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【ラブライブ】希「どうしてこんなことに…」理事長「ふふっ♪」
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508 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/01(木) 22:25:02.61 ID:YatuNBnqo
希(えりち…ごめん、ごめんなさい……私が…うちが、悪いのに………)
希(明日……ちゃんと、謝るから…だから……)
希(今だけ……)
希「水………」
希「………、…いっか……」
希「………っ」ゴクッ
希「…………」
『ガサガサ………ガサガサガサガサ!!!ガサガサガサガサガサガサ』
グニャ
希「……うっ、」フラ…
希「う…あ………」フラッ
希(何…これ……気持ち悪………)
バタッ……
希「………」スー…スー…
509 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/01(木) 22:26:17.98 ID:YatuNBnqo
−−−
−−
−
絵里「ちりとり……ちりとり、」
絵里(どこかしら…受付で言えば貸してもらえる…?)
絵里(早く戻らないと……きっと希、ショックを受けてる……)
絵里(…それから亜里沙にも、謝らないと………)
絵里「え、…あれって………」
亜里沙「あっお姉ちゃんー!!」
タッタッタッタ…
絵里「亜里沙……?なんでここに……」
亜里沙「えへへ、雪穂と遊んでた場所が、ここの近くで…寄っちゃった。もうすぐ消灯時間だとはわかってたんだけど、会えてよかったあ。」
絵里「そうだったの…」
亜里沙「そうそう…あっ、お姉ちゃん、腕の火傷…大丈夫?それから希さんも、体調良くなった?亜里沙すごい心配で……早くお見舞い、したいなぁ。」
絵里「腕はもうほとんど大丈夫よ。希は……」
絵里「………、希は………」
亜里沙「……お姉ちゃん…?」
絵里「……っ、大丈夫…希も少しずつ、良くなってるから……」
510 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/01(木) 22:26:58.09 ID:YatuNBnqo
絵里「あ、あと……亜里沙、…あのね、」
絵里「亜里沙がくれた、マグカップ……片方、割れてしまったの……ごめんなさい。」
亜里沙「マグカップ……ああ、誕生日にあげた、希さんとお揃いの……」
亜里沙「………そっか。少し残念だけど…物はいつか壊れちゃうから、仕方ないね……」
絵里「………そうね…」
絵里「………、」
亜里沙「お姉ちゃん……」
亜里沙「………」
亜里沙「……ふふっ、もう……お姉ちゃんって、素直すぎるよ。」
絵里「えっ……?」
亜里沙「えへへ…亜里沙だったら、貰い物が壊れちゃったら…謝る前に、お店に行って…同じものがないか、探しちゃうなぁ。」
亜里沙「ふふ、ほら…あげたときに、袋にはいっていたでしょ?あれにお店の名前も書いてあるし……なんなら、はい!」
絵里「これは……?」
亜里沙「ふふっ、そのお店のクーポン。二個買ったらくれたの!次買うときは10%オフですよーって!でも亜里沙は使わないから…お姉ちゃんにあげる。」
511 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/01(木) 22:28:02.76 ID:YatuNBnqo
絵里「亜里沙……」
亜里沙「えへへ、今のは聞かなかったことにするから…今度、こっそり買ってきたらどうかなっ。希さんも、その方がきっと喜ぶよ!」
絵里「……っ」ジワッ
絵里「亜里沙……」
絵里「………、…ありがとう。」
亜里沙「ふふっ…うん!」
亜里沙「あ、そろそろ帰らないと遅くなっちゃう…じゃあ亜里沙は、もう行くね!」
絵里「ええ…またいつでも来て。待ってるから。」
亜里沙「うん!希さんにもよろしく言っておいてね!それじゃっ」
タッタッタッタ……
絵里「亜里沙……」ポロ…
絵里「………っ」ゴシ
絵里「…っあ、もうこんな時間……はやくちりとり借りて、希のところに戻らないと……」
絵里「受付…まだやってるわね。」
絵里「すみませーん!」
512 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/01(木) 22:51:42.19 ID:+dwlMD8qo
再掲完了までもうすぐだな
513 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/01(木) 22:55:59.83 ID:6a+5ATaDo
というか、一つにまとめるとこんなにあったんだね。本当に貼り直しありがとう
514 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/02(金) 00:23:21.00 ID:llWrrTs0o
激しく乙
読み直してやっぱちょい怖い部分もあるけどおさらいも出来て嬉しいわ
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/02(金) 01:41:21.20 ID:l8FJ2O9m0
貼り直し乙
そろそろ続きが見れるな
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/02(金) 03:16:16.48 ID:y0jIx8U0O
ここに移動してたんだな
今読み直してる
517 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:06:53.65 ID:9NYmIYfiO
−−−−−−
−−−−−
−−−−
−−−
−−
−
・
・
真姫「…とうとう今日の放課後、ね………」
花陽「うう…緊張する……」ガタガタ
凛「にゃあ………」ガタガタ
にこ「……っ、だ、大丈夫よ…!」
にこ「花陽の案の通り、きちんと主張をまとめて、かつわかりやすく!こうやって資料として…プリントにもまとめたし…!」
にこ「署名なんか……穂乃果!見せてちょうだい!」
穂乃果「うんっ!はいっ、にこちゃん!」
にこ「ほらっ、こんなに…ええっと、いくつ溜まったんだっけ?」
穂乃果「えっとね…238個!」
にこ「ほら見なさい、238個…って、ええ!?それって希と絵里を抜いた全校生徒分じゃないの!!」
穂乃果「ふふっ…うん!!ヒデコとフミコとミカが、手伝ってくれて…あの3人、すごいんだよ!あっという間に全員分……」
海未「あの3人は…流石ですね……」
にこ「流石っていうか…怖いわもう……味方で良かったけど……」
518 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:08:03.36 ID:9NYmIYfiO
真姫「じゃあほら、昼休みのうちにもう一度一から確認しときましょ…とりあえず会議のはじまりは15時だから……」
にこ「ええ………そうね、じゃあまず……」
真姫「……………はどうかしら。」
にこ「………難しいわね、でもそうきたらその返しでいいと思うわ。」
凛「うーん……そこはもう押し切るにゃ。」
花陽「そこは……」
海未(………)
海未(……これだけ準備してるんです、こちらの方は、みんなで押し切れば、きっと………)
海未「……っ、もう13時ですか……」
海未(……確か裁判が始まるのは、14時だったはず……)
海未(………あと1時間後、ですか……)
海未(………)
海未(ことり………)
海未(……大丈夫、でしょうか………)
『私、海未ちゃんがいないと…いつもおかしな方向に考えちゃって……ダメダメだ……』
海未「………っ」
海未(…、大丈夫……ですよね、これは私の、傲慢で……ことりは、ことりなら………)
海未「………」
519 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:08:55.66 ID:9NYmIYfiO
−−−−
−−−
−−
−
『それでは次に、情状証人としてーーー』
ことり「はい……」ガタ
コツ…コツ…コツ
ことり「………」
ことり「………」スー…ハー…
ことり(大丈夫……大丈夫。)
『それでは2つ質問させて頂きます。まずはじめに…貴方にとって、被告がどんな存在だったか、どんな人物だったかを教えてください。』
ことり「はい……」
ことり「………っ」
ことり(……緊張して、声が震える……)
ことり(…お母さん………)
理事長「………」
理事長「………」ニコ…
ことり「………っ、」
ことり(今……一瞬………)
ことり(……ううん、ちゃんとやらなきゃ……)
ことり(………この質問は、まだ……)
ことり「……お母さん、は……」
520 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:09:46.29 ID:9NYmIYfiO
ことり「……お母さんは、私にとって…理想の母親でした。」
ことり「私が随分小さな頃に、お父さんが出て行って…」
ことり「それからは女手一つで、優しく、かつ厳しく…育ててくれました。」
ことり「学院の理事長としてしっかり仕事をこなしながら…私のこともしっかり育ててくれて…なんでもできる、自慢の母でした。」
ことり「愛情も…たくさん、注いでもらったと思っています。」
ことり「気持ち悪い虫が好きだったり……夢中になりすぎると、周りが見えなくなるようなことはあったけど……」
ことり「……でも、それでも少し変わってるなぁ、くらいで…私が何かされたことはなかったし、誰かに迷惑をかけるようなことも…なかったと思います。」
理事長「………」
理事長「ふふ………」
ことり「ーーー、ーーーー」
理事長(…弁護士が、ここでのやりとりは…あらかじめことりと決めていると言っていたけど…)
理事長(うふふ…今の回答は、初めに聞いていた通り。上出来よ、ことり。)
ことり「ーー、ーーー。」
理事長(きっと寂しい思いをしてたでしょう…髪、そんなに短く切って……周囲からの圧力が酷かったのかしら……)
理事長(……でも大丈夫。私が…私だけは、ことりとずっと一緒に…いてあげるから。)
521 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:11:15.93 ID:9NYmIYfiO
『ふむ……じゃあ次です。次で最後ですが……』
『被告の処罰に関して、どのような配慮を望みますか?』
『責任能力の有無など…思うところを聞かせてください。』
ことり「…………っ」
理事長「………」
ことり(お母さん……)
ことり(……弁護士さんとは…お母さんは最近精神的におかしな部分があった…とか、殺意を持ってしていた訳では絶対ないとか…)
ことり(……なんだか少し忘れちゃったけど、そういうことを話す手筈に…なっていたはず。)
ことり(…きっと、お母さんも………)
理事長「………」コク…
ことり「…………っ」
ことり「…………」
ことり(でも、だめだよ……そんなの。お母さんは、ちゃんと償わなくちゃ…希ちゃんをあれだけ苦しめたんだもん、ちゃんと……)
ことり(それが私にできる、唯一の………)
ことり「………」
ことり「……お母さんには、せーーー」
『ふふ…ことり。よしよし、高い高ーい!』
ことり「………、……っ」
ことり(お母さん……)
ことり(……っ、だめだめ、言わなきゃ……)
ことり(言わなきゃ、言わなきゃ………!)
