【悪魔のリドル】兎角「一線を越える、ということ」
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38:名無しNIPPER[sage saga]
2017/08/21(月) 23:44:44.71 ID:u1xI7N2CO
タクシー内での席順は晴が助手席に座り、後部座席では右から順に千足、柩、兎角と座っていた。
車内では晴は時折ローターのスイッチを入れていた。無論兎角の下着に入れてあるそれである。ただしその刺激は強ではない。弱い振動が小刻みに繰り返されていた。
その刺激を感じながら兎角はある可能性を思い付いた。それはこれから学園の寮に帰り、そこで今度こそ本番が始まるのではないかという期待であった。
思えば映画館は確かに興奮はしたが最後までするには適してはいなかった。無関係な人もいたし後始末もしにくい。帰ることも考えればあそこで出きるのは精々前戯までであろう。
そう考えれば今のローターの刺激も説明がつく。これは絶頂に導くためというよりは火照った体を冷まさせないためのものなのだろう。実際体の奥の高まりは未だ静かに燻っている。
しかし兎角は警戒もしていた。これはあくまで兎角の推察にすぎない。今日の晴は全く考えが読めない。もしこの推察がかすりもしない結末になったところで兎角は驚きもしないだろう。
兎角は前に座る晴の後頭部を見た。それほどまでに今日の晴は兎角の想像を越えていた。えも言えない恐怖もまた兎角の中にはあった。
車は十五分もしないうちに学園に着いた。兎角は震える足で車から降り、それに柩と千足が続いた。晴も料金を払い助手席から降りるとタクシーはすぐに去っていった。
さて、これからどうなるのであろうか。兎角も千足もここから先のことは聞いていない。火照った頭では想像もできない。それを理解してか晴と柩は二人の前に立ち先導する。
「こっちですよ、千足さん」
「ほら、兎角さんもこっちだよ」
二人に続いて兎角と千足も歩き出す。向かう方向は兎角達の寮の方であった。
「さ、入るよ」
しばらく歩いて辿り着いたのは兎角達の寮、金星寮C棟で、晴と柩はごく自然に外出から帰ってきたかのようにエントランスを抜けエレベーターのスイッチを押した。四人はそれに乗って上に向かう。
エレベーターは兎角達の部屋のあるフロアで停まった。ここまで来ればもう確定だろうと兎角は肩の力を抜いた。
ここにあるのはもう各々の部屋だけだ。ここでそれぞれの部屋、兎角達は1号室に、千足達は4号室に別れて今度こそ本番が始まるのだ。
目の前に見えた道に兎角は再度安堵と興奮をした。
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