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男「川で全裸のエルフ拾った
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 22:45:25.91 ID:9m2tKT3V0
男 「上の方から見慣れないモンが流れてきたと思ったら、まさか女の子が流れてくるなんてな……」
エルフ「流されるなんて思わなかったんですよ…… 流れもそんなに速くなかったですし、それにまさかあんなに深いところがあるだなんて……」
男 「下流ならまだしもあの川は上流の方が深いところが多いからな。見た目じゃ深さも流れの速さもわからんし。しかし、なんでまた川の中に?」
エルフ「蒸し蒸しとした暑さにやられて弱っていたところにちょうど川が見えたので、水浴びしようとしてつい……」
男 「二度とそんな不注意な行動はしないように。何のかんので毎年川で溺れ死んでる奴は相当いる。今回は運が良かっただけだ」
エルフ「相当、ですか…… そうですね、今後はこのようなことのないように注意します」
男 「で、どの辺りで流されたんだ?そこらに服とか荷物とか置いてあるんだろうし明日にでも拾いにいかないとな」
エルフ「いえ、そこまでしていただく義理はありませんし、私だけで取りに行ってきます」
男 「不慣れな土地を一人でか?どうも君はこの辺りの人間じゃなさそうだ」
エルフ「っと、それは、そのぉ…… で、では、よろしくお願いします」
男 「今夜は俺の着古したそれで我慢してくれ。ちょっとおっさん臭くて申し訳ないが」
エルフ「すみません、お言葉に甘えさせてもらいます…… えと、ありがとうございます」
男 「レムルストゥニ。確か『どういたしまして』って意味でよかったよな?」
エルフ「!?」
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 22:48:55.09 ID:9m2tKT3V0
男 「ん!?まちがったかな?」
エルフ「いえ、合ってます。ですが、どうして貴方がエルフの言葉を……?」
男 「ああ、そっちか。なに、昔エルフと仲良くなったことがあってな。その時に簡単な言葉を教えてもらった」
エルフ「……なぜ私がエルフだとわかったんですか?」
男 「その長い耳を見りゃわかるさ」
エルフ「あっ……」
男 「今頃隠したって遅いって」
エルフ「……私をどうするつもりですか?」
男 「そうだな、他の誰かに見つからないうちにどこかにあるっていうエルフの国に帰ってもらうとするよ」
エルフ「…………」
男 「そう簡単に信じてもらえるはずもないか。……まぁ、それより耳じゃなくて他のところ隠してくれないか?目のやり場に困る」
エルフ「あっ……」
男 「ん、よし。さっきも言ったけど今夜はゆっくり休んでくれ。結構長い間水に浸かってたんだろうしな」
エルフ「…………」
男 「……じゃ、俺は下で寝てるから」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 22:52:51.44 ID:9m2tKT3V0
―――――
―――
―
男 「……お〜い、起きてるか」
エルフ「…………」
男 「ま、とりあえず服は扉の前に置いとくからな?着替えたら降りてきてくれ。朝飯にしよう」
エルフ「…………」
男 「お、来たな」
エルフ「これは……?」
男 「鹿の肉。あ、お嫌い?」
エルフ「いえ、嫌いとかではなくて、エルフは動物を食べたりなんて……」
男 「そうだったのか。悪いな、そこまでは知らなかった」
エルフ「普通は知らないはずです」
男 「ま、好き嫌いとか食文化だなんて言ってられる状況じゃなかったからな」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 22:54:36.36 ID:9m2tKT3V0
エルフ「……と、言いますと?」
男 「くだらない話さ。それよりこれならどうだ?芋を蒸かしただけのやつだが」
エルフ「……いただきます」
男 「うん、これ食ったら早いとこ荷物を探しに行こう。急がないと獣がアンタの荷物を持って行っちまってるかもしれん」
エルフ「はい……」
男 「しかし人間の言葉がうまいな」
エルフ「先生に教えていただきました」
男 「先生……? っと、あんまり詮索しない方がいいか」
エルフ「…………」
男 「……ん、ごっそさん」
エルフ「……ゴッツォサン?」
男 「『ごちそうさまでした』だよ。全部言うとめんどいから略してる」
エルフ「ああ、それならわかります」
男 「じゃあ改めて、ごちそうさまでした」
エルフ「ごちそうさまでした」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 22:59:07.60 ID:9m2tKT3V0
―――
――
―
男 「――――っと、それじゃ行こうか」
エルフ「……はい」
男 「とりあえずは川沿いを上流に向かっていくとして……」
エルフ「…………」
男 「どうした?」
エルフ「……貴方はディアンニフ、悪者、ですか?」
男 「さぁ、どうだか?」
エルフ「答えてください」
男 「……少なくとも俺は自分で自分を悪人じゃない、って言う奴は信頼できない。君はどうだ?」
エルフ「そうですね……」
男 「…………」
エルフ「行きましょう。ご同道をお願いします」
男 「……あいよ」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:06:28.64 ID:9m2tKT3V0
―――
――
―
男 「――――この辺も見覚えないか?」
エルフ「はい」
男 「ってことはもっと上か…… そんなとこで君は何してたんだ?」
エルフ「実は私、旅の途中でして…… この頃、西の森の力が弱まってきているようで、その原因を確かめるべく西に向かっていたんです」
