【ラブライブ】希「どうしてこんなことに…」理事長「ふふっ♪」

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193 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:21:41.17 ID:A+sg7CyRo
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亜里沙「お姉ちゃん、なにしてるの?」

絵里「…っ」ビクッ

絵里「あ…亜里沙……まだ起きていたの?」

亜里沙「ん……トイレで、起きて……」

亜里沙「……あれ、お姉ちゃん…包丁もって、どうしたの?」

絵里「あ……え、ええっと……その、ちょっとお腹すいちゃって、何か作ろうかなって……」


亜里沙「………」

亜里沙「ここ……2階だよ?台所……1階なのに……」

絵里「あ、え、えっと…それもそうね……あは、あはは……」

亜里沙「………」

絵里「亜里沙……?」


亜里沙「………」ギュッ


絵里「……!」

亜里沙「……なんか、よく…わからないけど……お姉ちゃん、危ないこと…しちゃ、だめだよ?」

絵里「亜里沙……」

絵里「ごめんね、私……」
194 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:22:25.36 ID:A+sg7CyRo
亜里沙「………」

亜里沙「ううん……」

絵里「………」


絵里「あ……っ、」

絵里「ねえ……亜里沙、私……明日、ことりの家に行くから。」

亜里沙「ことりさんち……?」

絵里「え、ええ……」

亜里沙「………」

亜里沙「うん……わかった。」


亜里沙「…ふふ、じゃあおやすみ……」

絵里「ええ、おやすみ……」


ガチャン



絵里(亜里沙……)



絵里(…ごめんね、何もないとは思うけど……一応、ね。)

195 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:23:34.24 ID:A+sg7CyRo
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理事長「……んんん、もう…朝なのね………」

理事長「準備に時間かかって、結局眠れなかったけれど……」

理事長「……ふふっ、でもこれで、絢瀬さんを招く準備はバッチリよ?東條さん。」


希「………」


理事長「……それじゃ、行ってくるわね。」

希「………」

理事長「ふふ…今日戻ってくるときは、絢瀬さんも一緒よ?ずっと会いたがっていたでしょ…私、知ってるのよ。」

希「………」

理事長「…楽しみにしていて、ね?」



ガチャ


バタン

196 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:25:07.03 ID:A+sg7CyRo
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ピンポーン
ピピピピピーンポーン


『はーい!今でるわ、今でるわよ!』


ガチャッ


絵里「……っ、にこ……!」

にこ「絵里……遅い………」ガタガタ

絵里「ごめんなさい……」


絵里(………ピンク色の帽子?これって……う)

にこ「ソフトクリームよ。」

絵里「え、ええ……」


にこ「………」

にこ「理事長…ずっと見張っといたわよ……」

絵里「えっ……今までずっと?!」

にこ「ええ……」ズルズル

にこ「今さっき学院に行ったから…帰ろうと思って。絵里の家…帰り道だから、報告がてら寄ったのよ。」ズル…

絵里「にこ……ありがとう。ほんとにありがとう…!」

絵里「ごめんなさい…寒かったでしょう……顔が赤いわ、にこ、熱が……」


にこ「………」ブルブル

にこ「……まぁ、これぐらい、寝てりゃ治るわよ……」ズルズル
197 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:25:42.43 ID:A+sg7CyRo
絵里「にこ……」

にこ「理事長だけど……昨日は学院から帰ったと思ったら、変な倉庫に篭りっぱなしで……一度だけ家に、お湯と洗面器とタオル取りに戻ってたけど…それ以外朝までずっと出てこなかったわ。」

絵里「そう…だったの……」


絵里(お湯と…洗面器と、タオル…?)

絵里(生き物の水槽でも洗うのか、それとも……)

絵里(………)


にこ「ええ……」フラ…

にこ「……じゃあにこは帰って寝るから。みんなによろしく言っといて。」フラフラ

絵里「え、あ、大丈夫?家まで送るわよ…!」

にこ「大丈夫よ…それよりあんたは、みんなのこと…希のこと……」


にこ「………頼んだから。」


にこ「それじゃあね……」フラフラ




絵里「にこ……」


絵里(あんなになるまで、見張ってくれてたのね…)

絵里(あとは私が、なんとかしないと……)

198 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:26:46.21 ID:A+sg7CyRo
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キーンコーンカーンコーン


穂乃果「帰ろー!海未ちゃんっ、ことりちゃん!」

海未「ええ、帰りましょう。」

ことり「………うん。」

穂乃果「あっ、校庭に凛ちゃん達がいる!おーいっ!凛ちゃーん!花陽ちゃーん!真姫ちゃーん!!」フリフリ



真姫「……??」

花陽「真姫ちゃん、上、上!」

凛「あっ、穂乃果ちゃんー!」フリフリ



穂乃果「3人揃って、どこいくのー!」



凛「にこちゃんが風邪引いたって聞いたから、これから3人でお見舞いに行くにゃー!」

真姫「全く…きっとお腹でも出して寝てたんだわ。」

花陽「あはは……それはないと思うけど…」



199 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:27:56.95 ID:A+sg7CyRo


穂乃果「えーっ、いいなー!ねえ、海未ちゃん、穂乃果達も…!」

海未「そんなに大勢で行くと、迷惑かもしれませんよ…にこ、結構高熱みたいなので。」

穂乃果「そっか…にこちゃん、大丈夫かなぁ。」

穂乃果「……じゃあ凛ちゃん!花陽ちゃん!真姫ちゃん!穂乃果達の分まで、にこちゃんのこと、頼んだよっ!」



凛「まっかせるにゃー!!」



穂乃果「ふふ……」フリフリ

海未「……?あそこに歩いているのは、絵里と理事長ですか……」

穂乃果「あっ、ほんとだ……ぅ絵里ちゃーん!!」フリフリ



穂乃果「うーん……ちょっと遠いね、気づかないなぁ。」


海未「…ことり、今日、絵里と理事長は……」

ことり「あっ…えっと、その……うちのお母さんが持ってるもので……絵里ちゃんが、受験勉強の参考にしたいって、見せてもらう約束、してるみたい。」

穂乃果「なるほど〜流石絵里ちゃん!そういえば三年生って、受験生なんだもんね……にこちゃんみてると、つい忘れちゃって。」

海未「………」

穂乃果「あはは……あれ、海未ちゃん?」

海未「……っ、なんですか?」

穂乃果「えっと……なんでもない、けど……」

穂乃果「…あははっ、帰ろっか。」


ことり「………うん。」

200 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:28:48.83 ID:A+sg7CyRo
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理事長「……という機器が今はあってね、そういう使い方をすると……」

絵里「な…なるほど………」

理事長「ふふっ、そうなの……でもなかなか定電流電源って手に入らないから…難しいとこではあるわね。」

絵里「そうなんですね……生物も物理も受験で使うので、ありがたいです。」

理事長「いいえ…ふふっ、私もこういう話ができて嬉しいわ。ことりは専ら文系だし。」


絵里(理事長とこうして廃校の件以外で話すのって、多分はじめてだけど……)


理事長「それでね、………」


絵里(話の内容はともかくとして……普通、よね。)


理事長「………っと、ついたわよ。私、家から鍵持ってくるから…少し待っていてくれる?」

絵里「はい。」


ガチャ


バタン


絵里(………)
201 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:29:42.56 ID:A+sg7CyRo
絵里(倉庫……)

絵里(あそこに…希が……)

絵里(……いや、期待はしない方がいいわね…)

絵里(でも……もしあそこにいないとなったら…もう思い当たるところもないし、また話がだいぶ振り出しの方に…)

絵里(………)

絵里(お願い、そこにいて……)



ガチャ


絵里「……!」

理事長「ふふ……取ってきたわよ。それじゃあ…」


理事長「………ふふふ、行きましょうか?」


絵里「……っ」ゾクッ

絵里(なに……いまの………)

絵里「は…はい。」

理事長「ふふ……」


絵里(気のせい…かしら)
202 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:30:36.92 ID:A+sg7CyRo
理事長「よいしょっと…じゃあ鍵、あげるわね……」カチャカチャ



理事長「………」カチャン


絵里「………!」


理事長「じゃあ…入るけど。絢瀬さん、本当に大丈夫…?」

絵里「……虫なら、生物の教科書にもたくさん載ってますし…大丈夫です。」

理事長「そう……なら、いいのだけど。普通の人にはちょっと、ショックが大きいような生き物が多いのよ…だから心配で。」


絵里「………」

絵里「……大丈夫です。」

理事長「ふふ…頼もしいわ。それならじゃあ、入りましょうか。」ガチャ…


絵里「………」


絵里「おじゃまします……」

理事長「ふふ…」


理事長「いらっしゃい。」




ガチャン

203 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/28(月) 20:52:08.20 ID:KfcKt208o
見てるよ

楽しみにしてる
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/11/28(月) 21:53:12.10 ID:5l+OMJeg0
期待
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/28(月) 21:59:44.71 ID:65z2AQT+O
読んでるだけで心折れそ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/28(月) 23:32:33.34 ID:nNRgERk2o
乙乙
待ってたわ
とりあえず今までのあらすじか
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 00:17:17.98 ID:d3n41/Z3O
何度荒らされてもラブライブ板でやってほしかった
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 00:23:25.38 ID:CWm7B03GO
>>207
あんな管理者も居ない無法地帯で続ける意味なんてないだろ
209 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/29(火) 02:56:20.52 ID:nSoD7sHUo
>>207
ほんとはそうしたかった
でも何度も立て直されるより移動してほしいって意見が多くてさ

ただ、今こうして貼り直してるけどこの作業が想像以上にめんどくてもうどうしようかなと
反感買うかもしれんけど、むこうで完結まで立て直してやりつつこっちで清書してく感じにするかも
あのままだと埋めで読みづらいし

ちょっと考えるわ
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 03:59:26.93 ID:x5oU77qC0
今までもいくつか向こうで荒らされてこっちで完結したssあった
頑張ってくれ
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 03:59:29.89 ID:4TStUi6eo
そのやり方ならしたらばでもいいんじゃない?
落としたいときに落とせるし読者のレスも減らないと思うよ
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 05:36:50.59 ID:SuEOMc8BO
いずれにせよ完結まで見届けたい
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 08:39:27.86 ID:097TXT12O
>>209
反感なんて無い無い
好きなようにやりたいようにやればいいさ
完結まで頑張って
214 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/29(火) 14:45:07.01 ID:nSoD7sHUo
ありがとう
そう言ってもらえると気が楽だ
ちょっとまだどうするかわかんないけど、ひとまず考えつつ貼ってく
215 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:47:50.56 ID:nSoD7sHUo
−−−
−−


コツ…コツ、コツ…

絵里(薄暗い……じめじめしてる……)

絵里「……っ」ガタガタ

絵里「あ…あの、電気はつけないんですか?」

理事長「電気はね…こういう虫って、暗いところの方が安心できるのよ。卓上電気はつけてるし、床も片付けておいたから…転んだりはしないでしょう?」

絵里「そ、う……ですね………」


絵里(確かに綺麗に片付いてる……それにここ、ソファベッドや冷蔵庫まであるのね…)

絵里(にこが朝までここに篭りっぱなしだって言っていたし……ここを朝まで片付けていたのか、またはここで寝たのか……)

絵里(………)


理事長「…ふふっ、それでこっちが多足類で……こっちがクモ類。それからそっちが……」

絵里「へ、へえ……そうなんですね……」ガタガタ

絵里(確かにこれは…普通の人にはショックが大きいわね……)
216 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:49:13.86 ID:nSoD7sHUo
理事長「このゴキブリがね……」

絵里「あはは……」


絵里(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い)


理事長「それでこの大きな蜘蛛が、天敵で…」

絵里「お、大きいですね…」


絵里(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!)