ドクッ…ドクッ…ドクッ…
ことり「………っ、」
522 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:12:29.87 ID:9NYmIYfiO
『ねえねえ、お母さん!』
『ふふ、なあに?』
『どうしてことりには…お父さんがいないの?』
『海未ちゃんにも、穂乃果ちゃんにも…お母さんだけじゃなくて、お父さんもいるのに。』
『どうしてことりには、お母さんだけなの?』
『ことり……』
『………』
『………ふふ…実はね、お母さんは…お母さんだけど、お父さんでもあるの。』
『えっ……?』
『お母さん、毎日お仕事に出かけるでしょう?もちろん穂乃果ちゃんのお母さんも仕事はしてるけど、それはお饅頭屋さんだから。』
『普通のお父さんはほら…お外に仕事に行くものじゃない?それでお母さんは、子供と遊んだり…家事をしたり。』
『ふふっ、ねえ…考えてみて?お母さん、どっちもしてるでしょう?』
『ほんとだ……!』
『そう…だからね、ことりにはお母さんがいれば大丈夫なの。お母さんはすごいから、お父さんみたいに仕事もできるし……ほら!』
『わぁっ、ふふ、高い高い!』
『ふふっ、穂乃果ちゃんのおうちが、お母さんとお父さんと…2人分のだいすきをあげるなら…』
『…ふふ、ことりのお母さんは……1人で2人分、だいすきをあげるからね。』
『………だから、大丈夫よ。』
『お母さん…』
『えへへっ………うん!お母さんはすごいなぁっ、2人分なんて!』
『ことりも大人になったら、お母さんみたいになりたいなぁっ!』
『ふふ…なれるわよ。だって……』
523 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:13:15.65 ID:9NYmIYfiO
『………だってことりは、お母さんの子だもの。』
524 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:14:26.29 ID:9NYmIYfiO
ことり「………っ」ジワ…
ことり「ぅ…………っ…」ポロ…
理事長「ことり……?」
ことり「…………」ポロポロ
ことり「おかあ…さん……」ポロポロ
ことり「………っ」ブンブン
ことり(だめだよ……言わなきゃ、言わなきゃ………!)
ことり「………っ、おかあ…さん…にはっ、せ………っ」ポロポロ
ことり「せ………」ポロポロ
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
ことり「うう………っ、ぐすっ……」ポロポロ
『南さん?南ことりさん?あの………』
ザワザワ……
ことり「………………っ」ポロポロ
ことり「…っ、ちょっと、待ってくださ……」ポロポロ
ことり「お母さんには!!せ………っ」ポロポロ
ことり「………」ポロポロ
ことり「………っ、」ポロポロ
ことり「なん…で………」ポロポロ
525 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:15:47.17 ID:9NYmIYfiO
ことり(言えない………)
ことり(言わなきゃいけないのに、なのに………っ)
ことり(なんで…………)
ことり「う………ぐすっ、う……うう………」ポロポロ
理事長「………、」
ことり(希ちゃん……絵里ちゃん………みんな………)
ことり(やっぱり……私…………言えないよ……)
ことり(ごめんね………)
ことり「………っ、ごめん、ね………」ポロポロ
ことり「うう………」ポロポロ
ザワザワ……
ことり「………」ポロポロ
『え、ええ…と、それでは次に………』
「ーーーーちょっと待ってください!!」
ことり「…………っ、えっ……?」ポロポロ
「…はぁっ……はぁっ………」
『ちょっと君、傍聴席でのーーー』
「………っ、すみません……わかっています。……でも、ことりは待ってくださいと言っていたので……」
「…もう、声は出しません…失礼しました。」
ドサ……
ことり「うみ、ちゃん………?」ポロポロ
526 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:17:00.11 ID:9NYmIYfiO
ことり(海未ちゃんがいる………)
ことり(来てくれたんだ…私のこと、きっと、しんぱい、して………)
ことり(でも……私……やっぱり最低で………言えな…)
海未「………」ニコ…
ことり「…………っ、あ………」ポロポロ
ことり(………海未ちゃんの、笑顔……)
ことり(さっき見たお母さんの笑顔より、ずっと…ずっと………)
ことり(…なんでだろう。)
ことり(安心……できる………)
ドクン ドクン ドクン
海未「………」
ことり(海未ちゃん………)
ドク ドク ドク
ことり「………」ポロポロ
ことり「…………っ」ゴシ…
ことり「………」スー…
ことり「………」ハー…
…………トク……トク……トク……
ことり「………」
ことり「……取り乱して…ごめんなさい。」
527 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:18:09.41 ID:9NYmIYfiO
ことり「…お母さんには…責任能力がありました。それは間違いありません。」
理事長「………っ、?!」
ことり(…………っ、言える………!)
海未「………」コク…
ことり(海未ちゃん…………)
ことり(海未ちゃんが、いるから…かな……)
ことり(……1人で大丈夫だって、思ってたけど…やっぱり、駄目だったんだ……)
ことり(それを海未ちゃんは、わかってて……)
ことり「………」
ことり(言わなきゃ……)
ことり(もっと、ちゃんと……最後まで………!)
ことり「……確かに、睡眠薬は度々飲んでいました。だけどそれは、先に言ったように…お母さんには、夢中になると周りが見えなくなるところがあって…」
ことり「そういう時に、睡眠そっちのけになってしまうことが、多々あったので…昔からよく飲んでいたんです。最近特別何かあったわけではありません。」
理事長「………っ」
理事長「……なん…で………」ボソッ
ことり「……それからお母さんは…間違いなく、…被害者に、殺意を持っていたと思います。」
ことり「見たことがあるんです。お母さんが…虫をじわじわ殺して……笑っているのを。」
528 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:19:47.45 ID:9NYmIYfiO
ことり「お母さんは……生き物を苦しめて殺すことに、快感を覚えていたのだと思います。」
ことり「私は、少しだけ…お母さんと被害者とのやりとりを耳にしましたが、」
ことり「その時聞こえたお母さんの笑い声は………」
『ふふっ……あははっ……ふふふふ……』
『希!!!のぞみ、がんばって…もう少し、もう少しだから、っぐ……ぁ"……がはっ』
『……ぅ"っ…ぁあ"あ"っ、無理……無理……げほっ、がはっ………かはっ、けほっ……』
『死なせて……!!』
ことり「……っ、」
ことり「………」
ことり「笑い声、は………」
ことり(……っ、口が…震えて………うまく言えない……)
ことり「………っ」
ことり(……っ、だめだめ、みんなも今きっと…頑張ってるんだから……)
ことり(……だから私も、頑張らなくちゃ………)
ことり「………」
ことり「…………わらい、ごえ、は……まさに、虫を殺そうとしていたときの声……そのものでした。」
ことり「だから……」
理事長「………ちょっとまって。」
529 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:23:59.29 ID:9NYmIYfiO
ザワ……
ことり「………なあに、お母さん。」
理事長「…もういいわ。ことり、寂しい思いをさせてごめんね?疲れているんでしょう。」
『被告、証人の言葉を遮るのはーーー』
ことり「ううん、私…寂しい思いなんて、してないよ。」
ことり「だって私には…μ'sのみんながいるから。だから大丈夫。心配しないで。」
理事長「でもーーっ」
ことり「あのね、お母さん。」
ことり「………皆さんも、聞いてください。」
ことり「情状証人である私の意見が、どこまで裁判に影響するのか…私にはわかりません。だけど……」
ことり「…ねえ、お母さん。お母さんがしたことは…死刑でも足りないくらい、酷いこと…だよ。」
ことり「たった7年なんかの懲役で、足りるわけがないの。」
ことり「だって、考えてもみてよ…自分がしたこと。電気を流して…傷口に塩を塗って……ムカデを大切なところに捩じ込んで………っ、」
ことり「……それも、抵抗できないように拘束してだよ!!」
ことり「自分の欲求のために、そんなことするの…人がやることじゃ、ないよ……」
530 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:26:52.87 ID:9NYmIYfiO
ことり「…検事さん、裁判員さん、裁判長さん、傍聴席の皆さん……それに、弁護士さん。」
ことり「それがどんなに恐ろしいことか…想像したらわかるはずです。お母さんに弁護の余地なんて無いこと…7年なんかで足りるわけがないってこと…!」
理事長「………っ、なんで……」
ことり「ごめんね、お母さん。だけど私、許せないの。大切な友達に、そんなことをした…お母さんのこと。」
ことり「……それから気付く機会はたくさんあったはずなのに、ずっと見ないふりをして……行動を起こさなかった自分自身のこと。」
理事長「…っ、ことり………」
ことり「……私ね、お母さんのこと…大好きだったよ。ううん…本当は今でも大好き。」
ことり「…でもね、」
ことり「………おかした罪は…償わないと、ダメだよ……」
理事長「………っ」
理事長「ことり……」
理事長「…………」
理事長「…はぁ……いいわ、続けて?」
理事長(…これは最悪のパターンね、まさかことりがこんなことを言い出すとは思わなかった。)
理事長(大方、さっき傍聴席から声を上げた園田海未に唆されたんだろうけど…)
理事長(……でも、もういいわ。割り切るのも大切なこと。ここは反省してるように見せて、無期懲役になろうがなんだろうが、なるべく早くここから出てみせる。)
理事長(それに刑務所暮らしも無しではないわね、理事長という仕事に終われることもないし…楽しい思い出はたくさん作ったんだから)
理事長(定期的にことりは会いに来るだろうし…ね。)
531 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:29:00.84 ID:9NYmIYfiO
ことり「……ねえ、お母さん。」
理事長「……なにかしら?」
ことり「お母さんは1つ…勘違いしてる。」
理事長「え…?」
ことり「……、あのね…お母さんを通報して、警察に突き出したのは……私、なんだよ。」
理事長「………っ、」
理事長「………うふふ…まさか。ことりにそんなこと……」
ことり「できるよ。」
理事長「……っ」
ことり「…お母さん、お母さんは多分、気づいてないんだろうなぁって、ずっと思ってたけど……やっぱりそうなんだね。」
理事長「気づいてない…?私が?」
ことり「………、………そうだよ。だから私が、教えてあげる……」
『…あの、南さん、そろそろ……』
ことり「…ごめんなさい、これだけ。」
理事長「………」
ことり「…あのね、お母さん。私は確かに…お母さんのことが大好きで、甘えん坊で、依存してた…と思う。」
ことり「だけどね、」
532 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:30:29.29 ID:9NYmIYfiO
ことり「……本当に私のことが大好きで、依存してたのは…お母さんの方なんだよ?」
理事長「………っ、え……?」
ことり「…私達、依存しあった親子だったね。…でもね、それはもうおしまい。希ちゃんにあんなことしたんだもん。…こんなことで、私達がしたこと、償えるわけ、ないけど…でも、やっぱり……」ジワ…
ことり「………っ」ポロッ
ことり「………」ポロポロ
理事長「ことり……?」
ことり「う……ぐすっ…………」ポロポロ
『あの、南さん、もう………』
ことり「…っ、ごめんなさい……あと少しだけ………!」ポロポロ
ことり(…はやく、言わないと……たくさんの人に、迷惑が……)
ことり「………っ」ポロポロ
海未「……、…!」
ことり(……っ、海未、ちゃん………?)