男 「森の力……?」
エルフ「森にもある種の力があって、それが弱まると森と共に生きている私たちエルフはとても困るんです」
男 「へぇ。で、その森の力とやらが弱まった原因を調べるために旅をしていた、と?」
エルフ「そういうことなんです」
男 「……ところで」
エルフ「はい?」
男 「こっちから聞いておいてなんだが今の話って、そんなにペラペラしゃべってもよかったのか?」
エルフ「人間さんはスウィルニフ……えっと、人の言葉で『善人』、『いいひと』みたいですから」
男 「善人って…… なんでまた?」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:11:09.80 ID:9m2tKT3V0
エルフ「気を失っていた私を介抱していただきましたし、こうして一緒に荷物を探していただいてますし」
男 「いや、でも善人ってほどじゃないだろ。普通だと思うけどな」
エルフ「そうなんですか?私、どんな人間が普通なのかは良く知りませんので」
男 「まぁ、人間との接触はないだろうしな」
エルフ「聞いてる限りでは人間って基本的にディアンニフだとか」
男 「違うと思うけどな。まぁ、人の本質は善だとか、人は生まれながらにして悪だとかそういう哲学的な話はよくわからん」
エルフ「あっ…… もしかして私の荷物を手に入れてからどうにかする気だったんですか?」
男 「いや、そういうわけじゃないが……」
エルフ「……じゃあ、人間さんは悪い人ですか?」
男 「いやいや、人間ってのはそう極端なもんじゃなくてだな……?」
エルフ「それでもやっぱり私は貴方は善人だと思います」
男 「あー、うーん…… もうそれでいいや」
エルフ「はい!」
男 (よくもまぁ、こんな騙されやすそうな子を旅に出させたもんだ……)
エルフ「?」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:17:18.81 ID:9m2tKT3V0
―――
――
―
男 「しかし、エルフのお嬢さんが一人旅というのは危なくないか?」
エルフ「はい?」
男 「エルフと見りゃどんな手を使ってでも手に入れようとする連中は少なくないはずだ」
エルフ「そうですね」
男 「そうですねって…… わかってんならどうして」
エルフ「大丈夫ですよ、弓の名手でもある友達が一緒なんです。いざというときは……」
男 「友達?」
エルフ「はい、それが何か?」
男 「……その友達は今頃君を探しているんじゃ?」
エルフ「……あ」
男 「あー……」
エルフ「どっ、どうしましょぅ〜〜〜!!?」
男 「落ち着け落ち着け」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:24:52.79 ID:9m2tKT3V0
エルフ「ああ、今ものすごく心配かけちゃってますよね、ねぇ!?」
男 「落ち着けって、なんかはぐれた時とかのために連絡手段とか用意してないのか?」
エルフ「えーっと、え〜と…… 全部荷物の中ですぅ!!」
男 「そうか、じゃあ誤解の解ける望みは薄いか……」
エルフ「はいぃ!?ご、誤解、ですか……?」
男 「さっきから獣にしちゃあ慎重過ぎる何かが俺たちの後をつけている。一体誰だと思っていたが」
エルフ「そ、それじゃあ!!」
男 「ああ、多分それがアンタのお友達だろう」
エルフ「じゃあ、早速呼んでみますね!
男 「あ、おい!」
エルフ「スウィーーーダァ!ニャヌルゥーワシシピィ!!」
エルフ「スウィーダ!」
エルフ「……フィナ?」
エルフ「スウィーーーダァ!トルキメニスタファッス!!」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:30:06.18 ID:9m2tKT3V0
男 「……まぁ、すぐには出てきてくれないだろ。なんせ人間と一緒にいるんだから」
エルフ「それもそうですね。じゃあ人間さんはディアンニフじゃないって伝えてみます」
男 「やるだけやってくれ、多分信頼されないと思うが」
エルフ「イズルミニフスィスィエルミアディアンニフ!ネレイシャスウィルニフ!エレンシェクルミニーヤ!!」
エルフ「……駄目ですかね?」
男 「だろうな。俺に脅されて言わされていると思ってるのかもな」
エルフ「どうしましょうか……」
男 「……じゃあ、ちょっと俺から離れてみてくれるか?」
エルフ「え?はい……」
男 「もっと」
エルフ「はい」
男 「……もっと」
エルフ「はい」
男 「……じゃあな!」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:34:38.73 ID:9m2tKT3V0
エルフ「えっ……?」
男 (川に飛び込みゃあ逃げきれるだろ……って)
男 「おわっ!?」
エルフ「シャンハッ!?」
男 「…… 逃がす気はねぇってか」
男 (先を読まれてたか…… 後半歩進んでりゃ矢がブッスリだ)
エルフ「あぁっ!?そ、それ友達の使ってる矢です!!」
男 「だろうな!」
エルフ「でもどうして…… 私がこの人はスウィルニフだって言ってるのに!」
男 「アンタが俺に騙されてるか、もしくはそう言うように強制させたって思ってるんだろう!」
エルフ「……だったら!」
男 「おい、近づいてくるなって!!」
???「……くっ」
エルフ「イズルミニフスィスィエルミアディアンニフ!ネレイシャスウィルニフ!エレンシェクルミニーヤ!!」
???「…………」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:37:54.29 ID:9m2tKT3V0
男 (弓を構えた女……)
???「メイィ……」
男 「……あれが、お友達?」
エルフ「はい、そうです。弓の名人で」
男 「だろうな。実体験でよく知ってる」
???「……ヴェルシン、クィナドキア」
男 (えーと、そこから離れて?)
