見滝原に微笑む刹那(まど☆マギ×ネギま!)

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :暗黒史作者 ◆FPyFXa6O.Q [saga]:2017/04/02(日) 02:21:47.23 ID:9L/CZpKL0
お断り

本作では、まど☆マギ側の原作設定に就いて
こちらの都合で一つ意図的に変更した部分があります。

かなりの部分、特に前半は原作知識前提の内容になります。

それでは、スタートです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1491067306
2 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:26:55.80 ID:9L/CZpKL0
==============================







何故






彼女なのか?







何故






彼女は微笑むのか?












3 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:32:52.32 ID:9L/CZpKL0








心から









そう思うのなら









魔法少女に









なりなさい




4 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:38:26.01 ID:9L/CZpKL0

 ×     ×

「………夢オチ?」

鹿目まどかは、眠たい声で確認していた。
お気に入りのぬいぐるみがあって、
朝の太陽が花柄のカーテンを透かしているいつもの寝室。

ひどく、殺伐とした夢を見たと思った。
廃墟の中で痛々しく、余りにも痛々しく戦い、傷付く少女。
どちらかと言うと子どもっぽいと自覚しているまどかから見て、
長い黒髪の、華奢にも見えるけど何処か大人びて、
そして言い知れぬ悲壮感が突き刺さる少女がいた、そんな夢。

いつもの寝室、いつもの日常の光景を寝ぼけ眼にとらえるだけで、
それは優しい日常の片隅へと遠ざかる。

ーーーーーーーー

「あーさ、あーさっ」

両親の寝室では、三歳になる鹿目タツヤが、
ベッドの布団をぽかぽか叩いて楽し気に叫んでいた。
飛び跳ねヘアーのパジャマ姿で家庭菜園の父への挨拶を済ませたまどかは、
その寝室の引き戸を気持ちよくすぱーんっと開く。

「おっきろぉーっ!!」
「うっひゃあぁーっ!!!」

そのまますぱーんっとカーテンを開き、陽光と共に布団を引っぺがすまどか。
ベッドの上で悶絶する鹿目詢子、まどかとタツヤの母。

「おきたねー」

鹿目家の朝は愉快に始まる。
5 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:43:45.36 ID:9L/CZpKL0

ーーーーーーーー

「最近どんなよ?」

洗面台で並んで歯磨きをしながら、詢子は娘に尋ねた。

「仁美ちゃんに又ラブレターが届いたよ、
今月になってもう二通目」
「直かにコクるだけの根性もねぇ男は駄目だ」

母と娘の女子トーク。

志筑仁美は小学校以来のまどかの友人、詢子とも知らない仲じゃない。
ちょくちょく頂くラブレターへの対応に困っている、と言うのも分かる、
ふんわりと気立てのいい可愛らしい本当の意味でのお嬢様。

まどかの担任の早乙女和子は詢子の個人的な友人だったりする。
まどか曰く、何でも和子先生は昨日現在で彼氏の事をのろけまくりなので
ぼちぼち継続期間が新記録、との事だが、世の中そんなに甘くはない。
と、付き合いの長い親友鹿目詢子の直感が囁く。

でもって、問われるままにそんな面々の恋愛模様をお話ししているまどかは
そっちの方には全く以て疎かったりする。
姉御肌の詢子としては、それが歯痒かったり微笑ましかったり。

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10

つい先ほどまでの寝坊助が何処に出しても恥ずかしくない、
大人に言わせれば、とてもこれだけの子持ちには見えない
バリキャリ美女にメタモルフォーゼする。
毎朝の事ながら、そんな母の、一人の格好いい女性の姿に、
鹿目まどかは惜しみなく憧憬の眼差しを送る。
6 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:47:07.06 ID:9L/CZpKL0

ーーーーーーーー

「どうかな?」
「ああ、いい感じ」
「うん、美味しい」

しっとりとしながら心地よい歯ざわりも残る。
家庭菜園発の茄子の浅漬けは、好評を以て朝食のお供に迎えられた。

まどかの父、鹿目知久は、まどか曰く家事の天才であり、
素晴らしい菜園の主でもあった。
それはそのまま、こうやって白いご飯が美味しい浅漬けに直結している。

まどかの知る限りパン食の時期も長かったと思うが、
何かのきっかけでこうなっている。
どっちにしろ、父の天才っぷりが微動だにしていない事を実感しながら、
まどかはいつも通り美味しい朝食を堪能する。

