【ラブライブ】希「どうしてこんなことに…」理事長「ふふっ♪」

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93 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:29:47.18 ID:A+sg7CyRo
絵里「……ほんとにね。あっという間よ…」

絵里「希……」

ことり「…あっ、ごめんね、感慨に浸っちゃって……よし、それでは検索してみます!多分九州って、出ると思うけど……」スッ

絵里「………」

ことり「………」

ことり「……っ!でた、ここって……」

絵里「…ここ、秋葉原じゃない………!」

ことり「………」

絵里「どういうこと……ことり、もっとよれる?詳しい位置が知りたいわ。」

ことり「う、うん……」

ことり「………」スッスッ…

絵里「………」

絵里「………ここ、音ノ木坂?」

ことり「……みたい、だね…これ以上はよれないや。どういうことだろう…希ちゃんスマホ、学校に忘れていったとか…?」

絵里「いや、そんなはずないわ…ここに書いてある、最後に電源がついていた日付と時間、私に最後にLINEが送られてきた時間と一致するの…」

絵里「………誰かが音ノ木で、希のスマホを使って……希に成りすましてLINEを送ってる?初めの学校への電話だけ本人にさせて…その後は………っ」

ことり「そんな!それってつまりどういうこと?誰がそんなこと……なんの目的で……っ」

絵里「わからないわよ!わかるのは誰かが希に成りすましてLINEをしているということと…希が消えたってことだけ……」

絵里「………っ」


ことり「絵里ちゃん……」
94 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:30:29.69 ID:A+sg7CyRo
絵里「……!ごめんなさい、ちょっとカッとなってしまって……」

ことり「ううん…当たり前だよ。」

絵里「…落ち着いて考えたら、希が学院に隠れていてLINEを送ってる…とか、そういう見方もできるのよね……そんなことをする意味はわからないけど。だけど…」

ことり「…うん、そんなことするメリット、何もないよ……警察に行った方がいいと思う。私達がやったことは…下手したらかなり怒られちゃうかもしれないけど。」

絵里「…そうよね、私、帰り道に警察署があるから…もう一度行ってみる。ことりは帰り道逆方向よね?今日はもう遅いから…」

ことり「うん、ごめんね…ありがとう。あ、あと今の話…μ'sのみんなには……」

絵里「…しないほうがいいかもしれないわね。何か希にしている人が学院にいるかもしれない以上、みんなを危険な目には合わせたくない…」

ことり「…そうだよね、じゃあ二人だけの秘密ってことで……」

絵里「ええ…ごめんね、ことり…こんな遅くまで、色々巻き込むようなことしてしまって…」

ことり「ううん、μ'sのメンバーだもん…友達だもん、私だって希ちゃんのこと、大好きだから…力になれたら嬉しいよ、それに早く解決したい…私も希ちゃんに、会いたいから。」

絵里「ことり……」ジワ…

絵里「……」ゴシゴシ

絵里「……ありがとう。」

ことり「……ふふ、お礼なんて…いいんだよ。」

ことり「帰り道、気をつけてね?」

絵里「ことりもね?それじゃあ…」

ことり「うんっ、また明日ね、絵里ちゃん。」



95 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:31:37.34 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

ガチャ


ことり「ただいまぁ…」


ことり「……!お母さん、今日はこっちにいるんだ……」

ことり「………」

ことり「……あ、また薬のカラ、散らかしっぱなし………」


ことり(睡眠薬…増えてる)

ことり(眠れないのかな……)


ことり「はぁ、あれ……ゴミ袋、ぱんぱん……」

ことり「………?!」

ことり「………っ」ガサガサ

ことり「…………!」

ことり「これって……音ノ木坂の制服……っ?」

ことり「どうして……」

ことり「…っ?!」

ことり「これ……3年生のリボン………」

ことり(どういうこと…なんで3年生のリボンが……)

ことり(3年生……希ちゃん……?)

ことり(…偶然、だよね?お母さん、理事長だし……)


ことり(………)
96 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:32:20.12 ID:A+sg7CyRo

『…今日もあの倉庫に行くの?気持ち悪いからやめなよ、もう……』

『ふふっ、私にとっては大好きなモノに囲まれた、パラダイスなのよ…ことりにとってのマカロンみたいにね。』

『ふええ〜…きもちわるいよー』

『ことりにはまだ早いのよ、きっと。ふふっ、最近とっても魅力的な生き物が手に入ってね…だから家になかなか戻ってこないかもしれないけど、心配しないで?』

『心配するよぉ、お母さん、夢中になるとちっとも寝ないし…もう、ちゃんと休んでね?』

『わかったわかった、気をつけるわ…ふふっ。』


ことり「………」


『…あれ、お母さん、これ、焼肉おにぎり?珍しいね、こんながっつりしたもの…』

『……っ、ああ、最近ロクにもの食べてないから…たまにはね、いいなと思って。』

『ふふっ、そっか…そうだよ、お母さん痩せすぎなんだから、もうちょっとちゃんと食べなきゃダメだよ?』

『はいはい…ふふっ。』


ことり「………っ」
97 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:32:52.74 ID:A+sg7CyRo
ことり「違う…よね、違うよね、そんなはず……」

ことり「そんなはず…ないよね。あるわけないよ…あはは。」

『身内に何か悪いのがいるんじゃないの?』

ことり「………っ」

ことり「違う…違う……違うもんっ、お母さんはそんな…そんな変なこと、しないもん……」

ことり「あはは…それになんで、お母さんが希ちゃんを、なんて…そんなの、あるわけないよ、おかしいもん。」

ことり「……ことり、きっと疲れてるんだよね、今日たくさん働いたもん…そうだよね。」

ことり「はやく寝なくちゃ……お母さんの薬、借りちゃおうかな、あはは…」

ことり「…あはは…………」


ことり(普通に考えたら、そんなことあるわけないよね……?)

ことり(…そうだよね、お母さん……)

ことり(………)

98 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:33:45.24 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

希「ん………んん……」パチ

希「…………」




希「なに……これ………」


希(また中に何か入って、ていそうたい…?つけられてる)

希(…そういうの、飽きたんやなかったの……?)


希「…脚…と……腕も、痛い…」ガチャ…

希「………ぐ……」ガチャガチャ


希(天井から降りてる鎖に、手錠……)

希「…ピンと張りすぎやろ……腕曲げられないやん…」

希(身体中に貼られた白いパッド…みたいなやつ、これ、AEDとかについてる、電極パッド…?)


希「あはは……」

希「………」

希「……なんなんよ、ほんと、もう……」ジワ…


希(確認できるのは……手の甲、と、二の腕、頬、胸、お腹、太もも、ふくらはぎ…?)

希(背中にも…たぶん)


希「理事長……どこ行ったんやろ……」

希(……理事長が来る前に逃げれなかったら、昨日よりもっと痛いことに……)


希「……」ゾッ
99 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:49:57.74 ID:A+sg7CyRo
希(逃げ…れなかったら……)

希「………っ」

希「……だ、れか……」


希「誰か助けてください!!!誰か!!!!」

希「ここ、都内でしょ?!誰かしらいるでしょ!!!」

希「誰かー!!!誰か!!!助けてください!!!!けほっ」


希「……けほっ、コホっ…誰か…………」

希「けほっ、けほっ……誰か!!!いるでしょ!!!助けてください!!!助けて!!!!」

希「ことりちゃん!!!近くにいるんやないっ?!ことりちゃーん!!!!助けて!!!」

希「えりち!!えりちなら探してくれてるでしょ、きっと…きっと……っ、ねえ、うちここにいるよ!!!」

希「お父さんっ……お父さん!!ねえ、お願い助けて!!!お父さん……っ」

希「穂乃果ちゃん!!海未ちゃん!!!」

希「真姫ちゃん!!凛ちゃん!!花陽ちゃん……っ!ねえ、うち、ここにいるよ!!」

希「にこっち………!」

希「………」




希「誰か………」

希「………っ」ジワ…


希「誰か……助けてよ………」ポロポロ

希「……っ、ぐす……誰かぁ………」ポロポロ
100 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 16:51:08.13 ID:A+sg7CyRo
希「やだ……痛いのはやだ………」ポロポロ

希「怖い…よ…………」ポロポロ



ガチャ


理事長「…ふふっ、ごめんね?ここ、地下だから……叫んだところで、地上にはほとんど聞こえないわよ。」

希「……っ」ポロポロ

理事長「おはよう、東條さん。」

希「理事長……ねえ、もうやめ……」ポロポロ

理事長「おはよう。」

希「……っ」


希「…………」ポロ…

希「おは、よ……」ポロポロ


理事長「…ふふふ、ねえ、怖い?怖いわよね、ふふ……かわいい。」ペロッ

希「……っ」ポロポロ

理事長「……ん、しょっぱいけど…おいしいわ。ふふ、舐めても舐めても出てくるわね……頬の電極パッドが濡れちゃうじゃない。火花が散るからやめた方がいいわよ?」

希「火、花………」ポロポロ


理事長「…じゃあお話はおしまいね?今からルール説明をするから。ちゃんと聞くのよ?」

希「やっ…!嫌や!ねえお願い、お願いやから!!ほんとに嫌なの、やだ!やだぁ!!!」ガチャッガチャッ

理事長「ふふふ…暴れても意味ないわよ?わかるでしょ、東條さんなら…」

希「わからない!!わからないよ、そんなの…暴れたら手錠が外れるかもしれない、パッドが壊れるかもしれない…時間稼ぎをしたら誰か助けに来てくれるかもしれない!」

希「諦めたら今すぐ痛い目にあうんやろ!何かしたら変わるかもしれないじゃないっ!!」

理事長「ねえ、喋り方混ざってる……じゃあいいわよ、暴れても。好きなだけ暴れて?時間はたくさんあるから。」


希「………っ」ガチャ…
101 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:28:32.75 ID:A+sg7CyRo
希「……っ!……っ!」ガチャッガチャンッ

希「………っ!……!」ガチャンッ…ガチャ…

希「…っ!……っ!……!」ガチャガチャッガチャ

希「……っは…!……っ…!」ガチャ…ガチャ…


理事長「…ふふ、外れそう?」


希「………っ!………!」ガチャ…ガチャ

理事長「…多分ねえ、残念だけど手錠は外れないわ。」

希「……っ……っ!」ガチャ…ガチャ…

理事長「それに、パッドは壊れても替えがたくさんあるの。」

希「………っ……っ!」ガチャ…ッ

理事長「あとねえ、助けだけど…」


理事長「…東條さんのお父さん、亡くなったらしいわよ?」


希「…は………?」ガチャンッ

理事長「……戦場での撮影だもの、危険は付き物だし…東條さんも、それくらい覚悟してたでしょう?」

希「嘘、言わないで………」ガチャ…

理事長「…残念だけど事実よ。私だって流石にそんな嘘つかないわ。」

希「そんなの信じられるわけ………っ」

理事長「まぁ、信じられないでしょうね…でも、ねえ。」

理事長「…どうしてお父さんを戦地になんて送り出したりしたの?もしかして東條さん、止めなかったの?」

理事長「…ふふ、それとも東條さんが行かせようとしたのかしら?娘を一人置き去りにして、危険なところに自分から行く父親なんて、いないものね…」

理事長「ねえ……」


理事長「お父さんが亡くなったのは、東條さんのせいよ。」


希「………っ」
102 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:29:20.98 ID:A+sg7CyRo
理事長「危険な戦地に送り出して…ふふ、東條さんが止めてれば、お父さんは死なずにすんだのに。」

希「やめて………」

理事長「ねえ…どうするの?東條さん。お父さんに謝らなきゃいけないわね。ね、東條さん?」

希「……やめてよ…………」

理事長「あははっ、もういないんだから謝りようがないか……でも、ほら、東條さんのせいだから。謝れないなら、どうしましょうねえ…」

理事長「ふふ、東條さんのせいだから。お父さんが亡くなったのは、東條さんのせいだから。」


希「やめてっていってるでしょ?!!」ガチャンッ


希「なんなの……なんでそんなこと言うん?!」

希「お父さん、今までやりたいことずっと我慢してきたんだよ……やっとそれができるようになったんだよ?!」

希「送り出すに決まってる……叶えてあげたいと思うに決まってる、ずっと近くで見てきたんだから!!!」

希「お父さんは死んだりしない!!!変な嘘言って…心まで追い詰めようってことなんでしょ?!」

理事長「………」

理事長「…そう、信じないのね。これ、昨日の新聞だけど……見たい?まぁ見たくないと言っても見せるんだけど……」


チラッ


理事長「ふふ…小さい記事だけど。読める?読んであげましょうか?」

希「……っ嘘…でしょ……」

希「嘘だよ……そんなの………こんな嘘の記事まで作って……」

理事長「嘘じゃないわよ…全く、疑心暗鬼もすぎるとよくないわよ?じゃあほらこっち、ネットでもほら…」チラッ

希「………っ」ジワ…
103 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:30:28.40 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ……ね?こんな所にいるときに、運がなかったわね。」