エルフ「!? メイリィ!イズルミニジトゥアンタフィーフィキャリムリリクゥ!!」
???「ピスカチラッチェルスメラシカ、ペテオ」
エルフ「シュエルスターニャ?シャウアンダシィ!」
男 (……流石にもう何喋ってるかわかんねぇな)
???「……そこの人間、両手を上げてゆっくりと立ちなさい」
男 「……あいよ」
???「……貴方、この子に何をしたの?人間の貴方をかばおうとしているのだけど」
男 「さぁ?少なくとも変なことをした覚えはないな」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:44:00.94 ID:9m2tKT3V0
エルフ「……ウィ、ウィアクルル」
弓使い「ヴェルシン!クィナドキア!!」
男 「離れろって言ってるんだろ?離れてくれないか?」
エルフ「……はい」
男 「……さて、と」
弓使い「妙な動きはしないで」
男 「しかし、人間の言葉が通じるようで何よりだ」
弓使い「……動かないで、と言ったはずです」
男 「話くらいはさせてくれないか?」
弓使い「……いいでしょう。あの子を誑し込んだ手口が分かれば今後の対策に活かせそうですし」
男 「そりゃいい、特に何かやった覚えはないが役に立ちそうなら是非参考にしてくれ」
弓使い「そうですね、まずはなぜあなたがエルフの言葉を解するのか…… そこを聞かせてもらいましょうか?」
男 「昔、君たちの同族から少しだけ教えてもらった。だからちょっとは理解できるが、さっきの君たちの会話はほとんどわかってない」
エルフ「メイリィ!メイリィゲリュンカイティヴィジゾース!!」
弓使い「ダウメイリィ?ハッ……」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:50:25.15 ID:9m2tKT3V0
弓使い「アズィヴニフトゥリャパーシマスウィルリャンパーパレシカ?」
エルフ「ワンファ!アズィヴニフグンタガーリースピャルフィフィニアンラ」
男 (やっぱり何言ってるかさっぱりわからん……)
エルフ「エニシュアシュケクルルート!エルマタイスウィルニフシューリンキルメイア!!」
男 (スウィルニフ、ねぇ……)
弓使い「スウィルニフ?ダン、エルルティマハリュート。ユリティニア」
エルフ「アズィヴニフデンリカスィルジン!マタタラティアフカイ!!」
弓使い「ドゥーネイシタ?エルニリャンリャメン、ワルジカスリーマ」
エルフ「シンバナラウーイ!ドウリャメンクルルフティードジャガンリャスパティア!」
弓使い「ナミエスタカセリョール、キアナナフィフィニアンラトリスパヤ」
エルフ「スィーナ、デンフルニャーマエルマタイスウィルニフシューリンキルメイア」
弓使い「エンツ、フォルアムスティルクニャシワワローンツ?」
エルフ「エニシュア!」
弓使い「クリュウ…… そこの人間、今の話は本当ですか?」
男 「いや、わからんて」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/04(木) 23:52:23.58 ID:MZaFfXuPo
謎言語作るの難しそう
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:53:48.40 ID:9m2tKT3V0
―――
――
―
弓使い「知らなかったとはいえ同胞を助けていただいた方に矢を放つなど…… 申し訳ありませんでした」
エルフ「……ごめんなさい」
男 「いや、別にいいって。ケガしたわけでもなし」
弓使い「では、改めて……」
エルフ「ええっ!?どうしてまた構えるの!?」
男 「……それはそれ、ってことだろ?」
弓使い「ええ、この子を助けていただいたことには感謝していますが、私たちを目撃した人間を見逃すわけにはできませんので」
男 「……森の賢者たるエルフに伝わる特定の記憶だけを消す薬とか魔法とかはないのか?」
弓使い「そんな都合のいい薬なんてありませんよ。まして魔法なんてものも……」
男 「だろうな」
エルフ「リ、リィヤントゥルシュ!」
弓使い「オートンナムラズ、コリオムゼムルゲスィーラオンロンフシャナムケ」
男 「……命乞いをしてもいいかな?」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:56:40.93 ID:9m2tKT3V0
弓使い「……聞きましょう」
男 「君たちは故あって西の森に向かっているとあの子から聞いた」
弓使い「サンナ……」
エルフ「あは、あはは……」
弓使い「……そこまで知られていたとは思いませんでした」
弓使い「ですが、命乞いをするのならそのことまで話さない方が良かったのでは?尚更生かしておく必要がなくなりましたが」
男 「いやね?これから先、君たちは絶対誰にも見つからずに西の森まで行けると思っているのか?」
弓使い「……まぁ、実際貴方に見つかってしまったわけですし、決して容易いことではないと思います」
男 「そんなときのために事情を知る人間を一人くらい仲間にしといた方がよくないか?」
弓使い「なるほど、わからなくはない話です。ですが、貴方が私たちを裏切らない保証はありませんよね?」