インゲンの味噌汁にオクラの和え物。
まどかはそのどれもこれも大半が自家製である事に今更ながら感心しつつ、
野菜多めのメニューでもネバネバオクラは元気の素だと
何時ぞや詢子が笑ってウインクしたのを思い出す。

「コーヒー、お代わりは?」
「おー、いいや」

知久の誘いに、時間を確認した詢子がぐーっとコーヒーを飲み干し、
家族とのスキンシップを交わして出勤に就く。
まどかに残された時間も、決して長いものではなかった。
7 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:51:06.75 ID:9L/CZpKL0

ーーーーーーーー

朝の通学路で、友人の志筑仁美に母からのアドバイスを伝えたり、
自分には少々派手だ、と思いつつ
気合いの入った母に押し切られる様に装着したリボンを
友人の美樹さやかに手荒く褒められたり。
何時もの様に姦しく、
鹿目まどかは見滝原中学校の自分の教室に到着する。

朝のHRでは、担任の早乙女和子先生が
彼氏に振られて爆発すると言うまどか達にとっては割とよくある光景を経て、
転校生紹介と言うイベントが開始される。

一日の授業を終えて放課後、
まどか達が行きつけのフードコートで一服していた時には、
美樹さやかは快活に大笑いしていた。

確かに、まどかの知る限り今朝初対面の筈の転校生が
夢の中で出会った様な気がしたり、
その転校生が自分に対して何やら意味深に運命的な発言をしたり、
実際たった今まどかがそうした様に、
それをさやかに伝えれば、それはさやかなら裏表なく笑うだろう。

その事はまどかにもよく分かる。
しかも、その転校生がストレートの黒髪も見事な美少女で、
勉強OKスポーツOKのハイスペック万能選手と来たら尚の事。

もう一人、同伴している志筑仁美は、くすくすと可愛らしく笑いながらも、
或は本当に何所かで会った事があるのでは、と、
落ち着いた分析を披露する。

かくして、お嬢様らしくお稽古事に向かった仁美と分かれ、
まどかとさやかは行き着けのCDショップへと足を運んだ。
さやかは、級友である上条恭介へのお見舞いを選ぶのだと言う。

まどかにとってさやかが小学校からの幼馴染なら、
上条恭介とさやかは幼稚園以来の幼馴染。
実際、割と長い付き合いのまどかともそうであるが、
特にさやかとは、男女にしては気の置けない間柄、
それがまどかの知る上条恭介。
8 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:54:25.98 ID:9L/CZpKL0

だけどまどかは知っている。
男勝り、お転婆、そう言って、周囲も本人すら、
何処からも否定する声は出ないだろう。

そんなさやかが、何時しか恭介の話をする時に見せる様になった、
それは紛れもなく女の子の顔。
そちら方面には疎い、と自認しているまどかでも
見ているだけで胸の高鳴りを覚える、そんなさやかの表情。

そして今、その表情は些か陰りを帯びている。
それは、別に失恋した訳ではなく、
当の上条恭介が入院してしまったから。

それも、将来を嘱望されたヴァイオリニストの卵である恭介が、
交通事故でまともに動かせない程に左手を痛めた。
その事にさやかは心を痛め、回復を祈っている。
まどかも又、二人の友人として

「………助けて………」

まどかは、CDの試聴を止める。

「………助けて………」
「?、?、?」

聞こえる。
余りのダイレクトさに、当初は試聴していたCDの音声かとも思ったが、
まどかは確かに聞いていた。
それも、頭の中に直接響く様な未体験の救援要請。
戸惑うのも当然だった。
9 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 02:57:59.34 ID:9L/CZpKL0

ーーーーーーーー

「まどか、こっちっ!!」
「さやかちゃんっ!」

まどかは、白煙と共に親友美樹さやかの叫びを聞いていた。
謎の声に誘われる様にショッピングモールからその改築エリアに侵入し、
そこで、半ばボロ雑巾と化した謎生物と、
それを追跡していたらしい謎の転校生暁美ほむらと遭遇した。