希「うそ………」ポロッ

理事長「嘘じゃないわ。」

希「嘘!!!嘘!!」ガチャンッガチャンッ

希「なんなん!!ほんとに…っ!なんなんよ……っ」ガチャンッガチャンッ

希「お父さんが!!死ぬわけないでしょ!!!」ガチャンッガチャッ

希「嘘…つかないでよっ……!」ポロポロ

理事長「はぁ……なんで信じてくれないのかしら。説明も聞いてくれないし、標準語話すし、一回罰ね?」

希「罰……っ?」ガチャ…

理事長「ふふ……そう、これは罰よ?はーいカチッ」カチッ


ヴ…


希「………っぁ」


ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ


希「ぁぁぁああああ"っ?!あぁああ゙ぁあっっ」ガクガク

希「やめ"っどめで!!!!ぁぁあぁあああ゙あ゙っっ」ガクガクガク


理事長「ふふっ……」


カチッ

希「あ……ああ…………かはっ………」ガクガク


理事長「ふふふ…痛かった?まだたった9mAよ?」コツコツ


希「…あ………あ………」ガクガク

理事長「…ねえ、」クイッ

理事長「……東條さんのお父さんはね、亡くなったの。死んだのよ、どこかの誰かに銃で蜂の巣にされてね?」

理事長「…それでね、それは東條さんのせいなのよ?」
104 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:31:41.74 ID:A+sg7CyRo
希「そ、んな………」ガクガク

カチッ

希「ぁ"ぁあぁああ"っ」ガクガク

希「ゃ……あ"っ…あぁ"ああ"っ」ガクガク

希「痛い!!痛いい"だい"いだいどめで!!!どめでぇっ!!!」ガクガク

カチッ

希「ぁ……ぁ……けはっ……かはっ……」ガクガク

理事長「……ねえ、」


理事長「東條さんのせいなの。罪から逃げる気?貴女、そんな人だったの?」


希「あ……あぁ………」ガクガク



理事長「東條さんの、せいなの。」



希「ぁ…………」

希「ぁ……ぁ…………」

希「…っ……」ポロッ

希「おと……さん……ほんとに………?」ポロポロ

希「ぁ……あ………っ」ポロポロ

希「わた……わたしの、せいで…………?」ポロポロ

希「わたしのせいで?!ぁあっ…ぁああっ……」ポロポロ

希「私が…そうしたから…だから………っ?」ポロポロ


希「ぁぁあああぁあああっ」ポロポロ


希「ごめ…なさっ……ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ……」ポロポロ

希「ごめんなさい…ごめんなさい……っ」ポロポロ

希「私が…私が間違って……だから……っ」ポロポロ

希「うううううう………」ポロポロ


理事長「…ふふ、謝っても意味がないのよ、だってお父さん、もう亡くなってるんだから。聞こえないんだから。」

希「だって…」ポロポロ

希「だって………」ポロポロ

希「…えぐっ…ぐすっ……うう……」ポロポロ
105 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:34:21.05 ID:A+sg7CyRo
理事長「…ふふ、罪悪感がつらい?ねえ、罪悪感、私がとってあげましょうか?」

希「そん…なの……………」ポロポロ

理事長「自分で抱えなきゃいけないと思ってる?あのねぇ東條さん。罪悪感なんて抱えたところで罪は消えないのよ。」

希「……うっ……ぐす………ううう」ポロポロ

理事長「…どうしたら罪が消せるか教えてあげましょうか?」

希「…………ぐすっ…けほ……」ポロポロ

希「おし…えて………」ポロポロ


理事長「ふふ……あのね、お父さんは銃で蜂の巣にされたのよ…どれだけ怖かったか、どれだけ痛かったか……」

理事長「…それに比べたら、東條さんのこれくらい、全然軽いものなのよ?」

理事長「…お父さんをそんな目に合わせたんだから、東條さんはもっとつらい目にあわなきゃ、均衡がとれないわ。」

理事長「…わかる?私は東條さんの罪をね、軽くしてあげようとしてるのよ。」


希「そ…んな……そんなの………」


カチッ


希「っぁぁあぁあ"、ああああ"あ"っ」ガクガク

希「けほっかはっ…ぁあぁあ"っぁあ"」ガクガク


カチッ


希「あ…ぁぁ……けほっ…けほっ……」ガクガク

希「………」ガクガク



希「………あ」ガクガク


希「あは……あは…は……」ガクガク
106 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:35:22.54 ID:A+sg7CyRo
希「そっか……あはは…あは、はは……」ガクガク


理事長「……?東條さん?」


希「あはははははっ………」ポロポロ

希「お父さん…これよりもっと痛かったんだ………」ポロポロ

希「もっと…ずっと……私のせいで。」ポロポロ

希「私のせいだから…これは罰なんだ……」ポロポロ

希「神様が怒ってるんだ……私が勝手なことばっかするから……理事長までおかしくなって、ことりちゃんにもきっと迷惑かかるのに」ポロポロ


理事長「………」


希「ごめんね、私のせいで……理事長にも、たくさん迷惑かけて」ポロポロ

希「私が全部悪いんだよね?」ポロポロ

希「そう…全部私が悪いんだ。」ポロポロ


希「私が…うちが…?悪い…から……」ポロポロ

希「罰を受けなきゃ、均衡がとれないんだよね?」ポロポロ

希「当たり前だよ、そうだよ…あはは……」ポロポロ

希「あは…あはは…………はは……」ポロポロ


理事長「………っ」



パチンッ



希「痛っ………」
107 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:36:08.21 ID:A+sg7CyRo
理事長「…ねえ、変な風に狂わないでくれる?そういうの面白くないの。狂うことで楽になろうなんて、ずるいんじゃない?」

理事長「私はね、最後まで抵抗して、そんなわけないやんって反抗して、痛みに悶える東條さんが見たいのよ。」

理事長「痛みを受け入れるとこなんて特に見たくないの。 」


理事長「お父さんが死んだ?そんなの嘘に決まってるじゃない。あの記事?手作りよ。ネット?加工よ。」

理事長「そんなこともわからないなんて、馬鹿なのかしら。がっかりよ。」


希「……ぁ………え………」ガタガタ


理事長「…ふふっ、目が覚めた?別に何も東條さんのせいなんかじゃないわ。私のせいよ。私のこと、憎んでくれて構わない。」

理事長「これからもっと痛いことするわね?理不尽に痛いことばっかり東條さんに押し付ける。東條さんはそこから逃れられない。助けも来ない。狂ってもだめ。」

理事長「ふふ…きっとすごくつらいわ。でもそういうのってすごくゾクゾクするじゃない?たくさん泣いていいし、たくさん反抗していいわよ?罰は与えるけどね。」


希「ぁ……あ………っ」ガタガタ


理事長「ふふふ……じゃあルール説明といきましょうか。」


希「ぁ…やだ……やだ……やだぁ………」ポロポロ
108 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:37:09.39 ID:A+sg7CyRo
理事長「…まず、東條さんの中のバイブをオンにします。」カチッ

希「んんっ……///ふ、あ………っ///」ビクビク


理事長「気持ちいい?でもそれ、束の間の快楽だから。」

希「ぁ……っ///んっ……っ///」ビクビク

希「ぁ……いく………いっちゃ……///」ビクビク

理事長「ふふ…イっていいわよ?」

希「……ぁあああっ////」ビクンビクン


カチッ


希「……っぁ?!」

希「ぁあ"ぁあっ!!!!あぁああああ"ぁあ"っ」ガクガク

希「い"だい"っ!!けほっかはっ…あがっ…ぁぁあ"っぁああ"っっ」ガクガク

希「どめ"で!!!どめでえっ……がっ、げほっ……ぁあぁあ"!!!」ガクガク

希「ぁあ"あぁあ"っ」ガクガク


カチッ


希「あ……あぁ………けはっ、ごほっ……」ガクガク

希「……あ………んっ//う………」ガクガク


理事長「…ふふ、早くきちんと立った方がいいわよ?それとも脚が痛くて立てないかしら。」


希「ぁ……あ………かはっ///」ヨタヨタ
109 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:37:57.96 ID:A+sg7CyRo
理事長「……今ので大体わかったでしょう?」

理事長「別にイくのはいいのよ、いくらでも。でもそれで足の力が抜けるのはだめ…もちろん気を失うのもね。上の手錠が下に引っ張られると、10秒間電気が流れるわ。」

希「はっ…///はっ……///ぁあぁぁっ////」ビクンビクン

理事長「10秒間流れた後は、30秒立て直す時間が与えられる…その間にきちんと立ち直して?」


カチッ


希「ぁあ"ぁあ"!!!な"ん"で!!!あがっ…うぁああ"ぁああっ」ガクガク

希「だっだでしょ!!!ちゃんど我慢しだでしょ、ぁぁあ"あぁ"っ」ガクガク

希「あ、ぁああ"ぁ"あ"あ"」ガクガク


カチッ


希「あ…あ……かふっ……はっ……はぁ………は………」ガクガク

理事長「…ふふ、ただ立つだけじゃだめよ。手錠ピンと張らせてるんだから…しっかり立って、手を浮かさないと。」

希「あ………あ…………」ヨタヨタ

理事長「あはは…それじゃあ間に合わないわよ?ほら、もうすぐ30秒……」
110 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:38:52.98 ID:A+sg7CyRo
カチッ


希「あぁ"ああ"っ!!!」ガクガク

希「や"べで!!!い"っがいどめ"でぇ!!!!」ガクカク

希「痛い"の"!!!!いだ……ぁあぁああ"っ?!」ガクガク

希「あぁ"あぁあ"っっ」ガクガク


カチッ/カチッ


希「あ……あが………げほっ………あ……」ガクガク

理事長「…ふふっ、一回止めてあげたわよ。」


希「あ………あ……おねが……い…」ガクガク

希「も、やめて………」ポロポロ

希「お願い……お願いします……なんでもするから………」ポロポロ

希「脚、怪我…してるのに、立てないよ……」ポロポロ


理事長「脚の怪我は知らないわよ、私は噛み付いてなんて頼んでないし…自業自得でしょう?ふふっ。」

理事長「…それから言葉遣い。ちゃんとはじめに言った通りにしてくれる?」


希「ぁ……あ………」ポロポロ

希「お願い…や…から…」ポロポロ

希「言うこと、なんでもきくから…だから……」ポロポロ
111 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:39:55.79 ID:A+sg7CyRo
理事長「…ふふっ、言うことなんでも聞いてくれるなら、電気を流しても許してくれるでしょう?」

理事長「…本当はなんでもきくつもりなんて、ないくせに。」


希「痛いこと以外なら、なんでもする…から……」ポロポロ

理事長「ふーんじゃあ、ここに絢瀬さん連れてくるから、殺してくれる?」

希「そ…れは………」ポロポロ

理事長「ふふ、できないでしょう?」

希「………」ポロポロ

理事長「嘘つき。」

希「………」ポロポロ


理事長「ふふふ…じゃあ、再開しましょうか?」

希「……っ、…殺して。」ポロポロ

理事長「は……?」


希「今すぐ殺して!!!もう嫌、こんな痛い思いするくらいなら、死んだほうがいい!!」ポロポロ

希「殺して!!殺してよ!!!」ポロポロ


カチッ


希「あ"ぁあ"ぁあ"あ"あ"あ"っ!!」ガクガク

希「あ"ぐ!!あ、あが…が、ぐ……ぁ、ぁあ"あ"あ"」ガクガクガク


カチッ


希「あ………あ…………っ…」ガクガク

希「……げほっ…けほっ………」ガクガク
112 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:41:17.20 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ…今のは12mA。5mAから人は電流を苦痛に感じるって言われているの。」

理事長「10mAから体が思うように動かなくなる、口も回らなくなる。耐えられないくらいビリビリ感じる…らしいわ。20mAからは筋肉が収縮、呼吸困難…あまり長時間流すと危険みたい。」

理事長「50mAからは本当に命に関わる…らしいから、ふふ。本当のとこはどうだかわからないけど、今浴びてみた東條さんならわかるんじゃない?」

理事長「でもねぇ、ねえ、死にたいの?ふふ…残念だけど、この機械、50mAも流せないのよ。」

理事長「時間もそんなに流すつもりはないし…うふふ、死ぬってことはまずないわね。良かったじゃない、長生きしましょう?」


希「や…嫌…………」ガタガタ


理事長「…大体、死ぬなんて許さないわよ。死んで楽になろうなんて、最低で最悪。絶対そんなこと、させないし…許さないから。」

希「………」


希「………っ」ガブッ

理事長「…っ、舌噛んだって……ふふ、死ねないわよ?」


カチッ


ヴヴヴヴヴヴヴ

希「………っ……っ……!……」ガクガク

理事長「…頑固ね、じゃあ15mAで。」


カチッ
113 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:42:27.19 ID:A+sg7CyRo
希「…ゔっ、がはっ……げほっげほっ……ぁ"…が………ぁ"ゔあ"ぁ"あ"あ"っ!!」ガクガク


理事長「あらら…血が飛び散るじゃない……ちょっとまっててね、開口器…どこやったかしら。」ガサガサ


希「あ"…が………がはっ………あ"……あ"ぁ"………」ガクガク

希「ぁ"あ"ぁ"………」ポロポロ


理事長「あったあった……ふふ、泣かないで?はい、か………っい"っ!!!」バチッ

理事長「………っ……」

理事長「……………うふふ、ほんとに痛いのね……間違えちゃったわ。一回止めないとね、」


カチッ


希「けほ……ぁ……かは…っ……は……」ポロポロ

理事長「ふふ…少しは頭冷えたかしら?いや、電気って熱いか…まぁいいわ。はーいカチャっ」カチャ

希「あ……うあ…………」ポロポロ

理事長「…ふふふ、似合ってる。これで自殺なんてできないわよ?それじゃあ再開しましょうか。」

希「あ……あ………」ブンブン

理事長「ふふ…再開、するわよ?いろんな大きさで流して、反応を記録でもしましょうか…なかなかいい実験になりそうじゃない?」

希「………」ポロポロ

理事長「ね?東條さん。」

希「………」ポロポロ

理事長「…ふふ、じゃあ再開スタート。スイッチ…オン♪」



カチッ



114 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:43:18.18 ID:A+sg7CyRo
−−−−
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−−