男 「まぁ、そこは俺を信用してもらう他ないな」
弓使い「改めて言いますが、あの子を助けてくれたことには感謝しています。ですが、それすらも私たちを騙すための布石だったという可能性も否定できません」
男 「相手が嘘ついてるかどうかわかる薬とか魔法とかないか?」
弓使い「そんな便利なものはありません」
男 「だよな」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/04(木) 23:59:17.52 ID:9m2tKT3V0
男 「さて、どうしたもんかな……」
エルフ「シィーパ……」
弓使い「……ゼンス。ゼンスムナナライ」
男 「………?」
弓使い「……確かに恩を仇で返すというのも酷い話です。それにここで貴方に危害を加えるとこの子がもっとうるさくなりそうですし」
男 「それはつまり……?」
弓使い「あの子に免じて少しだけ貴方を信用するということです」
男 「そいつはありがたい」
弓使い「勘違いしないでください。このまま見逃すというわけではありません。監視の意味も込めて私たちの旅について来ていただきます」
エルフ「へ?」
男 「いいさ、昔エルフには世話になった。そのご恩返しで精一杯荷物持ちでもさせてもらうさ」
エルフ「ネルフィ?エルマタイグリュンシカチルティミタイ……?」
弓使い「シュウィンス、エリュアシンジタンリリスティムルスカクダダンシィ」
エルフ「クラナンキア!?デヴィアンプラキマウォルウィウィナ」
弓使い「デルフィニムムルジャミシルシィ。レイオエルザシュランティ」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:01:18.16 ID:0/G1P+FM0
エルフ「ブランナスティフィ、ドルネンティティアーナジャックルン」
弓使い「ゲファナースチュチュリンケイ、ファーマスカーヤ」
エルフ「ナンム…… エフォリパーシャ」
弓使い「ヤンファルティト…… スィーラ」
男 「……話はまとまったと?」
弓使い「ええ、それではご同道よろしくお願いします」
男 「了解。で、旅の準備をする為にも一度俺の寝床に戻ってもいいかな?」
弓使い「構いません」
エルフ「ちょっと待って!私の服と荷物は!?」
弓使い「……ほら、これでしょう?」
エルフ「あっ、フェリティトゥ〜!!」
弓使い「レムルストゥニ。まったく、ちょっと川で顔を洗ってくるって言ってから全然帰ってこないと思ったらまさか流されて人間に拾われてただなんて……」
男 「ま、今後は絶対にその子から目を離すべきじゃないな」
弓使い「そうですね…… まったく、余計な心配かけさせないでよ」
エルフ「マチュヌゥ〜……」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:04:10.44 ID:0/G1P+FM0
―――
――
―
男 「……さて、じゃあ行くとしますか」
エルフ「はい、よろしくお願いします」
弓使い「…………」
男 「はは、もう少しのってくれても」
弓使い「……まだ貴方を信用しているわけではありません。これから貴方を見極めさせていただきますので」
男 「わかったよ、俺は生きてる荷車ってことで」
弓使い「……ところで」
男 「何でしょ?」
弓使い「その長い包みの中身は何ですか?」
男 「ああ、猟師を生業としてるんでね。仕事用と護身用を兼ねた鉄砲が入ってる」
弓使い「……テッポウ?」
男 「エルフの国にはなかったか?鉄と木とを組み合わせて出来たもんで、火薬ってのを使って弾丸を遠くまで……」
弓使い「カヤク、はわかりませんがテツなら知っています」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:08:45.09 ID:0/G1P+FM0
男 「火薬ってのは最近できたもんで、火をつけると爆発する黒い粉でその爆発力でこの鉛玉を飛ばして標的を撃ち抜くんだ」
エルフ「そんなものが……」
弓使い「……道理で嫌な感じがするわけですね」
男 「……そうなのか?」
エルフ「はい…… 出来れば置いていってもらえませんか?」
男 「いやぁ、こいつは旅をするからには絶対必要な場面が出てくると思うんだが…… 野盗やらなんやらが出てこんとは限らないしな」」
弓使い「……仕方ありませんね。それが貴方の自衛手段というのなら我慢するとしましょう」
エルフ「……はぁい」
男 「あー…… とりあえずは街道を通ってさっさと西まで行っちまおう」
エルフ「街道は人が多いので素性がばれる危険性が……」
弓使い「まぁ、彼がいてくれますので人間とのかかわりは基本彼に任せればいいでしょう」
エルフ「……そうですね。目的地はまだまだ先ですから、わざわざ歩きにくい道を通ることもないですね」
男 「……じゃあ改めて出発ということで」
弓使い「はい、ですが妙な素振りを見せれば……」
男 「わかってるよ、俺の今の仕事はアンタらを西まで送り届けること。それだけさ」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:14:30.86 ID:0/G1P+FM0
