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少女「ずっと、愛してる」 2 -
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1 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:01:28.57 ID:J+4mAWs60
魔法少女系、オリジナルの長編小説です。
残虐表現などを多く含みます。
R18指定程度と思っていただければ幸いです。
3スレ目になります。
第二章の24話途中からの投稿です。
前からお読み頂いたほうが楽しんでいただけるかと思います。
勿論新規の方も大歓迎です。
第一章(前々スレ)はこちらです(原題:鐵鋼兵装エリクシアの天使)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327234326/
第二章(前スレ)の24話途中まではこちらです。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1328684504/
各キャラなどの解説があるWikiはこちらです。
第一章Wiki:
http://ss.vip2ch.com/jmp/1327234326
第二章Wiki:
http://ss.vip2ch.com/jmp/1328684504
救いのない悲しいお話、お付き合い頂けましたら幸いです。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1336482083
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1.5 :
荒巻@管理人★
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忌村「不思議な薬が出来たわ…」【安価】 @ 2025/07/12(土) 00:02:05.36 ID:BD6esqAF0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752246124/
どうなるのかな? @ 2025/07/11(金) 22:45:01.94 ID:GJ4hg/bKo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1752241501/
空の雫 @ 2025/07/11(金) 21:39:32.38 ID:UbINMeJK0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1752237571/
ベルトルト「クリスタだ」 @ 2025/07/10(木) 00:09:53.46 ID:H3mTkX5wO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752073793/
てす @ 2025/07/08(火) 22:20:03.31 ID:xzv/7nI6o
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1751980802/
男「友達一人もいないけど漫画とアニメがあるから毎日充実している」 @ 2025/07/08(火) 00:27:51.33 ID:PBp8RzMcO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751902071/
【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2025夏 @ 2025/07/07(月) 02:09:39.53 ID:pv74dAvR0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751821778/
【安価コンマ】好きと嫌いと異世界と 2 @ 2025/07/06(日) 22:07:29.64 ID:yYA4flIp0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1751807249/
2 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:07:37.31 ID:J+4mAWs60
――記憶の凍結?
そんな能力の使い道、聞いたことがない。
唖然とした硲の目の前で、涙は何かをブツブツと呟きながら、
青年の額の前で指をゆっくりと動かした。
トン、と指先が触れた額が白く光る。
「……完了。どうかな?」
一呼吸程間を置いて、涙は顔を上げた。
ほんの少ししか時間が経っていないというのに、
彼女の顔は汗まみれだった。
とてつもない集中力を使ったと見える。
青年は暫くの間固まっていたが、やがてガクリと首を垂れ、
その場に崩れ落ちた。
慌ててそれを支えた泉の前で、涙は軽く首を傾げて、
手で汗を拭った。
3 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:08:20.12 ID:J+4mAWs60
「しばらくは赤ん坊と同じになるよ。
記憶を全て消したわけだからね」
「新しい人格を与える訳か……」
泉が感心したように言う。
「いつ思いついた?」
「今。試したことがないから上手く出来たか分かんないけど」
「オドスの波長が安定してる。多分、洗脳は解けてるな……」
泉はそう言って息をついた。
青年は緩慢に目を開いたが、口の端から涎を垂らし、
小さな声で呻いていた。
「ま……しばらくの間世話すれば、
新しい人格が形成されると思うよ」
「姉さん……そいつ、連れていくの?」
硲がそこで、おずおずと口を開いた。
4 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:09:09.05 ID:J+4mAWs60
姉は振り返って頷いた。
「うん。別に殺さなくてもいいでしょ」
「エリクシアが洗脳してまで送り込んできた魔法使いだよ
……殺していった方がいいと思うな」
珍しく反発した硲を意外そうに見て、涙は口を開いた。
「どうしたの?
たかが認証魔法のレベル2見ただけで怖気づいた?」
「そんなんじゃないよ!
でも……そいつからは何か、嫌な気を感じる。
きっと姉さんのためにならない」
断言した硲から泉に視線を戻し、涙は軽く肩をすくめてみせた。
「だってさ。どうする? 兄さん」
途端、無視された形になった硲が逆上して大声を上げた。
「僕は今姉さんと話をしてるんだ! 兄さんは関係無いだろ!」
泉は息をついて、硲の方を向いて言った。
5 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:10:02.36 ID:J+4mAWs60
「お前らしくないな……随分と苛立ってるみたいだが、
そんなに死んだのが気に食わなかったのか?
余裕がなかったから
お前達に認識させちまったのは悪かったが……」
「あんたと話してるんじゃないんだよ!」
瞳を真っ赤に光らせながら怒鳴った硲の異変を感じたのか、
泉が口をつぐんで、腰に巻いているバンドに取り付けられた
サバイバルナイフの柄に手を掛ける。
「……何だ? 威嚇なら別の所でやれ。俺は今気が立ってる」
「やめなさい。二人共ちょっと!」
大声で割って入り、涙が泉の頭を叩いた。
「兄さん大人気ないよ!
