【ラブライブ】希「どうしてこんなことに…」理事長「ふふっ♪」

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293 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:47:17.66 ID:nSoD7sHUo
ことり「穂乃果ちゃん……海未ちゃん……」ポロポロ


『何かあったんですよね?今からそちらに行きますから!!少し待っていてください!』

『海未ちゃん!!早く早く!!!』


プツッ……


ツー……ツー……ツー……


ことり「ふたりとも………」ポロポロ

ことり「………」ポロポロ

ことり「ありがとう……穂乃果ちゃん。海未ちゃん。」ポロポロ

ことり「そうだよね……こんなの、ダメだよね………」ポロポロ

ことり「ことり……ひとりぼっちなんかじゃないね、二人が……二人が、いるもんね……」ポロポロ

ことり「…………っ」ゴシゴシ


ことり「………」スッ…


ことり「………」スッスッ…


プルルルル……





ガチャ


ことり「あの、すみません………!」



294 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:49:05.28 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−


希「は………ぁ………がはっ………」ガクガク


ビチャビチャ…ッピチャ……


絵里「希………!う"……げほっ、ぁあ"っ………」ガクガク

希「は………は………」ガクガク

希「…、…り………」ポロポロ

希「げほっ……けほ………」ガクガク


ピチャピチャ…ッ


絵里「のぞみ!!……っぐ……ぅ"……かはっ、喋ろうと…しないで………無理しないで!!」ギュウッ

絵里「う"……ぁ……ぁあ"っ、お願い…お願い………!」ガクガク

希「は……は………」ポロポロ



希「は………」ポロポロ




希「………」ポロ…





希「………」



絵里「のぞみ!!!!」ポロポロ

絵里「希!!のぞみ!!!しっかりして…ねえっ……っぐ…けほっ……げほっ……のぞみ!!!」ポロポロ

絵里「止めて!!!ねえ、止めてよ!!!!」ポロポロ

理事長「ふふ……そうね。」


カチッ



絵里「のぞみ!!!!」ポロポロ
295 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:50:52.66 ID:nSoD7sHUo
絵里「ねえ……ねえっ、しっかりして!!」ポロポロ

絵里「やだ……嫌!!ねえ、お願い!!!」ポロポロ

絵里「希………!」ポロポロ

絵里「希!!!!!」ポロポロ

絵里「げほっ……けほっ……ねえ………」ポロポロ


絵里「ねえ…………!」ポロポロ

絵里「のぞみ………なんで…………」ポロポロ



絵里「……いやよ……ねえ………」ポロポロ



絵里「のぞみ…………っ」ポロポロ



絵里「希………」ポロポロ




絵里「……あ………ぁあ………」ポロポロ



絵里「ぁ…………」ポロポロ







絵里「ああああああああっ!!」ポロポロ







理事長「ふふふっ」


296 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:52:06.08 ID:nSoD7sHUo
絵里「ああああっ、あああっ!!!!」ガチャンッガチャッ

理事長「ふふふ……いいわね、ゾクゾクしちゃう。でも最後は少し…呆気なかったわね。」

絵里「ふざけないで!!!!!」ポロポロ

絵里「貴女が……全部貴女が………!!」ポロポロ

絵里「希は…っ、希は何も悪くないのに!!!」ポロポロ

理事長「ふふ…そうね、東條さんは何も悪くないわ。でも…東條さんがこんな死に方しなきゃいけなくなったのは、貴女のせいよ。」

理事長「早くに死なせてあげれば良かったのに……ふふ、ずっともう無理だって、死なせてって、叫んでたじゃない。」

理事長「つらかったでしょうね…痛かったでしょう。全部貴女のせいね?」

絵里「…………っ、ふざけないでって言ってるでしょう?!!」ポロポロ

絵里「そもそも貴女がこんなことしたのが……っ!!!!」ポロポロ

理事長「それは勿論そうだけど………でも、もっと楽に死ねる道もあったのにって話をしてるのよ。日本語通じないわね。」

理事長「だいたい、貴女がもっと有能だったら二人して助かったのよ。なんでもっと準備してこなかったの?どうしてもっとたくさんの人にここに来ると伝えておかなかったの?」

絵里「………っ、そんなの……!!」ポロポロ


絵里「そんなの………っ、」ポロポロ
297 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:53:56.63 ID:nSoD7sHUo
理事長「ふふ……」

絵里「のぞみ………」ポロポロ

絵里「希……いや…よ……」ポロポロ

絵里「起きて……ねえ、起きて………」ポロポロ

絵里「ぅ………あ………ぁっ……のぞみ……のぞみ………!!!」ポロポロ

ギュッ……


絵里「希…………」ポロポロ

絵里「ご…めん、ね……っ、」ポロポロ

絵里「……っ、う………っ………ぐす………」ポロポロ


ギュウ……


絵里(………希の、匂いがする……)


絵里「希……」ポロポロ


絵里(まだ…少しだけ、暖かい……)




絵里(希……)



『えーりちっ!』



絵里「………っ、」ポロポロ


『ね、一緒に肉まん食べよ〜!』


絵里「…っ……う……」ポロポロ


『今日のラッキーカラー、水色やって!』


絵里「…ぐすっ……」ポロポロ


『あっ、おみくじ大吉。うちな、運だけは生まれつき、すっごくいいんよ!』


絵里「………」ポロポロ

絵里「希………っ」ポロポロ
298 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:55:40.75 ID:nSoD7sHUo
絵里「う………えぐっ………ぁ……ぁあ………」ポロポロ

絵里「なん…で……なんで………」ポロポロ

絵里「希………!!」ポロポロ

絵里「のぞみ………」ポロポロ

絵里「……ねえっ、起きて……、貴女…運だけはいいって、言ったじゃない……!どうして……どうしてよ……っ…」ポロポロ

絵里「私が…希無しでやってけると思う?無理よ…そんなの、ねえ………」ポロポロ

絵里「また来年も初詣一緒に行こうって、約束したじゃない…!パフェは新作が出るたびに、二人で食べに行こうって……!」ポロポロ

絵里「う……うう……ぐすっ…ううう……」ポロポロ


絵里「…っ…それに…ねえ、希…忘れちゃったの?」ポロポロ

絵里「明日……明日は、私の誕生日なの。来年も再来年もずっとずっと、毎年一番に…祝ってくれるんじゃなかったの?」ポロポロ

絵里「希………!!」ポロポロ

絵里「のぞみ………」ポロポロ

絵里「う……うう………うっ……えぐっ……ぐすっ……」ポロポロ


絵里「希………」ポロポロ




……………………………………ギュッ





絵里「…………っ!?!!」
299 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:58:06.35 ID:nSoD7sHUo
絵里「………ねえ、貴女………今…………」ポロポロ


理事長「ふふふ…じゃあ私はそろそろ行くわね。亜里沙ちゃんが気づいて、警察が来るまで…どれくらいかしら。ふふ…それまでは、二人っきりにしてあげる。」


絵里「………っ、」サッ

理事長「………ねえ、聞いてるの?絢瀬さん?」

絵里「静かにして!!!」

理事長「………っ、何よ………」

絵里「…………………」

絵里「希…………」




…………………………トク………



絵里「……………っ、!!!!」

絵里「希………!のぞみ………」ポロポロ

絵里「ねえ、息…は……止まってる、けど……貴女………!」ポロポロ

絵里「ちょっと待ってて、今………!!」ポロポロ


理事長「………っ、何して……?」


絵里「………っ」スー

絵里「ん…………っ」


理事長「……、………ああ、ふふ…人口呼吸……?」
300 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:59:25.83 ID:nSoD7sHUo


絵里「………っ」スー

絵里「ん……………っ」


理事長「無駄よ。そんなことしたって…東條さん、もう死んで……」

理事長「……ああ、もしかしてまだ…ふふ、心臓は動いてたりするのかしら?」

絵里「………っ、」ポロポロ


理事長「……ふふっ、そうなのね。でも……それでもやっぱり無駄よ、息が止まってるのは見てて明らか。心臓が止まるのも時間の問題ね?」

絵里「無駄なんかじゃ…ないわよ……!」ポロポロ

理事長「ふふ…どうしてそう言い切れるのかしら?」

絵里「だって……だって、」ポロポロ

絵里「希は……のぞみはっ!!すごく運がいいのよ?!スピリチュアルなの!!!……私にもわけがわからないくらい、理解できないくらい…すごいんだから!!」ポロポロ

絵里「…そんな希が、こんな…こんなところで、死ぬわけないじゃない!!!」ポロポロ

絵里「希…ごめんね……っ、もう一度……」


絵里「………っ」ス-

絵里「ん…………っ」


理事長「……ふふっ、何よそれ…現実逃避?絢瀬さんにしては、随分賢くない発言ね。」
301 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:02:33.44 ID:nSoD7sHUo
理事長「どんなに運が良かったとしても…東條さん…もう、間に合わないわよ、もって数分ってところでしょう?」

理事長「……ことりも通報なんてしないし、亜里沙ちゃんだってまだ異変に気付く時間じゃない。」

理事長「警察も救急車もーーー」


絵里「…来るわよ!!!」ポロポロ





「警察も!!救急車も!!!すぐにっ、今すぐ……絶対来るんだからっ!!!!!!」






理事長「………っ、」

理事長「ふふ、何を根拠に言ってるの?そんなわけ………」

























『ーーーおいっ!!こっちの方から今、声が聞こえたぞ!!』

『ほんとか!!』






理事長「………っ、?!?!」
302 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:05:49.58 ID:nSoD7sHUo
絵里「…………っ、!?」

理事長「……っ、今の声、上から………」



『地下への階段があったぞ!!』

『こっちだ!急げ!!』



理事長「……っ、?!!」


理事長「嘘…でしょ、だって…まだ………っ」





コツ…コツコツコツコツコツコツコツコツッ




理事長「まだ……っ、」




コツ………




理事長「………っ」








ガチャッ!!!







『いたぞ!!!!』



理事長「…………っ、!!!」


絵里「………っ!!」
303 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:07:35.58 ID:nSoD7sHUo
絵里「………っ…」

絵里「…え………」

絵里「ほん……とに………?」ジワ…

絵里「ほんとに来た………」ポロポロ


理事長「ちょ…ちょっと、ほんとに……っ、?」



『こっちだ!!こっち!!はやくしろ!!』

『被害者2名だ!!!はやく!!!』

『現行犯はーー?』

『………っ、いける、現行犯だ!』




『南ーー、18時46分、現行犯で逮捕する!!』


カチャンッ



理事長「………っ、………」


理事長「……え………」

理事長「…嘘……でしょ……………」

理事長「……なん…で……こんな…急に……」

理事長「…だって………まだ………」


理事長「………………」



理事長「…はは………」

理事長「ふふっ……うふふ……っふふ……」


理事長「アハハハッ面白い……面白いわね。」


理事長「……………そう。現行犯逮捕…ね。いいわよ?」
304 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:09:43.69 ID:nSoD7sHUo
理事長「……ふふっ。」

理事長「………ふふふふっ……ふふ……」

理事長「すごい…すごいわね、ふふ…あははっ。」

理事長「急展開ね……びっくりよ。」

理事長「まぁ……覚悟はしてたけど……どうしてこんなに早く……」

理事長「…ふふっ…本当に東條さんの、運のチカラとかいうやつかしら…?最後まで驚かせてくれるわね…ふふっ。」

理事長「…でも絢瀬さん、残念なことに…少し遅かったわね。もう東條さん、手遅れよ。肉体的にもそうだろうし…もし仮に助かったとしても、精神的にね。」

理事長「……まぁでも…そうね、あははっ…最後までのぞみを捨てずに…頑張って?」


『−−−−!!』


理事長「……っ、わかったわよ、はいはい、もう行くわよ。」

コツ…コツ、コツ……


絵里「理事長………」



絵里「…っ、…誰か!!誰かっ!!この子のこと、助けてください!!!お願いします!!!!」
305 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:11:10.73 ID:nSoD7sHUo


『担架もってこい!担架!!早くしろ!!!』





『………っ、酷い…………』

『ちょっと見せてちょうだいね?』



絵里「のぞみ……希…………!」ポロポロ

絵里「お願い……お願いします……!!!」ポロポロ



『…………っ、反応なし、意識なし、呼吸なし、担架急いで!!!』



絵里「………っ、希…………」ポロポロ


『………っ、ちょっと待ってね……』


『…………………………、……っ、この子、まだ脈はあるわね……!』



絵里「…………っ、やっぱり………!」ポロポロ

絵里「のぞみ…………!!」ポロポロ


『でもこのままじゃ心臓の方も時間の問題………担架早く!!人口呼吸器と、一応AED車内に準備しておいて!!!』


絵里「う…………ぐすっ、うう………」ポロポロ
306 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:12:23.05 ID:nSoD7sHUo
絵里「………っ、きた………」ポロポロ

