魔剣士「やはりフキノトウは最高だ」武闘家「えっ?」

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881 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:43:57.47 ID:m8bMPIqxo

でも、こんな時にお嫁さんとのいちゃいちゃを楽しんでいいのだろうか。

白緑の少女(本体)「素直に、幸福に溺れていいんですよ」

白緑の少女(本体)「あなたの正の感情が、何よりも大きなエネルギーになるんです」

セックスしないとオディウム神には対抗できないし……大事なのは気持ちの切り替えだよな、うん。

ベッドに引き込まれた。

たまには夕方にやるのもいいかな。
……前も後ろももたない気がする。
882 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:44:52.65 ID:m8bMPIqxo

……。
…………。

食堂に来た。メニューは日替わりらしく、今晩のメインはカレーだった。
食事をしている兵士達のほとんどは疲れ切った顔をしている。空気が重い。

戦士「遅かったな。もう30分くらいで閉まるぞ」

魔剣士「うん……」

戦士「フラフラじゃないか」

魔剣士「うん」

次女「ち」

戦士「やめなさい」

おっさんみたいな冗談を言っているものの、やはりルツィーレのテンションは著しく低い。

次女「ねえエルお兄ちゃん」

魔剣士「なんだ」

次女「救急車が遠くに行くと音が変になる現象ってなんて名前だっけ? どっぷんちょ効果?」

魔剣士「ドップラー効果な」
883 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:45:36.52 ID:m8bMPIqxo

次女「じゃあ水で流れないトイレの名前ってなんだっけ? だっぷんべんじょ?」

魔剣士「げほっ……ボットン便所だろ。そもそも食事中にする話じゃねえ」

次女「カレーってうんちと似てるよね」

戦士「いい加減にしてくれ」

近くで食事をしている兵士達はむせたり笑いをこらえたりしている。
ルツィーレは真顔だ。

次女「食堂のおばちゃんにね、カレーを巻きグソ型に盛ってって頼んだんだけどね、」

次女「下痢うんちみたいにドロドロだから上手くいかなかったんだよ」

父さんは頭を抱えた。

次女「お兄ちゃんのコップに入ってるの、おしっこみたいな色してるね」

魔剣士「ウコン茶だよ」

次女「ウンコ茶? 苦そうだね」
884 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:48:16.61 ID:m8bMPIqxo

「げほっがふっ」

「ぷっくすくすくす……」

「俺の地元では汲み取り式便所のことポッチャン便所って呼んでたんだけど」

「俺の村だとゴットンだった」

「ちょっとかっこいいな」

「俺のとこゲッダン」

「切ない気持ちが揺れて廻って振れてそうな呼び方だな」

戦士「……部屋に帰るぞルツィーレ」

次女「えー」

戦士「アニメ見させてやるから」

次女「クレパスしんくんとジャングルの覇者ターさんね」

戦士「……わかった」

どっちも下ネタが多いタイトルだ。父さんは溜め息をついた。
……食堂の雰囲気が随分和らいだ。

しかし、すぐに再び重苦しくなることになる。
885 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:49:29.77 ID:m8bMPIqxo

兵士達、特にプティアの軍服を着ている人達の動きが緊張で硬くなった。

魔導槍師「先程は手加減したはずだったのですが、どうやら内臓を傷つけてしまったようで。すみませんでしたね」

言葉だけの謝罪だ。目には嫌な笑みを浮かべている。

魔導槍師「カナリアに叱られましたよ」

魔剣士「あんたさ、そんなに俺に構ってほしいの?」

アーさんは豆鉄砲を食った鳩みたいな顔をした。
俺がこんなことを言うなんて思ってもみなかったらしい。

魔剣士「暇ならセフレとでも遊んでればいいじゃん。なんでわざわざ大っ嫌いな俺なんかに話しかけるんだよ」

魔導槍師「……植物などと愛し合っている異常者が」

魔剣士「俺の頭のおかしさを大勢の前に晒すためにわざわざ出向いたわけ?」

魔剣士「あんたのその精神のがよっぽどおかしいと思うけどね」

魔導槍師「ほう? 随分と偉そうな口を利くようになったじゃありませんか」

人の視線は苦手だ。でも、俺はしっかりと相手の目を見据えた。

魔剣士「……確かに俺は異常だよ。でも、俺とユキは心の底から恋をして愛し合ってるんだ」

魔剣士「お遊びの恋しかできないあんたに口を挟まれたくない」

プティア兵は俺達を見てガクブルしている。
アーさんに口答えできる人間なんてほとんどいないだろうから、彼等にとっても俺の反応は意外だったようだ。
886 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:50:01.47 ID:m8bMPIqxo

魔剣士「……もしかしてさ、あんた、本当はかなり臆病なんじゃないの」

魔剣士「いつもいつも親がいないところばかり狙ってさ。今だって俺の父さんが出てったから入ってきたんだろ?」

魔剣士「恋愛対象は女だっつってるわりに、女装男ばかりと遊んでるのだって、」

魔剣士「本気で他人を愛するのが怖いからだろ」

かなり適当に喋ってる。合っているかは知らない。
でも、今までの鬱憤を晴らしたくて、何か言わずにはいられなかった。

魔導槍師「…………」

どんな言葉を返されるのだろう。
俺よりもずっと会話が得意な人だ。かなりきついことを言われるかもしれない。


覚悟したけれど、アークイラはもう何も言ってこなかった。
887 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/26(水) 19:50:30.18 ID:m8bMPIqxo
kkmd
888 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/26(水) 20:07:44.00 ID:krifQAQU0
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/27(木) 10:08:13.88 ID:fzxPCbLkO
乙です
890 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 16:44:19.60 ID:H3LjpQBko
ほも
891 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 19:53:38.76 ID:wOYlwML9o

