【ラブライブ】希「どうしてこんなことに…」理事長「ふふっ♪」

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408 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:04:46.55 ID:XpQb3fB6O
希「………っ」ガタガタ


希(幻聴…なんよね、感覚も……本当はいなくて………)

希(………っ、まだ……時間が経ってないから……目が覚めたばかりだから……)

希(…明日専門のお医者さんも見てくれるって…言ってたし……)

希(真姫ちゃんのお父さんも、少しずつ良くなるって……つまり段々…聞こえなく、なるよね)

希(髪…は、染めればいいんだから………)


『ガサガサガサッ…!!』


希「う………」ギュ…

希「……っ、………っ」ガタガタ


希「…………っや、……」ガタガタ




希「うう………」ギュウ…




409 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:06:29.29 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−


にこ「ねえ……これ、ちょっと…どういうこと?」

『え…いや、だから……その手紙、東條に渡してくれないか?絢瀬が今いないから……矢澤なら、渡せると思ってさ。』

にこ「違うわよ……渡すのはいいけど、私が言ってるのは手紙の内容よ……!!」

にこ「何よ、留年って……あんた、ニュース見たでしょ?希は好きで休んでるわけじゃ……っ」

『……っ、そんなの俺だってわかってる。ちゃんと読んだのか?留年は決まったわけじゃない。』


『……でも既に3週間も休んでるわけだから……規定だと、あともう20日も休んだら留年なんだよ。』

『…事件の内容からして、あと20日でって……なかなか厳しいと思ってさ。」

『…でも、それじゃあんまりだから会議を開くことになってな。できる限りなんとかしてやりたいし…教育委員会とかもくるかもしれん。』

『まぁ詳しいことはまだ決まってないけど、その手紙は一応留年したくないかどうかの確認みたいなもんだよ。』

『……ただ、事件を踏まえてもルールはルールだから、厳しいのはあるかもしれん…前もって一応、そういうことは説明しておかないと。』

にこ「そんなの……っ、そんなの……!」
410 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:07:36.63 ID:XpQb3fB6O
にこ「………っ」カキカキ

にこ「…っ、ほら、これでいいでしょ……留年なんて、するわけないじゃない!」

『ちょ、なんで矢澤が丸するんだよ……ああもう、もう一枚刷り直しじゃねえか。』ピッピッ

にこ「希を留年にするなんて、許さない……大体、私じゃあるまいし。希は成績だって普通だし、元副会長じゃない!」

『それはわかってるさ……俺だってつらいんだ。でもそれは、俺じゃなくて新理事長と教育委員会が最終的に決めることだから……』


ウィー ガチャ ガチャ


にこ「……新理事長と、教育委員会……ね。」

『……よし、できた。ほら、今度はちゃんと渡してくれよな……頼んだぞ、矢澤。』

にこ「………」


にこ「ふん……わかったわよ……」

411 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:08:37.18 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−


希「はぁっ……はぁっ………」ギュ…


『ガサガサガサッガサ……』


希「う………」ガタガタ

希(いないいないいない…本当はいない、いないんやから……!)


『ガサガサッ!!ガサ……』


希(…っ、今度は腕に……感覚が…)

希「………っ」ガタガタ

希(どうせいないんやから……何も怖いことなんて……ないんやから……)

希「……」チラッ

希「え…………」



ヨタ……ヨタ………ガサガサ



希「ひっ?!?!」ベシッ


ドサッ


希「〜〜〜〜っ、っ痛た……」



ガチャ!!

絵里「ちょっと今、大きな音がしたけど……って、」
412 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:09:59.20 ID:XpQb3fB6O
絵里「希……どうしてベッドから……」

希「……っ、……えりち………?」


絵里「もう……どうしたのよ、何があったの?よいしょ……」

希「……っ、?!、ちょ、ちょっと待って……」

絵里「………?」

希「あ、れ………」


希(いない……)

希(…確かにヤスデが、腕を這ってるのが…見えたのに。)

希(…幻覚……?)


絵里「希……?大丈夫?」

希「大丈夫……ごめん、自分で登れるから……よいしょ、」


ドサッ……


希「…………」


希(やっぱりいない……)

希(それに……)


絵里「…………?」



『ガサ…………ガサ…』



希(えりちがいると……あんまり聞こえなくなる、のかな…)

絵里「希……?」

希「あ……うん、検査…終わったん?」

絵里「…ええ。何も問題なかったわ。腕の火傷もちゃんと治ってきてるって……」

希「そっか……良かった。」
413 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:10:57.12 ID:XpQb3fB6O
絵里「それで…どうしてベッドから落ちたのよ、何か取りたいものでもあった?」

希「えっと……」

希(………)

希(……えりちに、話したほうがいいんかな…)



『希……!のぞみ、良かった………!』ポロポロ

『私、ずっと……ずっと、すごく不安で……!』ポロポロ



希(………)

絵里「希……?」

希(えりちの目の下…すごい隈になってる。)

希(きっと、毎日心配してくれたんよね……)


希(………)


希(……これ以上心配なんて、かけられない……)


希「…別に、大したことじゃないんよ…えっと…」

絵里「………?」

希「…えっと…ほら、そこにうちのスマホがあったから……取ろうとしただけ。」

絵里「……ほんとに?」

希「うん……」

絵里「……そう、ならいいんだけど…ごめんね、これ、私が預かってて…朝渡そうと思ってたんだけど、忘れちゃったみたい。」

絵里「はい……これ。」
414 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:13:06.56 ID:XpQb3fB6O
希「…ありがとう。」

絵里「………」



希「えりち……?」



………ギュッ



希「……っ、どうしたん……?」

絵里「………」

絵里「……さっき、途中…だったから。」

希「えりち……」

希「……ふふ、ってて……えりちは甘えん坊さんやなぁ。」

絵里「希にだけよ…?それに、無理して笑わないでって言ってるでしょう…もう……」

希「別に無理なんて……」

絵里「嘘つかないの。希が無理してるのくらい…わかるんだから。」

希「………」

希「……それなら、えりちも無理しちゃだめやん…目の下、隈できてるよ?」

絵里「ええっ」ガバッ



ゴソゴソ


絵里「……、…ほんとね、隈ができてる…全然気がつかなかったわ。」

希「えりちは色白さんやから……」
415 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:15:17.89 ID:XpQb3fB6O
絵里「…でも大丈夫よ。希の目が覚めたから…昨日はぐっすり眠れたの。時期にとれるわ。」

希「…そっか。なら、いいんやけど…」

希「あ、ねえ…鏡、うちにもかーしーて。」

絵里「………っ、それは……」

希「………?」

絵里「………、ええ、いいわよ、はい。」

希「ありがとう。」スッ



希「……っ、」

希(………これ……)


絵里「希………」

絵里「……大丈夫。ちゃんと栄養あるもの食べて…髪は染めればいいし、火傷もすぐ目立たなくなるわ。コンシーラー使えば隠せるし……」

希「……そう、やね………」

希(髪、真っ白で……頬もこれだけこけてて、右頬にはでっかいガーゼ、か…)

希(やつれてるし……これじゃ、無理してるって思われても……仕方ない、かな。)

希「……うん、大丈夫。これくらい仕方ない…仕方ない…」

絵里「………」


希「……っ、そういえばもうすぐ夕飯の時間やけど…うち、胃の手術したんよね?食べて平気なんかなぁ…」

絵里「ああ、それなら今日からお粥くらいなら平気だろうって……あ、」


ガチャ
416 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:18:31.61 ID:XpQb3fB6O

『夕食の時間ですよ。絢瀬さんのがこっちで…東條さんのがこっちです。熱いので気をつけて食べてくださいね。』


……ガチャ


絵里「…ふふ、希は今日が初めてだけど……病院食って、結構美味しいのよ。」

希「…そうなんや。確かにあったかくて……美味しそう。」

絵里「ふふっ、火傷しないように気をつけて食べてね?それじゃあいただきます。」

希「いただきます…っ?!」

絵里「希……?」

希「…っ、うんん、なんでもない……」

絵里「………!」

絵里「……わかったわ。ちょっと待って。」



カチャ…

希「………?、えりち、なにして……」



絵里「…ふー、ふー。」

絵里「はい、あーん。」

希「え…っ///」

絵里「…ごめんね、忘れてたの…希、右手の平も火傷してるのよね。動かすの痛いんでしょう?」
417 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:19:40.93 ID:XpQb3fB6O
希「…そ、うやけど……でも、その……早く食べないと、えりちの方だって冷めちゃうし……」

絵里「ふふ、いいから。はい、あーん。」

希「………っ//」

絵里「ほら、早くしないと冷めちゃうわ。」

希「も、もう………///」パクッ

希「……っ、」

絵里「希……?熱かった?」

希「ううん…そんなことない、美味しい……」モグ…

絵里「………」

絵里「……ちょっとそれ、飲み込んだら…口の中、見せて?」

希「え、でも……」

絵里「いいから。」

希「………」

絵里「希……?」

希「……ごめん、ちょっと噛んだ跡が…痛かっただけなん。」

希「自分でも、食べるまで気づかなかったぐらい……ほとんどもう治ってるんよ。だから気にしないで?」

絵里「……そうだったの。気付かなくてごめんね…、食べられる?看護師さん呼んできましょうか…」

希「っ、ううん、大丈夫。大丈夫やから……その、もう一度食べさせてもらえたら…嬉しいなぁって。」

希「………///」
418 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:20:51.94 ID:XpQb3fB6O
絵里「希………」

絵里「…ふふ、もちろんよ。じゃあ……はい、あーん。」

希「……///」パク

絵里「……どう?痛む?」

希「………ううん、美味しい。」

希「…ふふ、まともなもの、久しぶりに食べたから……だからすっごく美味しい。」

絵里「希……」

絵里「…ふふ、それならよかった。」ナデ…

絵里「………」ナデナデ

希「……っ///、けほっ、こほっ…ちょ、それやめて//ほ…ほら、髪の毛ぼさぼさになるやん?ね?」

絵里「……、それ…懐かしいわね。」

希「………?何が…?」

絵里「…ふふっ、希、前にもこうやって撫でたら、全くおんなじ反応したから…だから懐かしいなぁって。」

希「そ…そうやったっけ……覚えてないなぁ。」

希「…というかあれやね、もうずっと寝てたから既に髪、ぼさぼさやった……」
419 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:22:00.32 ID:XpQb3fB6O
絵里「ふふ、食べ終わったら梳かして結んであげるわ、その方が希らしいし。」

希「………」

絵里「希……?」

希「えっと……その……」


希「…………ありがとう、えりち。」

絵里「…ふふ、いいのよ、これくらい……あ、そうそう……」

希「………?」

絵里「……あのね、その…いくらでも待つって言っていたし、勿論希が嫌だったら素直にそう言って欲しいんだけど……」

希「……?なぁん?」

絵里「…ことりがね、希に直接謝りたいって言ってるの。」

希「ことりちゃんが……」

絵里「…その、みんなもお見舞いに来たいって言ってるんだけど、それは希がまだ嫌かな…って思って、待ってもらってるんだけど…」

希「………」

希「……みんなの方は、確かにもう少し…待ってほしい……かな。」

絵里「そう…よね、」

希「うん…ちょっとまだ……せめて髪を染めてからじゃないと……」

絵里「…ええ、わかってる。」

希「うん…ありがとう。それでことりちゃんの方は……」

絵里「……みんなと同じタイミングにする?」
420 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:23:02.69 ID:XpQb3fB6O