『急いで!!』

『……っ、これ、拘束具の鍵です!』


カチャッ


絵里「のぞみ……っ、希………!」ポロポロ

絵里「あの!!私も連れてってください…!!付き添わせてください!!!」ポロポロ

『ええ…貴女も病院に。腕が……担架もう一つある?!』

絵里「大丈夫です…歩けます!!これ、外してください……っ」ポロポロ


カチャッ


絵里「………っ!」ポロポロ

『これ、羽織って!』

絵里「………っ、!、はい!」ポロポロ



『……そう、ゆっくり乗せて………ええ、よし、出して!!』



絵里「………っ、」スクッ

絵里「のぞみ……っ、ごめんね、やっと出れるわよ………!」ポロポロ

絵里「希……のぞみ………っ」ポロポロ



絵里「頑張って……あと少し、あと少しだから………っ」ポロポロ



307 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:14:39.56 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−


にこ「………っ、はぁっ……はっ……」ダッ…

花陽「なんですか……けほっ、はぁっ……はぁっ……なんでことりちゃんの家に…………っ、こんな、警察が………!」

にこ「……っ、遅かった……………?」

にこ「けほっ……は……はっ……っ、いや、まだよ……!」

凛「………っ、あそこにいるの、ことりちゃん達じゃないっ?!」

真姫「はぁっ……は……っ、けほっ、行くわよ………!」









海未「ことり……っ、これは…………」

ことり「ごめんなさい……ごめんなさいっ」ポロポロ

穂乃果「ことりちゃん………」




にこ「ことり、海未、穂乃果!!」ダッダッダッ…
308 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:16:03.53 ID:nSoD7sHUo
花陽「はぁっ…はぁっ……」

凛「ことりちゃん……?」



海未「……っ、にこ…花陽、凛、真姫も……どうしてここにっ」

真姫「……ちょっとこれ、けほっ……どういうこと?ほんとに………」


ことり「……ことりが……っことりが悪いの………」ポロポロ

ことり「わかってたのに……私、わかってたのに…………っ」ポロポロ

ことり「う……ぐすっ……ごめんなさい…ごめんなさい…げほっ………」ポロポロ

穂乃果「ことりちゃん……」

海未「何が……どうなって…………」



穂乃果「…………」


穂乃果「………っ、あれ………!」






ガタガタガタガタッ

絵里「………!………っ!」






海未「絵里…ですか………?」


にこ「絵里………?」

にこ「担架にのせられてるのって……」
309 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:18:48.91 ID:nSoD7sHUo
にこ「……………、…っ!?!!?」

にこ「見ないで!!!!!」ギュッ


凛「んぶ………っ?!」

真姫「わっ、ちょっとにこちゃん……っ?」

花陽「にこちゃ…っ、?!」ドテッ



海未「………っ、担架で運ばれてるのは……!」

ことり「…っ、うう………けほっ、けほっ……」ポロポロ

穂乃果「………のぞみ……ちゃん?」





ガタガタガタガタッ

絵里「希……っ、 希……っ!」ポロポロ

希「………」





穂乃果「希ちゃん……!!!!」

海未「…………っ、絵里!!希!!!」




『早く中いれて!!この子同伴よ!』

『早くーー早く準備して!!!』




穂乃果「希ちゃん……っ、希ちゃん!!」ダッ

海未「穂乃果?!待ってください!!」

310 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:20:52.97 ID:nSoD7sHUo


ことり「………っ、?」



『ーーーー!』

理事長「ふふ、そんなに引っ張らなくても、逃げも隠れもしないわよ……」



ことり「………っ、あれ……は……お母さん……?」

ことり「お母さん……!!!!」ダッ

海未「ことり……っ?!ああっ、もう…!!」


にこ「………っ、海未はことりをお願い!!私が穂乃果を……穂乃果っ、待ちなさい!!」ダッ

真姫「……っ、待って、私も行くわ!!」ダッ

凛「かよちん……っ、立てる?」

花陽「うん……!」ズルッ










穂乃果「……はっ、はっ……は……」タッタ…

穂乃果「希……ちゃん?」

穂乃果「……中、よく見えない………っ、」




絵里「希…!のぞみ………!」ポロポロ

『……こっちの処置はしたわ!受け入れ先はまだ見つからないの?!』
311 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:22:19.08 ID:nSoD7sHUo
『それが現在……近くの病院全て混雑してるようで……』

『西木野総合は?!あそこも一杯なの?!』

『それが……』



真姫「うちに運んで!!!」

にこ「はっ……は………真姫………」


穂乃果「………真姫ちゃん、にこちゃん……!」



絵里「………っ、真姫……そこにいるの?!」ポロポロ



真姫「はぁっ……は……ここからじゃよく見えないんだけど、希…怪我してるの?」

真姫「私……私、西木野総合病院の医院長の娘よ!!父には電話を入れるから、はやく!!」


『………っ、どうします?』

絵里「お願いします!!西木野病院に運んでください!!大丈夫です!!!」ポロポロ

『………西木野総合に運んで!!どっちにしろ早くしないと……出してっ!!!』



ガチャンッ

ブ…ブルルルル………ッ



………ピーポーピーポーピーポー



真姫「は……はっ………それじゃあちょっと、電話してくるわね……?」

にこ「真姫ちゃん……ありがとう。」

真姫「ええ………」


タッタッタッタ……



にこ「…………」
312 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:23:20.65 ID:nSoD7sHUo
にこ「……けほっ……けほ………くしゅっ」

にこ「は………はぁっ………」ドサッ

穂乃果「にこちゃん……!」

穂乃果「……そういえばにこちゃん、熱が………なんでここに……っ」

にこ「別に……これくらい、大丈夫よ……ちょっと疲れただけ。」

穂乃果「にこちゃん………」

にこ「くしゅっ……はっくしゅ……うう…急いでてポケットティッシュ忘れたわね……」ゴソゴソ

穂乃果「………」


穂乃果「………はい、これ。」

にこ「………、あんたにしては気がきくじゃない……ありがと。」

穂乃果「うん………」

にこ「……っくしゅ…はっくしゅ……はぁ…夜は冷えるわね……」チーン

穂乃果「………」

にこ「穂乃果………?」

穂乃果「………ねえ、にこちゃん……」

にこ「なによ………」

穂乃果「希ちゃん……ただの怪我…なのかな……」

にこ「…………っ、」
313 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:24:17.67 ID:nSoD7sHUo
穂乃果「なんで怪我なんて……それに、どうしてここに………」

にこ「…………」

穂乃果「…ねえ、穂乃果……穂乃果ね……」

穂乃果「……薄暗い…から、よく…わかんなかったけど………」

穂乃果「なんか……なんか、怪我…とは、違うような……」

穂乃果「……その、あのね……髪が…………!」ジワ…

にこ「穂乃果っ」ギュッ

穂乃果「にこちゃん……?」

にこ「大丈夫……大丈夫よ………」

にこ「大丈夫………」

にこ「…………」


にこ(希……絵里………)

にこ(何が…どうなってるの?)

にこ(私も確かに見た……希の髪が、真っ白になってたの……)

にこ(一体……何が………)


にこ「………っ」







ことり「お母さん!!!」タッタッタ…

理事長「ことり……」

ことり「はっ……はぁっ……おか……さん……」ポロポロ

ことり「なんで……なんで………!」ポロポロ

理事長「………」
314 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:25:24.16 ID:nSoD7sHUo
理事長「ごめん、ね……?」

ことり「う……ぐすっ………ううう……」ポロポロ

理事長「……できるだけ早く戻ってこられるように、頑張るから……」

理事長「…寂しいかもしれないけど…私が戻って来るまで、この家のこと…よろしくね?」

ことり「………っ、」ポロポロ

ことり「なん…で………」ポロポロ

理事長「ことり………?」

ことり「なんでよ……そうじゃないでしょ?!」ポロポロ

理事長「ことり………」


『ーーーーー!!』

理事長「………っ、もう行かないと……ごめんね、ことり。戸締りだけはしっかりして……ご飯もきちんと食べて、ね?」

理事長「…しばらくは会えないかもしれないけど…裁判の時に会えると思う。それに取り調べなんかが終われば、多分面会できるから。寂しくなったらいつでも会いにきて?」

ことり「………っ」

『ーーー!』

理事長「わかった…わかったわよ、乗ればいいんでしょう………それじゃことり、よろしくね?」


……ガチャッ



ブルルル…ブルルッ

ウーウ ウーウ


ことり「…………」ポロポロ

ことり「おか……さん………」ポロポロ

ことり「う……ぐすっ……なん…で………」ポロポロ


…ドサッ


ことり「なんで……」ポロポロ
315 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:26:48.55 ID:nSoD7sHUo
海未「はっ……はぁっ……ことり……っ!」タッタッタ…

海未「はぁっ……は………大丈夫ですか?」


ことり「う……えぐっ………ぐすっ……ううう………」ポロポロ

海未「ことり……これは、一体……」

海未「今パトカーに乗せられていったのは……」

ことり「う……ぐすっ、…ごめんね、海未ちゃん…………私、最低だよ……」ポロポロ

海未「ことり……」

海未「……落ち着いてからでいいので、ゆっくり聞かせてもらえませんか?何があったのか……」

ことり「う……ん……」ポロポロ

ことり「……っ、ぐす……うう………ううう……」ポロポロ

海未「………」



………ギュッ



ことり「海未…ちゃん……?」ポロポロ

海未「………何があったのか……ことりが何をしてしまったのか、私にはわかりません。ですが……」

海未「……安心してください。私はことりの味方です。」

ことり「海未…ちゃん……」ポロポロ

ことり「う……えぐっ……うう………ううう…」ポロポロ

海未「ことり……」




凛「海未ちゃん!ことりちゃん!」タッタッタ…

海未「凛…花陽……!」

花陽「は……はっ………」タッタ…

海未「……二人とも、どうしたのですか。というか何故、ここに………」
316 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:27:59.65 ID:nSoD7sHUo
凛「話は後!真姫ちゃんのお家が、車出して…ここまで迎えに来てくれるって。希ちゃんと絵里ちゃん、真姫ちゃんの病院に運ばれたらしくて…それでね、そこまで乗せてってくれるって!」

海未「真姫が……」

花陽「……っ、はい!それで今、状況が全く掴めていなくて……行きながら話を整理しませんか?私達、ここに来る途中…にこちゃんから少しだけ話を聞いてて。それも話すから…だからっ」

花陽「…ことりちゃん、何か…知ってるんだよね?ゆっくりでいいから…聞かせてもらえたら、嬉しいな。」

ことり「花陽、ちゃん……」ポロポロ

ことり「う……うう……ぐすっ、えぐ……っ」ポロポロ

ことり「……っ…正直ね、ことりにもよく…わからないの。でも、知ってることでよかったら……話すよ…」ポロポロ

海未「ことり……」

ことり「……でもねっ、私……すごく、すごく最低で……みんな、きっと私のこと、……」ポロポロ

花陽「……っ、ことりちゃんは、本当に最低なことなんて……しません。絶対しないよ…ことりちゃんは、そんな子じゃないよ。」

凛「そうだよ!何かしちゃったとしても…それには何か理由があったか、どうしても、どうしようもないことだったんだよ……凛にはわかるよ。」

凛「凛達みんな、何があっても…ことりちゃんのこと、大好きだよ!」

花陽「そうだよ、私…ことりちゃんのこと、絶対絶対大好きだよ。何かしてしまったなら、みんなで解決策…考えよう?大丈夫だから…だから…」

ことり「……花陽ちゃん……凛ちゃん……」ポロポロ
317 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 21:29:40.01 ID:nSoD7sHUo
海未「……そうです。私達みんな…ことりのことが大好きです。」

ことり「海未ちゃん……」ポロポロ

ことり「……っ、ありがとう……でも…」ポロポロ

ことり「…私ね、やっぱり最低で…ずるいよ、今だってこんな…泣いて、みんなにそんなこと言わせて……まるで被害者みたいな、顔してる。」ポロポロ

海未「ことり……」


ことり「……ごめんね。でも今私は、加害者の家族なの……被害者は私じゃなくて、希ちゃんと…絵里ちゃんなの……」ポロポロ

海未「ことり…それは、どういう……」


凛「…っ、真姫ちゃんちの車きたよ、続きはあっちで話そう!真姫ちゃんとにこちゃんと穂乃果ちゃんも、むこうにいるから!」

ことり「………っ、ごめんね…うん、車でちゃんと、話すね……」ポロポロ

海未「ことり………」

ことり「……行こう?海未ちゃん……」ポロポロ

海未「……ええ…」

海未「………」

ことり「海未ちゃん……?」ポロポロ

海未「……ことり。」

ことり「………?」


海未「……たとえことりが加害者の家族だとしても……ことりはことりですよ。」

ことり「海未ちゃん……」ポロポロ

海未「大丈夫です。だから安心して…あとは向こうで話しましょう。」

ことり「海未、ちゃん……」ポロポロ

ことり「う……ううっ……ぐす………」ポロポロ



ことり「ありがとう………」ポロポロ


318 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 22:21:25.50 ID:7GGcc82q0
がんばれ
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 23:07:58.38 ID:4tqY1wcso
わざわざ全部貼り直してくれてありがとう
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 23:39:29.14 ID:5pzGCAIDO
貼り直しまであと少しだ
頑張れ
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 23:48:34.14 ID:1eJqUsnio
まってるがんばれ
322 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:49:01.19 ID:nSoD7sHUo
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絵里「希……」


