【安価】 勇者「仲間とヌチャヌチャしたいから旅をする」

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98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 17:42:19.02 ID:3ubKW9DYo

勇者「いてて……」


レベルが上がったことで少し力が漲るようになった気がしなくもないが、そんなことよりもさっきメラを受けた左腕が痛んで全くテンションが上がらない


勇者「ねえわ……マジねえわ」

勇者「頻繁に使うとマジ疲れんだぞ……ったく」


『治』


それを左腕に書くと、火傷となっていた腕、そして黒焦げになった服が元通りになった

左腕を軽く回し、痛みがないことを確認すると疲れたように仲間たちの元へと戻る


魔法使い「……遅い」

勇者(……厳しいっすね)

99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 17:47:04.82 ID:3ubKW9DYo

…………………………………………

勇者「ヴォゥエエェェェェ疲れたぁぁぁぁぁ!!」

女騎士「なんだその声」

魔法使い「……汚い」

勇者「少しは労えってんだよ。 お前らも馬車くらい引けるようになれよ!」

エルフ「あはは…… ありがとね勇者」


やっとの思いでついたのは小さな村
いや、村と呼んでいいのかも分からない小さな集落だ

それでも宿屋くらいはあるだろう。 どんな家だろうと野宿なんかよりは百倍マシだ
魔物を警戒し、外にずっと身を置いているのは想像以上に堪えるものだ

正直馬車引いて魔物と戦って野宿っていう1日で心が折れかけていた

100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 17:53:26.29 ID:3ubKW9DYo

勇者「こんちゃーっす」


農作業をしていた村人に声をかける


村人「あぁ、これはこれは…… 旅人さんですかぃ?」

勇者「うーっすそうでーっす」

村人「そうですか……」

勇者「……あ?」


なにやらあまり歓迎されていない雰囲気を感じ、首を傾げてしまう
おいおい変な話だ、俺まだ何もしてないぜ? っていうか勇者様だぞゴラ


勇者「あのーすんません宿屋ってあります?」

旅人「あぁ……あっちです」


顎で方向を示され、さすがにこちらもカチンとくる


勇者「なんだコイツ……」

女騎士「おい、勇者」

勇者「あぁ? んだよ取り込み中だ!」

魔法使い「……たいして取りこんでない」


女騎士に声をかけられ妙な事に気がついた
あちこちから視線を感じる。 それはまるで招かれざる客が来たみたいな雰囲気すら感じるほどに


勇者「あー…… あー?」

魔法使い「……歓迎されていないみたい」

エルフ「辺境の村々にはたまにあることだよ。 この村はあんまりよそ者を歓迎しないのかも」

勇者「めんどくせぇ…… なんでもいいよ宿屋にいけりゃーさ」

女騎士「夜襲かけられないといいけど」

エルフ「やめてよ縁起でもない!」

101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 17:56:33.53 ID:3ubKW9DYo

「おい、そこの兄ちゃん」


誰かに声をかけられ振り返ってみるとそこには6歳くらいの男の子がいた
とても子供らしい気に食わないものを見る正直な目をしている
それが気に食わないんだけどな! お前俺様を誰だと思ってんだ?


男の子「おい! 聞いてんのかよ!」

勇者「んだようるせぇなチビ! 俺を誰だと思ってんだ!」

男の子「知るか!」

勇者「知らねえのかよ!」

男の子「知るわけないだろ馬鹿じゃねえの!?」

勇者「はぁ!? 馬鹿とか言うな馬鹿!」


女騎士「なぁ、なんであいつ子供とマジ喧嘩してんだ?」

エルフ「どっちも子供だねぇ」

魔法使い「……はぁ」

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/09(水) 17:57:33.15 ID:vxjKHHeDo
疲れて機嫌が悪いんだね
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:00:51.30 ID:3ubKW9DYo

勇者「で、何の用だクソガキ」

男の子「あんたたち、冒険者だろ」

勇者「じゃなきゃ何に見えんだ? 女神様にでも見えんのか? 目腐ってんのかっつぅの」


ギリッと歯を食いしばって睨みつけてくる男の子に少したじろぐ
やべ、言い過ぎたかな。 なんて思いながら半歩下がってしまう自分の気の小ささに恥ずかしくなってくる


男の子「冒険者はみんなそうだ! そうやって人を見下してひどいことばかりする!!」

勇者「はぁ? なんの話だ。 お前こそいきなり噛みついてきて田舎の子供ってのはみんなこう馬鹿なのか?」

男の子「……うっ……くそっ……」ボロボロ

勇者「ってえぇー…… 泣くことねえだろ」

男の子「泣いてねえよばかぁ…!」

エルフ「…………」

魔法使い「……あーあ」

女騎士「さいてーだな」


えー……
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:07:28.82 ID:3ubKW9DYo

大の大人が子供にマジ謝りしながら話を聞いていると、どうやら最近この村に冒険者が立ち寄るらしい
厄介なのがその冒険者は品物を強引に値切ったり、持っていったりとかなり好き放題やっているそうだ

悔しそうに歯を噛み締めながら語る男の子には同情する


勇者「冒険者っつっても所詮は人間だろうが。 そんなの村人総出で追いだせばいいだろ」

男の子「それが出来たら苦労しないよ。 あいつらすっごい強いんだ」

男の子「もし怪我人を出すくらいなら耐えようってみんなが……」

勇者「ふーん」

魔法使い「……気の毒」

女騎士「そうだな、私としては助けてやりたいところだが」チラ

勇者「そんな目で見るなよ…。 俺らには関係ない話だろ? ていうかそんなに強いんだったら俺らがどうにか出来る問題じゃねえって」

エルフ「そうかもしれないけど…」

勇者「デカい街から兵隊でも連れてきてもらうしかねえだろ? それかもっと腕の立つ冒険者にでも依頼するんだな」

男の子「そ、そんな! 助けてくんないのかよ!」

勇者「馬鹿言うな。 なんで俺が無料働きしなきゃなんねえんだよ! こっちは疲れてんだっての」

男の子「畜生…… 冒険者ってのはこれだから嫌いなんだ……!」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:15:03.47 ID:3ubKW9DYo


バギィィッ!!