希「うーん……」



『私が捕まったりしたら…ことりはどうなるの?』



希「……っ」

希「………」

希(ことりちゃん…きっと今、すごくつらい…よね…)

希(きっと、罪悪感とか…周りの反応とか…色々…)

希「………」

希「……少しだけ、考えてもいい…かなぁ?」

絵里「…もちろんよ。ゆっくり考えて。」

希「……でも、ことりちゃんは、何も悪くないから……本当は謝る必要なんて、ないんよ。」

絵里「………ええ、そうね。」

希「…だけど、気持ちはなんとなく……わかるから…」

希「………」

絵里「希……?」

希「…何も怒ったりしてないよってことだけ、先に伝えてもらえる?」

絵里「ええ…わかったわ。」

希「…ありがとう。」


絵里「ええ………」

絵里「………」


希「………?えりち?」
421 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:24:03.20 ID:XpQb3fB6O
絵里「……あのね、希がそう言ってくれて…良かった。希の立場なら、普通はもっと…」

希「………」

希「ことりちゃんがいい子なのは、知ってるから……」

絵里「……ええ、そうね。」

希「……だからね、あんなにいい子で、大好きな友達なのに…恨んだり、できるわけないんよ。」

絵里「希……」



希「……ふふっ、えりちの方も、冷めちゃうから……次のひとくち、ちょうだいっ」

絵里「……ええ。はい、あーん。」

希「あーんっ」パクッ

絵里「あら…さっきまでの照れてる希も可愛かったのに…もう慣れちゃったの?」

希「…っ、けほっ、ごほっ、急に何いって……///」

希「別にうち、照れてなんか……っ///」

絵里「ふふ…痩せ我慢してもだめよ?顔、赤いの、バレバレなんだから……」

希「も…もう、えりちが意地悪やー!///」

絵里「うーん、でもほら…その顔色の方が健康的でいいと思うわよ?」

希「もう…っ、そういう問題とちがうんよっ!次のひとくちちょうだいっ」

絵里「はいはい、あーん。」



アーン パクッ
フフ…ノゾミ、アハハッ
モー ワラワントイテ!


422 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:29:24.42 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

にこ「こころーここあーこたーもう寝なさいー!」

ここあ「えーまだ遊びたいー!」

こころ「ここあ、行けませんよお姉さまを困らせては…ほら、こたもこっち。さあ寝ましょう。」



こころ「それではお姉さま、おやすみなさい。」

ここあ「もーっ、おやすみー!」

こたろう「おやすみー」

にこ「はいはい、おやすみ。」


ガチャン



にこ「ふー。」

にこ「……あら、絵里からLINEきてる。」スッ

にこ「……」スッスッ

にこ「……!」


にこ(希……まぁそうよね。すぐにことりに会うのは難しい…か。)

にこ(あ、この手紙……)

にこ(………)

にこ(……ひとまず絵里にだけ、見せておきましょうか……)
423 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:31:07.38 ID:XpQb3fB6O
にこ「………」パシャッ…スッ


ヴー ヴー


にこ「……!」スッ


『にこ、ちょっとこの手紙…どういうこと?』


にこ「……」スッスッ

「私もどういうことかって、あんたんとこの担任に問い詰めたんだけど…まだ決まったわけじゃない、会議で決める…の一点張りなのよ。」

『…でも、こんなの………』


にこ「………」

にこ「……」スッスッ


「私が絶対なんとかするわ。もちろん絵里の方も。手紙は出しとくし。だからあんたは心配しないで、希の面倒見てやって。…せめて父親が、戻ってくるまでは。」

『それはもちろんよ。むしろ希のお父さんが戻ってきても…私、希が学校行けるようになるまでは、一緒にいるつもりだから。』


にこ「絵里……」

にこ「……」スッスッ


「あんたって本当希大好きよね…まぁとにかく、こっちのことはなんとかするから…お願いね。」

『ええ…ありがとう、にこ。にこがそう言ってくれると心強いわ。希にはこのことは…』

「…まだ言わなくていいと思うわ。あいつ勘が鋭いから、そのうち自分から切り出してくるかもしれないけど。」

『そう、ね……ありがとう、にこ。』

「いいのよ。」

『それじゃ、おやすみなさい(-_-)zzz』

「ええ、おやすみ。」


にこ「………」カチッ

にこ「………」

にこ「………」ハァ


にこ「………」


にこ「言ったからには、なんとかしないとね……」

424 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:31:59.62 ID:XpQb3fB6O
−−−
−−


絵里「…それじゃあ希。おやすみなさい。」

希「うん、おやすみ……」


カチッ


絵里「………っ」

希「えりち…暗いけど平気?」

絵里「へ……平気よ、希が起きるまでは、毎日暗いとこで寝てたんだから……」

希「………、そっか。」

絵里「ええ……おやすみ。」

希「うん……」

絵里「………」

希「………」




『ガサガサガサッ』


希「………っ」



『ガサ…ガサガサ』



希(いない…本当はいないんやから……えりちが近くにいるんだから、大丈夫……大丈夫。)



『ヨジ……ヨジ………ガサガサ』



希「………」ガタガタ


希(お腹…登ってくる……)

希(いないいないいない……聞こえても感じても見えても、本当はいない………!)
425 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:33:08.19 ID:XpQb3fB6O


『ガサガサ!!!』


希「ひっ………」ガタガタ

希「う………うう……」ガタガタ



『ウネ……ウネ………ガサガサ』



希(背中…に、たくさん………)

希(枕元にも、たくさんいる…気がする……)

希「え…り………」ガタガタ


絵里「………」スー…スー…

希(寝てる……)

希(起こせないよ……こんなん……)

希「………」ガタガタ


『ガサ…ガサガサ』


希(……何か、気分転換…しないと、眠れな……)

希(………そうだ、今…世の中、どうなって……)


希「………っ」スッ



Yahee!News!!

20日木曜日に発覚した監禁事件で、被害者の女性(18)が………



希(………)

希(……流石に、ぼかすところはぼかしてあるんやね。よかった…)

希「………」


希「………」スッスッ

希「え………」
426 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:34:32.34 ID:XpQb3fB6O

【南ことりを】希ちゃん監禁事件スレpart37【許すな!】

0023名無しで叶える物語(やわらか銀行)
南ことりきもすぎやろ
ワイの希ちゃんを返せ

0034名無しで叶える物語(庭)
親が親なら子も子だかんな
もうまともな人生は歩めないわな
まぁそれは希ちゃんもだが

0124名無しで叶える物語(もんじゃ)
こいつ本当どうなってんだよ
親子揃ってあの髪型とかキモすぎ

0537名無しで叶える物語(もんじゃ)
ワイもことりちゃんに監禁されたいンゴ!

0632名無しで叶える物語(おいしい水)
ミナリンスキー()とか
ふざけてんなほんと
お前がふざけてる間にのんたんがどんな目にあったと思ってんだ


希「………っ」

希(な…んで……うちのこととか、ことりちゃんのこととか…われて……)

希(……ううん、それよりこれ……)


希(酷い……)

希(……こんなの、酷すぎる…)

希(ことりちゃんは、何も悪くないのに)

希(えりちが言ってた…ことりちゃんが通報してくれたんだって、だから助かったんだって。)

希(なのに………)


『ガサガサ!!!』


希「……っ、」ガタガタ

希(………)
427 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:35:21.96 ID:XpQb3fB6O
希(ことりちゃん…やっぱり一度、会わないと……)

希(こんなん、うちだったら…耐えられない)



『ガサガサ……ガサガサ』



希「……っ、」ガタガタ


希「………」スッ…スッ…

希「……っ、」

希「………」スッ


希「………」ウトウト



『ガサ……ガサガサ』




希「………」スー…スー…



428 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:37:15.40 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

希「ん……うう……」


理事長「ふふ、東條さん、おはよう。」

希「……っ、?!理事長……なんで……」

希「えっ……あれ……」

希「…うち…助かったんじゃ………」

理事長「ふふふ、何を寝ぼけたこと言ってるの?随分都合のいい夢見てたみたいね…そんな後に、悪いんだけど。もう始めるわね?」

希「…っ、や……嫌………何を………」ガチャ…


希「………っ、動けない……」ガチャンッガチャッ


理事長「ふふ、当たり前でしょう?それじゃあ、あははっ……ザクッといくわよー……せーのっ、」



ザシュッ



希「ぁあ"あ"あ"っ?!!?!」


ポタ……ボタボタ


ピチャピチャッ…ビチャ……



希「ぁ……あ…………」ポロポロ

希「げほっ……けほっ…けほっ……」ポロポロ

希「あ…あ………やめ…て………」ポロポロ

429 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:38:22.62 ID:XpQb3fB6O

理事長「ふふ、嫌よ…やめないわ。次は左腕。四股全部切り落としても、正しい処置をすれば死なずに済むのよ……ふふ、私だけのお人形にしてあげる。」

希「嫌……嫌………」ポロポロ

理事長「…うふふ、もうダンスは一生踊れなくなるわね。でも大丈夫…その後は舌をぬいて、歌も歌えなくしてあげるから。」

理事長「あははっ、楽しみね…目も邪魔だから繰り抜いちゃいましょうか?耳も熱湯でも入れれば聞こえなくなるかしらね…ふふ、うふふ………」

希「や…だ……そんなの絶対嫌…お願い……お願いやから……やめて………」ポロポロ

希「お願い………お願い………」ポロポロ

理事長「ふふ、嫌っていってるでしょう。じゃあ、左腕、いくわね?ふふふ……」

希「やっ……嫌!!やだ、やめて……っ」ガチャンッガチャンッ

理事長「…せーのっ!!」




ガバッ




希「はっ……はぁっ……はぁっ………」
430 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:39:49.43 ID:XpQb3fB6O
希「………夢…………?」ポロ…

希「はぁっ……はっ………」ポロポロ


絵里「………」スー…スー…


希「えりち………」ポロポロ

希「よか…った……」ポロポロ

希「………」ポロポロ


希「あれ……うち、泣いて………」ゴシ…

希「………っ」ゴシゴシ


希「………」

希「……夢で泣くなんて、いつぶりやろ……」

希「………、」


『ガサガサ……ガサッ!!』


希「………っ、」ビク…

希「今……まだ、0時、か……」

希(寝ないと……)

希(……でも、寝るの……怖い………)


希(………)


『ガサガサ……ガサガサ』


希「………っ」


バタッ…


希(寝ないと……えりちに心配かけちゃう)

希(………)


希(寝ないと……寝ないと……)

希(怖い………)

希「………」ギュッ



『ガサガサ……ガサッ』



希「…………っ」ガタガタ


希「う………」ギュ…





希「うう……」ガタガタ

431 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:41:07.44 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−


チュンチュン……チュン

絵里「ん…んん………」


希「………!」ガタガタ


バサッ

絵里「んん……希…起きてる……?」



『ガサ………ガサ』



希(………!やっぱり、えりちがいると聞こえなくなってく……)