絵里「希………」ポロ…

絵里(今日で…希が消えてから、12日……)

絵里(12日も…どこにいるのか、わからない。)

絵里(こんな……こんなの………)


ガチャ


ことり「……絵里、ちゃん。」


絵里「ことり……!」

絵里「っ!………」ゴシゴシ

絵里「ごめんなさい……呼び出したりして。」

ことり「ううん、いいの…みんなは?」

絵里「一年生とにこには先に帰ってもらったわ。ほら、音ノ木に何か悪い人がいるかもしれないわけだし…みんなにまで何かあったら…ね…」

絵里「…みんな初めは探すよって言ってくれたけど、なんとなくわかってくれたみたい。」

ことり「そっ…か……」

絵里「海未と穂乃果は、提出物がどうとかで先生のところに行ってて…そんなに長い話はしないから、ことりは合流して一緒に帰ったほうがいいわ。危ないし。」

ことり「……ありがとう。」
115 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:44:50.48 ID:A+sg7CyRo
絵里「ううん…こんなことしかできなくて、ごめんなさい。顔色悪いけど…大丈夫?」

ことり「…っ、大丈夫だよ、その……」

ことり「希ちゃんが…心配で……」

絵里「ことり……」


ことり「…ごめんね、ことりは大丈夫だから…その、絵里ちゃんこそ、大丈夫…?絵里ちゃんはここのところずっと、顔色悪いから……」

絵里「……、大丈夫よ………」

ことり「そ…そっか。…ならいいの。」

ことり「…それで、お話ってなぁに?」

絵里「…っ、それが………」

絵里「警察は、だめだったの……」

ことり「えっ……」

絵里「警察はね、事件性がないと、動いてくれないんですって…」

ことり「事件性って…これ、もう十分事件性が……!」

絵里「そうよね。そう言ってるんだけど…わかってくれないのよ…」ジワ…

絵里「…今日でね、希がいなくなってから12日経つの……あと2日で二週間。」ポロッ

絵里「普通に考えたら、おかしいじゃない……なのに担任すら、時々電話きてるからって…でも担任が直接電話に出たことはないって言うのよ?」ポロポロ

絵里「おかしいじゃない…こんなの絶対……」ポロポロ
116 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:45:50.23 ID:A+sg7CyRo
絵里「希のお父様はどうやっても連絡がとれないし……」ポロポロ

絵里「こんなの……、こんなの………!」ポロポロ


ことり「絵里ちゃん……」


絵里「……っ!、ごめんなさい、こんな……」ポロポロ


ことり「………ううん、当たり前だよ……」

ことり「絵里ちゃんにとって希ちゃんは…やっぱりすごく、大切なんだね。」

絵里「大切よ……」ポロポロ

絵里「ううん、大切って言葉じゃ、片付けられないくらい……大好きなの。」ポロポロ


絵里「…希はね、鋭いナイフみたいに尖ってた私に、声をかけてくれて…友達になってくれて……」ポロポロ

絵里「容姿の物珍しさにひかれて…上辺だけで声をかけてくる人とは明らかに違ってて……」ポロポロ

絵里「はじめて本当の私と、友達になってくれたの…」ポロポロ

絵里「μ'sだって…こんな素敵な居場所にいられるのは、希がいたから。」ポロポロ

絵里「いつだって希は、本当の私を見つけてくれるのに、私は希のこと、ちっとも見つけられない…」ポロポロ

絵里「私なんて……私、なんて………」ポロポロ


ことり「絵里ちゃん………」


ギュッ…


絵里「ことり……?」

ことり「………ごめん、ね……」ジワ…

絵里「…っ、ことりが謝ることじゃないわ……」

絵里「……でも、その………ありがとう。」


ことり「…………ううん。」ポロッ


117 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:46:37.75 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

穂乃果「ねー海未ちゃん、ことりちゃん。」

海未「なんですか?」

穂乃果「希ちゃん…探さなくて、いいのかな……」


ことり「………」

海未「……私も正直、とても心配なんですが………」

海未「……でも、絵里がああ言うということは…何か考えがあるのでしょう。」

ことり「……そう、だね………」

穂乃果「うーん……そっか………」

穂乃果「絵里ちゃんなら…大丈夫だよね、あんなに希ちゃんのこと、大好きなんだもん…きっと見つかるよね。」

海未「ええ……」

ことり「………」


海未「ことりは大丈夫ですか…?」

ことり「えっ…?」

海未「いえ、顔色が悪そうに見えたので……」

ことり「っ、ううん、大丈夫…、希ちゃんのこと…心配で。」
118 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:47:44.63 ID:A+sg7CyRo
穂乃果「そうだよね!じゃあやっぱりここは3人で…!」

海未「…ダメです。絵里があれだけ強く言うということは…きっと何かあるんです。少し待ちましょう。」

穂乃果「ぶー……」


ことり「……ねえ、穂乃果ちゃん、海未ちゃん。」

海未「…なんですか?」

ことり「………」

穂乃果「ことりちゃん?」


ことり「もし…もし、ね。家族の誰かが悪いこと…犯罪とかに手を染めてたとしたら、味方する?それとも警察につきだす?」

海未「突然ですね……」

ことり「…ごめんね、大した意味はないの。」

海未「いえ…そうですね……やはり、警察に……」

ことり「…………そう…だよね。」

穂乃果「ええー穂乃果はわからない、雪穂がもしそういうことしてたらーってことだよね?」

ことり「う、うん……」

穂乃果「他の人なら警察に行くよ!でも、もしそれが雪穂だったら……」

穂乃果「理由とかによるかもしれないけど、雪穂に味方しちゃうかもしれないなぁ…」

ことり「穂乃果ちゃん……」
119 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:48:52.55 ID:A+sg7CyRo
穂乃果「ふふっ、だって雪穂がいなくなっちゃったら、穂乃果生きてけないもんー!」

海未「全く…あなたと言う人は。」


海未「……でも、そうかもしれませんね。」

ことり「……?」

海未「…先ほどは警察に、と言いましたが」

海未「いざ本当に家族が犯罪に手を染めていた場合……理由によっては家族の味方をするかもしれません。」

海未「やはり、家族は大切ですから……」

ことり「そう、だよね……」


ことり「…じゃ、じゃあね、もしその家族が苦しめてる相手が、自分の友達だったら…どうする?」

穂乃果「雪穂がことりちゃんに色々するっていうこと?」

ことり「…まぁ、そういうこと…かな。」

穂乃果「うーん…それなら迷っちゃうなぁ。」

海未「難しいですね……」

穂乃果「雪穂は大切だけど…ことりちゃんに何かするのは、許せないよ……」

穂乃果「……でも、雪穂を警察に連れてくのは……」

海未「………」

ことり「あはは…ごめんね、難しいよね、こんな質問。」
120 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:49:34.78 ID:A+sg7CyRo
海未「ことり……ご家族と何かあったのですか?」

ことり「ううん…なんでもないの。あっ、もうこんな時間…ごめんね、今日も少しシフト入ってて……」

海未「そう、ですか……」

ことり「……う、ん。ごめんね、だから今日はここで………!」

穂乃果「…うん!お仕事、頑張ってね。」

ことり「ありがとう、穂乃果ちゃん…それじゃっ!」

タッタッ…




海未「ことり!」


ことり「……?」

海未「あの…悩みがあるなら、いつでも相談してくださいね。」

海未「……待ってる、ので。」

ことり「海未ちゃん……」

穂乃果「あーっ、海未ちゃんずるーい!」

穂乃果「穂乃果もいつでも待ってるからね!なんでも相談してね!」

ことり「穂乃果ちゃん……」
121 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:50:19.64 ID:A+sg7CyRo
ことり「……っ、ありがとう、二人とも!」

海未「ええ、…それではお仕事、頑張ってください。」

穂乃果「ファイトだよっ!」


ことり「………うん!」

タッタッタッタ…



海未「………」

穂乃果「…海未ちゃん?帰ろ?」

海未「え、ええ……」


海未(ことりがあんな質問をしたのは、はじめてです…)

海未(………)


海未(何でしょう…この、胸騒ぎは。)


122 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:51:13.55 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

ヴヴヴヴヴヴヴ…

希「あ"……が………」ガクガクガク

希「がはっ………ぁ……ぁ"…」ガクガクガクガク


カチッ


理事長「ほら…またあと30秒よ?早く立って。」


希「…ぁ………はぁっ……はぁっ……」ポロポロ

希「ぅあ……けほっ…げほっ……」ヨタヨタ

希「は……は………ぁっ///」ビクッ

理事長「…感じてる場合じゃないわよ?ほら、あと15秒。」


希「………う……ぅあっ…んんんっ///」トテッ

理事長「あらら…あと5秒よ?ほら、急いで」

希「ぁ……あ………」ポロポロ


カチッ


希「ぁ"あ"ぁ"っ……あ"ぁ"っ……」ガクガクガク

希「がはっ……は………ぁ"…か"…」ガクガクガクガク


カチッ


理事長「うーん……また反応鈍くなってきちゃったわね……一回切りましょうか…」


カチッ/カチッ


希「あ……ぁ…………」ガクガク
123 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:52:19.12 ID:A+sg7CyRo
希「けはっ…ごほっ……は……は………」ポロポロ

理事長「…咳に血が混じってる。叫びすぎて喉、切れちゃった?」

希「は………は…………」ポロポロ


理事長「うーん……」

希「………」ポロ…

理事長「仕方ないわね…一度開口器外してあげるけど、また噛んだりしちゃだめよ?まぁ噛もうとしても、さっきと同じようにするから…いいけど。」カチャ

希「……けほっ…」

希「…は……は………」

理事長「……とったのに喋らないの?何か言うことは?」

希「………?」


希「……あ、り…がと………?」

理事長「違うわよ、もうやめて、とか、許して…とか、あるでしょう?」

希「………」

理事長「はぁ、つまらないわね。」

希「………ト…レ、い…………」

理事長「…声、小さすぎてよく聞こえないわ。」


希「……っ、ト、イレ…けほっ………」

希「げほっ…ごほっ……っうう……」
124 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:53:31.89 ID:A+sg7CyRo
理事長「……はぁ。トイレね…さっき連れて行ったばかりじゃない。また行きたいの?」

希「………」コク…

理事長「……これ、取ったりつけたりわりと大変なのよね………」

希「おね…が………」

理事長「……まぁいいわ。汚されて綺麗にするのも面倒だしね。」カチャカチャ

希「あ……が、と………」

理事長「………はい、取れたわよ?」


希「………っ」ヨロヨロ…

理事長「…ふふ、脚、やっぱりまだ痛むの?」

理事長「………えいっ」ゲシッ

希「い"っ……」ドサッ


希「……っ、う………ぐ…」ポロ…

理事長「…はぁ。もう……もっと叫んでほしいのよ。」

理事長「東條さんがもうダメなら…他の子でも………っ?!」ドテンッ


ガシッ


希「……はっ………はっ……」ポロポロ

理事長「………何のつもりかしら?」

希「……ごめんね、もう無理なん…ほんとに。」ポロポロ

希「一緒に死のう?」ギュッ


理事長「…………っ、ぐ」
125 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:54:34.98 ID:A+sg7CyRo
希「はっ……はっ…………ごめん…ごめんなさい……ごめんなさい……」ギュウウ…


理事長「……っく、う……ぅう!…っ!」ジタバタ


希「………暴れないで、すぐ終わる…から…」ギュウウ

理事長「……っ!ぐ……っ!」ジタバタ


希「あ…っ、く………暴れないでって、言ってるのに…!」ベシッ


理事長「うぐっ…けほっ……はぁっ…あぐっ…」

希「は……は……ごめん…ごめん…なさい…」ギュウウ

希「……大丈夫、うちもどうせすぐ死ぬから…ここには水もないし、すぐ………」ギュウウ

理事長「………っ!ぁあっ!!」ドンッ


ドサッ…


希「ゔっ……」


理事長「はぁっ……は……」ガシッ

理事長「ふふふふ………」

希「……っ」ゾクッ


理事長「……ねえ、こんなおばさん、自分で何とかできると思った…?」ギュッ

希「………うっ」

理事長「ふふふ…ねえそれ、もっと早く気づけばよかったわね…ふふ……」ギュウウ…

希「……ぁ………かは……っ……」
126 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:55:41.21 ID:A+sg7CyRo
理事長「…もう遅いわよ……こんなおばさんでもね、ここまで衰弱してる東條さんに力で負けるほど、衰えてはいないの。」パッ

希「…っ、けほっ、けほっ…はっ……は…」ジワ…

理事長「罰ゲームしなきゃね……」

希「ぁ……や………やだ………」ポロポロ


理事長「東條さんが悪いのよ?でも…そうね、電気ももう飽きてきたから…ちょうど良かったわね、ね?」

希「……っ」ポロポロ

理事長「…また準備しなくちゃ…次のはそんなに時間かからないと思うけど。私、これから少し仕事もあるから、学院に行かなきゃいけないのよね…」

理事長「最近ことりが心配してるから家にも帰らなきゃいけないし…どうしようかしら。」

希「………」ポロポロ

理事長「…ねえ、だんまりなの?もっと嫌がったら?今までのでわかるでしょう…?段々痛かったり怖かったり、酷くなってくの。」

希「……っや…」ポロポロ

希「ごほっ…げほ………けほっ…」ポロポロ

希「は………は………」ポロポロ


理事長「……はぁ。喉が痛くても叫べるくらいつらくなるように、考えなくちゃね……」
127 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:56:21.14 ID:A+sg7CyRo
希「……っ」ブンブン