宿屋に向かって歩いていると、突然木が割れるような大きな音が響く

とりわけ耳のいいエルフが驚きのあまり思わず飛んでいたのに少しクスリとする


エルフ「な、なに!?」

女騎士「おい、みろ!」


その大きな音がした方の家から誰かが吹き飛ばされてきた
その異様な光景に俺はドン引きする


「ぐあぁぁ……!」

「あんだとぉ? もういっぺん言ってみろぉ〜?」

「おいおい、あんまり手荒なことはしたくないんだけどなぁ? 分かる? スマートに行こうよ」


リンゴをかじりながら出てきたデブと、櫛で髪をとかしながら現れた高身長で細身の男の二人
なんかいかにもーって奴らだな


男「こ、これ以上は…… こちらも限界なんです…!」

デブ「あんだとぉ〜? 僕がリンゴを寄越せって言ってるんだぞぉ〜?」


地べたに這いつくばりながら悶える男の顔面をデブが蹴り上げる
少なくない鮮血が当たりに撒き散り、それを見ていた村人たちから悲鳴があがる


勇者「田舎の三流ヤンキーかよ……」

エルフ「た、助けなきゃ!」

女騎士「待て、あいつらふざけた身なりだが隙がないぞ。 もっと慎重に…!」

勇者「ふぁぁ……興味ねえ」

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:20:47.78 ID:3ubKW9DYo


男の子「やめろぉー!!」


先ほど俺が散々泣かした男の子が走り寄る
おーやるじゃんあいつ。 よっぽど傍観してる他の村人たちより男気あるよ、うん



櫛男「ん? なんだい坊や? そんな大きな声を出して、スマートじゃないな」

男の子「父ちゃんをいじめるな糞冒険者共!!」

櫛男「はぁー……全くなんて汚い言葉づかいなんだ? もっとエレガントな言葉を使いなよ、少年」

男の子「出ていけ! お前らのせいで村のみんなが苦しんでるんだ!!」

櫛男「ふーん」

デブ「お、俺、もっとリンゴ食いたい!」

櫛男「後でにしようぜ。 まずはこの少年をどうするかだ」

デブ「お、俺らにたてついた! 俺がリンゴ食いたいって言ってるんだぞぉ〜?」

男の子「お前らに食わせるリンゴなんかない! 帰れ!!」

櫛男「……もううるさいなぁ、君」


パァン!
とここまで聞こえるほどの平手打ちが男の子の顔に見舞われた
そのまま尻もちをついてもキッと睨みつけるあたりなかなか見所あるなあいつ

107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:27:34.21 ID:3ubKW9DYo

男「お、お願いします冒険者さん! 息子、あの馬鹿を助けてください!」

勇者「えぇー興味ないって」

男「私らではどうしようもないんです! だ、だけど外に助けを求められるほど金も時間もないんだ!!」

勇者「馬鹿言ってんじゃねえよ。 無償の正義なんかあるわけねえだろうが」

勇者「そんなもんは馬の糞の中にもねえよ」

男「くっ……!」

勇者「あるとしたらそれは勇者とかいうふざけた野郎だけだろうな」

勇者「勇者なんて、どうせただの大馬鹿野郎だぜ?」

男「そう、だな…… 勇者はまだ……始まりの街で修業をしていると聞くし……」

男「そうだ…… 無償でなければ、いいんだろう?」

勇者「は?」

男「うちの店に出来ることならなんでもする! 素材さえあれば無料で武器や防具を作ろう!」

勇者「あーいいっていいってそういうの。 興味ねえから」

男「くっ……そうか。 仕方がないな、これは私たちの問題だ。 巻き込んで悪かった」

勇者「…………」


女騎士「おい、勇者。 そろそろだ」

エルフ「そうだよ、助けてあげようよ」

魔法使い「……勇者」

男「勇者……?」

勇者「おっさん、無償の正義なんてものはこの世には勇者くらいしかやらねえって言ったけどよ」

勇者「よかったな、俺がその勇者様だ」

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:36:07.41 ID:3ubKW9DYo


デブ「お、お前、覚悟は出来てるんだろうなぁ〜?」

男の子「帰ればかやろー!!」

櫛男「Oh.耳がつんざくんだよ。 スマートにいこうって言ってるだろう?」

デブ「す、少し、だまれぇ〜!」


まさに殴られるその瞬間、誰もが息を飲んで目をつむる


「ぐごえぇぇ〜!!?」


だが殴られたのは男の子ではなく、デブ張本人
しかも殴られた所ではなく、地面がまるで拳のように突き出てきたのだ
バカみたいな質量がいきなりぶつかってきたのだ、ただで済むはずがない

俺が書いた文字は『殴』

へぇ地面に当てれば地面が殴ってくれるのか、有能すぎんだろこれ


櫛男「お、おいどうした!?」

デブ「…………」ピクピク


勇者「おいおい、やめとけってあんたら」

櫛男「なんだお前!?」

勇者「そんな子供寄ってたかってさー? 恥ずかしくねえの?」

勇者「まぁ、俺さっきそのガキ泣かしちまったんだけどさ」

男の子「に、兄ちゃん!? なんで!?」

勇者「あぁ? 言ってなかったっけ?」

勇者「俺様は勇者だからな助けてやるよ」

勇者「ナイスガッツだったぜ糞ガキ。 あとは任せろ」

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:45:56.87 ID:3ubKW9DYo

櫛男「お前が弟をやったのか?」

勇者「そうだぜぇ? ほらほらかかってこいよぉおっさん」

櫛男「おっさんじゃない! 俺はまだピチピチのナインティーンだ!!」

勇者「うっそ俺の一個上? 老けてんなぁ」

櫛男「黙れぇぇぇ!!」


櫛男が剣を抜き、一気に踏み込んでくる
なるほど結構な速さだが、こいつの剣、いや、身体ごと飛び越え、宙返りをする
やべ、俺今の動きかっけぇ


櫛男「子癪な!! 俺よりエレガントな動きをするんじゃない!」

勇者「俺が言うのもなんだけどうるせぇなぁお前!」


懐から投げナイフを取り出し、櫛男めがけて投擲する

一直線に櫛男に飛んでいくが、読みやすい軌道だからこそ簡単に剣で弾かれてしまう


櫛男「そんなものが効くとでも思ったか? スマートじゃないね」

勇者「そう?」


ザクッ!!!


櫛男「ぐあぁ!?」

櫛男「な、何故だぁ!?」


あらかじめ投げる前にナイフに文字能力を仕込んでおいた
書いた文字は『必中』

二文字の大きな魔力を消費してでも文字能力の効果を高めることは大きい
前にこの『必中』で検証したことがあった

的に向かって『当』と書いたナイフをなげると確かに一直線にナイフは跳び、刺さった
しかし遮蔽物やなにかに当たってしまった場合、このナイフは目標に刺さることは無かったのだ

そこで二文字の『必中』
これを試したところ、遮蔽物を避け、また何かに当たってもそのナイフは軌道を修正し当たったのだ

二文字は魔力消費が大きい代わりに文字の持つ意味を叶える力を増幅させることを俺は知っていた


勇者「残念だったな、三流ヤンキー」

勇者「お前じゃ俺様には勝てねえよ」

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:50:14.98 ID:3ubKW9DYo

櫛男「ぐぅ……ッ!」

額に脂汗を浮かべうめき声をあげる


勇者「ははっ全然スマートじゃねえな」

櫛男「だ、黙れくそがぁー! 舐めるなぁ!」

勇者「おいガキ」

勇者「こいつ、どうしてやりたい?」

男の子「え?」

男「へへっ、そうだな…… そのうざったい髪の毛を無くしてやりたい!」

勇者「そいつはナイスアイディアだ」


やっとの思いで立ちあがってきた櫛男の頭に向かってやはり文字を飛ばす


『燃』


それが頭に到達するや否や髪の毛がよく燃える燃える


櫛男「ああああ!!! 熱い!! 熱いいいいいい!!!」

勇者「あっははは!! ざまぁねえなぁ!!」

男の子「へへっ」


魔法使い「……う、うわぁ」

エルフ「や、やりすぎじゃないかな?」

女騎士「うぅ……あの悲鳴ゾクゾクする!」

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:53:11.11 ID:3ubKW9DYo

勇者「もう飽きたからさ、寝てろよ」

櫛男「ぐぅ!?」


助走をつけ体重を乗せた全力顔面パンチ


櫛男「ぐぉぉおお!?」


歯が3本くらい抜けて宙を舞い、意識を失う櫛男

はは、ウケる


勇者「お前の分まで殴っておいたぞ」

男の子「……サンキュー兄ちゃん! スカっとした!!」


テレレ、テッテッテッレー♪

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/09(水) 18:53:36.31 ID:3ubKW9DYo
休憩します