絵里「希……?」

希「あ、うん………おはよ、えりち。」

絵里「………」

絵里「希、隈できてるわよ……眠れなかったの?」

絵里「…っ、ごめんね、私……考えてみればそうよね、怖い夢とか…見なかった?大丈夫?」

希「…っ、大丈夫……ほら、1週間も寝てたから…眠くなかったんよ。」

絵里「そう…なのね、」スタッ

絵里「………なら、いいんだけど…」スタスタ



ガチャ…


絵里「……?あら、窓開けっ放しだったのね……寒くなかった?閉める?」

希「…っ、ううん、大丈夫。開けておいて……」

絵里「……?ええ……」

希「………」


希(確かに、少し肌寒い……けど、)

希(でもなんか…なんでやろ、閉めちゃいけない気がする……)
432 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:42:30.24 ID:XpQb3fB6O


……ガチャ


『おはようございます。』


絵里「……?看護師さん、おはようございます。」

希「おはようございます。」

『はい、おはようございます。あの、今日なんですが…朝食の前に、東條さん、採血してもよろしいですか?西木野先生からお願いされていて…』

希「採血ですか?……はい、大丈夫、ですけど……」

『…それじゃあ少し準備してきますね。待っていてください。』


……ガチャン

絵里「希、大丈夫…?」

希「子供じゃないんやから、大丈夫やけど……でも、血とるのなんて久しぶりやなぁ…」

絵里「………」



ガチャ




『…準備ができたので、それではまず、脱脂綿で消毒しますね……』フキフキ

希「………」

『……これでよし。』

『…それじゃあ失礼しますね、ちょっとチクっとしますよー………』ソー…





ーーーーードクンッ





希「…っ?!!」



『『ふふ…いい子ね、ちょっとチクっとするわよ……』』



希「ぁ……あ………」ガタガタ

『………東條さん?』

希「………っ、や、やだ…っ!!」ドンッ



『………いたっ?!』ドサッ

絵里「希…っ?!」






希「あ………」
433 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:43:44.29 ID:XpQb3fB6O


『いたた……』


絵里「ご、ごめんなさい…大丈夫ですか?」

希「……っ、ごめんなさい!!」

『いや、大丈夫ですけど……えっと……』

『……もしかして、お注射苦手ですか?』

希「いや……えっと、その………」

『………』

『……じゃあ絢瀬さん、抑えててもらえますか?東條さんのこと。』

絵里「えっ……でも、あの……」

『……っ、いけない、そろそろ次の患者さんにいかないと……すみません、お願いできますか?』

絵里「……っ、でも………」

希「………」


希「………、ごめん、えりち……お願い。」

絵里「希………」

絵里「でも……」

希「……後で真姫ちゃんのお父さんには、ちゃんと説明するから…今回は………」

絵里「………」

絵里「…わかったわ。」ギュッ

希「……看護師さん、ごめんなさい……もう1度お願いできますか?今度はちゃんとしとくので……」

『…はい、じゃあ落ち着いて…リラックスしてくださいね……はーい、刺しますよ……』
434 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:45:25.37 ID:XpQb3fB6O

ドクン ドクン ドクン


『『ふふ…いい子ね、ちょっとチクっとするわよ……』』



ドクンッドクンッドクンッ



希「ぁ……っ、」ガタガタ


『………絢瀬さん、腕、もう少し強めに抑えてもらってもいいかな?』

絵里「は、はい……」ギュ…


希「…っ、………」ガタガタ



『『ちょっと…もう。暴れないでくれる?変なところに刺さると大変なことになるわよ?』』




チク…


希「う………」ビクビク


『『……ふふ、うふふ……』』

『『すぐには効かないわよ』』

『『ねえ、東條さん、眠い?』』

『『ふふ、起きるまでに、準備しておくから』』


『『ふふっ、あはは…つぎは物理。起きたら痛いわよ、痛いの、ふふふふーーー』』



『ーーーはい、打ち終わりましたよ。』




希「……っ、はぁっ…はぁっ……」ガタガタ
435 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:47:33.67 ID:XpQb3fB6O


『…じゃあ、もう少ししたら朝食なので……私は行きますね。』


絵里「……はい、ありがとうございました。」



……ガチャン



絵里「……っ、希!!大丈夫?」

希「………大丈夫、大丈夫……」ガタガタ

絵里「希………」

希「大丈夫…だから……」ガタガタ

希「はっ……は………は……」ガタガタ



……ギュッ



希「……っ、えりち………」

絵里「………」

希「…大丈夫、だって………」

希「だって、ほら、子供じゃ…ないんだから」

希「ね……?」

絵里「希……震えてる。喋り方も……」

希「………っ、」

絵里「……ね、無理しないでって…言ったじゃない…」
436 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:48:33.43 ID:XpQb3fB6O
絵里「理事長が…睡眠薬、注射器で入れたって言ってたから……だからでしょう?」

希「………っ、…………」

絵里「……仕方ないわよ、私だってそんな目にあったら、絶対注射なんて打てなくなる……」

絵里「希は偉かったわ…偉かったわよ……」ポンポン

希「えりち……」

希「………」

希「……ごめん、また変なとこ……見せちゃって…迷惑かけて……」

絵里「……いいの。ねえ、気にしないでって、言ったでしょう。」

希「でも………」

希「………ごめん、」

絵里「もう……謝らないで。」ギュウ…

絵里「希はえらいんだから…私達のために、頑張ってくれたんだから……」

絵里「ね……?」

希「……っでも……」

絵里「でももだってもないの。」ギュー

希「えりち……」

希「………」

希「……うん、ありがとう。」

絵里「……ふふっ、ええ。」ポンポン



437 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:49:24.82 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

にこ「よし…全員揃ったわね……」


花陽「にこちゃん、それで話ってなあに?」

穂乃果「…そういえばこうやって放課後部室に集まるのって、なんだか久しぶりだね!」

にこ「……たしかにね。で、話なんだけど……」

にこ「……希の担任から、こんな手紙を渡されたのよ。」ピラッ



海未「………っ、これは……」

凛「なになに、海未ちゃん、凛にも貸して!」ピラッ

凛「……、これ………」

花陽「…希ちゃんが留年?そんなのおかしいよ…」

ことり「………っ、」

にこ「…そうよね。それで、その手紙と担任の話によれば、教育委員会だかを呼んで近いうちに会議するみたいなのよ。だから…」

海未「……私達でなんとか説得する…、そういうことですか?」

にこ「ええ。話が早くて助かるわ。私達で絶対なんとかしてやりたいのよ、希も……あと、希と一緒に休んでる絵里も、留年するようなことにはなってほしくない。」

穂乃果「そうだね、そうだよ…二人とも、ずっと生徒会やって、この学校を支えて…なのにそんなの、あんまりだもん。穂乃果たちで絶対なんとかしよう!」
438 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:50:37.62 ID:XpQb3fB6O
真姫「それは勿論そうしたいけど……具体的にどうするのよ。何か策略があるの?」

にこ「ぐぬぬ……それがわかれば苦労しないのよ、あんた達…なんでもいいから案だしてちょうだい!」


凛「はい!!」

にこ「はい凛!」


凛「とりあえず勢いで押す!とにかく押す!押して押して押しまくれば教育委員会だって新理事長だってきっとわかってくれるにゃー!」

にこ「はぁ……まぁそれも1つの案よね。最終的にはそれもアリだと思うわ。」


ことり「……はいっ」

にこ「はいことり!」


ことり「著名を集める……とか?希ちゃんと絵里ちゃんの留年に反対してる人が多ければ、説得する1つの要素にはなるんじゃないかな。」

にこ「なるほどね…確かにそれはアリだわ。早速今日から集めることにして……」


海未「……」スッ

にこ「はい海未!」


海未「…会議の前にできるだけ多くの教員にきちんと説明して、味方になってもらっておくというのはどうでしょうか。」

海未「敵対してる教員がいれば注意するに越したことはないですし、とりあえず先生方一人一人に話に回るべきだと思います。」

にこ「な、なるほどね…確かにそれはそうね。それも今日から周ることにして……はい、花陽!」

花陽「いつもうじうじしてる私が言うのもおかしいけど…こちらの主張は、はっきりさせておいたほうがいいんじゃないかな。」
439 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:51:41.06 ID:XpQb3fB6O
花陽「例えば私としては…留年を、〜日までって日にちで伸ばすだけじゃ、ダメだと思うの。それじゃ希ちゃんだって、治すのに焦っちゃうと思うから…」

花陽「だからできれば卒業までに来られなくても、留年…なんてことには、してほしくない。そこは譲りたくないの。」

花陽「…元々3年生は、3学期の登校日ってほとんどないから…たくさん日にちを伸ばすなら、最後までにしても変わらないと思うから。」

花陽「そういうこととか…希ちゃんが副会長としてやってきてくれたことの実績とかも。全部紙にまとめて、読んで貰えばわかってもらいやすいんじゃないかな。」


にこ「なるほど…確かに日にちを伸ばすだけじゃだめね、私もそれは思ってたの。」

にこ「……わかった。とりあえず今日からみんなで著名を集めて、先生を説得。まとめるのは…そうね、私だけじゃ不安だから…花陽、手伝ってもらえる?」

花陽「もちろんです!」


にこ「うん……じゃあ、そんな感じかしらね。」

にこ「あと……その、あんた達…ありがと。私だけじゃここまで思いつかなかったと思うから…」

凛「ふふっ、にこちゃんが照れてるにゃー!」

にこ「うっさいわねー!たまにはいいでしょー!」

穂乃果「よーしっ、そうと決まれば早速集めに行くよっ!」

海未「説得は、そういうのが上手いことりや真姫に行ってもらいましょう。」

真姫「ええ、わかったわ。」
440 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:53:22.25 ID:XpQb3fB6O
にこ「ああ…あと、」

穂乃果「……?」

にこ「………その、ラブライブと…この部活の、ことなんだけど。」

にこ「それについては……」

穂乃果「待って、にこちゃん。」

にこ「穂乃果……?」

穂乃果「それについては……少し、考えてることがあるんだ。」

穂乃果「だからもう少しだけ……待ってもらえないかな?」

にこ「穂乃果………」

にこ「…そうね、私も少し、考えてることがあんのよ。」

穂乃果「…ふふ、多分ね、にこちゃんとおんなじこと、穂乃果も考えてるんだと思う!」

穂乃果「でも今は…著名を集めたり、そっちのほうが…大事だから。」

にこ「………」

にこ「……たしかにね。じゃあ、この話はまた後日。」

穂乃果「ふふっ……うん!」

穂乃果「じゃあみんな!頑張って著名集めよー!!」


ガチャ!


タッタッタッタ……



マッテクダサイホノカ!
ロウカハハシッチャダメダヨッ
イックニャー!!!


にこ「………」

にこ(希……絵里………)

にこ(やると言ったからには…やってみせるわ。このメンバーなら、できる!)