理事長「……なのよ。」

絵里「な……なるほど。勉強になります……」ガタガタ

理事長「大体こんな感じかしらね……」

絵里「………あ…あの!この倉庫、地下もあるんですよね……?」

理事長「あら……よく知ってるわね、ことりから聞いたの?」

絵里「ええ…まぁ……ことりが、最近お母さんが素敵な生き物を手に入れたらしくて、ここに篭りっぱなしだって…言っていて。」

絵里「その生き物……まだ紹介、してもらってないので……もしかして地下にいるのかな……なんて。」

理事長「ふふっ、そうねえ……」

絵里「………」


理事長「……いいわよ、見る?でも、ここにいる生き物より多分…ショックが大きいわよ。」

絵里(ここより、ショックが大きい……)
217 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:50:38.75 ID:nSoD7sHUo
理事長「あぁ、その……ほら、絢瀬さん、さっきから震えてるから……実はこういうの、結構苦手なんじゃないかって……ね?」

絵里「あ、ああ……そういうことですか。」

絵里「大丈夫です……その、私少し暗いのが苦手で……虫に関しては、それほど……」

理事長「あら、そうだったの…気づかなくてごめんなさい。でもそれなら良かったわ。地下は電気、ちゃんとつけてるから。」

絵里「そ…それならよかったです……」

理事長「ふふ…じゃあ行きましょうか。」

絵里「はい!」




コツ…コツ…コツ…


絵里(結構下るわね……)


コツ…コツ…コツ…


絵里(この先にいるのは…気味の悪い生き物か、それとも希か……)


コツ…コツ…コツ…


絵里(これだけスムーズに入れてくれるあたり…おそらくは前者…なんでしょうけど、でも…)


コツ…コツ…コツ…コツ


絵里(お願い…希、そこにいて……!)


理事長「ふふ…着いたわね。じゃあ、開けるわよ?」

絵里「はい……!」








ガチャ…








218 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:51:55.00 ID:nSoD7sHUo










絵里「………えっ」










219 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:53:18.10 ID:nSoD7sHUo
絵里「………」

絵里「の……ぞみ………?」



絵里「希……っ?!」タッタッタ…



絵里「希………ねえ、希………!」

絵里「希なのよね?ねえ、希!希!!」ユサユサ

絵里「希!!!!のぞみっ!!!!」ユサユサッ


絵里「ねえ、絵里よ!!絵里!!!ねえ………希ったら!!!」

絵里「返事して!!!お願いだからっ!!」

絵里「のぞみっ!!!!」

絵里「のぞ………けほっ、けほ……」




絵里「はぁっ……はぁっ………」ジワ…

絵里「……のぞ……み…………?」ポロ…




絵里「………っ」ポロポロ



220 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:54:42.68 ID:nSoD7sHUo


絵里「……な……によ…これ…………」ポロポロ

絵里「……………なんで………」ポロポロ

絵里「どうして……こんな………っ」ポロポロ



理事長「………ふふっ、」


絵里「………っ、!!!」ポロポロ


絵里「理事長!これ、理事長が……っ?!」ポロポロ

絵里「どういうこと……、どういうことよ!!!」ポロポロ

絵里「希に何をしたの………っねえっ!!」ポロポロ

絵里「希に何をしたのよ!!!!」ポロポロ


理事長「ふふっ…ふふふ……あははっ……ふふっ………」


理事長「ふふ………いいわ、絢瀬さん。東條さんには劣るけど……その表情、なかなかいいわよ?」

絵里「なに……言って…………っ」ポロポロ

理事長「ふふふ…東條さんとはね、ちょーっと一緒に遊んだだけよ……ふふ。」

絵里「ふざけないで……ふざけないで!!!」ポロポロ
221 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:56:07.47 ID:nSoD7sHUo
理事長「ふふ…どうしても教えて欲しいなら、教えてあげるわよ?でもそうね…上で見た生き物よりは、かなりショックが大きいでしょうね…ふふっ」


絵里「なに……よ、それ…………」ポロポロ

絵里「………っ、」ポロポロ

絵里「警察に………っ」スッ


理事長「あら…警察に電話する?別にいいけど…できるかしら。」

絵里「圏外……」

絵里「………っ」スクッ


理事長「……上に上がって、助けを呼びに行く?ふふ……東條さんを置いて?」

絵里「貴女をなんとかすればいいんでしょ、それくらい……っ」スッ

理事長「あら…包丁なんて、物騒なもの……」


絵里「………っ、!!!」ヒュッ

理事長「………っく、」スッ

絵里「………っこの!!!」ヒュッ

理事長「…っ、危ないわね……!」クッ



バリバリバリッ!!



絵里「ゔぐっ………っ?!?!」

絵里「…………っ、」フラ…



……キンッ…





ドサッ


理事長「……っ、はぁ……はぁ……」
222 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:57:50.99 ID:nSoD7sHUo
理事長「ふふ…随分あっさりね………頭に血がのぼった?」

絵里「………っ、………?!」

理事長「あっはは……全く、なんで包丁なんて選んだのよ…馬鹿ね、そういうのは本気で殺すつもりで来ないと当たらないわ。」グイッ


絵里「……っ」


理事長「…ふふ、体が動かない?今のはね、簡易式のスタンガン……」ズル…ズル

理事長「よく小説なんかでスタンガンで意識を飛ばしてるけど、あれは嘘……せいぜい3分程度動きを止められるってだけよ。」ズル…ズル

理事長「…ふふ、でも今は、3分もあれば十分。」ドサッ

理事長「ふふふ……」


カチャッ


絵里「………っ、」

理事長「その足枷……東條さんとお揃いよ。嬉しいでしょう?まぁ絢瀬さんの方がかなり短くて、東條さんの方がかなりお金がかかってるのだけど。」

絵里「……っ、……っ」

理事長「まだ体が動かない…?じゃあスマホが圏外だったネタバラシ。今この部屋はね、妨害電波が流れてるのよ…ふふ。」
223 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 14:58:59.53 ID:nSoD7sHUo
絵里「……っう………!」

理事長「…そろそろ動くかしら。妨害電波ってね、よく映画とかで学校丸ごと妨害したり…島を丸ごと妨害したりしてるけど、あれも嘘ね。ある程度密室じゃないと使えないの。」

理事長「…でも、逆に密室限定でならかなり普及してるのよ。映画館とか、中国ではカンニング防止で使われたり……」

理事長「ふふ、ためになるでしょう?受験に出るかもしれないわね?ふふ、うふふ……」


絵里「………っ、そんなこと…どうでもいいわよ……!!」


理事長「ああ…そうね……そうよね、東條さんにしたことを聞きたいんだったかしら。」

絵里「………っ、」グ…

理事長「あら……そろそろ体も動きそうね。それじゃあ少し、離れましょうか……」


絵里(……っ、動く………!)

絵里「……っ」ダッ



ガチャン!


絵里「………っ、く……」ガチャ…ガチャ

理事長「ふふ…言ったでしょ?かなり短いって。でも隣で横になってる東條さんには届く長さよ。親切でしょう?」
224 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:00:08.92 ID:nSoD7sHUo
絵里「……っ、どうして…こんなこと………!」


絵里「希……のぞみ、ねえ、しっかりして……!!」

絵里「希………っなんで………」ジワ…

絵里「なんで……こんな………酷い………」ポロポロ


絵里「のぞみ……のぞみ………っ」ポロポロ

絵里「なんで……っ、なんでこんな………っ」ポロポロ



理事長「ふふっ……ふふふ、」

理事長「私も困ってるのよ……東條さん、一昨日まではすっごくいい顔してくれてたのに…こんな風に、動かなくなってしまって。」

絵里「貴女がしたんでしょうっ?!!」ポロポロ

理事長「ふふ…ええ、そうね。私がしたの。」

理事長「髪がそんな色になったのも…足がそんなになってるのも、身体中の火傷も……」

理事長「ふふっ、明らかに意識はあるのに、こんな風になってしまってるのも……全部私がやったのよ?」

絵里「………っ、」ポロポロ


絵里「………なんでっ、」ポロポロ

絵里「なんでこんなことするのよ……!」ポロポロ

絵里「希が貴女に……何をしたっていうの!!」ポロポロ


理事長「……、なんでって………」
225 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:01:48.90 ID:nSoD7sHUo
理事長「……ふふ、別に理由なんてないわよ?東條さんに何かされたわけでもない。むしろ彼女は、いつも喧嘩腰だった貴女と私の間に入ってくれて…助かっていたわ。」

絵里「…っ、そうね……そうよね、じゃあどうして………!」ポロポロ

理事長「……そんなの、私にもよくわからないわ。でも……やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じに始まるんじゃなかったかしら?うふふ。」

絵里「ふざけないで!!!」ポロポロ

理事長「ふざけてなんかいないわよ。事実そうなんだもの。特に理由なんてない、東條さんの恐怖に歪んだ顔が見たかっただけ。」

絵里「………っ、」ポロポロ


絵里「…………そんな……そんなの………」ポロポロ

絵里「狂ってる………っ」ポロポロ


理事長「ふふ…そうね。狂ってるのかもしれないわね。…でも、今の東條さんほどではないわね?ふふっ」

絵里「………っ」ポロポロ

絵里「希………」ポロポロ


絵里「ごめん……ごめんね……」ギュッ
226 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:03:05.47 ID:nSoD7sHUo
絵里「もっと早く…来れたはずなのに………」ポロポロ

