恭介「どうすりゃいいんだ……」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/20(日) 22:54:47.43 ID:pO6ycRTJ0


食堂

ガヤガヤ……

来ヶ谷「そういえば美魚君。昨日撮っていた写真だが……」

美魚「ええ、整理がつき次第皆さんに配布しようかと」

鈴「謙吾、おかずなくなった」

謙吾「またか?よく考えずに食うからだ……ほれ、一切れだけだぞ」

真人「あ、俺も……」

謙吾「貴様は米だけでも食えるだろーが!」

理樹(いつものようにリトルバスターズのメンバーでささやかな朝食を済ませている最中、それは何の前触れもなく発表された)

恭介「あっ、そうだ。この間、商店街で草野球をしてる知り合いのおっさんと話が弾んでさ、2週間後にそこのチームと試合する事になったぞ!

理樹「………!?」

理樹(朝食の味噌汁がもう少しで口から溢れる所だった)

ガタッ

クド「わ、わふー!?」

葉留佳「し、試合ですカ!?」

来ヶ谷「はっはっはっ。相変わらず気が早いな恭介氏は」

小毬「ほぇ〜練習頑張らなきゃ」

謙吾「ちょっと待てっ!最近あまり練習してなかったくないか!?」

理樹「く、草野球チームって事はずっとやってる人達って事でしょ!?勝てる訳がない!」

真人「つーか恭介就活の方はいいのかよ?」

美魚「骨は拾います」

鈴「また勝手に決めてきたなバカ兄貴は」

恭介「ははっ!実戦こそ一番の練習さ。それにみんな運動神経いいんだから大丈夫だろ。多分いけるって」

理樹(僕を含めたリトバスメンバーから総ツッコミを受ける恭介だったが、それをサラリと交わした)

キーンコーン

恭介「おっと、もうこんな時間か。じゃあさっそく放課後練習だからよろしく」

理樹(そう言うだけ言うと恭介は颯爽とその場を去った)

全員「「「……………………」」」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1526824487
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/20(日) 23:14:35.08 ID:pO6ycRTJ0
放課後

グラウンド

理樹(実は冗談でした。と言う事はなく、練習は始まった)

恭介「よし!じゃあいつものように鈴はピッチャー、理樹は打席に入ってくれ」

真人「マジで試合するんだな…別にいいけどよぉ……」

理樹「恭介、こうなったら是が非でもやり遂げるからね……ある意味凄いよ」





カキーンッ

理樹「ふふっ、まだまだ甘い球だよ鈴……」

鈴「にゃにぃ…!?ならこれでどうだー!」

バシュッ

鈴「あっ!」

理樹「!」

理樹(その時、鈴が放った球は力み過ぎてすっぽ抜けたのかストライクゾーンから大きく離れて僕の方へ向かってきた)

鈴「危ない、理樹!」

理樹(鈴の制球力に安心しきっていたせいか避けるタイミングを完全に忘れていた)

理樹「やばっ……」

ゴンッ

鈴「理樹!!」

クド「わ、わふ!?どうしたんですか!」

恭介「理樹が球を頭にぶつけた!」

理樹(………………………)
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/20(日) 23:20:28.74 ID:pO6ycRTJ0
ダダダッ

真人「どうした!大丈夫か理樹!」

理樹「う、うーん……」

理樹(なんだか凄く頭が痛い……なんだ、真人が僕を抱えている……?)

恭介「良かった!意識はあるみたいだ……」

鈴「す、すまん……わざとじゃないんだ…」

理樹「な、なんの話……?」

理樹(よく見てみるとみんな体操服に着替えてグローブを持っていた。今、野球の練習をしていたのか……?)

謙吾「ううむ……やはり意識が朦朧としているらしいな……真人」

真人「ああ、一応このまま保健室に連れて行こう」

鈴「あたしも付いていく!」

理樹「ううん………」

理樹(そ、そうか……確か試合に向けて練習してたんだっけ……確か学校の各部長らを集めたチームと……)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/20(日) 23:42:57.60 ID:pO6ycRTJ0
…………………………………………



………………………



……

グラウンド

真人「ただいまー」

恭介「おう、それでどうだった?」

真人「しばらく安静にしてたら問題ねえってさ。だから今は部屋で休ませてる」

来ヶ谷「して鈴君は?」

真人「あー鈴が理樹を連れて行ってる。もう少ししたら戻るってさ」



理樹部屋

理樹「ありがと鈴…」

鈴「いや、あたしが悪いんだから当然だ」

理樹(そう言って濡れたタオルを絞る鈴に僕は自ずと惹かれていった。昔はよく恭介達と一緒に男の子みたいにはしゃぎ遊んでいた鈴がこうも健気な姿を見せると、そのギャップがとても可愛らしかった。まさかこうして僕と付き合うことになるなんて)

理樹「………」

理樹(思わず頭のひりつく痛みも忘れて鈴の頬を手で撫でた)

鈴「!?」

ダッ

理樹(すると鈴はビックリしたのか慌てて後ろに飛び退いた)

鈴「き、急になんだ理樹!」

理樹(思っても見なかった反応に少し傷ついた)

理樹「えっ……いや、ただ可愛いなと思って……ごめん。驚かせたよね」

鈴「なぁーー!?」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/20(日) 23:52:28.32 ID:pO6ycRTJ0
理樹(そういうと鈴はみるみるうちに顔を真っ赤にさせていった)

鈴「お、お前!なに言ってるのか分かってるのか!?」

理樹「えっ?ま、まあ……」

理樹(そんなに恥ずかしい台詞だったかな?それとも鈴はそういう事はまだ慣れてないだけとか?)