ことり(何して………)
ことり「…………、!!」ポロポロ
海未「…、…、…、…、…、…」
ことり(わ、…、し、た、い、が…)
海未「…、…、…、…、……!」
ことり(つ、い、え、ま、す……?)
ことり(……っ、私達が、ついてます……)
533 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:32:43.20 ID:9NYmIYfiO
ことり「海未、ちゃん……」ポロポロ
ことり「………」ポロポロ
ことり「………ふふ、」ポロポロ
ことり(…そう…だよね、そうなんだよね、私……何回もそうやって、みんなが言ってくれてるのに……こうやって泣いてばっかりで)
ことり(本当に、ずるいな……)
ことり(………)
ことり(………私ができること…ちゃんと果たさなくちゃ)
ことり「………っ」ゴシ…
ことり「………」
ことり「…お母さん、お母さんが心の底から反省して、二度と私達9人の前に現れないようにしない限り……」
ことり「私達が会って会話をするのは……今日で最後。これでおしまいです。」
理事長「………っ、」
理事長「………、…え………?」
理事長「ちょっとそれ…、どういう………」
534 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:33:40.36 ID:9NYmIYfiO
ことり「そのままの意味だよ、私は服役中のお母さんに会いには来ないし、お母さんが出所しても会うつもりはないの。」
理事長「何言って……ことりがそんなの耐えられるはずっ…」
『被告、私語は慎むように。南さんも、そろそろ…』
理事長「……っ、うるさいわね………ねえ、ことり!!」
理事長「貴女が会いに来ないなら…私から会いに行くわ。貴女が私と話してくれないなら…私は貴女の大切な人達に……っ」
ことり「………っ、それはだめ。」
理事長「……っ、」
ことり「最低だよ…お母さん。そんなことしたら、ますます私は…もう二度と、お母さんとお話はしないよ、笑い会うことも…二度とないよ。」
ことり「…今はまだギリギリ、お母さんのことが好きだと言えるけど……お母さんが反省しないなら…また同じことを繰り返したりしたら、」
ことりあ「私…お母さんのこと、大っ嫌いになるからね。」
理事長「…………っ、」
理事長「………」
理事長「……ど…う、して………」
理事長「……っ、どうしてそんなこと言うのよ!!ことりは私の娘で、貴女にとって私は親で、だからそんなの……っ」
理事長「……、冗談で言ってるなら…そんなのはもう、やめてちょうだい!!」
ことり「…冗談なんかじゃ、ないよ。それにもう決めたことだから……やめないよ。」
535 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:34:51.96 ID:9NYmIYfiO
理事長「ことり………」
理事長「………っ、なん…で………」
理事長「はぁっ、はっ……はっ………」
理事長「なんで……なんでよ………」
ことり「…………」
理事長「どうしてよ!!!やめなさいよ、そういうことを言うのは!!」
ことり「お母さん………」
理事長「ことりっ!!!!」
ことり「………」
ことり「…以上で私の話を終わります。長くなり…裁判の進行を滞らせるようなことをしてしまい、すみませんでした。」
コツ……コツ、コツ……
『…………っ』
『つ……次、検察官側からーーー』
ことり(……これで………良かったんだよね、海未ちゃん。)
ことり(後は最後の手紙を、渡して………)
理事長「はぁっ……はあっ、はっ………」
理事長「何よ…どういうことなの、なんなのよ……」
理事長「………っ、はっ、はぁっ……」
536 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 10:36:00.47 ID:9NYmIYfiO
ことり(お母さん……)
ことり(ごめ…………、ううん。)
ことり(謝らないよ…私。お母さんは、これでも全然、全然足りないくらい、酷いこと…したんだから。)
ことり(…これでお母さんを見るのも…最後になるかも、しれないんだね…)
コツ……コツ、コツ…
理事長「………っ、はっ……はぁっ……」
コツ……
ことり(お母さん………)
ことり(ううん、最後なんて…ならないよね、お母さんがちゃんと反省すれば…もう一度だけ、会えるんだから。)
ことり(信じてるからね……お母さん。)
ことり(だからその日まで……)
『ふふっ、ことり。』
『ことりはね…私の自慢の娘なの。』
ことり「……っ」ジワッ
ことり「………」
ことり「……さよう、なら……お母さん。」ポロ…
537 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/02(金) 11:35:16.74 ID:/ODcqrmSO
おつ
538 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:38:23.57 ID:OMd2v9OIo
−−−−
−−−
−−
にこ「……ちょっと、いくらなんでも話通じなさすぎじゃない?この堅物教頭……」
真姫「しっ、にこちゃん、聞こえるわよ……」
花陽「ーーーー、ーーーー!」
にこ「………」
にこ(参ったわね…絵里、希、海未、ことり…説得に強いこの四人がいないだけで、こんなに難しくなるなんて……)
にこ(…っ、それに穂乃果は、こんな時に…どこに行ったのかしら……)
『にこちゃんごめん!穂乃果、少しここ、あけるね……』
『説得を続けて、無理そうなら…とにかく時間を稼いでほしいの。絶対…ぜったい、なんとかするから!』
にこ「………」
にこ(…そう言い残して行ったけど……そろそろ穂乃果がいなくなって1時間。会議全体としては…始まってからそろそろ3時間が経つ。)
にこ(教頭も、もう苛々があからさまになってきてるし………)
花陽「ーーー、ーーー!」
にこ「………っ、」
539 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:39:05.71 ID:OMd2v9OIo
にこ(私と真姫で説明して、凛がそこを押してもだめで…)
にこ(…それで花陽がさっきからずっと、下手にでて、1から10まで説明して、こんなに頑張ってくれてるのに…)
にこ(……あの教頭、話、ちゃんと聞いてるのかしら……)
にこ「ほんっと、腹立たしいわね…」ボソッ
『あーはいはい、もうわかった、わかったよ、君たちの主張は。』
『私だって可哀想だとは思っておる。だがな、決まりは決まりだ。病欠が続いた人のために、数日伸ばした前例はあるが…丸ごと留年なしになんて、できるわけがないだろう。』
花陽「………っ、でも、希ちゃんは……!」
『東條さんは確かに気の毒だった。それは私だって心から思っておるよ。』
『…だがしかし、新理事長も言っているだろう。ここにいる教員全員が納得しない限り、そんな特例は認められないと……そうですよね、新理事長?』
『……っ、私は別に………ここに来たばかりの私が決めるのでは、よくないと思ったからそう言ったのです。しかし……』
『あーはいはいはいはい、とにかくだな、私がこの音ノ木では一番古くから教員をやっているんだ。全てを決める権利は私にある。だから……』
『…っ、しかし教頭先生、それではあまりにも……』
『そっちの新米教師は黙っておれ!』
花陽「………っ」ジワッ
540 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:39:51.71 ID:OMd2v9OIo
凛「かよちん……」
真姫「………」
にこ「……っ、ねえちょっと、いい加減にして。いくらなんでも横暴すぎよ、そんなの!自分の思い通りに全ていかせたいだけじゃないの!!」
『……っ、ふはは…とうとう本性を現したな?教師にむかってタメ口とは……大体、職員会議に乗り込んでくるような輩の話なんて、まともに聞いたところで時間の無駄だ。』
『さぁ新理事長、そろそろ時間も遅いですし……』
『ちょ、ちょっと待って……やっぱりいくらなんでも………』
『え?なんですって…?』
『………っ、』
『…おわかりでしょう、新理事長。特例なんて出してみなさい……この先留年がかかった生徒が出るたびに、やれあの時はどうだった、やれこの時はどうだった…と、面倒なことになるだけですよ。』ボソボソ
『しかし………』
『幸い今回の生徒にはまともな身寄りがないのだから、ここは穏便にーーー』
ガラララッ
穂乃果「待って!!やっぱりそんなのおかしいよっ!!!!」
『な、なんだね君は……いきなり大声を出して……』
穂乃果「はぁっ……はぁっ……」
にこ「穂乃果!!」
541 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:41:09.22 ID:OMd2v9OIo
穂乃果「にこちゃん、時間かかってごめんね…ここまで繋いでくれて、ありがとう!!」
穂乃果「教頭先生。先生がいくら署名を見せて説得しても納得してくれないから、穂乃果ね…みんなのこと、連れてきたよっ!」
穂乃果「ねえにこちゃん!穂乃果達だけでだめなら……みんなも一緒に、ね!」
にこ「ちょっとそれ…どういう……」
穂乃果「みんな!校庭見てみて、すごいからっ!」
真姫「校庭って………ええっ?!」
花陽「な、なにあれ……っ」
凛「にゃぁあっすごい数だよっ!」
ワー ワー
『………っ、な、なんだあれは!!!』
ヒデコ「教頭〜〜〜!!!希先輩を留年になんて、私達が許さないぞ〜〜〜!!!!」
ミカ「そうだよ!!!ついでに絵里先輩も留年免除にしてくれなかったら、私達生徒全員で、デモを起こしてやるんだからっ!!」
フミコ「全員で200人はいるんじゃないかな……ねえ教頭!!言う通りにしないとこの人数で授業ストライキだってしてやるんだからね!」
「そうだそうだ!!廃校待ったなし!!!」
「大体、μ'sのおかげで廃校免れたのに、どういうつもりよっ!!」
「2人は生徒会だってずっと支えてくれて…教頭の仕事だって相当手伝ってたはずよ!!」
「2人を留年にするくらいなら〜〜教頭がやめろ〜〜〜!!!!」
ワー ワー
凛「ちょ、ちょっと待って……よく見たら生徒だけじゃない、凛達のお母さんもいるよ!」