絵里「今だってもっとちゃんとしてれば……すぐに病院に行けたのに……っ」ポロポロ

絵里「私が…私がこんなだから………」ポロポロ

絵里「……っ、ぐす……ごめんね……」ポロポロ


絵里「ごめん…ね………っ」ポロポロ

絵里「う………っ………ぐ……ぐすっ…」ポロポロ

絵里「希………」ギュ…


理事長「ふふ……でも東條さん…本当に元に戻らないわね。昨日色々試したけど駄目で………絢瀬さんを見たら、もしかしたらって思ったんだけど。」

絵里「………っ」ポロポロ

絵里「すぐ……すぐ病院に連れてくわ。貴女が何をしたのか知らないけど、きちんと診て貰えば、まだ、生きてるんだから………っ」ポロポロ

理事長「ふふ…そうね、そうだといいわね?まぁもう元に戻すのは難しいと思うけれど…でも生きていれば可能性はあるわね。ふふっ。」

理事長「だけど…ねえ、ここから生きて出られるかしら?東條さん。」

絵里「どういうこと……私がこれ以上、希に何もさせないわよ……!!!」ポロポロ
227 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:04:31.93 ID:nSoD7sHUo
理事長「へえ……それは頼もしいわね?ふふ……本当かしら。」

絵里「………っ、」ポロポロ


絵里「大体…すぐに捕まるわ。私がここに来ていることは、ことりだって知ってる……亜里沙にも伝えてあるわ。諦めて今すぐ……っ」ポロポロ

理事長「あっははっ…絢瀬さんって、本当に絢瀬さんよね。ふふ…面白いわ。」

理事長「あのねぇ…捕まるのを恐れていたら、こんなことするわけないでしょう?そんなの既に想定済みよ。……でも、捕まるまでにはほら…ふふっ、まだ結構時間がありそうね?」

絵里「………っ」ポロポロ


理事長「…まぁ私だって、できれば捕まりたくないの。飛行機のチケットはとってあるわ。」

理事長「それに……ふふっ、ことりはきっと、わかっても通報なんてしないの。むしろもしかしたら、既にわかってるのかもしれない。」

理事長「あの子ね…私のこと、大好きだから。夫とは離婚してるし…私がいなくなったら、独りぼっちになっちゃうもの。」

絵里「……っ、でも、亜里沙が……!」ポロポロ

理事長「そうねえ…亜里沙ちゃんが気づくのはいつかしら?だいぶ遅いでしょうね?警察が来る前に二人で楽しんで……それから、ね?」

理事長「……ふふっ、とりあえず東條さんにしたこと……そうね、そんなに時間はないからゆっくりと…とはいかないけど。教えてあげるわ。」


絵里「………っ、 」ポロポロ

絵里(亜里沙が気づくのは…確かに恐らく深夜とかになって、はじめて)

絵里(あとはことり……)



絵里(ことり………)

絵里(お願い……………)



絵里(ことり………!!)



228 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:06:00.40 ID:nSoD7sHUo
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穂乃果「それじゃっ、ことりちゃん…また明日ね!」

ことり「うん………」

海未「ことり、また明日会いましょう。」

ことり「うん……また明日、ね。」



ガチャン


穂乃果「………」

海未「………」


穂乃果「ことりちゃん……元気ないね。」

海未「そう……ですね、やっぱり……」


穂乃果「………、…ねえ海未ちゃん。穂乃果ね、こないだことりちゃんが聞いてきたこと…ちゃんと考えてみたの。」

海未「穂乃果……」

海未「私もです。私もあれから…ずっと考えて……それで………」

穂乃果「ふふっ、ねえ、海未ちゃん……この後空いてる?」

海未「え、ええ……」

穂乃果「穂乃果のうちで、答え合わせ…しよっか。」

海未「………!穂乃果………」

海未「そう…ですね。何かことりの役に立てるかもしれません……」

穂乃果「…ふふっ、じゃあ行こ!れっつごー!」グイグイ

海未「ほ、穂乃果…もう、走らなくても穂むらはすぐそこですよ。」


タッタッタ……


229 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:07:15.47 ID:nSoD7sHUo
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ガチャン

ことり「………」


ことり(今頃……あの倉庫に、絵里ちゃんが……)

ことり「大丈夫…だよね。」


ことり(これでお母さんが何もしてないって、普通に趣味に没頭してただけだって…わかるんだから)

ことり「大丈夫……大丈夫……」


ことり「そうだ…!」


ことり(お母さん…帰ってきたら、少しでも疑っちゃったこと…ちゃんと謝って)

ことり(それから前みたいに…二人で一緒に、チーズケーキが食べたいな)


ことり「ふふ……そうと決まれば、急いで作らなくちゃ………」

ことり「エプロンエプロン…………あっ、」

ことり(これ………)


ことり「………」スッ

ことり「……懐かしいな、アルバム…………」

ことり「………」ペラッ


ことり(………)

ことり(……5歳、くらいかな)
230 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:08:18.89 ID:nSoD7sHUo
ことり(穂乃果ちゃんと…穂乃果ちゃんのお母さんと、お父さんと……)

ことり(…それから私と、お母さん……)

ことり「……ふふっ」


ことり(……お父さんが出てっちゃって………それからずっと、一人で育ててくれて……)

ことり「………」ペラッ

ことり(留学の時も……あれだけ大騒ぎしちゃって、結局行かなくて……たくさん迷惑かけたのに)

ことり(もちろん叱られはしたけど……ことりが本当にやりたいことがそれならって、許してくれた。)

ことり「………」ペラッ


ことり(お母さん……)

ことり「………」


ことり「………」ペラッ

ことり「あ、海未ちゃんだ……」


ことり(ふふ、そうそう…海未ちゃんは越してきて……初めは恥ずかしがり屋さんで)

ことり(あれ……それは今もか……なんて言ったら、怒られちゃうかな……)

ことり「ふふ……」バフッ


ことり「………」ペラッ



ことり「………」ペラッ





231 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:09:32.33 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−


理事長「………まぁ、そんな感じかしら……」

理事長「大変だったのよ?目を離せば死のうとするし。舌は噛むし。」

理事長「おまけに一度なんて、巻き添えみたいに殺されかけたんだから……ほら、包帯とると……まだ跡が残ってる。」スルスル


理事長「………」

理事長「………ねえ、聞いてるの?」



絵里「…………」

理事長「まさか絢瀬さん、話聞いただけで東條さんみたいに………」

絵里「…………」

理事長「……なんて、ふふっ…そんなこと、あるわけないか……」


絵里「…………」ポロ…


絵里「………っ」ポロポロ

理事長「あらら……泣いてるの?ふふふ……」


絵里「……な…………こ………」ポロポロ

理事長「え、何………?」

絵里「なんで……そんなこと…………っ!!」ポロポロ

理事長「ふふ………」
232 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:10:57.27 ID:nSoD7sHUo
絵里「はっ……はっ……はぁっ、は………」ポロポロ

絵里「……けほっ、ゔ………けほっ、けほっ………」ポロポロ


絵里「じゃあ、このガムテープって………!」ポロポロ


理事長「ああ……そうよ、だってムカデが出てきたら困るじゃない?」

絵里「むか……で………」ポロポロ

絵里「ぅ………げほっ……ゔぅ……かはっ、げほっげほっ……」ポロポロ


理事長「ええ……ちょっと、吐かないでくれる?もう…汚いわね…これ、洗面器とタオル……自分でなんとかしてくれる?」シュッ


絵里「ぅ"………うゔ………かはっ……」ポロポロ

絵里「はぁ………はぁ…………」ポロポロ


理事長「ふふふ……」

絵里「許さない…………」ポロポロ

理事長「うふふ……なあに?」


絵里「許さない………!!」ポロポロ


理事長「ふふ……いいわね、それ。じゃあどうする?」


絵里「絶対……警察に突き出して………」ポロポロ

絵里「罪を償ってもらうから………!!」ポロポロ


理事長「あはは……案外甘いのね?東條さん、もうきっと元には戻らないわよ?殺されたようなものなのに……」
233 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:12:00.79 ID:nSoD7sHUo
理事長「てっきり東條さんにしたのと同じこと、私にする……くらい言うと思ったわ。」

絵里「本当はそうしてやりたいわよ………!!けど……っ」ポロポロ

絵里「希は優しいから…そんなこときっと望まない……私は貴女みたいにはならない……希はまだ死んでない!!」ポロポロ

絵里「希……………」ポロポロ


絵里「希……私、間違ってるかしら……希なら多分、そう言うかなって………そう思って……」ポロポロ

絵里「ねえ、教えて……貴女の意見が聞きたいの。」ポロポロ

絵里「のぞみ………」ポロポロ



ギュッ…



絵里「ぅ……えぐっ…………う………う……」ポロポロ

絵里「ごめんね……ほん…とに………ぐすっ」ポロポロ

絵里「本当にごめんね………」ポロポロ


絵里「私がもっと早く来てれば……もっと早く…気づいていたら………」ポロポロ

絵里「こんな……こんなことには……っ、…ならなかったのに………」ポロポロ

絵里「う………うう………けほっ……のぞみ…………」ポロポロ


絵里「痛かったよね……怖かったよね、辛かったでしょ………」ポロポロ

絵里「自分で…死のうと……する…なんて………」ポロポロ

絵里「………そんな…こと……しようとするなんて………」ポロポロ
234 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:13:50.14 ID:nSoD7sHUo
絵里「こんな……こんな…になる、まで………どれだけ怖かったか……どれだけ、痛かったか………」ポロポロ

絵里「う……ぅあ………ぐすっ、ごめん…ね……希だけに、こんなの……押しつけて……ごめん、ね………」ポロポロ

絵里「μ'sのこと……私のこと……守ってくれて、ありがとう………」ポロポロ


絵里「う……ぐすっ………けほ………」ポロポロ

絵里「……っ、う………うう………」ポロポロ


絵里「…けほっ、けほ……でも……でも…ね、μ'sは9人で…μ'sだから………貴女がいないと、ダメなのよ………」ポロポロ

絵里「一人も…欠けちゃ、だめでしょ……?」ポロポロ

絵里「ねえ……そう…、でしょ?ううん…そうなの……!」ポロポロ

絵里「……9人いなきゃ、希がいなきゃ……!だめ…なのよ……」ポロポロ

絵里「ねえ……希…………!」ポロポロ


絵里「う………ぐすっ………う…………」ポロポロ

絵里「お願い……貴女の声が聞きたいの………」ポロポロ

絵里「希………」ポロポロ


絵里「希………!」ポロポロ


絵里「希ったら……ねえ、希………!」ポロポロ

絵里「ぅ……ぐす………お願い……お願い………」ポロポロ

絵里「のぞみ………!」ポロポロ

絵里「返事してよ………希…………」ポロポロ



絵里「う………うう……けほっ……ぐすっ……うううう………」ポロポロ



理事長「ふふふ………」
235 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:15:11.82 ID:nSoD7sHUo
絵里「………っ、」ポロポロ