第三十二株 クロユリ


オディウム教の呪術師は、倒しても倒しても何処かから人員補充しているらしい。
また、復活しかかったオディウム神もどきの力を利用して更に強力な呪術を使うようになっている。

そして、こちらからあまり派手に攻撃することもできなかったそうだ。
奴等はオディウム神(もどき)が復活しかかっていることを利用して、
「入信すれば救われる」と民間人の不安を煽り、入信者を増やしている。

一般人を戦いの犠牲にすることは極力避けたいというのが各国の軍の意向だった。

精霊王「オディウムの活動には波がある」

精霊王「一番活発な瞬間を狙うぞ」

精霊王「封印の外部からはこっちからも攻撃できねえからな」

精霊王「最もあいつの力が溢れ出している時なら、封印の“穴”になってる遺跡にこっちの力を注ぎ込むことで、」

精霊王「封印の内部まで浄化できるんだ」

ということらしいので、どう戦うか何度か軍人達と会議を重ねた。
アウェイ感が半端ない。軍人達のほとんどはガチムチマッチョだ。
892 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 19:54:23.82 ID:wOYlwML9o

魔剣士「問題は俺の身体がもつかどうかだろ」

精霊王「散々慣らしたし大丈夫だとは思うんだけどな」

ダイヤモンドを手に握る。
剣もあるし、アウィナイトの加護も強化してもらったし、きっと持ち堪えてみせる。

戦士「あいつらはあらゆる手を尽くして人の憎しみを煽り、封印を弱めている」

戦士「オディウムと戦うのは少しでも早い方がいいだろう」

戦士「洗脳された一般人を犠牲にできないなんて言っていられる余裕ももうない」

戦士「多国籍軍は本気で戦い、おまえを守る」

俺がうどん粉病の神の呪いを浄化する力をもっていることは既に敵に知られている。

仮にそうじゃなかったとしても、俺達が遺跡に直接攻撃を加えていることに気づいたら妨害してくるだろう。
オディウム神もどきへの攻撃に集中するためには軍の協力が必要不可欠だ。
893 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 19:56:33.58 ID:wOYlwML9o

現在、オディウム教徒は遺跡に呪いの結界を張って立てこもっている。
聖玉の結界を破壊することもまだ諦めていないらしいが、父さん達は刺客の撃退に成功している。

俺のいとこ軍団が誘拐されかかる事件もあったらしいけどなんやかんやで阻止できている。
……父さんのすごい人数の兄弟には、同じようにすごい人数の子供がいる。

俺はいとこの人数を把握できていない。

レグホニア家の娘を嫁にもらったら孫に恵まれるとか、
逆にレグホニアの男に娘を嫁がせたら孕まされすぎて大変だとかと地元ではよく言われているけどそんなことはどうでもいい。

戦士「もうあんな思いは勘弁だ。死ぬなよ」

魔剣士「わかってるよ」

精霊王「……はあ」

魔剣士(何溜め息みたいな声出してんだよ)

精霊王「死んでからはすごい速さで時が進んでさ」

精霊王「気づいたら知ってる人間は皆死んでた」

魔剣士(寂しいな)

精霊王「つらいから悲しい感情は全部封じ込めてた」

精霊王「でも、やっぱ生まれ変わりは過去世と雰囲気似ててさ」

精霊王「つい昔のことを思い出しちまう」

魔剣士(ふーん)
894 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 19:57:05.53 ID:wOYlwML9o

突然空気が凍りつくようにピリリとした。

白緑の少女「呪術師です!」

黒い気を纏った男が現れた。
一瞬でここまで転移してきたんだ。相当高位の呪術師だろう。

呪術師「勇者ノ 眠リ 憎シミ 解放ヲ」

様子がおかしい。とりあえず狙いは母さんみたいだ。
念じて剣を具現化する。

戦士「おい下がれ!」

魔剣士「大丈夫だ!」

呪術師は呪いを放ったが、俺は呪いごと呪術師を斬った。
イウスの力を剣に纏わせれば、黒い気は浄化できる。
895 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 19:57:31.78 ID:wOYlwML9o

呪術師の身体からは黒い気がもやもやと煙のように出ている。

魔剣士「こいつ……本当に人間なのか?」

戦士「この頃現れる奴の多くはこんな感じなんだ」

白緑の少女「……オディウムの力で、無理に高位の術者となったのでしょう」

白緑の少女「力に呑み込まれ、彼本来の人格はほとんど消失していたものと思われます」

戦士「道理で倒しても倒しても強い連中が湧き続けていたのか」

魔剣士「ねー父さん俺腕を上げたでしょ」

戦士「確かに太刀筋は綺麗になったが……運動神経の鈍さは相変わらずだな」

戦士「剣が強いだけだろ」

ちくしょう。
896 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 19:59:38.47 ID:wOYlwML9o