542 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:42:25.06 ID:OMd2v9OIo
穂乃果「えへへ…全員に穂乃果が声をかけたわけじゃないんだけど、いつの間にか広がってて……」
真姫「ちょっと…あのタスキかけてるの……ママじゃないの!」
『真姫ちゃん〜〜安心して、希ちゃんや絵里ちゃんを留年になんてさせないわ!』
『ちょっと教頭先生、貴方がそういう出方をするなら、こちらにも考えがありますよ。西木野を相手にするつもりですか?』
『…………っ、』
「教頭!あんないい子にそんな仕打ちをするなんて、神様が黙っていませんよ!」
「まったく、私よりまだまだ青いのに、既にカチコチに頭が固まってしまっとるのか……!」
「音ノ木とは古くから関わりがありますが…神田明神としても、少し考えねばなりませんね……」
花陽「すごい……神田明神の人まで……」
『………っ、西木野の御夫人に…神田明神の神主まで……一体どうなっているんだ…っ』ボソッ
『……しかしですねみなさん!東條さんや絢瀬さんだけ特別に、というわけにはいかんのですよ……』
『それを言い出したら、病気で泣く泣く留年した子供達にどう説明するのです?何も留年した人全員が、非行を働いたり、留年になるような行動を自らとっていたわけでは……』
ツバサ「ちょっとその理屈はおかしいんじゃないかしら。ねえ、そう思わない?英玲奈、あんじゅ。」
英玲奈「ああ、まったくその通りだ、何もかもおかしい。」
543 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:43:43.54 ID:OMd2v9OIo
『………っ、今度はなんだ、誰だあいつらは……!あの制服…UTXの生徒か!』
にこ「ちょ、ちょっと!!A-RISEまでいるなんて…穂乃果、一体どうやって……」
穂乃果「あはは…走ってたら偶然会ったから、声をかけたら…来てくれて。すごいよね、みんな嫌な顔一つせずに、こうやって集まってくれて……」
あんじゅ「病気の人なら、たとえどこの学校に通ったとしても、悲しいけれど最終的にそういう運命にあるわ……だけど、」
あんじゅ「希さんや絵里さんは、この学院に通わなければ……UTXに通ってさえいれば、あんな事件に巻き込まれることは無かったのよ。」
英玲奈「そうだ。そもそもあの事件はこの学院の元理事長によるものなのに、病気の人と一緒にするところから間違ってる。」
ツバサ「それについてはどうお考えで?教頭。」
『………っ、く………』
凛「教頭先生!それについてはどうお考えですか!?」
穂乃果「……っ、凛ちゃん……そっか。そうだよ、教頭先生!それについてはどうお考えなんですかっ?!」
にこ「そうよっ、あんたの考えをちゃんとわかるように教えてくれる?」
『く………ぐむむ………』
544 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:44:44.97 ID:OMd2v9OIo
にこ「はやく!はやく言いなさいよ!」
凛「そうにゃ!あれだけ言ったんだもん、これぐらい、考えてたはずだよね?」
穂乃果「はーやーく!はーやーくう!」
『ちょ、ちょっと待て……ああ、もう……!どうしてこんな………!!』
『なんだっていうんだ!お前達は!!』
真姫「………終わりね。」
花陽「そう、だね……大体、真姫ちゃんちを相手にして……ただの教頭先生が、勝てるわけが……」
『そうね。』
花陽「新理事長……?」
『危ないところだったわ。何が正しいか、どうするべきかなんて明らかなのに……教頭の勢いと、大人の面倒臭い考え方のせいで……間違った選択をするところだった。』
『……ありがとうね、あなた達。』
花陽「………っ、新理事長………!」
パンッ パンッ
545 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:46:12.51 ID:OMd2v9OIo
『……っ、新理事長?!』
『一旦落ち着いてください。ねえ教頭先生、私……こんなに立地がよくて、こんなに素敵な生徒達がたくさんいるのに……この学院が廃校危機に面した理由が、今わかった気がするわ。』
『………っ、新理事長……それはつまり、どういうことで………?』
『古い考えは捨てるべきです。もっと全てのことに柔軟に対応していかなければ、時代の流れについていけませんよ、教頭。今日はもうお帰りください。』
『なっ………!』
『………っ、く………っ、くそが!私はどうなっても知らんからな!!!』ダッ
バタンッ
凛「…ふふっ、ざまぁみやがれにゃ!」
にこ「ほんとね、意地悪ばっか言ってるからああなるのよ。ざまぁないわ。」
花陽「あはは…二人とも、口が悪いよお……」
『そうですよ、腐っても先生ですから…目上の人に対してその口の利き方はよくありませんね。二人には特別に課題を……』
にこ「ひいいっ」
凛「あわわわっ、ごめんなさい!つい…」
『ふふ……冗談ですよ、しかし次からは気をつけるように。…それでは、』
546 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:47:27.28 ID:OMd2v9OIo
『東條さんと……絢瀬さんについてですが……』
にこ「………っ」
『全てを決める権利は教頭ではなく…私と、それから教育委員会にあります。』
『教育委員会は今回この会議に出席できませんでしたが…私の決定が教育委員会の決定でいいと言われましたので。いいですか、』
『音ノ木の生徒2名……東條希と絢瀬絵里については、特例として…出席日数が足りなくとも、留年扱いにはしません。必ず卒業します。』
穂乃果「新理事長………!」
にこ「ほ、本当に……っ?!」
『ええ、本当です。ただし……いくらか課題は出しますよ、二人は成績もこの資料を見る限り優秀ですし、協力すれば卒業までにはこなせる量で。』
凛「絵里ちゃんがいれば、そんなのなんとかなるにゃー!!」
真姫「いざとなれば私だって…高3くらいまでの内容なら教えられるわよ?」クルクル
花陽「よかった、よかったぁ……!」ポロポロ
穂乃果「新理事長先生!!!」
『はい、なんでしょう?高坂さん。』
穂乃果「ありがとうございます!!!」
547 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:49:09.18 ID:OMd2v9OIo
にこ「……っ、ありがとうございます!!」
凛「ありがとうございます!!!」
花陽「えぐっ……ありがとう、ございます…!」ポロポロ
真姫「ありがとうございます。」
『………っ、ふふ。ええ……』
『いえ……こちらこそ…ありがとうございます。』
『校庭にいる方達も、ありがとうございます。こうしてわざわざ来ていただき…おかげで私も決断を下すことができました。』
真姫「新理事長……」
穂乃果「そうだっ!穂乃果もみんなに、お礼、言わなくちゃ……!」タタタッ
穂乃果「みんなー!!!!助けてくれて、ありがとう!!!ありがとうございます!!!」
ワーー!!!!
ヒデコ「そんなの生徒なんだし、希先輩と絵里先輩のためなら、ねっ!」
ミカ「当たり前だよ!」
フミコ「よかったよかった…ほんとに良かった!!」ポロポロ
『真姫ちゃん、また何かあったら言うのよ〜〜!!』
「まぁ希ちゃんは、高校なんか出なくたって…うちでいくらでも就職できますがねっ!もちろん永久就職だって…!」
「何言ってんだおめえ、とうとうボケたのか。希ちゃんがこんなおっさん相手にするわけねえだろおっ」
「しかしよかったですね、よかったぁ、よかった……!」
548 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:50:45.77 ID:OMd2v9OIo
あんじゅ「ふふっ、かんっぜんにフルハウスね♪」
ツバサ「よかったぁぁ!!これでμ'sともう一度対決できるかどうかはともかく…もう一度お茶をするくらいなら、いつか、できるかもしれないわね!」
英玲奈「できるに決まってるさ。なんたってあの東條希と絢瀬絵里だ。絶対乗り越えてくれるに決まっている。」
ワー ワー
穂乃果「みんな……」ウルッ
にこ「何よこれ……なによ、なによなによなによ………!ほんと、安っぽい青春ドラマじゃないんだからぁ……っ」ポロポロポロポロ
凛「あはは……にこちゃんは泣きすぎにゃー。」
真姫「ちょっともう…ほら、ハンカチ。」
花陽「ふふ…よかった、本当に良かったよお……」ポロポロ
ヴー ヴー
花陽「ん……っ?なんだろう………」スッ
花陽「っ!!!!!」
花陽「みんな……っ、みんな、聞いて………!!」
にこ「あによ…どうじだのよ、はなよ……」グスッグスッ
花陽「理事長……!無期懲役って判決が出たって!!!」
549 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:51:55.39 ID:OMd2v9OIo
真姫「……っ、ちょっとそれ、本当に!?」
花陽「うん…まだ第一審だから、理事長にとってはあと二回チャンスがあるわけだけど…でも、それでも…!第一審は、無期懲役だって………!」
穂乃果「それでもすごいことだよ!ことりちゃんと海未ちゃんが…きっと頑張ったんだよね、これで希ちゃんも、少し安心できるよね……!」
真姫「そうね…ひとまずこれで安心よ。良かった……!」
凛「こうも良い事続きだと、逆に怖くなってくるけど…でも、良かったにゃー!!」
にこ「ちょっと凛、怖いこと言うんじゃないわよお………っ」グスッグスッ
にこ「でも…本当に良かった、本当に……!」ポロポロ
にこ(絵里……!私達、ちゃんとやったわよ、私が言った通りに、やり遂げたわよ………!)
にこ(希!あとは時間がかかっても…あんたが元気になるだけなんだから……!希にはにこ達だけじゃない、こんなにたくさんの人が……ついてるんだからっ)
にこ「………っ、のぞみ……!」ポロポロ
にこ(これだけ全部上手くいって……それにたくさんの人の協力があるんだから。あとは全部、良くなるだけよね…!)
にこ(時間はかかるかもしれないけど、きっとまたこの9人で、笑い会える時がくる……!)
にこ(いつかきっと、全部全部、元通りに………!)
550 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:53:05.99 ID:OMd2v9OIo
−−−−
−−−
−−
ガチャ!!!