理事長「………だめそうね。絢瀬さんなら治せるかなって、思ってたんだけれど。」

絵里「治るわ……ぜったい治るわよ……少し時間が必要なだけ……」ポロポロ

絵里「……私が治すわよ………ここから出て……!!絶対!!!」ポロポロ

理事長「ふふ…強気ね?ここから出る、何か算段でもあるの?」

絵里「………っ、それは………」ポロポロ


理事長「あはは……馬鹿ね。敵陣に乗り込むときに、どうして作戦をきちんと練ってこないのよ……どうしてきちんと覚悟してこないのよ。」

理事長「ふふ…それともアレかしら、なんだかんだ、ここにいるのは全然別の生き物だとでも思ってた?」

絵里「………っ、」ポロポロ


理事長「あはは……そうなのね。まぁ理事長だし…ことりの母親なんだし、そう思うのも当然……か。」

理事長「ふふ…じゃあそろそろ時間もないし……次の段階に行きましょうか?」

絵里「次の段階……?」ポロポロ



カチッ


絵里「い"っ?!?!」パッ


バリバリッ…バリッ……ジジ……ッ


希「………っ、ぁ………っ」ガクガクガクガク
236 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:16:45.04 ID:nSoD7sHUo
絵里「希!!希?!」ソッ


バチッ


絵里「痛っ!!」

絵里「何……なんで……なんでっ!!」ポロポロ

絵里「何してるのよ!!!止めて!!!」ポロポロ


理事長「ふふ…嫌よ。」

絵里「どういうこと……どこから………!!?」

絵里「……っ、足枷………!」

理事長「ふふふ…気づくのが遅いわよ。東條さんの足枷の方が、お金がかかってるって言ったでしょう…?」

理事長「…ほら、コードが出てて…こっちまで繋がってるんだから。後はどういうことがわかるわね?」

絵里「………っ、」


絵里「……っ、ぐ………っ!」グイ……

理事長「あぁ…確かにコードを切ればいい話よ?でもね、それは切れない……たとえ包丁でも切れないはずよ。そこを切れないように加工して、足枷に細工するので…今日私、寝てないんだから。」

絵里「……っ、く、はぁ…っ、はぁ…っ」


希「……っ、かはっ………」ガクガクガクガク


絵里「希!!希っ!!!」ポロポロ

絵里「お願い止めて!!!なんでもするから……止めて!!!止めてよ!!!!」ポロポロ
237 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:17:38.74 ID:nSoD7sHUo
理事長「えー…、どうしようかしら?」

絵里「お願いだから!!!」ポロポロ

理事長「ふふっ、仕方ないわね…はじめだから一回だけ、サービスよ?」


カチッ


希「……っ、けはっ……は………」ガクガク

絵里「希………!」

絵里「のぞみ……のぞみ……」ポロポロ

絵里「ごめん……ごめんね……また、私………」ポロポロ

絵里「私………」ポロポロ

絵里「………っ、」ポロポロ


理事長「ふふ……あぁ、そうだ……説明せずに始めちゃったわね。」

絵里「なによ………」ポロポロ

理事長「あのね…東條さんの足枷から流れてる電流、20mAあるの。」

絵里「20mA………?」ポロポロ

理事長「そう……いくら物理の勉強をしていても、これの危険さなんて…わからないかしら。」


理事長「ふふ……あのね、絢瀬さん。人は5mAから痛みを感じて、10mAからは耐え難い引きつけを感じる……それでね、20mAからは筋肉の収縮、呼吸困難………」

理事長「……まぁ簡単に言うとね、20mAって電流は…長く流し続ければ、人が死ぬ大きさの電流なのよ。」

絵里「………っ、それって………」ポロポロ
238 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:18:44.70 ID:nSoD7sHUo
理事長「ふふ……東條さん、もう壊れちゃってるし……つまらないから、おしまいに…」


絵里「やめて!!!!」ポロポロ


理事長「……っ、うるさいわね……嫌よ、やめないわ。」

絵里「………っ、」ポロポロ

絵里「……なん……で………っ」ポロポロ


理事長「…でも東條さんも可哀想ね?ここまでたくさん痛い思いをしてきたのに…気が確かじゃないとはいえ、最後にそんな殺し方されるんだもの……」

理事長「……絢瀬さん、さっき東條さんに触ったでしょう?あれが一瞬じゃないのよ……ふふ、うふふ。」

絵里「やめて………」ポロポロ

絵里「お願い……お願いだから………」ポロポロ

絵里「なんでもするから……お願いだから………」ポロポロ


絵里「……う……っ、ぐす………うう……」ポロポロ

絵里「希………」ポロポロ

絵里「ねえ、希………っ」ポロポロ

絵里「…のぞみ…………」ポロポロ


理事長「ふふ……ねえ、そろそろ始めてもいいかしら?」

絵里「嫌………っ!」ポロポロ
239 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:19:45.02 ID:nSoD7sHUo
絵里「なんで……なんでよ………」ポロポロ

絵里「こんなの………酷すぎる……っ」ポロポロ

理事長「ふふふ…その顔、なかなか素敵よ…絢瀬さん。でも、ねえ……」

絵里「………っ」ポロポロ


理事長「……ふふっ、じゃあ再開するわね?」


絵里「待って………!」ポロポロ


理事長「………何かしら。手短に話してちょうだい。」

絵里「………」ポロポロ

絵里「私が………」ポロポロ

絵里「私が代わるわよ………」ポロポロ

理事長「ふふ、代わりたいの?何に?」

絵里「私が希の代わりに、なんでも受けるわよ……!!だから希には………っ」ポロ…

理事長「ふふっ…なるほどねぇ……」



理事長「……駄目よ、そんなの。」



絵里「えっ……」

理事長「ふふ…その要求、通ると思った?今なら自分の方が、東條さんよりいい反応ができるから。」

絵里「………っ、」

理事長「あははっ、甘いわね……悪いけどここはね、そんなに甘いところじゃないの。」
240 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:20:47.54 ID:nSoD7sHUo
理事長「………でも、私も鬼ではないわ。」シュッ


……キンッ…



絵里「これ………」

理事長「ふふ…貴女が持ってきた包丁よ?ちょうど良かったわ…ふふふ」

理事長「それで東條さんのこと…殺してあげたらいいじゃない。」

絵里「………っ、何……言ってるのよ………!」


理事長「何って、親切で言ってあげてるのよ?ここまでずっと痛い思いをしてきた東條さん…最後まで痛くてつらい中死ぬなんて、可哀想じゃない。」

理事長「ふふ……だから絢瀬さんが殺してあげたらいいと思うの。心臓をひとつきでも、喉を掻っ切るんでも……少なくともこのまま電気で死ぬよりは楽だと思うわよ?」

絵里「そんなこと…っ、そんなこと、私がするわけないじゃない……!!」

理事長「………そう。ふふっ、それならそれでも、いいんだけど………」

理事長「じゃあ、再開するわね?」

絵里「待っ……!」


カチッ


バ……ッバリッ……ジジ………ジッ


希「ぁ………っ、…………っ」ガクガクガクガク

絵里「希!!」

絵里「止めて!!!止めてよ!!!!」ポロポロ

理事長「ふふ……どうしようかしら。それが人に物を頼む態度?」

絵里「………っ、止めてください!!お願いします、止めてください!!!!」ポロポロ
241 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:21:59.65 ID:nSoD7sHUo
理事長「あっはは……こういうのもなかなかいいわね。じゃあ、そうねえ……」シュッ

絵里「………っ、」パシッ


絵里「なに……これ………」ポロポロ

理事長「ふふ…さっき貴女に流した簡易式スタンガン。これ…自分に10秒間通電するたびに、東條さんの電源…1分間切ってあげる。」

絵里「………っ、10秒間って、体が動かなくなったら……」ポロポロ

理事長「あぁ……その辺は電圧を調整してあるから大丈夫よ。火傷はすると思うけど、体が動かなくなることはないわ。10秒程度なら命に影響もしないはず。」

絵里「………っ、わかったわよ……その代わり、ちゃんとやったら希のを……っ!」ポロポロ

理事長「ええ、約束は守るわよ?ふふっ…」


希「………っ、はっ……ぁ………」ガクガクガクガク

絵里「希っ、すぐ終わらせるから……もう少しだけ……待ってて…!」ポロポロ

絵里「………っ」カチッ


バリバリッバリ………ジジ……ッ


絵里(普通なら目立たない、太ももとか…足の方だけど……)

絵里(……でも、いざというとき足がやられてちゃ、希を連れて逃げれない………っ)

絵里「………っ、」グッ


ジジッ……ジ……ッ

絵里「ぅ"………ぁっ……ぁあっ……あああっ」ジュ…ッ

理事長「ふふ……左腕にしたの…?面白いわね……8……7……」

絵里「ぐ………っく………………」ジジ…ジ…


絵里「ぅ………かはっ」パッ


理事長「5………だめじゃない、ふふ…やっぱり口だけね?」
242 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:24:12.25 ID:nSoD7sHUo
絵里「はぁっ……はぁっ………」ガタガタ

理事長「……東條さん、死んじゃうわよ?ふふっ」

絵里「待って……!もう一度………!」ポロポロ


カチッ


ジジジ………ッ

絵里「………っ、」グッ


絵里「っく………ぅ"……うう…………」ジュウ……


理事長「5……4………」


絵里「ぅ"……ぁ…………うぐ……っ」ジュ…ジジッ


理事長「2……1……0」


カチッ/カチッ


絵里「………っはぁっ、はぁっ……希!」ポロポロ

希「………っ、は………はっ……けほっ……」


理事長「ふふ…これで1分間ね。」

絵里「………っ、」ポロポロ


絵里(これで……1分………)

絵里(ことりか亜里沙が気づいて行動してくれるまで……あと、どれくらい……?)