にこ「…それじゃ花陽、うまいことまとめてやるわよ!」

花陽「はいっ!!」
441 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:54:50.02 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−


希「………」

絵里「希〜?」

希「………」

絵里「のーぞみっ、」

希「………」

絵里「希っ!!」ユサユサ

希「…っ、えりち…?なぁん?」

絵里「………ねえ、まだ朝のこと…気にしてるの?」

希「…ううん、そんなことは……ないんやけど……」

希「………」


絵里「希……」

絵里「…希って、英語得意だったわよね……ここ、訳せる?なんだか長くてよくわからないのよ。」

希「んん…ちょっと貸して、」バサッ

希「うーん……」

希「…ああ、これはほら、ここが関係代名詞になってて……こっちが使役やから……」



希「……うん、こんな訳し方でいいんやないかな。」

絵里「なるほど……なかなか難しいわね。でもありがとう、おかげで助かったわ。」
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 14:57:10.61 ID:cz+/BY7jO
頑張れ
443 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 14:59:07.46 ID:XpQb3fB6O
希「えりちは偉いなぁ、こんな時にも勉強して………って、」

希「………」

絵里「…希?」

希「…そういえば、えりちはもう……本当は、退院…できるんよね?」

絵里「………」

希「学校だって……」

希「ねえ、無理してうちに合わせな…」

絵里「無理なんてしてないわ。」

希「……っ、」

絵里「希……」


絵里「…あのね、私が…希と一緒にいたいのよ。希と一緒に戻りたいの……だから、これは私の我儘。」

希「でも……」

絵里「でももだってもない…って、朝言ったでしょう?」

絵里「希はそんなこと、心配しなくていいの。今はゆっくり、元気になってくれれば…それでいいんだから。」

希「えりち……」

希「………、……ごめんね。」

絵里「もう…だから謝らないの。私の我儘だって…言っているでしょう?」

希「そう…やね……」

希「………」
444 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:01:54.46 ID:XpQb3fB6O
絵里「希……」

希「…あ、そうだ 」

絵里「………?」

希「あの…ことりちゃんの、ことなんやけど。」

絵里「ああ……えっ、もう決めたの?」

希「うん……あんなぁ、ことりちゃん、会いに来て…いいよ。」

絵里「えっ……」

希「会いに来ていいよ、なんて…上からみたいな言い方になっちゃって嫌なんやけど…でも、会いに来ていいよ、って…伝えてくれる?」

希「……それか、うちが直接LINEしてもいいんやけど……」

絵里「いえ、伝えるのは全然いいんだけど…希は本当にそれでいいの?……大丈夫?」

希「………」

希「ことりちゃん…きっと罪悪感とか、感じてると思うんよ……だから早く会いたいん。」

絵里「希……」

希「ああ、でも……」
445 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:03:26.89 ID:XpQb3fB6O
希「今朝みたいな…迷惑を、もしかしたらかけちゃうかもしれないってことも…添えといてもらえると、嬉しいかな…」

絵里「………、わかった…けど……」

希「……?」

絵里「……希。あのね……無理することないの。希は被害者で、私達のこと、助けてくれて……だからね、気なんて使わなくていいのよ。今は自分のことだけ…考えて。」

希「でも……」

絵里「………」


絵里「……じゃあ、これだけでも…少しはかわる…かしら。」

希「………?」

絵里「…あのね、連想して、怖いこと思い出しちゃうようなもの……教えてくれる?その方が希もいいかなって……」

希「えりち……」

希「ごめん、うちにもよく…わからないんよ。」

希「今朝のでとりあえず注射が無理だっていうことと…あと、集中治療室みたいな構造の部屋が苦手だっていうのは、わかるけど…」

希「……ごめんなぁ。」

絵里「もう…謝らないでって言ってるでしょう。それならじゃあ、少しずつ見つかるたびにメモしていくことにしましょう。そしたら少しずつ、そういうもの、避けていけるから…」

希「……そう、やね。ありがとう。」

絵里「ええ……」



ガチャッ


『東條さん、西木野先生に頼まれて、精神科からきたんですが……今から診察、大丈夫ですかねぇ…?』

希「………!あ、はい…大丈夫ですけど…」

絵里「………」
446 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:04:15.31 ID:XpQb3fB6O


『ぃよいしょっと…歳をとると歩くだけで身体中バキバキいってね……あぁ、絢瀬さんは…暫くの間、席を外してほしいんですがねぇ。』

絵里「え、ええ……でも、あの…」

絵里「……ここにいては、いけませんか?」

『…こういう診察は、一対一の方がいいのですよ。だからお願いしますね。』

絵里「………」

絵里「……わかりました。じゃあ希、売店にいるから…終わり次第、LINEしてくれる?」

希「う…うん……わかった。」


ガチャン



『…ふう。はじめまして。精神科のーーです。希ちゃんより随分歳はとってるけど、心は若いままのつもりだからねえ、まぁお母さんとでも思って、気兼ねなくなんでも話しておくれ。』

希「は、はい……」

『ふぉっふぉっ…実は私は希ちゃんの大ファンでねぇ……今回こうやって診察できて嬉しいよ。それで……』

『一体どんな目にあったんだい?』

希「えっ……」

『事件だよ、ほら…初日から、一体どんな目にあったのか…詳しく聞かせてくれるかい?』

希「…っ、あ、えっと……」
447 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:05:03.50 ID:XpQb3fB6O
希「…それについては、真姫ちゃんのおと…西木野先生から、きいてませんか?」

『そうだねぇ…でも、私は希ちゃんの口から聞きたいんだよ……できないかい?』

希「………っ」

希(この人……なんか………)

希(………)

希「……ごめ…なさい、あんまり思い出したくないんです……刑事さんにも、遠慮してもらってて……」

『………ケッ、そうかい。』

希「………っ、」

希(…今、舌打ちした……?)

希(気のせい…かな……)

『…じゃあ症状について。今聞いてるのは、事件に関連性のあるものを見ると、パニックになる……大方フラッシュバック現象だと思うが。これ以外に、何かあるかい?』

希「…えっと………」

希「……虫の這う音が、聞こえるんです。ずっと……」

『ほう……幻聴か。他には?』

希「幻聴っていうか……いるように感じたり、たまに見えたりもするんです。」

『幻聴、幻覚……ふんふん、まぁおそらくそうかとは思っていたが。』

希「………?」

『…ふぉっふぉ、希ちゃん、それはね……恐らくPTSDという病気だよ。』

希「PTSD……それ、どんな病気なんですか?」
448 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:07:47.31 ID:XpQb3fB6O
『日本語にすれば、心的外傷後ストレス障害。』

『事故や災害、事件に巻き込まれた後にね…関連した物をみるとフラッシュバック…その時の場面が鮮明に思い出されたり、あたかもその場にいるような気持ちになったり』

『……あとはそうさね、夜眠れなくなったり、悪夢に襲われるのが大きな特徴かねぇ……』

希「………!そう…ですね、確かに夜、眠れないんです……あの、それ…」

希「………治り…ますよね?」

『ふぉっふぉっ…そうさね……幻聴や幻覚まで出ているとなると、PTSDにしてもかなりの重度だねぇ……』

希「………」

『…だがまぁ、何人もの治療をしてきた私なら、治せるだろうね。』

希「……っ、ほんとですか!」

『ああ、もちろんだとも。』

希「あの……じゃあお願いします。どうすれば…お薬とかですか?」

『そうさね……薬よりも、怖かったことを誰かに話したり…愚痴をこぼしたり。あとは人に頼ったり、甘えたり……人の暖かみを感じることが、大事だと言われているねえ。』

希「……っ、人の暖かみ………」

『ふぉっふぉっ……だが希ちゃん…家族が今、いないんだろう?親御さんも連絡がとれないとかで……』

希「………っ、そうです…けど……」
449 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:09:30.25 ID:XpQb3fB6O

『誰か頼れる人、いるのかい……?』

希「………」

希(えりち………)


『ふぉっふぉっ、ねえ……』



『……まさか絵里ちゃんに頼ろうとか、考えていないかい?』



希「……っ、」

『だめさね、それは……絵里ちゃんには、絵里ちゃんの人生があるんだから……希ちゃんが邪魔をしてはいけないだろう?』

希「邪魔……」

『…そうさね。今朝も絵里ちゃんに、迷惑かけたんだろう?これ以上はよくない……希ちゃんと一緒にここにいてくれてるだけで、十分だと思わないかい?』

希「………っ」

希「……そう……です…よね………」



『ガサガサガサッ!!!ガサッ!!』



希「ひっ……」ビクッ

『ふぉっふぉっ……幻聴でも、聞こえたのかい?ねぇ、希ちゃん……』

希「………?」ビクビク

『……私を頼ればいいのだよ。仕事帰りに、毎日ここによってあげる…母親だと思って、甘えてくれていいんだよ?ほら……ねえ?』ナデナデ

希「……っ、」ゾワッ

希「いや…あの、結構で……」

『絵里ちゃんに、迷惑かけるつもりかい?』

希「………っ」
450 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:11:11.37 ID:XpQb3fB6O
『ふぉっふぉっ……ほら、おいで?』

希「………」

『……おいで?』

希「……っ、」ゾクッ

希「………」ソロ…ソロ…

『ふぉっふぉ……よしよし。』ナデナデ

希「……っ、」ガタガタ

『…幻聴が怖いのかい?可哀想に……』ギュッ

希「あ、あの……やめ……」ガタガタ

『あぁ、そうだ…薬を処方しないとねえ。』ガサガサ

希「……っ、………?」

『……はい、これ。眠れないんだろう?そればっかりは、薬を使ったほうがいいからねぇ…はい、こっちが毎晩飲む用で……こっちが本当に辛くて眠りたいときに飲んでおくれ。』

希「は、はあ………」

希「………っ、」

希「この薬………」


『ハルシオン』


希「ひっ……」ガタガタ

『『ちなみに東條さんを連れてくるときに飲ませたジュースには、ハルシオンっていうお薬が入ってたの。』』

希「はっ……はぁっ……は……」ガタガタ
451 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:12:45.11 ID:XpQb3fB6O
『ふふ、どうしたんだい?虫でも見えるのか……安心しなさい、それは幻覚だからね……』ギュウ…

希「ち、ちが……っ」ガタガタ

希「あ、あの……!毎日飲む方の薬…これ、他のに変えていただけませんか?お願いします……!」

『ふぉっふぉ……こーら、薬の飲まず嫌いはダメだろう?のぞみ。』

希「………っ、」ゾクッ

『……ふぉっ、ふぉっ、…とりあえず今日は帰るとするかね……いいかい、絵里ちゃんに頼りすぎてはいけないよ?頼るなら私を頼りなさい…』

『それじゃあ、また明日ねえ…』フリフリ



ガチャン



希「また……明日………?」ガタガタ

希「………っ」ガタガタ



452 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:13:43.19 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

海未「ことり、それでは私はお風呂に入ってきますね。」

ことり「うん!いってらっしゃい〜!」


ヴー ヴー


ことり「……LINE……絵里ちゃんから?」スッ


『夜遅くにごめんなさい、にこからことりが希に謝りたいって言ってる…って、聞いてて。直接ことりに話したほうが早いと思って。』

『希はことりが謝りに来るの、いいって言ってるわ。いつでも好きなときに来ていいって。』

『…だけど希、今はまだ……事件に関連した物を見たりすると、怖かったこと、思い出しちゃうみたいで……パニックになっちゃうことがあるの。』

『それでね…ことりを見て、そういうことが起こるかもしれないけど…驚かないでほしいの。希はことりのこと、怒ったりはしてないから。ことりちゃんは何も悪くないって、言ってるから。』