精霊王「ねえ明日すぐ軍動かせる? オディウムの活動が活発になりそうなんだけど」

戦士「なんだ今の声」

魔剣士「ごめん俺の前世が喋った」

戦士「おまえにもちゃんと過去世があったんだな……」

魔剣士「なんで喋れるのかは後で説明するよ」

戦士「ええと……軍はいつでもすぐに動かせる。問題ない」

精霊王「そっか」

戦士「なんにせよそろそろ総攻撃を仕掛けようと思っていたしな」

魔剣士(なんで父さんと喋ったんだよ)

精霊王「だって構ってほしくて」

魔剣士(あっそ)
897 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:00:18.70 ID:wOYlwML9o

翌日。

多国籍軍が仕掛けようとしている気配に感づいたのか、オディウム教徒達も臨戦態勢らしい。
アクアマリーナの山を登る。車道が続く限りは車での移動だ。

メルクと兵士数人が護衛として同行してくれている。



クロユリの花が咲いている。
ある株の根元に、ユキの散った花が落ちていた。

対照的だな、と思った。
クロユリの花言葉は“呪い”だ。
898 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:01:20.88 ID:wOYlwML9o

魔剣士「この花って確か伝説あったよな」

白緑の少女「古い時代、この土地はアレカレスという一族に治められていました」

白緑の少女「ある代の当主にはリリィという名の美しい側室がいたのですが、」

白緑の少女「リリィは最も深く当主の寵愛を受けていたために、他の側室の妬みを買い、」

白緑の少女「不義の噂を立てられ、怒り狂った当主に切り殺されてしまいました」

白緑の少女「その際、リリィは言いました」

白緑の少女「『この山にクロユリが咲く時、私の呪いであなたの一族を滅ぼしましょう』と」

白旅人「悲しい伝説ですね」

白緑の少女「あの時はすごかったです」

魔剣士「実話だったんだ」
899 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:02:20.71 ID:wOYlwML9o

白緑の少女「呪術にもさまざまな種類があります」

白緑の少女「リリィの呪いは愛から生まれた憎しみによる呪い」

白緑の少女「オディウム教徒の呪術は、もっと純粋な憎悪によるもの」

白緑の少女「あ、あそこを見てください。昔、あの榎の所に行けばリリィの霊に会えたんですよ」

白旅人「流石にもう成仏なさっているのですか?」

白緑の少女「ええ。根も葉もない噂を信じてすまなかった、と当主の霊が土下座し、」

白緑の少女「2人の憎しみは浄化され天へと昇っていきました」

白緑の少女「愛から生まれた憎しみは、愛によって浄化され救われます」

魔剣士「オディウム教徒の呪いはどんな原理で浄化してんだ」

精霊王「相反する属性の神の力をぶつけることで相殺してる感じ」

精霊王「あれは単純な愛の力だけじゃ浄化できねえからな。」

魔剣士「ふーん」

専門じゃねえから結局よくわかんねえや。

精霊王「あ、でも俺とスフィの愛の力はすげえ強力な浄化のエネルギーになるからな!」

魔剣士「せめて“俺等とユキ”って言ってくんねえかな」

精霊王「だってなんか嫌じゃね……?」

魔剣士「仕方ねえだろ……」
900 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:02:47.05 ID:wOYlwML9o

白旅人「白いユリも咲いているんですね」

魔剣士「カサブランカだな。綺麗だ。好きなのか? 白百合」

白旅人「いえ、クレイオーさんに似合いそうだと思いまして」

魔剣士「まああいつ顔はいいからな。でかくて綺麗な花ならなんでも似合うだろ」

白旅人「あなたにとって、クレイオーさんはどんな人ですか」

魔剣士「え? んー、ひたすらうざくてめんどくさい奴」

白旅人「それだけですか?」

魔剣士「うん」

魔剣士「小さい頃からずっと、あいつ俺のこと嫌いなくせにひっついてきてさ」

魔剣士「馬鹿にしてくるくせにおせっかい焼いてくるんだぜ。嫌いなら離れりゃいいのにさ」

白旅人「聞き捨てなりませんね」

魔剣士「え?」

白旅人「……わかって言ってるわけじゃないんですよね?」

魔剣士「ちょっと待って意味わかんない」

白旅人「まあ、過去は過去なのでいいですけどね」

青い石「この子そういう機微は察せないから……」
901 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:04:46.44 ID:wOYlwML9o

ユキと2人(+霊体2人)で大樹に上る。
頂上付近から北方を見下ろす。人が米粒のようだ。丁度戦いが始まっている。

呪術師がこちらに感づいている気配はない。

精霊王「じゃあ始めるぞ」

精霊王「おまえの身体からスフィに俺の力を流して浸透させるからな」

俺のものとは異なる魔力が胸から湧き溢れる。
この頃漸く慣れてきた感覚だ。

精霊王「痛くないか」

魔剣士「平気だ」

精霊王「スフィ、大丈夫そうか」

白緑の少女「問題ありません」

精霊王「スフィを俺で満たす作業には時間がかかる。つまり暇だ」

白緑の少女「お父様達の様子でも窺いましょうか」

白緑の少女「目を閉じてください」

白緑の少女「魔力を同調させている今なら、共に遠視の術を使うことができます」
902 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:06:02.17 ID:wOYlwML9o