希「や……めて……けほっ…けはっ……」ポロポロ

理事長「…ふふっ、その表情、いいわよ…?…じゃあ拘束して、開口器つけてくから。睡眠薬でもいいけど…眠るまで待つのも億劫だし。いいわね?」

希「………」ポロポロ


理事長「………ふふっ。」

理事長「…………次のはすごいわよ、私の全てだから……ふふふ。」

理事長「どんな反応するか…楽しみにしてるから。」


希「……っ、」ポロポロ


128 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:57:32.38 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

絵里「はぁ……」


絵里(学院中探し回ってるのに、何も手がかりが見つからない……)

絵里(希のスマホはここで使われたんだから、何かしら手がかりがあってもおかしくないのに…)


絵里「最終下校時刻から、2時間…か……」


絵里(…流石に元生徒会長と言っても、先生に見つかったら怒られるわね……)

絵里(そろそろ帰らないと……って)


絵里「理事長…?」


理事長「……あっ、え……絢瀬さん?こんな時間に……」


絵里「あっ、ご…ごめんなさい。というか……」

絵里「その、頬と首…どうしたんですか?」


理事長「あ、ああ……少しぼうっとしてたら、自転車で転んでしまってね…ふふ。」

絵里「そうですか……それは、その…災難ですね。」

理事長「ええ、ふふ…この年で恥ずかしいわ。ところで絢瀬さんは、こんな時間に何をしているのかしら?」

絵里「あ、その…すみません、希のことで……」


理事長「………東條さんが、どうかした?」
129 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:58:34.81 ID:A+sg7CyRo
絵里「……希のスマホの位置情報を調べたら、最後に電源がついていたのがこの学院だったんです。」

理事長「………っ」

絵里「これ…おかしいと思うんです。だから何か手がかりがあるかもしれないと思って、この学院を調べていて……」

理事長「そう……」

絵里「……っあ、あの…希からの電話、全部受けたのが理事長だって…担任が話してたんですけど。」

理事長「…っ」

絵里「その……希、どんな感じでしたか?少し…気になって。」

理事長「…そうね、別に……いつも通りだった、気がするけれど。」

理事長「ここ数日は連絡が来てないの。だから…うーん…わからないわ。」

絵里「…そう、ですか………」


理事長「…ごめんなさいね。私、仕事があるから…もういいかしら?」

絵里「…あっ、はい……すみません………」

理事長「…いいのよ。それより絢瀬さんは早く帰りなさい。最終下校時刻、すぎてるわよ?」

絵里「はい……わかりました……」

タッ…タッ…



理事長「………」

理事長「……っ」

理事長「もうこんな時間……」


理事長「早く仕事終わらせて、帰らないと……」


130 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 17:59:35.69 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−


ことり「………」


ことり(……お母さんの好きなものが、たくさん詰まった倉庫……)


ことり「何も…ない、よね……」ガチャ…

ことり「………?」ガチャ…ガチャガチャ


ことり(鍵がかかってる…って、当たり前か。)

ことり(小さい頃にここに入り込んで…怖い思いをしてから、ずっと近寄らなかったから…忘れてた。)


ことり「確か、家にスペアキーがあったような…」

ことり(怖い…海未ちゃん呼んで、ついてきてもらおう……かな……)


ことり「………」ピト…


ことり「……何も、聞こえない………」


ことり(………やっぱり、考えすぎだよね……)

ことり(あ、でも……この倉庫って、確か地下が……)


ことり「………」


理事長「ことり?」

ことり「ピィッ?!」ビクッ

131 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:01:01.10 ID:A+sg7CyRo
理事長「……何をしてるの?」

ことり「い…いや、あの……あのねっ、久しぶりに、中を見てみたいなぁ、なんて……」

理事長「ことりがこの中を?やめておいた方がいいわよ?」

ことり「あ…あはは……でもほら、お母さんと一緒なら……」


理事長「やめておいた方がいいわよ?」


ことり「………っ」ゾクッ


ことり(……っ)

ことり(久しぶりに見た……お母さんの……)

ことり(………どこか猛禽類を思わせるような、そんな目………っ)


理事長「…ほら、中、ことりが苦手なグロテスクな感じの生き物たくさんいるし……毒がある生き物もいるから。ね?」

ことり「そ…そうだよ……ね……」

理事長「…まぁ別に、それでも見たければ、ことりなら構わないのだけど……」

ことり「う…ううん、やっぱりいいや…あはは……」

ことり「…ごめんね、変なお願いして……お母さん、今日もここで何かするの?」

理事長「……今日は家に帰ることにするわ。お腹も空いたし。」


ことり「……!そっか、よかった………」
132 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:02:06.55 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふっ、最近あまりお話できないから、寂しくなっちゃった?」

ことり「も、もー…ことりもう高校二年生だよ?」

理事長「ことりはずーっと甘えん坊さんじゃない。」

ことり「それは……否定できないけどぉ…」

理事長「ふふっ…でしょう?」

ことり「もー!別にいいでしょーっ」

理事長「ふふっ…あははっ」


ことり(………)

ことり(…やっぱりお母さんは、お母さんだよね……)

ことり(ちょっと変わったところもあるけど…それはことりもだし、みんなもそう……)

ことり(希ちゃんを…なんて、考えすぎ…だよね、倉庫だって、見たければ見せてくれるって……)


ことり「……ねえお母さん?」

理事長「ふふっ、なぁに?」

ことり「あの…あのね、希ちゃんのこと……」

ことり「……何か、知ってたり……しないよね?」


理事長「………、どうしてそんなこと聞くのかしら?」


ことり「……っ」ゾクッ

ことり(また……っ)
133 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:02:51.86 ID:A+sg7CyRo
ことり「い…いや……その…最近学校来てないから、心配で……」

ことり「お母さん…理事長だし、何か知らないかなって!」


理事長「あぁ…そういうこと……」

ことり(そういうこと……?)

ことり(そういうこと以外に、何かあるの…?)


ことり「……」ブンブン


ことり(考えすぎ、なんだよね……最近ずっと、色々考えてるから…癖になってきちゃったのかな)

理事長「……絢瀬さんも心配してるわよね。私も気にはなってるんだけど…理事長だからと言って、生徒一人一人の個人的な事情までは把握できないのよ…」

ことり「そ…そっか、そうだよね……」

理事長「ごめんね…ことりは、友達想いね。」

ことり「そんなこと……」
134 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:03:21.66 ID:A+sg7CyRo
理事長「…ふふっ、そんなことあるわよ。お母さんの子供とは思えないくらい…優しくて、いい子。」

理事長「東條さんのこと、心配かもしれないけど…今日はこれから、お母さんが腕によりをかけてことりの好きなチーズケーキ、食後のデザートに作るから…」

理事長「元気出して…?」ギュッ

ことり(………)


ことり(…お母さんの手、あったかい。)

ことり(こんな優しいお母さんが、何か変なこと…希ちゃんに、するわけないよね。)

ことり(やっぱり…考えすぎなんだよね。)


理事長「…ふふっ、行きましょう?」

ことり「うん……!」


135 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:04:13.58 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

希「は………は………」ポロポロ


希(もう………無理…………)

希(………)

希(身体中…動かない……痛い……)


希「けほっ…げほ……」

希「…………は……は……」ポロポロ



希(はやく…楽になりたいよ……)

希(せめてはやく…楽に……)

希(お母さん……)




『希…いつもありがとう。』

希「………っ」ポロポロ

希(どうして…思い出しちゃうんだろ……)

希(………)


希(死ぬ前に……おかしくなる前に、もう一度だけ……)

希(もう一度だけ……えりちに会いたい……な。)




希「………」ポロッ


136 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:07:15.13 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

絵里「はぁ…はぁ……」


絵里(どうして…何もわからないの。)

絵里(駅前周辺も…希の家の周りも……どうして何も、手がかりが……)


絵里「………っ」


絵里(あ、あのスーパー…)

絵里(………)




アリガトウゴザイマシター


絵里(そこの公園で…食べましょうか。)


『お父さん!離さないでね?絶対離したら嫌だよ!』

『あははっ、わかってるよ。ほらまっすぐ前みて、こいでこいで!』


絵里(…こんな時間でも、まだ子供がいるのね。)


絵里「ふう……」ドサ…

絵里(…一度落ち着いて、状況を整理しましょう。)

絵里「………」ガサガサ


絵里(10月6日…この日初めて希が学校を休む……家には残り物のカレー…遠出するような様子はなし…)

絵里「……」モグ…

絵里(つまりいなくなったのは急に何かがあったということ……)
137 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:08:15.64 ID:A+sg7CyRo
絵里(そして翌日7日…希からLINEがくる、理事長には学校当てに電話が来たらしい…)


絵里「………」モグ…モグ…


絵里(…その後も何回かLINEが来るも、どこか違和感……)

絵里(そして13日…木曜日、希がいなくなって丁度一週間ね…)

絵里(この日神田明神に連絡が来てないこと…お祖母様からの話で九州に親戚がいないことを知る…)


絵里「……」モグモグ


絵里(…翌日からの金土日の三連休…警察に伝えて色々考えてみるも、わからず……)

絵里(連休明けの月曜日、17日…昨日ね。μ'sのみんなに話して探すも、手がかり見つからず…)

絵里(その後探偵に騙されかけたところを、ことりに助けてもらって…)

絵里(そして希のスマホの位置情報から、最後に電源がついていたのが音ノ木だとわかる…)


絵里「………」モグ…


絵里(そこから考えられるのは…希のスマホが…音ノ木を出入りできる誰かに、勝手に使われて…希自体は……)

絵里(どこかに連れてかれたか……)

絵里(または……)


絵里(または、もういない……?)


絵里「けほっ…こほっ……そんなわけ……!」
138 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:09:18.90 ID:A+sg7CyRo
絵里(あっ…そうよ、理事長が言ってたじゃない…何回か電話がきてるって…声が確認できたなら、希はまだ……)

絵里(希………)


絵里「希……どこにいるの………」ジワ…

絵里「落ち着いて考えてみても…私には……もう………」ポロ…


ガシャン!!!


絵里「……っ」ビクッ


『痛いー!!!」ワーン

『あはは、大丈夫かー』

『離さないって言ったじゃん!!なんで…なんでえっ……』ポロポロ

『ごめんごめん…あー膝、擦りむいちゃったな…』


絵里(自転車……)

絵里(そう言えば理事長、今日自転車で転んだって……)


絵里「………?」

絵里(…自転車で転んで、頬を擦りむくのはともかく…首をあんな風に包帯で巻くような傷、できるかしら……)

絵里(………)

絵里(……あれ)

絵里(そういえば……希の電話を受けたのって、理事長だけ…なのよね……?)


絵里(………っ?!)


絵里(…ちょっとこれ……なんか…不自然じゃ……)
139 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:10:39.11 ID:A+sg7CyRo
絵里(……そういえば理事長って希が神田明神でバイトしてたの知らないわよね…なら希のスマホから神田明神に連絡がいってないのも……)

絵里(お祖母様は介護が必要だと聞いてるって、話もあまり信じてくれなかった……信じたく、なかったから?)


絵里(………)

絵里「………考えすぎ、かしら……」


絵里(普通に考えたら…考えすぎだし……)

絵里(そもそもことりのお母さんなのよね…)

絵里(希に何かして、メリットなんて…何も……)


絵里「はぁ…そうよね……」


絵里(ちょっと疑心暗鬼になりすぎかしら…)

絵里(………)


絵里「…帰りましょう。」ガサ…

絵里「あ…おにぎりのゴミ……捨ててかないと……」ガサガサ


『そのおにぎり、私は最近知ったんだけど…いつもクラスの子と接戦なの。』


絵里「………ぁ」


『理事長もはまってるみたいだし…今日買えたのは、ラッキーだったんだ。』


絵里「これ……理事長が………!」
140 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:13:43.69 ID:A+sg7CyRo
絵里(希が大好きな、焼肉おにぎり……)

絵里(理事長がハマる…?このタイミングで……?)


絵里(………)

絵里(疑いすぎ…よね、わかってる。)

絵里(わかってる……けど)


絵里「………っ」ピッピッ…

絵里「…………」プルルル…


絵里「………」

絵里「出ない………」


絵里(ことり………)

絵里(家まで行ってみる…?)