安価すればよかった
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/09(水) 19:42:23.29 ID:eZwKhb8x0
ま、男多かったし多少はね?
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/09(水) 19:43:50.77 ID:RoSR0S6hO
【悲報】まだぬちゃぬちゃしてない
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/09(水) 19:46:14.51 ID:eZwKhb8x0
目的がそう簡単にはかなわないでしょ
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:16:06.78 ID:diwD06Rio

男「このお礼はなんと言ったらいいか」

男の子「サンキューな兄ちゃん」

勇者「おう、俺に足向けて寝んじゃねえぞ」

男の子「足向けて……ってどういうこと?」

勇者「はぁ……馬鹿だなクソガキ」

男の子「なんだよ」

勇者「あ? やんのかゴルァ?」

魔法使い「……勇者」

女騎士「ガキはどっちだか」

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:21:15.49 ID:diwD06Rio

男「ここが俺の店なんだ」

男「あんたのおかげで商品も無事だよ」

勇者「へぇ、武具も売ってるのか」

男「あぁ品揃えに自信もあるぜ。 昔は自分で作っていたんだ」

勇者「マジ?」

勇者「じゃあさ、頼みがあるんだけど」


そう言ってポーチから取り出したのはさっき倒したメタルスライムの素材だ
それを見せるや否や店主の男の目がかまぼこみたいにカッと開かれる


男「おいおいあんた…! こりゃメタルスライムの素材じゃねえか! あんたもしかしてあれを倒したのか?」

勇者「おう。 今朝たまたま出くわしてな」

女騎士「お、おい! そんな話聞いてないぞ?」

エルフ「メタルスライム倒したんですか!? 私だって長いこと生きてるけど数回しか見たことないのに」

勇者「お前らも呼びたかったけどいなかったんだっての。 こうなるのがめんどくせえから黙ってたのによぉ」

魔法使い「……私もみたかった」

勇者「す、拗ねんなって。 機嫌直せよ魔法使い」

魔法使い「……ふん」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:28:26.94 ID:diwD06Rio

男「で、この素材をどうするんだい? 売るか? それとも何か作ろうか?」

勇者「あーそうだなぁ。 売ったらちなみにどれくらい?」

男「綺麗な素材だしね。 相場はざっと50万Gってところかな?」

男の子「ご、ごじゅうまん!?」

勇者「そりゃすげぇ! 1年は遊んで暮らせるぜそれ!」

エルフ「わ、すごい……」

女騎士「冒険者廃業だなこれは」

勇者「じゃあその素材使ってどんなんが作れんの?」

男「そうだねぇ…… メタルスライム一匹分の量だからね…… あまり大きなものは作れないかな」

男「武器なら短剣とかのサイズのものだね。 防具ならよくて胸当てとか小手かな」

男「でも世界トップクラスの素材だからね! 武器ならどんなものでも貫く攻撃力! 防具ならなんでも弾き、魔法にも強い防御力の高いものが出来るよ!」

勇者「ふーむ…… そうだなぁ売ってもいいし何か作ってもよさげじゃん?」

男「そうだね、悪いようにはしないと約束するよ!」

勇者「じゃあどうすっかなぁー……」



>>119

@売る

A武器を作る→何を作るか、誰にあげるかも安価

B防具を作る→同上

C自由安価
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 00:30:32.94 ID:GM+b0yXY0
1
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 00:30:55.14 ID:CHZhXBE30
個人的には今のパーティーのメンバーの装備が知りたい
安価下
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 00:35:27.34 ID:GmGpMxKfo
装備がわからんからって安価されたからもう遅いな
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:40:12.01 ID:diwD06Rio

勇者「じゃあ売るわ。 きっと旅続けてたらまたメタルスライムくらい遭遇すんだろ」

男「そうかい? じゃあお金を用意してくるから少し待っててくれよ」

女騎士「良かったのか? いい武器とかが作れたかもしれないのに」

勇者「確かにそうだけどよく考えてみ? 金がたくさんあったらみんなの装備をもっといいものにだって出来るだろうが」

魔法使い「……確かに」

勇者「それに旅はなにかと金がかかるだろうしな。 そして何より街で女と遊べるFooooooooooo」

魔法使い「……クズ」

勇者「……冗談だって」

エルフ「ほんとに冗談なのかなぁ……」

123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 00:43:30.13 ID:CHZhXBE30
この勇者は安価なしだと屑な気がする
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:46:46.92 ID:diwD06Rio

男「はい、お待たせ。 確認してくれよ?」

勇者「うっひょー! すげぇこんな大金見たことないぜ!」

エルフ「わぁ……」

魔法使い「……ゴクリ」

女騎士「ちょっと魔法使い、生唾飲まないでよ」

男「あと助けてくれたお礼にこれ、持っていってくれよ」


金貨が入った袋とは別に手に持っていたものを渡してくる男
それは短剣の形だが全体が青白い色をしており、刃がギザギザと尖った変わったフォルムをしているまるで氷の彫刻のようなものだった


勇者「これは?」

男「これは氷の刃っていうダガーナイフなんだ。 中に氷の魔法が仕込まれていてね、振ったり刺したりすると魔力を使わずに氷魔法の効果があるっていう優れ物さ」

男「是非、あんたが持っていってくれ」

勇者「いいのかよこんな高そうなもん?」

男「うちにあったって飾られてるだけだしな。 役立ててくれよ勇者サマ」

勇者「おう、じゃあありがたく貰ってくぜ」

勇者「素材買い取りからこんないいもんまでサンキューなおっさん」

男「いいってことよ」

男「ところでよ、せっかく金も手に入ったことだし」

男「うちの商品買ってかねえか?」

125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:51:17.80 ID:diwD06Rio

勇者「だっはー! 金使ったー! ストレス発散にはやっぱり無駄遣いに限るわぁー!!」

エルフ「ちょっと! 無駄遣いじゃないでしょー!?」

魔法使い「……必要経費」

女騎士「まぁまぁ。 レイピアが置いてなかったのは残念だけど防具も新調出来たし」

エルフ「当分の食糧も買えたし」

魔法使い「……かわいい服も買ってもらっちゃった」

勇者「そして宿屋のいい部屋だぜぐぇっへっへっへ!!」

エルフ「こんなにいい部屋とらなくてよかったのに」

女騎士「しかも1人1部屋って…… 金もったいなくないか?」

勇者「まだまだたんまりあるからな! いいんだって」

魔法使い「……勇者はお金を持つと気が大きくなってしまうタイプ」

エルフ「あー……」

女騎士「典型的なダメ男じゃないか」

魔法使い「……はぁ」


勇者「ぐぇっへっへっへ!!」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 00:57:49.66 ID:hxv1N2uH0
まずは手堅く好感度を上げないとな
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 00:58:45.20 ID:diwD06Rio

……………………………………

寝れねえ。

フカフカすぎんだよこのベッドさぁ。

もう少し硬いくらいじゃないと寝れねえだろうが糞

あーあ。 自分の身体に貧乏性が染みついてるだなんて思わなかったぜ

せっかくたけぇ部屋取ったのになんだよ畜生

誰か女の一人でも夜這いに来るかと思ったらこねぇしよ?