言われたとおり目を閉じると、スコープで拡大したような映像が瞼の裏に表れた。
父さんは……前線にはいない。まだ後方にいるみたいだ。

すぐ傍にアキレスさんもいる。

英雄「俺そろそろ部下連れて前線行くね」

戦士「死ぬなよ」

英雄「もちろん。それに今日は怪我だってするわけにはいかないんだ」

英雄「うっかり女性用の下着つけてきちゃってさ」

英雄「こんなの見たら、治療班の子がびっくりしちゃう……うふ」

戦士「…………」

カナリアの気持ちがちょっとわかった気がする。父親がこれだとつらい。

佐官「あの、レグホニア中将」

前は大佐だったような。昇格したんだ。

佐官「何故か女装してる隊があり、他の部隊員が精神統一に支障をきたしているという苦情が入ってます」

英雄「あっごめんそれ俺の部下達〜」
903 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:06:50.13 ID:wOYlwML9o

英雄「女装で敵の精神をかき乱す作戦、俺よく使っててさ……だめ?」

戦士「やるなら事前に会議で言え!!」

佐官「どうしましょう」

戦士「気にせず戦闘に集中しろと命令を下してくれ」

佐官「……がんばります」

英雄「ところでさ、キャロルさんが男ってほんと?」

戦士「今する話なのかそれ」

副官「ほんとですよ〜」

英雄「すごい……女性にしか見えないよ。美しさを保つコツとかあるの?」

副官「毎晩ちゃんと寝るといいですよ〜」

戦士「この戦いが終わってから話せ!!」


白緑の少女「愉快な方々ですね」

魔剣士「うん……」

オディウム教徒よりも多国籍軍の方が圧倒的に人数が多いのになかなか決着がつかないのは、
やはりオディウム教徒の使う術が厄介だからだ。

でも多国籍軍は対抗策を次々と編み出した。負けはしないだろう。
904 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:09:20.64 ID:wOYlwML9o

精霊王「あ、そうだ」

精霊王「今ならおまえの術、遠視の術を使った原理を利用して遠くまで飛ばせるぞ」

魔剣士「あ、まじで?」

鞄を漁って毒草を食べ、ユキの力を借りて戦場に飛ばした。
数十人のオディウム教徒は嘔吐・下痢により戦闘不能になった。ざまあ。

精霊王「んー、もうそろそろよさそうだ」

精霊王「剣を構えろ」

魔剣士「はい」

遺跡の方に切っ先を向ける。

精霊王「行くぜ相棒!」

魔剣士「もう1人のボクとは呼ばねえからな」
905 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:11:16.80 ID:wOYlwML9o

大樹に流し込んだ力を剣に集中させ、白と緑の光を放った。
直接膨大なエネルギーを俺から剣に流すと俺が死ぬため、わざわざ大樹に力を溜め込んだのである。

精霊王「おまえが破裂する寸前にまで出力上げるからな!」

ちょっと怖い。恐れを覚えた瞬間、ユキが俺の手を強く握った。
大丈夫だ。戦える。


光が遺跡に落ちた手応えが不思議と感じられた。
しかし憎しみの黒は浄化しきれない。量が多すぎる。

長時間耐えなきゃいけなさそうだ。
呪術師達がこっちの攻撃に気づいたようだ。

でも、ユキの身体全体はイウスの力で覆われているから遠距離攻撃は効かないし、
近づいた敵はメルクと兵士が倒してくれる。

父さん達が戦ってくれているから、大勢でこっちを襲うこともできないだろう。
大して気にする必要はない。
906 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:12:22.53 ID:wOYlwML9o

精霊王「気をつけろ!」

カラスの大群のような“闇”が形を変え、襲い掛かってきた。
遺跡への攻撃を中断し、剣を振るう。

精霊王「反射神経にっぶ」

魔剣士「うっせ!!」

多少動きが鈍くても靄は浄化できている。気持ちいい。しかしいかんせん疲労が溜まる。

魔剣士「あんまり激しく動くと枝から落っこちそうでこええな」

白緑の少女「落ちても私が助けます! 思いっきり戦ってください!」

背後から針のような形になった闇が襲い掛かってきた。速い!

魔剣士「やばっ!」

青い石「ああもうっ!」

勝手に素早く体が動いた。

青い石「ちょっと体借りるから!」

魔剣士「正直助かる」

剣を極めたモルの方が俺よりも上手く戦える。
これやると後から気持ち悪くなるけど仕方ない。
907 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:14:59.22 ID:wOYlwML9o

白緑の少女「――イウスの力との融合率が上がりました。私からも行きます!」

大樹のあちこちから光が放たれ、闇を浄化していく。



闇の靄の動きに隙ができた。
モルの憑依を解いてもらって、辺りに漂う靄を一気に浄化し再び遺跡へと力を放つ。

精霊王「封印の内部に光を押し込むぞ!」

白緑の少女「エリウスさん、血が!」

吐血した。

魔剣士「っまだ大丈夫だ!」

このままならオディウムを倒せる。

そう思った瞬間、奇妙な違和感に襲われた。
力の一部が黒く染まり、逆流している。

精霊王「嘘だろっ!?」

それは剣から俺の右手へ流れ、胸を撃った。
908 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:15:46.90 ID:wOYlwML9o























負の感情が蠢いている。
909 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:18:26.76 ID:wOYlwML9o

目を開けると、見るに堪えない悍ましい色が空間を漂っていた。
低い、脳を揺らすような声が聞こえる。

『人は誰でも憎しみの感情をもっている』

『大精霊の生まれ変わりたるおまえも同じことだ』

『我は浄化の力に混じっていたおまえの憎しみの情によりおまえを引きずり込んだ』

嫌な記憶がぐるぐると頭を回った。


馬鹿にされたこと、逆恨みされたこと、マスコミに追いかけられたこと。
理解してもらえなかったこと、誤解されたこと。

何度も犯されて殺されかけたこと。
910 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:18:52.66 ID:wOYlwML9o