絵里「希っ!!!のぞみ!!!」
希「………っ」ビクッ
希「……な、なぁん、えりち…?急に大声ださんといて、びっくりするやん……」
絵里「……っ、そうよね…ごめんなさいっ、でも、あのね、すごいのよ!えっと……っにこが、ことりがね…っ」
希「………?ちょ、ちょっと、一回落ち着いて……」
絵里「…そ、そうね………っ、えっと…あの………」
希「………、ほら、深呼吸して……すーはーすーはー……」ナデナデ
絵里「………」スー…ハー…
絵里「………ふう。」
希「………えりちがそんなに取り乱すなんて、珍しいなぁ。何があったん?」ナデナデ
絵里「……ふふ、ごめんなさい、希に早く伝えたくって…あのね、2つ、いい知らせがあるんだけど……」
希「うん……?」ナデ…
551 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:54:38.08 ID:OMd2v9OIo
絵里「…1つ目はね、にこ達が学校の先生を説得して……私も希も、留年しないようにしてくれたの。私達、たとえ卒業まで授業に出られなくても…卒業させてもらえるんですって!」
希「そう…なんや……それはすごいなぁ。にこっちとみんなに、お礼言わんと……」
希「………っ」
絵里「ふふ、みんなって、相当大変よ…?だってね…ほら、あの私以上に堅物だって言われてた教頭、覚えてる…?」
希「…ああ、いたなぁ…頭かちこちの……」
絵里「そうそう。あの教頭だけが、頑なに説得に応じてくれなかったみたいで…だけどね、」
絵里「にこ達の他にも、生徒200人以上と……それから真姫のお母さん、穂乃果のお母さん、凛や花陽のお母さん……それに神田明神の神主さん達やA-RISEまで……」
絵里「……みんなが校庭に集まって、教頭のこと、説得してくれたそうよ…!」
希「そ、そんなに……っ?」
希「すごい………なんや、申し訳ないなぁ……」
絵里「…ふふ、何言ってるのよ……」
絵里「…それだけみんな、希のことが心配で…希の力になりたいって、希に元通り元気になってほしいって、思ってるのよ。」
552 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:55:59.35 ID:OMd2v9OIo
希「……そっ…か………」
希「あはは……すごいなぁ。」
希「………、…みんな………あったかいなぁ…」
絵里「ふふふ。希が良くなったら…少しずつでも、みんなにありがとうって…言いに行きましょう?」
希「………、うん……そう…やね、みんなにお礼、言わないと……」
絵里「ええ…私も言いたいわ。あと、それからもう1つの方なんだけど……」
希「………?」
絵里「……理事長、無期懲役が決まったみたいよ。」
希「………っ、理事…長が………」
希「………………っ」ギュ…
絵里「……っごめんね、思い出したくないのは、わかってるんだけど……でも、これで心配ないってこと、伝えておきたくて…」
希「………うん、わかってる……、ありがとう…」
絵里「………」
絵里「…あのね、ことりが……ことりが頑張ってくれたみたいなの。」
希「ことりちゃんが…?」
絵里「ええ……ことり、理事長の弁護の役割として…情状証人を任されていたみたいなんだけど、」
絵里「逆に理事長の罪が重くなるように……裁判で言ってくれたみたいなの。ニュースにもなってるみたい。こんなの前代未聞だって…」
553 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:57:24.29 ID:OMd2v9OIo
希「ことりちゃん……」
希「………、そっか………」
希「………」
絵里「希……?ごめんね、やっぱりこの話は……」
希「……っ、ううん…大丈夫……えっと、ほら……安心したから…ぼうっとしちゃって……」
希「あはは………」
絵里「希………」
絵里「………ふふ、それならよかった。」
希「………っ、うん……でもことりちゃん、きっと…つらかったよね……」
絵里「それは……」
希「………」
希「…ことりちゃんにも、お礼…言わな、あかんなぁ。」
絵里「……ええ、そうね。」
絵里「…ねえ、そろそろみんなに……お見舞い、来てもらう?」
希「………っ」
554 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 18:58:56.15 ID:OMd2v9OIo
絵里「みんなも貴女にすごく会いたがってて……」
絵里「…あのね、私明日…少し足りないものとか、買ってこようと思ってるの。その時に希の髪染めも、買ってこようかなって……」
希「………」
絵里「………」
絵里「……ごめん、やっぱりそうよね……まだ、みんなとは………」
希「……っ、ううん、そんなわけ…ないやん、うちもみんなに会いたいよ?」
希「………髪染め……買ってきてもらえる?」
絵里「希………!」
絵里「…ふふっ、ええ。他に欲しい物があったらなんでも言って?買ってくるから……って、あっ」
希「……?」
絵里「すっかり忘れてた…今日お風呂予約してたじゃない…どっちが先に行く?」
希「あ、ああ……じゃあうち、先行ってくる。」
絵里「そう…大丈夫?ついてくわよ。」
希「……ゆっくりならもう歩けるから、大丈夫。えりちはここで待ってて?」スタ…
絵里「…、でも………」
希「ふふ…えりちは心配性やね、大丈夫やから……じゃあ、行ってくるなぁ。」
ガチャ、バタンッ
絵里「のぞみ………」
555 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 19:00:49.00 ID:OMd2v9OIo
−−−
−−
バタンッ
ドクンッ ドクンッ
希「けほっ……けほっ……う……」ズル…
ガサガサ……ガサガサガサ……
希「は………は………」ギュ…
希(なんでやろ……最近どんどん、悪くなってる………)
希(幻覚…は、たまに…だったはず…なのに、ずっと………)
希「…………っ」
希(………でも…ちょっと休んだら…行かないと……)
希「はっ……は………」ガタガタ
希(………)
希(留年が無くなって……理事長の無期懲役が決まって……)
希(普通なら…嬉しいはずなのに、安心するはず…なのに。どうして……)
ガサガサガサ………スルスル……ヨジ……
希(……どうしてこんなに、不安になるんやろ……)
ガサガサガサ…ガサ………
希「………っ」
556 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 19:01:53.90 ID:OMd2v9OIo
希(……留年を免れたって、卒業したあと…うち、どうしたらいいんよ……)
希(無期懲役って、終身刑とは違う……いい子にしてればいつか出てくる、ってこと…やから…… )
希(そうしたら、また………!)
希(また………)
ガサガサガサ!!!ガサッ!!!!!
希「………っ、」ビクッ
希「はぁっ……はぁっ………」ガタガタ
希「……、予約した時間…すぎちゃう、行かなきゃ………」ヨロ…
コツ………コツ……
希「………」
希(……ネガティブすぎ、なのかな………)
希(うちって…事件が起こる前はもっと、前向きで…ポジティブで……)
希(細かいことは気にしないタイプだった…はず、なのに………)
コツ………
希「………っ、?」
『検査結果が、ーーーでーーーてくださーー』
『これだとーーー』
『しかしーーー東條さんーーー』
『ーーー』
希(向こうの……部屋の中から……)
希(今…東條さんって………)
希(…………)
557 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 19:29:34.32 ID:OMd2v9OIo
希「………」ソロ…ソロ…
希「………」ピタ…
『……待ってくれ。その検査結果…本当に確かなのかい?』
『ええ…十中八九確かかと。残念ですが検査をやり直したところで、結果は変わらないと思います…』
『………っ』
『…子宮にムカデを捩じ込むなんて……そんなことをされて、命があっただけ良かったと思うべきですよ、これは……』
『それはそうだが……しかし、』
『西木野先生の気持ちはわかりますが…しかしこればっかりは…どうしようも……』
『…子宮がこれだけダメージを受ければ、妊娠できなくなるのも……致し方ないかと。』
ドクンッ
希「……っ、う………」
希「はぁっ……はぁっ………」
ドクンッ ドクンッ ドクンッ
希「はぁっ………はぁっ………」ギュ…
希「………っ」ギュウ……
558 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 19:30:35.00 ID:OMd2v9OIo
『…摘出手術の時は本当に度肝を抜かれましたよ、まさかそんなものが出て来るなんて思いもしませんでしたから。』
『そりゃあ、普通は思いませんよ…』
『それから西木野先生、こっちの脳の方の検査結果なんですけど……』
『………?……っ、これは………』
『……ここに運び込まれた時より、さらに少し萎縮しています。』
『原因は…?』
『わかりません。考えられるのはストレスやフラッシュバックによる恐怖心ですかね……しかし、当たり前といえば当たり前かもしれません。』
『…いくら精神科の先生に診て頂いでも、限界がありますよ。あの事件を思えば、正気を保ってるだけ…東條さんは頑張っています。』
『…っ、それはそうだよ、希ちゃんは頑張ってる。しかし……』
『…、……いや…なんでもない。ここから考えられる影響として、君は何があると思う?』
『そうですね…何が起きてもおかしくないですし、逆に何も起きない可能性ももちろんありますが…』
『……記憶障害だったり、人格が変わったりっていうのは、起こりやすい症状かもしれません。』
『……、そうか………』
『西木野先生…?あの、このことは東條さんには……?』
『……っ、……落ち着くまでは、伝えない方が良いだろうね……』
『まぁ…そうでしょうね……』
559 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 19:55:55.17 ID:OMd2v9OIo
『…しかし、希ちゃんのお父さんには伝えなければならない…さっきやっと連絡がついたんだ。一週間以内にはこちらに着くそうだよ。』
『そうですか……、……私が検査結果の資料、作っておきますよ。』
『ああ、よろしく頼む。助かるよ。』
『それじゃあ次に、こっちのことなんですがーーー』
ズル……ズル……
希「はぁっ…は……っ」ガタガタ
希「……」ガタガタ
希「………っ」ダッ
コツ、コツ…ッ、コツ、コツ……ッ
ガタッ
ガチャンッ
バタッ
希「………っ」バサッ……バサッ
希「………」バサ……
ガチャン
………ジャー
560 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:14:42.86 ID:OMd2v9OIo
希「はぁっ……はぁっ………」
希「は………っ」
希「…………」
希「……あった、かい…………」
ジャー
希「ふふ…お風呂、病院ってお願いしないと入れないから…2日ぶりやなぁ………」
希「えへへ……お父さん、帰ってくるんやね、久しぶり……嬉しいなぁ。」
希「うれしい、な………」
希「あはは………」ポロ…
希「…」ポロポロ
希「………」ポロポロ
希「………っ」ブンブンッ
希「仕方ない………仕方ない………!」ポロポロ
ガサガサガサガサガサガサガサガサ!!!!
希「………っ、うるさい……」ポロポロ
希「うるさい、うるさい、うるさいよ………」ポロポロ
ガサガサガサ!!!!
希「うるさいったら!!!」ガンッ
561 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:15:59.08 ID:OMd2v9OIo
………ジャー
希「ぐす………」ポロポロ
希「仕方ないやん……仕方ない、よ……」ポロポロ
希「生きてただけ……良かったって……!」ポロポロ
希「正気を保ってるだけ、頑張ってるって………」ポロポロ
希「ふふ…今日はいいことが3つもあったなぁ…みんなが…うち…のために、頑張ってくれて……おかげで音ノ木、卒業できるんよ……?」ポロポロ
希「理事長だって、ことりちゃんのおかげで、きっと何年も、出てこない…し……」ポロポロ
希「お父さんにも…もうすぐ会えるんやから……」ポロポロ
希「いいことばっか……いいことばっかり…なんや…から………」ポロポロ
希「う……っ、ぐす………」
ガサガサガサッ!!!