鈴「こ、こういうこと理樹にあんまり言いたくないけどな……急に触るな!きしょい!」

理樹「じゃあゆっくりだったらいい?」

鈴「それもダメだ!」

理樹(どうもガードが固い。付き合ってるんだからちょっとくらいいいのに)

理樹「僕らの仲じゃないか…」

鈴「じゃーお前は真人がお前に急にベタベタしたらどう思うんだ!」

理樹「うっ…」

理樹(一瞬、頬を染めて僕の頬を触る真人の光景が浮かび、鳥肌が立った)

理樹「い、いやそれとこれとは違うでしょ!」

鈴「一緒だ!」

理樹「いやいや…だって僕らは付き合ってるじゃないか」

鈴「……ん?」

理樹「えっ?」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 00:03:39.54 ID:jxt2OZyp0
鈴「な、なに言ってるんだ理樹……?」

理樹「いや、どうもこうも……ハッ!」

理樹(ま、まさか……もう僕とはやっていけないと暗に言っているのか!?急に調子に乗ってあんなスキンシップを取ったあまりに……)

鈴「あ、あたし達はそんな関係じゃない……だろ…?」

理樹「そ、そんな……」

理樹("もう"そんな関係じゃないだって____!?)

理樹「グスッ………」

鈴「!?」

理樹「ご、ごめん…鈴……」

理樹(情けないとは思っていても涙が自然と目から顎へ伝っていった。それらは止まることなく、むしろ勢いを加速させた)

鈴「な、なんで泣くんだ理樹!」

理樹「だ……だって……ちょっと触っただけで…そんなに嫌われるなんて思ってなくて……」

理樹(こんな形であっさりと終わるとは思っていなかった。これから恭介になんて言えば……)

鈴「あ………」

理樹「ごめん鈴……ちょっと……ちょっとだけ一人にさせて……」

鈴「……………」

理樹(……もう考えることも嫌になってきた。とりあえず寝よう。二度と起きたくもないけど)

鈴「ち、ちょっと……だけなら別に……」

理樹「えっ?」

鈴「ちょっとだけだったら別にいい。……理樹だけだぞ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 00:29:59.12 ID:jxt2OZyp0

グラウンド

恭介「遅いな鈴の奴……」

謙吾「ふっ、今頃、鈴の看病効果で理樹と良い感じになっていたりしてな」

恭介「まさか!まあ、兄としては鈴と理樹が付き合ったとしたらそれはそれで嬉しいが……はたしてキッカケもなしにそんな上手く事が進むものかね」

謙吾「"あっち"じゃお前がキッカケを作ったしな」

恭介「あそこで起こったことは言わない約束だろ!」


……………………………………………………………………


理樹「えっ……?」

理樹(思わず自分の耳を疑った。もはや全てを拒絶され、生涯僕の心のいばらとして想いを馳せる存在であり続けるのであろうと思っていた鈴が、僕に今……)

鈴「別に理樹は嫌いじゃない……それに今回はあたしが悪かったし……ええと…だから、理樹がそのままだとあたしも悲しい」

理樹「鈴!」

理樹(その時、僕はやっと鈴に許されたことを知った。正直言って、鈴が嫌がっているのであればもういきなりそういう事をしようなんて思わないが、今はどうしようもなく鈴を思いっきり抱きしめたい衝動に抗えなかった。変な意味ではなく、ただ鈴が愛おしかったのだ!)

ギューッ

鈴「うあっ」

理樹「鈴!」

鈴「り、理樹!別にいいとは言ったが……」

理樹「好きだ!大好きだ!もうこれからは気をつけるよ!だからこれからもずっと一緒にいよう!」

鈴「ふにゃ……!」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 00:30:35.70 ID:98xaUKmuo
古河ベーカリーズか
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 00:35:54.84 ID:jxt2OZyp0
鈴「そ、それって………」

理樹「いつか……今はまだ早いにしても、ここを出て、仕事を見つけたらきっと必ず結婚しよう!」

鈴「け、け、けっ!!」

理樹(鈴の顔が耳まで赤くなった)

鈴「もう良いだろ!」

理樹(鈴はそう言って僕の抱擁から離れた)

理樹「あ、ああ……ごめん」

鈴「れ、練習行ってくる!」

理樹(自分のグローブを慌てて引っ掴むと素早くドアの方まで行ってしまった。そしてそのまま出て行くかと思いきや、クルッと僕の方へ向き直り、聞こえるか聞こえないかギリギリの声でこう呟いた)

鈴「………待ってる」

バタンッ!
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 00:45:37.99 ID:jxt2OZyp0


理樹部屋

真人「具合の方はどうだー?」

理樹「えへへ…………大丈夫……」

理樹(その日はずっと幸福感に包まれていた。頭の痛さなんてもはや擦り傷ほども感じなかった。想い人にプロポーズし、それを受け入れられる。果たして人生でここまで報われる事があろうか?いいや、ない)

理樹「おやすみ〜」

真人「おやす……グゥ」

理樹(明日は一緒にお昼を食べよう。そう誓いながら今日も夜は更けていく)



………………………………………


……………………


……
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 01:08:53.63 ID:jxt2OZyp0
次の日



理樹部屋

理樹「グッ………!?」

理樹(その日の朝、僕はとんでもない頭痛に起こされた)

理樹「あ……あああ!!」

真人「どうした理樹!」

理樹(真人が心配したのか慌ててベッドから飛び起きて僕の側についた)

理樹「痛っ……頭が痛い!」

理樹(痛すぎて何も考えられない。まるで脳の血管に小さな針が流れ込んできたかのような鋭い痛みが駆け巡ってきた)

真人「ど、どうする!救急車を呼ぼうか……」

理樹(あと数秒でもこれが続くと僕はどうにかなってしまうだろう。そう思ったその時だった)