空気くらい読めってんだよったく

あーあ、しゃーねー

ちょっと素振りして身体動かせば寝れんだろ



剣と氷の刃を持ち、宿屋の玄関を開ける

ちょっとしたデッキになっているそこに、グラスを片手に夜空を見ていた>>128がいた


>>128

@女騎士

Aエルフ

B魔法使い

C男の子
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:00:09.41 ID:CHZhXBE30
4が気になるけど2
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:08:45.26 ID:diwD06Rio

勇者「エルフ?」

エルフ「あぁ、勇者。 どうしたの?」

勇者「なんか寝れなくってよ。 ちょっと外の空気吸いに来た」

エルフ「そうなんだ。 さっきまで、ふかふかのベッドで寝てやるぜぐえっへっへ〜! なんて言ってたのにね」

勇者「それ俺の真似かぁ? 似てねえっすよ」

エルフ「えぇそうかなぁ? 厳しいっすね?」

勇者「で、エルフはどしたん」

エルフ「えー? 別になんでもないよ?」

勇者「うっそだろお前。 グラス片手に月を見てる女がなにもないとか。 俺が女だったら自分に痺れてるとこだぜ」

エルフ「んー。 ちょっと昔を思い出してたの」

勇者「へぇ? どんなよ」

エルフ「聞きたいの?」

勇者「酒の肴に昔話なんて乙なもんじゃねえか」

エルフ「……そうだね。 勇者も飲む?」

勇者「おう」



130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:09:29.53 ID:34EquvDQo
グラス片手男の子だと無駄に渋くて笑う
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:12:02.99 ID:CHZhXBE30
>>130
たまにいる見た目は子供、中身は老人というオチじゃない?
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:13:42.86 ID:SkTT5abTo
>>131
3〜4周目のコナン君ですね
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:16:16.66 ID:diwD06Rio

あれは、今から100年くらい前かな?

私ね、妹がいたんだ

私が40歳くらいの時に生まれたんだけど、すっごい可愛くってね

いつも後ろをくっついて歩いてきて、お姉ちゃんお姉ちゃんって呼んでくれて、とっても可愛い妹だったの

森で花の冠を作ったり、草花の声を聞いたり、鳥と一緒に歌を歌ったり

太陽が昇ってから沈むまでずーっと遊んでたの。 毎日がとても楽しくて寝るのが勿体ないと思ってたくらいなの

でね、いつもみたいに2人で森で遊んでたら人間の男の人が迷い込んできたの
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:20:35.34 ID:diwD06Rio

エルフは人間と接触してはいけない。 これは昔から言われてることで、もちろん私たち姉妹は人間なんて見るの初めてだったんだ

人間なんて見るの初めてだからすっごい驚いちゃって!

でもそしたらあっちの男の人も迷った森の中でエルフと会うなんて思ってもみなかったから驚いててね

それで3人でキャーーって悲鳴をあげたの

ふふ、おかしいでしょ?

それから私たちはみんなには内緒で3人で遊ぶようになったわ

すぐに仲良くなって、たくさんたくさん話をして元々楽しかった毎日が、もっともっと素敵で明るい毎日になったの!

楽しかったなぁ……

135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:22:11.98 ID:CHZhXBE30
こういう話だと大体男の付き合いの大人が屑
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:24:13.51 ID:diwD06Rio

エルフの使う魔法を見せたり、あっちは人間の進んだ文明の道具とかを見せてくれたわ

新しい発見の連続で興奮する日々! もう本当に素敵だったのよ?

でもそんなに楽しい毎日だったからこそ、私たちは人間と仲良くしてはいけないというエルフ一族の掟を忘れてしまっていた

137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:28:10.57 ID:diwD06Rio

お母さん、エルフの族長だったんだけどね?
ある意味最も人間を嫌っていたお母さんに3人でいるところを見られちゃったの

今まで聞いたこともないような怒鳴り声をあげて怒られたの

そして彼を遠く、遠ざけてしまった

その後二度と人間とは、彼とは会ってはいけないとキツく叱られちゃって妹は反発した

もう、その頃には妹は彼のことが好きだったの

でもエルフと人間は相容れない存在。 そんな恋を母が、エルフたちが許すはずはなかった

そして私も……妹を心から応援することが出来なかった
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:33:47.64 ID:diwD06Rio

母に怒られても妹は懲りずに彼に会いに行っていたわ

それを私は知っていたけど、止めもせずただ見守っていたの

応援することも出来ず、止めることも出来ず、どっちつかずな態度だった

妹はそんな私の立場に理解を示してくれたの。 お母さんに言わないでくれてありがとうって

それで……妹の背中を押してあげられない自分がとっても嫌になったわ

自分は……所詮親のいいなりになってる人形なのかな、なんてね
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:37:07.37 ID:diwD06Rio

そうやって秘密裏に妹と彼が会い続けてしばらくしてから

妹は身籠ったの

二人の愛し合った結晶として命を宿した

妹はとてもうれしそうに、そしてお腹の中の子を愛おしそうに私に話してくれた

私も、嬉しかったわ。 でも同時に悲しくもあった

だってそうじゃない? エルフと人間、うまくいくとは……その時正直あんまり思えなかったの

そして当然、妹は子を宿したことをお母さんに告げたの

……でもそれが母の逆鱗に触れた
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:37:49.37 ID:CHZhXBE30
思ったよりディープすぎる……男がクズじゃないぽいのが救いか
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:41:44.65 ID:diwD06Rio

お母さんはそれはもう怒り狂った

こんなお母さんの姿想像も出来なかったほどに激昂していたわ

自分の大事な愛娘が嫌悪すべき人間と愛し合っていたんだもの、それはそうよね

でも妹も譲らなかった

妹はなにをいわれても彼を愛し続けると母に立ち向かった

そしてその日の晩、妹は私にエルフの里を出て彼と駆け落ちすると伝えて、私たちの前から姿を消したわ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:46:55.04 ID:diwD06Rio

エルフ「……お酒、空になっちゃった」

勇者「……ほら」

エルフ「……ありがと」

エルフ「……ゴクッ……ふぅ」

エルフ「その時ね、私は妹になんて声をかければよかったのか分からなかったの」

エルフ「頑張れって。 応援してるって。 言ってあげられなかったんだー」

エルフ「すごい後悔した。 泣きながら走っていく背中を見つめてあげることしか出来なくって……」

勇者「そっか」

エルフ「その日がとても綺麗な満月の夜だったの。 だから満月は妹と彼のことを思い出しちゃうの」

エルフ「今もどこかで二人が……ううん三人が元気に暮らしていたらそれでいいわ」

143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:48:02.78 ID:CHZhXBE30
相手が人間ならとっくに相手さんは死んでいるだろうなぁ…
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:51:01.49 ID:diwD06Rio