ちょっと子供に逆撫でされたからってキレるなんて、らしくない」
「しかし涙……」
「五月蝿いよ。硲も、いい加減にしなさい」
「僕は何も悪くない。悪いのは姉さんだ」
6 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:10:49.43 ID:J+4mAWs60
押し殺した声でそう言われ、
涙はきょとんとして自分を指さした。
「あたし?」
「…………」
歯を噛んで硲は地団駄を踏むように強く地面を蹴った。
「とにかく僕は反対だ!
そいつを入れるなら、僕が代わりに出て行く!」
「へぇ……」
涙が顔を上げて硲を見る。
「あんたに出て行かれると、日常生活を行う上で結構困るね」
「なら……!」
「でも駄目。この子は連れてくって決めたから。
出ていきたいなら出ていきなさい。止めない」
涙のはっきりとした声を聞いて、
硲は殴りつけられたかのようにその場でよろめいた。
7 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:11:35.55 ID:J+4mAWs60
そして背後の瓦礫に力なく寄りかかって俯く。
「そうかよ……」
「…………」
「出てってやるよ!
あんたらの言う『家族』なんてもうまっぴらだ!
僕はもともと一人で生きてきたんだ!
何もかも一人でやってきた!
一人で何でもできるし、その気になれば人間とかエリクシアとかを
皆殺しにすることも出来る。
あんたらのところに『いてやった』んだ、
そんな僕にそう言うの? 出てけって!」
「ずいぶん大きく出たね……お子ちゃまが」
涙が呆れたようにそう言って、腰の後ろで指を組んだ。
そしてため息をつく。
「僕は子供じゃない!」
喚く硲に、涙は軽く首を振った。
8 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:12:25.04 ID:J+4mAWs60
「大人は他人の安い挑発になんて乗らないよ」
「挑発になんて乗ってない! 僕は……」
「僕は僕はって、あんたは自分のことしか言わないね。
そのくせ自分の素性は隠そうとする。
そういうところがお子ちゃまだって言うの」
「…………」
歯をギリ……と硲が噛む。
それを見て涙が続けた。
「別に引き止めないよ。
無理矢理いてもらってるわけじゃないんだし。
思想が違うなら、別の道を歩くのも手だと思う。
その自由があんたにはあるよ。
子供じゃなくて大人だって主張するのなら、尚更自分で決めなさい」
突き放され、硲は口ごもった後涙から視線を逸らした。
「僕は……」
9 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:13:11.31 ID:J+4mAWs60
「は、は、はざま……にいさ、ま」
そこで、今までずっと黙っていた
愛寡がどもりながら口を開いた。
何だこいつはと思い、硲は脇の愛寡に視線を落とした。
愛寡から話しかけてきたのは初めてのことだった。
彼女は、いつも硲を避けるようにしていたのだ。
「行く……行って…………
しま、し、しまわれる、ですか?」
左目だけでこちらを見上げた妹に、
硲は戸惑いながら答えた。
「お前には関係ない」
「にいさ、さま……わた、私……助けて、く、くれた……
行く、さ、さびしい。いかない。欲しい……」
一生懸命に言葉を発した愛寡の声を聞いて、硲は口をつぐんだ。
10 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:13:50.37 ID:J+4mAWs60
そういう風に他人に言われたのは、初めてのことだった。
愛寡は手を伸ばして、硲の服の袖を引いた。
「行か……な、ないで…………」
「服を引っ張るな……!」
その手を振り払い、硲は慌ててバツが悪そうに涙を見た。
涙は軽く首を傾げただけだった。
「まぁ……」
そこで、黙って事態を静観していた泉が
ため息混じりに口を開いた。
「俺も配慮が足りなかったところがある。
お前の神経を逆撫でしていたのなら謝ろう」
「別に……そんなことは……」
そう、別にそんなことはないのだ。
11 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:14:27.17 ID:J+4mAWs60
泉は悪くない。
悪いのは……。
そう、敢えて言うならば悪いのは自分。
今一度の勇気を持てない自分自身に尽きる。
「僕は……」
言いかけて言葉を止める。
「別にあんたの言葉を否定するつもりはないよ。
いてやったって感覚なら、これからもそういう感覚で構わない。
それをどうこうしようっていうつもりはないから。
でも、一つだけ言わせてもらうとしたら……」
涙が泉を押し留めて口を開く。
「人に感謝を求めるなら、
先に自分が感謝しなきゃね。そうは思うよ」
「……自分が?」
怪訝そうに聞き返した硲に、涙は頷いてみせた。