絵里(深夜としたら……今はまだ4時か…5時くらいだから………)

絵里「………っ、」ゾクッ


絵里「そ…んなに………」ポロポロ

希「は………はっ………」

絵里「………っ」ブンブン

絵里(希はもっとつらかったんだもの……これくらい……私が耐えなきゃ………)

絵里(私が………)



絵里「のぞみ………」ポロポロ

絵里「希……私………頑張るから、だから……」ポロポロ



絵里「ぜったい……絶対死なないで……!」ポロポロ




243 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:25:14.44 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−


花陽「ここ…どこかな……」

凛「うーん……おかしいなぁ…この辺のはずなのに!にこちゃんの家、わかりにくいにゃー!」

真姫「住所が間違ってるんじゃないの?ちょっと見せて。」パシッ

凛「あっ、真姫ちゃん〜」


真姫「…………」


真姫「……凛、この地図反対に見てたでしょ?ここ、真逆の位置じゃない、全く……」

花陽「あはは……どうりで………」

凛「えーっ、凛、ちゃんと見てたよ〜……この辺入り組んでるんだもん!」


真姫「もう……凛に任せたのが間違いだったわ。ほら、あっちよ。」

花陽「真姫ちゃん……!よかったっ」

凛「初めから真姫ちゃんに任せればよかったにゃー…」



テクテク……


244 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:26:25.84 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−

ことり「ふんふんふふーん♪、できたぁ!」

ことり「ふふっ、美味しそう……」


\6時のニュースです。今日未明……/


ことり「……!もう、6時………」

ことり「………」


ことり(まだ、お母さん達……帰ってきてない)

ことり(少し…遅い、ような)

ことり「………」


ことり(見に行く………?)

ことり「………っ、」スクッ

ことり「………」

ことり(でも………)

ことり「………」

ことり「………」ストン


ことり(……ううん。何も問題ないなら、見に行っても…大丈夫、だよね?)

ことり「………っ、」スクッ

ことり「………」ストン


ことり「…………」


ことり(…問題ないなら、見に行かなくても………)


ことり「………」

ことり「お母さんが……絵里ちゃんに話すのに、没頭してる…だけ、だよね。」

ことり「……そうだよ、ね…………」


ことり(……でも、やっぱり……見に行った方が……)

ことり(………)



ことり「………」


245 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:27:32.87 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−


カチ/カチッ


絵里「………っ、はぁっ…はぁっ………」ポロポロ

希「……は………は………けほっ………」


理事長「……東條さん、段々呼吸が浅くなってきたわね。元々かなり衰弱してたし…そろそろ」

絵里「………っ、」ポロポロ


絵里(何回……通電したら………っ、)

絵里(……もう左腕、火傷で……………)


理事長「……ふふっ、でも意外だったわ。絢瀬さん…もっとすぐ諦めちゃうのかと思ってたけど、意外と粘るのね。」

理事長「なんだかんだもうすぐ1時間と少したつし……まぁ東條さんが受けてた時間と、私が喋ってた時間を考えても…50回くらいはしたのかしら。……ほんとに東條さんのこと、大切なのね。」

絵里「当たり前でしょ………」ポロポロ

絵里「痛っ………」ポロポロ


理事長「うふふ…左腕、痛む?」

絵里「………っ、」ポロポロ

絵里「ねえ…もう、やめて……!これ以上やっても、もう………っ、!」ポロポロ

理事長「あっはは……これ以上やったら、何があるっていうの?」

絵里「………っ」ポロポロ
246 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:28:38.41 ID:nSoD7sHUo
理事長「……ああ、そろそろ1分ね。再開するわよ?」

絵里「待っ………」ポロポロ


カチッ


バリバリッ……ジジジ………ッ


希「………はっ、ぁ…………けはっ」ガクガクガクガク

希「げほっ……けほっ…………かはっ」ガクガクガクガク

絵里「希……!」ポロポロ


絵里「………っ、待ってて」カチッ


ジジッ………

絵里「はー……っ、」


グッ


絵里「……っう………ぐ………ぁあ"っ………っく………」ジュ…ッ


理事長「7……6……5……」


絵里「は………ぁ………けはっ………う"………」ジジ……



……カチッ



絵里「…………っ、?!」

絵里「……けほっ、けはっ………何………?」カチ…カチッ

絵里「どういうこと……電流が………っ」カチカチッ


理事長「あらら……電池切れ、みたいね。」

絵里「………っ、何よそれ……どういうことっ!?」

理事長「どういうこと…って、そのままの意味よ、電池が切れたの。」
247 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:29:50.20 ID:nSoD7sHUo
絵里「……っ、じゃあ、次はどうしたらっ」

絵里「……どうしたらっ、希のを止めてくれるの!!」

理事長「どうしたらって……ふふ、もうおしまいよ。元からそれで時間を稼いで…亜里沙ちゃんが気づくまで頑張れば、東條さん、間に合うかもね……なんて、私、言ってないしね?」

絵里「は…………?」


絵里「………っ、」

絵里「………なによ……それ………」ジワ…

絵里「元から希が助かる道なんて、なかったってこと………?」ポロポロ


理事長「ふふ…そんなことないわよ?絢瀬さんがもっと早く気付いて、絢瀬さんがもっと気が利けば……東條さんは今頃、助かっていたわ。」

理事長「東條さんが死ぬのは、絢瀬さんのせいなのよ。」

絵里「そ……んな……の………っ、」ポロポロ


絵里「そんなの………っ、!!」ポロポロ

理事長「ふふ…そんなことより、いいの?東條さん……そろそろ……」

希「ぁ………かはっ」ガクガクガク

希「がはっ……は………は……げほっ…ごほっ……」ビチャッ…ビチャ…

絵里「希?!!」ポロポロ
248 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 15:34:22.16 ID:nSoD7sHUo
希「は……は………けはっ…………は……」ガクガク

絵里「なんで……血なんて………っ、」ポロポロ

絵里「お願い止めて!!!お願いだから……っ」ポロポロ

絵里「希が………希が死んじゃう!!」ポロポロ


理事長「ふふ……そうね、まぁ…電池切れまで頑張ったご褒美に、少し止めるくらいなら…いいかもしれないわね。」


カチッ


絵里「希………っ!」ポロポロ

希「は……は…………」


希「……けはっ…………」ビチャ…

絵里「いや……嫌よっ、死なないで!!」ポロポロ


理事長「ふふ……出血ねえ。少し驚いたわ。電流で臓器がやられたか……それともストレスで胃に穴でも空いたのかしら。ふふっ」


絵里「………っぐ……っ!」ガチャ……!

絵里「………っ、………!」ガチャッ…ガチャンッ


理事長「無駄よ。そんなことしても、鎖は取れないわ。」

絵里「だって………」ポロポロ


絵里「だって………!」ポロポロ


理事長「ふふふ……いい顔。そういえば東條さんも、色々試していたけれど…」

理事長「……ふふ、最後の最後には、"何を考えても、何をしても無駄なんだ。"って呟いて……そこからまともな返事はしなくなったわね。」

絵里「希………」ポロポロ


絵里「そ……んな…こと………」ポロポロ
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/29(火) 16:38:23.46 ID:upecZNL1o
見てるぞ
250 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:44:31.04 ID:nSoD7sHUo
理事長「もう諦めたら?何を考えても、何をしても無駄なのよ……ふふふ、先にここにきた先輩の言葉は、信じたほうがいいわよ?」

絵里「…………」ポロポロ

絵里「のぞみ………」ポロポロ

絵里(もう…だめなの?どうしようもないの?)

絵里(希………っ)


理事長「……でも、そうね。……やっぱり東條さん、助けてあげてもいいかもしれないわね。」

絵里「………っ、本当に………!」ポロポロ

理事長「…ええ。私…正直ね、絢瀬さんがここまで頑張れるなんて…全然思ってなかったの。ふふ、ごめんなさい。」

絵里「………」ポロポロ

理事長「……だからね、一つ条件をあげるわよ。考えてみたら東條さんだって、μ'sの誰かを売れば助けてあげる…って条件が、はじめにあったんだし。」

絵里「条件って……」ポロポロ


絵里(μ'sの誰かを売る……?それって……)

理事長「ふふ…μ'sの誰かを売ってなんて条件、出さないから安心して?時間的にもそんな余裕は今回はないし……」

理事長「ねえ、そこに落ちてるでしょう、絢瀬さんの包丁。」

絵里「………、っ…ええ……」ポロポロ

理事長「ふふ……あのね、絢瀬さん……その包丁を使って、」



理事長「………自殺してくれる?」




絵里「………っ、」
251 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:52:59.79 ID:nSoD7sHUo
絵里「自…殺…………?」ポロポロ

理事長「ふふっ、そう……心臓をひとつきでも、喉を掻っ切るんでもいいわよ?ふふふ……絢瀬さんが死んだら急いで空港に向かって、向かいながらここに救急車を呼んであげる。」

絵里「そ……んなの……」ポロポロ

絵里「………っ」ポロポロ

理事長「どうする?あまり時間はないわよ、私もそろそろ急ぎたいし…東條さんだって、そろそろ限界よ。」

絵里「………」ポロポロ

絵里「…そん…なの、できるわけ………」ポロポロ

理事長「…ふふっ、まぁそうよね……じゃあここからは、東條さんが少しずつ弱って死んでくのを指を咥えて見てるか……絢瀬さんが殺してあげるかの、2択になるわね?」

絵里「………っ、待って……!」ポロポロ

理事長「……早く決めて?あんまり待てないわよ。」

絵里「…………っ」ポロポロ


絵里「…………」ポロポロ



絵里「じ…さつ………」ポロポロ


252 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:54:04.56 ID:nSoD7sHUo
絵里(自殺……なんて、そんなの……)

絵里(……そんなの、亜里沙が悲しむ………)

絵里(おばあさまだって…お母さんも、お父さんも……)

絵里(……簡単に、できるわけないじゃない………!)


絵里(……でも希は……自分からそれを選択するくらい、つらい目にたくさんあって……)

絵里(それなのに私は、最後まで全て希に押し付けるの?)

絵里(そんなこと……)


絵里「………っ」ポロポロ


絵里(…………っ、そんなこと、できない。)

絵里(…だって私にとって、希は……)

絵里(希は………)



絵里(希は………!)