エルフ「そんな感じ。 ちょっと酔っぱらっちゃったー」

男「種族を超えた禁断の愛ってやつか」

エルフ「そうだね。 だから今なら二人のこと本気で応援してあげられるよ」

男「……エルフは?」

エルフ「え?」

男「エルフは人間のこと好きになれるか?」

エルフ「え? あーそうだね。 考えたこともなかった」

エルフ「でも、うん。 なれる。 こうやって人間の世界を旅して初めていい人がたくさんいるんだって分かったし!」

エルフ「……外の世界も素敵なことがたくさんあるよ」

男「そっか」


>>146

@キスをする

A抱きしめる

B酒を飲む

C部屋に連れ込む

D自由安価
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:51:36.39 ID:+CGKzIp7o
3
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:51:48.30 ID:MHIH0PIno
3
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:51:57.18 ID:sulkMP89o
2
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:52:10.97 ID:Aew1KOWV0
2
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 01:52:27.82 ID:O79uVIbRO
どっからこんなに湧きやがったwwww
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 01:55:56.84 ID:diwD06Rio

勇者「でもさ、きっと妹は幸せだったな」

エルフ「え?」

勇者「エルフは自分が応援してあげられなかったって言ってるけど」

勇者「でもそれはエルフがそう思ってるだけだろ?」

勇者「きっと妹にとってエルフは唯一の敵じゃない存在、安心できる存在だったんだろ」

勇者「だから誰よりも早くエルフに妊娠したってことを話してくれたんだろ」

エルフ「そっか……そうなのかな」

勇者「だからそんなに思い詰めんなよ」

勇者「ほら、グラス空になってんぞ? 飲め飲め」

エルフ「……うん、そうだね」

エルフ「ありがとう勇者」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 02:03:24.53 ID:diwD06Rio

……………………………………

エルフ「まったくさぁ〜? ダメだよ勇者はぁ〜?」

勇者「なんでだよ」

エルフ「さっきのさぁ〜? 男の子助けるのもさぁ〜?」

エルフ「助ける気があったんなら最初っから助けなきゃダメでしょぉがぁ〜?」

勇者「助ける気なんかなかったよ。 ただクソガキが男気見せたからな。 俺も男気見せてやろうかと」

エルフ「ふ〜ん? な〜にが『おっさん、無償の正義なんてものはこの世には勇者くらいしかやらねえって言ったけどよ、よかったな、俺がその勇者様だ』 よ? かっこつけすぎぃ〜」

勇者「ぐあぁぁぁ!! やめろ!! 俺の心を抉るんじゃない!!」

エルフ「それにさぁ〜? 『残念だったな三流ヤンキー』だってぇ〜! あんたは一流勇者ですかっての〜?」

勇者「うるせぇー!!」

エルフ「はぁーカッコつけの脳みそお花畑さんですねぇ勇者は〜」

勇者「うぅ……エルフ酒癖悪すぎんだろ…… 誰か助けてくれよぉ」

エルフ「はぁ、もう寝る」

勇者「おい!? おいおいおい!? ここで突っ伏すな! 寝るんじゃない!!」

エルフ「ぐぉー…… ぐぉー!」

勇者「……寝たフリ下手かよ」

エルフ「……勇者、かっこよかったよ」

勇者「あぁー? なんか言ったか酔っ払い」

エルフ「かっこつけはかっこいい人がやるからかっこいいんだって言ったのぉ〜? 悔しいですかぁ〜?」

勇者「むっかつくなぁ…… いつか殺す」

エルフ「へーんだ勇者になんかやられないもんねー」


エルフ「ふふ、アン…… 私も好きな人出来ちゃったかも」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 02:04:15.03 ID:diwD06Rio

今日の更新おわりまーす

堅実な安価ばっかりでいつになったらエロを書けるの? 先が見えない。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:05:55.47 ID:CHZhXBE30

ゆっくりいかないと地雷踏みそうだからね
残りの女騎士はSだからエロに行くとSMされそうだからなぁ……
154 : ◆uXt/gTje0u4r [saga]:2016/03/10(木) 02:08:23.54 ID:diwD06Rio
追記
酉残しときます
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:08:53.28 ID:diwD06Rio

アンってことは……
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:12:05.83 ID:QC0J0z83o
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:12:13.35 ID:diwD06Rio
ss板でID頭とか初めてだわ記念パピコ
てかお前酉で検索したら同じような作品書いてるやんけwwwwwwww
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:14:58.81 ID:QC0J0z83o
えぇ…(困惑)
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:17:52.90 ID:+CGKzIp7o
我々が見たのはただのID被りだ
いいね
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:28:28.38 ID:nwcDWWDwO
スレタイでもしかしてと思ったがお前かよワロタ
続きじゃないのかよと思いつついつか書いてくれるんだよね?
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 02:44:56.13 ID:I0OPd5xIo
自演ってやつ?
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 03:27:37.62 ID:Zj5Upag50
アンって急に喘いだのかと思った
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 09:34:19.81 ID:fcqO/E61o
末尾oってID被り少ないんじゃなかった?(アスペ)
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 10:26:57.47 ID:diwD06Rio

……………………………………………………


勇者「zzz……ZZZ……」

勇者「……ん?」


夜も更け、完全に皆が寝静まりやっと俺も眠りに落ちた中、部屋の外の廊下から誰かが近づいてくる気配を感じた

勇者が寝る部屋は階の一番奥、つまりこれより先に誰かが来る用事などあるはずがない

となると狙いは一番奥の部屋、つまり俺の部屋だ


勇者「えー刺客っすか? ないない俺まだ何も目立つことしてないんですけど」

勇者「嫌われるようなことは……最近してないはずだしなぁおい」


ベッドの上で寝ころびはしていても、戦闘になる可能性を考え頭と精神を研ぎ澄ましていく


勇者(誰だよこんな夜中に……ったくめんどくせぇな)


廊下の気配の主は部屋のドアの前で止まった
何かがあるのはもう確定、勇者に緊張が走る

ギィ……

ドアが静かに開き、そーっと部屋の中に入ってくる侵入者


勇者(おいおい気配消すの下手くそかよ)

勇者(そんなんじゃ暗殺なんざ出来ねえぞ?)


そしてゆっくりとこちらに歩み寄り、俺のベッドの横で止まる
いつでもお互いが手を伸ばせば殺れる距離


勇者(そろそろか)


パッ! っと勇者が目を開けるとそこには…


>>165

@暗殺者

A女騎士

B魔法使い

C誰もいなかった

D自由安価
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 10:40:18.26 ID:hnYc1xc20
気になるから4
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:04:04.72 ID:diwD06Rio

勇者「なっ……誰もいねぇ!?」


確かにあったはずの人の気配
だが目を開けるとそこには何もない

勇者の感知能力は決して低いものではなく、魔物や人、それなりの何かが近づけば気付くことは難しいものではなかった

だが今現実に、気配を感じていたはずが何も無かったのだ。 魔法的な何かも、足音があったわけでも、物音がしたわけでもないこの完全な密室であったはずの気配だけが消失したのだ


勇者「おいおい……勘弁しろよ」


視線、殺気、呼吸、物音、その他様々なものに注意をするがやはり何も無い
聞こえてくるのは夜の虫がなく音だけ


勇者「どういうことだっつぅの」

勇者「俺幽霊とか信じないタイプだぜ?」

勇者「正直暗殺者とかそういうのの方が気が楽なんだけど……」


どうする?