キンッ

理樹「ハッ……!」

真人「お……おい、どうしたんだよ?」

理樹「い、いや……」

理樹(嘘のように痛みが取れた。それも徐々に____ではなく、本当に最初からそんなものが無かったかのように)

理樹「……っつつ」

理樹(だけどその痛みの原因である頭の部分を触るとやっぱり少し痛かった……盛り上がりからして小さなタンコブが出来ていたようだ)

理樹「こ、これは……?」

真人「うわっ、タンコブになってるじゃねえか!また同じところぶつけたのか?」

理樹「え?ああ…うん。多分そう……かな?」

理樹(なるほど、おそらく寝ている間に頭を打ってタンコブが出来たんだろう。しかし何故真人は"またぶつけた"なんて言うんだ?別にここ最近ぶつけた覚えなんてないけど………)
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 01:20:58.11 ID:jxt2OZyp0
真人「大丈夫かよ…不安なら保健室に……」

理樹「いやもう痛みはないから大丈夫」

真人「そうかぁ?」

理樹「本当に大丈夫だから。………あっ、そうだった」

理樹(慌てて携帯を開いた。まだ午前7時、葉留佳さんとのモーニングコールはまだ間に合いそうだ)

プルルルルッ


……………………………………………………


葉留佳部屋

プルルルルッ

葉留佳「んぁ……?」

プルルルルッ

葉留佳「にゃんだぁ?こんな朝っぱらから電話する人は……?」


……………………………………………………

ガチャッ

葉留佳『ふぁい……もしもし……?』

理樹(さっきまで眠っていたのがよく分かる声が聞こえた)

理樹「おはよ〜モーニングコールだよっ」

葉留佳『えっ…あっ…り、理樹君?』

理樹(声の主が分かった途端、慌てて声の調子を整える咳が聞こえた)

理樹「ふふっ、起きた?」

葉留佳『ど、ど、ど、どうしたのいきなり!?』

理樹(びっくりして寝ぼけているのか、『あれから』僕らが交わした約束をすっかり忘れているらしい。口調もいつものものではなくすっかり真面目っぽい)

理樹「はははっ。もう、葉留佳さんが言ったんじゃないか」

葉留佳『えっ、なにを?』

理樹「ほら、僕ら付き合ったんだし朝はお互いのモーニングコールで起こし合おうって」

葉留佳『…………はぇ?』
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/21(月) 01:27:54.01 ID:jxt2OZyp0
頭をぶつけたショックで理樹はあの世界で鈴と付き合っていた過去と今を混合してしまっていた!
しかし次の日、理樹はまた謎の頭痛を食らい、今度は今を『葉留佳の願いを叶えた次の日』と思い込むようになる!
果たして理樹はどうしてしまったのか!

続く!(∵)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 01:47:10.50 ID:F/MiOIJmo
良いですね
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 02:18:40.85 ID:6TulPG1co
期待
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 19:15:41.10 ID:KqDThbmx0
非常に期待
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 22:09:57.88 ID:SfyH/pTO0
今日の深夜に更新する
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 22:38:43.77 ID:QmkqAkPjo
機体
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 02:57:06.76 ID:w1X+54oM0
葉留佳『……え、ええと……なんて?』

理樹「だからモーニングコールだって。付き合ってそうそうこんなんじゃ二木さんに告げ口しちゃうよ〜?」

理樹(少し意地悪な口調で言うと、それがよっぽど怖かったのか電話口でも分かるくらい動揺していた)

葉留佳『んなっ!え、え、えー!!?』

理樹「あははっ。冗談だよ…それじゃまた食堂…」

プツッ

理樹「ありゃ……」

理樹(電話が切れた。いったいなにがあったのだろう)

真人「おーいまだかよ理樹〜」

理樹「あ、ごめん。今行くよ」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 02:58:05.28 ID:w1X+54oM0


食堂

理樹(真人と食堂に行くと鈴が僕の元へ駆け寄ってきた)

鈴「あっ、理樹!」

理樹「やあ、おはよう鈴。どうかした?」

鈴「んーん」

理樹(そう言うと鈴は黙って僕の後ろにぴったり付いた)

真人「おーおー……」

理樹(その様子を見て真人が何か意味ありげな声を漏らす)

理樹「な、なにさ……」

真人「いーや別に」


……………………………

理樹(いつもの端っこのテーブルでは既にみんな席に座っていた)

恭介「おっす。おはようさん」

理樹「おはよ〜」

真人「ういーっす」

鈴「ん」

クド「ぐっどもーにんぐなのです!」

小毬「おはよ〜ございま〜す」

葉留佳「お、おはよ……」

来ヶ谷「ん、おはよう」

理樹(みんながいつも通りご飯を食べている中、一人だけぎこちなく箸を動かしている人がいた)

理樹「ふふ……」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 03:15:42.23 ID:w1X+54oM0
真人「よし、じゃあこっち座るか理樹」

鈴「待て、今日はあたしが理樹の隣に座る」

真人「ふっ……しょうがねえなぁ……」

恭介「今日はモテモテだな理樹!……ってあれ、どこ行った?」

理樹(葉留佳さんは僕が隣に座ってもまだ振り向いてくれなかった)

理樹「おはよ、葉留佳さん」

葉留佳「うん……」

理樹「もう、どうしたのさ。いつもの葉留佳さんらしくないよ?」

理樹(付き合ったばかりだからか妙に緊張しているようだ。こんなしおらしい葉留佳さんを見るのは初めてだ。なんだか、新鮮でとても可愛い)