絵里(…でも、あれだけことりは、助けてくれてるのに……)

絵里(ことりのお母さんを疑ってます!なんて……)

絵里(………)


絵里(明日ことりに、少しだけ理事長について聞いて…そこからは自分で、なんとかしましょうか……)

141 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:18:28.74 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

ことり「………」スー…スー…


理事長「…ふふ、よく眠ってる………」

理事長「……ごめんね、ことり。」

理事長「私…もしかしたら、もうすぐ………」


理事長「……ううん、なんでもないわ。」


ことり「………」スー…スー…

理事長「…朝までゆっくり、眠れるはずだから。」

理事長「ちょっとだけ、行ってくるわね?」



ガチャ



バタン


142 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:26:23.42 ID:A+sg7CyRo
−−−
−−



ガチャ


理事長「東條さん」


希「………」

理事長「……ねえ、東條さん…起きて?」ユサユサ


希「ん……うう……けほっ……」

理事長「ふふふ…準備、できたから。」

理事長「開口器…外してあげる。少しだけお喋り、しましょう?」カチャ

希「…………」

理事長「……ふふ、ねえ、おはよう?」


希「……おは、よ……?」


理事長「ふふふ、偉い偉い。まぁ今はまだ、おはようって時間ではないのだけど…」

理事長「…まぁいいわ。ねえ、準備出来たの。これね、東條さんを連れてくる前から、少しずつ作ってたのよ…日曜大工ね。」

希「………?」

理事長「ふふ…何に見える?」

希「わか…んな………」

理事長「それじゃあつまらないわ。何か答えて。」


希「………」

希「水…槽……?」
143 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:27:17.37 ID:A+sg7CyRo
理事長「あぁ…なるほどね、確かに水槽にも見えるかも。大きな透明な箱だし、ガラス製だしね。」

理事長「…ふふっ、でも別に、水を入れるわけではないの。水槽みたいに上が開いてるわけでもないし…蓋付きでしょう?」

理事長「…ここにはね、東條さんを入れるのよ。」


希「……っ」

理事長「…それだけ?って思ってる?ふふ…もちろんそれだけではないわ。でもじゃあとりあえず、入りましょうか。」

希「……」ブンブン

理事長「ダメよ、入るの。拘束具は中に全部くっついてるから、今つけてるのは全部はずしてあげる……」カチャ…カチャ

希「………」

理事長「…ふふ、ここに来てから拘束が全部取れるのは初めてね。…でも逃げようとしちゃダメよ?そんな脚じゃ、すぐ捕まえちゃうから。」カチャ…カチャッ

希「………」


理事長「はい…とれた。じゃあほら、こっちに来て。」

希「……っ」ブンブン


理事長「き、て、?」


希「………」ジワ…

希「……っ、」

希「………」トテ…トテ…

理事長「ふふ…そうそう、一歩…二歩……はい、到着。じゃあ蓋を開けるわね。」カパッ

希「………」


理事長「…そしたらまずは、この箱の底面に……」ガシ…

希「……!、や…っ!」ドサッ
144 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:28:14.28 ID:A+sg7CyRo
理事長「東條さんの首と、両手首、両肘を固定します…ふふ、ちゃんと東條さんの体のサイズに合うように、枷を埋め込んでおいたの。」カチャ…カチャ

希「や……やめ……っ」ジタバタ

理事長「暴れても無駄よ…今の東條さんを押さえつけるなんて、赤子を押さえつけるようなものだから。…っと」カチャ…

理事長「はい、できた。」

希「ぁ……あ………」ガタガタ

理事長「ふふ…震えてる東條さんって、ほんっとにそそるわよね…かわいい。」


理事長「そしたら次に…よいっしょ……っと……」

理事長「腰を持ち上げてもらって……ほら、箱の側面の…ベルトで腰を固定すると……」カチャ…カチャ

希「………っ」ガタガタ

理事長「ふふ…ほら、東條さんの大事なところが、丁度上向きでよく見えるでしょ?」

希「……っあ、……」ガタガタ

理事長「…ふふ、なんとなくわかったかしら?あとは膝と足首を開いて……蓋の内側に固定……」カチャカチャ

理事長「もう暴れないのね……無駄だと察した?」カチャッ


理事長「そしたら蓋を閉める前に…東條さんにこれを塗ります。」

希「………?」ガタガタ
145 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:29:21.88 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ…なんだかわからないでしょうね。胸と…耳と……それからそうね、口の中でしょ…1番感じるところにも、塗っておきましょうか…ふふ…ふふふ……」ヌリ…ヌリ

希「ぁ……やっ……やだ………」ガチャ…ガチャッ

理事長「ふふ…暴れても無駄よ……」ヌリヌリ


理事長「……よしっ、あとは口だけね。開けて?」

希「…………嫌……」ガタガタ

理事長「あーけーて?」

希「……っ」ゾクッ


理事長「……ねえ、開けてくれないの?」

希「………」ガタガタ

希「…………う………、あ……」

理事長「ふふ…いい子いい子。」ヌリヌリ


理事長「…最期に蓋を閉めて……ほら、できた。こんな狭い箱の中で⊂の形に固定なんて、体が柔らかいからできることよね…私なら無理だわ。」

希「ぁ……あっ……」ガチャ…ガチャッ

希「………っ」ガタガタ

希「……ね…ねえ……」

理事長「…なぁに?」

希「これ……だけ……だよ…ね……?」

理事長「ふふ…塗るもの塗ったから、これだけって思ってるの?そんなに甘くないわよ。それから標準語になってる。…次話したらお仕置きよ?」

希「………っ」ガタガタ

理事長「…わかった?」

希「……っ、う……ん………」ガタガタ

理事長「…ふふ、じゃあ次の物、取りに行ってくるから…ちょっと待ってて頂戴?」


ガチャ

バタン
146 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:30:07.08 ID:A+sg7CyRo
希(………)

希(………?)


希(次の物…物置じゃない……ここの外にあるってこと?)

希(………)

希(わからない……)


希(さっき塗られた何か…なんだろ……)

希(前飲んだ体が熱くなるやつ…とも違うし……塩でもなくて……)

希(何か、においが……する、ような)

希(………)


希「………」ガタガタ


希(体の震えが止まらない……)

希(考えたところで、わかるわけ…ないか。)


希(次はどれだけ怖いんだろ、痛いんだろ、つらいんだろう)

希(……次が終わる時に、私はまだ…こうやって考えるだけの…余裕があるのかな)

希「………」ガタガタ


希「えりち………」ポロ…

希(会いたいよ……)

希「………」ポロポロ



ガチャ

希「……っ」ビクッ
147 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:31:15.81 ID:A+sg7CyRo
ここからしばらくかなり閲覧注意でお願い
148 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:32:17.16 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ、遅くなってごめんね……」

理事長「…泣いていたの?ふふふ……」


希「…その……箱……」

理事長「…この箱ね、私の大切なものがたくさん入っているの。全部で3箱。大きいのが2つと…小さいのが1つよ。」

希「………」

理事長「……ふふ、あのね…東條さんのかわいい顔が見れるなら…これくらい、また集めなおすわ。」

希(集めなおす……?)


理事長「…あははっ……ねえ、気づいてた?この箱ね…蓋に小さい小窓がついてて、開くようになってるの。」

理事長「東條さんの大事なところの真上と…開いた足の間の、丁度東條さんの顔の真上のあたり、合わせて2つ。」

理事長「…ふふっ、全部の位置がぴったり……さすが私ね♪」

希「………っ、?」

理事長「まぁ、どういうことかわからないでしょうから……とりあえず大きいの一箱分、東條さんの顔の真上の小窓から…入れてあげる。ふふ…」ガチャ…



ガサガサガサガサガサ!!!



希「ひっ……」

希「ぁ………あ…………」ガタガタ


希「いや!!!嫌!!やだぁっ!!!」ブンブン
149 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:33:22.32 ID:A+sg7CyRo

ガサ…ガサガサ……


希「ぁ……あ……あっ………やだ、やだやだ、出して!!!出して!!!!!出してえ!!!」ガチャッガチャッ


ガサ……ガサ………


希「嫌ぁぁぁあああっ」ガチャンッガチャンッ

理事長「ふふ…うふふ……」


希「お願い!!出して!!!出してよ!!!」ガチャッガチャッ

希「ぁ…やだ……やだっ耳…入って………!」ガチャッガチャッ

希「やだ……っ、やだ…やだぁ………」ブンブン


理事長「ふふ…最高よ、東條さん…私の大好きな生き物に囲まれて、とってもいい表情をしてくれる……ふふ、うふふ。」

理事長「これだけでもう…イっちゃいそうよ。透明な箱にしてよかったわ。とてもよく観察できるもの。」

希「だ…して……おねがい……おねがい………」ポロポロ

希「ぁ……やだ……胸ばっか、集まって……!」ガチャッ…ガチャ


理事長「ふふ…あんまり喋ると、口にも入ってくるわよ?ほら一匹、近づいて……」

希「ん…んん!んんん……っんんっ」ブンブン

希「や…だ……やだ、嫌……だして、だして……!」ポロポロ

希「ぁ…やだ……ムカデ、刺される、やだ……やだ………っ」ポロポロ


希「や!こないで…こないで………やだぁっ」ガチャッガチャンッ

希「だして!!!!だしてぇええ!!」ガチャッガチャンッ
150 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:34:27.75 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ。いーやーよ。ふふふっ…」


理事長「あのね、今中に入ってるの…小さいのはチャバネゴキブリって言って、大きいのはクロゴキブリって言うのよ。」

理事長「あとたくさんいる多足類の生き物は、ムカデではないわ。ヤスデよ。そもそもムカデは刺すんじゃなくて噛むのだし、ヤスデは無害の生き物よ?」


希「それ…でも……嫌!!なんで…こんな……」ガタガタ

希「けほっ…がはっ……げほっ………」

希「や……やだ…………やだ………」ポロポロ


理事長「……ふふ、どの虫も毒も無いのに、そんなに嫌がることないじゃない。可哀想でしょう?」

理事長「…見た目で判断するのはいけないって、小学校で習わなかったのかしら?」


希「ぅ……えぐっ……ぐす……嫌……嫌……」ポロポロ

希「嫌………」ポロポロ

希「ひっ、耳…入って………」


希「やだっ………ぁっ……」ブンブン

希「やだ!!やだ!!や……や!!」ガチャンッガチャンッ


理事長「ふふ…さっき塗ったのはね、そういう虫が大好きな匂いを、できるだけ近い香りで液状化したものなの。」

理事長「だから塗った場所には近づいてくるし、中に入っていこうとするわ。」

希「ぁ……あ………っ」ブンブン

希「……っ、ぅ……あ……」ポロポロ
151 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:35:43.40 ID:A+sg7CyRo
理事長「あらら…耳の中入って、出てこなくなっちゃった?ふふ…いま入ったのはね、ゲジゲジってよく呼ばれてる虫…よく花壇とかで、見たことあるでしょ?」


希「ぁ……嫌………嫌………」ポロポロ

理事長「嫌しか言わないのね。もうあまり頭も働かない?ちょっと刺激が必要かしら…次はじゃあ、小さい箱ね?」

希「やめて…もうやめて……」ポロポロ


理事長「…うふふ、やめない。」

希「ぁ………あ………」ポロポロ


理事長「…ねえ、一つ聞かせてほしいの。東條さん、ムカデやハチに刺されたこと、ある?」

希「ム…カデ…?ハチ……」ポロポロ

理事長「…正直に答えて?命に関わることだから。」

希「い…のち……?」ポロポロ

理事長「…そういえば東條さん、死にたいんだったかしら。じゃあいっか。…気にすることもないわね」ガチャ

希「………っ、?」ポロポロ


理事長「……ふふ、今から東條さんの大事なところに、この子…入れるから。」

希「は………?」ポロポロ

理事長「ふふふ、聞こえなかった?この子、入れるから。東條さんの大事なところに。」


希「な…に言って………」ポロポロ
152 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:36:31.07 ID:A+sg7CyRo
理事長「…この子はね、ヤスデじゃないから。もちろんゲジゲジでもないわよ?ムカデ。普通に毒があるし、人に触れればすぐ噛むわ。ムカデってそういう生き物だから。」

希「や……、え………?」ポロポロ


理事長「ふふ…でも安心して?国内でムカデの毒で亡くなった例はないし、この子、大きいでしょ…?15センチくらいあるかしら。」

理事長「ムカデはほら、小さい方が毒が強いって…よく言うじゃない?」

理事長「もしかしたら赤ちゃんは産めなくなっちゃうかもしれないけど……多分死にはしないわ。」


希「なに…言って………っ」ポロポロ

希「やめて……もう…やめてよ……」ポロポロ


希「や……いや…………」ポロポロ

希「ぅ……ぐすっ…うぁ……うう…」ポロポロ

希「やめて………」ポロポロ

希「おねがい……おねがい………」ポロポロ

理事長「ふふ…」

理事長「ぁははっ…ふふ、うふふ……」


理事長「嫌よ。」


理事長「ふふ…まずは入り口を、開いて……」クパ…
153 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:37:38.86 ID:A+sg7CyRo
希「や!嫌!!いやぁぁあっっ!!!」ガチャッガチャンッ

希「やめて!!!やめて!!!」ガチャッガチャッ


理事長「ふふ…暴れても無駄って言ってるでしょ?じゃあ、入れるわね…」ソー…


希「たっ…すけて!!!たすけて!!!たすけてえりち!!お父さん!!!誰か!!」


理事長「ふふ…急に入れても入らないでしょうから、1番感じるとこ、触りながら入れてあげる…はーい、ぷしゅっ」クチュ

希「い"………っ!?!!ぁ…あ"………」ガタガタ

理事長「あら…もう噛んじゃった?ふふ…ここから奥に入れてくのに……」


希「あ………ぁ…………」カクッ


理事長「……気絶、ね。まぁそうなるかなとは思ってたけど。途中でされるとさめちゃうからやめてほしいわ…」ガサ…

理事長「…ふふ、気付薬、たくさん準備してあるから。顔の方の小窓から入れるわね…」ガチャ…ピチャ


希「………っ、う……」

理事長「…ふふふ、意識は戻った?じゃあ続きからまたするわね。」

希「ぁ……い"…っ、痛っ……なに…これ……」

理事長「あら…状況飲み込めてないの?しっかりして頂戴。ほらこれ、もう一度ちゃんと、入れてくから…今度は気を失ったりしないでね?」

希「………っ、」

希「あ……ぁあ………」ガタガタ
154 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:38:57.34 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ…やっとちゃんと目が覚めた?じゃあもう一度、いくわよ……」クチュ…

希「ぁ"あっ………ぃ"…っあ"ぁ"あ"あっ」ガチャ…ガチャンッ


理事長「あらら…また噛んじゃった?ふふ…いいわよその表情…それじゃあ、奥まで入れてくわね…」クチュ…クチュ…

希「ゃ…やめっ……ひっ……あ"…痛っ…ぁああぁっ」ガチャンッガチャ…

理事長「ふふ…よく噛むわね……」

希「やめ…て……もう、やめて……痛い…痛い……っう………うう……」ポロポロ


理事長「ふふ、やめないわよ?」

理事長「…でも連日慣らしておいたおかげで、少しここ触っただけで濡れて…おかげで結構スムーズに入りそう。良かったじゃない。」


希「はぁ…っ…はぁ……嫌…こんなの……」ポロポロ

理事長「頑張って?もう3センチくらいは入ったから。残り12センチよ。ほらほら、ファイトだよっ!なんて…ね、ふふ。」

希「12センチなんて…入るわけ……」ポロポロ

理事長「大丈夫よ、男の人のそれだって、日本人の平均でそれくらいあるらしいから。じゃ、続きいくわね?」クチュ…

希「う……ぐ………っ」ポロポロ

希「ふ………あ……動いてる……」ポロポロ
155 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:39:44.99 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ…中で動いてるの、わかるのね。」クチュ…クチュ…

希「ぁ……あ"っ…ぅ……ぁあ"……っ」ガチャ…!

