【創作】「彼女はとても手が早い」
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8:名無しNIPPER
2018/03/25(日) 16:00:19.23 ID:2/v3E0jz0
すると、湊から質問が飛んできた。

「そういえば根暗くんは転校前はどこに住んでたの?」

……その質問は、ぼくにとってはウィークポイントだ。
できれば、言いたくないが、隠す必要もないだろう。
今ぼくは、そこにいないのだから。

「……白河町。知ってる?」

「っ。……しら、かわ……。……」

湊は「白河町」という単語を聞き、表情を一瞬暗くする。

「……あ、あぁー!白河町ね!あのお団子が美味しいところね!
 私もそこが出身だからさ!いやー、いい町だったよね!」

その表情を隠すように、湊はぼくに笑顔を向ける。
ぼくと彼女の間に、少し変な間ができる。
……いい町なわけがあるか。
ぼくがそう言おうとした瞬間、湊から口を動かした。

「……あはは、うぅん、ごめん。
 そんなことなかったよね。
 だって、あんなことがあったんだもん……」

湊はぼそぼそ、とそう呟く。
……まったく、思い出したくないことを思い出してしまった。
……そう、あの事件ももう2年ほど前の話になっているのだ。
あの事件がまた再発したという話もない。

「……私さ、あの事件があっても都合で引っ越しをするわけにはいかなくてさ。
 毎日びくびくしてたよ。『いつ自分が巻き込まれてしまうのか』って。
 でも……無事に他の町まで来れたし。もう大丈夫……だと、思うんだ」




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