―――――
―――
―
弓使い「――――とは言ったものの、想定より人の往来が多いですね」
エルフ「……ばれませんよね?」
男 「この国は現王になってから規制が緩くなったからか兎に角人が多いし、殊更妙な素振りを見せなきゃ大丈夫だろ」
弓使い「入れ替わりが激しいですね、人間の国は。簡単に出来て、簡単に滅びて、常に戦って、常に争って……」
男 「…………」
弓使い「本当に愚かです」
男 「……まぁ、この国はそうはならないと思うが」
弓使い「あら、どうしてそんな言葉が出てくるんですか?」
男 「ここの王様は、そういうことを無くしていこうとしてる人だからな」
弓使い「ではお聞かせください。その王が建国した際、争いはなかったのですか?」
男 「……いや、大勢の人々を虐げ奴隷にしていた屑みたいな奴らと戦ったよ。もっとも、士気の違いから戦ったというより一方的に攻撃してるだけだったような」
弓使い「結局は戦いの上に出来た国ではありませんか。根本的には何も変わっていません」
男 「耳が痛いな……」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:23:12.46 ID:0/G1P+FM0
男 「でも、王は自国を護るため以外には力を振るわないと決めたんだ」
弓使い「言うは易し、行うは難し……でしたか?そんな言葉が人間にあると聞いています」
男 「……聞くまでもないと思うが君、人間嫌い?」
弓使い「そうですね、ほんのわずかくらいなら個として信頼できる者もいるでしょうが……」
男 「全体としては?」
弓使い「積極的に関わりたいとは思えませんね」
男 「耳が痛いね。この国の人間なら兎も角、他国に行けば奴隷だの貴族だの言ってるいけ好かない奴が大勢いるからな」
弓使い「……どうも貴方は差別主義的な人間に大して何やら並々ならぬ感情をお持ちのようですが、どうしてです?」
男 「過度な干渉はしないんじゃなかったけか?まぁ、どうしても聞きたいってんなら話さないこともないが」
弓使い「……結構です」
男 「それがいいや、聞いても楽しい話じゃないしな」
弓使い「は?」
男 「ま、今の話は忘れた忘れた」
弓使い「……はぁ」
エルフ「…………」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:25:44.26 ID:0/G1P+FM0
女 「あら、随分若い方たちねぇ」
エルフ「えひゃあっ!?」
弓使い「ちょっと、大きな声出さないで」
女 「ごめんなさい、驚かせてしまったかしら?そうそう、貴方方はどちらに向かわれるんですの?私は王都に向かうのだけど」
男 「ああ、我々は西に向かってるんです」
女 「あら、西……?西って言えば隣の国のせいで最近物騒じゃなぁい?やめておいたほうがよろしくないかしら?」
男 「そうらしいですね。噂には聞いてます」
女 「知っているならどうして…… 大事な用事がお有りですの?」
男 「はは、周りからよく変わり者だって言われてます」
女 「まぁ、変わり者?確かに変わり者だわねぇ。 ……ってあら、貴方どこかで見たような顔してらっしゃるわ」
男 「私が?」
女 「そうよ、誰だったかしらねぇ?たしか……タカ、鷹の」
男 「人違いだと思いますよ?では、我々はこれで」
女 「え、ええ、道中お気をつけてね」
男 「こちらこそ、旅の無事をお祈りします」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:29:41.97 ID:0/G1P+FM0
エルフ「――――ふぅ〜、ミャンマラスージィ……」
弓使い「……当面の問題は貴女ね。無理にとは言わないからできるだけ早く人間に慣れて頂戴」
男 「フードも被ってるんだし、そうそうわかるもんじゃないさ。さっきみたいに驚いたり変な行動をした方が余程怪しまれる」
エルフ「は〜い……」
男 「ん……?」
隠 者「らっしぇー……」
男 「露天商か…… なんか買う?」
弓使い「いえ、結構です。人間の通貨の持ち合わせはあまりありませんので」
男 「いやいや、あんまりお高いもんは売ってなさそうだから俺が支払うよ」
弓使い「結構です」
エルフ「で、でも折角のご厚意を無駄にするのは……」
弓使い「露骨な点数稼ぎだと思うんだけど…… まぁ、いいでしょう」
エルフ「それじゃあ…… えっと、どんなのが売ってるのかな?」
弓使い「まだ近づいちゃ駄目よ。不審に思われるわ」
エルフ「じゃあ……どうするの?」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:32:35.80 ID:0/G1P+FM0
弓使い「まずは遠目から品物を確認するの」
男 (かえってあやしい気がする……)
弓使い「……あの、よろしいでしょうか?」
男 「うん、なに?」
弓使い「あそこで売っているのは主に何なんでしょう?」
男 「ああ、全部食いもんだな」
エルフ「じゃ、じゃあガウシュニニ…… えっと、獣の…肉ってありますか?」
男 「うん、あれとあれと……あれ、それとあの赤黒いのも」