絵里「………っ、」ポロポロ


希「はっ………は…………」


絵里「のぞみ……………」ポロポロ




………ギュッ


253 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:55:04.91 ID:nSoD7sHUo


『………あのっ、!』


『……あなたは?』


『私………』


『……っ、うち、東條希!』


254 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:55:51.51 ID:nSoD7sHUo


『あーやせさんっ!』

『…なにかしら?』

『ふふっ、一緒にここのパフェ、食べに行かない?うち、ずーっと気になってるんよ、ここ!』

『…チョコレートパフェ………』

『あっ、絢瀬さん、チョコレートが好きなんっ?ここのチョコパフェ、美味しいって評判なんよ!』

『そうなの……』

『ふふっ…うん、そうなん!』

『………』

『絢瀬さん?やっぱり、駄目……かなぁ?』

『……っ、ううん……そうじゃなくて。』

『………?』

『………その、行くかわりに……かわりにって言ったらなんだけど、希って呼んでもいいかしら?』

『えっ……』

『……やっぱり、嫌?』

『ううん!そんなことない!!嬉しい!!』

『本当?良かった……その、希も私のこと、絢瀬さん、じゃなくて………』

『えりち!』

『えっ……?』

『……ふふっ、"えりち"って、呼んでもいいかな?』

『えりち………ふふっ、いいわね、えりち。そう呼んでくれる?』

『ふふっ……うん!』


255 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:56:31.96 ID:nSoD7sHUo



『えりちの……えりちの、本当にやりたいことは?』



256 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:57:16.96 ID:nSoD7sHUo


『希……!』

『…なぁん?』

『その……私、私ね………』

『うん……?』

『………っ、これ、μ'sのアンケート?』

『そうやけど……』

『………』

『えりち…?何か話が……』

『……っ、ううん……なんでもない……』

『………?』

『ふふ、なんでもない…から。それより練習、早く行きましょ?』


257 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:57:58.63 ID:nSoD7sHUo


『希……何か悩んでるの?』

『んーん、なーんもっ』

『嘘、私にはわかるわよ……もう2年も一緒にいるんだから。』

『……ははっ、そうやね……』

『…これじゃあもう、えりちに隠し事は、できないなぁ。』

『ふふっ、そうよ。ねえ…聞かせて?』

『えっと……その、大したことではないんやけどね?』


258 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 17:58:52.86 ID:nSoD7sHUo





『………みんなで、みんなで一つの曲が、作れたらいいなぁって……あはは 』





259 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:00:36.09 ID:nSoD7sHUo
絵里「………っ、」ポロポロ

絵里「希………」ポロポロ

絵里「のぞみ………」ポロポロ


絵里「う………ぐすっ、ううう………」ギュウウ…


理事長「ふふ、どうするの?」

絵里「………っ、」ポロポロ

絵里「…………、わかった…わよ……」ポロポロ

絵里「死ねばいいんでしょう……やるわよ………!」ポロポロ


………キン……



理事長「………」

理事長「ふふ……本当?」

理事長「ふふっ………うふふっ……」

理事長「あはははっ……ふふっ、うふふ……」

絵里「………っ、」


理事長「はぁ……東條さんの言った通りだったのね、私…絢瀬さんのこと、全然わかってなかったのかも。」

理事長「じゃあ…ほら、そうね……最後の言葉くらい、聞いてあげるわよ?」

絵里「貴女に言うことなんて、何も無いわよ。それより……ねえ、」

絵里「私が死んだら……本当に希のこと………!」

理事長「ええ、助かるかどうかはともかく、さっき言ったように…救急車、呼んであげるわよ。」

理事長「…ふふっ、もしも東條さんが正気に戻った時に、自分のせいで絢瀬さんが死んだ…って知ったら、どうなるかしら……」

理事長「ふふふ、それを考えるのも楽しいし…貴女が死んだ後に、わざわざ東條さんを殺したりはしないわ。」
260 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:01:58.57 ID:nSoD7sHUo
絵里「そう………」

絵里「………」


絵里「……私、最後は希と話すから……貴女は少し、黙っていてくれる?」

理事長「ふふ……はいはい。」

絵里「………」


絵里(希………)



ギュッ…



絵里(つめたい……)

絵里(希の手、もっと暖かかったはずなのに。)

絵里「………」


絵里「ねえ、希…………」

希「………」

絵里「聞こえてる…?絵里よ、えりち……」ナデ…

希「………」

絵里「ごめんね……」

希「………」

絵里「……あのね、貴女に話したいこと…たくさんあるの。時間はあまりないけど…聞いてくれる?」

希「………」

絵里「………」



絵里「……私ね、」
261 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:13:17.12 ID:nSoD7sHUo
絵里「高校に入って…毎日とても幸せだった。」

希「………」

絵里「それはきっと…希が私に声をかけてくれたから。えりちって…呼んでくれたから。」

希「………」

絵里「クラスではいつだって隣に希がいて、二人で一緒に生徒会活動もして。」

希「………」

絵里「学校だけじゃない…二人でたくさん、出かけたり、誕生日を祝いあったり…パフェを食べに行ったり。いろんなこと、したわね。」

希「………」

絵里「……私も希も、そういうことするの…初めてだったから。ふふ、上手くいかないこともあったけど……でも、全部とても楽しかった。」

希「………」

絵里「それから勿論…μ'sもそう。」

希「………」

絵里「……希。廃校が決まって…一人で空回りしていた私を、助けてくれてありがとう。」

希「………」

絵里「あの時私は、希を振り切って…穂乃果の手を、とったけれど。でも希がいなかったら、そんなことできなかったわ。」

希「………」

絵里「……μ'sに入って、歌って…踊って。すごく楽しくて…この時間は、私にとって大切な宝物。」

希「………」

絵里「…ふふっ、こんな大切な宝物に出会えたのは…貴女のおかげなの。」

希「………」
262 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:17:51.94 ID:nSoD7sHUo
希「………」

絵里「それからね、3年も一緒にいて、少しずつ、希が悩んでいたり…困ってるとき、わかるようになって 」

希「………」

絵里「……希は嫌がったけれど、周りの皆が気づかないこと…私だけが気づけるの、なんていうか…誇らしかった。嬉しかったの。」

希「………」

絵里「………」



絵里「……あのね、希。」

希「………」

絵里「希が考えたことも……したことも、無駄なことなんて、一つもなかったわ。」

希「………」

絵里「…希だって不器用なのに、私に声をかけてくれて。結果的に私達は、これだけ仲良くなれた。」

希「………」

絵里「希が裏でたくさん考えて……たくさんのことをしたから、μ'sができたの。」

希「………」

絵里「……今回のこともそう。」

希「………」
263 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:19:06.02 ID:nSoD7sHUo
絵里「希が理事長の首を絞めたから、理事長を疑うきっかけになったの。」

希「………」

絵里「希が…あのおにぎりを頼んだから、理事長を調べるきっかけになったの。」

希「………」

絵里「きっとそれ……希が考えてしたことだったんでしょう?」

希「………」

絵里「……希が何も考えないで、何もしなかったら………私は今でも希を見つけられなかった。だからね……」

希「………」

絵里「……希が考えたことも、したことも……やっぱり無駄なんかじゃ、なかったのよ。これからもそう……希が考えることも、することも……一つも無駄になんて、ならないわ。」

希「………」

絵里「……だから、」

希「………」

絵里「………だからごめんね。」
264 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:20:38.70 ID:nSoD7sHUo
絵里「……私がもっと…もっとちゃんと考えて動いていたら、こんな結果には…きっとならなかった。」

希「………」

絵里「やっぱり私って、どこかポンコツなのかもしれないわね。にこにも言われたの、あんた希がいないと、てんでダメね…って。」

希「………」


絵里「………」

希「………」

絵里「……ごめんね、」

希「………」

絵里「…ふふっ、謝ってばっかりだけど…でも、謝っても謝りたりないの。」

希「………」

絵里「………あのね、希。これからすること、希のためとか…希のせいではないの。……私がね、希が死ぬのなんて…見てられないのよ。」

希「………」

絵里「……せっかく希を見つけられたのに、何もできないのが……悔しいの。貴女がすごく頑張ったのに、自分だけ逃げるなんて……そんな後悔を抱えて、生きていける自信がないの。」

希「………」

絵里「希は……強いって、知ってるから。…きっと大丈夫、なんて…無責任だってわかってるけど。でも、一つだけお願いがあるの。」

希「………」

絵里「……時間がかかっても、いいから。ゆっくりで……いいから。いつか立ち直って……元気になって、」

希「………」

絵里「……幸せに、なって。」

希「………」

絵里「………お願い、ね?」ポンポン





理事長「………」


265 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:22:25.12 ID:nSoD7sHUo

絵里「………」

理事長「……ふふ、もういいの?」

絵里「ええ……」

理事長「…ねえ、他に伝えること…あるんじゃないかしら?」

絵里「いいの。」

理事長「…ふふっ、そう……どうして?」

絵里「……希の幸せの邪魔はしたくないから…だからこれで、いいのよ。」

理事長「そう………」


絵里「………」

理事長「…亜里沙ちゃんのこと、心配?」

絵里「そう……ね……だけど 」

絵里「…隣町に、おばあさまがいるから……大丈夫だと思うわ。」

理事長「そう………」


理事長「……ふふっ、じゃあ、そろそろ……時間ね。」

絵里「………」



絵里「………っ」スッ
266 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:23:57.58 ID:nSoD7sHUo
絵里(………)


絵里(怖い……)

絵里(……でも、希は死んだ方がましなくらい……たくさん酷いことに、耐えてきたのよね)

絵里(ずっと助けてきてくれた……大好きな希のこと、助けられるんだから……)

絵里(………)


絵里「はー…っ」クッ


絵里(喉……は、やり損ねたら苦しいかしら……)

絵里(………)



絵里(亜里沙……おばあさま、お母さん、お父さん)

絵里(みんな……)

絵里(希………)

絵里「………」






絵里「………ごめん、ね。」グッ






267 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:25:25.31 ID:nSoD7sHUo















































……………ガシッ


268 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:26:46.39 ID:nSoD7sHUo
絵里「………っ、え……?」



希「………っ、」

絵里「希…っ?!」

希「………」

絵里「のぞみ………」

希「………」

絵里「………ふふ、止めてくれるの?」

希「………」

絵里「………ありがとう。でも……」

希「………っ、」グ…

絵里「………、ねえお願い、離し……」

希「……ゃ……………」

絵里「希……!」

希「嫌………」

絵里「のぞ…み………っ」ジワ…

希「………っ、は………」

希「っ………けほっ、げほっ」ビチャ…

絵里「希…!だめ、もう喋らないで…!!」ポロポロ

希「は………は…………」ジワ…

希「死なないで…………」ポロポロ
269 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:28:13.81 ID:nSoD7sHUo
絵里「………っ、」ポロポロ