>>167

@文字能力を使ってどうにかする→『>>167

A怖いから誰かの部屋で寝かせてもらう

B宿から出る

C構わず寝る

D自由安価
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 11:11:40.77 ID:OHcJhADR0
暗殺者の可能性もあるので
全員で1部屋に
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:17:56.95 ID:diwD06Rio


勇者「冗談抜きでやべぇかもしれねえぞこれ」

勇者「とりあえずみんなが無事か確認しにいかねえと」

勇者「固まって夜を過ごそう。 下手に動くよりはじっとしていた方が安全だろうしな」


部屋のドアを開け、廊下に出る
別段異常なく、ただあるのは人のいない夜の静けさ

床に敷かれたカーペットのせいで足音は小さくなってはいるが、それでも気配を完全に殺して移動できるものではない
ということはさっきの気配の主はまだそう遠くないはずだ

とりあえず一番近かった隣の魔法使いの部屋のドアをノックする


勇者「勇者だ。 ちょっとまずいことが起きてる。 部屋、入るぞ」


返事はない
寝てるのか?

いけないことをしているようで気は乗らないが緊急事態だ
ドアを開け、部屋に入る


勇者「入るぞ?」

169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:21:49.28 ID:diwD06Rio


勇者「……マジかよ」


部屋には本来いるべきはずの魔法使いが、いない

魔法使いが使っていた黒いとんがり帽子や杖は残されている

ただ魔法使いだけがいないのだ

全身からサーっと血の気が引き悪寒がする


勇者「……やべぇやべぇやべぇ!!」


魔法使いが寝ていたであろうベッドを触ってみるとまだ微かに暖かい
ということは魔法使いがいなくなってからそんな時間がたっているとは考えにくい

170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:28:52.69 ID:diwD06Rio

勇者「他の2人は!?」


結果から言うと同様であった。 いや同じではない

宿屋から誰もいなくなっていた

宿の店主も、従業員も、他のいたかもしれない客も。 人の気配はゼロだった


ここまで来ると最早焦りを超えて冷静になってくることに自分でも驚きを覚えた
荒くなった息を整え状況整理に努めてみる

俺がエルフと酒を飲みながら昔の話をしていたのがつい2時間ほど前
その時は確かにフロントに従業員が立っていたのを確認している

その後やっぱり何故か落ちつかず、寝つきが悪くて眠れそうになったのがつい30分ほど前だ

もしその間に人を攫うなんていう物騒なことが起きていたとしたら俺は確実に気付いているはずだ

ということは宿から人がいなくなったのは俺が眠っていたこの30分の間だ

そして俺の部屋にも来た謎の気配、これが鍵となることは考えるまでもないな


勇者「まだ2日くらいしか一緒にいねぇけどよ…… 俺の将来の肉便器共を奪おうとはいい度胸だぜ透明人間やろう!」

171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:39:39.01 ID:diwD06Rio


外に誰かがいる気配もあるかもしれないが、玄関が空いたらさすがにアホでも分かる
ということは怪しいのはまずこの宿の中
ここを徹底的に調べる必要があると考えた


文字能力で書いた文字は『探知』

『探』とも考えたが一文字の力の場合、相手が巧妙に隠れている場合見つけられないと考えた

そこで二文字で索敵、仲間の発見の精度をあげることにした。 魔力をここで多く使ってしまうのはこの際仕方がない

魔法使い、エルフ、女騎士を強くイメージし、文字能力を頼りに探していく



勇者「これか…?」


『探知』で捉えた仲間たちの気配
それはロビーに置かれた全身鏡の中から感じた

特に何も怪しいところがない鏡。 何も怪しいものは映っておらず、俺の顔を映すだけの何の変哲もないものだ

しかし『探知』で感じる仲間の気配はこの中なのだ


ごくりと息を飲み、そっと鏡面に触れてみる

鏡面に触れたはずの手がするりと抜け鏡の奥へと手が引きこまれていく


勇者「ビンゴ!」


底知れぬ恐怖が勇者の全身を駆け巡る
この先に一体何があるのか
さっきの気配の正体は何なのか

それを考えると足がすくんでしまう


勇者「だけど、一応勇者だからな」

勇者「世界を救うなんて気高い志は持ち合わせてねえけど」

勇者「まだキスもしてねえのに肉便器共をここで諦められるかってんだ!!」


震える足に鞭を打ち、右足、そして思い切って全身で鏡の中へと入り込んだ

172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:50:00.37 ID:diwD06Rio


…………………………………………

目の前には2メートル半を超える緑色をした大きな人型の魔物、トロール

それがとんでもなく大きな大釜の中を涎をたらしながらかき混ぜている

恐ろしく、臭い。 でもそんなことより恐ろしいのがグツグツと煮え立っている大釜と私たちがこれからどうなるかが分かってしまうことだ


ロープで力任せに縛られた私魔法使いと、女騎士、エルフ、そして宿屋の従業員たち

皆がこれからどうなるのか、本能的に分かっているのだ。 すすり泣く者、大声を上げる者、命乞いをする者、様々な最後の迎え方をしようとしていた


トロールA「ぐへっ…ぐへっ……!」

涎を垂らしながら気味の悪い笑い声をあげているトロールもいれば、どれから食おうか品定めをするトロールもいる

そしてさらに気味が悪いのが、薄暗い部屋に照らされる魔物、怪しい影

釜の火が揺らめく度に形を変え、まるで万歳をしているかのようにゆらゆらと私たちを囲い、踊っている


そう、この影が私たちをこの異次元の空間に引きずりこんだ犯人
影から突如として発生し、そのまま私たちを影の世界へと引きずりこんだ恐るべき魔物だ

173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 11:58:30.83 ID:diwD06Rio