絵里「お願い……お願い………」




『希!!のぞみっ!!』ポロポロ

『一階の検査室運んで!!オペ室も準備してあるから!!』

『は…っ、は……っ』ポロポロ

『ガタガタガタ…ッ』

『東條さんー!東條さんー!聞こえますか?!』



『これ、検査結果!!脳波は正常!胃から出血、急性胃潰瘍かしら…腹膜炎起こしてるかも。子宮も腫れてる、何か異物が……』

『衰弱が激しいの!両方一気にいける?!』

『輸血続けて!!』

『…っ、医院長が執刀するって!!オペ室連れてって!』

『西木野先生が……っ?』

『同意書は?!』

『医院長が責任持つらしいわよ!!』



『ガタガタガタ…ッガタッ』

『のぞみっ!!希…がんばって!がんばって!!』ポロポロ

『君!ここから先は……!』

『あ……あぁ………あ………』ポロポロ
323 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:50:44.59 ID:nSoD7sHUo
『あ………真姫の……お父さん……?』ポロポロ

『……っ、ああ。絵里ちゃんだね?真姫から話は聞いてる。希ちゃん、絶対に助けるから……ここで待っててくれるかい?』

『…っ、お願いします!!希のこと……絶対助けてください……!!』ポロポロ

『っ、ああ。君も腕が……入院手続きしておいてもらうから、とりあえず、服をなんとかして……処置も。君!この子のこと……』


『ピピピピッ…ピピピピッ』


『西木野先生!!!急いでください!!』

『ああ…!!』



『ガチャンッ』



『…………っ、』ポロポロ

『……希………』ポロポロ

『……ドサッ』

『希……のぞみ……頑張って………!』ポロポロ

『絢瀬さん…だったかしら、とりあえず服と腕の処置、して……それから東條さんのこと、ここで応援しましょう?』

『……希………』ポロポロ

『絢瀬さん…?ほら、こっち。』

『…………』ポロポロ

『はい……ありがとうございます……』ポロポロ




絵里「………っ」
324 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:52:24.17 ID:nSoD7sHUo
絵里(希が手術室に入って、もうすぐ1時間……)

絵里(希………)





穂乃果「絵里ちゃん!!!」タッタッタッタ

海未「はっ…はっ……絵里………!」

花陽「はぁっ…はぁっ………」

凛「希ちゃんは?!」

にこ「けほっ……げほっ……うう……」

真姫「ちょ…ちょっと、にこちゃん大丈夫?!」

ことり「はぁっ……は……」ポロポロ

ことり「絵里ちゃん…その腕……」ポロポロ



絵里「……っ、みんな………」

絵里「みんな、どうしてここに………」ジワ…

絵里「………っ、」ゴシッ


凛「真姫ちゃんちが、車出してくれたの!」

真姫「絵里…っ、その腕、どうしたのよ……」

穂乃果「希ちゃんは…どこに……?」

花陽「絵里ちゃん…なにがあったの?」

ことり「絵里ちゃん……私、私……」ポロポロ

にこ「のぞ……けほっ、げほっ」


絵里「え……えっと……」

325 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:53:56.58 ID:nSoD7sHUo

海未「一旦落ち着いてください!絵里もそんなにいっぺんに聞かれたら困ってしまいますよ。」

絵里「そう…ね………」

絵里「………」


にこ「絵里……?」

絵里「………」

絵里「……私も今、混乱していて……順番に、聞いてくれる?答えられるものは、答えるけど……」

凛「希ちゃんは、今どこにいるの?!」

絵里「凛……」

絵里「希は……」

絵里「希は今、手術…してるわ。真姫のお父さんが執刀してくれてるの。ほら……」スッ

穂乃果「………手術…中……」

にこ「手術…って……!!希、そんなに酷い怪我してるの?!どうして……すぐ治るのよね?!何もないのよね?!」

絵里「にこ……」

絵里「…わからないわ。私は信じてる……真姫のお父さんが、絶対助けてくれるって……そう、言っていたから。」

真姫「パパが……」

花陽「希ちゃんの怪我って、命に別状はないんだよね?ね、絵里ちゃん…そうだよね?」

絵里「………」
326 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:55:46.35 ID:nSoD7sHUo
絵里「……希はもう、自分で呼吸できてなかった。血もたくさん吐いて……」

花陽「………っ、」ジワ…


凛「そ…んな……」

凛「そんなの…なんで……どうして……っ」ジワッ

凛「どうしてよ!!絵里ちゃん……っ、なんで……!!」ポロポロ

海未「凛……!」ガシッ

海未「落ち着いて……落ち着いてください。」ポロ…

海未「……っ、希………」ポロポロ


絵里「……、…みんなを不安にさせるようなこと言って…ごめんなさい。」

絵里「……でもね、希なら大丈夫だって…私、信じてる。きっと戻ってきてくれる……」

絵里「…だからみんなも、応援してあげて。希ね、すごく頑張ったの……私たちのために、ずっと…ずっと………!」

にこ「それ……どういうことよ……」

にこ「……っ、ねえ、あの倉庫の中で、一体何があったの……?!」

にこ「ことりから話は聞いたわ…でも、ことりの話はあくまで推定。この2週間、希は理事長の倉庫に監禁されてたんじゃないかって……!」
327 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:57:02.04 ID:nSoD7sHUo
にこ「でもそれだけじゃ、こんな……こんなことには、ならないわよね?!ねえ、何があったの……絵里は知ってるんでしょう?!」

にこ「けほっ…げほっ……は……はぁ……」


真姫「にこちゃん…こっち、座って……」

真姫「絵里……私も知りたいわ。なんでこんな……こんなことに、なっているのか。」

真姫「希は理事長に……何をされていたの?絵里のその腕もそう……一体あの中で、何が起こっていたのよ、」

真姫「ねえ、絵里………!」


絵里「………にこ……、真姫………」

絵里「………」

海未「…すみません……みんな、混乱しているんです。絵里も大変で…希がこんなことになっている以上、一番ショックが大きいのが絵里だということも理解しています……」

海未「…っ、しかし…みんな知りたいんです。私達が知らないところで…何があったのか。どうして、どうしてこんなことに……なってしまったのか。」

絵里「海未……」

絵里「………」


絵里「ことりは……」

ことり「……っ、」ポロポロ

絵里「……ねえ、ことりはどこまで知っていたの?もしかして全て知っていたの?」
328 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 23:58:23.70 ID:nSoD7sHUo
ことり「……っ、私は………」ポロポロ

ことり「私…は……」ポロポロ

絵里「………」

ことり「………っ、」ゴシ…


ことり「絵里ちゃん……ごめんなさい!!」


ことり「謝って……許されることじゃないのは、わかってるの……」ジワ…

ことり「私は……全てを知っていたわけじゃない。ただ…一番早くに全てを知れる立場にいたことは、間違いないと思う。」ポロポロ

ことり「私が……っ、私が気づかなきゃいけなかった。3年生の制服がゴミ袋から出てきたり、お母さんがやたらと焼肉おにぎりを買ってくるようになったり……!」ポロポロ

ことり「私…最近ずっと、お母さんのこと…怪しいなって、なんか変だなって…違和感を感じてた。なのにそれをずっと無視して、見ないふりして……っ」ポロポロ

ことり「最終的に、自分で確認するのが怖いから……っ、絵里ちゃんが見に行くように、誘導するようなことまで言って……!!」ポロポロ

ことり「私……最低だよ……ほんとに……ほんとに……ごめんなさい……」ポロポロ

ことり「う……う……ぐすっ……」ポロポロ

ことり「ごめんなさい……ごめんなさい………!」ポロポロ



絵里「ことり……」
329 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:00:09.69 ID:+VPaqcmwo
絵里「………」

絵里「……ごめんなさい。追い詰めるようなこと言って。」

絵里「…ことりは悪くないわ。悪いのは理事長だけ。ことりは悪くない……だって、警察と救急車を呼んでくれたのも…ことり、なんでしょう?」

ことり「………っ、」ポロポロ

ことり「それは……そうだけど…っ、でも、今更………!」ポロポロ

ことり「……、私ね……っ、見に行ったの、地下室まで。でも、扉の向こうから、絵里ちゃんと希ちゃんの……苦しそうな声…が、聞こえて……!」ポロポロ

ことり「すぐさま助けに入ることだってできたのに……すぐに警察を呼ぶことだってできたのに………」ポロポロ

ことり「…それなのに、それもまた、見なかったふり、しようとして……海未ちゃんと穂乃果ちゃんが電話してくれなかったら、私………!」ポロポロ

絵里「ことり……」

絵里「………」

絵里「……家族、なんだから………当たり前よ、そんなの……」

ことり「でも……でも………っ」ポロポロ

絵里「たしかにね……ことりがもっと早く通報してくれたら、ことりがもっと、早く行動してくれていたら……」

絵里「……そんな気持ちが、ないわけじゃないの。」

絵里「………でも、それは私も同じ。」
330 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:01:19.90 ID:+VPaqcmwo
絵里「私がもっと上手くやれたら…もっと慎重だったら、もっと早かったら……希はここまで酷いことにはならなかったかもしれない。」

絵里「ことりだけを責めるなんて……できない。」

ことり「……っ、絵里ちゃん………」ポロポロ

絵里「……それにことりは、たくさん手伝ってくれたじゃない……私が騙されそうになったところを助けてくれて、希のスマホが音ノ木にあるのに気づけたのも、ことりのおかげで……」

絵里「……だからあまり、気負わないで。私のことりに対する気持ちは……今までと変わらないから。」

ことり「……っ、絵里…ちゃん………!」ポロポロ

ことり「う…う……うう……ぐすっ、ごめん…ごめんね……っ」ポロポロ

ことり「ありがとう……」ポロポロ

絵里「………ええ。」

絵里「ことりも……ありがとう。ことりが警察を呼んでくれなかったら、希はこうして手術をうけることすら、きっとできなかったから……」

ことり「う…っ、うう……希…ちゃん……」ポロポロ

ことり「希ちゃんにも、私……謝らないと……」ポロポロ

ことり「……っ、ねえ、絵里ちゃん……私のお母さんは、希ちゃんと…絵里ちゃんに、何をしてしまったの?」ポロポロ

ことり「私……ちゃんと知った上で謝らないといけないと思うの、希ちゃんに……!」ポロポ

絵里「ことり……」

絵里「………」
331 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:04:31.16 ID:+VPaqcmwo
絵里「………」

絵里「希が……されたこと…ね……」

絵里(………)

絵里(みんなになら…話してもいいかしら?希……)


絵里「………」



『……1日目はまず、両手両足拘束して……動けないようにして、オトナのおもちゃで、ずーっといじめたの。気絶しても気付薬を使って、ずっとずっと。』

『ふふっ、合計で8時間くらいかしら…あの頃は東條さんもよく反応してね、楽しかったわ。泣きながら許して、止めてって…ふふふ。そうそう、ファーストキスもこの日にもらったの。』


絵里「……っ、」


『2日目からの10日間は、媚薬漬けにして…ふふっ、絢瀬さん、媚薬なんて知らないかしら。今度は色んな方法でイク直前まで高めて…とことんイカせてあげなかったの。』

『泣いても喚いても…ね、最後の方は気が狂いそうになってたから、正気を保つためにはより強い刺激が必要よって教えてあげたの。』

『……それでできたのがその足の咬み傷。手は後ろに拘束されていたから…ふふ。10日間頑張れたご褒美に、バージンをもらったときの顔…今でも忘れられないわ。』

『あ、あとそうね、この時にμ'sを売ったら…って条件は、無しにしてって東條さんが言うから…ここから東條さんが自力で助かる道は消えたのよ。』

絵里「…っ、は……は………」

「……り………?」

『その後は…そうね、そういうのは少し飽きたから。痛いことするのが増えたわね。足の傷口に塩を塗ったり。』
332 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:05:56.09 ID:+VPaqcmwo
『…ちょっと準備に時間がかかることが多かったから、睡眠薬で眠らせて…その間に準備したこともあったかしら。』

絵里「は……はぁっ………」

「…り!……りちゃ……!!」

『ふふ……身体中に電気パッドを貼って、下にはオトナのおもちゃを出力MAXで固定して。拘束して立たせて、立てなくなるたびに全身に電流が流れるような仕組みにしたの。』

