【創作】「彼女はとても手が早い」
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6:名無しNIPPER
2018/03/25(日) 15:36:35.14 ID:2/v3E0jz0

がらがら。
少し立てつけの悪い扉を開く。
黒板には「好きな席に座ってください」という文字が大きく書かれていた。
ぼくは優柔不断な性格なので、「好きな場所に〜」とか「好きなところに〜」という言葉は苦手だ。
さて、どうしたものか。

教室の中を一瞥すると、窓際の一番後ろになんだかボーイッシュな女子が座っているのが見えた。
ぼくが扉を開けた音に反応していたのか、ぼくのことをじっと見ている。
さすがに見知らぬ人の隣に座るのも気が引けるし、遠めの席に座ろうか。
そう考えていたぼくだったが。

「ねぇキミ、良かったら隣来てよ。話し相手が少なくて暇だったんだ!」

女子の方から声をかけられ捕まってしまった。
さすがにそう言われて逃げるのもどうかと思ったので、大人しく隣の席に座った。

「いやぁ〜、ちょっと早く来すぎちゃってね〜。キミも随分早く来たみたいけど、お友達待ちとか?」

「そういうわけじゃないけど、ぼくは中学生時代はこの時間にいつも来てたから」

「へぇ、そうなんだ!私は転校したばっかりで、道に迷って遅刻するのとか嫌だからつい早く来ちゃったんだよね。
 ん〜、知り合いが一人も居ないなんて不安だなぁ。
 お友達ができるといいけど……たとえば〜、キミとなってみたり!!」

びしっ!という効果音が似合うくらい、勢いよく指を指された。
ぼくをフレンドの枠に入れたいとか、そういうことなのだろうか。
その気持ちは嬉しいが、ぼくはそういうわけにはいかない。

中学生の頃から決めたことだ。
ぼくは友達を作らない。
作りたくない。


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