エルフ「やだ……やだよぉ…… 釜に入れられて、魔物に食べられて死ぬなんて……そんなの嫌だ」

女騎士「くっ! おい魔物共! 私はどうなってもいい! 煮るなり焼くなり好きにしろ! だが仲間にそんなことをするのは許さない! みんなを離せ!!」

トロールB「ぐふっ……ぐふっ…!」


大声をあげた女騎士にトロールの一体が近づき、女騎士の顔を覗き込む

全身を舐めまわすようなねっとりとした視線、しかしそれでも女騎士は負けじと睨みつける


トロールB「ぐふふ……ぐへっ…!」


拳を握り、そのまま女騎士の顔面を殴りつけるトロール


女騎士「がぁっ!?」

エルフ「きゃぁぁ!!」


あまりの衝撃に一瞬気を失う女騎士だが自分を強く持ち、すぐに意識を回復させる

黙ったか? と言わんばかりに再び顔を挑発的に覗きこむ糞ったれなトロール
さすがに私も胸糞悪すぎてここで魔法を放とうかと一瞬考えてしまう


女騎士「こんなことで……私が諦めると思うな」

トロールB「ぐふっ…?」

女騎士「ぺっ」


トロールの顔面へと、唾を吐きかける女騎士
そんな最後の意地とも思える行為にトロールは怒ることは無かった
いや、むしろ凄惨な笑い声をあげる

そして

女騎士の顔をその汚い舌でぺろりと舐めつくした


174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:03:19.07 ID:diwD06Rio

エルフ「……ひっ!?」

女騎士「くっ…!!」


恥辱にまみれた女騎士は耳まで真っ赤にして怒りに震える
縄がギリギリと音を立てるがほどける気配を見せないその硬さは絶望を私たちに植え付ける


女騎士「くそっ!! くそっ!!!」

トロールB「ぐぇっへっへ!!!」


吐き気がするほどの怒りが私に芽生える
自分たちに魔法をかけて縄ごと焼き切ろうかと本気で考えた
でも相手は腐ってもトロール。 その強さは痛手を負った私たちでどうにかなる相手とはとても思えない

ならば私たちに出来ることはただ一つ

勇者が私たちを助けに来てくれるのを信じて待つこと


エルフ「女騎士…」

女騎士「分かってる! 今は、今は歯を食いしばって耐えるしかないんだ!!」

魔法使い「…………」

魔法使い「……お願い、早く来て勇者」

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:11:27.52 ID:diwD06Rio

エルフ「もうやだ……いやぁ!」

釜の中を混ぜ込んでいたトロールAもこちらへと来て、トロールたちが私たちの誰から釜に放り込もうかと考えているのが嫌でも分かってしまう

その残酷すぎる時間に誰も冷静さを保つことが出来ていなかった


「やだぁ! ママぁ!! ママぁ!!」

「女神よ…! なぜ我々がこのような責め苦に合わなければならないのでしょう! お助けください!!」


まさに阿鼻叫喚
囚われた人の悲鳴、叫び声を聞いてトロールたちは満足そうにニンマリと笑う

その醜さに胃液がこみ上げてくる


女騎士「やるしかないか」

魔法使い「……でも私たちは武器も持っていない」

女騎士「それでも戦うしかないだろう!? このまま黙ってあいつらの腹の中に入るなど私には出来ない!!」

エルフ「女騎士! ダメよ! 勝てっこない!!」

女騎士「そんなこと分かっている!!」

女騎士「私が時間を稼ぐ。 その間に勇者が来るのを待つしかないんだ!!!」

エルフ「そんな……そんなのって……あんまりよ……」ポロポロ

女騎士「……私に魔法を撃て魔法使い!」

女騎士「もう、やるしかない!!」

魔法使い「……分かった」

魔法使い「火炎魔法、ギラ」

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:12:00.95 ID:diwD06Rio

リョナ展開ありかなしか
安価↓
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:12:38.13 ID:GmGpMxKfo
味方関係ならなしがいいな
ほんわかが一番
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:14:44.62 ID:hnYc1xc20
安価スレでありにしたら悲惨なことになる
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:15:05.25 ID:ewhgsHlX0
グロや欠損が出なないていどならおk
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:23:27.97 ID:diwD06Rio

女騎士「ぐっ、あぁぁぁ!!!」


女騎士の身体ごとロープを焼いていく
だがそれもすぐに焼き切れるわけではない

悶絶するほどの焼かれる痛みを歯を食いしばって耐え、永遠とも感じる時間が立ちそしてついにロープが切れる


女騎士「はぁ……はぁっ……」

トロール「ぐふっ?」

女騎士「……悪いが大人しく捕まる気はないぞ。 魔物め」

トロールA[ぐへっぐへっ!」

女騎士「来いッ!!」


腰を落とし、構える女騎士にトロールは大人1人分はあるであろう棘がついた棍棒を振り落とす


女騎士「ふっ!!」


サイドステップでそれをかわすが、棍棒が地面を叩いた衝撃がすさまじく砕けた地面の破片が女騎士を襲った


女騎士「くっ…! なんてパワーだ」

トロールB「ぐぎゃぁぁぁ!!!」


女騎士が避けた先にもう1体のトロールが先回りし、やはり棍棒を横一文字に振りまわす


女騎士「落ちついて避ければ!!」


身を低く屈め、なんとか回避に成功する。 感じた圧にもしあれが当たったらどうなるか、考えただけで足がすくんでしまうが今はそんな悠長なことを言っている場合ではない

一撃でも貰ったら死ぬ
なんとしても避け続けて時間を稼がねば、私たちには絶望しかない

トロールの目を見据えどこからでもかかって来い、と自分を奮い立たせる


女騎士「私は…負けるわけにはいかないんだ!!」

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:30:06.39 ID:diwD06Rio

そこからの女騎士のステップの軽さは私の目から見ても目を見張るものがあった

まるで背中に羽が生えているんじゃないかと思うほどの正確で素早い身のこなしに私たちの誰もがこのままいけるのではないかと希望を見出した


女騎士「ふっ!!」

女騎士「はっ!!」

女騎士「遅いぞ!!」


トロールA「ぐふっ……ぐふっ……」

トロールB「ぐぎぎぎ……」


攻撃が易々と避けられることに対してトロールは苛立ちを募らせ、顔が緑から赤へと変わる
これがトロールの厄介な怒り状態
スピードも攻撃力も恐ろしいものへと変化し、いくつもの冒険者たちを屠ってきた凶悪な魔物の力


トロールA「ぐあぁぁぁ!!!」

女騎士「負けるか!!」


怒涛の魔物たちのラッシュ攻撃にも横に下に後ろに正確に避ける女騎士

でも、そんな極限状態の中で疲労が溜まらない筈もない


女騎士(足が、重い!!)

女騎士(身体が言うことをきかなくなってきた!!)


次第に女騎士の表情が険しいものへと変わり、私たちも不安が強くなってくる
そして、限界は訪れた

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:35:35.69 ID:diwD06Rio

トロールA「ぐぎゃあああ!!!」


ブォン!!!


女騎士「ぐぅっ!!?」


ついに避け切れなくなった女騎士の右腕に棍棒が直撃した
骨が折れる嫌な音が私たちの耳に届き、思わず目を背けてしまう


女騎士「ま、まだまだぁ!!」


しかし一度崩れてしまったものは、雪崩を起こすかのように一気に崩れおちてしまう

左腕に、肩に、背中に、致命傷とはならないものの被弾が続く


女騎士「がっ……はぁっ……はぁっ……!」

トロールA「ぐへ、ぐへっ……」

女騎士「まだ、まだだ……」

女騎士「私は……まだやれる!!」


痛みに顔を歪ませながらもそれでも気丈に立ち上がり続ける女騎士
もうやめてくれと言いたくなるその姿に、涙が溢れる


女騎士「はぁ……」

女騎士「さぁ、かかってこい」

女騎士「どうせ脳が無いお前は上から振り下ろしてくるんだろう!?」



183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:38:35.75 ID:diwD06Rio

女騎士の言うとおりトロールAの棍棒を上から振り下ろす攻撃

そしてそれを身を横に逸らし避ける女騎士

がさっきまでの流れだった


女騎士「なに…!?」

エルフ「はっ…!」

魔法使い「……女騎士!!」


地面から、いや女騎士の影から伸びる真っ黒な手
それが女騎士の足首を掴んでいた


女騎士「怪しい影か!!」

エルフ「だめぇ!!」


眼前に迫る棍棒

救いは、なかった


184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:43:09.61 ID:diwD06Rio


バギィィィ!!!