今朝、転校生として同じ教室で遭遇したばかりで
少々言葉も交わしているので謎と言う程でもない筈なのだが、

少なくとも今朝彼女が着用していた見滝原中学校のものとは違う学生服、
どう見てもコスチュームプレイの類に見える服装で
狐だか猫だかなんだかよく分からない謎の小動物を追跡している、
でもって虐待している疑いが濃厚なのだから
謎の転校生と言っても差し支えは無いだろう。

しかも、同級生として言葉を交わしたら
尚の事謎が深まるのが暁美ほむらだったりする。

少なくとも美樹さやかはそう受け取ったらしいが、
それでこちらに向けて消火器を噴射すると言う
相変わらずの有り余る行動力決断力にまどかは改めて感心する。
そして、さやかと共に文字通り逃走しながら、まどかは異変に気付いた。

「あれっ? 非常口は? どこよここっ?」

さやかも気付いたらしい、気付かない方がおかしい。

「変だよ、ここ。どんどん道が変わって行く」
10 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 03:01:19.76 ID:9L/CZpKL0

まどかもさやかも、彼女達、中学生に限らず、
実体験としてこの状況を言語化する事は簡単ではないだろう。
強いて言うならば、改装中の殺風景なビルディングを走っていた二人は、
いつの間にか、何やら不気味な絵画の中を思わせる、
そんな得体の知れない奥行き不明の空間の只中に存在していた。

そんな不気味な空間の中で、
まどかとさやかは更に不気味に何かに包囲されていた。
一見すると蝶々の様な。

但し、その大きさは少なくとも人間の子どもに匹敵するバカでかさ、
羽を使って歩行し髭の様な変な飾りがあり。

更に、その化け物蝶に加えて
自律行動するハサミやら鉄条網やらがうじゃうじゃと現れて二人に迫る。
まどかもさやかも、これが自分に対して友好的なファンタジーである、
と受け取る事は出来なかった。

「冗談だよね?
あたし、悪い夢でも見てるんだよねっ?
まどかっ!?」
「?」

叫ぶさやかの横で、まどかは何かを目で追っていた。
何かが二人の側を飛んで、ひゅんっ、と通り過ぎる。

「何、これ?」

さやかが発した問いへの直截な答えは独鈷、と言う事になるが、
生憎、それはさやかの語彙には含まれていなかった。
三口の独鈷が二人を囲み、一口が二人の真上に向かう。
次の瞬間、二人の周囲は衝撃波に飲み込まれたが、
二人は直接的な打撃を感じなかった。
11 :mita刹 ◆JEc8QismHg [saga]:2017/04/02(日) 03:04:50.24 ID:9L/CZpKL0

ーーーーーーーー

「何、これ?」

巴マミも又、問いを発した。
パトロール中、魔女の痕跡を察知して
改装中のエリアに侵入、魔女の結界に突入した。
そして、どうもまずい事になっているらしい、
と察知して救助を急いだ。

そこまでは割とよくある流れだった。
しかし、その地点に到着する少し前に強烈な攻撃が行われた。
そして、到着した時には、
桜花の余燼を僅かに残し、
獲物に群がっていた少なからぬ使い魔は見事に一掃されていた。

「危ない所だったわね」

抱き合って震えていた二人の後輩に、マミは声を掛けた。

「その制服、あなた達も見滝原の生徒なのね。二年生?」
「あなたは?」
「自己紹介したい所だけど、今はそれどころじゃないわね。
使い魔は魔女と一緒に引っ込んだ? 確かめなきゃいけない事がある」

ぶつぶつ呟く先輩を、まどかとさやかは怪訝そうに眺める。

「弱まってる今なら、あっちに逃げたら逃げられるから。
後でお話ししましょう」

そのまま、マミは結界の奥へと走り去った。

(新手の魔法少女? 確かめないと………)

「うひゃあっ!!」
「さやかちゃんっ!?」

まどかがさやかの視線を追うと、そちらでは長く艶やかな黒髪が翻っていた。
まどかは何かを言おうとしたが、
取り敢えず、たった今告げられた先輩からの助言を
正反対に無視して突っ走るさやかを追跡するのが先だった。
867.37 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)