『この世界は、救うに足る世界なのか?』




「おまえさ、もうちょっとまともに喋れねえの?」

「たまに喋ったと思ったら全然空気読まないじゃん」

やめろ

「うわ、こっち見ないでよ」

「ごめん、もうついてこないで。ちょっと優しくしただけで、こんなに依存されても困るよ」

ごめんなさい、もう関わりません。ごめんなさい。




『おまえの人生は、愛されることよりも、憎み憎まれることの方が遥かに多かった』

『おまえを救うのは憎しみによる復讐のみだ』
911 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:20:32.76 ID:wOYlwML9o

魔剣士「……そんなことねえよ」

涙が止まらない。でも、幸せだった記憶を必死に思い返す。

魔剣士「生憎、絶望はもう乗り越えてるんだ」

魔剣士「おまえなんかに洗脳されやしねえよ」

『――おまえに外の世界を見せてやろう』


……空が黒い。地上は血と肉の山で覆われている。


兇手「くくっふはははは! ついに倒したぞ! この俺が最強だ!」

戦士「っ――」

父さんの胸が、剣で貫かれた。

魔剣士「父さん!」

身体を支えようとしたけれど、すり抜けた。

次女「やだ! 放して!!」

次女「いたいー!」

魔剣士「ルツィーレ!」

ルツィーレが……男達に蹂躙されている。

次女「おとうさん! 助けて! お父さーん!」

妹の太ももを血が伝った。

魔剣士「やめろ……やめろ!!」
912 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:21:17.58 ID:wOYlwML9o

悪寒が背筋を走った。振り向くと、母さんが呆然と立ち尽くしていた。
眠りの魔法が解けて、ここに駆けつけたのだろう。

母さんは膝をつくと、傍に落ちていた剣を拾い、立ち上がった。

勇者「……皆殺しだ」

やめろ、母さんが人を斬るところなんて見たくない。
血に染まった母さんなんて、見たくない……!


……携帯が鳴った。メールだ。誰からだろう。
あまり折り合いのよくない大学の知り合いからだ。

「これ、おまえだよな?」

本文にはURLが貼られている。
押すと、動画サイトに飛んだ。

魔剣士「あ……」

誰が、いつの間に、撮っていたんだろう。
俺が、精霊に犯されているところ。
913 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:22:03.71 ID:wOYlwML9o

嘘だろ。他にいくつもアップロードされている。削除は追いつかないだろう。
再生数はどんどん増えている。仮に全て削除しきれたとしても、もう……。

『この世界におまえの居場所はない』

まともに呼吸ができない。

『母の愛を拒絶したおまえは、我が肉体に相応しい』

『憎悪に染まれ』

泣き叫ぶ母さんの壊れた笑い声が、耳に響いた。


もう、この破壊衝動にすべてを任せてしまった方が、楽かもしれない。
914 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/07/31(月) 20:22:35.75 ID:wOYlwML9o
kkmd
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/07/31(月) 20:39:18.29 ID:6ozLj9kvo
otu
916 : ◆O3m5I24fJo [sage]:2017/07/31(月) 23:51:16.67 ID:wOYlwML9o
>>153誤字
四歳下じゃなくて四歳上
917 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:20:08.32 ID:q0MlyY+Zo

第三十三株 ユカリ


足元の血溜まりを見つめる。
生きていたって仕方ないや。


背中から誰かに優しく抱きしめられた。
おかしいな。人に触ろうとしてもすり抜けたんだ。誰かと触れ合えるはずないのに。



「大丈夫だよ。これ、全部嘘なんだから」



聞き覚えのある声だ。

魔剣士「……モル…………?」
918 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:24:48.47 ID:q0MlyY+Zo

「よく見るんだ。意外とちゃっちいよ、これ」

指差された方を見る。
服が大きく裂けたアキレスさんの死体が転がっていた。

魔剣士「……女物の下着つけてない」

幻影だわこれ!



景色が下方に流れ落ちていくように消え去った。


『馬鹿な……! 封印の内部へはこの男1人しか引きずり込まなかったはず!』

「私も人間だからね。負の感情を同調させてここまで追いかけるのはそう難しくなかったよ」

さっきまでが嘘みたいに、憎悪の感情が心から流れ去っていった。

「エリウス、聞こえるだろう? 君を呼ぶ声が」
919 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:25:40.89 ID:q0MlyY+Zo

白緑の少女「このままでは精神体が死んでしまいます!」

精霊王「戻ってこいエリウス!」

精霊王「俺はおまえが胎児の頃からずっと見守ってきたんだ。自分の子供みてえに思ってる」

精霊王「おまえに死なれたくねえんだよ!」

白緑の少女「もう私を置いていかないで!」

帰らなきゃ。

「この子を憎しみの塊に渡しはしないよ」

『おのれ……おのれ!』

青い光に守られている。もう幻影を見せられることはないみたいだ。
920 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:26:45.27 ID:q0MlyY+Zo