希「ひっ……」ガタガタ
希「うう………ううう…………」ポロポロ
希「幻覚……幻覚やから………!」ポロポロ
希「はっ……はぁっ………」ポロポロ
562 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:25:30.31 ID:OMd2v9OIo
ジャー………
希「…………」ポロポロ
希「消えない………本物、みたい………」ポロポロ
希「なん…で………」ポロポロ
希「なんで…………」ポロポロ
ゾワゾワッ ウネウネ………
希「………………っ、」ポロポロ
希「………、」ポロポロ
希「はは…………」ポロポロ
希「………こんなん……本当はいなくたって、おんなじやん……」ポロポロ
希「聞こえて、感じて、見えるなら……」ポロポロ
希「あはは……そんなのもう、本当にいるのと…なんも変わんないやん………」ポロポロ
ガサガサ……ウネ………ウネウネ
ジャー………
希「…はは………は………」ポロポロ
希「もう……やだ、やだ……きもちわるい………」ポロポロ
希「もう……無理だよ………」ポロポロ
『のーぞーみ?』
希「……っ、」ゾクッ
563 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:27:20.81 ID:OMd2v9OIo
『ふぉっふぉっ……』
希「せ、先生……っ、?」
希「なんで……ここに………っ」
希(幻聴………?)
『ふふ、幻聴ではないさ。ちゃあんとここにいるよ。安心おし?ふぉっふぉっ……』
『扉は開けないから……シャワー浴びながら少し、お話ししようか……』
希「………っ、なん…で………」
『さっきここに駆け込むのが見えてねえ、声をかけるか…悩んだんだが、やっぱり心配でね……』
『何かあった…?いや、もしかして……西木野先生達の会議、時間的に…聞いてしまったんではないかい?』
希「………っ」
ジャー……
『………ふふ、やっぱりそうかい。』
『私は事前に結果だけ聞いてたんだが…気の毒にねえ。でもそんなに気にすることないさ、子供が欲しければ今は養子だってなんだってあるのだから……』
希「…………」
希「別、に……大丈夫です…から……」
564 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:28:18.91 ID:OMd2v9OIo
ジャー……
『ふぉっふぉっ、そちらはそんなに気にしてないのかい……じゃあ脳の方かな?』
『そっちは確かに……難しい問題さね、私が思うに……既に希の人格は、少し変わり始めてるようだよ。』
希「えっ………」
『ふぉっふぉ……思い当たる節があるんじゃないかい?誰かに当たったり……考え方が変わったり。』
『事件前の自分と違うなと思うところが、何か………』
希「………っ」
希(………、)
565 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:29:02.56 ID:OMd2v9OIo
『……っ、大丈夫、大丈夫やから……』
『……何もしなくて、いいから……』
『……さっき看護師さんが、体はもう大丈夫って、体力も少しずつ付いてきてるから明日検査しましょうって、言ったばっかりやん……それって良くなってるんとちがう?』
566 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:29:57.17 ID:OMd2v9OIo
希「………っ」
希(……確かに…心配してくれてるえりちに、当たるようなこと…言った……)
希(性格も……きっと………)
希「……っ、でも……!」
『ふぉっふぉ…図星だろう?』
希「…………っ」
『ねえ希……周りのみんなは変わった希に戸惑うかもしれない、もしかしたらこの先、愛想を尽かされるようなこともあるかもしれないねえ。』
希「そん、な…こと………」
『……特に"元通り元気になってね"、なんて言う子は危険さね……希に"元通り"を望んでるってことなんだから……』
希「……っ、元通り………」
567 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:31:08.68 ID:OMd2v9OIo
『……ふふっ、いいのよ。……でも、じゃあ…約束してくれる?』
『少しずつ……ゆっくりで、いいから。私も一緒にいるから……希、元気になって。』
『…私ね、希が"元通り"元気になってくれたら……それが一番、嬉しいから。だからお願い。』
『…それだけみんな、希のことが心配で…希の力になりたいって、希に"元通り"元気になってほしいって、思ってるのよ。』
568 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:32:41.38 ID:OMd2v9OIo
希「…………っ」
『ふぉっふぉっ…絵里ちゃんや周りのみんなは……希に元通りを望んでるんじゃないかい?』
希「やめて………」
『まぁ無理もないさ…希だって大切な友達が変わってしまったらつらいだろう?このまま一緒に居続ければ……』
希「…………っ、や、めて……もう、やめて………!」ガタガタ
『ふぉっふぉ…人の話は最後まで聞くものだよ、希……あのねぇ、他のみんなが希に元通りを望んでも……私は望まないからねぇ。』
『なんて言ったって母親代わりになるんだから、家族っていうのはね、どんな希でもーーー』
希「いらない!!!!」
『…………っ』
希「いらない……いらないよ……母親代わりなんていらない、貴女なんていらない……」ポロ…
希「帰って!!もう、帰ってよ………っ」ポロポロ
『………ふぉっふぉ…まだ混乱してるんだね、可哀想に……また明日、落ち着いたら会おうね……』
コツ…コツ、
ガチャン
ジャー………
569 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:34:15.77 ID:OMd2v9OIo
希「……っ、う……うう………」ポロポロ
希「…げほっ、けほっ、けほっ………」ポロポロ
希「…きもち…わるい………」ポロポロ
希「かはっ………げほっ、けほっ……」ポロポロ
希「…はぁっ…は……っ、」ポロポロ
ジャー……
希「けほっ……けほっ……」ポロポロ
希「はぁ……はっ……う………うう…」ポロポロ
希「………っ、」ポロポロ
ジャー…………
希「は……は……」ポロポロ
希「…………」ポロポロ
希「……、でも………あの人の言う通りだ……」ポロポロ
570 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:35:41.83 ID:OMd2v9OIo
希(みんなが好きなのは……わざわざ校庭に駆けつけてまで助けてあげたい東條希は、今の私じゃない……)
希(お見舞いに来て、話をしたい東條希も、今の私じゃない……)
希(……1ヶ月前までの、あの頃の私だ………)
希「……っ、う……ぐすっ………」ポロポロ
希(……ここに来て、目を覚まして…初めのうちは、少しずつでも…いつか、全部全部元通りになれるって、思ってた。でも……)
希「………無理、だ……」ポロポロ
希「無理だよ……そんなの………」ポロポロ
希「元通りに戻れるのは…見た目だけ。体はもうシャワーだって染みない。どんどん治ってく。だけど………っ」ポロポロ
希「だけど………」ポロポロ
希「………っ、うう……えぐっ、………ううう……」ポロポロ
希「…っ、元通りになんて、戻れるわけない……あの頃にはもう、戻れない………!」ポロポロ
希(えりちは優しいから…たとえ私が変わっていっても、元に戻れなくても、きっとずっと一緒にいてくれようとする)
希(私がもっともっと壊れていって、迷惑をたくさんかけたって…えりちは優しいから、すごく優しいから……きっとなんだって許してくれる)
希「でも……そんなの、だめだ……」ポロポロ
571 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:36:57.37 ID:OMd2v9OIo
希(ただえさえ迷惑かけ続けて…大切なマグカップを割って、未だにどこに行くにもついてきてもらって……)
希(私のせいでえりちは学校にだって行けてないのに…受験だってどうなるかわからないのに)
希(……これ以上、えりちの人生を奪えない)
希「………っ、………」ポロポロ
希(お父さんが一週間以内に帰ってくる…それだって、)
希(それだって…だめだよ、お父さん、こんな私を見たら……絶対に後悔する、もう二度と夢なんて追えなくなる)
希(……たくさんの人の人生を奪って、迷惑をかけて、虫だらけの現実を生きていくくらいなら………)
希「………、ぐすっ………」ポロポロ
希「いっそ死んだほうが……いいのかな……」ポロポロ
希「ふふ、……っ、」ポロポロ
希「…………」ポロポロ
希「………、あはは………」ポロポロ
希「そう…だよ……そうだよね、」ポロポロ
572 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:38:28.58 ID:OMd2v9OIo
希(ここにいたら真姫ちゃんのお父さんにだって迷惑がかかる…こんな私を見たら、みんなだってびっくりする、悲しくなっちゃう……)
希(死んじゃえば悲しむ人もいるけど……そんなの一瞬。時間が経てば、みんな前を向いて生きていける、えりちは私から解放される、お父さんは夢を追える)
希(これ以上こんな自分を見られなくてすむ。みんなの中の私は…あの頃の優しいうちのままでいられる)
希(虫からも解放される!運が良ければお母さんにも会えるかもしれない…!)