『東條さん、必死に立とうとするんだけど……イクたびに、うまく立てなくなって、崩れ落ちて……ふふ、あの絶望したような顔も最高だった。』

絵里「はぁ…っ、は……っ、は……っ、」

『最後は、東條さんをあのガラスケースに拘束して、閉じ込めて……中にね、上で見た虫をたくさん入れて。』

絵里「はぁっ…はぁっ…はぁっ…は…っ」

『それでね、東條さんの中にーーー』



「絵里!!!!!!!!」



絵里「………っ!!けほっ……けほっ……」

絵里「は…っ……は……にこ……?、私…………」

にこ「絵里………っ」

にこ「………っ、無理して言わなくていいわ……今はしっかり休んで……」
333 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:07:27.44 ID:+VPaqcmwo
絵里「………っ、ごめんなさい…ちょっと、嫌なこと…思い出しただけよ……私は大丈夫。」

花陽「絵里ちゃん……無理はしないで。私達、絵里ちゃんに無理させてまで聞きたいわけじゃ……」

絵里「ううん、いいの……大丈夫、大丈夫だから………」


絵里(……今のって………)

絵里(…………)


絵里「………」


絵里「……ごめんなさい、全てを話すことは…私にはできない。そもそも理事長から聞いた話だから真意はわからないし、希も多分全てを話すことは望まないと思うの…」

絵里「……だからざっくりと…でも……いいかしら 」

にこ「……っ、ええ…それでいいわ。」

絵里「にこ……」

絵里「…………」

絵里「希は……希はね………」

絵里「……理事長から、拷問まがいのことを…受けていたのよ。」

海未「……っ、拷問……ですか………」

絵里「ええ…拷問っていうと……少し違うのかしら……でも、身体を拘束されて、動けない状態で、人権を無視したようなことを、ずっと…ずっと………!」

凛「なに……それ………」ポロポロ

凛「どうして理事長は、そんなこと……っ」ポロポロ
334 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:09:21.89 ID:+VPaqcmwo
絵里「……希の、恐怖に歪む顔が見たかった…って、言っていたわ。」

真姫「………っ、」

真姫「なによ……それ………!」

ことり「………っ」ポロポロ


ことり「……お母さん……なんてこと…を……」ポロポロ

ことり「う……う……ぐすっ……うう………」ポロポロ

ことり「お母さん、ね……私が小さい頃に、あの倉庫の中で…虫を虐めて、ジワジワ殺して……笑ってたことがあるの……」ポロポロ

絵里「……そんな感覚だったんでしょうね。希が苦しんだり血を吐いたりするたびに、嬉しそうにケラケラ笑っていたから……」

にこ「………っ、」

海未「…っ、絵里の…その腕は……?」

絵里「これは……見た目ほど大した傷ではないわ。傷も残らないようにできるって言われたし。」

絵里「…私が自分自身でこの火傷をおうたびに、1分間希への責め苦を止めてくれる…っていうから。時間稼ぎをしていただけ。希、そのまま続けられたら命が危なかったから…」

花陽「絵里ちゃん……」ポロポロ

絵里「…………」

真姫「絵里は…希とは……その、」

真姫「…話すことはできたの?希、絵里が着いたときは……どんな感じだったの?」
335 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:11:50.43 ID:+VPaqcmwo
絵里「…………」

絵里「……希はね、私が着いた頃にはもう……正気ではなかった。私が何を言っても、何も反応しない状態だったの。」

絵里「最後の最後で正気を取り戻して…少しだけ、話すことができたけれど。」

絵里「…ずっと、死なせて、楽にして、って……そう……言われて。」ジワ…



にこ「………っ、!!」ガタンッ



真姫「にこちゃん……っ、?」

にこ「………」

にこ「………」


にこ「殺す………」

にこ「………」

海未「………っ、」

にこ「……っ、ことりには悪いけど、理事長のこと…許せないわよ………こんなの………!」

にこ「……っ、はぁっ……は………は…」

にこ「…っ絵里がオブラートに包んで話して、それなんでしょ……?」

にこ「死なせてなんて……希が言うなんて、尋常じゃないことされたってことくらい、わかる……っ」

にこ「許せない………許せないわよ、そんなの………!」

にこ「私がしなかったら、誰が理事長に……っ!!!!」


ガシッ


にこ「………っ、海未………っ」
336 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:12:52.31 ID:+VPaqcmwo
海未「にこ……気持ちはわかります。ですがそれは………!」

にこ「……あんたはそういう奴よね、わかってる。……でも、私は違うのよ!!」

にこ「ねえ絵里……さっき希が、私達のために頑張ってたって言ったわよね……?」

絵里「………っ、ええ……」

にこ「それ……どういう意味?」

絵里「………」

絵里「希は……1つだけ解放するための条件を与えられていたの。理事長から……」

にこ「……っ、それって………」

絵里「……私達μ'sの誰かと代わること。正確にはことりをぬいた7人から、誰か一人を選んで…交代するというもの。」

海未「………っ、」

にこ「ふふ……そんなことだろうと思ったわ。それであいつ、誰にもかわらなかったんでしょ?それどころか、その条件は無くせとでも言ったんじゃないの?」

絵里「……っ、ええ。よくわかるわね……」

にこ「……ふんっ。あいつ、わかりやすいのよ……絶対そういうこと言うと思ったわ。」

凛「……じゃあ、希ちゃんは………凛達のこと、守るために………」ポロポロ

花陽「そん…な……」ポロポロ
337 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:14:28.46 ID:+VPaqcmwo
絵里「………」

絵里「たぶん…ね……それだけ花陽や凛や、私達のこと……大切に思ってくれてたのよ。」

にこ「……希は私達のこと、体張って守ってくれたんだから……だから今度は、私が……っ」


ガシッ

絵里「だめよ………!!」

にこ「……っ、絵里………」

絵里「希はそんなこと、望まない……にこだってそれは、わかってるでしょう……?」

にこ「それは……!そうだろうけど………!!」

にこ「……っ、じゃあ、絵里は許せるの?!!」

にこ「理事長…私たちが話を聞きに行くたびに、私は何も知りませんって顔して……影でそんな、希の人格を壊すようなことしてたのに…っ!!許せ……」


絵里「許せるわけない!!!!」ポロポロ


にこ「………っ、」

絵里「許せるわけないじゃない……希をあんな風にされて……こんなこと考えたくないけど、希がもしこのまま戻ってこなかったら、私もにこと同じような行動に走るかもしれない……」ポロポロ

絵里「にこの気持ち、痛いほどわかるわ……私も希を見た瞬間は、頭が真っ白になって……理事長に包丁で切りかかったくらいだから。」ポロポロ
338 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:16:40.84 ID:+VPaqcmwo
絵里「………っ、でも!!!希はまだ……生きてるの。にこがそんなことして捕まったら、希が体を張った意味がなくなっちゃうじゃない………!」ポロポロ

にこ「絵里………」

絵里「お願いだから……にこは、そのままのにこでいて。私ね、希が目が覚めた時に……希のおかげで私達は全員無事で、これからも全部全部今まで通りよ…って、言ってあげたいの……!」ポロポロ

絵里「希が大好きで大切なμ'sを、そのままの形で用意してあげたいの。希がいつでも、戻ってこられるように……!!」ポロポロ

にこ「………っ、」

絵里「…もちろん、完全に元通りには…無理かもしれない。この件…きっとニュースになって報道されるわ。μ'sをそのまま続けられるのか…私にはわからない。」ポロポロ

にこ「…………」

絵里「……っ、でもね……でも、完全に元通りとはいかなくても……希の大好きなこの9人が、揃ってることが……一番大切だと思うの……!」ポロポロ

絵里「にこがいなきゃ……だめなのよ……!!」ポロポロ

にこ「…………っ、」ジワッ

にこ「………」

にこ「絵里………」

にこ「……っ、そう…………よね……」


にこ「ごめん……ちょっと、頭に血がのぼってた。」
339 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:18:28.23 ID:+VPaqcmwo
にこ「絵里の言う通りね……今は理事長のことより、希のことを一番に考えるべきだし……」

にこ「μ'sは9人いなきゃ……成り立たないものね……」

絵里「そうよ……希もにこもいなきゃ、μ'sじゃない……誰も欠けちゃ、いけないはずでしょ………」ポロポロ

絵里「μ'sの誰かが復讐なんてしたら…希が元通り幸せになれる道が…なくなっちゃう。」ポロポロ

絵里「だからもうそんな危ないこと……考えないで。」ポロポロ

にこ「絵里………」




穂乃果「にこちゃん……絵里ちゃん………」

穂乃果「………」


穂乃果「………っ、」スウ…



穂乃果「希ちゃん!!!がんばれ!!!!」



にこ「……っ、穂乃果!!?」



穂乃果「がんばれ!!!希ちゃん!!がんばれ!!!」



ことり「…っ、穂乃果ちゃん……っ、!?」

穂乃果「……っ、ねえ絵里ちゃん。希ちゃん…穂乃果達のために、たくさんたくさん……頑張ってくれたんだよね。」

絵里「……っ、ええ……」
340 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:30:27.98 ID:+VPaqcmwo
穂乃果「穂乃果が今、希ちゃんにしてあげられることは…ほとんどないけど。」

穂乃果「……でも、さっき絵里ちゃんが言ったように……応援することは、できるから。」

穂乃果「今はたっくさん応援して……希ちゃんに、絶対戻ってきてもらって 」

穂乃果「穂乃果ね……希ちゃんに、たくさん、たくさん……ありがとうって、言いたいんだ。」

絵里「穂乃果………」

凛「穂乃果ちゃん……」ポロポロ

凛「……ぐすっ、凛も言いたい!!希ちゃんに!!たくさんたくさんっ、ありがとうって……!!」ゴシ…

凛「希ちゃ……むぐっ」


海未「………だめ…です。」

凛「海未ちゃん…っ、なんで……」

海未「……ここは病院ですよ?希の手術にも、影響してしまうかもしれません。穂乃果も。だめ、ですよ……」

穂乃果「海未ちゃん………」

穂乃果「……そっか、そう…だよね……」

穂乃果「ここ……病院だもんね………」


海未「穂乃果………」

海未「……、……何も私は、応援するのがだめだとは言っていませんよ。」

海未「…もちろん大声はだめですが……小声なら、きっと大丈夫です。もちろんテレパシーだっていいはずです。伝わるはずです。なんて言ったって、希はスピリチュアルですから。」

凛「海未ちゃん……!」

にこ「応援しながら…神様に祈るのもアリだと思うわ。あいつ、巫女でしょ……あれだけ毎朝神社の掃除なんかしてたんだもの。神様だって、助けてくれるはずよ。」
341 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 00:32:28.56 ID:+VPaqcmwo
凛「……っそっか、そうだよ、希ちゃんには神様がついてるんだもん…!それに凛達の応援が加われば……!」

花陽「そうだよねっ、助かるはず…だよね!」

真姫「それに私のパパが執刀してるんでしょ?助からないはず……ないじゃない。」


絵里「みんな………」ジワ…


にこ「絵里、」

にこ「……さっきはごめん。私…周りが見えてなかった。まるで理事長に…希が殺されてしまったような、そんな気持ちになってた。」

にこ「……でも、絵里の言う通り……希はまだ、生きてるのよね。頑張ってるのよね。」

にこ「………私たちで、応援して……絶対希のこと、取り戻すわよ……!」

絵里「にこ……」

絵里「ええ、絶対取り戻すわよ……!」

穂乃果「よーしっ、それじゃあいくよっ!」









絵里(希……聞こえてる?)