弓使い「ところであの、ムッター…… リンゴのような赤いのは?」
男 「リンゴみたいって…… あれはリンゴそのものだろ」
エルフ「ええっ!?」
弓使い「エニシュア!……コホン、ちょっと大きな声出さないで」
エルフ「だ、だってリンゴってもっと黄色っぽいでしょ?あれは赤色じゃない!」
男 「へぇ、エルフのリンゴは青リンゴなのか?」
弓使い「……仰っている青リンゴと同じものかはわかりませんが、少なくとも我々のリンゴは赤色ではありませんね」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:35:50.15 ID:0/G1P+FM0
男 「じゃ、そのリンゴを買うとしよう」
エルフ「え?」
弓使い「……そうですね、味も違うのか気になりますし。お願いします」
男 「任されて〜」
男 「―――よう、そのリンゴ3つくれ。あと牛の干し肉とその魚の燻製も」
隠 者「……先に金出しな」
男 「いくらだ?」
隠 者「ここに書いてある」
男 「あいよ……っと。ほれ、釣りはないはずだぜ」
隠 者「確かに。……しかしどうした鷹の目、女連れで旅路などとは。いずれは俺の手伝いをしてくれるんじゃなかったのか?」
男 「げ、よく見りゃアンタかよ」
隠 者「観察眼はまだまだのようだな。しかし、肌の色艶を見るに食うに困らん程度には猟師生活を送れているようだな」
男 「アンタの手伝いができるほどの腕になったかはわからんけどな。東の国のアレもアンタの成果だろ?」
隠 者「俺は手助けをしただけだ。彼らが自由を手に入れたのは彼ら自身の力さ」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:39:15.22 ID:0/G1P+FM0
男 「またまたご謙遜を…… で、今度はどこの国のツナギに行ってたんだよ?」
隠 者「北だ」
男 「北ってぇとあそこか、順調なのか?」
隠 者「事を起こすにはまだ早い、まだまだ慎重を期すべきだな」
男 「そうか、ところで西の方で最近何が起きてるとかわかるか?」
隠 者「そちらには別の者が行っている。最近のことは詳しくはわからん。噂程度でよければ聞くか?」
男 「噂か、一応聞かせてくれ」
隠 者「元々賊が大勢蔓延る国だったが、近頃はその数を増してきているらしい。定職に就けない奴が多いのが主な原因だそうだ」
隠 者「王政もうまく機能せず、一部の有力貴族共が何やら他国に攻め入っての物資強奪を計画しているなんてことを聞いた」
男 「政情不安って奴か。ちとマズいか……」
隠 者「その口ぶり、西に行くつもりか?」
男 「ああ、あの二人の西への旅路の護衛をしてるんだよ」
隠 者「そうか。もしかしたらお前の女かと思ったが、お前に女を二人も養う甲斐性はなかったな」
男 「うるせぇ、ほっとけ!……じゃあ、またな」
隠 者「ああ、あと西との国境警備にはニヤケ面がいる。よろしく言っといてくれ」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:41:48.89 ID:0/G1P+FM0
隠 者「――――ありあとやした〜」
男 「お待たせ、これが俺たちのリンゴだ」
弓使い「……あの方と金銭のやり取り以外に何か話していたようですが?」
男 「まさかの昔の知り合いだったんでね。余計なことは喋ってないよ」
弓使い「本当ですか?」
男 「……気持ちはわかるがあんまりしつこく聞かれると終いにゃキレて本当に裏切るぞ?」
弓使い「それもそうですね。これからは目に余るとき以外は胸の内にしまっておきましょう。それにしても不思議なのはこの赤さですね」
エルフ「ねー、形はリンゴそっくりだけど色とあと、匂いも違うよ?甘くていい匂い……」
男 「まぁ、毒ってことはないし食べてみなよ。あぐっ……」
弓使い「……そうですね、では」
エルフ「……あむ」
エルフ「!?」
弓使い「!!」
男 「お、おい!どうした!?」
男 (しまった!人間にとっては無害でもエルフにとっちゃ猛毒だったのか!?)
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:43:15.06 ID:0/G1P+FM0
隠 者「ありあとやした〜」
男 「お待たせ、これが俺たちのリンゴだ」
弓使い「……あの方と金銭のやり取り以外に何か話していたようですが?」
男 「まさかの昔の知り合いだったんでね。余計なことは喋ってないよ」
弓使い「本当ですか?」
男 「……気持ちはわかるがあんまりしつこく聞かれると終いにゃキレて本当に裏切るぞ?」
弓使い「それもそうですね。これからは目に余るとき以外は胸の内にしまっておきましょう。……それにしても不思議なのはこの赤さですね」
エルフ「ねー、形はリンゴそっくりだけど色とあと、匂いも違うよ?甘くていい匂い……」
男 「まぁ、毒ってことはないし食べてみなよ。あぐっ……」
弓使い「……そうですね、では」
エルフ「……あむ」
エルフ「!?」
弓使い「!!」
男 「お、おい!どうした!?」
男 (しまった!人間にとっては無害でもエルフにとっちゃ猛毒だったのか!?)