ことり「希ちゃん……」ジワ…

ことり「………っ」ポロポロ

ことり「なんで…なんでそんなに、優しいの。」ポロポロ
453 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:14:27.08 ID:XpQb3fB6O
ことり「みんな……みんな、ことりに優しすぎるよ……」ポロポロ

ことり「………っ」ポロポロ


スッスッ


『伝達ありがとう、絵里ちゃん。希ちゃんにも、ありがとうって…伝えてくれるかな?希ちゃん、優しすぎるよ…絵里ちゃんもだけど、みんなみんな……』

『……本当に、ありがとう。近いうちに行くね、できるだけお母さんのこと、思い起こさないですむように…少し考えてみるね。』


ことり「………」スッ


ことり「私……やっぱりお母さんと、似てるん…だよね……」

ことり(希ちゃん、私のことなんてみたら、きっと怖いこと、思い出しちゃう……)

ことり「……できるだけ、なんとか……なにか………」

ことり「………!」

ことり「そうだ……」


454 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:17:42.31 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−

絵里「………」スッ

絵里(ことり……)

絵里「……あら、もうすぐ消灯の時間……」


絵里「……希、いくらなんでも遅すぎる…ような。」

絵里(何か……あったのかしら…)

絵里「…………っ」

ダッ


タッタッタッタ……



ガチャッ


絵里「希……っ?!」

希「………」ガタガタ

絵里「希……?どうしたの…何が……」

希「……っ、あ…えりち……」

絵里「大丈夫?何かあった?LINE来なかったから…心配したのよ……?」

希「あ…ああ、忘れてた……ごめんなぁ。」

絵里「ねえ、希……大丈夫?震えて…」

希「……っ、大丈夫……震えてなんか、ないよ…」

希「……お薬ももらったし…病名?も、わかったから……うん、もう大丈夫……」

絵里「そう……」

絵里「……なら、いいんだけど…なんていう病気だったの?」

希「えっと………、…PTSD…やって。事故にあったり、震災にあった人がよくなるみたい……」
455 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:18:49.18 ID:XpQb3fB6O
絵里「そうなの……」

絵里(…今度すこし、調べてみましょう。)


絵里「…っ、あ、希……時間、もう、消灯時間だから……」

希「あっ、そう…やね、寝ようか。」

絵里「薬は…?飲まなくて平気?」

希「えっと……うん…今日は平気。」

絵里「そう……じゃあ電気、消すわね。」


カチッ


希「………それじゃあ、おやすみ……」

絵里「ええ……あっ、」

絵里「ことりに伝えておいたわ。そしたらことりが希に、ありがとうって伝えてって…それから近いうちに、ここに来るって……」

希「ことりちゃん……そっか、うん…えりちも、伝えてくれて…ありがとう。」

絵里「ええ……」


絵里「…それじゃあ、おやすみなさい……」

希「おやすみ……」
456 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:21:19.88 ID:XpQb3fB6O


希「………」



『ガサガサ……ガサガサ』



希「………っ」ガタガタ


希「う………」ギュ…



『ノソ……ノソ……ガサガサ』



希「う……あ………」ギュウ…

希(足にいる…登ってくる、入ってくる……っ)

希「………」ガタガタ

希(怖い……)


『ガサガサガサ!!ガサッ!!』

希「ひっ………」ギュ……

希(怖くない、怖くない、本当はいない、いない………)

希(………)


希(嘘だよ…怖いよ………)


絵里「希………?」


希「………っ、えりち……?」

絵里「………、……大丈夫?怖くない?」

希「えりち………」

希「………っ」

希(本当は………)


『いいかい、絵里ちゃんに頼りすぎてはいけないよ?』


希「………っ」ガタガタ
457 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:22:00.17 ID:XpQb3fB6O
絵里「希……?」

希「……、大丈夫………」ガタガタ

絵里「……本当に?」

希「うん……大丈夫、大丈夫、やから………」ガタガタ

絵里「そう……」

絵里「………なら、いいんだけど……」


希(えりち………)

希(……ごめん、ごめん、なぁ……)


『ガサガサガサ!!ガサッ!!ガサガサ!!』


希「………っ」ギュウ…


希「………」ガタガタ





希「……っ…」ガタガタ



458 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:23:07.01 ID:XpQb3fB6O
−−−−
−−−
−−


理事長「……ねえ、ちょっと。」

『なんだぁ??』

理事長「私の娘…面会に来たり、手紙をよこしたりしてない?」

『何も来てないぞ』

理事長「そう……おかしいわね………」


理事長(私が捕まって、10日が経つけど……)

理事長(未だにことりが寂しがって来ないなんて…どうなってるの。)

理事長(あの子は一人で生きていけるほど強くない…一人になるくらいなら、たとえ監禁事件の犯人だとしても縋りに来るはず……)

理事長(………)


理事長「……なるほどね。」


理事長(そうなると…誰かがことりのこと、匿ってくれてるわけ…ね。)

理事長(西木野さんのとこか…高坂さんちか、園田さんちかしらね。)


理事長「ふふ……」


理事長(まぁ…いいわ。それにしたってことりは私のこと、大好きだもの……いつか耐えられなくなって会いに来るはず。)

理事長(それに裁判では…情状証人として、私の肩をもつようなことを言ってくれるはずよね。)
459 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/11/30(水) 15:24:10.21 ID:XpQb3fB6O
理事長(たかだか半年程度一緒に過ごした先輩よりも…私の方が、よっぽど大切なはずだもの。)


理事長「ふふ…あはは。」


理事長(東條さんは…どうなったかしら。殺人罪で問われそうじゃないところから、生きてはいるんでしょうけど。)

理事長(目は覚めたかしら……でももう、まともには生きていけないでしょうね。ふふ。どうせなら絢瀬さんの足を引っ張って…二人して依存して落ちていけば、おもしろいわね。)

理事長(いい弁護士も雇ったし……殺人未遂にはならないはず。精神鑑定で責任能力なし、となってくれたら一番ありがたいけれど…)

理事長(まぁとにかく、死刑には絶対ならないんだから…いつか釈放されたら、もう一度東條さんに会いに行きましょう。ふふ、どんな顔するかしら…今からとっても楽しみね。)


理事長(それからことり……)

理事長(…ふふ、釈放されたら、ことりとチーズケーキでも作って…また食べましょう。東條さんはぐちゃぐちゃに歪んだ顔が最高に似合うけど、ことりは朗らかな笑顔が最高に似合うのよ…)

理事長(ああもう、今から楽しみだわ…ふふ、うふふ……)
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 19:17:15.94 ID:9wY3uUbGo
ラ板の再現で草
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 19:29:58.16 ID:W0vhOWpro
草も何も再掲でしょ
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 20:17:13.23 ID:bE5Oj7VAO
そう言う意味じゃなくSS本文でラ板風の部分があるってことでしょ
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 20:17:30.71 ID:T0sUOezUo
というか、>>1にそう書いてあるのにね。何が草なんだろう
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 20:18:58.19 ID:T0sUOezUo
ああ、文中のことり叩きのスレのことか。ごめんね
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 23:54:46.07 ID:ZFN7lWBSO
>>438
著名を集めるのか…(困惑)
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 01:02:13.40 ID:0AHs4IUTo
元スレでも指摘されてた気がするけど直ってなかったか
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 06:37:02.36 ID:E680/H0SO
傍受は無線
468 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:14:21.45 ID:YatuNBnqo
ほんとだラ板でも指摘されたのに直し忘れた
>>438 著名→署名で
469 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:16:36.68 ID:YatuNBnqo
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ダッダッダッダッダッ…



ガチャ!!



にこ「はぁっ、はぁっ……日にち!決まったわよ!!会議の!!!」

凛「ほんと!!?いついつ?!」

にこ「来週の金曜日…今日から丁度一週間後ね。花陽のおかげで配るプリントはもう作れたけど…先生の説得と署名の方はどう?」

真姫「教員はほとんど説得できたけど……頭のかっちこちな教頭だけは味方してくれそうにないわね。ルールはルール!ってうるさいのよ。」

ことり「あはは…うちの教頭先生、昔からそうだからね…でも一人くらいなら初めに凛ちゃんが言ったように、勢いで丸め込めるんじゃないかな。」

にこ「なるほどね…まぁたしかに、教頭にだけ注意しておけばいいなら…なんとかなりそうね。」

穂乃果「署名の方は、みてみて…ほら!こんなにたまったよ! 120個はあるから…音ノ木の全校生徒、240人くらいだよね!半分は超えたんじゃないかなっ」

にこ「すごいじゃない!たった6日でよくそんなに集めたわね…今日からは私達も手伝うわ。」

真姫「私達ももう先生は全員まわったし…そっち、手伝うわよ。2/3もたまれば御の字ってとこじゃない?」

穂乃果「ふふっ、みんなで集めれば2/3なんてすぐいっちゃうよ!」
470 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:18:08.84 ID:YatuNBnqo
にこ「あったりまえよ!この宇宙No.1にこにーがぁ、署名ください〜♡って言って、署名しない生徒なんて……」

真姫「キモチワルーイ。」

にこ「むぐぐぐ!いいからほらっじゃあ…」


ことり「ああっ!!」


にこ「……っ、何よことり、突然大きな声出して……」

ことり「来週の金曜日って…11月11日、だよね…?」

にこ「そうだけど……」

ことり「………ごめん、ごめんね…その日私、お母さんの裁判があって……」

海未「………っ、その日だったんですか……」

ことり「…ごめんね、今さっき刑事さんから連絡来たところで……これが終わったら海未ちゃんにも言うつもりだったんだけど……」

海未「ことり……」

海未「………」

海未「にこ、すみません、その日私とことりは………」

ことり「ううん。」


海未「…っ、ことり……?」

ことり「海未ちゃんは…にこちゃん達の方に行って。裁判の方は…私一人で、大丈夫だから。」

海未「ことり……しかし、」

ことり「いいの。」

海未「………っ、」
471 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:19:07.77 ID:YatuNBnqo
ことり「……今は希ちゃんが、今まで通りの生活を取り戻せるようにお手伝いすることが、一番大切だ…って、海未ちゃん言ってたでしょ。」

ことり「私もね…その通りだと思うから。それなら海未ちゃんは、こっちじゃなくて…にこちゃん達と先生方の説得をしたほうがいいと思うの。」

海未「ことりは……」

海未「………ことりは、それで大丈夫なのですか。」

ことり「うん…大丈夫だよ。」

ことり「だってその場にいなくたって…私には海未ちゃんが、穂乃果ちゃんが……それにμ'sのみんながいるんだもん。優しくって、大好きなみんながいて…私には帰る場所があるんだから…」

ことり「……それだけで十分。頑張れるよ!」

海未「ことり……」


海未「……わかりました。私はここでにこ達と最善を尽くします。お互い頑張りましょう。」

ことり「うんっ!」


にこ「……なんだかよくわからないけど、ことりはその日裁判があって…海未はこっちに来るんでいいのね?」

ことり「うん、それで大丈夫だよ。」

ことり「あと……私ね、今日このあと、希ちゃんに…謝りに行ってくるから、だから…」

にこ「ええ、それは絵里から聞いてるわ。希の様子…しっかり見てきて。それで謝るよりも…元気付けてやって。希はきっとことりのこと、恨んだりはしてないと思うから。」
472 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:20:11.49 ID:YatuNBnqo
ことり「にこちゃん……」