俺とよく似た少し年上の、でも目尻は吊り上っていない男がこっちを向いて微笑んだ。

   「もう、大丈夫だね。君は大人になったんだから」

魔剣士「なんだよ、心配してばっかで、全然俺のこと信頼してくれなかったくせに」

   「はは。実は、君が他のことに集中している間に、こっそりヘリオス君に訊いたんだ」

   「どうしてエリウスのことを信頼できるのかって」

   「『親が子供を信じてやらないと、子供は自信をもてないじゃないですか』って答えられたよ」

   「同じ人の親として負けたなって思った」

魔剣士「…………」

   「私は、これから何があっても君は乗り越えられるって信じることにしたよ」

魔剣士「……じいちゃん」

   「一緒にいられて楽しかった」
921 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:27:21.96 ID:q0MlyY+Zo

目を開けると、元の景色が見えた。

白緑の少女「エリウスさん!」

精霊王「エリウス!」

魔剣士「もうひと踏ん張りだな!」

闇の靄がまとわりついてくる。でも負ける気はしない。

精霊王「封印の内部から奴を引っ張り出すぞ!」

魔剣士「このままじゃ駄目なのか?」

精霊王「封印の中に奴を残すと、いずれ奴は再び憎しみを吸って復活する。同じことの繰り返しだ」

精霊王「俺の母さんの言葉を思い出せ」

『余剰となっている憎しみを削り、その後は少しずつ争いを治めていくのが最良の歴史となるでしょう』

精霊王「憎しみを敢えてこの世界に解き放ち、緩やかに浄化しなきゃいけねえんだよ」

魔剣士「……わかった」

釣竿を引き上げるように、闇を引きずり出した。
922 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:28:11.29 ID:q0MlyY+Zo

白緑の少女「まだ……もっと、もっと浄化してください」

白緑の少女「……今です!」

浄化を止め、赤ん坊くらいの大きさになった憎しみの塊を光で包む。

精霊王「これを分割して世界にばら撒く」

精霊王「これからこいつは、憎しみに翻弄される運命を背負った者として転生するだろう」

精霊王「だが、小さな憎しみであれば浄化は容易い」

精霊王「生ある者として生まれ変わり、愛を学べば尚更だ」

精霊王「だから、争いの種をばら撒くことに、おまえが責任を感じる必要はないからな」

剣で細かく切り刻み、イウスの力によってオディウムは世界中に散っていった。

あれは厄災の種だ。
責任を感じなくていいと言われても、やっぱり少しは罪悪感を覚えてしまう。

魔剣士「……はあ」

オディウム教徒達は信じる神を失い、途方に暮れて攻撃をやめた。
終わったんだ。

ユキの枝に腰を下ろす。随分疲れた。
……もう、激しすぎるセックスはしなくていいんだ。ほっとした。
923 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:29:09.40 ID:q0MlyY+Zo

胸元のアウィナイトに、もう祖父はいない。
魔力を使い果たして成仏したんだ。

魔剣士「……悲しくないよ。ちょっと寂しいけど」

魔剣士「本当はとっくの昔にあの世に逝っているはずの魂が、漸くあるべき場所に還っただけなんだから」

白緑の少女「…………」

魔剣士「あれ……でもおかしいな……」

目頭が熱い。

白緑の少女「泣いて、いいんですよ」

ずっと一緒にいた家族が、いなくなった。

あんなに鬱陶しかったのにな。
突然去られて、思考が感情に追いつかないんだ。
924 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:29:41.56 ID:q0MlyY+Zo

ユキの胸を借りてしばらく泣いた。

泣いてる間に癒しの術をかけてくれたらしくて、
イウスの力を使ったことによるダメージは癒えている。

白緑の少女「もうそろそろ降りましょうか」

魔剣士「……ちょっと待って」

腹が……生命の結晶が埋め込まれたあたりが熱い。
なんだろう。今なら奇跡を起こせそうな気がする。

魔剣士「ユキ、俺さ……すごくセックスしたい」

ユキはちょっと驚いたみたいだけど、俺の手を引いてくれた。

白緑の少女「いいですよ。こちらへ」

なされるがままユキについていくと、樹皮をすり抜けて木の内部に入れた。
925 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:30:58.52 ID:q0MlyY+Zo

白緑の少女「大樹の内部は私の精神世界になっています」

オディウム神もどきが封印されていた空間と違って、
すごく綺麗で淡い色彩が浮いている。

白緑の少女「通常、私以外の存在がここに入ることはできません」

白緑の少女「どうやら、私達の魔力と、生命の結晶や緑の聖結晶が共鳴しているようです」

神聖な波動が魂を揺さぶる。

白緑の少女「ドロドロに、溶け合いましょう」

ユキに押し倒された。

魔剣士「……俺、男だから」

ユキの肩を掴み、上体を起こして組み敷いた。
やっぱり、俺には男のプライドがある。たまには抱かれるんじゃなくて抱きたい。

ユキは微笑んで、俺の首に手を回してくれた。
926 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:31:30.00 ID:q0MlyY+Zo

――
――――――――

戦士「なあ、エリウスは」

白旅人「まだ降りてこられないんです。だいぶ経つのに」

戦士「まさか死んだんじゃないよな……」

白旅人「遠すぎて魔力を追えません。大丈夫だとは思うのですが」

戦士「トパーズで探すか」

白旅人「!? 急速にエリウスさんの魔力が降りてきています!」

魔剣士「いでっ!」

戦士「うわっ!?」

勢いをつけすぎて、幹の中から思いっきり飛び出してしまった。

魔剣士「あっ父さん!」

戦士「今の見間違いじゃないよな……? おまえ、木の中に入ってたのか?」

魔剣士「父さん……俺、妊娠した」

戦士「は?」
927 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:32:02.19 ID:q0MlyY+Zo