絵里(みんな…みんなたくさん、貴女のこと、応援してるわ。みんな貴女に戻ってきてほしいって思ってる。)

絵里(だからお願い……希………)



絵里「………っ、がんばって………!」ポロポロ


342 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 09:52:17.97 ID:ZFN7lWBSO
>>92
突然に決済が出て草
343 : ◆5UuNMwrvUc [sage]:2016/11/30(水) 11:03:08.89 ID:XpQb3fB6O
ほんとだ
>>92は"結成日"で
344 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 11:54:59.69 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−



………………ガチャッ


絵里「…………!」

にこ「希……っ!」

真姫「パパ!希は……っ?!」


タッタッタッタ…


絵里「希は……!希はどうなりましたかっ!!」

『……大丈夫、手術は成功したよ。』

絵里「ほん……とに………」ジワ…

真姫「じゃあ、希に……!!」

『待って。それはまだ…やめたほうがいい。』

凛「どうして…?凛、希ちゃんの手術が終わったら、頭なでなでしてあげようって、思ってたのに……」

『……今はまだ意識はないし、集中治療室に大勢で入ることはできない。』

『…………それに…その……』

絵里「………っ」


絵里「そう……ね………」

絵里「……っ、みんなごめん……希…たぶん、今の自分を…あまり見られたくないと思う……」

にこ「………」

にこ「……なるほど、ね……」
345 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 11:56:08.46 ID:XpQb3fB6O
にこ「……真姫のパパ!希はもう…命の心配はないのよね?」

『それは……すまない、保証はできない。仮にも一時呼吸が止まっていたわけだから……後遺症の心配もあるし、意識が戻るまでは……油断できない。』

『…ただ、元々衰弱していた上に、出血多量であんなことになっていたわけで……原因の穴は塞いだから、意識さえ戻れば…身体的な心配はほぼないよ。』

絵里「意識が……」

にこ「…………」

にこ(…身体的な……ね………)

にこ「絵里……あんた、このまま今日はここに入院なのよね?」

絵里「ええ……」

にこ「………希についててくれる?危なくなったり……意識が戻ったら、私たちに連絡してくれる?」

絵里「それは……もちろんよ………!」

にこ「そう………」

にこ「………」

にこ「……じゃああんた達、帰るわよ。」

凛「えっ、にこちゃん…どうして……!」

花陽「希ちゃんに…会えないの?」

にこ「……例えばあんた達が喧嘩して、顔面殴られたとして……その顔、他の人に見られたい?」

凛「……、それは………」

花陽「…、いや……かも……」
346 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 11:57:16.70 ID:XpQb3fB6O
にこ「…、そーゆーこと。まぁ希が顔面殴られたのかどうかは知らないけど……何かあったら絵里が連絡してくれるんだから。なんなら今日はみんなで泊まりっこしてもいいし。」

ことり「泊まりっこ……?」

にこ「ことり……今日から一人なんでしょ?」

ことり「あ………」

ことり「……そっ…か………」


真姫「………」

真姫「まったく……じゃあほら、みんなうちに泊まる?ここから近いし……」クルクル

にこ「真姫………!」

花陽「えっと…真姫ちゃん……いいの?」

『…うちは大丈夫だよ。妻に連絡しておこう。』

真姫「パパ……!ありがとう……」

凛「じゃあ今日は真姫ちゃんちでお泊りにゃー!」

穂乃果「そうだね!真姫ちゃんっ、ありがとう!!」

海未「二人は少し遠慮してください!」

真姫「いいのよ、別に…これくらい。」

ことり「真姫ちゃん……」


ことり「……ありがとう。」
347 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 11:58:49.21 ID:XpQb3fB6O
真姫「べ……別にいいって言ってるじゃない。お礼なんか、いいわよ…!」

真姫「じゃあ、ほら……行くならもう行きましょう。時間も結構遅いし……」

にこ「……そうね。じゃあ……」


にこ「……絵里。希のこと…よろしく頼んだわよ。」

絵里「ええ…まかせて。」

にこ「………」

にこ「ありがとう……」ボソッ

絵里「えっ……?」

にこ「……ううん、やっぱりなんでもない。全てがちゃんと終わったら…もう一度改めていうわ。」

にこ「ただ……その、あんたも少し、休みなさいよね?」

にこ「……無理しすぎると……よくないんだから。」

絵里「にこ………」

絵里「……うん。ありがとう。」


にこ「………ふんっ、」

にこ「……それじゃ、あんた達…行くわよ。」

凛「……うんっ!」






…ゲホッ、ゲホッ…ウウ……

アーニコチャンガダウンシタニャ! ダイジョウブ?!ニコチャン!!

カッコツケタコトイイナガラ、ニコチャンガムリシテタノネ…マッタク

アハハ…キョウハミンナデカンビョウダネ!




絵里「………」フリフリ

『……絵里ちゃんに、希ちゃんのことで……少し話があるんだが…いいかな?』

絵里「希のことで……ですか?」

『ああ……』

絵里「………」



絵里「わかりました……」


348 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:00:20.33 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−


ガチャ

絵里「のーぞみ!」



ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「………」

絵里「希………」

絵里「……よいしょっと」ストン

絵里「………ふふ、集中治療室って…入るの結構大変なのね。初めて入ったわ……」


希「………」ヒュー…ヒュー…


絵里「希………」ナデ…


希「………」ヒュー…ヒュー…


絵里「………」

絵里「手術……お疲れ様。」

絵里「たくさん頑張って……偉いわ。」ナデナデ

絵里「ふふ…前にこれやったときは、やめてやー!髪ぼさぼさになるやん!なんて、手を払われたっけ……」

絵里「………」

希「………」ヒュー…ヒュー…
349 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:01:26.76 ID:XpQb3fB6O
絵里「……私ね、希が起きるまで……ずっとここにいるわ。」

絵里「だから安心して……今は休んで。」

絵里「のぞみ………」


希「………」ヒュー…ヒュー…


絵里「希………」



『………それで話って、なんですか?』

『……本来こういった話は、ご家族にするべきなんだが……未だに親御さんと連絡がとれなくてね…』

『絵里ちゃんには…話しておくべきだと思って。本当はこういうの、よくないんだが……僕は医院長だから。ね。』

『………!ありがとうございます。大丈夫です、他言はしません。できるだけ詳しく教えてください…!』

『…あ、ああ。ありがたいよ。それじゃ……』



ピッ……ピッ……ピッ……

絵里「………」



『……とりあえずさっき言ったように、一先ず原因になっていた胃の穴は塞いだし……呼吸も既に戻ってきてるんだ。衰弱してて弱くなってるから、まだ酸素マスクは必要だけど。』

『…だから感染症さえ防げれば……意識さえ戻れば、一般病棟に写せると思う。絵里ちゃんの隣のベッド…あけてあるから。』
350 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:02:29.69 ID:XpQb3fB6O
『…ただ、もう少し下の方も…色々、毒が抽出されたり、影が見えてね……その、中にいた物は取り除いて置いたけど…』

『………』

『……まだわからないが、その器官の機能は失われてるかもしれないから…目が覚め次第検査が必要。』



ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



『でも、今一番心配なのは…精神面。』

『何があったのかわからないけど、何か異常なことが起きたのはわかる……その…さっき言った器官の方はもちろんそうだけど、胃の穴の方も。』

『…あれは急性胃潰瘍が腹膜炎を起こしたものだった。強いストレスから引き起こされることが多い病気なんだよ。』

『それに……』

『………』

『………?なんですか?』

『……明日、警察からこっちに話がくるみたいだから、その時に治療については検討するけど……』

『……希ちゃんの脳、脳波に異常があるわけでも、腫れてるわけでもない……んだが』

『ほんの少しだけど……縮んでるんだ。』

『…………っ、』

『……これは戦時中に拷問を受けた人にみられた症状でね…殆どの人はなくなった後の検査で発覚したから、どういう影響があるかわからない。』

『もちろん、脳は回復力の一番強いところだから、すぐに元通りになるかもしれないし、何も影響はないかもしれない…だけど、何も影響がないと断言もできない。』
351 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:03:23.81 ID:XpQb3fB6O
『…だから目が覚めてからも…注意してあげてほしい。』

『わかり……ました……』



ピッ……ピッ……ピッ……

絵里「希………」ナデ…



『……すまない、絵里ちゃんに気負わせるようなことを言って。』

『……っ、いえ……私が詳しい話が聞きたいと言ったんですから。大丈夫です……これからも何かあれば、お話ししていただけたらありがたいです。』

『ああ……あと、絵里ちゃんも明日、詳しい検査をしたほうがいい……左腕、それ…担当した医師から通電からの火傷だって聞いてる、他にも何か影響がでてるかもしれないから。』

『……多分、大丈夫だと思います……希が目が覚めてからではだめですか?目が覚めたとき、側にいてあげたいので……』

『絵里ちゃんがそれで大丈夫ならそれでも構わないよ。火傷の跡だけど、絵里ちゃんのも…希ちゃんのも、段階があるんだけどね、』

『1度の火傷だったから…時間をかければほぼ元通りにできると思う。いや、してみせるから、安心してほしい。』

『……ありがとうございます。何から何まで。その、治療費は……』

『治療費は大丈夫。』

『……っ、そんなわけには……』

『真姫な、音ノ木に入って…μ'sを始めてから、すごく明るくなったんだ。家でも楽しそうに学校のこと、話すようになって……』

『医者って職業柄、聞く話の大半は不幸話なんだ…だから家に帰ったときに、真姫が楽しそうにμ'sのことを話すのは…すごく、暖かい気持ちになれるんだよ。』
352 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:04:26.66 ID:XpQb3fB6O
『それに、真姫が言ってたんだ。μ'sのみんなと打ち解けられたのは希と絵里がいたからだって。』

『真姫が……』

『…だからこれは色んな意味でのお礼だと思ってほしい。希ちゃんの親御さんにも連絡がとれたら改めてそう言うつもりだから。』

『……っ、ありがとうございます……!』

『…別に、いいんだよ……これくらい。』クル…

『その…だからこれからも、真姫のこと…よろしく頼むよ、真姫はつんつんしてるけど…なんだかんだ、みんなのこと、大好きなんだ。』

『……それはわかってます。大丈夫です、私も希も、みんなも……真姫のこと、大好きですから。』

『そっか……』

『………なら、よかった。』



ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「希……」

絵里「……さっき、希が起きるまで、ずっとここにいるって言ったけど……少しだけ訂正するわね、」

絵里「私…希が起きても、ずっと一緒にいるから…だから……」

絵里「………ね、安心して。もう…何の心配もないわ。」



ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……



353 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:05:36.27 ID:XpQb3fB6O
−−−−−
−−−−
−−−
−−


凛「ふぁー学校疲れたにゃー!」

真姫「凛は寝てただけじゃない……」

花陽「……外、すごい人だったね……」


ガチャ


真姫「ただいま。」

凛「ただいまー!!」

花陽「ただ…っ、お、おじゃまします…」

『はーい、おかえりなさい。花陽ちゃん、ただいまでも全然いいわよ?希ちゃんの意識が戻るまではここがお家だと思ってくれると嬉しいわ。』

『穂乃果ちゃん達、今は二階にいるから。』

凛「はーい!真姫ちゃんっ、かよちん、行こー!!」タタッ…

真姫「あっ、ちょっと凛、待ちなさいよっ」タタッ

花陽「…ありがとうございます、真姫ちゃんのお母さん。凛ちゃーん!真姫ちゃん!待ってえ〜」タッタ…



ガチャ!

354 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:06:26.43 ID:XpQb3fB6O
凛「穂乃果ちゃん!海未ちゃん!ことりちゃん!にこちゃん!ただいまーっ」

海未「…!おかえりなさい、凛、真姫、花陽。」

ことり「おかえりなさい!」

穂乃果「おっかえりー!!」

にこ「くしゅっ……おかえり。」


花陽「ただいま。にこちゃん熱、大丈夫?」

にこ「少し下がったし…もう大丈夫ね。」

海未「そうは言ってもまだ高いんですから…横になっていてください。」

にこ「ええ……」

真姫「絵里から何か希のこと…連絡きた?こっちには何も来てないんだけど…」

海未「今のところは…たまに絵里からLINEはきてますが、まだ目は覚めていないようです。」

真姫「そう……」

穂乃果「学校の方はどうだった?」

凛「今日は小テストで散々だったにゃー…穂乃果ちゃんずるい!凛もお留守番がよかったなぁ〜」

穂乃果「ふっふっふ……凛ちゃんはまだ一年生だからね!ちゃんと学校に行かなきゃダメだよっ!」

海未「…ことりはともかく、私達も月曜からは学校に行きますよ。今日は希のことや、にこの看病があったから休みましたが……」
355 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:08:30.69 ID:XpQb3fB6O
穂乃果「うう……月曜日は穂乃果達も小テストが……」

真姫「もう……」

真姫「……学校だけど、穂乃果が凛に聞いたのはそういう意味ではないんでしょう?」

真姫「マスコミ……たくさん来てたわよ。私達も質問攻めにあって、走って帰ってきたの。」

ことり「真姫ちゃん……」

にこ「まぁ……やっぱり、そうなるでしょうね……」

にこ「テレビもこんなんだし……」



『……現場のーーと中継が取れています、ーーさん!』

『はい、ここが現場の、南容疑者の自宅前です。少しカメラ寄れますか?奥に見えるのが、実際に被害者が監禁されていた倉庫でーー』

『………また、被害者はスクールアイドル活動をしており、容疑者はーー』



プツッーーー



にこ「………っ…」スッ

花陽「にこちゃん……」

花陽「………ネットも結構、すごいことになってるよね……」スッ…



【悲報】μ'sの東條希ちゃん、監禁される

0001名無しで叶える物語(SB-iPhone)
なお犯人は同グループ南ことりの親の模様

0002名無しで叶える物語(庭)
ソースはよ

0003名無しで叶える物語(やわらか銀行)
http//otonokizaka.con
http//news.con
http//Twitter.0000.con
ここのサイトからしてほぼ間違いないやろ

0004名無しで叶える物語(たこやき)
ガチやんけ!

