2: ◆JfOiQcbfj2
2018/03/14(水) 23:53:40.10 ID:IScO5bqg0
「あれ?」
レッスン帰りに事務所に立ち寄った相葉夕美は備え付けのテーブルに訝し気な目線を向けていた。
「これって、うえきちゃん……だよね?」
うえきちゃんとは、いつの間にか事務所の休憩ルームに置かれていた2メートル程の少し不思議な(そして少し気味悪い)正体不明の置物である。
「……縮小版?」
それをそのまま鉢植えサイズまで小さくしたものがテーブルの上に乗っていた。高さは全部含めて30センチぐらいだろうか。自身より大きいと威圧感があったがこうしてみると中々に可愛らしい、ような気がする。
夕美は持っていたバッグをソファーの足付近に置くと、自身はソファーに腰かけてその小さなうえきちゃんをじっと観察するように見てみる。
「小さければ植物のような……うーん」
ちゃんとした土が敷かれているのを確認し、大きいサイズと同じように突然動き出し花粉の様な物を飛ばしてこないか慎重に観察を行う。
そんな風に集中してジッと見つめていたせいで後ろからソロリソロリと近づく存在に彼女は全く気が付かなかった。
「ゆーみちゃん!」
「ひゃ、あっ!?」
「うーん、今日も変わらず素敵なお花のかおりー♪」
「もー、志希ちゃん。急に匂いを嗅ぐのは止めてって言ってるでしょ」
「これはー、ライラックかにゃー?」
「聞いてないね……でも、正解!よくわかったね」
にゃふふー、とわかった理由は答えないまま志希は後ろから抱き着くような姿勢のまま、しばらく夕美の匂いを堪能しているようだった。
「そういえばさー。何か睨めっこしてたみたいだけど、それが気になる?」
抱き着かれた夕美も「まあ別にいいか」と匂いを嗅がれることも慣れていたので(慣れるつもりはなかったが)志希の好きにさせていたが、突然話題を振られ口を開いた。
「これって、うえきちゃんだよね?」
「そだよー、ついでに言うとミニバージョンね」
「志希ちゃんが作ったの?」
「ノンノン、協力はしたけど元は蛍光色のあの方だよー」
「え?ちひろさん?なんで?」
「グッズ展開だってさ」
「あー……」
あの人はアシスタント兼事務員じゃなかったっけ?と心の中だけで疑問を浮かべながらも夕美はツンと軽く突いてみる。
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