理事長「あら…また噛んだ?ふふ…中、だいぶ腫れちゃうかもしれないわね……」


希「あ……うぁ……がはっ…けほ……」ガタガタ

希「痛い……痛い……」ガタガタ


理事長「あと半分だから…頑張って?…あっ、目閉じるのはダメ…きちんと現実を直視して。」

希「………っ…」ガタガタ

理事長「ねえ…ちゃんと開けて。もっと酷いことするわよ?」

希「……うう…………」ポロポロ


理事長「ふふ、じゃあもう半分、行ってみましょ。」クチュ…クチュ…

希「ぅ…痛………いたい………ぐすっ……」ポロポロ

理事長「入り口あたり、腫れてきて…だいぶ入れずらくなってきたわね…よいしょ……」クチュ…

希「……っ、ぁ?!」ガチャ…

理事長「あっ……ちょ……暴れて………」


希「ぁ……あぁ……」ガチャ
156 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:40:35.58 ID:A+sg7CyRo
希「ぁ"ああっ…痛っ……やめ……ぁあ"ぁあ"っ」ガチャンッガチャッ

希「やめ……やめて!!!ひっ…う"ぁ"……ぐ………かはっ……」ガチャンッ…ガチャ

希「やめてえええ!!!やめて!!抜いて!!抜いてぇっ!!!」ガチャンッガチャンッ


理事長「嫌よ…今更抜けないわ。入り口は腫れてるし…」

理事長「ムカデだって必死なのよ。そりゃあのたうち回りたくもなるわ。考えてみたら入れられてる東條さんより、ムカデの方がよっぽどつらいはず。」

理事長「こんな狭いところに入れられて、空気もなくて…命の危機よ、事実このままここに入れられたら、この子確実に死ぬんだから。」


希「じゃあ抜いて!!!抜いてよ!!!!ぃ"……っ、ぁ"ああ"ぁ"っ……けは…げほっ……」ガチャンッガチャッ

理事長「抜くのは面白くないじゃない…まぁあと5センチくらいだから。ね?頑張って。」

理事長「ほら…落ち着いてきたし、ね?」クチュ…

希「はぁ……はぁ……は………」ポロポロ


希「ぐすっ……えぐ………う…ぅう…っ」ポロポロ

希「どうして………」ポロポロ

希「どうしてこんなことに…」ポロポロ

理事長「………」


理事長「ふふっ♪」
157 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:41:32.82 ID:A+sg7CyRo
理事長「東條さんが悪いのよ?こんないやらしい身体して、あんな飄々とした性格で。」クチュ…

理事長「…そのくせ声は小さな女の子みたいで…こうやって虐めてると、大人の女性にしてるのか…幼い女の子にしてるのか。曖昧になってくるの。そういうのってすごく楽しいのよ。」クチュ

理事長「それにその上一人暮らしなんてして、近くに頼りになる身寄りもいないで。」クチュ…クチュ

理事長「私じゃなくたって、誘拐して好き勝手したくなるわよ、そんなの。」クチュ…


希「そ…んな……っ」ポロポロ


理事長「…ふふ、全部入ったわよ?ムカデも大人しくなったわね…死んじゃったのかしら、可哀想に。」

希「………」ポロポロ

希「……まだ、いきてる………」ポロポロ

理事長「…え………?」


希「動いてるの……中でずっと…動いてるの……!」ポロポロ

希「う……ぐすっ………うう……えぐっ…」ポロポロ

希「もうやめて……やめてよ………」ポロポロ


理事長「ふふふ…やめないって言ってるでしょう?そう、生きてるの……それなら入り口は塞いでおかないとね。」ガサ…

希「なに…する気………」ポロポロ

理事長「別に大したことはしないわよ?ガムテープで入り口を塞ぐだけ……ふふ、単純でしょう?」

希「…………」ポロポロ
158 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:42:30.51 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふふ……はい、ペタっと。これでもうこの子は東條さんの中から出られないわね…ふふ、ずっと仲良しよ?良かったわね。」

希「………っ」ポロポロ


理事長「じゃあ次は大きな箱を……」

希「………っぁ……っ」ガチャ…

理事長「………?どうしたの、東條さ…」

希「ぁあ"あぁ"っ?!!?や…だ…また、暴れ出して……!」ガチャッ…ガチャンッ

希「ぁ…やだ……やだ!!!出して、中から出して!!!」ガチャッガチャッ

希「奥……入ってきちゃ……ぁ、ぁあ"ぁ?!」ガチャンッ

理事長「あら…ふふ、まだそんな元気あったのね…流石私の選んだ子。」

理事長「でも残念ながら…助けてあげられないわ。もう入り口はガムテープで塞いでしまったから。」

理事長「ふふ……ごめんね。」


希「おね…が……っ出…して……っ」ガチャ…ガチャ

希「ぁ……あ………」ポロポロ

希「やだ………」ポロポロ

希「…………中………入っちゃった……」ポロポロ
159 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:43:44.20 ID:A+sg7CyRo
希「あ……あは…………はは……」ポロポロ

希「入ってくる…どんどん……入って……」ポロポロ


希「痛っ……ぐ………かはっ……あぐ………」ポロポロ

希「痛い……痛い痛い痛い痛い痛い!!!」ポロポロ


希「は……ぁ……や、めて……やめて………」ポロポロ

希「う…あ………中で、動いてる……まだ動くの……?」ポロポロ


理事長「ふふ…私もことりができたときは、中で蹴られたりしたらわかったわね…懐かしいわ。」

希「ことり…ちゃん……?」ポロポロ

理事長「そう…ことりがまだ産まれる前。赤ちゃんだった頃。」

希「赤…ちゃん……」ポロポロ


希「………」ポロポロ

希「そうだよ…本当は…ここ……赤ちゃんが入る場所なのに…大事な、場所なのに……」ポロポロ

希「なんで……こんな………」ポロポロ

希「なんで……」ポロポロ

理事長「ふふ…その表情、素敵よ?東條さん。すっごく素敵。」


希「………」ポロポロ

希「……もうきっと、赤ちゃんなんて…できないね……」ポロポロ

希「ベビちゃんが…たくさんほしいなって……そんな時も、あったのに……」ポロポロ

希「結婚だってきっとできない……」ポロポロ

希「もうきっと、幸せになんて…なれない」ポロポロ
160 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:44:46.02 ID:A+sg7CyRo
希「何考えても…何をしても…」ポロポロ

希「無駄…なんだよね」ポロポロ

希「…………」ポロポロ

希「あは………はは……」ポロポロ



希「もう……いいや…」ポロッ



希「………っ」カチャ

希「え………?」


理事長「…うふふ、東條さん今、また舌噛もうとしたでしょう。そうはいかないわよ?」

理事長「ふふ…また開口器、つけてあげたから。ふふふ…っ」

希「………」

理事長「その絶望しきった表情も、すっごく素敵よ?でも意識と理性は保っててほしいわね…」

理事長「…最後の箱、今のに比べたら大したことないけど……一応入れるわよ?」


ガサガサガサガサ


希「………」

理事長「もう少し…反応してくれないと、つまらないのだけど。」

希「………っ」

理事長「ふふ…開口器で口が開けっぱなしになっちゃったから、色々入ってくるわよ……」

希「あ……ぅあ……かはっ……は……」ポロポロ

希「けほっ……けはっ……はっ……」ポロポロ


理事長「ふふ…最後に入れたの、ゴキブリの天敵だから……ふふふ、東條さんの口に逃げ込んだゴキちゃんを追いかけて、更に天敵ちゃんが入る…」

理事長「…折角だから東條さんには目の前で虫の捕食を見てもらおうと思ったのだけど…これもなかなかいいわね、面白いわ。」


希「ぁ……かはっ…けほっ…はっ…はっ……」ポロポロ

理事長「ふふ…いい表情。これから朝まで…一緒に楽しみましょうね、東條さん。」



希「………」ポロポロ


161 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:46:07.39 ID:A+sg7CyRo
−−−−−
−−−−
−−−
−−


ガサガサガサガサ



希(時間がゆっくり、流れてく)



理事長「ふふ、東條さん……ほら、口の中にたくさん…今、何匹入ってるかしら?」



希(何が何だか、もうよくわかんない)



理事長「耳も大変ね…ふふ、下は大丈夫?ムカデ、もう…流石に死んでしまったかしら」



希(虫たちは耳や口に、無理矢理入ってくる)



ガサガサ


ガサガサ



希(悲鳴をあげるたびに、理事長がガラスの向こうで、嬉しそうに微笑む)



理事長「ふふ…東條さん、その表情、すっごく素敵よ……」



希(まるで、水族館や動物園の動物にでもなったみたい)



ガサガサ…ガサガサ



希(………)


162 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:47:05.63 ID:A+sg7CyRo
理事長「ほら、もっと反応してくれないと……ね?ふふ、じゃあ今度は虫たちの動きが活発になるように、薄暗くしてみましょうか」



希(……たぶん、μ'sに手を出さないで、壊れるまで好きにして、なんて言ったけど)



ガサガサ…ガサガサガサガサ!



希(ほんとはそんな勇気、どこにもなくて)



理事長「ふふっ…あはははっっ」



希(きっと誰かが助けに来てくれるって)



ガサ……ガサガサ



希(きっと理事長もそこまで酷いことはしないって)



理事長「ほら…もっと…ね?泣いて、泣いていいのよ?ふふ……」



希(どこかできっと…期待してた)



ガサガサ ガサガサ ガサガサ


ガサガサ ガサガサ ガサガサ



希(………でも。何をしても、何を考えても、何を期待しても)



163 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:48:16.37 ID:A+sg7CyRo
理事長「…なんだか少なくなってきちゃったわね……仕方がないから、追加分取りに行ってくるわ。」


ガチャ



希(痛いのは消えないし)


希(虫は入ってくるのをやめないし)


希(息はどうしたって苦しいし)


希(身体の拘束は解けないし)


希(理事長はやめてくれないし)


希(人生は終わらないし)


希(誰も助けには来ないし)


希(時間は巻き戻せないし)


希(楽しかった時間は戻ってこない)



ガサガサ ガサガサ ガサガサ



希(全部無駄なんだ)



ガチャ


理事長「ふふ……ただいま。」



希(何をしても、何を考えても、無駄なら…)



理事長「じゃあ、入れるわね?」



希(一体どうしたらいいの?)



164 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:49:44.48 ID:A+sg7CyRo



ガサガサガサガサガサガサ!!!



希(もう…疲れたよ)



理事長「ふふ……あははっあはははっ」



希(みんな…えりち…お父さん…会いたいよ。ねえ、私……うち、ここにいるのに)



ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ



希(でも……もう、だめかも)



理事長「いい!いいわぁっ、ふふ、あははっふふふふっ、あはっ」



希(ごめんね…みんな)



ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ




希(ごめんね…わたし)




165 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:51:22.43 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−



希(………)





希(………)






希(………)







希(………)







理事長「う……ぁあ………」

理事長「あらら…ごめんなさいね、寝ちゃってたみたい。」


理事長「…っ、もうこんな時間…学院に行かないと……って、」

理事長「東條さん……その髪………」


希「………」


理事長「ふふ…いつの間に………」ゴソゴソ
166 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:52:05.57 ID:A+sg7CyRo
理事長「見える?鏡よ。」

希「………」

理事長「あらら…意識はあるわよね?見て…ほら、気づかないうちに真っ白。びっくりよ。」

希「………」

理事長「よく漫画やアニメで、恐怖で髪が真っ白〜なんてあるけど、科学的には恐怖で一瞬で髪が白くなるなんて、おかしいし…証明されてないのよ。」

希「………」

理事長「ふふ…でも本当にこんなことって、あるのね。ふふふ……」

希「………」

理事長「ふぁあ…それじゃあ私、学院に行かないと……もう虫も中でだいぶ少なくなってるけど…このままこの中で大人しくしていてね?」

希「………」

理事長「ちょっと仕事が溜まっちゃってるから、少し帰りは遅くなるかもしれないけど…ちゃんと夜に顔だすから。」

希「………」

理事長「ふふ…それまでに正気、取り戻しておいてね?まぁ戻ってなくても無理矢理もどすけど……」

希「………」

理事長「それじゃあ、行ってきます。」


ガチャ




希「………」

167 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:53:11.36 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

絵里「はぁ…っ、はぁ…っ」タッタッタ…


絵里(なんで気づかなかったのかしら…明日にしましょうなんて、そんな呑気なことじゃないわよ、これ…!)