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:45:13.24 ID:0/G1P+FM0
弓使い「あの、もう一個ずつ買ってもらっても……よろしいでしょうか?」
男 (――――あ、かわいい)
男 「いいよ、こんなものでいいならさ」
エルフ「いいんですか!?」
男 「いいですとも!」
男 「―――というわけだ、リンゴ全部くれ」
隠 者「早過ぎる再会だな…… まぁ、買ってくれるのなら無碍にはせんが」
男 「その口ぶり、本物の商売人みたいだぞ」
隠 者「そうか。それもまたよし」
男 「ところで北に行ってたって言ったよな?一つ聞いてもいいか?」
隠 者「なんだ?」
男 「……北にエルフの里はあったか?」
隠 者「さぁな、俺の知る限りではなかったと思う」
男 「そうか、ならいい。またな」
隠 者「林檎はもうないぞ」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:49:53.94 ID:0/G1P+FM0
隠 者「――――まいど〜」
男 「ほい、お待たせ」
エルフ「フェリティトゥ〜!!」
弓使い「ちょっと」
男 「出てる、出ちゃってるよ」
エルフ「あ……」
弓使い「……この旅を始めた時からずっとそうだけど、先が思い遣られるわ」
エルフ「だ、大丈夫よ!今のは偶々で……」
弓使い「……貴方に同行してもらったのは正解でした」
男 「苦労してんのね」
弓使い「確かにこの旅の目的に一番適しているのはあの子だったんですけど、ご承知の通りああいう子でして」
男 「悪い子じゃないんだろうけどね」
弓使い「どうにも、その、人間の言葉でいうと『アホの子』でして」
男 「わかる、わかるよ」
エルフ「非道い!」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:52:05.00 ID:0/G1P+FM0
男 「しかし何で女の子の二人旅?」
弓使い「この子が木々の想いを汲み取るのに長けているんです。動物くらいハッキリとした意志を持っているのなら私にもわかるのですが」
男 「ほほぅ」
弓使い「ですが、自分の身を守ることに関してはハッキリ言って普通以下なので私が護衛としてついているんです」
男 「いや、君とあの子、つまり女の子だけだろ?何で男がついていないのかなって話」
弓使い「男と女がいて間違いが起きないとは言えません。特にあの子はほら、隙が多いので」
男 「ああ……」
エルフ「ちょっと!なんで納得するんですか!」
男 「いや、それにしても別に女の子二人に男一人の三人旅でも問題なかったんじゃ?」
エルフ「無視しないでくださいよ!」
弓使い「男は里の守りの要ですから」
男 「でも、リスクを考えるなら」
弓使い「……捕まった時のリスクを考慮した結果です。三人も捕えられれば、里にとっては大きな痛手です」
男 「……つまり、二人までが里の外に出せる限界だと」
弓使い「ええ」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:53:41.72 ID:0/G1P+FM0
男 「それじゃまるで君たちは……」
弓使い「いいえ、私たちは志願してこの任に着きました。決して里に見捨てられたわけではありません」
男 「なるほど、色々と覚悟の上ってか」
弓使い「はい、ですが……」
男 「ああ、大丈夫だ。絶対に捕まるなんてことのないようにする」
弓使い「……威勢だけはいいですね。まぁ、口先ではなんとでも言えますから」
男 「手厳しいねぇ」
弓使い「……つい余計なことまで喋ってしまいました」
男 「君も少し隙が多いようだ」
弓使い「ええ、今後はより一層気を付けましょう」
男 「俺もできる限りのサポートはさせてもらうよ」
弓使い「やる気を出すのは構いませんが、余計なことまでしないでくださいね」
男 「へいへい」
エルフ「ねー、聞いてー!!」
弓使い「はいはい……」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:55:49.13 ID:0/G1P+FM0
―――
――
―
男 「――――旅路を急いでいたわけだが、どうがんばっても夜は来るわけだ」
エルフ「そうですね」
弓使い「がんばったところでどうにかなるものではないでしょう?」
男 「はははっと、これ以上夜道を進むのは危険だ。今日はここで野宿しようと思うんだが」
エルフ「わかりました!」
弓使い「その前に」
男 「なんだ?」
弓使い「今、私たちはどの辺りまで来ているのでしょうか?」
男 「おいおい、まさか地図も持たずに旅してたとか言うんじゃ」
エルフ「いえいえ!ちゃんと地図ありますよ、ほら!!」
男 「随分黄ばんでるな」
弓使い「やはりこの地図は貴方の話を聞く限りどうやら古いもののようですね。ですから、最新のものを見たいのです」
男 「ああ、そういうことならっと、暗くて見にくいがさっきの町がここだから…… まぁ、この辺か」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:56:31.84 ID:0/G1P+FM0
エルフ「えーと、私たちの地図で言うと……」
弓使い「なるほど、まだこの辺りですか…… ザワディトヤスムルルクフム」
エルフ「ポポル。アムシュティ?」
弓使い「デムデムヴァンドレイ」
エルフ「ナスィテ?」
弓使い「グアナームスララファナクヒムドルチェンパパムシアサーキーヒーロムカウカウフィーヤ」
エルフ「あう…… ケムナゴラルカッチャ、チターニ?」
弓使い「チターニ、チターニ」
エルフ「マシアラルカナンワリャリャシアセベフェリャーヌ」
弓使い「エテメティタートシャルシィナン」
男 (そこはかとなく疎外感……)
男 「……とりあえず火起こしでもしとくか」
エルフ「ありがとうございます。私たちが喋ってる間に火まで起こしていただいて」
男 「……やることなかったし、必要なことだしな」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 00:58:51.35 ID:0/G1P+FM0
エルフ「そうだ、火の番を決めましょう!」
男 「ああ、それなら今夜は俺がやるよ。で、明日は君たちのどっちか、明後日は俺。こういう感じで」
エルフ「そんなの駄目ですよ!それじゃ人間さんのお疲れが溜まるじゃないですか!私たちもちゃんと一日ずつやりますよ!」
男 「いや、でもなぁ……」
弓使い「私もその意見には賛同致しかねます」
男 「そう?」
弓使い「実際今日まで私とこの子で一日交代していたのですが、丸一日寝ないのはやはり堪えます。貴方と私とで半日交代というのは如何でしょう?」