葉留佳「だ、だって理樹君が急に変なこと言うからですヨ……付き合ってるとか…そういう冗談……」

理樹「えっ!」

理樹(どうやら葉留佳さんはさっき電話で言った冗談っていうのを変に誤解していたようだ)

理樹「あ、あはは!なに言ってるのさ!付き合う事自体は冗談でもなんでもないよ。葉留佳さんと離れるなんて考えられないよ」

理樹(みんなに聞かれるといじられそうなので最後の部分は耳打ちするように言った)

葉留佳「!!!」

鈴おい真人……なんで理樹が葉留佳と一緒に食べてるんだ?」

真人「俺にもさっぱり。……っていうか顔が怖えぞ鈴!」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 03:24:20.56 ID:w1X+54oM0
葉留佳「い、今の言葉本当……?」

理樹「そりゃまあ」

理樹(本当も何も既に僕らは付き合っていたものかと思っていたが……)

葉留佳「う、うえぇぇ………」

理樹「!?」

来ヶ谷「どうした!」

恭介「ん?」

理樹(その時、葉留佳さんが急に涙をポロポロとこぼし始めた。あまりに突然の事だった)

クド「わ、わふー!?な、なにかありましたか!?」

美魚「直枝さん………」

理樹「ぼ、僕!?」

葉留佳「うへへ……グスッ……いや……ごめん、なんでも……ぐふっ……」

小毬「な、泣きながら笑ってるの?」

鈴「ど、どーゆー事だ真人!?」

真人「だから俺に聞くなって」

理樹「と、とりあえず外に出る!?」

葉留佳「ズビッ……うん……」

理樹(ギャラリーが増える前にそそくさと葉留佳さんの腕を支えながら裏庭の方に行った)
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 03:42:34.11 ID:w1X+54oM0
……………………………

…………………




裏庭

理樹(ベンチに座って葉留佳さんが話を出来る状態になるまでしばらく待った)

理樹「葉留佳さん……」

葉留佳「え、えへへ……ごめんね…急に泣き出しちゃって…」

理樹(葉留佳さんは目を袖で擦るといつものような笑顔を僕に向けてくれた)

理樹「いや、そんな……」

葉留佳「あははっ、そっかぁ……私達、付き合ったんだね。はるちんちょっとお馬鹿だから気付いてなかったですヨ!」

理樹「葉留佳さんは馬鹿じゃないよ」

葉留佳「へへっ……」

理樹「……………」

理樹(僕は葉留佳さんが完全に落ち着くのを確認すると、なんとなく葉留佳さんの綺麗な髪をもてあそんだ)

葉留佳「ふふっ……」

理樹(葉留佳さんは黙ってされるがままに目を閉じた。それにしても葉留佳さんの髪はやはり柑橘系の良い香りがするな)

理樹「綺麗な髪だ」

葉留佳「もっと褒めて〜……」

理樹「ふふっ、欲しがりだな。葉留佳さんは」

理樹(しばらく頭を撫で続けると次は頬を撫でる事にした)

理樹「………」

葉留佳「………」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 03:56:21.34 ID:w1X+54oM0
理樹(すると葉留佳さんが目を開け、お互いじっと見つめる形になった。それと同時にこれはまずいな、と素直に感じ取った)

葉留佳「理樹君……」

理樹(葉留佳さんがただでさえ近い身体を更に近づけてきた。ここからの行き先は明らかだ。僕は素早く葉留佳さんの手を取ると、先手を取ってその手の甲に軽く口付けをした。葉留佳さんには悪いけどまだ朝だし、すぐに授業もある)

葉留佳「あ………」

理樹「さ……少しのんびりし過ぎたね。そろそろHR始まるよ」

葉留佳「う、うん!」

理樹(別に嫌だという訳ではない。むしろよく自制させた方だ。まあ、焦ることはない。明日や明後日でも、こういうのはのんびり距離を詰めていってやればいいんだから)



…………………………………………………………

教室

真人「おう理樹。それで三枝の奴はどうだった?」

理樹「いや、別になんともないよ。なんだか深夜まで起きていた疲れが出ていたみたい」

理樹(別に隠すことでもないけど、葉留佳さんとこういう関係になったというのはなんとなく皆に言いづらい。また時期を見て話そう)

真人「ほーん」

鈴「…………………」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 10:45:44.09 ID:D9AwGpuQo
ドキドキだな
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 21:22:49.94 ID:w1X+54oM0
昼休み

真人「ふぁああ……」

理樹「さて……」

鈴「なあ理樹、一緒にご飯食べよう」

理樹「ご飯?」

理樹(昼休みは葉留佳さんの所に行こうと思っていたけど……まあ鈴から誘われるのも珍しいし断るのも悪いだろう)

理樹「分かった。どこで食べる?」

鈴「うーん…中庭っ」

理樹「よし。じゃあワゴンでパンでも買って行こうか」







中庭

理樹(それぞれお気に入りのパンを抱えながら庭の雑草に座り込んだ)

鈴「なー理樹。今日の朝からなんか葉留佳と仲良いな」

理樹「えっ?」

理樹(鈴は自分の靴を見つめていた)

鈴「……なんか、ずっと話してた」

理樹(まさか中庭での事を聞いていたのかっ!?いや、それならこんな探るような反応じゃないはず。おそらく食堂での事なんだろうけど、それはそれでなんだかおかしい。別にそこまで喋っていた訳じゃないはずだ)

理樹「はは、そんな事ないよ……」

理樹(つい咄嗟にコトを隠してしまった。別に悪い事じゃないんだけど……)

鈴「そっか……」

スッ

理樹「!」

理樹(その時だった。なんと鈴が僕の腕に絡みついたのだ!)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 21:23:37.43 ID:w1X+54oM0
理樹「り、鈴!?」

鈴「ん……?」

理樹(果たして今まで鈴がこーゆー触れ合いを不用意にした事があっただろうか!いや、恭介にすら今までやってた覚えがない!)