絵里「はっ…はっ……」タッタッタ…


絵里(私…理事長に言っちゃった……九州に希の親戚がいないことも……スマホが最後に電源がついてたのが、音ノ木だってことも……!)

絵里(もし理事長が希に何かしてるなら……私がそれらに気づいたことで、希を別の場所に移すとか…希になにか、してないとも限らない……!)


絵里「はぁ……はあっ……」タッタッタ…


絵里(考えすぎかもしれない……そもそも学院の理事長で、ことりの母親なのにこんな風に疑うなんて、最低よ…!でも、)

絵里「はぁっ……はぁ……」タッタッタ…

絵里(でも…理事長が何かしてるとすれば……一番全ての辻褄が合う…!少しでも可能性があるなら、確認しなくちゃ……)


絵里「はっ……はぁっ……」タッタッタ…

絵里「ついた……けほっ……はぁっ…はっ…」


ピンポーン


『…はーい?』


絵里「こ…ことり!私よ、絵里よ!」


『…ん…んえっ?!絵里ちゃん?ちょっと待ってね』



168 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:55:44.16 ID:A+sg7CyRo

ガチャッ


ことり「お…おはよう……寝起きでごめんね、どうしたの?」


絵里「寝起きって…そろそろ支度しないと、間に合わなくなるわよ?」

ことり「んえ……ぁあっ、ほんとだ…なんでこんな時間まで……」

ことり「……あっ、急いで支度してくるけど…何の用、かな?」


絵里「えっと…その、理事長、いるかしら?」

ことり「………っ、お母さん?」

ことり「うーん…と……もう学院行っちゃったみたい。」

絵里「そう……」


ことり「あ、えっと…ごめんね。私で何かできることなら…」

絵里「…それならじゃあ、少しだけ聞きたいことがあるのだけど……」

ことり「聞きたいこと?………わかった。海未ちゃんと穂乃果ちゃんには連絡入れておくから、少し待っててもらえたら、支度してくるから…」

ことり「その…二人で行きながら話すんでも、平気かな?ごめんね、寝坊なんてしちゃって。」

絵里「ううん…大丈夫。ありがとう。寝坊ってほどの時間でもないわよ、じゃあここで待ってるから…」

ことり「う、うん!急いで支度してくるねっ」


タッタッタッタ…



絵里「………」


絵里(ことりの家…穂乃果の家から近いから、見たことはあったけど…間近で見てみると、結構大きいわね…)

絵里(庭も広いし……)


絵里「………!」
169 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 18:57:08.72 ID:A+sg7CyRo
絵里(あの、倉庫……)

絵里(なんの倉庫かしら……)



ガチャ!


ことり「ごめんね絵里ちゃん!支度できたよーっ」

絵里「ことり…随分早いのね、急いでくれてありがとう。」

ことり「ううん、大丈夫大丈夫……」

ことり「……それで、聞きたいことってなぁに?」

絵里「えっと……その、理事長のこと…なんだけど。」

ことり「……っ、」


絵里「あの…深い意味は無いんだけどね、私…理事長のこと、学院での理事長のことしか知らないから…」

絵里「普段はどんな人で、最近どんな感じなのか…その、大した意味はないのよ?…だけど興味があって。教えてほしいの。」

ことり「………っ、」

絵里「……?」


ことり「……絵里ちゃんはほんと…わかりやすい…な……」ボソッ

絵里「えっ……何?」

ことり「ううん………なんでもない。」

ことり「お母さん………ね。」

ことり「お母さんはね…普段は優しくて、いいお母さんだけど」

ことり「少し変わってる……かな」
170 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:06:00.36 ID:A+sg7CyRo
絵里「変わってる……?」

ことり「うん……」

ことり「なんていうんだろう…猛禽類、みたいな」

絵里「猛禽類……??」


ことり「ふふ…ごめんね。あの、これ…みんなは知らないことなんだけど、」

ことり「お母さん、私が生まれる前は理科の先生をしてたの…担当は生物だったってきいてるけど」

絵里「理科…生物ね……」

絵里(そういえば一度、単細胞生物についてやけに詳しく語り出したような)

ことり「それでかな…少し変わってて。ムカデとか…その、Gとか、蜘蛛…とか。そういう生き物が、大好きでね。」

ことり「家の倉庫で飼ってるの。気持ち悪いよね。」

絵里「それは……」


絵里「……人の趣味にとやかく言うものではないけど…その、気持ち悪い、わね。」

ことり「ふふ…そうなの、すごく気持ち悪くて。お母さんは、あの子達はことりにとってのマカロンと同じようなものよ!なんて言うけど、ことりには理解不能で。」

絵里「……ふふ、それは私にも理解不能だわ……」

絵里(あの倉庫は…そういう……)

絵里「……………その倉庫って、そういう生き物だけがいるの…?」

ことり「うーん…わからないの。小さい頃にうっかり入っちゃって…怖い思いしてから、一度も入っていないから……」

絵里「そう……」
171 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:07:44.87 ID:A+sg7CyRo
絵里(………)

絵里(あの倉庫、そんなに大きくはなかったし…特別頑丈って感じもしない、普通の倉庫だった……)

絵里(希がもしいたとしたら…声とかで、気づくわよね……)

絵里(やっぱり考えすぎ…か……他のどこかかしら)


ことり「……あのね、」

ことり「……あの…倉庫ね、地下もあるの。」


絵里「え、地下……?」

ことり「そう…入ったこと、ないんだけどね。だから多分結構広くて…お母さん、最近篭りっぱなしなの。」

ことり「………新しく素敵な生き物が手に入った!とか言っちゃって……」ジワ…

絵里「素敵な…生き物……」

絵里「…ことり、大丈夫?その、目が……」


ことり「……っ、ごめん…ごめんね……なんか埃が、目に入っちゃって……あはは……」ポロ…

絵里「…目薬、あるわよ。」

ことり「ありがとう…でも大丈夫。目薬の貸し借りって、よくないんだよ…?ほらことり、保健委員だから。」


絵里「そ、そうよね……」

絵里(地下……素敵な生き物………)

絵里(考えたくない…考えたくない、けど……)

絵里(気になる……)
172 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:08:55.03 ID:A+sg7CyRo
絵里(こっそり夜に浸入……なんて、現実的に考えたらできないわよね…鍵もかかってるだろうし)

絵里(そうなると……)

絵里「……ねえ、ことり。」

ことり「………?」


絵里「あの……その倉庫の中、私…少し見てみたいな、なんて……」

ことり「えっ……?」

絵里「あ、えっと……大した意味はないの、その…興味本位で、ね?」

絵里「ほら、そういう生き物って、間近に見ることってないし…ほら私、受験で生物使うから、勉強になるかな、なんて……!」

ことり「………」


絵里「ことり……?」

ことり「勝手に入ったら…怒られちゃうかもしれないから、お母さんに聞いてみるよ。」

ことり「多分絵里ちゃんなら…入れてくれると思う。学院についたら頼んでみるね。」

絵里「ことり……!ありがとう。」

ことり「ううん……あっ、もうこんな時間…少し急がないと。」

絵里「あっ…ほんとね、少し急ぎましょう……」



タッタッタッタ…




173 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:12:39.47 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

にこ「おかしい……」


真姫「………?」

凛「にこちゃんがおかしいのは、いつものことにゃー」

にこ「違うわよ…私のことじゃなくて!希のことよ……!」

花陽「に、にこちゃん…」

凛「………」

にこ「………っ、」


真姫「にこちゃん……」

真姫「……私達ね、絵里にはああ言われたけど…実は少し調べていたの。希のこと……凛と、花陽と。」

にこ「あんた達……それで何か、わかった?」

花陽「………」

花陽「何も…何もわかりませんでした。」

真姫「…強いて言うなら、希の家族のこと、調べてみたけど……」

真姫「希って、お母さんは既に亡くなっていて…お父さんは今、海外で戦場カメラマンをしているらしいわ。」

花陽「ま、真姫ちゃん…!」

真姫「…仕方ないじゃない。これは緊急事態よ…それに多分、絵里は既に知っているわ。」

凛「………」

真姫「なかなか危険な地域にいるらしくて…こっちから連絡をとるのは難しいわね。」

にこ「………」

にこ「…大丈夫よ、私も少し調べて…希のおばあちゃんから、その話は聞いてる。」


真姫「にこちゃん……」
174 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:15:59.87 ID:A+sg7CyRo
にこ「……でも、それだけよ。」

にこ「それだけなのよ……一体今希はどこで、何をしているのか……」


凛「………」

凛「希ちゃん……」ポロ…

にこ「凛……」

にこ「ごめん、さっきは…凛なりに、考えてくれていたのよね。」


凛「ううん…凛こそ、ごめん……ちょっとKYだったよ……」ポロポロ

凛「希ちゃんがいないと…なんか調子でなくて……」ポロポロ

花陽「凛ちゃん……」ポロ…

真姫「………」

にこ「…明日で2週間………」


にこ「絵里が……」

にこ「多分絵里は、私達よりもう少し、何かを掴んでて……」

にこ「だからこそ…一旦目立つ行動はやめるように…言ったのよね、多分。」

真姫「まぁ…そうでしょうね……」

凛「それなら凛達にも、教えてくれたら、もっと……!」

花陽「多分…多分、なにかそれなりの…理由があるんだよ。」

凛「………」

凛「そっ…か……そうだよね……」

にこ「………」


にこ(私達にできるのは…ここまで…なのかしら。)



にこ(………)


175 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/11/28(月) 19:17:13.39 ID:8Oe/FwZFo
再掲大変だろうが頑張れ
176 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:20:46.11 ID:A+sg7CyRo
−−−
−−


海未「………」

穂乃果「うーみちゃーん」

海未「………」

穂乃果「海未ちゃーん」

海未「………」

穂乃果「海未ちゃんー、ランチパック、一口食べる?」

海未「太りますよ……」

穂乃果「えへへ……」

海未「………」ハァ

穂乃果「………」


穂乃果「………希ちゃんのこと?それとも…ことりちゃんのこと?」

海未「……!」

海未「気づいていたのですか……」

穂乃果「あはは………一応、ね。」

海未「………」


海未「ことりが……」

海未「……ことりが、ああいうことを聞いてくるのは初めてだったので…驚いたんです。」

穂乃果「うん……わかるよ。」

海未「もう2週間になります…希のことも心配ですし……ことりのことも、心配です。」

穂乃果「うん……」
177 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:21:58.00 ID:A+sg7CyRo
海未「今朝はことりと絵里で登校したみたいです…もしかしたら絵里は何か、知っているのかもしれません。または二人が希のことで、何か掴んだのかもしれません。」

穂乃果「そうだね……」

海未「………」

穂乃果「穂乃果達に話してないってことは…何かきっと、理由があるんだよね。」

海未「そう…だと思います……」

穂乃果「………」

海未「……二人はきっと、私達の身を案じてくれているのだと……」

穂乃果「そっ…か……」


海未「しかしこれ以上、二人が抱え込むようなら」

穂乃果「海未ちゃん……」

穂乃果「うん…わかってる。海未ちゃんは、そういう人だから。」

海未「穂乃果……」

穂乃果「…でもでもっ、ピンチになったら…穂乃果のことも、頼ってね?」

穂乃果「穂乃果だって…みんなの力に、なりたいから。」

海未「………」

海未「ええ…勿論です。」


穂乃果「うん……」


178 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:23:04.32 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

絵里「明日……?」

ことり「うん…明日なら、仕事も下校時刻までには終わるみたいだから…その後一緒にって。」

絵里「そう……」


絵里(案外あっさり入れてくれるってことは…やっぱり違うの…かしら。)

絵里(ううん……それでも可能性がないわけではないから。確認しないと……)

絵里(……でも明日にしたら、もし本当に希を隠してるとすれば…今日のうちにどこかに移してしまうかもしれない)


絵里「今日じゃ…だめ、かしら?」

ことり「ううん…中とか、散らかってるみたいで……片付けておきたいって。後は今日は仕事も終わるの遅いみたいで……」

絵里「そう…よね……」

絵里「…わかったわ。理事長にお礼、言っておいてくれる?ことりもありがとう。」

ことり「うん……でも絵里ちゃん、大丈夫…?」

絵里「えっと……何が?」

ことり「あ、あの……その、中、多分薄暗いし……気持ち悪いのばっかだろうから。」

絵里「薄暗い……」

絵里(……でも、希がいるかもしれないんだもの、それくらい……)


絵里「だ、大丈夫よ……大丈夫。」

ことり「そっか……ならよかった。」

絵里「ええ……」

絵里(今日のところは…理事長をつけて、見張っておくしかないわね……)


179 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:24:52.79 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