0005名無しで叶える物語(地震なし)
マジかよ南ことり最低だな

0006名無しで叶える物語(おいしい水)
>>5 おいまてことりたそは天使やぞ
まぁもうお日様の下は歩けないやろな

0007名無しで叶える物語(プーアル茶)
μ'sは解散か
ミュータントガールズにでも乗り換えるかなぁ

0008名無しで叶える物語(しまむら)
蛙の子は蛙って言うしな
ことりちゃんはヤンデレくさい

0009名無しで叶える物語(茸)
アフィカスってさあ、生きてる価値ないよな、人に依存して……



花陽「………っ、」

花陽「………」カチッ
356 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:10:10.24 ID:XpQb3fB6O
ことり「………」

にこ「ことり………」

にこ「…………気にすることないわよ、ことりは何も悪くないんだから。悪いのは理事長だけで……」

ことり「うん……大丈夫。」

ことり「これくらい……覚悟してたから。希ちゃんは…もっとずっとつらかったんだから。」

ことり「……むしろみんなに迷惑かけちゃって……ごめんね。」

花陽「迷惑なんて……!」

『……そうよ、迷惑なんかじゃないわ。』ガチャ

真姫「ママ……」

『ごめんなさいね、いきなり入って……これ、お茶。』

海未「ありがとうございます…」

『…あのね、ことりちゃん。ことりちゃんさえよければ、このままうちにいてもいいのよ。もちろん帰りたければ、お家に帰っても構わないけど……』

ことり「真姫ちゃんのお母さん……」

『……南さんとは、昔からの仲だから。』

真姫「………っ、そうよ!ことり、ずっとここにいて。ことりは何も悪くないんだから……」

ことり「真姫ちゃん……、でも……」

穂乃果「うちのお母さんからも連絡きてるよ、ことりちゃん、よかったらうちで暮らさない?って!穂乃果もことりちゃんと一緒がいいなぁっ」
357 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:11:51.13 ID:XpQb3fB6O
海未「私の家からも先ほど電話がありましたよ。ことり、私の家でも大丈夫です。」

ことり「二人とも……」

にこ「ことり、何も一人で家に帰ることないわ。ことりの味方は、ここにたくさんいるんだから……」

ことり「にこちゃん………」ジワ…


ことり「………っ、」

海未「ことり……?」


ことり「…………あはは、みんな……おかしいよ。」ポロ…

ことり「ねえ、みんな……私のこと…怖くないの?ニュース、見たでしょ……希ちゃんに、たくさん酷いこと……人とは思えないようなことばかりしてたって……」ポロポロ

ことり「……っ、そんな人の…娘なんだよ?同じ血が……流れてるんだよ………」ポロポロ

ことり「私は……怖いよ………」ポロポロ

海未「ことり……」


穂乃果「ことりちゃんっ!!」



ギュッ



ことり「穂乃果…ちゃん……?」ポロポロ

穂乃果「………」

穂乃果「……穂乃果ね、絵里ちゃんの話聞いて…ニュース見て。確かに理事長のこと…怖いなって、すごく思ったよ。希ちゃん、どんなに怖かったんだろうって……希ちゃんの気持ち考えたら、穂乃果…泣きそうになっちゃう。」

ことり「穂乃果ちゃん……」ポロポロ

穂乃果「だけどね…!いくら同じ血が流れてるって言ったって、ことりちゃんはことりちゃんだよ。理事長とは、絶対違う……!」
358 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:13:43.30 ID:XpQb3fB6O
穂乃果「穂乃果が保証する!!ことりちゃんは、絶対そんなことしないって…ことりちゃんはそんな子じゃないって!小さい頃から一緒にいるんだもん、わかるよ…!」

ことり「……っ、穂乃果…ちゃん……」ポロポロ

『……そうよ。』


ことり「真姫ちゃんの…お母さん?」ポロポロ

『私ね……南さんが捕まったって、聞いて。そこまで驚かなかったの。逆にもっと目を光らせておくべきだった…もっと気をつけてあげればよかった……って、今すごく後悔してる。』

ことり「………」ポロポロ

『南さんは、昔からどこかかわってた。変な生き物が好きで、研究熱心で……マッドサイエンティスト、みたいなね。ことりちゃんは、正反対じゃない。』

『可愛いものが好きで、性格だって、似てるようで全然違う……小さい頃から見てたから、わかるのよ。』

ことり「うう……」ポロポロ

海未「みんなわかってるんですよ、ことりは理事長とは違うと……だから家にこないかって声をかけるんです。自信を持ってください、ことりは理事長とは違います。」

ことり「海未ちゃん………」ポロポロ

凛「……そうだよ!ことりちゃん、凛が怪我して保健室に行った時……顔を歪めて、痛いよね…って、今絆創膏貼るからって、優しく貼ってくれて……痛いの痛いのとんでけー!って、してくれたよね!」

凛「ことりちゃんは人が痛がってるのを見て、喜ぶような子じゃ…絶対ないもん!」

花陽「そうだよ。アルパカさんのお掃除も、すごく優しい顔でしてくれて……でも、虫が出た時にはきゃー!って。ね?理事長とは、絶対違うよ…ことりちゃんは。」
359 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:14:52.49 ID:XpQb3fB6O
ことり「凛ちゃん……花陽ちゃん……」ポロポロ

ことり「みんな……ありがとう。」ポロポロ

『……さっ、それじゃあ少し早いけど、みんなでお風呂に入ってきてくれる?夕飯の準備、その間にお手伝いさんがしておいてくれるから…』

にこ「お手伝いさん………」

凛「わーい!凛、いっちばーん!!」

穂乃果「あーっ、凛ちゃんずるーい!穂乃果も穂乃果もー!!」


タッタッタッタ……



海未「まったく、あの二人は……」

海未「お風呂ですが、絵里から連絡が来るかもしれませんし、分かれて……」

にこ「ああ、それなら私、まだお風呂入れそうにないから…あんた達一気に入ってきちゃっていいわよ。」

にこ「絵里から連絡がきたら、急いで報告にいくから。」

海未「にこ……ありがとうございます。」

にこ「ええ……」
360 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:15:43.65 ID:XpQb3fB6O
海未「それじゃあことり、花陽、真姫、行きましょう。」

タッ…タッ…タッ…


にこ「………」


ヴー ヴー

にこ「………っ、!絵里……?」

にこ「………」スッ


『…ごめん、希はまだ、目が覚めないんだけど……』

『今、警察が話を聞きに来たわ。今夜ことりにも話を聞きに行くって言ってたから……一応伝えとこうと思って。』

『それからマスコミがたくさん騒いでるって聞いて……にこ、みんなのこと、お願いね。』


にこ「絵里……」

にこ(警察が……ね。なんの話かしら。)

にこ(………)

にこ(…それにしても、絵里も希も人のことばっかりなんだから……)


にこ「まったく……」

361 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:17:05.54 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



ガチャ


絵里「ただいま、希。」


絵里「……」ストン

絵里「……ごめんね、少しだけ刑事さんと話してきたの。…それから亜里沙も来てくれて。」

絵里「…理事長ね、やったこと全てを話したみたい……てっきり全てを隠すつもりなのかと思ってた。何か企んでるのかしら……」



ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「希……」

絵里「……ごめんね、こんな話……楽しくないわね。」

絵里「見て見て、亜里沙がくれたの……誕生日プレゼントにって。マグカップ2つ…希さんと使って!って。ふふ、カップルじゃないんだから……まったくもう。」

絵里「ね、希……あと少しで、今日が終わっちゃう。」



ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「のぞみ………」
362 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:18:20.35 ID:XpQb3fB6O
絵里「………」



ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「希………」



絵里「あ……終わっちゃった。」

絵里「もう……希の馬鹿。μ'sのみんなだって、貴女が言ってくれなきゃ…私の誕生日なんて、知らないんだから。」


ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……



絵里「希……」ギュッ

絵里「手…あったかい。」

絵里「………」

絵里「ふふ……もう、希ってば…お寝坊さんだけど、でも……許してあげる。」

絵里「希が起きてくれることが、一番の誕生日プレゼントだから……私、いくらでも待つわね。」

絵里「のぞみ……」ウト…


ピッ……ピッ……ピッ……


絵里「………」スー…スー…


希「………」ヒュー…ヒュー…



ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……




363 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:20:35.41 ID:XpQb3fB6O
−−−
−−


ことり「ありがとうございました…」


ガチャ


ことり「………」ズルズル…


ドサッ



ドクン…ドクン…ドクン……



ことり「は……はぁっ……は………」ガタガタ


『南ことりさん、貴女には容疑者の裁判に、情状証人として出てもらわなくてはなりません。』


ことり「……っ、は……は………」ガタガタ


『そのため、現在調べが付いている、被害者が受けた被害について聞いていただくのが普通ですが…もちろん断ってもらっても構いません。』

『大丈夫です、聞かせてください。』


ことり「は……は………はっ……」ガタガタ


『それでは…まず、被害者は6日の木曜日に………』


ことり「は………はぁっ…はぁっ………」ガタガタ

ことり「ぅ……げほっ、うぐ」


タッタッタッタ………ガチャッ


ことり「う……………っ」

ことり「げほっ……けほ………」

ことり「はぁっ……はぁっ………」


ジャー


バタン



ことり「は………」

364 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:22:31.06 ID:XpQb3fB6O


海未「ことり……?」


ことり「………っ、海未ちゃん………」


海未「刑事さんとのお話は、終わったのですか?」

ことり「う…うん………海未ちゃん、まだ起きてたんだ……」

海未「ええ…他のみんなは寝てしまいましたが。ことり…顔色が悪いようですが、大丈夫ですか……?」

ことり「大丈夫……」

海未「………」

海未「……刑事さんとは、どんなお話をしたんですか?」


ことり「…お話………」

ことり「……、………」

海未「ことり……?」

ことり「……ねえ、海未ちゃん…………」

海未「………?」

ことり「お母さんは……本当に最低な人間だったよ……」

海未「……っ、」

ことり「私ね、お母さんは…私にはすごく優しかったから。希ちゃんに何かしたって聞いても、どこか少し…想像できなかったの。」

海未「………」

ことり「…でもね、刑事さんに、お母さんが何をしたのか……詳しく聞いてね、私今……思わず吐いちゃったよ。」

海未「ことり……」

ことり「お母さん……最低だよ、本当に……生まれてはじめて、こんなに軽蔑した。」ジワ

ことり「希ちゃんが、殺して、楽にしてって言った意味が…わかったよ。私ならあんなことされるくらいなら、殺された方がずっとまし!」ポロポロ
365 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:24:04.13 ID:XpQb3fB6O
海未「希は……」

海未「希は、何をされたのですか?」

ことり「言えない…言えないよ……!」ポロポロ

ことり「でも…ねえ、海未ちゃん」ポロポロ

ことり「海未ちゃんは……希ちゃんが担架で運ばれて行った時……見てたよね。」ポロポロ

海未「………っ、」

ことり「髪が……っ、真っ白だったの……」ポロポロ

海未「………はい、見ました…」

ことり「すごく…怖かったんだろうね……希ちゃん……」ポロポロ

ことり「ねえ海未ちゃん…もう、私……希ちゃんにどんな顔して会ったらいいのかわからない。どんな顔して謝ればいいのかわからない……」ポロポロ

ことり「私……わたし、どうしたらいいのかな。真姫ちゃんも、穂乃果ちゃんも、海未ちゃんも、みんなみんな……私に優しくしてくれるけど」ポロポロ

ことり「あんなことされた希ちゃんは…きっともう、元通りの生活なんてできない。…私だけこんな、幸せでいいはずがないよ。」ポロポロ

ことり「私…こんな幸せじゃだめだよ、もっと苦しまなきゃ……だめだよ。」ポロポロ

ことり「う……うう………」ポロポロ

海未「ことり……」
366 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:25:16.70 ID:XpQb3fB6O
海未「…………」



パチン…



ことり「いたっ………」ポロポロ

ことり「……海未、ちゃん…?」ポロポロ

海未「希のこれからを決めるのは……ことりではありません。」

ことり「………」ポロポロ

海未「…ことりにだけ、私達がついているわけではないんです。希にだって、私達がついています。」

海未「希だって……これからもっともっと、幸せになれるはずです。」

ことり「海未ちゃん……」ポロポロ

海未「ことりがしなくてはならないのは……希と同じように苦しむことではありません。少しでも早く、希が元通りの生活に戻れるように…幸せになれるように、お手伝いすることだと…私は思います。」

ことり「………っ、でも、希ちゃんは…私の顔なんてもう……」ポロポロ

海未「……それも、希が決めることです。希が起きてみなければわかりません……」

海未「…それに、希がたとえそう言ったとしても……陰ながら支えることだって、できるはずです。」

海未「それはずっとμ'sの衣装を作っていたことりが、一番得意なことではないですか?」

ことり「海未ちゃん……」ポロポロ
367 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:26:24.43 ID:XpQb3fB6O
海未「……何も知らずに、偉そうなことを言ってしまって…すみません。」