理樹「どうしたのさ急に……う、腕を……」

鈴「別にいいだろ……」

理樹(さも当然だという風にそのまま僕の体を支えにして鈴は浅い休息につこうとしていた。鈴の髪から良い匂いがフワッと鼻をくすぐった)

理樹「だ、ダメだよこんな事しちゃあっ」

理樹(僕は理性があるうちに慌ててその手を退けた)

鈴「うにゃっ……な、なんだっ」

理樹「なんだじゃないよ。普通こういう事はただの友達にやっちゃいけないんだよ?」

理樹(鈴は恋愛事に全く興味がないとは思っていたがまさかここまで無頓着とは……こんな事を普通のクラスメイトにやろうものなら罪のない男子がどんどん犠牲になっていく事だろう)

鈴「と、友達だと!」

理樹(その時、鈴が声を荒げた)

鈴「お……面白くない冗談だぞ!」

理樹「いや、冗談もなにも……」

「あっ、理樹君。こんな所にいたんですカ……ってあれ、鈴ちゃんもいた」

理樹(ちょうど説明しようとすると、真後ろから声が聞こえた)

理樹「葉留佳さん」

葉留佳「二人ともおいっす〜。どったの?」

鈴「は、葉留佳……」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 21:33:26.66 ID:w1X+54oM0
葉留佳「あ、そうそう理樹君。放課後練習でしょ?それ終わったら2人で話したいな、色々と」

理樹(このままではまずい!)

理樹「あーっ、やばい!ごめん2人とも!先生から昼休みに教材運びの手伝いを頼まれてたの忘れてたよ!今から行ってくる!」

理樹(そう言うと慌ててその場から逃げ出した。どうしてこんな二股をかけた男みたいな事をしなくちゃならないんだろう)

ダダダダッ

鈴「……………」

葉留佳「……………」



……………………………………………………



……………………………



……
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 21:49:41.77 ID:w1X+54oM0


理樹部屋

理樹「はぁ………」

理樹(ベッドにようやく寝転べた。今日は色々と疲れる1日だった。鈴はどこか余所余所しいし、葉留佳さんに至っては事あるごとにスキンシップをしてくるし……まあ、これは嬉しい事なんだけど)

プルルルル

理樹「はい、もしもし?」

葉留佳『あっ、理樹君?』

理樹「ああ、葉留佳さんか。どうしたの?」

葉留佳「今日のお昼にも言ったじゃん!ちょっと話そうって」

理樹「ああそういえば……」

葉留佳「その〜実はなんですが、私達が付き合ってる事、もうちょっと秘密にしない?」

理樹「!」

理樹(なんと葉留佳さんも僕と同じ事を考えていたなんて。いや、僕の方は葉留佳さんが公表したいっていうならまったく構わなかったけど……)

理樹「それはまたどうして?」

葉留佳「いや〜まだ心の準備ってものがですネ……急に言ったらみんなも驚くだろうし、こういうのはちょっとずつそれっぽい雰囲気を出していって周りに察してもらってからそれとなく言った方が良いかな〜〜〜って」

理樹(なんだかよく分からないが、とにかくいきなりは嫌だって事らしい)

理樹「なんだか回りくどくない?」

葉留佳「ふ、普通はこういうものなんですヨ!」

理樹「ううむ。そういうものなのかな」

葉留佳「うんうん!だから2人で遊ぶのはちょっとだけ我慢、我慢」

理樹「分かった……」

理樹(まあ察せられるのもそう長くないだろう。僕自身よく顔に出るし、そもそも恭介や来ヶ谷さんはそういうのに鋭過ぎる節があるくらいだ)

葉留佳「じゃ、そういう事で〜……あっ、モーニングコールだけどやっぱりはるちんが理樹君を起こす時は起きれる自信ないからやっぱりいいや」

理樹「あはは……了解」

理樹(そして軽く世間話をしてから電話を切った。これから寂しくなると電話が中心になりそうだ)

ガチャッ

真人「ただいま〜」

理樹「おかえり。真人はこれから起きてる?」

真人「いや。俺もこのまま寝るぜ………眠い…」

ピッ

理樹(そんなこんなで今日も夜は更けていく………)


………………………………………………………



……………………………


30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 21:54:32.75 ID:w1X+54oM0
次の日



理樹部屋

理樹「グッ………!?」

理樹(その日の朝、僕はとんでもない頭痛に起こされた)

理樹「あ……あああ!!」

真人「どうした理樹!」

理樹(真人が心配したのか慌ててベッドから飛び起きて僕の側についた)

理樹「痛っ……頭が痛い!」

理樹(痛すぎて何も考えられない。まるで脳の血管に小さな針が流れ込んできたかのような鋭い痛みが駆け巡ってきた)

真人「またタンコブ打ったのか!?どれ、見せてみろ!」

理樹(あと数秒でもこれが続くと僕はどうにかなってしまうだろう。そう思ったその時だった)

キンッ

理樹「ハッ……!」

真人「な、なんだ?」

理樹「い、いや……」

理樹(嘘のように痛みが取れた。それも徐々に____ではなく、本当に最初からそんなものが無かったかのように)

真人「どれ……ありゃっ!もうタンコブは治ってるぞ!?」

理樹「えっ、タンコブ?」

理樹(真人が僕の頭をまさぐって驚いた。別にタンコブなんて今まで打った覚えはないけど……)

理樹「別にもう大丈夫だよ。ごめんね騒がせて」

真人「いや、まあ……理樹が良いっていうならいいんだけどよ……」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 22:10:16.28 ID:w1X+54oM0


