわっていた

 役目を終えて、静かに世界を照らすステージの光が消えてゆき、幕が閉じるその瞬間まで眠るが如くそこに在り続ける










                にこ「……悪くない、景色ね」





 ずっと華々しい舞台に立つことに胸焦がれてきた、彼女の言うプロの世界ではないが、確かにこの一年間彼女は憧れた世界に

 きらきら輝くステージの星、謂わば物語の主人公になったようなものだった。





 どんな物語にも始まりがあれば、終わりもある。




 限られた期間の中、僅かな一時で彼女は星になった、そして星になった彼女がある種の終点を迎えようとしていた。



 3年生卒業、"スクール"アイドルではもうなくなる、子供から大人になってアイドルになって、でもいつかは齢をとってアイドルを辞める日も来る


 ある意味で、今この時の状況は、『大人になった後で夢を叶えた先に、いつかはやってくる未来』に他ならない



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