ことり「……うん、わかった。」

にこ「じゃあほら、いったいった!」トンッ



タッ…タタ


ことり「うん……ありがとう。いってくるね!」


ガチャッ


タッタッタッタ……



凛「ことりちゃんいいなぁ、凛も早く希ちゃんに会いたいにゃー。」

花陽「そうだね…」

にこ「きっともうすぐ会えるわよ、希だもの…大丈夫、絵里がついてるんだから。」

花陽「にこちゃん…」

にこ「…あの希に、あの絵里がついてるんだから……大丈夫。私たちは私たちにできること、やってやりましょ。」

にこ「…ってことだから…じゃーあんた達!署名集め、いっくわよー!!」


穂乃果「おー!!」



473 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:21:16.45 ID:YatuNBnqo
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−−


絵里「希……?」

希「…………なぁん?」

絵里「…ねえ、体調悪い?」

希「………、べつに、平気やけど…」

絵里「………本当に?」

絵里「隈、酷いわよ…眠れてないんじゃない?」

希「………大丈夫。」

絵里「でも……ねえ、じゃあ薬が合わないんじゃない?私があの先生に言って…」

希「……っ、大丈夫、大丈夫やから……」

希「……何もしなくて、いいから……」

絵里「でも……」


絵里「………ねえ、お願いよ…何かあるなら言って?私ね、ここ最近…希がどんどん酷くなっていってるように見えるのよ……」

希「……さっき看護師さんが、体はもう大丈夫って、体力も少しずつ付いてきてるから明日検査しましょうって、言ったばっかりやん……それって良くなってるんとちがう?」

絵里「体はね……でも、その……」

絵里「………っ」

希「………」


希「……ごめん、当たるようなこと言って……」

希「でも、大丈夫やから……」

希「……っ、………」ギュ…
474 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:22:21.13 ID:YatuNBnqo
絵里「希……」

希「……っ、ほら、今日はことりちゃんが来るんよね?大して物もないけど、歩く練習がてら、少し片付けようか…」スタッ

希「………っ、たた…」

絵里「ちょ、大丈夫!?」

絵里「……まだ、無理しちゃだめよ…ね、片付けなら私がするから。希は座ってて?」


希「………」

希「……でも…もううち、ここに運ばれてから16日も経ってるんよね……」

希「…あの倉庫にいた時間よりも長い時間が過ぎてるのに…いつまでもえりちに頼ってたら……」

絵里「いいのよ。真姫のお父さんも言ってたでしょう、少しずつ良くなってくからって。ね?」

希「でも……うち、えりちに頼りっぱなしで、」

絵里「そんなことないわよ…むしろ私は、もっと頼ってほしいって思ってるんだから。」

希「………」



コン コン



絵里「………っ、はいー?」

ことり「…ことりです、入っても平気かな?」

絵里「…希、大丈夫?」

希「っ……」


希(ことりちゃん……)
475 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:24:05.87 ID:YatuNBnqo
希(ことりちゃんと理事長は、そっくり…だけど)

希(……ことりちゃんは、ことりちゃんだから…)

希(大丈夫……大丈夫……)


希「………」スー…ハー…


希「ええよー、入って入って。」


ガチャ…



ことり「…久しぶり、絵里ちゃん、のぞ……、っ」

ことり「のぞみちゃん……っ」ジワ…

希「………っ、」

希(やっぱり……似てる………)


『ガサガサガサ……ガサガサガサ』


希「……っ」ブンブン


希(でも、違う……違う……だって……っ)


希「………っ、ことりちゃん……その髪、どうしたん…?」

希「凛ちゃんより…短いんじゃ、それに…トレードマークのあの髪が…」


ことり「…来る途中に切ってきたの。でも、そんなことより、ねえ……っ」ポロ…

ことり「希ちゃん………っ」ポロポロ

ことり「ごめ……ごめんね、希ちゃん……ごめんね」ポロポロ

ことり「う………ぐすっ、ううう……」ポロポロ

希「ことりちゃん……」
476 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:25:36.69 ID:YatuNBnqo
ことり「ううううっ、ごめんね、希ちゃん……!!」ポロポロ


タッタッタッ


ギュッ

希「おおっと……」

ことり「ごめん……ごめんなさい……希ちゃん、希ちゃん………!」ポロポロ

ことり「髪………頬っぺたも、体もそんなに痩せて………っ」ポロポロ

ことり「こんな……酷い………」ポロポロ

ことり「……見えないだけで、他にもたくさん……たくさんお母さんが………っ」ポロポロ

ことり「ううっ、ぐすっ、ううう……」ポロポロ


ことり「ううう、ごめん……ごめんなさい……っ」ポロポロ

希「ことりちゃん………」

絵里「………」

希「えりち………」コク…

絵里「希……でも、大丈夫?」

希「大丈夫……」

希「…やっぱりことりちゃんは、ことりちゃんやね……理事長とは、違うよ……」ナデ…

希「髪、うちのために…切ってきてくれたんよね、そんなに短かく………」

希「………ごめん、ね…」
477 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:26:31.60 ID:YatuNBnqo
ことり「なんで希ちゃんが謝るのっ、希ちゃんは、何も謝らなくていいんだよ……」ポロポロ

ことり「…私のこと、どうしてもっと早く気付かなかったんだって、どうしてもっと早く通報しなかったんだって…怒っていいのに……」ポロポロ

希「ことりちゃん………」



絵里「………じゃあ、私……下で待ってるわね。」

希「うん……ありがとう。」



ガチャン

絵里「………」



コツ…コツ…


絵里(………希に、ことりが来て…大丈夫そうだったら二人で話すからって言われて、出てきちゃったけど……)

絵里(……大丈夫、かしら。)


コツ……コツ……


絵里(……まぁ、大丈夫…よね。ことりには希のこと、話してあるし……ことり、ばっさり髪切って…がらりと雰囲気変わっていたし…)


『ことりちゃん……』ナデ…


絵里「………っ」

絵里「………」ブンブン


絵里(なんで思い出してるのよ……もう……)

絵里(…まさか嫉妬?そんなわけ……)

絵里(……だって、この気持ちは………)


絵里「………」
478 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:28:01.06 ID:YatuNBnqo
絵里「はぁ……」


絵里(希……起きてからずっと、調子が悪そうでは…あったけど……)

絵里(注射を怖がったあの日から、日に日に悪くなっていってるような気がする)

絵里(希は隠してるつもりなんだろうけど…時折見せる、何かに怯えてるような…じっと耐えているような、あの表情)

絵里(原因がわからない…聞いても教えてくれない、希は私を頼ってくれない)

絵里(……起きてからの何日かは、あんなに頑なではなかったのに、どうして……)


絵里「………」

絵里「わからない…わね……」


絵里(PTSDについても…調べてみたけれど、治療としては最終的には専門医に任せること、というのが多くて…私にできることは少ない)

絵里(どうしたら……)

絵里(………)


絵里「………あ、」



『……ずっとずっと、ありがとうございました!先生のおかげで、無事社会復帰できるまでになって……』

『ふぉっふぉっ、それは良かった……しかしこれからも薬はしばらく飲み続けるようにねぇ、頑張りすぎないで、楽しくやれるのが一番だから。』

『……はい!あ、車が来たみたいなので、行きますね。それじゃ!』

『はいはい、また辛くなったらいつでもおいで〜』フリフリ



絵里「あれって……希の……」
479 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:29:16.38 ID:YatuNBnqo
絵里「………っ」


タッタッタ……


絵里「…あのっ!」

『……おおー絢瀬さんじゃないか。どうしたんだい?東條さんは?』

絵里「あ、えっと…今は友達がお見舞いに来てるので…病室にいます。」

『ほおほお、なるほどねえ…』

絵里「あの、希のことで…少し聞きたいんですけど。」

『ふぉっふぉ、なんなりと。』

絵里「えっと………」


絵里「……希の治療の方ですが…どうですか?良くなってますか?」

絵里「……私には、日に日に悪くなっていっているように見えて……」

絵里「…時々、酷く辛そうな表情をするんです。何かに怯えてるみたいな……」

絵里「………何か知ってたら教えていただけませんか?」

『…ふぉっふぉっ、そうさね……』

『まぁまず1つ言えるのは、こういう病気は前進と後退を繰り返して少しずつ良くなっていくものだということかねえ。』

『それから何に怯えているか……それについては、私はしっているけれど……』

絵里「本当ですか!教えてください!!」
480 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:30:57.78 ID:YatuNBnqo
『……教えるのは簡単だがねぇ、でも絢瀬さん、東條さんは絢瀬さんに言わないんだろう?それって知られたくないということじゃないかい?』

絵里「………っ」

『ふぉっふぉっ……悪い言い方をしてすまないね、だが…東條さんの治療に関しては、私に任せてくれないかね?』

絵里「それは…そうですが、でも…私にも……」

『実は私は、μ'sの、特に東條さんの大ファンでねえ……東條さんには、他の患者さん以上に、特別たくさん世話を焼いてあげているつもりだよ…』

絵里「そう…だったんですか…」

『ふぉっふぉ、毎晩専門医が寄ってくれるなんて、こんな幸運なかなかないと思うね…私は東條さんに、母親代わりにしていいとまで言ってるんだ。』

『もちろんあんなに酷い事件の後だからねぇ……すぐに良くなるのは難しい、後退もするだろう。』

『…しかしここは、私に任せてくれないかい?絢瀬さんには絢瀬さんの人生だってあるだろう…それに東條さんが今頼っているのは、私、なんだからねえ…』

絵里「………っ」

絵里「………」

絵里「……わかり…ました……」

絵里「…でも、私には私のできることがあると思うので…少し、考えてみます。」

『ふぉっふぉっ、考えるのはいいことだよ。こんなべっぴんさんに世話を焼いてもらえるなんて、東條さんも幸せ者だねえ…』

『あ、それじゃあ私はそろそろ行かないと……』

絵里「……っ、はい…ありがとうございました……」


絵里「………」

絵里(………なんだか……あの先生………)


絵里(………)

絵里(………考えすぎ、かしら……)



絵里「………」


481 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:31:55.87 ID:YatuNBnqo
−−−−
−−−
−−


「……え…ちゃ………りちゃん……」


絵里「ん、うう……」


ことり「絵里ちゃん…?」


絵里「ことり……?」

絵里「……っ、ごめん、ちょっとうとうとしてたみたい……希との話は終わったの?」

ことり「うん……」

絵里「そう……って、ことり…目が真っ赤じゃない…大丈夫?」

ことり「大丈夫。ねえ、絵里ちゃん……」

絵里「……?」

ことり「希ちゃん……大丈夫、なのかな……」

絵里「………っ」

ことり「…私ね、にこちゃんに言われて…謝るのももちろんそうだけど、希ちゃんを少しでも元気付けられたらって、そう思ってたんだけど…」

ことり「…希ちゃん、元気そうにはしてくれるんだけどね、けど……」

ことり「………だけど…その……」

絵里「……ええ、わかってるわ。」

絵里「私が……私がなんとかするから。」
482 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:33:52.14 ID:YatuNBnqo
ことり「絵里ちゃん………」