食堂

理樹(いつもの端っこのテーブルでは既にみんな席に座っていた)

真人「おーす」

恭介「うい」

謙吾「おう」

理樹「おはよ〜」

鈴「……もぐもぐ」

クド「ぐっどもーにんぐなのです!」

小毬「おはよ〜ございま〜す」

葉留佳「おはよ〜理樹君!あと真人君も」

来ヶ谷「ん、おはよう」

美魚「おはようございます」

理樹(みんなでいつも通りご飯を食べている中、僕は西園さんの顔を見た。まるでいつも通りといった感じだ。僕はこんなにドキドキしなが来たって言うのに少し肩透かしをくらった気分だ)
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 22:23:23.61 ID:w1X+54oM0
理樹「おはよう。西園さん」

美魚「えっ?あ、はい」

理樹(思い切って西園さんだけに挨拶をしたがあくまで素知らぬ振りを決め込むようだ。この様子ではまるでただの友達と変わらない。………昨日、僕らが渚でキスをした事実がなければだが)

理樹「もう、そんなに素っ気なくしなくても……」

理樹(西園さんの隣に座ると、皆には聞こえないように言った。しかし相変わらずだった)

美魚「別に、いつもと変わりませんけど……どうかされたんですか?」

理樹(なるほど。ようやく分かったぞ!これは西園さんなりの冗談なんだ。こうやってあえて冷たくしてからかってるんだろう)

理樹「はは、またまた……あ、そうだ。昼休みは一緒に食べない?校舎の裏に静かな良い場所があるんだよ」

美魚「そうですね。考えておきます」

理樹「よし!」

葉留佳「……ねぇねぇ、2人ともなんの話してるのー?はるちんも混ぜて混ぜてー!」

理樹「ああ、いや大した話じゃないよ!」

鈴「…………」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 22:36:35.30 ID:w1X+54oM0
校舎裏

理樹(なんだかんだでやっぱり来てくれた。西園さんのそういうところが好きなんだよな)

美魚「……確かに静かで良い所ですね」

理樹「でしょ?滅多に人も来ないし昼寝をするにはぴったりだよ」

美魚「2人で昼寝するために来たんですか?」

理樹「まさか!さあ、とりあえず食べようよ」

美魚「はい」

理樹(西園さんは自分でお弁当のサンドイッチを持っていた)

美魚「モグ……」

理樹(静かなランチだった。僅かに吹く風と布の擦れる音だけが僕らを取り巻いている。至福の時間だ)

美魚「……食べないんですか?」

理樹「おっと、そうだね」

美魚「………パクっ」

理樹(……………)

理樹「……西園さん。食べてる姿も綺麗だね」

美魚「ゴッフ!?」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/24(木) 22:47:51.33 ID:w1X+54oM0
続く(∵)
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 23:31:20.78 ID:2IEem+zOo
超期待
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/25(金) 01:18:57.15 ID:Ay3lNsiP0
ありがとう
もう少しペースを上げれるよう努力する
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 21:07:48.27 ID:m/Q5kO/bo
まだ?
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/09(土) 23:39:41.95 ID:Cayvhta20
美魚「ゲホッ…ゲホッ……!い、今のはどう言う意味ですか?」

理樹「いやなに。素直にそう思って」

理樹(西園さんは顔を赤らめた。そう言うところも可愛い)

美魚「……わ、私に言っているのなら直枝さんの見方を変えなければなりませんね」

理樹「えっ!?」

美魚「急に女性に対してそういう勘違いさせるような言葉を使うのはやめた方がいいですよ」

理樹(そう言って西園さんはいそいそと水筒のお茶を飲み始めた。やめたほうがいいだって?勘違いさせるも何もキスまでしたのに、そんなまるでただの友達に向かって急に言われたような口振りをされるとは思わなかった)

理樹「………まさかこの期に及んで僕と恋人になってくれないの?」

美魚「ングッ!?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/09(土) 23:41:36.42 ID:nZHFMsVho
来た!信じてたぜ!
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/09(土) 23:53:40.51 ID:Cayvhta20
美魚「けふっ……けふっ……!」

理樹「さっきから大丈夫?」

理樹(そういうと西園さんは恨めしそうな目と静止の合図の手をこちらに向けた)

美魚「ごふ………。さっきからいったい何を言いだすんですか直枝さんっ」

理樹(普段滅多に感情を露骨に出さない西園さんが、微かだが声を張り上げた)

理樹「それはこっちの台詞だよ!逆になんで付き合ってくれないの!?」

美魚「今までそういう風な雰囲気を漂わせた気はないのですが……」

理樹(僕も負けじと声を上げると今度は少し困ったような顔をされた)

理樹「そっか……西園さんにとって『ああいう事』はどうでもいい事なんだ……」

美魚「えっ?」

理樹「結構僕だって頑張ったんだけどな……いいよ。西園さんが別になんとも思ってないなら……」

理樹(西園さんにとって僕の勇気を振り絞ったキスは本のしおり程の価値もなさそうだ。つまりあれくらいで付き合った気になるなという事なんだろう)

美魚「"ああいう事"……"頑張った"……ま、まさか!」

理樹「なにさ?」

美魚「確かに直枝さんは命の恩人です……ですがそういう事を盾に言い寄られるとは思いませんでした」

理樹「命の恩人……?よく分からないけど普通誰だってあそこまでやったらちょっとくらい期待するよっ!いや、むしろ期待しないほうがおかしい!」

理樹(そう熱く語った瞬間、西園さんの顔はなんだかそう、凄く冷めていた)