男 「夜中に交代ってことか」
弓使い「はい、そういうことです」
男 「君がそれでいいってんなら俺もそれでいいけど」
エルフ「ちょっと待って、なんで私が入ってないの?」
弓使い「貴女、寝ずの番なのに結構うつらうつらしてたでしょ?ハッキリ言って頼りないの」
エルフ「あう!」
弓使い「という状況ですので、私と貴方の交代制ということでいきます」
男 「了解」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 01:00:28.66 ID:0/G1P+FM0
エルフ「……コホン、火の番も決まったことですし、食事にしませんか?」
男 「おう」
エルフ「あ、私たちは食事を持参してますけど人間さんは?」
男 「俺も持ってきてるから大丈夫だ。さっきの露天商からも少し買ったしな」
エルフ「そうですか、それならよかったです」
弓使い「……私たちの食料を分ける必要がありませんからね」
エルフ「もー……」
弓使い「さて、ではお先にいただきます」
男 「なにそれ?」
エルフ「えーっと…… 丸薬みたいなものですね」
男 「もしかしてそれがエルフの長寿の秘密だったり?」
弓使い「いえ、これとは関係ありません。ただの種族差です」
男 「やっぱりそうか。ま、それにしても夕飯がそれっぽっちで足りるのか?」
エルフ「人間さんからしたら足りないかもしれませんけど、私たちはこれだけで十分なんですよ」
男 「それも種族の違いかね……」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 01:02:40.41 ID:0/G1P+FM0
弓使い「それで……」
エルフ「人間さんはそれを食べるんですか?」
男 「うん、牛の干し肉」
エルフ「……そう、ですか」
男 「……もしかして気持ち悪いとか、嫌だったりするか?」
弓使い「……まぁ、その辺りは種族や文化の違いがありますので。大丈夫です、どうぞお食べ下さい」
エルフ「どうぞ……」
男 「……じゃあ、悪いけどいただきますっと」
男 (しかし、やっぱり気になるよな……)
弓使い「お気に、なさらず」
男 「いや、そうは言うけど……」
弓使い「そうそう、食べながらで失礼ですが火の番はどちらが先にやりましょうか?」
男 「そうだな、君が先に休んだ方がいいと思う。行方不明になったこの子をずっと探してたんだろ」
弓使い「では、私が先に休ませていただきます」
男 「そうしなさいそうしなさい」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 01:04:11.81 ID:0/G1P+FM0
―――
――
―
エルフ「んん…… んふ……」
男 「……大分使い込んでる毛布だな」
男 (――――にしてもだ)
弓使い「……すぅ、すぅ」
男 (俺を信用していないっていう割には結構無防備に寝てるし…… まぁ、結構疲れてるんだろうな)
弓使い「……くぅ」
男 (ナイフみたいなの握ってるし、ホントは寝ないで俺の動向を伺うつもりだったんかね?)
弓使い「う、うぅー……ん………… はっ!」
男 「おっ?」
弓使い「……もう、交代ですか?」
男 「いや、目安の木が燃え尽きるまでまだかかりそうだし、もうちょっと寝ててもいいよ」
弓使い「……そうですか。でも目も覚めてしまったことですし、もう交代してしまいませんか?」
男 「……わかった」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 01:07:08.58 ID:0/G1P+FM0
男 「じゃ、休ませてもらうよ」
弓使い「あら、どうして反対側に?」
男 「……あの子の隣で寝てちゃ、朝起きたときびっくりさせちまうと思ってな」
弓使い「なるほど、理解しました」
男 「まぁ、そういうことで」
弓使い「今日一日お疲れ様でした」
男 「おう……」
男 (う〜む、感謝の言葉は口にしているものの、事務的な声色……)
弓使い「明日もお願いします」
男 「ん、任されて」
男 (この子も笑うとかわいいんだけどなぁ……)
弓使い「なにか?」
男 「なんでもないよ、おやすみ〜」
弓使い「はぁ…… オヤスミ?」
男 「?」
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 01:10:42.43 ID:0/G1P+FM0
―――――
―――
―
弓使い「朝です。起きてください」
男 「ん、あ、ああ…… おはよう」
弓使い「オハヨウゴザイマス」
エルフ「……オハヨウ?」
男 「ん、人間の朝の挨拶だよ」
エルフ「朝の挨拶…… ああ、そういえば先生に教えてもらいました」
弓使い「人間の交流の初歩よ、忘れてどうするの」
エルフ「……ごめんなさい」
男 「でも、君だって『おやすみ』は忘れてただろ?」
弓使い「それなんですが、どういう意味の言葉なのでしょうか?」
男 「へ?知らないの?」
エルフ「私も知りません」
男 「……異文化交流というやつか」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[saga]:2016/08/05(金) 01:11:49.85 ID:0/G1P+FM0
男 「えー、おはよう、こんにちは、こんばんは、は知ってる?」
エルフ「こんばんは、以外は」
男 「こんばんは以外?」
弓使い「だいぶ前に聞いたような覚えはありますが……」
エルフ「今回旅に出るにあたってもう一度先生から基本会話を習ったんですけど……」
弓使い「こんばんは、は聞いたかしら?」
男 「こんばんは、は夜の挨拶」
エルフ「そうなんですね。ああ、でも大分前に教えてもらったような気はします」
弓使い「道理で。夜は野宿などで人間と交流する機会はないとの判断から履修してませんね……」
男 「ああ、だからおやすみも知らなかったのか」
エルフ「ちなみに?」
男 「おやすみ、は寝る前の挨拶」
エルフ「なるほど…… ふむふむ」
弓使い「……講義も終わったところで朝食にしましょうか」
男 「おう」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/05(金) 01:39:08.74 ID:ApK7yRCgo
>>29
と
>>30
が同じ文章なんだが
>>31
の前の文章抜けてないか?
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/08/05(金) 01:40:08.99 ID:/oB6rztXo
このタイトルでエロじゃないとかがっかりだわ
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