ことり「………ごめんね。」

絵里「ことりが謝ることじゃないわ…髪もそんなに切って、ねえ…ことりも自分を責めすぎないでね?」

絵里「ネットとか……心無い発言が飛び交っているけど、それはことりのことを知らない人たちの戯言なんだから……」

ことり「うん…大丈夫、ありがとう。」

ことり「あのね、実は11日に、お母さんの裁判があって……」

絵里「………っ、理事長の………」ギリ…

ことり「……私、そこで少し発言する機会があるんだけど…お母さんの刑、できるだけ重くできるように…言ってくるから。」

ことり「……人を殺したわけではないから…死刑にはできないけど、一番重くて無期懲役には、できるはずだから……!」

絵里「ことり……」

絵里「……ありがとう。あんまり軽い刑になったりしたら…私、自分を抑えられるか……わからないから……」

絵里「ことり頼みになってしまって、ごめんね…ことりも辛いでしょう、家族なんだもの……」
483 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:35:00.60 ID:YatuNBnqo
ことり「……ううん、大丈夫。私にできること、これくらいしかないから……それに今日希ちゃんに会って、私もますます…お母さんのこと、許せないなって、思ったから…」

絵里「ことり……」

ことり「……っ、あ、ごめんね、引き止めちゃって……希ちゃんのところ、行ってあげて。絵里ちゃん。」

絵里「ええ、今日はありがとう、また今度…今度はみんなで会えるといいわね。」

ことり「うん……それじゃあ、」

絵里「ええ……」


タッタッタッタ…



ことり「………」フリフリ

ことり「………」

ことり(……希ちゃんも、絵里ちゃんも…私にすごく優しくしてくれる、けど……)

ことり(…でも、お母さんのこと……心の底から許せないこと…怒ってること、それだけはすごく…伝わってきた)

ことり(あんな希ちゃんを見たら…私だって、許せないよ……)

ことり「お母さん……」


ことり(……絶対、軽い刑になんか…させないからね…)


484 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:36:13.59 ID:YatuNBnqo
−−−
−−



ガチャッ


絵里「希……」

希「…っ、えりち……」

希「……おかえり。外で待っててーなんて、我儘言って…ごめんなぁ。大丈夫だった?」

絵里「私は別に……大丈夫よ。ことりとは話せた?」

希「うん…ことりちゃん、なかなか泣き止まなかったんやけど…一通りお話した後はにこっちの話とかも聞かせてくれて、楽しかったよ。」

希「あ、あとこれ…チーズケーキ。手作りだからなるべく早めに食べて〜って、ふふ、美味しそう。楽しみやなぁ。」

絵里「希……」

絵里「…ふふ、それなら良かった。チーズケーキは冷蔵庫に入れておきましょうか。あら……?」

希「………?」

絵里「雨…降ってきたみたい。窓閉めるわね。」

希「……っ、うん……」

絵里「………」カチャ


ザー


絵里「雨なんて…なんだか久しぶりね……」

希「そうやね……」



ヴー ヴー


絵里「…っ、あら…私?何かしら、」スッ

絵里「………」スッスッ…

絵里「……!」
485 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:37:30.54 ID:YatuNBnqo
絵里「……ごめん希、おばあさまが下に服とか持ってきてくれたみたいだから…もう一度下に行ってくるわね、すぐ戻ってくるから。」

希「……わかった、いってらっしゃい。」


ガチャ


タッタッタッタ……



…バタン


ザー


希「………っ」

希(雨……かぁ………)

希(確かに久しぶり……)

希(………今日は窓、開けられない…な……)

希(あ、ドアも閉まってる…なぁ……)

希(なんだか…空気がこもって……)


『ガサガサガサ………ガサガサガサガサ』



希「………っ、」



『ガサガサガサガサ!!!ガサガサガサガサガサガサガサ!!!』



希「……っ、な……なに………こんなに……」




ーーーーーーードクンッ




希「…っ、………?!」
486 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:39:10.10 ID:YatuNBnqo

ドクッドクッドクッドクッ


『ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ』


希「うっ……けほっ……」


『ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ』


希「けほっ、はっ………はぁっ……」ガタガタ

希「う………うう……はぁっ、はっ……」ガタガタ


『ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ!!!ガサガサガサ!!!』


ドクンッドクンッドクンッ



希「な…に……これ………けほっ、はっ…はっ………」ガタガタ

希「や…だ……なに………けほっ、げほっ……」ガタガタ


ノソ……ノソ………ヨジヨジ………ウネ……


希「ひっ…嫌………やだ、やだぁっ……」ポロポロ

希「う……うう…………やだ……やだ……」ポロポロ

希「こないで……こないで……!!!」バシッバシッ

希「はぁっはぁっ………」ガタガタ


希(なんで……っ、こんな急に………)

希(本当はいない……いないから、消えて、消えて………!)
487 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:40:02.59 ID:YatuNBnqo
希「だれ…か…………えり………」ポロポロ



『いいかい、絵里ちゃんに頼りすぎてはいけないよ?』



希「う………」ギュ…

希「でも……でも………!」ポロポロ

『ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ』

希「ひっ………やだ………う……うう………」ポロポロ

希「はぁっ……はっ………けほ………」ガタガタ


『『ふふ……』』


希「………っ、」ポロポロ

希「………理事…長…………?」ポロポロ


『『…これからもっと痛いことするわね?理不尽に痛いことばっかり東條さんに押し付ける。東條さんはそこから逃れられない。助けも来ない。狂ってもだめ。』』


希「う……あ…………」ギュウ…

希「ぁ………あ…………」ポロポロ

希「やだ……ここ………出られない……?」ポロポロ


希「はっ……はっ……はぁっ………」ポロポロ


希「雨だから…外には出れなくて……全部閉まってるから…だめで………え、あれ……」ポロポロ
488 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:41:03.30 ID:YatuNBnqo
希「………っ、げほっ、けほっ……うあ……」ポロポロ

『ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ』

ドクンッドクンッドクンッドクンッ

ウネ……ウネウネ………ヨジ…………ヨジヨジ


希「う……嫌…ぁ………けほっ、げほっ……」ガタガタ

希「はぁっ…はぁっ…はぁっ……」ポロポロ


ウネウネウネウネッ


希「ぁ……や…だ………やだ……耳に………っ」ポロポロ

希「はぁっ…はぁっ、やだ…入って……こないでよ………っ」グ…

希「う……うう………いや……嫌………」ポロポロ


……ポロッ


希「………っ」

希「え…………」ポロポロ


希「あ……え………?」ポロポロ



希「……いや…これ、幻覚……あれ………?」ポロポロ



『『あらら…耳の中入って、出てこなくなっちゃった?ふふ…いま入ったのはね、ゲジゲジってよく呼ばれてる虫…よく花壇とかで、見たことあるでしょ?』』



希「ぁ…………」ポロポロ
489 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:42:48.61 ID:YatuNBnqo


希「ぁ………あ………」ポロポロ




希「嫌ああああああああああっ!!!!」ポロポロ




絵里「希っ?!!?」ガチャッ


希「やだっ……やだぁっ、嫌………!!」ブンブン

絵里「ど、どうしたの……えっ、」

希「やだ……やだ………」ポロポロ

希「う……けほっ………ううう………」ガタガタ

絵里「これ……なに、なんの虫よ……」

絵里「死んでる……?」

希「はっ……はぁっ………けほっ………」ポロポロ

絵里「……っ、希……!」

希「やめてっ、やだ、やだ………」ブンブン

絵里「希……のぞみ!!私よ、絵里よ……!!」ギュッ

希「………っ、やだ…やだ……はっ……はぁっ……やだ………」ポロポロ

絵里「希………」

希「やめて!!ここから出して…やだ……やだぁ………」ポロポロ

絵里「……っ、ナースコール、しないと…!」ピッ

『どうされましたか?』

絵里「希が!!パニック起こしてて…すぐ来てください!!!」

『、西木野先…『………っ、すぐ行くよ!』ガチャ
490 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:44:22.94 ID:YatuNBnqo



タッタッタッタ……ガチャッ

『……っ、大丈夫?!』


絵里「希……っ、のぞみ………!」

希「はぁっ……はぁっ………う……うう」ポロポロ

『…………っ、何があったんだい?』

絵里「それが……よくわからないんですけど、多分この虫が………」

『……なんでこんな虫が………っ』

希「もう……やだ…………やだ……っ」ガタガタ

希「もう……………っ」ポロポロ

絵里「………っ、噛んじゃだめ!!!」ギュッ

希「うっ………けほっ………絵里……?」ポロポロ

絵里「………!そう、そうよ、絵里よ…ねえ、希………っ!!」

希「………っ、けほ……けはっ…」ポロポロ

希「…、やだ……やだ…………」ガタガタ

絵里「希………」ジワ…

『…っ、ごめんね、絵里ちゃん……また、希ちゃんのこと、抑えててもらえる?』

絵里「………っ、はい………!」

『…ごめんね、希ちゃん…………』

希「やだ……やだよ…こんな………っ」ポロポロ

絵里「希…ごめんね、ごめんね………」
491 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:45:46.66 ID:YatuNBnqo


『…………、…はい、打てたよ。』

絵里「希………のぞみ、大丈夫…もう大丈夫だから……」ポンポン

希「はぁっ………はぁっ………」ポロポロ

絵里「大丈夫………」ポンポン

希「は………は………」ポロポロ



希「う………」カクッ




希「………」スー…スー…


絵里「希……もう、寝ちゃった。」

『……寝不足だったのかな、薬の効きが普通より早いみたいだ。』

絵里「真姫のお父さん………」

『………?』

絵里「あの……」

絵里「希……よくなりますよね、今はまた少し悪くなってるけど、段々…また、よくなりますよね。」

『あ、ああ………』

『…………』

『……精神科の先生と、少し話してみるよ。とりあえず今日は…このまま寝かせてあげて。』

絵里「はい…わかりました。」

絵里「希のこと……よろしくお願いします……」

『ああ……』


絵里「………」
492 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:47:00.51 ID:YatuNBnqo
−−−−
−−−
−−

チュンチュン……チュン…


絵里「………」バサ…


絵里「んん……ん………」

絵里「晴れてる………」

絵里「…………」


希「……おはよ、えりち。」

絵里「……っ、希……起きてたのね……」

絵里「……おはよう。」

希「うん……」

希「………」


絵里「希…?」


希「あのね……昨日の、……ごめん。」

絵里「……っ、いいのよ。全然気にしてないから。」

希「ありがとう……ごめんね……」

絵里「謝らないで。希は何も悪くないでしょう?」

希「……、そうやね……」
493 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:47:50.79 ID:YatuNBnqo
絵里「…でも……何があったの?虫がいたから?」

希「……それも、そうなんやけど……」

希「自分でもよく…わからないんよ。」

希「…なんだか、雨が降ってたから……ここから出られない気がして。」

絵里「えっ…?」

希「あはは……よくわかんないよね……」

希「………」

希「……、どうしたらいいんやろうね……」

絵里「希………」

希「…、ふふっ……そんなん言われても、困っちゃうよね。」

希「うーん…とりあえず雨の日は…扉を少し、開けておいてもらえると…なんだか安心できるかも。」

絵里「………」

絵里「…わかったわ。」

希「……ごめんね、」

希「早く…良くなりたいんやけど、やっぱりなかなか…難しくて……」

希「…ごめん………」

絵里「……だから、謝らないで。そんなの当たり前よ…ゆっくり治していきましょう?」
494 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:48:41.68 ID:YatuNBnqo
絵里「焦らなくていいから……ね?」