12 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:15:19.71 ID:J+4mAWs60
「あたしに。兄さんに。みんなに感謝しなきゃ。
あんたが今こうしてここにいれるのは、
少なくともみんなのおかげなんだから」
「…………」
黙り込んだ硲の前で、
涙はぐったりとしている青年の腕を掴んだ。
「兄さん手伝って。この子、トレーラーに運ぶよ」
「分かった」
頷いて泉が青年を背中におぶる。
「硲、一緒に来るんなら、更紗と愛寡を連れてきてくれ。
俺達は先にトレーラーに戻ってる」
彼はそう言って、
足早にトレーラーの方に歩いて行ってしまった。
涙もその後に続く。
13 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:15:58.53 ID:J+4mAWs60
「姉さ……」
涙を呼び止めようとして、
しかし硲はまた服の袖を引かれて言葉を止めた。
愛寡が不安そうな顔でこちらを見ていた。
「服を引っ張るな……!」
慌ててその手を払い、硲は深くため息をついた。
「くそっ……卑怯だ……!」
まだ気絶している更紗の脈があることを確認し、
彼は急いで更紗を抱き上げ、愛寡に向けて言った。
「……僕がいないと碌に料理もできないし、
姉さんも兄さんも家事一つしやしない
……掃除だって誰がするんだ……」
14 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:16:32.46 ID:J+4mAWs60
「…………」
「トレーラーの運転だって、
兄さんは長いことしてないから忘れてるだろ
……僕がいなきゃだめだ」
「…………」
「何見てるんだよ」
愛寡を睨みつけると、彼女は小さく萎縮して手を伸ばした。
硲はしばらくそれを見ていたが、やがて息をついて、
片手で更紗を抱え上げ、もう片方の手で愛寡の手を握った。
「……行くぞ、愛寡」
15 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:17:43.94 ID:J+4mAWs60
*
「お姉ちゃんは駄目ね……
核が完全に破壊されてる。残念だけど、もう……」
功刀の影空間の中。
暗い照明の下で津雪がそう言うと、更紗がワッと泣き崩れた。
「どうして……! どうしてこんなことに……」
「…………」
美並が俯いて手を握り締める。
愛寡が片手で顔を覆いながら、脇の古ぼけたベッドに
横たえられた涙の亡き骸に手を伸ばした。
そしてわななく手で冷たくなった涙に触れ、
更紗と同じように崩れ落ちる。
「ねえさ、お姉様……」
ゆさゆさと涙の亡き骸を揺さぶり、愛寡は続けた。
16 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:18:25.91 ID:J+4mAWs60
「目を……目を、開け…………開けて……」
「愛姉ェ。もう涙姉は死んデマス。あまり触らナイ方がイイ」
功刀が腕組みをしながら静かに言う。
愛寡が弾かれたように顔を上げて功刀に向かって怒鳴った。
「まだ……まだ、し、死んで、な、ない!
泉兄様の、ま、魔法で!」
「無理デス。泉兄さんハ今魔法ガ使えナイ。
使えタとしても手遅レダ」
首を振った功刀にすがりついて、
愛寡が発狂したかのように金切り声を上げた。
「どうか……どうにかして!
あ、頭いい、あなたなら、ど、どうかできる!
できるでしょう!」
「無理デス。死んダ人ヲ生き返らセルことは、
俺の魔法デモ出来ナイ」
17 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:19:16.32 ID:J+4mAWs60
断言した功刀の言葉に殴りつけられたかのように、
愛寡はよろめいて、呆然と座り込んだ。
「お兄ちゃん、それくらいにした方が……」
津雪がそう言って功刀を止める。
大柄な魔法使いは言葉を飲み込んで、
また腕組みをして、
隣のベッドに寝かされている泉のことを見下ろした。
両腕にギプスを嵌められた泉は、
鎮静剤でも投与されているのか、目を閉じて眠っている。
その顔にはかなりの疲労が見て取れた。
腕には何本も輸血の点滴が刺されている。
「本当にこんなに一気に輸血しちゃっていいの……?
血圧が……」
津雪が功刀にささやくと、彼は頷いて小さな声で答えた。
「兄さンの体ハ、俺ガ一番良く知ってル。問題なイ」
18 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:20:04.81 ID:J+4mAWs60
「後どれくらいで泉兄ちゃんは覚醒するの?」
「二時間アレば、何とカ……」
そう言った功刀の目に、泣き崩れていた更紗が
床を蹴立てて立ち上がるのが見えた。
彼女はツカツカと近づいてくると、
津雪が持っていた輸血用パックを奪いとって、
中身を勢い良く口に開けた。
「お姉ちゃん! それは……」
「やかましい! ねねさまがお亡くなりになった!
ににさまは昏睡状態じゃ……!