絵里「にこ……」ガチャ

にこ「絵里……まだ残ってたの?」

絵里「にここそ……でも、良かったわ。」

にこ「……?なに、何かあんなら早く言いなさいよ。」

絵里「あはは……にこは話が早いわね…」

絵里「あのね…にこの持ってる変装グッズ、貸して欲しいの。」


にこ「………誰か尾行でもするの?」

絵里「………っ、」

絵里「………」

絵里「ほんと、にこは鋭いわね……」

にこ「まぁ、ね……それで?誰を尾行するのよ?」

絵里「それは……」

にこ「……私には言えない?」


絵里「……っ、いや…そんなことは………」

にこ「ふぅん……」

絵里「………」
180 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:25:55.12 ID:A+sg7CyRo
絵里「あ、あのね……」

絵里「その………理事長なの。」

にこ「えっ……?」

絵里「だからその……尾行、するのは……」

にこ「………」


絵里「ええと……」

にこ「……」ハァ

にこ「わかったわ……」

絵里「にこ……!」

にこ「何かしら事情があるんでしょ…?みんなやことりにも、秘密なのよね?」

絵里「そう…なの…」

絵里「まだ何の確証もないから……」

にこ「………」

にこ「……ふんっ、まぁいいわ。」

にこ「その代わり…その尾行、にこがするから。」

絵里「えっ……」

にこ「何よ、私じゃ不満?」

絵里「いえ…そんなことはない…けど…」
181 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:27:05.67 ID:A+sg7CyRo
にこ「…だいたい、あんたの髪は目立つのよ。にこの変装グッズはにこのサイズだし……その、腹立つけど胸のあたりとか!あんたじゃ無理よ。」

絵里「そ…そうなの……」

にこ「そーれーに!ちょっと鏡見た方がいいわよ?今のあんた、アイドルらしからぬ顔、してるんだから……」

にこ「最近眠れてないんでしょ?今日はしっかり寝なさいよ……」

にこ「理事長のことは、にこが責任持って、しっかり見張っとくから……何か変なことがあれば、絵里にすぐ連絡するし。」

絵里「にこ……」

にこ「…だいたい、あんたは一人で抱え込みすぎなのよ……これくらい、にこに任せなさい。」

絵里「………」ジワッ

絵里「……っ」ゴシゴシ

絵里「ありがとう……にこ。」

にこ「……いいのよ。これくらい。」




にこ「久しぶりに…サングラスに……これ、かぶって……よし。」


182 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:28:13.13 ID:A+sg7CyRo
−−−−−
−−−−
−−−
−−

ガチャ…


ことり「……ただいま。」


バタン


ことり「………」

ことり(お母さん……まだ帰ってない)

ことり(学院か……倉庫か……)


ことり(………)

ことり(確認に………)


ことり「………」

ことり「…………っ」

ことり(行きたく……ないよ)


ことり「はぁ……」バフッ

ことり「明日……絵里ちゃんが………」


ことり(大丈夫…だよね。あそこにいるのは、気持ち悪い生き物だけ…だよね。)

ことり(お母さん、ことりなら入れてもいいって言ってたもん…絵里ちゃんも、入れてくれるって…)

ことり(入れてくれるってことは…やましいことなんて、何もないってことだよね)


ことり「………」ゴロ…

ことり「大丈夫…大丈夫……」


ことり(そもそもあんなに優しいお母さんを疑うなんて、最低…だよね)


ことり「ごめんね……お母さん。」ポロ…

183 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:29:07.18 ID:A+sg7CyRo
−−−−−
−−−−
−−−
−−

ガチャ


理事長「遅くなっちゃった…ごめんね、東條さん」

希「………」

理事長「だんまり……ね、本当に狂っちゃった?」

希「………」

理事長「ふふ…あれくらいで狂われちゃ、困るんだけど。」

希「………」

理事長「ねえ、聞いてる……?」

希「………」


理事長「仕方ないわね……とりあえず、箱からだして…開口器も外してあげる。」ガチャ…

理事長「あーあ…私の大切な虫たち、ほとんど死んじゃった…」カチャ…カチャ

理事長「食い合って死んじゃったのもいるけど…ほとんどは東條さんが暴れるからよ、潰れて死んじゃったの…どうしてくれるのよ」カチャ…カチャ


希「………」


理事長「無視……するのね、いいわ、お仕置きよ?」カチャン

希「………」

理事長「ふう…とれた。」

希「………」
184 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:30:18.02 ID:A+sg7CyRo
理事長「じゃあ、だすわね……ふっ」グイッ…

希「………」

理事長「ふふ…こんな大きな胸のわりに、軽いわね……ここに入ってから、痩せたかしら?」

希「………」

理事長「ネットなんかじゃ東條さん、ぽっちゃり扱いされたりしてたんだから…私に感謝したほうがいいわよ?」

希「………」

理事長「よいしょ……っと」

希「………」

理事長「はぁ…本当にだんまりなのね。いいわ。」

希「………」

理事長「電気を流したとき…あのときは、電気パッドを使ったけど」

希「………」

理事長「ふふ…今日はこれ、電気ショック棒。私の手作りよ?」

理事長「これね…難しそうに見えて、結構簡単に作れるの。原理は単純だしね。電圧を変えればスタンガンにもなるわ。」

希「………」

理事長「……ねえ、怖がったりしないの?やめてって叫んだらいいじゃない。」

希「………」

185 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:31:24.54 ID:A+sg7CyRo
理事長「……そう。じゃあ流すから。まずはお腹ね?」


カチッ


バ……バリバリッ………ジジ………


理事長「ふふ…ほら、近づいてくわよ?ちなみにね、この棒、20mAはあるから……流し続ければ死んじゃうわ。まぁそんなこと、しないけれど。」

希「………」

理事長「つまらないわね……じゃあ、ほんとにやってしまうから。」ソー…


ジジジジ………ッ


希「……っ、ぁ………っ」ガクガクガクガク


理事長「………」

理事長「………っ」スッ


希「はぁ……はぁ………っ」

理事長「ふふ…痩せ我慢しても無駄よ?息、荒れてるし…今声、少し漏れてたでしょう…?」

理事長「ほら…お腹。電流が強すぎて、火傷してるわ……薄っすら赤くなってる、ねえ。」

理事長「跡……残ってしまうかもしれないわね。ほら、やめてって言ったらやめてあげるわよ?」


希「は……は………」


理事長「………そう、じゃあ次ね。次はじゃあ、太ももね。」ソー…


ジ……ジジ………


希「………っ、………はっ…」ガクガクガクガク


理事長「………っ、」
186 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:32:21.26 ID:A+sg7CyRo
理事長「二の腕……」ソッ


希「ぁ………っ………っ…」ガクガクガクガク


理事長「…………」

理事長「はぁ……」スッ

理事長「じゃあ今度は右手の平…ふふ、これでしばらく、手は使えなくなっちゃうわよ…?」ソッ


ジジジッ………


希「………っ、………っ」ガクガクガクガク


理事長「……っ」

理事長「なんでよ……」



カチッ


理事長「なんで反応しないのよ……痛いでしょう?!ほら、こんな赤くなって……痛いでしょう?!」

理事長「もっとのたうち回って、痛がって、助けてって叫びなさいよ……」

理事長「次、いい加減反応してくれる…?顔にやるから。ふふ…可愛い顔に、跡が残るかもしれないわよ?」


カチッ


希「はっ……は………」

理事長「柔らかそうな頰っぺた……ふふ、うふふ……」
187 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:33:22.31 ID:A+sg7CyRo
理事長「ほら……段々近づくわよ……3センチ……2センチ……1センチ………」ソー…


バリバリッ……ジジッ


希「………っ………ぁ……」ガクガクガクガク

理事長「………っ」



カチッ


理事長「………」


理事長「なんでよ……」

理事長「ねえ…もしかして本当に正気を失っちゃったの?」

理事長「今日で、最後かもしれないのに……」


希「は……は……」


理事長「………」

理事長「ふふ……あははっ」

理事長「ねえ、じゃあ…サプライズで驚かしてあげようかと思ったけど…教えてあげる。」


理事長「明日ね…この部屋に、絢瀬さんが来るのよ。」

理事長「別に東條さんとの約束を破ったわけじゃないの…来るもの拒まずって言ったでしょう?ふふっ…」

理事長「絢瀬さんにはどんなことしようかしら……東條さんにしたことと同じことをしたら、絢瀬さん、耐えられると思う?」


希「………」


理事長「………っ」
188 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 19:34:31.45 ID:A+sg7CyRo
理事長「ねえ…東條さん。」

理事長「わかった…演技でしょう?東條さんならやりかねないものね……」

理事長「痛いので反応しないなら……そうね……」


理事長「ふふ……、ん……」チュ

希「……っ、ふ………」


理事長「んん……ん……ふ……ちゅ……」


希「………っ……」


理事長「………っ」パッ

理事長「………」


理事長「こんな風に無理矢理キス、されても……何も反応しないのね。」

理事長「怒ってるの?流石に昨日のは、やりすぎだった?」

理事長「………」

理事長「……ごめんね?」


希「………」


理事長「はぁ…ねえ。まだこれ、続けるの?」

希「………」

理事長「わかったわよ…じゃあ、一つだけお願い、聞いてあげる。昨日頑張ってたから。」

希「………」

理事長「何も言わないの…?」

希「………」


理事長「じゃあ…そうね、明日絢瀬さん来るし…東條さん、ここに来てから一度もお風呂入れてないでしょ、体…拭いてあげるわよ。」


ガチャ



希「………」


希「………」



希「………」



189 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:17:16.76 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−

にこ「はーーっくしゅっ」ズビッ

にこ「10月も半ばともなると…夜は冷えるわねぇ。」ブルブル

にこ「まったく…なんで宇宙No.1アイドルのにこにーが、こんなこと……」


にこ(理事長…あの変な倉庫に入ってから、ちっとも出てこないわね……)

にこ「もうそろそろ深夜よ…一体いつまで倉庫なんかに……って」



ガチャッ



にこ(でてきたわ……)

にこ(家の中に入って……もう流石に、寝るのかしら?)


にこ「もうしばらく、様子見ましょうか……」


にこ(絵里が尾行を頼むんだもの、何かしらあるのよね…?)

にこ(あの倉庫…なんなのかしら)


にこ「……っくしゅ、くしゅ……」ズルズル

にこ「寒いわねー」ガタガタ


ガチャ


にこ(…あっ、出てきたわ!)

190 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:18:25.53 ID:A+sg7CyRo
にこ(洗面器と…タオル?湯気でてるからお湯かしら……)

にこ(え…なに、もしかしてあの倉庫って車庫とか?これから洗うのかしら…向こうにも車あるのに…リッチねぇ)

にこ(理事長ってやっぱり儲かるのかしら……)



ガチャ



にこ(………入って行ったわね…)


にこ「ふぁ……くしゅっ」ズルズル

にこ(全く…一体何時になったら家に帰ってちゃんと寝るのよ……)


にこ「はぁ……」

にこ(絵里は一体…なにを疑ってるのかしら)

にこ(あの倉庫……)

にこ(………)

にこ(まさか……)


にこ「はーーっくしゅっ……」ズビッ


にこ「あーもう、ポケットティッシュたくさん持ってきてよかったわ」チーン

にこ(まさか、ね……ドラマじゃあるまいし……)


にこ「ふぇっくしゅんっ」ズビッ




にこ「くしゅっ……」ズルズル


にこ「はー……寒いわねー」ガタガタ


191 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:19:30.06 ID:A+sg7CyRo
−−−−
−−−
−−


ガチャ

理事長「………」

理事長「………ほら……じゃあ、身体おこして?」


希「………」


理事長「………」

理事長「……仕方ないわね……ほら」グイッ

希「………」

理事長「はぁ……」

理事長「………」ゴシゴシ


理事長「…ふふ、お湯加減は如何ですかー?」ゴシゴシ

希「………」

理事長「……ほんとに返事、してくれないのね。」ゴシゴシ

希「………」


理事長「こうしてると…小さい頃、ことりが風邪を引いてた頃のこと…思い出すわね。」ゴシゴシ

希「………」
192 : ◆5UuNMwrvUc [sage saga]:2016/11/28(月) 20:20:36.80 ID:A+sg7CyRo
理事長「ふう……」

理事長「ねえ、これでもだめなの…?」

希「………」

理事長「そう………」

理事長「…………」


希「………」


理事長「………」


理事長「…………ふふっ、」

理事長「あっはは……うふふ、ふふ………っ」

理事長「アハハハ!!フフ……うふふふ……っ」


理事長「はー……」



理事長「わかった…わかったわよ。東條さん、もう…壊れちゃったのね。」

理事長「どうして壊れちゃったのかしら、昨日のがやっぱりやりすぎだった?それとも連日使いすぎて、劣化してたのかしら……」

理事長「……まぁ、もういいわ。寂しいけど…仕方ないわね、玩具はいつか壊れるし、人はいつか死ぬんだから。」


理事長「じゃあ最後に…そうね、この東條さんを絢瀬さんに見せれば、結構素敵な反応をしてくれそうだし…」

理事長「はたまたもしかしたら、絢瀬さんならこの東條さん、直せるかもしれないわね…」

理事長「うふふ…切り替え早いなぁって思ったかしら?いや……ふふ、もう何も思わないわね。」

理事長「ふふっ…それじゃあ少し、演出…考えましょうか。これで最後かもしれないもの…ふふ…うふふ……」



希「………」



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