希「うん……」

希「……でも、その……あのね……」

希「………もう、申し訳なくて。」

絵里「えっ……?」

希「えりちに迷惑かけるの…申し訳なくて……」

希「……うち、多分もう…音ノ木、卒業できないと思うんよ…このままだと、少なくとも留年は免れない…」

希「…でも、えりちはまだ、間に合うと思うから……」

希「だから……」

絵里「大丈夫よ、それは。」

希「えっ…?」

絵里「…希の留年については、会議が開かれることになっていて…にこがそこで、絶対説得してくれる。希を留年になんて…させないって、言ってくれたから。」

絵里「…私のことも、ついでになんとかしてくれるって。」

希「にこっちが……」

希「でも………」
495 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:49:30.39 ID:YatuNBnqo
絵里「…もう……希、そんなこと、気にしないで?」

絵里「大丈夫よ。全部なんとかなるから…これからは、全部良いようになっていくから。」

絵里「ね……?」


希「………」

希「うん………」


絵里「希………」


絵里「……ねえ、これ…希が持っていた方がいいわね。」ガサ…

希「………?」

希「あ、それ………」

絵里「…ふふ、希のお守り……これね、すごいのよ。にこが貸してくれたんだけどね…」

絵里「…これをもって色々調べていたら、大事なことが…色々判明して、」

絵里「これをもって倉庫に行ったら、希と一緒に出ることができて。」

絵里「これをもって…希が起きるように願ったら、希の目が覚めたのよ。」

絵里「ふふっ…ね、すごいでしょう?」

希「えりち……」

希「………」
496 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:50:31.26 ID:YatuNBnqo
希「………そりゃあ、うちの手作りのお守りやからね…効果は抜群に、決まってるやん…?」

絵里「ふふ…考えてみればそうね、」

絵里「これ…無くさないように、よいしょっと………ふふ、こうやって、希のスマホに…つけておきましょ。」

希「自分のスマホに自作のお守りつけるって、なんだか変な人みたいやなぁ…」

絵里「…ふふっ、希は前から、変わってるじゃない。」

希「えりち…ちょっとそれ、どういう意味〜?」

絵里「ふふっ、うふふ…」

希「もー……」


コン コン …ガチャ


『希ちゃん?』


希「あ、真姫ちゃんのお父さん…」

『…おはよう。顔色、少しだけ良くなったね。』

『……今日、検査の予定だったけど…予定通りやるんで大丈夫かな?変えようと思えば変えられるんだけど……』

希「……大丈夫です、お願いします。」

絵里「希……大丈夫?」

希「うん…もう平気。昨日はあんなんやったけど……なんだか、よく眠れたから…」
497 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:51:45.35 ID:YatuNBnqo
『……そっか。じゃあこれからやるんで大丈夫かな?1日がかりになるけど…頑張ろっか。絵里ちゃん、今日1日…希ちゃん、借りてくね。』

絵里「あ、はい……希、行ってらっしゃい。」

希「うん……行ってくるなぁ。」



ガチャン


絵里「………」

絵里「検査…か……」


『…ただ、もう少し下の方も…色々、毒が抽出されたり、影が見えてね……その、中にいた物は取り除いておいたけど…』


絵里「………っ」


『……まだわからないが、その器官の機能は失われてるかもしれないから…目が覚め次第、検査が必要。』


絵里(……その器官って……)

絵里(…そういう、ことよね……)


絵里「………」


498 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:52:29.33 ID:YatuNBnqo


『希……!』

『…なぁん?』

『その……私、私ね………』

『うん……?』

『………っ、これ、μ'sのアンケート?』

『そうやけど……』

『………』


<将来の夢を教えてください。>

[巫女さんか幼稚園の先生!ちっちゃい子が結構好きなん♡将来はたーくさんベビちゃんがほしいですっ!]


『えりち…?何か話が……』

『……っ、ううん……なんでもない……』

『………?』

『ふふ、なんでもない…から。それより練習、早く行きましょ?』



499 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:53:26.38 ID:YatuNBnqo
絵里「希………」

絵里「………」

絵里「…そう、希は、ちっちゃい子が大好きで……子供がほしいって、ベビちゃんがほしいって、だから……」

絵里「……だから私は、諦めたんだから……全部、全部………」

絵里「………」


絵里(……神様、お願いします。)

絵里(私は……いいから。私はいらないから、だから……)



絵里(希のことーーー)


500 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:55:03.22 ID:YatuNBnqo
−−−−
−−−
−−



コツ…コツ…コツ、

シャシャッシャ……


希「うう…やっと終わった……」

『はは…長くなってしまってごめんね。今日はもう疲れたろう。精神科の先生にも今日は診察は断っておくから、ゆっくり休んでね。』

希「……っ、すみません、つい……私、車椅子押してもらって、至れり尽くせりだったのに……」

『いやいや、いいんだよ、全身の検査をしたんだから、当たり前さ……っと、ついたついた。』

『…じゃあ、また何かあれば気兼ねなく呼んでね、忙しくて難しいときもあるけど、できるだけ駆けつけるから…』

希「…、ありがとうございます。」


希「………っ、あ、あの、精神科の先生のこと、なんですけど……」

『ああ、あの先生…あの先生がどうかした?』

希「……えっと、あの………」

希「えっと……」

『………?』


『……あの先生ね、ずっと前からμ'sの、特に希ちゃんのファンだって言ってて…事件が起きた時は大変心配していてね……』

『…精神科の先生の中でも、特に評判が良くて…経験も、僕よりずっとあるから……こちらからお願いしたんだよ。希ちゃんのこと…ピッタリだと思って。そしたら快く引き受けてくれてね…』
501 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:56:00.04 ID:YatuNBnqo
希「……っ、そう…だったんですか……」

『ああ。僕も何度かつらい時期に助けてもらって、とてもいい先生だと思ったんだが……何かあった?』

希「……っ、……」

希「………、いえ……なんでも…ない、です………」

『………?そっか………』

『…あ、じゃあ絵里ちゃんも待ってると思うし、僕も仕事があるから…今日はここまでで。お疲れ様。ゆっくり休んでね。』

希「あ、はい……」



ガチャ


絵里「……!希、おかえり。」

希「………ただいま、えりち。」

絵里「疲れたでしょう?ちょっと待ってね、今紅茶淹れるから……」



トクトクトクトク………


絵里「ふふ、このマグカップね、亜里沙が誕生日にってくれて……希とお揃いなの。」

希「そう…なんや……嬉しいなぁ。」

希「………っ」



トクトクトク……



希(……なんやろ、これ…なんだか………)

希(前にも………)


502 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 20:56:58.79 ID:YatuNBnqo
絵里「……っと、ふふ、いい匂い。」

絵里「…はい、希。これ…飲んで?」


『『はい、東條さん。これ…飲んで?』』


希「………っ、ぁ………」

絵里「希……?大丈夫……?」

希「うっ……えりち、ちょっと、待っ………」

ドクッ ドクッ ドクッ ドクッ


『『ここに水を入れてっ…と。あらら、手が滑って………さっき東條さんに飲ませた物も混ぜちゃった。…ふふ、わざとじゃないのよ?』』


希「う………あ………」

絵里「希……?」



『『いいからのみなさい。』』




ドクンッ




希「ぅ………」

希「……っ、いや…っ」ドンッ



ガチャンッッ



絵里「う………っ、つ、痛た………」

絵里「あ………」


希「………っ、あ………」
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/01(木) 21:53:26.48 ID:E680/H0SO
はよ
504 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 22:17:19.79 ID:YatuNBnqo
希「ーーっ!!?!」

希「ごめんっ、ごめん……!!ごめんなさい…っ、怪我してない?どうしよう……折角亜里沙ちゃんが、誕生日に………っ」

絵里「…っ、触っちゃだめ!!!」

希「…っ、」



絵里「…っ、あ………」

絵里「…えっと、ごめん……危ないから、触っちゃだめよ……」

絵里「…大きな声出して、ごめんね……怪我は…お互いなさそうね。今、ちりとり……持ってくるから。」

希「えりち………」

希「ごめん……ごめんね……折角、もらったものなのに………」ジワ…

絵里「希………」

絵里「……仕方ないわよ、ごめんね…何か怖かった?」ポンポン

絵里「ちょっと片付けるから……もうすぐ消灯時間だし、先に寝てても…いいからね。」


ガチャ


希「………っ」ポロ…

希「う…………ぐすっ、」ポロポロ


希「…なんで………」ポロポロ


希「なんでよ………!」ポロポロ

希「なんなんよ……これ………」ポロポロ
505 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 22:18:18.74 ID:YatuNBnqo
希「もう理事長はいないのに……ここは倉庫じゃ…ないのに。」ポロポロ

希「助かったのに………いつまでこんな…」ポロポロ



『ガサガサガサガサガサガサガサ!!ガサッ!!!』



希「………うっ、」ポロポロ

希「はぁっ……はっ………」ポロポロ

希「………っ」ブンブン


『ガサガサ……ガサガサガサガサ!!!』

ヨタ…ヨタ………ノソノソ


希「う……あ………」

希「……なん…でっ」ブンブン

希「こんな………」ポロポロ

希「ぁ……這ってる……う、ぐ………」ポロポロ


希(もう、やだ……)

希(気持ち悪い…気持ち悪いよ……)

希(つらい………)


『ガサガサガサガサ!!!ガサガサ!!!』


希(些細なことでこんな風になって)

希(えりちに迷惑かけてばっかりで)

希(こんな迷惑…かけたくないのに……っ)
506 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 22:22:35.45 ID:YatuNBnqo


ヨジ……ヨジ………ウネウネ

『ガサガサガサガサッガサガサ!!!』


希「はぁっ、はっ……うう……」ポロポロ

希「やだ……もうやだ………」ブンブン


『ガサガサ………ガサガサ』


希(段々良くなるって、いつ………?)

希(……大体、あんな事件があったのに…元通りになんて、戻れるわけない)

希(楽しかった、あの頃には………)

希「………っ」ブンブン


『ガサガサガサガサガサガサガサガサ!!!ガサガサガサガサ!!!』


希「けほっ……げほっ、うう………」ポロポロ

希「はぁっ……はぁっ……」ポロポロ



『ガサガサ』 『ガサガサ』 『ガサガサ』



希(えりちが戻ってくるまでに、元通りにならないと…謝らないと、また…迷惑、かけちゃうのに……)
507 : ◆5UuNMwrvUc [saga]:2016/12/01(木) 22:23:40.93 ID:YatuNBnqo
希「うう………う……けほっ、」ポロポロ


『ガサガサガサガサ』

『ガサガサガサガサ』

ウネウネ!!ソロソロ………ッ


希「や…だ………はいってこないで……」ガタガタ

希「う………うう………はっ、はっ…」ポロポロ

希「やだ………もう、やだぁ……」ポロポロ


希「………っ、そう、だ……」ポロポロ

希「つらいときの薬……」ポロポロ


ガサ…


希「………」ポロポロ
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