希「ふふ……あはは………」ポロポロ
希「………っ」ポロポロ
希「…っ、いいことばっかり………ううん、いいことしかない……なんでもっと早く気付かなかったんだろう、あはは、はは……」ポロポロ
希「……はは………」ポロポロ
希「………っ」ゴシ…
希「明日……」
希「明日でいっか、えりちもいないし……ふふ、すごいタイミング。うちってやっぱりラッキーガールなんやね!あはは…」
希「そうと決まれば、早く洗ってでないと…そろそろえりちだって心配しちゃうし……ふふ、うふふ……っ」
希「…ええっと、ボディソープはっと………」ガタガタ
希「………っ」ギュッ
希「…………」
希「…………震えないでよ……」
希「……今更怖くなんてないやん、だって理事長のあれに比べたら……死ぬのなんて簡単で…一瞬よ?」
希「ね、ほら……ふふ………大丈夫、大丈夫……」ゴシ…
ゴシ…ゴシ
希「大丈夫……大丈夫、大丈夫……」ゴシ…ゴシ…
573 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:39:41.94 ID:OMd2v9OIo
−−−
−−
−
ガチャ
絵里「希……!」
希「あ、えりち……ただいまぁ。」
絵里「遅いから心配してたのよ、よかった…」
絵里「………じゃあ次は私が……って、えっ、!?」
絵里「ちょっと希、目真っ赤じゃない…っ!何かあった?大丈夫?」
希「あ、あはは……ちょっとリンスが目に入っちゃって。大丈夫、大丈夫。」
絵里「……っ、本当に………?」
希「本当よ?そんな嘘ついたって、なんの得もないやん!ふふっ」
絵里「希………」
絵里「……もう。どんな洗い方したのよ、まったく…心配するじゃない。」
希「……、えへへ、ごめんなぁ。」
574 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:40:42.52 ID:OMd2v9OIo
絵里「…まぁいいわ。じゃあ次お風呂入る時は私が洗ってあげる。」
希「えー…そんなの恥ずかしいやん〜うち子供じゃないんよ?」
絵里「いいから。わかった?」
希「………もう、しょうがないえりちやなぁ。」
希「でも…じゃあ、お願いしようかなっ」
絵里「………本当?じゃあ明日も入りましょう。帰りがけにお願いしてくるから……」
希「……明日、なぁ………」
希「……うん、わかった。じゃあえりちもはよ入っておいで?久しぶりのお風呂、あったかくてすっごく気持ちよかったよ!」
絵里「え、ええ…じゃあ入ってくるけど……」
絵里「………」
絵里「……、希……なんだかちょっと、元気すぎない…?」
希「………っ、だってほら…留年のこととか、理事長のこととか……今日は嬉しいことばっかりやから。」
絵里「………」
希「えりち………」
希「………元気だと、何か悪いんかな…?」
575 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:41:52.36 ID:OMd2v9OIo
絵里「そんなこと…ないけど………」
希「ふふっ、ならいいやん!あっ、ほら…早く行かないと遅れるよ?」
絵里「………っ、本当ね…じゃあ行ってくる。」
希「いってらっしゃーい。」フリフリ
ガチャ バタン
希「………」フリフリ
希「………」
希「……明日、かぁ………」
希「……っ」バフッ
希「………ごめんね、えりち。」
ガサガサ……ガサガサガサガサ………
ガサガサ……ガサガサガサ……………
希「…………っ」ガタガタ
希「………」ギュ…
576 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:43:02.70 ID:OMd2v9OIo
希「寝るのって、もう…最後、かな……」
希「最後くらい、楽しい夢が見たい、な……」
ガサ…
希「………っ、薬……最後の一錠……」
希「………」
希(そういえばここのところ、毎日飲んでた、ような……)
希(………)
希「………ふふ、一錠残ってるなんて…ラッキーやねっ流石うち!」
ガサガサ ガサガサ ガサガサ
ガサガサ ガサガサ ガサガサ
…………ゴクッ
グニャ
希「…………っ」
希「う……げほっ、けほ………うう……」ガタガタ
希「ふ………う………あれ………」ガタガタ
希(眠れない……?)
希「なん…で………」ガタガタ
希「………っ」ガタガタ
希「し…かた、ない……こっち………」ガサ…
577 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:44:17.90 ID:OMd2v9OIo
希(ハルシオン……)
希「………っ、やっぱり、嫌……」ガタガタ
ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ!!!
希「ひっ………やだ、う………うう……」ガタガタ
希「うう………う、嫌……嫌………」ガタガタ
希「だめ、だ…飲まな…いと……」ガタガタ
ゴクッ
希「………っ」ガタガタ
希(効かない………)
ガサガサッ ガサガサガサガサッ
『『ふふ、勉強になるでしょう?ちなみに東條さんを連れてくるときに飲ませたジュースには、ハルシオンっていうお薬が入ってたの。』』
『『ふふっ、あはは……目が覚めたら……目が覚めたら、次は……!』』
希「………っ、う……あ………」ガタガタ
希「や……っ、嫌……っ!!」ブンブン
希「はっ…はぁっ……はぁっ………」ガタガタ
578 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:45:29.27 ID:OMd2v9OIo
希「………もう一錠、ううん、あと三錠くらい、飲めば………」ガタガタ
ゴクッ
グニャ
希「ーーーっ、う………」クラッ
希「………っ、かはっ……あ……う……」クラクラ
希(……、薬のゴミ、捨てておかないと………っ)
ポイッ………ポイ、
希「う……うう………ぐっ、けほ………」ガタガタ
希(苦しい……)
希「はぁっ、はっ……は………」ガタガタ
希「う………あ………」フラ…
希「………っ、」ドサッ
希「………」スー…スー…
579 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 21:50:08.50 ID:OMd2v9OIo
−−−
−−
−
ガチャッ
絵里「希!のぞみ聞いて!!真姫のお父さんから聞いたんだけど、希のお父さん……」
希「………」スー…スー…
絵里「………、寝てる………」
絵里「………」
絵里(ここ最近……気づくとほとんど寝てる……ような………)
絵里「………薬が効いてるのかしら。…にしても効きすぎじゃない?」
絵里「……、あら……」ガサ…
絵里「…っ、ゴミ箱、薬のからだらけ……」
絵里「………」
絵里「袋の中は………」ガサガサ
絵里「………こっちの薬は殆ど残ってるけど……こっちは全部無くなってるわね……」
ピラッ…
絵里「………?何かしら……」
絵里「……………っ、」
580 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 22:09:04.16 ID:OMd2v9OIo
[この薬は作用が強いから、本当に辛いときだけ飲むこと。]
絵里「希………」
絵里「………」
絵里「無くなってるの……辛いときに飲む方…よね……」
絵里「どうして………」
絵里「………」
絵里(私が気づかなかっただけで……希、もしかして……ずっと………)
絵里(………)
絵里「希……」
絵里「希、ねえ…私じゃやっぱり……だめだった……?」ナデ…
希「………」スー…スー…
絵里「希………」
絵里「………」
絵里「…でも、そうよね……考えてみれば、当たり前よね…私、家族でも、なんでもなくて……希にとっては、」
絵里「…ただの親友、なんだから……」
絵里「………っ」
絵里「………」
絵里「…でもね、希……安心して。真姫のお父さんに聞いたんだけど…希のお父さん、一週間以内に帰ってくるみたいよ。」
絵里「ふふ…そしたら希も少しは…安心できるでしょう?」
581 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/02(金) 22:09:58.89 ID:OMd2v9OIo
絵里「…それに、私ってほら、堅物で、つまらない人間だけど……」
絵里「髪を染めて…みんなに来てもらえば、μ'sはほら…にことか、凛とか…楽しい子達ばかりだから。」
絵里「希も私と二人でいるよりは、楽しい気持ちになれると思うの……」
絵里「……それにね、マグカップのこと、まだ気にしてるみたいだけど……それだって、気にしなくていいのよ?」
絵里「私明日…おんなじの、買ってくるから。ね、ふふっ……」
絵里「希………」ナデ…
絵里「のぞみ………」
絵里(寝顔……なんだか少し、苦しそう。)
絵里(………)
絵里「………、」ポロ…
絵里「………」ポロポロ
絵里「………っ、」ゴシ…
絵里「希………」
絵里「……っ、……私ね、悔しい、の……もっと力になってあげたいのに……できることなんだって、してあげたいのに………」
絵里「のぞみ………」
絵里「私…無力で、頼りなくて……何もしてあげられなくて、ごめんね……」
絵里「……、せめて希が……いい夢が、見られますように。」
絵里「………、」ナデ…
絵里「………おやすみ、希。」
582 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/03(土) 02:13:46.00 ID:HU3tuAvSO
かしこい
583 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/03(土) 15:19:39.57 ID:21baqWpL0
精神科医[
ピーーー
]
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/04(日) 19:06:06.88 ID:aO6kxfbQo
乙。
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/04(日) 20:16:55.24 ID:RfjzGUIbO
早く続きが読みたいぞ!
586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 01:20:54.42 ID:RQq+HJxn0
、
587 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:41:57.41 ID:9/iY8sgko
−−−−
−−−
−−
−
理事長「はぁっ、はっ………」
理事長「なんっ…で………どうして………」
理事長「ことり……ことり………」
『………南、手紙だ。』
理事長「手紙っ、?!誰から………っ」
『…娘さんからみたいだぞ。』
理事長「ことり?!…っ、はやく、貸して!!!」バシッ
ビリッ ビリッ ビリ………
理事長「………っ、ことり………」ペラッ
理事長「………」
『お母さんへ』
『これは私からお母さんへ送る、おそらく最後の手紙です。』
『…唐突だけど……まずはじめに、お母さんに聞きたいことがあります。』
『……ねえお母さん、お母さんはこの先どんなにやめてと、許してと、そこから出たいと思っても…刑期が終わるまで、絶対にそれは許されません。』
『私と会いたいと、私とお話したいと思っても
…それも絶対に許されません。お母さんが死ぬ直前まで……どんなに泣いても、何をしても、絶対に。』
588 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:43:01.14 ID:9/iY8sgko
理事長「………っ、」ジワッ
理事長「こ…とり……?」
理事長「……っ、どう…して………」ポロ…
理事長「どうしてそんなこと……言うのよ……っ」ポロポロ
理事長「ことり………」ポロポロ
『…それを知った今、どんな気持ちがしましたか?多分…とっても苦しいんじゃないかな、私だってこれを書いてる今…とっても苦しいから………だけどね、』
『希ちゃんは…もっとずーっと、苦しかったんだよ……。お母さん、希ちゃんがどんなにやめてって、泣いて、縋っても……ヘラヘラ笑って、絶対にそれを許さなかったんだから…』
『だからお母さんのそんなのは、希ちゃんのつらさの……1億分の1にも満たないだろうけど、でも、少しはわかったかな…自分がどんなに恐ろしいことをしたのか。』
理事長「……っ、」ポロポロ
理事長「…………」ポロポロ
ペラッ
『やくそくその1。自分がされて嫌なことは、人にしないこと。』
『やくそくその2。悪いことをしちゃった時は…きちんと反省すること。』
『この2つの約束…わかるよね、お母さんが私が幼い頃、悪さをしたときに…いつも言っていたこと。生きてく上で…当たり前のこと。常識。』
『お母さんはきちんと、心の底から…自分がしたことを後悔して、心の底から希ちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいになって、反省して、それをずっと背中に背負って、償いの気持ちを持たなくてはいけません。』
