6: ◆JfOiQcbfj2
2018/03/14(水) 23:59:58.19 ID:IScO5bqg0
「いっつ……」
薄暗いせいで危うく転びかけたが、引き寄せられた先にあったテーブルに強く手を突くことによって何とかそれは回避できた。
「な、なに?」
腰には巻き付いた何かは感触的に蠢いている。まさか蛇ではなかろうかと少し顔を青くしながら恐る恐る手で触ってみる。
「……?」
しかし、返ってきた感触は生き物とは思えないようなひんやりとそして、グニグニとした感触である。
「???」
結局それが何かわからず疑問符を頭上に浮かべながら、しばらく何も起こらない時間だけが過ぎた。
そうなってくると明かりがなくとも目が暗闇に少しずつ慣れてくる。そして徐々に見えてくる原因ともいえる根幹に彼女は目を見開いて驚いた。
「う、うえき、ちゃん?」
テーブルの上に先程置いた小さいうえきちゃん。相変わらず少し異質な雰囲気を出しているが今はそういう問題ではない。
「何か、生えて、る?」
うえきちゃん事態はそのままの姿なのだが、それが生えている鉢植えの土と思われる部分から植物の様な蔦が何本もニョロニョロと生えていたのだ。
「な、な、なっ!?」
心のどこかでこの超常現象の根幹がこのうえきちゃんでないかという疑心はあった。しかし、そう考えていたとしても「はいそうですか」とあっさり受け入れられる事態ではない。映画の様なワンシーンだと瞳を輝かせるほど夕美も能天気では決してなかった。
「んぐ、うう……!!」
とにかく脱出せねばと腰に巻き付いて彼女を拘束している蔦の様な物体から逃れようと、腰に力を入れて見たり、それを握り引き千切るように力を込めてみるがゴム質なせいと若干湿り気を帯びているせいかその行為は意味を成さない。
「だめ、かぁ……」
幸いにも今のところまだ害はない。腰に回っている蔦はがっちりと夕美を拘束はしているが痛みを感じる程強くないのは幸いだった。とにもかくにも何か別の脱出方法を見つけ出すために思考を巡らせていた、その瞬間だった。
22Res/36.27 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20