頭から血を流し地面に横たわる女騎士

そこには血の池が出来るほどの大きな出血だった

意識を失っているのか、それとも死んでしまったのか、私には分からない

ただ誰もがあまりにもショックな出来事で声を発することが出来ないでいた


トロールは笑みを浮かべながら女騎士の身体を鷲掴みにし、そして口を開く大釜へと投げいれようとした


エルフ「いやぁ!! やめて!! 女騎士!!!」

魔法使い「……勇者!」

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:45:17.56 ID:diwD06Rio

まさに大釜に女騎士が投げ入れられようとしたその瞬間

私たちのために戦ってくれた女騎士から目を背けてしまったその瞬間


勇者「『斬』」


身を焦がす思いで待ち続けていた勇者が現れた

186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:48:13.87 ID:CHZhXBE30
(こいつ、絶対に出るタイミングは計っていただろう……)
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 12:48:34.13 ID:diwD06Rio


トロールの樽のような太腕を一刀両断し、女騎士を抱き抱える

勇者「わりぃ、遅くなったな」

勇者「よく戦った、女騎士」


『治癒』


女騎士の身体に直接書いたその二文字は骨が折れ、内臓まで負っていたダメージを瞬く間に回復させた


勇者「あとは、任せろ」

女騎士「……遅いぞ、ばか」


女騎士が弱々しくあげた手とハイタッチをし、魔物の群れに向き合う勇者


勇者「うちの女によくも手出してくれたな糞デブ共」

勇者「俺だってまだ手出してねえんだぞゴラアアアアア!!!」

188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:51:05.71 ID:4lqSEcPT0
>>186
だったら一歩遅いな
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:52:14.40 ID:+CGKzIp7o
綴る!
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 12:52:33.27 ID:GmGpMxKfo
思い……出した!
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 13:26:57.73 ID:diwD06Rio

勇者「ぶっ殺す!!!」


書いた文字は『速』

足に力が漲る

先の『斬』と組み合わせたこれは誰も俺を止められないぜ?


腕を斬られた豚が痛みのあまり涎を撒き散らして怒り狂う

隙だらけの構え、だからこそ威力が跳ね上がる驚異的なスイングだ


勇者「おそすぎてあくびがでるぜ?」


棍棒が当たる瞬間、勇者が人間業ではないほどのスピードでトロールの懐へと潜り込む


勇者「氷の刃+斬で折れSAIKOOOOOOOOOO」


上段からの斜めに斬る袈裟斬りは、まさに文字通りトロールを一刀両断した
切り口は研ぎたての刃物のように鋭く滑らか、しかし血は噴き出すことなく断面が氷ついていく


勇者が向き直る頃には斬られたトロールの全身が氷の彫刻へと変化していた


192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 13:32:47.61 ID:diwD06Rio

勇者「え、氷の刃強すぎじゃね?」


間抜けな声をあげて思わず右手に持つダガーナイフに視線を落とす勇者

その背後からはトロールBが棍棒を振りかぶっている


勇者「いいこと考えたんだけどさ、このナイフ剣みたいにデカくすればいいんじゃね?」


横薙ぎにされた棍棒を後ろ向きのまま、まるで猫のように地に這いつくばりあっさりと回避
そして同時に右手で文字を紡ぐ


『伸』


それを振り始めたダガーナイフに当てるとその瞬間、手のひらほどしかなかった刃が部屋の奥まで到達するほどに伸びたのだ


勇者「ちょ、伸び過ぎ!!」


確かにイメージとして短剣の刃が伸びるのをイメージしたが具体的な大きさまでは考えていなかった
失敗だ

部屋の壁ごとトロールをまるで豆腐に包丁を刺すかのようにスッっと斬り抜き、トロールは二つ目の氷の彫刻と化した


勇者「ちょ、やべ、壁に引っかかってナイフ抜けね……」

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 13:34:15.82 ID:hnYc1xc20
安価ってなんだっけ
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/10(木) 13:34:29.60 ID:CHZhXBE30
なんという主人公補正があるヤムチャ……
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 13:39:29.96 ID:diwD06Rio

エルフ「勇者! 気をつけて! まだ怪しい影が潜んでるわ!」

勇者「怪しい影? ってことはさっきの正体不明の気配は魔物の仕業かよ!」


怪しい影はその特性上影に潜むことが出来る
そして厄介なことに自分の影、つまり下から攻撃をしてくる厄介な魔物だ

ならば影を無くしたらどうなるか?
行き場を無くした怪しい影は隠れることが出来ずに姿を現すのである


魔法使い「……っていうこと!」

勇者「なるほど! よく分かんねえけどそういうことだな!?」


『無影』


文字を空間に紡いだ途端、まばゆいばかりの光が360度照らし出す
全方位から光が照らされることで、当然影は消失。 行き場を無くした怪しい影は呻き声をあげながら姿を現した


勇者「っしゃおらあああ!! 俺を脅かした報いを受けろゴルァァァァ!!!」

魔法使い「……そっち?」

勇者「俺の教会学校通信簿、美術3の力を見せてやる!!」


ダガーナイフを『戻』の字で元の長さに戻した後に書き加えた文字は『強』

それにより氷の刃に秘められた氷魔法の効果を強化するものとなる


勇者「春なのに雪山攻撃!!」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 13:41:44.54 ID:diwD06Rio

姿を現した怪しい影数体はやはりトロールと同じように氷の彫刻となって絶命した


勇者「ぶぇっきしょい。 あー……」

勇者「やっべ、さみぃ……」

魔法使い「……やりすぎ」

エルフ「寒いよぉー…! ちょっと勇者!? 私パジャマなんだからね!?」


せっかく助けてやったのに礼の一言すらないとかこの雌豚共は調教してやる必要があるな? うん

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/03/10(木) 13:45:14.45 ID:diwD06Rio

………………………………

それからは、まぁみんなで宿に戻ってきたってわけ
宿屋の店主にはすんげぇ謝られたし感謝もされたけど、別にこのおっさんたちのせいじゃないしな?

なんであんな不思議な世界に飛んだのかは全くもって不明
そしてあの世界へと通じていた全身鏡もただの鏡に戻っていた

ただ、まぁ俺が見つけるのが遅くなって女騎士をヤバい目に合わせたのは本当に申し訳なく思ってる

いくら俺が文字能力で全治癒させたとしても、女騎士の心の傷までは直すことが出来ない
責任を取る、っていうのはちょっと変だけどそういうわけで女騎士が目を覚ますまで俺が付き添っているわけだ

さすがに俺も魔力を使い過ぎてダルくて死にそうなんだけどな……

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