希「えりちが……死んだら、やだ……」ポロポロ

絵里「希………」ポロポロ

希「けほっ……はっ……は………」ポロポロ

絵里「のぞみ……!」ポロポロ




理事長「………っ、」

理事長「驚いた……ふふふ、面白い。予想外の展開ね?感動的だし、なんだかドラマみたい…ふふっ…」


絵里「………っ、理事長…………」

理事長「それで…どうするの?絢瀬さん、東條さん。」

理事長「絢瀬さんが死ぬ?…それとも、さっきまでの…東條さんに、続ける?」

絵里「だめよ!!」ポロポロ

絵里「ねえ、お願い……もう……」ポロポロ

理事長「ふふ…だめよ、そんなの。」

絵里「………っ、」ポロポロ



希「え……りち………」

絵里「希…?嫌よ……!」ポロポロ

希「………っ、」

270 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:29:40.00 ID:nSoD7sHUo
絵里「どうせこの包丁で自分を刺せとか言うんでしょう?!そんなことするくらいなら、私が………!」ポロポロ

希「……め……やめて……っ…」ポロ…

希「…や……嫌………けほっ……」ポロポロ

絵里「………っ、」ポロポロ

希「は………は………っ」ポロポロ


理事長「ふふ……全く、埒があかないわね…」

理事長「……もう、始めるから。そろそろ時間も無いしね?」

絵里「待って……!」

理事長「………ふふっ、いやよ。正気が戻った東條さんに、絢瀬さんがいる前でこうするの……すごく楽しみにしてたんだから。」

絵里「………っ、待っ……」


カチッ


希「ぅ"っ……」ガクッ


バリバリッ……ジジ……ッ

希「ぁ"………ぁあ"ぁっ……あ"………ぁ"っ」ガクガクガクガク

絵里「希っ!!」ポロポロ


理事長「ふふ……正気なんて、取り戻さない方が良かったかもね?」
271 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:32:33.01 ID:nSoD7sHUo
絵里「……っ、希……ごめん……私……やっぱり…っ」スッ

希「や………っぅ、あ"……がはっ……や……」ガクガクガクガク

希「や…!や………や、め……けはっ……はっ………」ガクガクガク


絵里「……ごめん……ごめん…ね、……っ」


………グッ



カチッ

希「かはっ……………はぁっ………はっ……」ポロポロ


絵里「………っ、!…なんで……止めて………」


理事長「ふふ……」

希「げほっ……けほっ……」ピチャ…

絵里「希……!」ポロポロ


希「え…りち……」

希「は………っ、は………」

希「………おねが………も…楽…に、して………」ポロポロ

絵里「そんなの………っ」ポロポロ

希「お…ねが………い……」ポロポロ

絵里「のぞみ……」ポロポロ

希「は……っ、は………」ポロポロ
272 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:34:04.75 ID:nSoD7sHUo
希「さ…いごに、えりちに会えて……っ」ポロポロ

希「けほっ…は……無駄じゃ…なかったって……わかって……」ポロポロ

希「こ…やって、喋れたから……っ………もう、いいの。」ポロポロ

絵里「そんなの…っ」ポロポロ

希「おねが…い………」ポロポロ

希「おねがい………」ポロポロ


絵里「希………」ポロポロ


理事長「……ふふっ、絢瀬さん、どうする?」

絵里「理事長………っ」ポロポロ

絵里「……っ、そんな……そんなの………!」



……ギュッ


絵里「のぞ…み………?」ポロポロ


希「え…りち……」ポロポロ

希「おねがい……」ポロポロ

希「も……痛いのは、無理……」ポロポロ
273 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:40:55.28 ID:nSoD7sHUo
絵里「希……」ポロポロ

絵里「………っ、それなら、私が……!」ポロポロ

希「それはだめ!!」


ギュウウ……


絵里「のぞみ………?」ポロポロ

希「……ねえ、えりちが死ぬのは…痛いのより、つらいよ……?」ポロポロ

絵里「………っ、」ポロポロ


希「お願い、えりち………」ポロポロ

希「もう……眠らせて……?」ポロポロ


絵里「希………」ポロポロ


絵里「いや……いやよ……そんなの……」ポロポロ


絵里「そん……なの………っ」ポロポロ


希「けほっ……げほっ……」ビチャ…

絵里「希!!!」ポロポロ


希「は……は……うぐ………」ビチャ


希「ね……も……つらい……の……」ポロポロ

希「おね、がい………えりち………」ポロポロ


絵里「のぞみ………」ポロポロ


絵里「あ………ああ………あ………」ポロポロ
274 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:42:11.60 ID:nSoD7sHUo
絵里「う……あ………ぐすっ、う………」ポロポロ

絵里「う……っ、けほっ……希………」ポロポロ


絵里「ごめん……ね………」ポロポロ



………スッ




絵里「……っ、ごめん……ね、希……っ!!」ポロポロ

希「えりち………」ポロポロ



絵里「………っ、」グ…



希「……っ、ありが……」ポロ…







275 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:42:48.44 ID:nSoD7sHUo









キン……ッ

…ッ………キンッ……キン……










276 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:44:28.19 ID:nSoD7sHUo
希「………」



希「……えっ…………」



理事長「………っ、危ないわね……当たるとこだったわよ。」


絵里「希……ごめん………」ポロポロ

絵里「私に希は……刺せないわ………」ポロポロ

希「そ……んな………っ」ポロポロ

絵里「ごめん……ごめんね………でも……!」ポロポロ


理事長「……ふふ、それが絢瀬さんの答え?随分残酷ね……じゃあ、再開するわよ?」

希「嫌!いや………けほっ…は……はっ……」ガタガタ

希「なんで……っ、えりち……なんで……!」ガタガタ

絵里「………っ、ちょっと待って!!」ポロポロ


絵里(何か……何か方法があるはずよ……!)

絵里(無駄なことなんて、一つもない…はずなんだから!!)

絵里(考えなきゃ……考えて………!)

絵里(物理……電気、20mA………)

絵里(…………)



『……でもなかなか定電流電源って手に入らないから……難しいところではあるわね。』



絵里(………っ、!)
277 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:45:55.54 ID:nSoD7sHUo
絵里(定電流電源………!)

絵里(定電流が手に入らないということは……これは定電圧電源ってこと……!)

絵里(定電圧電源ってことは、つまり……電圧が一定な分、抵抗が増えると……っ)


理事長「…ふふっ、もう待てないわよ……始めるわね?」

希「や、だ……やめて、やっ、嫌!けほっ……げほっ………」ピチャ…

希「嫌………嫌…………もう、痛いのは………」ガタガタ

絵里「………っ、」バッ

理事長「……絢瀬さん?なんで服………」

絵里「……っ、………っ」バッ…バッ

希「え…りち、なにして…………けほっ」ポロポロ

希「は……は………」ポロポロ

理事長「…ふふ、気でも狂った?なんだか知らないけどもう、始めるから……」

絵里「……待って!!」


カチッ


絵里「………っ、」

バリバリッ…バリッ……ジジ…ジ……ッ

希「ぁ"あ"ぁあっ……う……あ……ぁ"あ"っ」ガクガクガクガク

絵里「……希………っ」ポロポロ
278 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:47:17.73 ID:nSoD7sHUo
絵里「……ごめんね……我儘だって…わかってるの。だけどもう少しだけ…もう少しだけ、頑張って……!」ポロポロ



ギュッ



希「ぁ………ぁ"あ"……っ、かはっ…え"……り……?…ぅ"っ」ガクガク

絵里「ぅ"…………っぐ………うう"……っ」ガクガク

希「…っぐ……ぁ………あ"あっ、ぅ"……なん、で……けほっ…ぁあ"っ」ガクガク


理事長「………っ、」

理事長「ああ…なるほど、そういうことね…」

理事長「ふふっ…やっぱり絢瀬さんは、元生徒会長だけあって……頭はいいのね。」


希「ぁ"……がはっ……ぁあ"っ、あぁ"あ"……っ」ガクガク

絵里「っぐ………げほっ、のぞみ……!!」ガクガク

絵里「…は…んぶん…っ、ぅ"あ"……っぐ……はっ……うけおう…からっ」ガクガク

絵里「も……少し……っうぐ……っ…がんばっで……!」ガクガク


理事長「……確かに、これは定電圧電源だから……抵抗が2倍になれば、一つの物体にかかる電流の大きさは1/2になる……」
279 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:48:07.59 ID:nSoD7sHUo
理事長「そうなるとおそらく…東條さんの方に行くのが10mAとか…いや、接触することで少し電気が逃げて…9.5mAとかになるのかしら。」

理事長「ふふっ、でも服なんかあったら当然通りが悪くなるから……だから脱いだのね?……賢いわ。」

理事長「ただ……確かに10mA程度なら、普通命に関わることは無いけれど。」

理事長「…だけどそれだけ衰弱してる東條さんだと、ね…?既に出血量もなかなかよ。ふふ…どこまで頑張れるかしら?」


希「けほっ……げほっ………はっ……ぁ"っ」ガクガク

希「え……り………も、無理……っぁあ"っかはっ」ガクガク

絵里「がんばっで……がんばって!!ぅ"……っ」ガクガク

絵里「……がはっ………ぅ"……ぁあ"っは……」ガクガク


絵里(ことり……ことり、お願い……!)


絵里(誰か……早く………!!)



280 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:49:33.13 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−


凛「やーっとついたにゃー…」

花陽「ふええ……疲れたよお……」

真姫「にこちゃんちって…結構音ノ木から離れてるのね……」



ピンポーン



まきりんぱな「………」

真姫「……でないわね…」

花陽「うう…病院とか、かなぁ?」

凛「そんなー!!ここまできて、それはないにゃー」ガチャッ


まきりんぱな「あ………」



凛「……あいてる、ね?あはは………」

花陽「勝手に入っちゃ、まずいんじゃ……」

真姫「……緊急事態よ、にこちゃん…中で倒れてるかもしれないしっ」ガチャ

凛「あーっ、真姫ちゃんずるい!凛も凛もー!」ガチャッ

花陽「う、うう……おじゃまします………」ガチャ…



バタン



凛「にこちゃんー?」

真姫「にこちゃん…」

花陽「にこちゃん……ここ、かな?」

真姫「"にこの部屋"……そうね、ここみたいだわ。」ガチャッ



にこ「………」スー…スー…
281 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:51:17.17 ID:nSoD7sHUo
凛「あっ、にこちゃん!!」

にこ「……っ、う」

真姫「もう…大きな声出しちゃダメじゃない、凛……」

花陽「あはは……ごめんね、起こしちゃったかな?」


にこ「……あんた達……なんで………」ウトウト

凛「…ごめんね、起こしちゃって……凛達、お見舞いに来たの!」

真姫「調子はどう?そこのコンビニで、桃缶とか…買ってきたけど。」

花陽「お母さんとか…出かけてるなら、花陽、おかゆ作るよっ!」

にこ「お見舞い……調子………」ウトウト

にこ「………」


にこ「………っ、」ハッ


にこ「ねえ…今何時?」

花陽「えっと……もうすぐ6時半になるところ…かな」

にこ「6時半……」

にこ「………ねえ、あんた達…絵里が今どうしてるか知ってる?」

凛「絵里ちゃん……?」

真姫「絵里は……そういえば校門前で見かけたわね、なんか理事長と歩いてたけど……」

にこ「理事長と……っ?!」
282 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:52:30.79 ID:nSoD7sHUo
凛「…どうしたの、にこちゃん?顔が青いよ…まだ寝てた方が」