ことり「ううん……私こそごめん……」ポロポロ

ことり「そう…だよね…希ちゃんが…幸せになれるように、お手伝いすることが……一番大切なんだよね。」ポロポロ

ことり「私、海未ちゃんがいないと…いつもおかしな方向に考えちゃって……ダメダメだ……」ポロポロ

海未「ことり……」


海未「…一先ず希の目が覚め次第……絵里を通して謝りに行ってもいいか聞いてみましょう。」

海未「…それから本来、ことりがそこまで気に病む必要はないんです。罪を償わなければならないのは、理事長なんですから……」

ことり「………お母さん…」ポロポロ

ことり「……そう…だ……お母さんね、死んでも償えないようなこと、希ちゃんにたくさんしたのに……」ポロポロ

ことり「…殺人はしてないから、日本の法律的に……死刑には絶対にならないんだって。」ポロポロ

海未「そう…なんですか……」

ことり「…うん。それにお母さん…ね、自分がやったことは全て話したけど……殺意はなかったって、主張してるんだって。」ポロポロ

海未「殺意…ですか?」

ことり「うん……それに、睡眠薬たくさん飲んでたから、どうして自分があんなことしたのかわからない…とか。」ポロポロ

海未「それは……」

ことり「………精神的におかしいってことを主張して、あわよくば責任能力がなかったってことにしようとしてるのと……」ポロポロ
368 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:27:44.77 ID:XpQb3fB6O
ことり「……っ、殺意があったと認められれば、殺人未遂として…最高で無期懲役にできるけど、認められないと……長くても7年で出てこられるんだって……!」ポロポロ

海未「7年……ですか。」


ことり「足りない。」ポロポロ


海未「………っ、」

ことり「お母さんが希ちゃんにしたこと……私、死刑でも足りないくらいひどい事だと思ったの。7年なんかじゃ…絶対足りないよ……」ポロポロ

海未「ことり……」

ことり「……お母さんね、あんなんだけど…私のこと、大好きなの。それに本当は、私もお母さんのこと……大好き。軽蔑したって言ったけど…それでも、やっぱり。」

ことり「……お母さんはね、獄中でも私がたまに会いにくるなら、別に平気だって…思ってると思う。」ポロポロ

海未「………」

ことり「……こんな言い方したらおかしいけど…依存し合った親子だったから。」ポロポロ

海未「依存…ですか……」

ことり「……そう、お母さんが死刑にならないなら……多分1番つらいのは、私に一生会えないこと。」ゴシ…



…スクッ



海未「ことり……?」
369 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:29:11.54 ID:XpQb3fB6O
ことり「私ね、お母さんの裁判に出席するの。情状証人…だったかな。その時にちゃんと説明してくる、お母さんには責任能力があったこと…お母さんは昔から、殺意を持って生き物を殺すことに快感を感じていたこと。」

ことり「……それから、」ジワ…

海未「………?」

ことり「……もう、お母さんとは一生会うつもりはありませんって、伝えてくる。」ポロポロ

海未「ことり………」

海未「…しかし、それでは理事長が出てきたときに……」

ことり「あ……そっか、そう…だね………」ポロポロ

ことり「やけになって、なにするか…わからないね。」ポロポロ

海未「………」

ことり「もう……お母さんは、本当に……手がかかるなぁ……」ポロポロ

ことり「…じゃあこうする。お母さんがこれから一生、私達9人に顔を見せなければ、お母さんが死ぬ間際に……1度だけ、会いに行くって。」ポロポロ

海未「……そう、ですね。それがいいと思います。しかし……」

海未「ことりは……つらくありませんか?」

ことり「……っ、これくらい……いいの。私にできるのは…これくらいしかないから。」ポロポロ

海未「ことり……」

海未「………私も行きます。確か傍受席というのがあったはずです。ことりを一人にはしません。」

ことり「海未ちゃん………」ポロポロ


ことり「……ありがとう。」ポロポロ

370 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:49:48.78 ID:XpQb3fB6O
−−−−−
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にこ「ふっかぁぁつ!!!」


真姫「やっとね……随分長かったじゃない。」

凛「1週間もかかったにゃー。これはあれだね、にこちゃん学校行ったら机がきっと、課題でパンパンに……」

にこ「おおお恐ろしいこと言わないでよね!それにそれは絵里も希も同じでしょう?!」

凛「希ちゃんと絵里ちゃんは被害者だもーん。それに比べてにこちゃんは……」

にこ「むぐぐぐぐぐ………」


花陽「………それにしても……にこちゃんが風邪引いて、もう1週間も経つんだね……」

花陽「希ちゃん………」



真姫「……っ、」

凛「……っ」ジワッ

にこ「花陽………」



花陽「……っ、!」

花陽「ごめん……ごめんね………」

真姫「いや……まぁ、私も少し……思ってたから。」

凛「希ちゃん……いつ目が覚めるのかな……」

花陽「………」

にこ「あんた達……」
371 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:51:47.93 ID:XpQb3fB6O
にこ「……っ、まったく、希……何してんのかしらね、寝坊もここまでくると困ったもんじゃないわね、起きたらこっちから、遅いわよってワシワシMAXでもお見舞いしてやろうかしら!」

真姫「にこちゃん……」


凛「……っ、ぐす……」ポロ…

にこ「…………」

にこ「………」ハァ

にこ「……明日になっても希が起きないようなら、いつまでも真姫の家にお世話になるわけにもいかないし……」

にこ「絵里に話して……一度私達も、会いに行きましょうか。」

真姫「うちは別にいいけど……でも、そうね、一度私も会いに行きたいわ。」

凛「凛も行きたい!」ポロポロ

花陽「私も……」

にこ「……じゃあ、そうしましょ。」



にこ(希……早く起きないと、あんたきっと、あんな姿……私達には見られたくないでしょ?)

にこ(………早く起きなさいよ。)
372 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:52:39.96 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

絵里「ありがとうございました……」


絵里「………」

『絵里ちゃん。』

絵里「……っ!、真姫のお父さん……」

『刑事さんとの話は終わった?少し…希ちゃんのことで、話したいことがあるんだけど……いいかな?』

絵里「………」

『絵里ちゃん…?』

絵里「……っ、はい…大丈夫です。」





ガチャ



絵里「…それで……話ってなんでしょうか。」

『希ちゃんなんだが…今日で意識が戻らなくて、1週間がたつ』

絵里「………っ、」

『親御さんとも…未だに連絡がつかない。会社によれば、どうやら紛争地域のかなり深部にいるらしい。』

絵里「希のお父さん……」

絵里「………」
373 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:53:45.69 ID:XpQb3fB6O
絵里「希は……希はいつ起きるんですか?もしかして何か……」

『…それは安心して。脳波は正常だから脳死はあり得ないし、植物状態とも違う……』

絵里「……っ、じゃあ……」

『………』

『……どちらかというと…ただ、眠ってるような、そんな感じ………かな。』

絵里「眠ってる……」

絵里「どうして、希は……」

『……すまない、はっきりとした原因がよくわからないんだ。元々脳死や植物状態になるような脳の兆候は見られなかったから、麻酔が抜ければいずれ眼が覚めるはずだった…』

『…正直今、希ちゃんがいつまで眠り続けるのか…いつ起きるのかがわからない。』

『……こんなこと言いたくないんだが、数年起きない可能性も…ある。』

絵里「………っ、」

絵里「そ…んな………」

『…………』

『……あのね、絵里ちゃんには…絵里ちゃんの人生がある。明日も学校がある。このままここにベッドを1つ多く置いておくのは構わないんだが、それでも………』
374 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:55:06.54 ID:XpQb3fB6O
絵里「………」

絵里「……何が言いたいんですか?」

『……絵里ちゃんは、そろそろ退院して学校に行った方がいい……火傷の経過も、良好だから。』

『希ちゃんのことは、僕達に……』

絵里「………っ、嫌です。」

『………っ、』

絵里「……我儘だとは、わかってるんです。ごめんなさい。」

絵里「……っ、でも!!私は希が目がさめるまで、一緒にいてあげたいんです。」

絵里「お願いします!!あと少し……あと少しだけ、待ってください。」

『………』

『わかったよ……でも、絵里ちゃんには絵里ちゃんの人生があることも……忘れないで。』

絵里「………っ、」

絵里「ありがとうございました…」


ガチャンッ



『…………』




タッタッタッタ……


絵里「希………っ」



375 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:56:18.02 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

ガチャッ

穂乃果「たっだいまー!」

海未「ただいま帰りました、ことり。」


ことり「おかえり、穂乃果ちゃん。海未ちゃん。一年生のみんなは帰ってきてるよ!それからにこちゃんの風邪も、やっと治って……」

穂乃果「にこちゃんが!良かったぁ。」

海未「随分長い風邪でしたからね、良かったです。」

ことり「あはは……」

ことり「………だからにこちゃん、明日からは学校行くって。私……」

穂乃果「ことりちゃんも行こう!!」

ことり「………っ、穂乃果ちゃん……」

海未「……マスコミなら、だいぶ数が減りました。もちろん私達も一緒に行くので……どうでしょうか。」

ことり「海未ちゃん……」

ことり「私……行っていいのかな、学校のみんな……どう思うかな……」

穂乃果「…っ、大丈夫だよっ!音ノ木のみんなは優しいし……」

穂乃果「……………たぶん……」

海未「穂乃果……」


ことり「………」
376 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:57:18.47 ID:XpQb3fB6O
『一度行ってみたらいいんじゃないかしら。』ガチャ

ことり「真姫ちゃんのお母さん……」

海未「一度行ってみる…とは、どういうことですか?」

『別に、そのままの意味よ?一度行ってみて、大丈夫そうならそのまま行けばいいし…何かあれば、途中で帰ってきてもいいじゃない。』

『転校とか…苗字を変えるとか、色々あるけど…全部行ってみて、ダメなら考えればいいんじゃないかしら。』

穂乃果「なるほど……」

穂乃果「……そうだよことりちゃん!難しく考えることなんてない、とりあえず行ってみればいいんだよ!」

ことり「穂乃果ちゃん……」

海未「…そうですね。ことりには私達二人も…他のメンバーも、ついてますから。何かあれば私達が何とかします。」

ことり「海未ちゃん……」

ことり「……そう…だね。二人とも…ありがとう。」

『ふふっ、じゃあそろそろご飯みたいだから。一年生のみんなは下でお皿並べたりしてくれてるの。』

穂乃果「わーごはん!穂乃果も手伝いに行くー!」タッタッタッタ…

海未「わっ、穂乃果!走ってはいけませんよ!」

ことり「あはは……」


海未「ことり……」

海未「私達も行きましょうか。」

ことり「うん……」
377 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 12:58:35.15 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

ガチャ


絵里「希……っ」



ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「希……」


コツ……コツ…コツ、


絵里「………」ストン

絵里「ねえ、希………」

絵里「………」


絵里「………ねえ、起きて。」ユサ…

絵里「もう…いくらなんでも寝坊が過ぎるわよ?そろそろ起きてよ……希。」ユサユサ



希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「希………」

絵里「………」

絵里「………ごめん…ね。私、いくらでも待つ…って、言ったのに。」

絵里「…けどね、やっぱり私は…希と一緒がいいの。希に…隣にいてほしいの。」

絵里「私だけ先に日常に戻るなんて…嫌なのよ。貴女が一緒じゃないと……」
378 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:00:22.02 ID:XpQb3fB6O
絵里「ねえ、希………」ユサ…



希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「………っ」ジワッ

絵里「希……希が起きたくないの、なんとなくわかるわ……もう、嫌になっちゃったのよね、一人でつらいことや…痛いことばっかりで。」

絵里「……ごめんね、私が……私が無理矢理、希のこと、生かしたから……希はずっと、もう無理だって……言っていたのに。」



希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「ごめんね………」


絵里「……っ、でも……私が責任、とるから。」

絵里「絶対もう…希が一人でつらい目になんてあわないように、私がずっと…一緒にいるから。守ってみせるから……だから、」

絵里「……ねえ、お願い………起きて。」ポロポロ



希「………」ヒュー…ヒュー…

ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……



絵里「のぞみ………」ポロポロ


絵里「…………」ポロポロ

絵里「………っ、ごめん、ね。急かすようなこと言って。希はまだ少し……眠いのよね。」ポロポロ

絵里「っ…ぐす……」ゴシ…

絵里「希………」


絵里「………」
379 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:01:38.04 ID:XpQb3fB6O
絵里「…今日はね、夕方にメールが来てたんだけど…にこ、やっと風邪が治ったみたい。」