わらわが道を切り開かなければ、
この地から脱することは出来ぬ!」
「空間位相の間ニ俺達ハいるンです。あんたノ能力ジャ無理ダ」
「無理だ無理だと貴様は先程から聞いておれば!
いい加減にせい、やってみなければ分からぬ!」
バシンと空になった輸血パックを叩きつけられ、
功刀は口をつぐんだ。
19 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:20:45.64 ID:J+4mAWs60
しかし津雪が前に進み出て首を振る。
「功刀兄ちゃんは悪くないわ。
客観的事実を述べているまでよ」
「津雪! お前までも……」
「現実を見て。これっぽっちの血液では、
もうレベル2を発動できるほどの魔力も補充できないわ。
今は泉兄ちゃんの覚醒を待つしかないの」
「これ以上ににさまに負担をかけることは、
このわらわが許さん、許さんぞ!」
更紗の髪が、まるで一本一本が生き物のように浮き上がり始める。
津雪が、冷や汗を流して後ずさりながら続けた。
「でも……それ以外どうすればいいっていうの?
時間を相殺してもらうしか、助かる道はないわ」
「しかし……!」
「……聞き分けテ下サイ。
その我儘ガ涙姉ヲ殺す要因ニナッタ一つでもアリマス」
20 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:21:36.58 ID:J+4mAWs60
功刀の冷静な声を聞いて、途端に更紗の目から光が消えた。
わななきながらふらついて、更紗はその場にまた崩れ落ちた。
「……あとはあの裏切り者が情報を喋ってくれるかどうかね」
津雪が押し殺した声でそう言う。
拘束具を上半身と下半身に嵌められた硲が、
部屋の隅に転がされていた。
投薬で眠らされているようだ。
「喋らセル」
懐から注射器を取り出し、功刀は鉄のような声でそう言った。
中には明らかに投与してはいけない色の液体が
なみなみと詰まっている。
「効けばいいけど……」
津雪は頭痛を抑えるように頭に手をやり、息をついた。
21 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:22:20.32 ID:J+4mAWs60
「私達は失敗したわ……誰がとは言えないけど、
それだけは確かよ。甘かった。
涙姉ちゃんが助けてくれなければ、私達は全滅してた……」
全員が黙って津雪を見る。
彼は首を振って小さく続けた。
「甘かったのよ
……最初から泉兄ちゃんの言うことを聞いてれば良かった」
「泣き言ヲ言ッテも仕方ナイ。建設的な意見ヲ出して欲しイ」
功刀は目を光らせながら続けた。
「ソロソロ俺の魔力も限界ダ。この空間モ消滅スル。
そうなれば、空間位相の間に挟まれてお陀仏ダ」
「……僕の言うことを聞く気はないか?」
そこで、静かな声が聞こえてきて、
大魔法使い達全員が弾かれたように、
に転がったままの硲を見た。
硲は暗い笑みを発して続けた。
「僕は、ここを出る方法を知ってる」
22 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/05/08(火) 22:24:51.16 ID:J+4mAWs60
お疲れ様でした。
次回の更新に続かせて頂きます。
スレやツイッターなどで沢山のご感想、ありがとうございます!!
こちらのスレでも宜しくお願い致します。
引き続きご意見やご感想、ご質問などがございましたら、
お気軽に書き込みを頂けますと嬉しいです。
近日は寒くなるようですが、皆様もお体を壊しませんよう。
それでは、今回は失礼させていただきます。
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/08(火) 22:25:40.61 ID:VY27gPUDO
鬱いな…
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)
[sage]:2012/05/08(火) 22:41:01.27 ID:+WtmhGBAO
相変わらずのテンション。
安定してるな。
途中から読んだから、最近まで津雪が女だと思ってた。
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/05/11(金) 21:13:20.02 ID:L6gJhVcoo
乙乙!
26 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/21(月) 16:24:45.72 ID:2tX6UeIDO
そういえばAshGrathは更新しないのですか?
27 :
三毛猫
◆E9ISW1p5PY
[saga]:2012/07/01(日) 17:43:58.92 ID:f0ZMLDYY0
こんばんは。
長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
最近、仕事の体系が変わって参りまして、
更新の時間が取れなくなってしまったのが
停滞の原因です。
時間が取れ次第更新させて頂きますので、
気長な目でお待ち頂けましたら幸いです。
AshGrashも時間ができたら更新させて頂きます。
今しばらくお待ち下さい。
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/07/02(月) 21:45:22.55 ID:417WIYkYo
仕事、大変そうですね……辛いこと、嫌なことをする代わりに対価を頂くのが仕事ですので、耐えましょう(笑)
私もそう思って働いてるクチです
更新少なくても良いので、たまにはこっちに息抜きに来て下さいね〜
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/07/18(水) 21:45:20.93 ID:EiABElMMo
乙乙!
17.89 KB
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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