にこ「ねえ誰か、絵里に電話してみてちょうだい!出ればそれで……それでいいんだけど。」

花陽「わ、わかった……」スッスッ


プルルル……ガチャ



『おかけになった電話は、現在電源が切られているか、電波の届かないところに………』



花陽「……圏外、か……電源が切れてる……?」

真姫「それって………希も………」

にこ「………っ、」ガバッ

凛「にこちゃん?!」


真姫「ちょ……ちょっと、どこいくのよ!まだ寝てないと……っ、」

にこ「寝るのなんて、いつでもできるわ!それより……っ」

にこ「……っ、ここからことりんちまで、か………割と距離があるわね………」パッパッ

花陽「ことりちゃんち……?」
283 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 18:53:23.25 ID:nSoD7sHUo
にこ「そう……あんた達も一緒に来てくれる?行きながら話すわ。」

凛「わ……わかった!」

真姫「急ぎなの?車…呼ぶ?」

にこ「………っ、そうしたい……けど、真姫の家って、さらに正反対よね?」

真姫「そう…ね……」


にこ「……走るわよ。」

花陽「にこちゃん……」

にこ「何もなかったら、それでいいの……だけどっ」

にこ(何かしら……この胸騒ぎ………)

にこ(絵里……希………っ)


凛「……わかったにゃ。」

凛「……二人とも、走ろう!」

真姫「え、ええ……」

花陽「うん…わかった!」

にこ「あんた達……」


にこ「……っ、それじゃ…いくわよ!」


284 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:33:33.36 ID:nSoD7sHUo
−−−−
−−−
−−

コツ…コツ……コツ…

ことり「は………は………」


ことり(結構…深い、な……)

ことり(ちょっと遅すぎるから、見に来たけど……)

ことり(………)

ことり(地下で、何……してるのかな)


コツ……コツ………


ことり(……お母さんが、生き物の紹介に熱くなっちゃって………)

ことり(絵里ちゃん、困ってるのに気づかないで……喋り続けてるのかも)


コツ……コツ…コツ


ことり(…いい加減絵里ちゃん解放してあげてって、帰ったらチーズケーキ食べよって言って……)

ことり(迷惑かけちゃった絵里ちゃんにも、亜里沙ちゃんのお土産に…って、少し渡さなきゃ)


ことり「は……は……」



『ふふっ……あははっ……ふふふふ……』



ことり「……お母さんの、声?」

ことり「扉の、むこう………」


コツ………



ことり「………っ、え……?」

285 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:34:25.26 ID:nSoD7sHUo





『希!!!のぞみ、がんばって…もう少し、もう少しだから、っぐ……ぁ"……がはっ』


『……ぅ"っ…ぁあ"あ"っ、無理……無理……げほっ、がはっ………かはっ、けほっ……』

『死なせて……!!』





286 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:36:01.62 ID:nSoD7sHUo
ことり「…………っ、」

ことり「これ………」


ことり「絵里……ちゃん?希ちゃん……?」

ことり「…………」


ことり「ぅ………」



ドクン……ドクン……



ことり「……はっ……は……はっ……、は……」ガタガタ



ドクッ…ドクッ…ドクッ…ドクッ…



ことり「あ………あは、は………」ガタガタガタ


ことり(嘘だ………)


ことり「………っ、」ブン゙ン


ことり(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)


ことり「……はっ、はっ……は……はっ……」ガタガタ

ことり「は……はっ……」ガタガタ


ズル……ズ……


ことり「…は……は………」ガタガタ

ことり「………っ、」ダッ



ダッ…ダッ…ダッ…ダッ…


ことり「……はぁっ……は……はっ……」ダッダッ



ことり「………っ、」ガチャッ


バタン



ことり「……っ、」ドサッ


ことり「………」ガタガタ
287 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:37:55.43 ID:nSoD7sHUo
ことり(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)


ことり「………っ」ブンブン


ことり(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)


ことり「………っ、」ブンブンッ



ことり「はっ………は………は……はっ……」ガタガタ

ことり「嘘………」ジワ…

ことり「嘘だ………」ポロ…



ことり「嘘だよ………」ポロポロ




『死なせて……!!』




ことり「………っ、」ポロポロ

ことり「………のぞみ…ちゃ………」ポロポロ

ことり「希ちゃん……希…ちゃん………」ポロポロ


ことり「けほっ……は………はっ……」ポロポロ

ことり「希ちゃん………!」ポロポロ


ことり「は………っ、は……はっ……」ポロポロ

ことり「………っ、」ポロポロ

ことり「………ごめん……ごめんね……」ポロポロ


ことり「ごめんね………」ポロポロ


ことり「そうだよ…ね………」ポロポロ




ことり「嘘じゃ…ないよね……」ポロポロ




ことり「嘘じゃ……ない……」ポロポロ



ことり「う……ぐすっ……えぐっ………」ポロポロ


ことり「なんで……なんでえ………」ポロポロ
288 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:39:31.62 ID:nSoD7sHUo
ことり「はぁっ、は……はっ………」ポロポロ

ことり(私……最低だ……最低だ……)


ことり「…は……っ、は………」ポロポロ


ことり(私…わかってたのに……わかってたのに、目をそらして……自分で確認したくないから、絵里ちゃんに行かせて………)

ことり「最低…だよ……………」ポロポロ

ことり(その上、此の期に及んで…まだ、警察なんて…呼びたくないって、お母さんに捕まってほしくないって……思ってる)

ことり「う……うう…………」ポロポロ

ことり「やだ…よ……お母さん、なんで……」ポロポロ

ことり「なんでえ……」ポロポロ

ことり「ぁ………」ポロポロ



『お母さん、こんな倉庫で…なにしてるの?』

『あら、ことり……入ってきちゃ、ダメじゃない。』

ギギ……ッ

『おか……さん、なに……してっ』

『お母さん!!やめて…っ、虫さん、可哀想だよ、死んじゃうよ………っ』

『あ……ふふ、そうね……死んじゃうわね………』


『ふふ……うふふ………』




ことり「あ………あ…………」ポロポロ

ことり「やだ……、こんなこと……思い出したく……なかったのに………っ」ポロポロ

ことり「やだ……やだあ………」ポロポロ

ことり「け……さつ………」スッ…
289 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:41:33.82 ID:nSoD7sHUo
ことり「………っ、」ポロポロ

ことり「よべ……ない……よ」ポロポロ

ことり(お母さん…いなくなったら、私……)

ことり「ひとり…ぼっちに………」ポロポロ

ことり「う………うう………」ポロポロ

ことり「うう……げほっ……けほっ……ぐす………」ポロポロ


ことり(絵里ちゃん……希ちゃん………)








ことり(ごめ………)







プルルルル!


ことり「………っ、」ビクッ

ことり「でん…わ……」ポロポロ


ことり「海未……ちゃん………?」ポロポロ


スッ


ことり「………っ、」


ことり「もしもし……」ポロポロ
290 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:43:15.11 ID:nSoD7sHUo


『ことり…ですか?』

ことり「うん………」ポロポロ

『ことり……泣いているんですか?』

ことり「ううん………」ポロポロ


『…………』

ことり「…………」ポロポロ

『今……少し、大丈夫ですか?』

ことり「うん………」ポロポロ

『…………』

『……私達、先日ことりに聞かれたこと……ちゃんとよく、考えてみたんです。』

ことり「……っ、そっ…か……」ポロポロ

『それで……今、穂乃果と二人で答え合わせをしていたんです。』

ことり「こたえ……あわせ……?」ポロポロ

『はい……それで、』

『……答えが出たので、ことりに報告しようかな、と……』

ことり「………」ポロポロ

ことり「……うん、聞かせて………?」ポロポロ

『………はい。ですがまず前提として…やはり本当のところは、当事者になってみなければわかりません。ですが……』

『もーっ、海未ちゃん!まどろっこしいよーっ』ガチャッ


『ことりちゃん!!』


291 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:44:18.41 ID:nSoD7sHUo

ことり「穂乃果…ちゃん……?」ポロポロ

『うんっ!穂乃果だよ!』

『穂乃果ね、やっぱりそんなことになったら…雪穂のこと、警察に連れてくよ!』

『だってね…私やっぱり、こんなんだけど…お姉ちゃんだから。間違った道は、正してあげなくちゃいけないと思うんだ。』

『…それにそれにっ、雪穂がことりちゃんに…なんて、知ってて隠していくのは……穂乃果にはきっと、無理だから。』

『…ふふっ、それにそんなの、ことりちゃんが可哀想だもん!穂乃果が絶対、助けてみせるよっ!』

ことり「…穂乃果ちゃん……」ポロポロ

『ねーお姉ちゃん!さっきから雪穂を警察に…って、何話してるのさ!私なにもしないからね?』

『あはは……ごめん………』


ことり「はは……」ポロポロ


ガチャッ

『穂乃果が急に…すみません。海未です。』


ことり「………海未ちゃん……」ポロポロ
292 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/29(火) 20:45:34.61 ID:nSoD7sHUo
『…私もやはり、穂乃果と同じです。』

『私には…妹や弟はいませんが…』

『…やはり、家族が罪を犯したなら、それを正してあげるのも…また家族だと思うんです。』

『私は……そうありたいです。』

ことり「海未ちゃん………」ポロポロ


ことり「……うっ、ぐす………そうだよ、ね……」ポロポロ

ことり「そうだよ……ね………」ポロポロ

ことり「ねえ、二人とも………」ポロポロ


『……なんですか、ことり。』

『ことりちゃん!穂乃果も聞こえてるよっ』


ことり「……二人とも、何があっても…私が、最低でも……ずっと友達でいてくれる…かな……?」ポロポロ

ことり「ふふ…ごめんね、こんなの……重…」

『当たり前です!!』『当たり前だよっ!!』

『ことりはずっと…幼馴染で、一番の親友です。勿論穂乃果も。何かをしたなら、私が叱ります!私達三人は…ずっと一緒です。』

『そうだよことりちゃん!!穂乃果、ことりちゃんと離れるなんて、友達じゃなくなるなんて……ぜったい、絶対嫌だよ!!ずっと一緒だよ!』
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