絵里「随分長引いてて、心配してたから…良かったわ。」

絵里「それからね、隣町でお店をやってるおばあさまが、うちで暮らしてくれることになって…亜里沙、すごく喜んでる。」

絵里「毎日おばあさまの料理が食べられるー!って。ふふ、おばあさまの料理は、本当に美味しくて……」

絵里「…一度、おばあさまのお店に……希と食べに行ったことも、あったわね…懐かしい。」

絵里「また今度、一緒に食べに行きましょう?」



希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「希………」

絵里「…あっ、あと、さっき刑事さんが……私のスクールバック、持ってきてくれて……」

絵里「……ほら、これ。あそこに置きっぱなしになってたのね…すっかり忘れてた。」

絵里「私のスマホと…希のスマホも。戻ってきたわ。やっと真姫に代用機返せるわね……」

絵里「…ね、希……」



希「………」ヒュー…ヒュー…



絵里「……ほら、ここじゃ使えないけど…希のスマホのロック番号、私知ってるんだから……」

絵里「……ふふ、早く起きないと、検索履歴とか…色々。見ちゃうわよ〜?」

380 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:02:58.99 ID:XpQb3fB6O


希「………」ヒュー…ヒュー…


絵里「………」

絵里「希………」

絵里「………ふふ、冗談よ。安心して、そんなこと…しないから。希が起きるか…希のお父さんがここに来るまで、私…大切に預かっておくから。」


希「………」ヒュー…ヒュー…


絵里「………」

絵里「…それから、他には……」ゴソゴソ

絵里「………」ゴソ…

絵里「………、これ………」

絵里「にこから借りてた……希の、お守りね。」

絵里「ふふ…かわいい。希の手作りなんでしょう?結構年季が入ってるけど……」

絵里「………あら?中……何か入ってる。」


……………ピラッ


絵里「ぁ………」




『これを持ったあなたに、幸せがぎょーさん、訪れますように♡』




絵里「のぞみ………」ジワ…

絵里「……っ、…………」ポロポロ

絵里「う………ぐすっ………」ポロポロ

絵里「も………馬鹿………」ポロポロ
381 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:04:29.20 ID:XpQb3fB6O
絵里「いつも……そうやって……!」ポロポロ

絵里「人のこと…ばっかりなんだから……っ」ポロポロ

絵里「う………っ、うう………でも、ねえ…それなら……!」ポロポロ

絵里「ねえっ、私にも、叶えてよ……これ、貴女が作ったお守りでしょう?」ポロポロ

絵里「ねえ………、ねえ………っ」ポロポロ

絵里「お願い………!」ポロポロ


ギュッ………


絵里「お願い…………」ポロポロ











ピッ……ピッ……ピッ……ピッ……

希「………」ヒュー…ヒュー…





382 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:06:09.27 ID:XpQb3fB6O






絵里「…………」ポロ…

絵里「………、そう……よね………」

絵里「希、今までずーっと私のこと、幸せにしてくれてたんだもの……」

絵里「これ以上なんて……欲張り、よね………」






………………………………ギュ


絵里「…………っ、希………?」

絵里「希!!!のぞみっ!!」


希「……、う…………」

絵里「…っ!!!!」

絵里「だれか……っ、だれか………っ!!」

絵里「のぞみ………!希っ…………!!」

希「ん……う……」


ガチャッ


絵里「真姫のお父さん!!」

『…ここは集中治療室だからね、すぐ駆けつけられるようになってるんだよ。』

『東條さんー東條さんーわかりますか?』


希「……ん………え……?」

絵里「希……!のぞみ、わかる……?私よ、絵里よ!」

希「………え…………えり、ち………?」

絵里「希………!」ジワッ
383 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:07:57.43 ID:XpQb3fB6O
絵里「よかった……よかった…………!」ポロポロ

『………!良かった……』


希「…あ…れ………うち、なんで………」

絵里「大丈夫……もう、大丈夫だから……安心して………」ポロポロ

希「…えりち……?どうして泣いて………」

希「ど…して…………」

希「……………」

絵里「希………?」ポロポロ

希「……………」


希「………」







希「………っ、ぁ………」ビクッ

絵里「希!!大丈夫……大丈夫だから……」

希「はっ……はぁっ……はぁっ………」ガタガタ

希「…あ…………ああ……」ガタガタ


……ギュッ


絵里「大丈夫……もう、大丈夫だから……!」

希「やだ……や……あ………あ………」ガタガタ

希「けほっ……げほっ……はぁっ……あ……」ガタガタ
384 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:09:59.03 ID:XpQb3fB6O
絵里「希……大丈夫、大丈夫………」

希「…っ、なん……で………」ガタガタ

希「…あ………、え………ここって……」ガタガタ

希「…………っ、」ガタガタ

絵里「希………?」



希「……………だし、て……」ポロ…


絵里「え………?」

希「ここからだして!!だしてよ!!や……っ、やだ………虫はもう嫌……っ」ポロポロ

希「だして!!だしてぇえっ!!!」ジタバタ

『……っ、鎮静剤!はやく!!!』

絵里「希?!もう、ここは、虫なんて……っ」ギュ…

希「やだ……やだ……っ、はぁっ……はっ……」ガタガタ

希「嫌!!いる……いるよ、たくさん……」ポロポロ


希「水槽…閉じ込めて……また………」ポロポロ

希「も…無理だって……言ってるのに………」ポロポロ

希「やだ……やだっ、もう嫌……嫌………」ポロポロ

希「死なせて……嫌………やだ……」ガタガタ
385 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:12:51.51 ID:XpQb3fB6O
絵里「水槽……?」

絵里「どうして………」

絵里「………っ、この部屋……!」

『絵里ちゃんちょっと抑えててもらえる?鎮静剤、打つから……』

絵里「……っ、!はいっ」ギュ…

希「や、やめて……!?何して………っ」ジタバタ

『ごめんね希ちゃん、少し待ってね……』

希「や…だ……やだ、あ………あ………」ポロポロ

絵里「希……大丈夫、大丈夫だから……」

絵里「……真姫のお父さん!!希、ここから出せませんか?!」

『ここから……?』

絵里「この部屋、一部ガラス張りで…外から見えるようになってるのが、多分希は、ガラスケースに虫と閉じ込められた時と被って…!」

『………っ、なるほど。希ちゃん………』

希「はぁっ……は………」ガタガタ

『………わかった。酸素マスクももう大丈夫そうだから、外して……』

『…っ、誰か!急いで運ぶ準備して!!』

絵里「希……大丈夫、大丈夫………」ギュ…

希「は………は…………」ポロポロ
386 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:14:43.31 ID:XpQb3fB6O
『……効いてきたかな。』

『西木野先生、準備できました!!』

『よし、じゃあ出して!!』




ガチャッ

ガタガタッガタ……



希「は………は…………」ポロポロ

絵里「ほら、希……もう、出れたから。大丈夫でしょう……?」

希「は………は………」

希「……あ………、」

希「……………」

希「あ…れ………わたし、」


希「………っ、」

絵里「………希?」

希「あ……ああ………」

希「…っ、ごめん……ごめん、なさい……なんで……今…………」

希「なんで………」ポロ…

『大丈夫。絵里ちゃんと隣のベッド…用意してあるから。今日はゆっくり寝て、また明日考えよう?』

希「………」

絵里「そうよ、希……大丈夫。ちょっと寝起きで、気が動転しただけよ……」

希「えりち………」

希「………」
387 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:16:06.54 ID:XpQb3fB6O


ガタガタガタッガタ……


『……よし、ついた。絵里ちゃん、担架抑えててもらえるかな?…ありがとう。』



『せーのっ、よっ!』

ドサ…


希「…っ、ありがとうございます……」

希「………ごめん…なさい……訳わからない我儘言って……」

『…っ、大丈夫だよ、元々もうすぐここに移す予定だったんだから……』

『……少し、落ち着いたかな?』

希「えっと……はい………」ウト…

希「あの……でも、何が何だか……よくわからなくて……」ウトウト

絵里「…大丈夫、ここは病院よ。西木野総合病院。この人は真姫のお父さん。」

希「真姫ちゃんの…お父さん?」ウトウト

『…そう、だから安心して。今日はもう遅いし……明日、きちんと説明するから。』

希「……、わかりました……」ウトウト

絵里「希……?眠いの?」

希「う…ん……ちょっとだけ、」ウトウト

希「…、えりち……さっきはごめん…なぁ、変なとこ…見せちゃった……」ウトウト

絵里「希……別に、そんなのいいのよ。」ナデ…
388 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:17:12.37 ID:XpQb3fB6O
希「…………」ウトウト

希「ありが…とう……」



……コテッ


希「………」スー…スー…


絵里「希……?希……!」

『寝かせてあげて。ごめんね、説明してなかったけど…さっきの鎮静剤、かなり強い催眠作用があるんだ。』

絵里「そう…だったんですか。」

『個人差はあるけど8時間くらいでまた目が覚めると思う。もう今日は遅いし…明日の朝、もう一度…できたら落ち着いた状態で、ちゃんと説明しよう?』

絵里「はい……」

絵里「………あの、希の…今のって………」

『…………』

『………すまない、思い当たる病気がないわけじゃないんだが……精神分野は専門ではないから、明日か明後日にも…専門の医師に診てもらえるようにお願いしておくよ。』

絵里「……っ、わかりました……」

『…すまないね。今日は絵里ちゃんももう寝て……明日、希ちゃんも一緒にきちんと話そう。僕もこの後仕事があるから……』
389 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:18:08.36 ID:XpQb3fB6O
絵里「あ…すみません。引き止めてしまって…」

『いや、いいんだよ。それじゃあ、おやすみ。』

絵里「おやすみなさい……」



ガチャン


絵里「…………」

絵里「希………」

希「………」スー…スー…

絵里「………」

絵里「大丈夫……大丈夫よ、きっと寝起きで混乱してただけ……」

絵里「……もし何か病気でも、大丈夫。こんなに大きな病院だもの…絶対治るわ。私もずっと、そばにいるから……」

希「………」スー…スー…

絵里「希………」

絵里「………とりあえず…にこに連絡しておきましょうか。希の意識が戻ったわよ…って。」

絵里「ね、希……みんな貴女に会いたがってる。少し落ち着いたら、お見舞い…来てもらいましょうね。」


390 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:19:31.97 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

にこ「じゃーあんた達!そろそろ寝るわよ〜っ」

穂乃果「あーんにこちゃん待って!まだ宿題があっ」

海未「だからあれだけ早くやるように言ったんです、全く穂乃果は……」


ヴー ヴー ヴー


にこ「……!、絵里からLINEね。」スッ

にこ「………」スッ…スッ…


にこ「……、…っ!!!!」


にこ「………っ、」ジワッ



花陽「にこちゃん……?」

にこ「………」



にこ「……………ど……って。」ゴシ…

凛「えっ……?何かあったの……っ?!」




にこ「……っ、希!!!意識戻ったって!!!」




真姫「…っ、!ほんとにっ?!」

にこ「ええ…ほんとよ、今はまた眠ってるみたいだけど…もう集中治療室も出たって。希………」
391 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:20:55.87 ID:XpQb3fB6O
ことり「ほん……とに………」ジワ…

ことり「よかった……よかった……!」ポロポロ

花陽「希ちゃん……」ポロポロ

花陽「………よかった。」ポロポロ

凛「もーっにこちゃんが深刻そうな顔するからっ何事かと思ったにゃ!!」ポロポロ

凛「よかった……よかったぁ……!」ポロポロ

海未「よかったです…本当に……!」ジワ…

海未「この1週間、生きた心地がしませんでしたよ……希………」ポロポロ

穂乃果「希ちゃん……ぐすっ、」ゴシゴシ

穂乃果「…ねえっ!!会いに行こうよ!明日!!お見舞いに行こうよ!希ちゃんの!!」

凛「凛も凛も!!病院で焼肉は難しそうだけど、桃とかりんごとかっ!買って行きたいにゃ〜っ」


にこ「………」

穂乃果「にこちゃん……?」

にこ「……それなんだけど………お見舞いは、もう少し先になりそうよ。」

穂乃果「ふええっ、なんで……」

にこ「希……まだ混乱してて、何が何だかよくわかってないみたい。もうしばらく待ってって…絵里が。」
392 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 13:22:15.10 ID:XpQb3fB6O
花陽「……そっか。でも……そうだよね、目が覚めたら1週間も経ってて、集中治療室なんかで寝てたら…私だったら目が回っちゃうもん。」

凛「………ううん……そっか。早く希ちゃんに会いたかったなぁ…絵里ちゃん、ずるいにゃ。」

花陽「あはは…凛ちゃん。」

凛「……でも、もう意識が戻ったんだから…心配はいらないんだよね、いつでも…会えるよね!」

真姫「それは……そうだと思うけど。」

にこ「………」


ことり「………ねえ、にこちゃん。」

にこ「……?なによ。」

ことり「えっと……その、私ね、希ちゃんにも……謝りたいの。ちゃんと……」

ことり「……だけど希ちゃんが嫌だったら、もちろん自重するし…待ってってことなら、いくらでも待つから。だからえっと……絵里ちゃんに、聞いてもらえない…かな?」

にこ「ことり……」

にこ「……わかった。聞いておくわ。」

海未「…あの、希の意識が戻ったなら……もう急に、病院に呼ばれることもないんですよね。」

真姫「そうだと思うけど……」

海未「…それなら、これ以上真姫の家にお世話になり続けるわけにもいきませんし……そろそろ。」

にこ「…っ、そうね……明日からは、それぞれ自分の家に帰ったほうがよさそうね。」

にこ「ことりは……」

真姫「…ことりはひとまず、海未の家に移動するみたいよ。」
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