魔剣士「受精したのはユキの霊体の中でなんだけど〜人間の体温を覚えさせた方がいいからって〜」

戦士「ちょっと待ってくれ、おまえが何を言っているのか全くわからない」

魔剣士「父さんの孫ができたんだよ? 嬉しくないの?」

戦士「あ……ああ? そうか、俺ももうおじいちゃんか……40だもんな……」

父さんは状況を理解しようと必死に考えている。後でちゃんと説明しよう。

父さんの部下が運転する車が近くに停まった。
後部座席から降りてきたのは母さんだ。

勇者「エル!」

魔剣士「母さん」

抱きしめられた。おっぱい柔らかい。

魔剣士「俺、悪い奴やっつけたよ。もう心配要らないんだ」

抱きしめ返す。

戦士「えらい素直になったな……」

勇者「ちょっと、反抗期が長かっただけだもんね、エル……」
928 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:33:02.43 ID:q0MlyY+Zo

――――――――――――
――――――――
――

旅は続けるつもりだけれど、最初の子は慣れた環境で産み育てたかったから里帰りした。
久々の我が家だ。

四女「かーしゃ!」

次女「ラヴェンデルー!」

勇者「ラヴィ! よかったぁ……」

戦士「なあ、おまえの子供って……何処から産まれるんだ?」

魔剣士「へその辺り突き破って生まれてくるって」

戦士「うっ……痛そうだな……」

父さんは腹を押さえた。

ちなみに普通の赤ちゃんほど腹の中で大きくなることはない。
産まれてくる時の大きさはクルミくらいだ。

俺とユキの子供は、人間であり、植物であり、精霊でもある。
人と草木の間に立ち、共存のために働くことができる新たな種族だ。
929 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:33:51.32 ID:q0MlyY+Zo

魔剣士「俺今日父さんと母さんと川の字になって寝るー!」

戦士「いや、流石に気持ち悪い」

魔剣士「子供の頃充分に甘えられなかった分取り戻したいんだけど」

勇者「一晩くらいいいでしょ?」

戦士「アルカさんがそう言うなら……いや……しかし……」

三男「おかあさんにちかづくなあああうわああああ!!」

魔剣士「押さないで! 殴らないで! お腹に赤ちゃんいるから!!」

戦士「アルクスはアウロラと一緒に寝てくれ」

三男「いやだああああああああ」

魔剣士「母さんもーらい」

三男「ぐずっうぇぇ……うえええええん! あっちいけー!」

四女「かあしゃー、とおしゃ」

戦士「ラヴェンデルはベビーベッドな……」

魔剣士「久々に母さん独り占めしちゃうもんねー!」

戦士「なんだこの状況……」
930 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:34:25.94 ID:q0MlyY+Zo

戦士「ベッドが狭いんだが」

魔剣士「かあさーん」

戦士「マザコンは……嫁さんに嫌がられないか……?」

魔剣士「俺のお嫁さん1億歳だよ? 細かいこと気にしないよ」

戦士「そ、そうか」

戦士「……でかくなったもんだなあ」

勇者「もう……大人だもんね」

魔剣士「成人しても、俺が父さんと母さんの子供であることは変わらないよ。ずっと」

かつて拒絶してしまったこの温もりが、ひどく愛おしい。

戦士「暑い……」
931 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:34:52.26 ID:q0MlyY+Zo








魔剣士「なあユキ、ちょっと散歩しよ」

白緑の少女「ええ」

真夏の日射し。たまには暑い中歩くのもいいかな。
また旅に出たら、たまにしか故郷には帰ってこないんだから。
932 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:36:13.76 ID:q0MlyY+Zo

しばらく歩くと、アポロン先生がふらふらしていた。
散々泣いた後なのだろう。目が腫れている。

魔剣士「ちわっす」

詩人「ああ……やあ、エリウス君……」

魔剣士「娘が彼氏作って帰ってきたのがショックなんですよね」

メルクはクレイオーと一緒にこの国に来た。リモンさんも一緒らしい。

詩人「その通りだよ……」

詩人「悪いところまで僕に似てしまって、なかなか貰い手が見つからなかったからほっとしているんだ」

詩人「でも……なんだろうねこの気持ちは。涙を禁じ得ないよ」

非常にげっそりとしている。それでいて妙な美しさがあるのはすごいと思う。

詩人「アウロラちゃんが彼氏を連れてきた時のヘリオス君はどんな様子だったか教えてくれるかい?」

魔剣士「父さんは、子供にはドライなところがある人ですから」

魔剣士「『ふーん』って感じでしたよ。元々知ってる相手でしたし」

詩人「そうか……」

俺の娘が彼氏を連れてきた時、俺はどんな気持ちになるんだろう。
余程変な男じゃない限りは素直に祝福できる父親になりたいな。
933 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:37:03.78 ID:q0MlyY+Zo

まだまだやらなきゃいけないことはたくさんある。
自然破壊を止めるNGOでも立ち上げようかな。

でもまずは……

魔剣士「子供の名前、どうしよっか」

白緑の少女「ゆっくり考えましょう」


青空の下で深い緑が輝いている。



人と草木を繋ぐ新たな理。生命の結晶と、ユキとの絆から生まれた奇跡。
より良い世界を、きっと築いてみせる。
934 : ◆O3m5I24fJo [saga]:2017/08/01(火) 20:38:38.92 ID:q0MlyY+Zo