美魚「………………」

理樹「に、西園さん?」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/10(日) 00:00:32.84 ID:mfGxcpDe0
美魚「まだ、私は断るとは言っていませんし、まだ考えるつもりではありました。……でも、あなたのその答えには正直言って幻滅です」

理樹「ええっ!?」

理樹(なにが起こったのかよく分からない。僕はただデートしたりキスしたりしたなら付き合ってほしいと言っただけなのに。今の彼女の眼光はこれまで見てきた人のどんな顔より恐ろしかった)

美魚「………いいでしょう。恩は恩です……今日の夜、私の部屋に来てください。そしてその代わり私との縁は明日の朝までにしましょう」

理樹「ど、どういう事!?」

美魚「はっきり言って、こんな貴方を見たくありませんでした。さようなら」

理樹(そう言って西園さんは黙ってその場を去っていった)

理樹「ええ…………」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/10(日) 00:19:01.90 ID:mfGxcpDe0
放課後

理樹(何はともあれいつの間にか授業も終わり、夕焼け小焼けな時間になってしまった。それまではずっと西園さんの言っていた最後の言葉の意味を考えてみたがやはりよく分からなかった。たとえ僕が知らずのうちにデリカシーに欠けた発言をしていたとしてもあれ程の事を言われるようなものなのか?)

理樹「ううん……」

真人「おーい!早く帰ろうぜ理樹!明日から練習するんだからさっさと食ってさっさと寝ようぜ」

理樹「あ、うん!ごめん、ちょっとぼうっとしてたよ」

理樹(何はともあれ今の僕に出来ることはただ西園さんに言われた通り、夜に部屋へ行く事だ。それで謎が解決するかもしれない)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/10(日) 01:23:56.02 ID:wjQIrtcn0
女子寮

女子生徒「そう言えば知ってる?最近野間がまたホームラン打ったんだって〜」

女子生徒「えーウッソー!」

理樹「ハァ……ハァ……」

理樹(西園さんはさも当たり前のように僕へ部屋に来るように言っていたが、そもそも女子寮は男子生徒の出入り禁止であり、万が一見つかれば鬼の風紀委員……つまりは二木さんらに世にも恐ろしい"懲罰"を受けるという。これはなかなか難易度の高い要求だ)

理樹「……ブルルッ」



………………………………………



理樹(そんな訳で慎重に慎重を重ね、結局1時間後に西園さんの部屋にたどり着いた。ドアノブを回してみると確かに彼女が言っていたように鍵は開いていた。音は出せないので失礼ながらノックはせずに入った)

ガチャッ

理樹「お、お邪魔します……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/10(日) 02:03:37.82 ID:mfGxcpDe0
美魚「ブツブツ……大丈夫…大丈夫……」

理樹(扉を開けた時、西園さんはパジャマ姿でベッドの上に背を向けて座っていた)

理樹「あ、あの……」

美魚「っ!」

理樹(僕が声をかけてようやく来たのに気付いたのかビクッと身体を震えさせてこちらを素早く振り向いた)

美魚「……………」

理樹(暗くて表情はよく見えなかったが、とにかく僕の方から声をかけるべきなのは分かった)

理樹「………隣、座ってもいいかな?」

理樹(まずは2人でちゃんと話をしなければ)

美魚「はい……」

理樹(扉を閉めた事で光源が月の光のみとなった。余計に視界が悪くなったのもあり、僕は興奮させないようゆっくり西園さんの元へ歩いて行った)
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 02:44:56.41 ID:Rsd29aIb0
続く
ここのところ忙しくてな。遅れて悪かった
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/10(日) 09:11:04.86 ID:f2zmyG7ko
野間野間イェイ
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/12(火) 22:32:34.84 ID:uSIo2awz0
理樹「あの〜本当に今回は申し訳ないことをしたようで……」

美魚「前置きはいいです……さっさと始めてください」

理樹(『始めてください』どういう意味だ?……ハッ!まさか……)

………………………………………………

美魚『ゴタクは良いからとっとと誠意を見せてください』

理樹『ごめんなさいごめんなさい』

………………………………………………

理樹(こーゆー事なのか!?)

美魚「……………」

理樹(だとしたらどうやって見せればいいんだろう。やはりここは土下座……僕がいったいどんなポカをやらかしたのか分からないがこれが一番に決まってる!)

理樹「分かったよ。西園さん……」

美魚「ゴクリ……」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 00:26:16.44 ID:41c6NeXJo
寝落ちかな
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/16(土) 23:07:53.50 ID:kv4+1TpS0
すまん。御察しの通りだ
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 23:20:42.88 ID:kv4+1TpS0
理樹(僕は西園さんの前に立つと、そこからゆっくり土下座の構えをとった)

理樹「この度は本当に申し訳ありませんでした!」

美魚「……………どういう意味ですか?」

理樹(今は床に伏せているため、顔は分からないが恐らくびっくりするほど怒っているに違いない)

理樹「そ、その……西園さんにとても酷い事を言ったかもしれないけど僕はまったくもって悪気は無かったというか……ええと……」

美魚「あの…よく分かりませんが、もう私達の中では何も起きないという事でよろしいのでしょうか?」

理樹(西園さんの一言に思わず顔が上がった。もはや前のように友達のままでいましょうという事なんだろう)

理樹「えっ!?いやいやいや、それは嫌だ!僕はこれからも西園さんとはこういった関係を続けたいよ!」

美魚「そ、それは嫌です!不潔です!!」

理樹「ええー!」

美魚「最初の取り決めでいきましょう。私はもう寝ますから直枝さんも入ってきてください。あとは直枝さんの好きになさったらいいでしょう」

理樹「えっ、ええっ!?僕がそこに入るの!?」

美魚「はい。もうこれ以上私からは何もいいませんから!」

理樹(そう言って西園さんはベッドで寝転んでしまった。な、なんで急に西園さんは添い寝しようだなんて言い出したんだ?)
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 23:38:13.40 ID:kv4+1TpS0
理樹(本来ならそう言われたからといって、おいそれと入ったりはしないんだけど今回は場合が場合だ。ここで怖気付いて帰ったりなんかすればますます西園さんとの距離は空いてしまう……ここは覚悟を決めて行くしかない)