『人生が終わるまで…ずっと。』
『…もしお母さんが本当にそうできたなら、二度と私達の前に現れようなんて…間違っても、思わないはずだよ。』
589 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:43:48.62 ID:9/iY8sgko
理事長「ことり………」ポロポロ
理事長「…………っ、でも……!」ポロポロ
『ねえお母さん。今、"でも"って言ったでしょ?わかるんだよ…?ことりには。だって私…お母さんの娘だから。』
『私もね……あんなことを平気でやったお母さんが、自分のしたこと…すぐに反省できるとは、思っていません……後悔と反省は、別物だから。』
『あんなことをしたお母さんに残されたものは、考える時間だけです。だからこれから長い時間…自分がしたこと、きちんと振り返って…反省してください。2つのやくそくを守れる人になってください。』
『もしお母さんが反省せずに…同じようなことを繰り返したら、ことりはもう二度と、お母さんと会うことも…お母さんと笑い合うことも、ありません。』
理事長「…………っ、」
『だけど、』
『もしお母さんが本当に心の底から反省できたなら……私達の前に、二度と姿を現さなかったなら。』
『そのときはお母さんが死ぬ直前に、一度だけ……ことりから会いに行ってあげます。』
理事長「……っ、ことり……!」ポロポロ
理事長「反省…するわ、私……反省する。」ポロポロ
理事長「だから………!」ポロポロ
理事長「だから……」ポロポロ
理事長「ことり………」ポロポロ
理事長「………」ポロポロ
590 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:45:17.26 ID:9/iY8sgko
理事長「………、反省、か…………」ポロポロ
理事長(……たとえことりの言うようにできなくても……私なら、出所さえできれば……)
理事長(いい子を演じきれば……)
『……これを読んで……反省してる演技や振り、しようと思ったでしょう?お母さん。』
理事長「………っ、え………」ポロポロ
『…そんなの、お見通しだからね、ことりには…わかるんだから。』
『お母さんが心の底から反省することを、心の底から願っています。もう一度再開できることを、本当に本当に願っています。』
『お願いだよ……?お母さん。』
『ことりより。』
理事長「………っ、え、終わり……?これだけ……?」ポロポロ
理事長「ことり…ねえっ、これだけなの……?ねえっ………」ポロポロ
理事長「ねえ…っ!!!!」ポロポロ
ピラッ
理事長「…………っ、これは……っ?」ピラッ
『追伸 これだけ?って思った?お母さん。お母さんへの感謝の気持ちや、他のお話、思い出は…全部もう一度会えたときに、お話しすることだよ。だから今は…これだけです。』
『だからその日までは……』
『さようなら。お母さん。』
591 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:46:28.27 ID:9/iY8sgko
理事長「ことり………」ポロポロ
理事長「その日って……いつよ、それ………」ポロポロ
理事長「…もしかして、何年も……何十年も、ずっと…………?」ポロポロ
理事長「ことりの言う"反省"ができなかったら、もう二度と………」ポロポロ
理事長「……っ、」
理事長「ぁ………あ………」ガタガタ
理事長「嫌……、嫌よ、そんなの………!」ガタガタ
理事長「ことり…っ、ことり………!!!」ガタガタ
理事長「なん…で………どうして、ねえ、ことり………ことりだって寂しいでしょう?!なのにねえ、なんで………なんでなのよ!!!」ガタガタ
理事長「嫌………っ、嫌よ!!!!」ガタガタ
理事長「嫌………嫌………」ガタガタ
592 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:47:18.31 ID:9/iY8sgko
『ぁ……嫌………嫌………』ポロポロ
『嫌しか言わないのね。もうあまり頭も働かない?ちょっと刺激が必要かしら…次はじゃあ、小さい箱ね?』
『やめて…もうやめて……』ポロポロ
『…うふふ、やめない。』
『ぁ………あ………』ポロポロ
593 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:49:17.83 ID:9/iY8sgko
理事長「…………っ、あ…………」ガタガタ
理事長「あ……ぁ………あぁ………」ガタガタ
理事長「わた…し………っ」ガタガタ
理事長「私……東條さん、に………っ」ガタガタ
理事長「それって………っ」ガタガタ
理事長(………私もこれから…東條さんの苦しみの、ほんの少しでも……それでもそれを、味わわなければならないってこと?)
理事長「………っ、」ガタガタ
理事長「………嫌、そんなの…、嫌よ!!!ことりに会いたい…ことりがいないと……私っ」ガタガタ
理事長「大体なんで私が……っ、なんで……どうして………っ」ガタガタ
理事長「どうして私がこんな目にあわなきゃいけないのよ!!!」ガタガタ
理事長「ことり………どうして……どうしてよ………」ガタガタ
理事長「ずっと愛情込めて育ててきたじゃない………!!なんでことりが、そんな、そんなの………っ」ガタガタ
理事長「あ…あぁ………あ………っ」ガタガタ
理事長「どうしてこんなことに…」ガタガタ
594 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:50:19.03 ID:9/iY8sgko
理事長「…………っ、ことり………」ガタガタ
理事長「あぁぁあ………あぁあああっ……」ガタガタ
理事長「嫌あああああ!!!!」ガタガタガタガタ
『…………っ、なんだ………?!』
理事長「ちょっとあなた、ここから出しなさいよ!!!!!」ガチャッガチャッ
理事長「私はことりに会いたいの!!!どうしたって会わなきゃいけないの!!!」ガチャッガチャ
『………っ、抑えろ!』
『はっ…』
理事長「ちょ、やめ…やめなさいよ!!ねえ!!!」ガチャガチャ
理事長「ことりに会わせて!!!今すぐことりに会わせなさい!!!」ガチャッガチャッ
理事長「ねえ!!ねええええええ!!!!」ガチャッガチャッ
理事長「ことり!!ことりぃ!!!!」ガチャッガチャッ
理事長「ことりいいいい!!!!」ガチャンッ
595 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:51:43.73 ID:9/iY8sgko
−−−−
−−−
−−
ことり「………」ピラッ
海未「ことり……そろそろ電気を消しま……、」
海未「……、それ………」
ことり「……っ、あはは……ごめんね、未練がましい、よね………」
ことり「お母さんにああ言ったんだから、私だって……お母さん離れ、しなきゃいけないのに…こんな、写真…なんて………」
海未「ことり……」
ギュッ
ことり「海未ちゃん……?」
海未「……それくらい、いいじゃないですか。当たり前です。本来私たちはまだ、親離れするような歳ではないんです。」
海未「それにことりはとても…頑張ったんですから……」
海未「実の母に、それもあれだけ大切にしていた母に…あんなことを言うのは、とても勇気のいることです。」
海未「私は見ていましたよ、ことりが勇気を出して、頑張っていたところ……最後まで。」
ことり「海未、ちゃん………」
596 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:52:56.40 ID:9/iY8sgko
海未「……長かった髪も、これだけ切って……ネットやマスコミの誹謗中傷にも耐えて、」
海未「ことりは偉いです、本当に……」
ことり「………」
ことり「そんなこと……当たり前だよ、希ちゃんのためだもん……当たり前だよ……」
海未「ことり……」
海未「……でも、もういいんです。これ以上我慢しないでください……無理、しないでください。」
海未「希のことは……これからみんなで支えて行きましょう。ことりは自分ができること、ちゃんと果たしたんですから……もう、一人で抱え込むこと…ないんです。」
ことり「海未ちゃん……ありがとう。」
海未「ええ……」
海未「………、………だからほら、えっと……」
ことり「………?」
海未「……っ、その……泣いてください、ことり。裁判が終わってから…にこ達と合流した後も、ずっと我慢してたこと……私、知ってるんです。」
ことり「海未ちゃん………」
ことり「………っ、」ジワッ
ことり「もう……本当に海未ちゃんには、敵わないなぁ……っ」ポロ…
597 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/05(月) 11:54:06.98 ID:9/iY8sgko
ことり「…どうしてわかったの?そんな風に言われたら…もう、私……っ、う………うう………」ポロポロ
海未「ことり………」ポンポン
ことり「……っ、海未ちゃんは…すごいよ、私のこと…なんでもお見通しで………っ」ポロポロ
ことり「私ね、一人でもなんとかなるって、大丈夫だって…思ってたけど……全然そんなことなかった……!」ポロポロ
ことり「あのねっ、私が勇気を出せたのも……お母さんにああ言えたのも、全部全部、海未ちゃんがいたからなんだよ……っ?」ポロポロ
ことり「海未ちゃんがいたから……海未ちゃんのおかげなの。」ポロポロ
海未「そんなことは……それはことりが頑張ったからで、私は何も……」
ことり「ううん、そんなことない…絶対海未ちゃんのおかげなの。だからね、海未ちゃん……」ポロポロ
ことり「………っ、ありがとう!」ポロポロ
海未「……っ、ことり……」ポロ…
海未「…っ、……はい……どう、いたしまして。」ポロポロ
ことり「う…うう………ぐすっ、…海未ちゃん、海未ちゃん……っ」ポロポロ
海未「ことり………」ポロポロ
ことり「ううう………ぐすっ、うう……」ポロポロ
海未「………」ポンポン
ことり「……っ、うう………」ポロポロ
海未「………」ポンポン
ことり「ぐすっ……」ポロポロ
海未「………」ポン、ポン
ことり「………っ、」ポロポロ
海未「………」ポン、ポン…
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 14:21:18.65 ID:vmx+AvV2o
サイコパスは反省や後悔で変わるようなものじゃないから、親鳥はどれだけ苦しんでも変われないんだろうなあ
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 17:49:05.69 ID:nf7S/jCd0
乙です
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/05(月) 23:23:25.39 ID:SIAzA77EO
まあ反省とかするわけないわな
601 :
◆5UuNMwrvUc
[saga]:2016/12/06(火) 01:23:43.54 ID:ZqQDeG+6O
ちょっと受験がやばいから更新めっちゃ亀になるか続きが受験後とかになるかも、ごめんな
落ちないように定期的に保守はしにくる
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
:2016/12/06(火) 03:27:25.42 ID:19/PWmCN0
受験生だったノォ!?
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/06(火) 03:56:46.35 ID:6YyYT2sDO
無期懲役はいい子にしていればすぐ出てこれるっていう都市伝説があるが、無期懲役の場合服役で「30年」経つと、仮出所の申請が「できる」そこで申請が却下されると次に申請ができるのは「10年後」
ちなみに毎年申請が受理される確率は0.5%ほどの超狭き門
まず4、50年は絶対に出てこれないからのんたんには安心してほしい
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/06(火) 07:55:27.01 ID:J9kQl+w7o
親鳥ババアだから三十年経ったら死んでくれてるかもな
一般かセンターかしらんが頑張れよ
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/06(火) 08:23:28.29 ID:XlfvqS2+O
乙乙
受験勉強頑張れ
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/06(火) 10:32:17.49 ID:blS5p9iSO
>>604
学校とは言ってない
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2016/12/06(火) 16:21:27.74 ID:AY1t6htco
えっ受験生なの
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