END





ごっそり修正したいのでこっちのスレは転載禁止で
書くのに時間かかりすぎた
近日中に番外編スレに後日談いくつか投下して終わります
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 02:11:20.22 ID:3ZEeR/Lzo
お疲れ様でした

終わってしまうのは悲しいけど、番外編楽しみにしています
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 07:46:22.38 ID:0crK9aTLo
カモノハシみたいにアナルから産めばいいのに
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2017/08/02(水) 08:26:51.78 ID:G5PCElfc0
心から乙
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 12:36:01.56 ID:b2SOU8qBO
乙でした‼
番外編楽しみ
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/02(水) 20:57:52.30 ID:1AHlnSIWO

とても面白かった…
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 10:46:42.32 ID:OyZ/IMy5o
乙乙
とても面白かった!番外編楽しみにしてる
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/08/03(木) 14:01:55.01 ID:MBXOgxHA0
乙カーレ
良かった
942 : ◆O3m5I24fJo [sage]:2017/08/03(木) 17:46:37.12 ID:6fPzesjTo
後日談ここからです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1475058552/460
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [age]:2021/12/22(水) 00:35:38.46 ID:rrDaGIejO
Steam(PC)オープンワールドハードコアRPG

『KENSHI(剣士)やる』
(23:19〜放送開始)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
944 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/12/22(水) 02:37:37.54 ID:7pfa9W8q0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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945 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [age]:2021/12/23(木) 00:19:49.26 ID:rirMQINvO
Steam(PC)
オープンワールドハードコアRPG

『KENSHI(剣士)やるDay2』
(23:52〜放送開始)

https://www.twitch.tv/kato_junichi0817
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2021/12/23(木) 10:11:49.92 ID:fax62cTS0
日本人はカス民族。世界で尊敬される日本人は大嘘。

日本人は正体がバレないのを良い事にネット上で好き放題書く卑怯な民族。
日本人の職場はパワハラやセクハラ大好き。 学校はイジメが大好き。
日本人は同じ日本人には厳しく白人には甘い情け無い民族。
日本人は中国人や朝鮮人に対する差別を正当化する。差別を正義だと思ってる。
日本人は絶対的な正義で弱者や個人を叩く。日本人は集団イジメも正当化する。 (暴力団や半グレは強者で怖いのでスルー)
日本人は人を応援するニュースより徹底的に個人を叩くニュースのが伸びる いじめっ子民族。

日本のテレビは差別を煽る。視聴者もそれですぐ差別を始める単純馬鹿民族。
日本の芸能人は人の悪口で笑いを取る。視聴者もそれでゲラゲラ笑う民族性。
日本のユーチューバーは差別を煽る。個人を馬鹿にする。そしてそれが人気の出る民族性。
日本人は「私はこんなに苦労したんだからお前も苦労しろ!」と自分の苦労を押し付ける民族。

日本人ネット右翼は韓国中国と戦争したがるが戦場に行くのは自衛隊の方々なので気楽に言えるだけの卑怯者。
日本人馬鹿右翼の中年老人は徴兵制度を望むが戦場に行くのは若者で自分らは何もしないで済むので気楽に言えるだけの卑怯者。
日本人の多くは精神科医でも無いただの素人なのに知ったかぶり知識で精神障害の人を甘えだと批判する(根性論) 日本人の多くは自称専門家の知ったかぶり馬鹿。
日本人は犯罪者の死刑拷問大好き。でもネットに書くだけで実行は他人任せ前提。 拷問を実行する人の事を何も考えていない。 日本人は己の手は汚さない。
というかグロ画像ひとつ見ただけで震える癖に拷問だの妄想するのは滑稽でしか無い。
日本人は鯨やイルカを殺戮して何が悪いと開き直るが猫や犬には虐待する事すら許さない動物差別主義的民族。

日本人は「外国も同じだ」と言い訳するが文化依存症候群の日本人限定の対人恐怖症が有るので日本人だけカスな民族性なのは明らか。
世界中で日本語表記のHikikomori(引きこもり)Karoshi(過労死)Taijin kyofushoは日本人による陰湿な日本社会ならでは。
世界で日本人だけ異様に海外の反応が大好き。日本人より上と見る外国人(特に白人)の顔色を伺い媚びへつらう気持ち悪い民族。
世界幸福度ランキング先進国の中で日本だけダントツ最下位。他の欧米諸国は上位。
もう一度言う「外国も一緒」は通用しない。日本人だけがカス。カス民族なのは日本人だけ。

陰湿な同級生、陰湿な身内、陰湿な同僚、陰湿な政治家、陰湿なネットユーザー、扇動するテレビ出演者、他者を見下すのが生き甲斐の国民達。

冷静に考えてみてほしい。こんなカス揃いの国に愛国心を持つ価値などあるだろうか。 今まで会った日本人達は皆、心の優しい人達だっただろうか。 学校や職場の日本人は陰湿な人が多かったんじゃないだろうか。
日本の芸能人や政治家も皆、性格が良いと思えるだろうか。人間の本性であるネットの日本人達の書き込みを見て素晴らしい民族だと思えるだろうか。こんな陰湿な国が落ちぶれようと滅びようと何の問題があるのだろうか?
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