理樹「じ、じゃあお邪魔します……」

美魚「……っ」

理樹(ふかふかなベッドだった。さっきまで西園さんが座っていたところが妙に暖かい。ベッドに入ってもお互いに何も言葉は交わさず、ずっと静かなまま長い時間が経ったが、西園さんがまだ起きているであろう事はなんとなく分かった。あんまりに静かなんで時計の針の音まで意識出来るくらいだったが、おそらく向こうも僕が起きている事には気付いているだろう)

……………………………………………………

理樹(西園さんの背中を見つめること数時間、流石に僕も眠気の限界が来た。いったい何をどうすれば正解なのかまったく分からないままだったが、もはや僕のマナコは鉛のように重たくなっていた)

理樹「………………」

バタッ


…………………………………………


……………………


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 23:46:41.40 ID:kv4+1TpS0
次の日



理樹「グッ………!?」

理樹(その日の朝、僕はとんでもない頭痛に起こされた)

理樹「あ……あああ!!」

美魚「ど、どうしました!?」

理樹(西園さんが心配して慌ててベッドから飛び起きて僕の近くに寄った)

理樹「痛っ……頭が痛い!」

理樹(痛すぎて何も考えられない。まるで脳の血管に小さな針が流れ込んできたかのような鋭い痛みが駆け巡ってきた)

美魚「き、救急車を呼んで来ましょうか!?」

理樹(あと数秒でもこれが続くと僕はどうにかなってしまうだろう。そう思ったその時だった)

キンッ

理樹「ハッ……!」

美魚「な、直枝さん……?」

理樹「あ、あれ…?」

理樹(嘘のように痛みが取れた。それも徐々に____ではなく、本当に最初からそんなものが無かったかのように)

理樹「……っていうかここは!?」

理樹(痛みの方も恐ろしかったが、それより今の状況の方が謎めいていた。何故西園さんがここにいるんだろう?)

美魚「だ、大丈夫ですか?ここは私の部屋ですよ」

理樹「に、西園さんの部屋!?なんで僕が!」

美魚「え、ええ?」

理樹(よく見ると西園さんはパジャマ姿だった。なんだかとても見てはいけないものを見てしまったような感覚だ)

理樹「ご、ごめん。何があったのか知らないけどとにかく出るよ!」

理樹(僕が寝ている間に誰かに担ぎ込まれたのか、はたまた夢遊病で西園さんの部屋に来てしまったのか、とにかくここにはいられない)

美魚「あっ、直枝さん…!」

バタンッ
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/17(日) 00:18:11.96 ID:h6dR2RVA0
理樹「うう、なんで女子寮にいるのか分からないがとりあえず脱出しなくては!」

理樹(しかし、あいにく今の時間は朝食や朝練から帰ってくる学生らと丁度重なる時間。今日は学校はないとは言え、生徒は多かった。廊下を一つ曲がるたびに女子がいる)

ガヤガヤ…

理樹「……くっ!」

理樹(西園さんの部屋を慌てて飛び出したのは少しまずかった。訳を聞くのを忘れてたし、せめて人がいない時間を見計らうべきだった。だがもう後の祭りだ。今更引き返せない)

理樹「さささ!」

理樹(女生徒の死角から死角へ素早く移動していったが、それにも限界は起きる)

ドンッ

理樹「おっとと……」

女生徒「いたた…」

理樹(曲がり角で生徒とぶつかってしまった)

理樹「ご、ごめんなさい」

女生徒「いえ、私の方こそ……って…な、なんでこんな男子生徒が!?」

理樹「い、いや、こ、これは……!」

女生徒「誰か捕まえてー!」

理樹(その一言で辺りの女性が一斉に振り返った)

理樹「やばっ!」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/17(日) 00:39:16.27 ID:h6dR2RVA0
…………………………………


ダダダッ

女生徒達「「「待てー!!」」」

理樹「ご、ごめんなさいぃぃぃ!!!」

理樹(西へ東へ縦横無尽に駆け巡る羽目になった。逃げれば逃げるほど他の女子に見つかり、今や僕を追いかける人は何十人にも増えていた)

理樹「く、くそ……朝ご飯も食べてないしそろそろ僕の体力にも限界が……」

「こっちよ」

理樹(ちょうど曲がり角を曲がった時、近くから声がした。部屋の扉が開いており、どうやらそこからの声らしかった。僕はそこから伸びる手にすがるように飛びついた)

ガシッ


………………………………………

???部屋

バタンッ

理樹(僕が部屋に入ると、他の人達に見つかる前に素早く扉は閉められた)

理樹「はぁ……はぁ……いやぁ、助かったよ…一時はどうなるかと……」

「『助かった』?申し訳ないけど今のあなたの状況はその逆よ」

理樹「えっ」

理樹(その声には聞き覚えがあった。いや、ないはずがない。それは僕の愛する恋人、二木さんの声だったからだ)

佳奈多「ふっふっふっ…覚悟しなさい。あなたは袋の鼠よ」

理樹「佳奈多さん!」

佳奈多「か、かな!?」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 06:03:33.47 ID:asG6ekmK0
かなちゃん
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/17(日) 16:53:28.58 ID:PKem1J8Eo

冷静にこの理樹君やべー奴だな
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